JP4036655B2 - 細胞周期調節因子の活性の測定法と該測定法に使用される試薬 - Google Patents

細胞周期調節因子の活性の測定法と該測定法に使用される試薬 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は放射性物質を用いることのない細胞周期調節因子の活性の測定法と該測定法に使用される試薬に関する。
【0002】
【従来の技術】
細胞増殖は生命維持上、生物の基本的かつ重要な特徴の一つである。細胞増殖は、1つの細胞が2つの娘細胞に分裂することにより行われるが、体細胞分裂の場合、細胞の成長、DNAの複製、染色体の分配、細胞の分裂などからなる複数の連続反応により、細胞分裂が起こっている。この連続反応の一連過程は細胞周期と呼ばれる。細胞周期は、真核細胞の場合、4つの時期に分けられる。すなわち、DNA複製が起こるS期、細胞の分裂が起こるM期、M期と次のS期までの間の間隙であるG1期およびS期と次のM期までの間の間隙であるG2期からなる。G1期は細胞が増殖へのシグナルを受け、DNA複製の準備や細胞の分裂に必要な代謝、成長のための時期であり、G2期は分裂に入る準備のための時期と考えられている。また、G1期には哺乳類細胞ではR点(Restriction point)、酵母ではSTARTと呼ばれる移行点が実験的に想定されている。一般に細胞は外界からの増殖シグナルを受けて増殖する。これらのシグナルを細胞はG1期で受け取り、細胞周期を進行させるが、G1期のある点を過ぎると細胞は増殖シグナルがなくなっても、増殖を停止することなくS→G2→M→G1と細胞周期を進行させる。この点がR点またはSTARTであり、いわば細胞が増殖方向に進行することを決定する時期であるといえる。さらに、細胞は細胞周期を逸脱し、成長も増殖もしない休止期(G0期)に入ることができる。
実験的にはこのような細胞は適当なシグナルを与えればG1期に戻り、成長と分裂を再び誘導することができる。多細胞生物体を構成する多くの非成長性、非増殖性の細胞はG0期にあると考えられている。
【0003】
細胞内にあって、細胞周期調節因子は主に2つ存在する。1つは、正の調節因子であるサイクリン依存性キナーゼ(CDK)と呼ばれるリン酸化酵素群であり、もう一つは負の調節因子であるCDK阻害因子(CDKI)である。CDKは、通常細胞内では不活性型単体として細胞質に存在し、CDK自体がリン酸化等の活性化を受けて細胞内の核内に移動する。核内では、CDKは核内に存在するサイクリン分子と結合してCDKとサイクリンの複合体(以下、活性型CDKと称する)となり、細胞周期の様々な段階において、細胞周期の進行を正に調節する。一方、CDKIはCDKと結合することにより、すなわちCDKIが活性型CDKまたはCDK単体と結合することによりCDKを不活性とし、細胞周期活性を負に調節する。
【0004】
CDKは、現在、CDK1、2、3、4、5、6および7のタイプが知られ、それぞれ結合するサイクリンが異なる。すなわち、CDK1はサイクリンAまたはBと、CDK2はサイクリンAまたはEと、CDK4およびCDK6はサイクリンD1、D2またはD3と結合して活性型となる。活性型CDKは、それぞれ特異的な細胞周期の段階を制御する。細胞周期制御にかかわるCDKと、機能的に結合するサイクリンおよびこれら活性型CDKが機能する段階を以下の表1に示す。
【0005】
【表1】
Figure 0004036655
【0006】
このように、異なる種類のCDKが活性化されることにより細胞周期が調節され、細胞増殖を調節している。活性型CDKは基質蛋白質のセリンまたはスレオニン残基をリン酸化する酵素である。in vitro反応系においては、活性型CDK1および2はヒストンH1を、活性型CDK4および6はRb(網膜芽細胞腫蛋白質、Retinoblastoma protein)を基質として良好に反応を行う。しかし、実際の細胞周期制御における各活性型CDKの生理的基質は、その一つがRbであると考えられているが、これ以外に基質が存在するかどうかは未だ不明である。
【0007】
上記のように、CDKおよびサイクリンは密接に関連しあって細胞周期を調節しているが、食道癌ではサイクリンD1遺伝子の増幅が多くの症例において認められ、胃癌や大腸癌ではサイクリンD1遺伝子の発現亢進が多くの症例において示されている。一方、サイクリンEの遺伝子の増幅は胃癌や大腸癌で認められているが、食道癌では認められていない。胃および大腸でのサイクリンEの過剰発現は、腺腫および腺癌の場合に有意に高頻度であり、深部への侵潤、ステージの進行、転移などの悪性度と有意な相関を示す。また、CDK1の発現およびキナーゼ活性は、正常粘膜組織においてと比較して大部分の胃癌および大腸癌において著しく亢進している。従って、サイクリン遺伝子の発現の亢進と、種々の癌の進行度や悪性度と相関していることが知られている(安井 弥、Sysmex Journal Web.,1〜10頁, vol.1, 2000)。
【0008】
以上のことから、それぞれの種類のCDKの活性を測定すると、細胞周期の制御に関連した疾患の種類や悪性度の良い指標となり得ることが期待される。すなわち、R点でCDK2の発現が低下し細胞周期を停止させて細胞分裂が調節されるが、CDK2の発現が高まっていることはR点における細胞周期の停止不能、例えば癌のような疾患の状態を意味すると予想される。また、CDK4または6の発現が高まっていると、CDK4または6と特異的に結合するサイクリンD1遺伝子の発現亢進が見られる胃癌または大腸癌が予想され、癌の種類を決定することが可能であると考えられる。
【0009】
通常、CDKの活性は放射性同位体を用いて測定される。詳細には、抗CDK抗体を用い細胞溶解液から免疫沈降法により抽出された活性の不明なCDK存在下に、基質蛋白質のセリンまたはスレオニン残基に、32P標識したアデノシン5’−O−(3−トリホスフェート)(ATP)を作用させて、32P標識したATP由来のモノリン酸基を導入し、基質蛋白質に取り込まれた32P量をオートラジオグラフィーまたはシンチレーションカウンターで検出することによりリン酸化された基質蛋白質の量が測定され、その基質蛋白質の量からCDKの活性が算出される。
上記の方法は、32Pという放射性物質を使用するため、取り扱いや廃液処理等には注意が必要である。
【0010】
【解決しようとする課題】
従って、放射性物質を使用せずに鋭敏に細胞周期調節因子を測定する方法および該方法に使用される試薬を見出すことが、所望されていた。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明は、生体細胞からサイクリン依存性キナーゼ/サイクリン複合体を測定するための試料を調製し、該試料の存在下、サイクリン依存性キナーゼの基質となる基質蛋白質とアデノシン5'−O−(3−チオトリホスフェート)(ATP−γS)を反応させて、該基質蛋白質のセリンまたはスレオニン残基にモノチオリン酸基を導入し、導入されたモノチオリン酸基の硫黄原子に標識蛍光物質または標識酵素を結合させることによって該基質蛋白質を標識し、該基質蛋白質を標識した標識蛍光物質からの蛍光量を測定するか、または該基質蛋白質を標識した標識酵素に、該標識酵素との反応によって光学的に検出可能な物質が生じるような基質を作用させて、生じた生成物の量を光学的に測定し、予め作製した検量線をもとにサイクリン依存性キナーゼの活性値を蛍光量または生じた生成物の量から算出することを特徴とする細胞周期調節因子の活性の測定法を提供するものである。
さらに、本発明は、上記の測定法に使用される、生体細胞を可溶化するための細胞可溶化用液と、サイクリン依存性キナーゼに対する抗体と、サイクリン依存性キナーゼの基質と、ATP−γSと、モノチオリン酸基の硫黄原子に結合可能な標識蛍光物質または標識酵素との組み合わせからなる試薬を提供する。
【0012】
【発明の実施の形態】
本発明の方法を実施するには、まず試料が調製される。
本発明においてサイクリン依存性キナーゼ(CDK)/サイクリン複合体を含有する試料とは、1種類または複数種類のCDK/サイクリン複合体を含有するものであってもよいが、1種類のCDK/サイクリン複合体を含有するものが好ましい。
本発明の方法で用いる生体細胞から調製されたCDK/サイクリン複合体(以下、活性型CDKと略す)を含有する試料は、生体細胞の可溶化およびその可溶化液からの測定目的の活性型CDKを含む試料の単離により調製される。
本発明で用いられるCDKとは、CDK1、CDK2、CDK3、CDK4、CDK5、CDK6およびCDK7が挙げられる。
【0013】
(1)細胞の可溶化
試料は、組織サンプル(バイオプシーサンプルや外科切除サンプル等)のようなヒトを含む動物由来の生体細胞から調製される。試料はCDK/サイクリン複合体の有無を試験するためのものであり、試料中に存在する場合にはその活性の度合いも測定されるものである。生体細胞中、単体CDKは細胞質に存在し、サイクリンは核内に存在する。単体CDKが核内に移行して核中でサイクリンと結合して活性型CDKとなる。したがって、活性型CDKを含む試料を調製するには、生体細胞を可溶化させることにより、単体CDKはサイクリンと結合させる必要がある。
生体細胞を可溶化させるために、生体細胞はその細胞膜および核膜を化学的または物理的処理に付して、破壊することにより行うことができる。具体的には、例えば界面活性剤、蛋白質分解酵素阻害剤および脱リン酸化酵素阻害剤を含有する緩衝液中、ワーリングブレンダー、シリンジで吸引排出するか、または超音波処理に付すことが好ましい。
【0014】
界面活性剤は、細胞膜や核膜を破壊して細胞内物質を取り出すために用いられる。ただし、活性型CDKを分解させない程度の界面活性を有するものが用いられる。その例としては、ノニデットP−40、トリトンX−100、デオキシコール酸、CHAPSが挙げられる。界面活性剤濃度は、1w/v%以下が好ましい。
【0015】
蛋白質分解酵素阻害剤は、細胞膜や核膜が破壊された細胞内物質が混在するときに蛋白質であるCDKやサイクリン分子が破壊されるのを防ぐために用いられる。その例は、EDTA、EGTAのようなメタロプロテアーゼ阻害剤、PMSF、トリプシンインヒビター、キモトリプシンのようなセリンプロテアーゼ阻害剤および/またはヨードアセトアミド、E−64のようなシステインプロテアーゼ阻害剤の混合物や、シグマ社から市販のプロテアーゼ阻害剤カクテルのようなそれら蛋白質分解酵素阻害剤の予め混合された市販品が挙げられる。
【0016】
脱リン酸化酵素阻害剤は、蛋白質である活性型CDK自体のリン酸基が水解されて活性が変動するのを防ぐために用いられる。その例として、セリン/スレオニン脱リン酸化酵素阻害剤としてはフッ化ナトリウムが、チロシン脱リン酸化酵素阻害剤としてはオルトバナジン酸ナトリウム(Na3VO4)が挙げられる。
【0017】
細胞可溶化液は、遠心分離やフィルターを用いたろ過などに付され、不溶物が除去される。次に、活性型CDKを含む試料を調製するにあたり、処理された生体細胞の可溶化液中の全蛋白質量を当業者に公知の方法に従って測定しておくのが望ましい。全蛋白質量は、例えば、DC蛋白質キット等を用いて、ウシIgGを標準として測定される。
【0018】
(2)測定目的の活性型CDKを含む試料の単離
活性測定用の目的の活性型CDKを含む試料は、そのようにして得られた細胞可溶化液から調製される。
活性型CDKを含む試料の調製法には、例えば、免疫沈降法がある。
免疫沈降法によれば、目的の各種CDK1〜7のいずれか一つに特異性を有する抗CDK抗体が用いられる。
【0019】
より詳細には、所定量の蛋白質を含む細胞可溶化液に、測定目的の活性型CDKに対応する抗CDK抗体と、その抗CDK抗体を捕捉するための材料としてプロテインA、プロテインGまたは抗ウサギIgG抗体をコートしたセファロースビーズの懸濁液(ビーズ含量4〜6v/v%)を0〜10℃で1〜2時間反応させる。これらビーズは不溶性なので、ビーズに結合した該抗CDK抗体とCDKの複合体は不溶性となり沈降する。
【0020】
なお、免疫沈降法によると、細胞可溶化液中のCDK群(CDK単体、活性型CDK、活性型CDKとCDKIの複合体、およびCDKとCDKIの複合体を意味する)がすべて捕捉されるので、活性型CDKと共にCDK単体、活性型CDKとCDKIの複合体、およびCDKとCDKIの複合体のような不活性型CDKも調製する試料に含まれる。しかし、不活性型CDKはATP−γS存在下に基質蛋白質のモノチオリン酸化に関与しないので、不活性型CDKを含む活性型CDKの活性測定用試料を用いて本発明の方法を実施しても、不活性型CDKの活性は測定されず、活性型CDKの活性のみが測定されることとなる。
【0021】
次いで、沈降した活性型CDKと抗CDK抗体との複合体と結合したビーズを洗浄する。ビーズを洗浄する洗浄用緩衝液には、後に活性型CDKの基質となる基質蛋白質と活性型CDKとにATP−γSが作用するためにマグネシウムとコンプレックスを形成する必要があるので、塩化マグネシウム、およびタンパクの高次構造の安定化のために必要な酵素の安定化剤として例えばジチオスレイトール(DTT)を含む。さらに、アルブミンや、少量の界面活性剤などを含まれてもよい。
【0022】
その後、測定目的の活性型CDKを含有する試料を用いて、その活性を測定する。本発明による方法は、活性型CDK存在下に基質蛋白質のセリンまたはスレオニン残基をモノチオリン酸化することと、そのチオリン酸基を標識してその標識を測定することからなる。なお、本発明の方法においては、ビーズに結合したCDK抗体と結合した状態の活性型CDK抗体を、活性型CDKとして用いて行ってもよい。
【0023】
(i)活性型CDK存在下に、CDKの基質である基質蛋白質とアデノシン5’−O−(3−チオトリホスフェート)(ATP−γS)を反応させて、該基質蛋白質のセリンまたはスレオニン残基にATP−γS由来のモノチオリン酸基を導入すること。
通常、活性型CDKは、以下の式に示すように、基質蛋白質のセリンまたはスレオニン残基にATPを作用させてATP由来のモノリン酸基を導入されるが、本発明の方法においては、ATPの代わりにATP−γSを用いて、モノリン酸基の代わりにモノチオリン酸基を基質蛋白質のセリンまたはスレオニン残基に導入されるものである。
【0024】
モノチオリン酸化するには、該基質蛋白質0.1〜1mg/mlを含むpH6.5〜8.5、好ましくは7.4の溶液に、25〜40℃、好ましくは37℃の温度で、該基質蛋白質1当量に対して10〜100当量のATP−γSを、活性型CDKの存在下で、5分間〜1時間、好ましくは10分間反応させることにより行う。
測定試料には測定目的の活性型CDKのみならず、上述のように不活性型も含まれているが、活性型CDKのみがチオリン酸基導入反応を触媒するので、本発明の方法には不活性型は関与しない。
【0025】
【化1】
Figure 0004036655
基質蛋白質としては、活性型CDK1およびCDK2に対してはヒストンH1、活性型CDK4およびCDK6に対してはRb(網膜芽細胞腫蛋白質、Retinoblastoma protein)などが挙げられる。
【0026】
なお、本発明において、元来分子内にシステイン残基を含む基質蛋白質、例えばRbについては、その残基をアラニンなどのチオール基を含まないアミノ酸残基に置換した基質蛋白質が用いられる。これは、活性型CDKの作用によりATP−γS由来のチオリン酸基が導入された基質蛋白質のチオリン酸の硫黄原子を標識蛍光物質または標識酵素で標識する際に、基質蛋白質内に元来存在するシステイン残基のチオール基が同時に標識されて測定誤差が生じないようにするためである。
【0027】
元来分子内にシステイン残基を含む基質蛋白質について、その残基をアラニンなどのチオール残基を含まないアミノ酸残基に置換した基質蛋白質を製造する方法としては、PCR法、部位点突然変異法による基質蛋白質遺伝子の修飾およびその遺伝子の発現が挙げられる。具体的には、例えば、Rbのようなシステイン残基を含む基質蛋白質には、オリゴヌクレオチドプライマーRb−1(5'−ACA GGA TCC TTG CAG TAT GCT TCC−3'(配列番号1))、Rb−2(5'GCT GTT AGC TAC CAT CTGATT TAT−3'(配列番号2))、Rb−3(5'−ATG GTA GCT AAC AGC GAC CGT GTG−3'(配列番号3))およびRb−7(5'−GCG AAT TCA ATC CAT GCT ATC ATT−3'(配列番号4))を用いてクローニングすることにより得られる組換えベクターから発現して得られる、システイン残基をコードするヌクレオチドをアラニン残基をコードするヌクレオチドに置換した組換えDNAを発現させてシステイン残基をアラニン残基に置換した基質蛋白質を製造する。
【0028】
(ii)該基質蛋白質の標識およびその標識の量の測定
導入されたチオリン酸基の硫黄原子に標識蛍光物質または標識酵素を結合させることによって該基質蛋白質を標識するには、チオリン酸基が導入された該基質蛋白質0.1〜1mg/mlを含むpH7.5〜9.0、好ましくは8.5の溶液に、該基質蛋白質1当量に対して10〜100当量の、チオール基と反応する官能基を持つ標識蛍光物質または標識酵素を10分〜2時間反応させることにより行う。反応は、遊離のチオール、例えばβ−ME(β−メルカプトエタノール)、DTT(ジチオスレイトール)が添加されて停止される。
【0029】
標識蛍光物質で標識した該基質蛋白質の場合、該標識蛍光物質からの蛍光量を測定し、予め作製したチオリン酸基を導入した既知量の基質蛋白質と蛍光量との検量線に、得られた蛍光量をあてはめることにより該基質蛋白質の量を算出する。その該基質蛋白質の量を、試料中に含まれる活性型CDKの活性値とする。または、標識酵素で標識した該基質蛋白質の場合、該基質蛋白質を標識した標識酵素に、該標識酵素との反応によって光学的に検出可能な物質が生じるような基質を作用させて、生じた生成物の量を光学的に測定し、前記と同様に予め作製した検量線に得られた測定値をあてはめることにより試料中に含まれる活性型CDKの活性値を算出する。ここで、光学的に検出可能な物質とは、蛍光や吸光度等を測定することによってその存在を検出できるような物質をいう。
【0030】
チオリン酸基の硫黄原子に結合可能な標識蛍光物質としては、フルオレセイン、クマリン、エオシン、フェナントロリン、ピレン、ローダミンなどが挙げられる。そのうち、フルオレセインが好ましい。これらの標識蛍光物質によりチオリン酸基の硫黄原子と結合するためには、チオール基と反応する官能基を持つ標識蛍光物質、例えばアルキルハライド、マレイミド、アジリジン部位を有する標識蛍光物質が使用される。
【0031】
チオール基と反応する官能基を持つ標識蛍光物質としては、ヨードアセチル−FITC(フルオレセインイソチオシアネート)、5−(ブロモメチル)フルオレセイン、フルオレセイン−5−マレイミド、5−ヨードアセトアミドフルオレセイン(5−IAF)、6−ヨードアセトアミドフルオレセイン(6−IAF)、4−ブロモメチル−7−メトキシクマリン、エオシン−5−ヨードアセトアミド、エオシン−5−マレイミド、エオシン−5−ヨードアセトアミド、N−(1,10−フェナントロリン−5−イル)ブロモアセトアミド、1−ピレンブチリルクロリド、N−(1−ピレンエチル)ヨードアセトアミド、N−(1−ピレンメチル)ヨードアセトアミド(PMIA アミド)、1−ピレンメチルヨードアセテート(PMIA エステル)、ローダミンレッドC2マレンイミドなどが挙げられる。このうち、ヨードアセチル−FITCが好ましい。
【0032】
また、チオリン酸基の硫黄原子と反応する官能基を有するビオチン、例えばヨードアセチルビオチンと反応させた後に、ビオチンとアビジンの親和性を利用してアビジンに標識蛍光物質が共有結合した分子を反応させて、チオリン酸基の硫黄原子に標識蛍光物質を導入してもよい。
チオリン酸基の硫黄原子に標識酵素を導入する方法としては、ヨードアセチルビオチンを硫黄原子に導入し、その後該ビオチン分子に親和性を持つアビジン分子に酵素が共有結合した分子を反応させることによる方法がある。酵素としては、βガラクトシダーゼ、アルカリホスファターゼ、ペルオキシダーゼが挙げられる。そのうち、ペルオキシダーゼが好ましい。
【0033】
標識された該基質蛋白質の量の測定方法としては、標識蛍光物質からの蛍光量を測定するか、または標識酵素で標識された該基質蛋白質に、該標識酵素との反応によって光学的に検出可能な物質が生じるような基質を作用させて、生じた生成物を光学的に測定する方法がある。
具体的には、標識蛍光物質を用いる場合、標識蛍光物質をある特定の波長で励起させて、蛍光画像解析装置で検出する。照射する光の波長は標識蛍光物質によって異なるが、具体的には、標識蛍光物質が、フルオレセインであるときは488nmの波長を照射して励起させる。
【0034】
標識酵素を用いる場合、標識酵素で標識された該基質蛋白質に、該標識酵素との反応によって蛍光物質が生じるような基質を加えて、該標識酵素との反応を起こさせて蛍光物質を生成させ、その蛍光物質を特定の蛍光波長で励起させて、蛍光を検出する。標識酵素との反応により蛍光物質を生成する物質には、標識酵素がペルオキシダーゼであるときには、蛍光物質を生成するECL−プラスが挙げられる。なお、基質は使用する標識酵素に合わせて適宜選択することができる。
【0035】
標識蛍光物質または反応によって生成した蛍光物質の量を測定し、予め作製した検量線にあてはめて、活性型CDKの活性値が算出される。標識された基質蛋白質の反応液は、該標識された基質蛋白質の標識蛍光物質の蛍光量または、標識酵素との反応によって生じた発光物質の蛍光量が検量線範囲に入る程度まで希釈する必要がある。具体的には、例えば、反応液は、100〜500倍に希釈する。希釈剤としては、TBS(50mM Tris−HCl、pH7.5、150mM NaCl)、水、塩化ナトリウム水溶液等が用いられる。塩化ナトリウム水溶液の場合は、塩化ナトリウムの濃度が100〜500mMの範囲が好ましい。希釈した場合には、活性型CDKの活性を算出する際に希釈倍率も考慮に入れる。得られた活性型CDKの活性値は、調製した試料の全蛋白質量から取り出した所定量の蛋白質中に含まれる量である。
【0036】
予め作製する検量線は、チオール基を導入した既知量の基質蛋白質を用いて作製されるのが望ましいが、その他、標識蛍光物質または標識酵素との反応に対する挙動が、チオール基を導入した基質蛋白質と同様であることが知られているビオチン化アクチン等が代わりに用いられてもよい。その際、活性型CDKの活性値は、ビオチン化アクチン等の量から換算される必要がある。
また、本発明は、本発明の方法により測定したCDK活性の結果により、胃癌、大腸癌、乳癌、肺癌、食道癌、前立腺癌、肝癌、腎臓癌、膀胱癌、皮膚癌、子宮癌、脳腫瘍、骨肉種または骨髄腫瘍のような癌疾患を診断する方法を提供する。
【0037】
【実施例】
方法例1(活性型CDK1の測定の場合;ヒストンH1を基質とし、ペルオキシダーゼ標識を使った例)
第1工程:
0.1w/v%NP40(界面活性剤ノニデットP−40)、50mMのトリス−HCl、pH7.4, 5mM EDTA、50mMのフッ化ナトリウム、1mMのオルトバナジン酸ナトリウムおよび100μl/mlのプロテアーゼ阻害剤カクテール(シグマ、SIGMA社)を含む溶解緩衝液中で、1x107細胞/5mlの溶解緩衝液という条件下にHeLa(子宮頚部癌細胞)細胞を、氷浴中で23G針をつけた5mlのシリンジで10回吸引排出を繰り返し、細胞溶解液を調製した。不溶物を15000rpmで5分間4℃で遠心除去した。上澄み中に含まれる全蛋白質量をDC蛋白質キット(バイオ−ラッド、Bio−Rad社)を用いて、ウシIgGを標準として測定した。
【0038】
第2工程:
1.5ml用量のエッペンドルフチューブに、500μlの溶解緩衝液中に溶解物の全蛋白質量が10μgとなる量を加え、サンプルを調製した。サンプルに、10μlのポリクローナル抗CDK抗体(サンタクルツバイオテクノロジー、Santa Cruz Biotechnology社)を加えた。そのサンプルに、60μlのプロテインAをコートしたセファロースビーズ(最終的には30μlの封入されたビーズ)の1:1(セファロースビーズ:溶解緩衝液)スラリーを加えた。サンプルを、1時間4℃で連続的に回転させてインキュベートした。サンプル中のビーズを1mlの溶解緩衝液で2回洗浄した。そのビーズを、50mMのトリス−HCl、pH7.4,10mMの塩化マグネシウム(MgCl2)、1mMのDTTを含むキナーゼ緩衝液1mlで1度洗浄した。ビーズを15μlのキナーゼ緩衝液中に再懸濁させた。
【0039】
第3工程:
懸濁液に、ヒストンH1溶液(50mMのトリス−HCl,pH7.4中の0.1mg/mlの溶液)を10μl加えた。その懸濁液にATP−γS溶液(10mM水溶液)を10μl加えた。懸濁液を10分間37℃で連続的に振とうしながらインキュベートした。10000rpmで10秒間ビーズを遠心し、沈殿させた。30μlの上澄み液を集めた。上澄み液に、ヨードアセチルビオチンとチオリン酸の結合反応の至適条件がpH8.5であるため、150mMのトリス−HClおよびpH9.2,5mMのEDTAを含む結合用緩衝液25μlを加えた。上澄み液に、40mM PEO−ヨードアセチルビオチン(Pierce社)溶液(20mMのリン酸緩衝液pH6.0)を20μl加えた。上澄み液を90分間暗所室温でインキュベートした。ヨードアセチルビオチンとの反応を、7.5μlのβ−ME(β−メルカプトエタノール)を加えて停止させた。反応液を、TBS(50mMのトリス−HCl,pH7.4,150mM 塩化ナトリウム)で希釈した。
【0040】
第4工程
希釈した反応液の50μlをスロットブロッター(Slot Blotter)を用いてPVDFメンブレン上に添加し吸引した。メンブレンを50mlのTBS−T(0.05w/v%Tween20を含むTBS溶液)で1度洗浄した。メンブレンがアビジン−ペルオキシダーゼと反応しないように、予めメンブレンの疎水性部分をBSAによりブロックする。具体的には、メンブレンをTBS−T中で3w/v%のBSA(ウシ血清アルブミン、Bovine SerumAlbumin)で30分間室温でブロックした。メンブレンをアビジン−ペルオキシダーゼ(Vector社)(TBS−Tで50000倍希釈)で10分間室温で反応させた。メンブレンを50mlのTBS−Tで3回洗浄した。ECL−プラス(Amersham社)をメンブレンに5分間反応させた;溶液の調製は、製造者の指示に従った。メンブレンを200mlの水で洗浄して反応を停止させた。Molecular Imager(Bio−Rad社)で蛍光のバンドを視覚化し、定量した。
【0041】
方法例2(活性型CDK1の測定の場合;ヒストンH1を基質とし、FITC標識を使った例)
上記第4工程において、アビジン−ペルオキシダーゼの代わりにアビジン−FITCを使用し、ECL−プラスを反応させない以外は方法例1と同様に操作した。
【0042】
方法例3(活性型CDK2の測定の場合;ヒストンH1を基質とし、FITC標識を使った例)
第1工程
エッペンドルフチューブ(容量1.5ml)中に10mgから50mgの湿重量を持つ組織を入れ、方法例1の第1工程中に記載の溶解緩衝液を800μl加え、ペッスルで磨り潰した。この際のペッスルは、押し付け力5kgで90度の回転を左右に行う基礎運動を合計10回繰り返した。ガラスウール(重量約0.1g)を充填し、先端に0.45μmポアサイズを持つディスクフィルター(ミリポア社)を装備した注射筒(容量1ml)に、得られた粗可溶化液を通すことより、不溶物及び脂質を取り除いた細胞可溶化液を調製した。上澄み中に含まれる全蛋白質量をDC蛋白質キット(バイオ−ラッド、Bio−Rad社)を用いて、ウシIgGを標準として測定した。
【0043】
第2工程
方法例1の第2工程と同様に操作した。
【0044】
第3工程
懸濁液に、ヒストンH1溶液(50mMトリス−HCl、pH7.4中の0.1mg/mlの溶液)を10μl加えた。その懸濁液にATP−γS溶液(10mM水溶液)を10μl加えた。懸濁液を90分間37℃で連続的に振盪させながらインキュベートした。1000rpmで10秒間ビーズを遠心し、沈殿させ、30μlの上澄み液を集めた。上澄み液18μlに150mMトリス−HCl、pH9.2、5mM EDTAを含む結合緩衝液15μlを加えた。さらに、5mM ヨードアセチルフルオロセイン(Pierce社)溶液(50mMのリン酸緩衝液pH6.0及び50%ジメチルスルフォオキシド)を10μl加えた後、90分間暗所室温でインキュベートした。ヨードアセトアミドフルオロセインの反応を43μlのβ―MEを加えて停止させた。反応液を、TBS(50mMトリス−HCl、pH7.4、150mM塩化ナトリウム)で5倍から10倍に希釈した。
【0045】
第4工程
希釈した反応液の50μlをスロットブロッターを用いてPVDFメンブレン上に添加し吸引した。メンブレンを50mMのTBS−T(0.05%w/v%Tween20を含むTBS溶液)で振盪しながら10分間3回洗浄した。その後、メンブレンを200mlの水で洗浄し、乾燥させた。Molecular Imager(Bio−Rad社)で蛍光のバンドを視覚化し、イメージアナライザーにより数値化した。
【0046】
方法例4(活性型CDK2の測定の場合;ヒストンH1を基質とし、FITC標識を使った例)
第1工程
K562細胞株を用い、方法例1の第1工程を同様に操作した。
第2工程
500μlの溶解緩衝液中、K562細胞可溶化物の全蛋白量が、0、25、50、100および200μg/mlの濃度系列の試料を調製し、5ml容量のエッペンドルフチューブに注入した。それぞれのサンプルに、10μlのポリクロナール抗CDK2抗体(200μg/ml、サンタクルズバイオテクノロジー、Santa Cruz Biotechnology社)を加えた。そのサンプルに、40μlのプロテインAをコートしたセファロースビーズの1:1(セファロースビーズ:溶解緩衝液)スラリーを加えた。サンプルを、1時間4℃で連続的に回転させてインキュベートした。サンプル中のビーズを1mlの溶解緩衝液で2回洗浄した。そのビーズを、100mMトリス−HCl、pH7.4、100mM 塩化ナトリウムで1回洗浄し、さらに、100mMトリス−HCl、pH7.4で1回洗浄した。
【0047】
第3工程
ビーズに、ヒストンH1を含むリン酸化反応溶液(40mM トリス−HCl、pH7.4、18mM塩化マグネシウム、2mM ATP−γS、6μg/test ヒストンH1)を50μl加えた。懸濁液を90分間37℃で連続的に振盪させながらインキュベートした。1000rpmで10秒間ビーズを遠心し、沈殿させ、36μlの上澄み液を集めた。上澄み液36μlに150mMトリス−HCl、pH9.2、5mM EDTAを含む結合緩衝液30μlを加えた。さらに、35mM PEO−ヨードアセチルビオチン(Pierce社)溶液(50mMのリン酸緩衝液pH6.0)を20μl加えた後、90分間暗所室温でインキュベートした。その後、等量(86μl)の0.5% β―MEを加え、反応を停止した。反応液を、TBS(50mMトリス−HCl、pH7.4、150mM塩化ナトリウムで5倍から10倍に希釈した。
【0048】
第4工程
希釈した反応液の50μlをスロットブロッターを用いてPVDFメンブレン上に添加し吸引した。得られたメンブレンを1w/v%のBSAで30分間ブロックし、TBSで5分間洗浄した。次にアビジン−FITC(Pierce社)(TBSで500倍希釈)溶液中で37℃、60分間反応した。反応後、メンブレンをTBSで3回、水で1回洗浄し、乾燥させた。Molecular Imager(Bio−Rad社)で蛍光のバンドを視覚化し、測定した。
【0049】
製造例1(Rb(網膜芽細胞腫蛋白質)のシステイン残基をアラニン残基で置換した蛋白質をコードする組換えベクターおよびそのベクターを発現したタンパクの製造)
(1)発現プラスミドの構築
まず、ヒトRbをコードするcDNAをヒト胎盤のcDNAライブラリー(ストラタジーン(STRATAGENE)社)よりクローニングした。
Cys853をAlaに単一変異させた、ヒトのRbのC−末端部分(Leu769からLys928)を発現するプラスミドを構築するためには、2工程のPCRを、ヒトRb cDNAの全長を含むpJ3Ωベクターで、オリゴヌクレオチドプライマーを用いて行った。
【0050】
1.第1のPCR
まず、ヒトRbタンパクのLeu769からAsp921に相当する領域を増幅し、同時に、Cys853をAlaに変換するために、4種類のプライマーを用いて2段階PCRを行った。用いたプライマーは、両端のプライマーRb−1(5'−ACA GGA TCC TTG CAG TAT GCT TCC−3'(配列番号1)、BamHI部位(下線部)を導入)およびRb−7(5'−GCG AAT TCA ATC CAT GCT ATC ATT−3'(配列番号4)、EcoRI部位(下線部)を導入)に加えて、853位をAlaコドン(AGC)に変換したプライマーRb−2(5'−GCT GTT AGCTAC CAT CTG ATT TAT−3'(配列番号2)、点変異コドンを下線で示した)とその相補的プライマーRb−3 (5'−ATG GTAGCT AAC AGC GAC CGT GTG−3'(配列番号3))である。ヒトRb全長cDNAを鋳型として、プライマーセットRb−1/Rb−2とプライマーセットRb−3/Rb−7によりそれぞれ以下の反応条件下にPCRを行ってPCRフラグメント1および2をそれぞれ得た。PCRフラグメント1および2は、プライマーRb−2とRb−3に対応する領域で相補的である。
【0051】
反応液組成 ( ヌクレオチド 2305-2565 に相当するフラグメント1用 )
pJ3 W-Rb 250 ng
Taq DNA ポリメラーゼ (TaKaRa Ex Taq, 宝酒造) 0.03 U
TaKaRa Ex Taq 用緩衝液(宝酒造)
MgCl2 (宝酒造) 2 mM
dNTPs (宝酒造) 250 mM
プライマー Rb-1 1 mM
プライマー Rb-2 1 mM
合計 50mL
【0052】
反応液組成 ( ヌクレオチド 2551-2763 に相当するフラグメント2用 )
pJ3 W-Rb 250 ng
Taq DNA ポリメラーゼ (TaKaRa Ex Taq, 宝酒造) 0.03 U
TaKaRa Ex Taq用緩衝液 (宝酒造)
MgCl2 (宝酒造) 2 mM
dNTPs (宝酒造) 250 mM
プライマー Rb-3 1 mM
プライマー Rb-7 1 mM
合計 50mL
【0053】
反応温度
95℃, 5 分、
94℃, 30秒、55℃, 1分、72℃, 1分(15 サイクル)、
72℃, 2分。
【0054】
2.突出部の処理
PCR産物のA−3’突出部(overhang)を以下の反応条件を用いてクレノウ(Klenow)で処理した。
反応液組成
PCRフラグメント1および2
クレノウフラグメント(宝酒造) 0.07 U
クレノウフラグメント用緩衝液(宝酒造)
dNTPs (宝酒造) 250 mM
反応温度
37℃, 1時間
【0055】
3.第2のPCR
それらのPCR産物の混合物を鋳型として、両端のプライマーセットRb−1/Rb−7により以下の反応条件下にPCRを行い、Cys853Alaを持つLeu769からAsp921に相当する470bpのDNA断片を増幅した。
反応液組成
クレノウ処理されたPCR フラグメント1および2
Taq DNA ポリメラーゼ(TaKaRa Ex Taq, 宝酒造) 0.03 U
TaKaRa Ex Taq用緩衝液 (宝酒造)
MgCl2 (宝酒造) 2 mM
dNTPs (宝酒造) 250 mM
プライマーRb-1 1 mM
プライマーRb-7 1 mM
合計 50 mL
反応温度
95℃, 5分、
94℃, 30秒、55℃, 1分、72℃, 1分(15サイクル)、
72℃, 2分。
【0056】
4.pMelBacAへのクローニング
N末端に分泌シグナルを付加したRbタンパクを発現するために、前工程3.で増幅された470bpのDNAフラグメントをBamHIおよびEcoRI消化した後、pMelBacA(Invitrogen社)のBamHI部位とEcoRI部位に挿入した。得られたプラスミドを、pMelBacA−Rbとした。
【0057】
5.PCR
得られたプラスミドを鋳型として、プライマーRb−9(5'−GCG AAT TCA TGA AAT TCT TAG TCA−3'(配列番号5)、EcoRI部位(下線部)を導入)とRb−5(5'−GTT CTC GAGTCA ATC CAT GCT ATC ATT−3'(配列番号6)、XhoI部位(下線部)を導入)を用いて以下の反応条件下にPCRを行い、分泌シグナルを付加した540bpDNA断片を増幅した。
反応液組成
pMelBacA-Rb 250 ng
Taq DNA ポリメラーゼ(TaKaRa Ex Taq, 宝酒造) 0.03 U
TaKaRa Ex Taq用緩衝液 (宝酒造)
MgCl2 (宝酒造) 2 mM
dNTPs (宝酒造) 250 mM
プライマーRb-9 1 mM
プライマーRb-5 1 mM
合計 50 mL
反応温度
94℃, 5分、
94℃, 30 秒、55℃, 1分、72℃, 1分(25 サイクル)、
72℃, 2分。
【0058】
6.pFastBac1へのクローニング
前工程5.で増幅された、分泌シグナルを含む540bpのDNAフラグメントを、EcoRIおよびXhoI消化した後、pFastBac1(Lifetech)のEcoRI部位とXhoI部位に挿入した。
【0059】
(2)Bac-To-Bac Baculovirus 発現システム(Lifetech社)による組み換えウイルスの単離
添付プロトコールに従い、前工程6で得られた発現プラスミドを基に、組み換えウイルスを単離した。
【0060】
(3)発現
前工程(2)で調製した組み換えウイルス液を、MOI=10の条件で昆虫細胞 (High Five(登録商標) cell, Invitrogen社)に感染させ、Cys853Alaを含むLeu769からAsp921に相当する領域を発現させた。発現タンパクが培地(EX−CELL405,JRH Biosciences社)に分泌されることを、抗ヒトRbポリクローナル抗体[Rb(C−15),Santa Cruz社]を用いたウエスタン・ブロット法により確認し、感染5日後に培地を収穫した。
【0061】
(4)発現タンパクの精製
全工程(3)で得たRb組み換えタンパクを含む培地を、PD−10カラム(Pharmacia社)により50mM MES緩衝液(pH6.0)に緩衝液交換した後、0〜1M NaClの直線勾配を用いるCM−5pwカラム(TOSOH社)によりタンパクを溶出した。約0.3M NaClでRb組み換えタンパクが溶出されることを、抗ヒトRbポリクローナル抗体[Rb(C−15),Santa Cruz社]を用いたウエスタン・ブロット法により確認した。
得られた蛋白質は、CDK4またはCDK6の測定を行う場合に、方法1において第3工程の基質蛋白質であるヒストンH1の代わりに用いる。
【0062】
方法例5(活性型CDK4の測定の場合;製造例1で製造した組換えヒトRbを基質とし、FITC標識を使った例)
第1工程
方法例3の第1工程と同様に操作した。
第2工程
1.5ml容量のエッペンドルフチューブに、500μlの溶解緩衝液中にK562細胞可溶化物の全蛋白量が0、50、100、125、250μgとなる量を加え、サンプルを調製した。それぞれのサンプルに、10μlのポリクロナール抗CDK4抗体(200μg/ml、サンタクルズバイオテクノロジー、Santa Cruz Biotechnology社)を加えた。そのサンプルに、40μlのプロテインAをコートしたセファロースビーズの1:1(セファロースビーズ:溶解緩衝液)スラリーを加えた。サンプルを、1時間4℃で連続的に回転させてインキュベートした。サンプル中のビーズを1mlの溶解緩衝液で2回洗浄した。そのビーズを、100mMトリス−HCl、pH7.4、100mM 塩化ナトリウムで1回洗浄し、さらに、100mMトリス−HCl、pH7.4で1回洗浄した。
【0063】
第3工程
ビーズに、製造例1で製造した組換えヒトRb蛋白質を含むリン酸化反応溶液(40mM トリス−HCl、pH7.4、200mM塩化マグネシウム、3.3mM ATP−γS、20μl組換えヒトRb蛋白質溶液:50mM MES緩衝液、pH6.0)を50μl加えた。懸濁液を90分間37℃で連続的に振盪させながらインキュベートした。1000rpmで10秒間ビーズを遠心し、沈殿させ、36μlの上澄み液を集めた。上澄み液36μlに150mMトリス−HCl、pH9.2、5mM EDTAを含む結合緩衝液30μlを加えた。
さらに、50mM PEO−ヨードアセチルビオチン(Pierce社)溶液(50mMのリン酸緩衝液pH6.0)を20μl加えた後、90分間暗所室温でインキュベートした。その後、等量(86μl)のSDS−サンプルローディング緩衝液(0.125Mトリス−HCl、pH6.8、4%SDS,10%β―ME,25%グリセリン、ブロモフェノールブルー)を加え、5分間100℃で処理した。
【0064】
第4工程
第3工程で準備したサンプルを20μl/レーンの条件でSDS−PAGEを行った(第一化学薬品、プレキャストゲル、4−20%グラジエント、10mm×10mm)。SDS−PAGEの条件は、第一化学薬品の指示に従った(60mA、40分)。SDS−PAGE後、ゲル内に展開された蛋白質は電気的にPVDFメンブレンに転写された(10V、30分、Western Blot法)。得られたメンブレンを4w/v%のBSAで30分間ブロックし、TBS−Tで5分間洗浄した。次にアビジンFITC(Pierce社)(TBS−Tで1000倍希釈)溶液中で37℃、30分間反応した。反応後、メンブレンをTBS−Tで2回、水で1回洗浄し、乾燥させた。Molecular Imager(Bio−Rad社)で蛍光のバンドを視覚化し、測定した。
【0065】
活性型CDK1活性の測定
1.ビオチン化アクチン(BA)を標準物質とした検量線作成
BA濃度0〜1000ng/mlの濃度系列の試料を調製し、各50μlをスロットに注入する。スロット中の試料は方法例1の第4工程の処理を行う。BAはペルオキシダーゼで標識されているので第4工程においてECL−プラス(蛍光基質)から蛍光物質を生成する。各BA濃度の試料の蛍光物質の蛍光量を測定し、その蛍光量をカウント(CNT)値で表示する。BA濃度を横軸に、CNT値を縦軸にとり、データをプロットし、方法例1の反応条件下での検量線を作成する。得られた検量線は図1に示す。
【0066】
同様に、方法例2についても、スロット中の試料に方法例1の第4工程の処理を行い、上述のようにして方法例2の反応条件下での検量線を作成する。得られた検量線は図2に示す。
【0067】
2.活性型CDK1の活性値の算出
方法例1および2のそれぞれについて、抗CDK抗体を添加しない以外は方法例1に従って処理した試料をブランク試料として調製する。そのブランク試料の蛍光量を測定し、得られたCNT値をそれぞれの方法例に対応する上記で作成した検量線を用いてBA濃度に換算する。得られたBA濃度を以下の式に代入して活性型CDK1の活性値を算出する。
式1:{(試料のBA換算濃度)−(ブランク試料のBA換算濃度)}×(試料の希釈倍率)=(活性型CDK1の活性値)
【0068】
なお、作成した検量線がシグモイド曲線ではない、直線であるとき(例えば、方法例2)は、(試料のCNT値)−(ブランク試料のCNT値)を算出し、その差を検量線を用いてBA濃度に換算し、得られたBA濃度を以下の式に代入して活性型CDKの活性値を算出してもよい。
式2:(試料とブランク試料のCNT値の差のBA換算濃度)×(試料の希釈倍率)=(活性型CDK1の活性値)
【0069】
実施例1(方法例1に従い処理した試料の活性型CDK1の活性値の測定)
方法例1に従い抗CDK1抗体を用い希釈倍率450倍で調製した試料の蛍光量を、前述のようにして測定した。試料1は増殖期にあるHeLa細胞を、試料2は増殖停止期にあるHeLa細胞を用いて調製した。検量線が図1に示されたようにシグモイド曲線であったので式1を用いて、すなわちブランク試料を上述のように作成し、その蛍光量を測定して、先に測定した試料の蛍光量から活性型CDK1の活性値を算出した。その結果を表2に示す。
【0070】
【表2】
Figure 0004036655
【0071】
実施例2(方法例2に従い処理した試料の活性型CDK1の活性値測定)
方法例2に従い抗CDK1抗体を用い希釈倍率100倍で調製した試料の蛍光量を、前述のようにして測定した。検量線は図2に示されたように直線であったので、式1または式2のいずれを用いても、活性型CDK1の量は算出可能であることが判明した。
【0072】
活性型CDK2活性の測定
実施例3(方法例3に従い処理した試料の活性型CDK2の活性測定)
試料3は、方法例3に従い抗CDK2抗体を用いて調製した。対照として、試料4を抗CDK2抗体を用いずに方法例3に従い調製し、試料5を第2工程中の抗CDK2抗体の代わりに非特異的IgG抗体を添加する以外は方法3に従い調製した。試料3〜5の蛍光バンドを図3に示す。また、それらのバンドの蛍光量は、Molecular Imager(Bio−Rad社)で数値化した。得られた蛍光量は、表3に示す。
【0073】
【表3】
Figure 0004036655
【0074】
上記の結果から、非特異的IgG抗体を抗CDK2抗体の代わりに添加した場合(試料5)に非特異的反応が見られず、従って活性型CDK2の活性値が本発明の方法により測定可能であることが示された。
【0075】
実施例4(方法例4に従い処理した試料の活性型CDK2の活性値測定)
1.K562細胞株(前骨髄性白血病)を標準物質とした検量線作成
方法例4に従い作成した0〜200μg/mlの濃度系列の試料から得られた蛍光量を測定し、その蛍光量をCNT値で表示した。K562細胞株の濃度を横軸に、CNT値を縦軸にとり、データをプロットし、検量線を作成した。得られた検量線は、図4に示す。
【0076】
2.活性型CDK2の活性値の算出
K562細胞可溶化物の試料の代わりに未知試料を用いる以外は方法例4に従って、検体として調製する。その検体の蛍光量を測定し、得られたCNT値を上記で作成した検量線を用いて、K562細胞可溶化物のCDK2活性値に換算して活性値を算出する。
【0077】
活性型CDK4活性の測定
実施例5(方法例5に従い処理した試料の活性型CDK4の活性測定)
試料6は、方法例5に従い抗CDK4抗体を用いて調製した。対照として、試料7を抗CDK4抗体を用いない以外は方法例5に従い調製した。試料6および7の蛍光バンドを図5に示す。
【0078】
CDK特異的阻害剤を用いて活性型CDK2測定値がCDK2の活性に特異的であることを証明する例
実施例6(活性型CDK2測定の場合)
第1工程:
K562細胞株(前骨髄性白血病)を用い、方法例1の第1工程を同様に操作した。
第2工程:
1.5ml容量のエッペンドルフチューブに、500μlの溶解緩衝液中にK562細胞可溶化物の全蛋白量が250μgとなる量を加え、サンプルを調整した。サンプルに、10μlのポリクロナール抗CDK2抗体(200μg/ml、サンタクルズバイオテクノロジー、Santa Cruz Biotechnology社)を加えた。そのサンプルに、40μlのプロテインAをコートしたセファロースビーズの1:1(セファロースビーズ:溶解緩衝液)スラリーを加えた。サンプルを、1時間4℃で連続的に回転させてインキュベートした。サンプル中のビーズを1mlの溶解緩衝液で2回洗浄した。そのビーズを、100mMトリス−HCl、pH7.4、100mM 塩化ナトリウムで1回洗浄し、さらに、100mMトリス−HCl、pH7.4で1回洗浄した。
【0079】
第3工程
CDK阻害剤として、CDK1および2活性の阻害剤であるブチロラクトン(Butyrolactone I、カールバイオキム、Calbiochem社)ならびにCDK2の阻害を含む広い阻害スペクトラムを持つスタウロスポリン(Staurosporine、カールバイオキム、Calbiochem社)を用いた。ビーズに、ヒストンH1及びCDK阻害剤(終濃度0,1、10、30,100μMのブチロラクトン又は終濃度0,0.3、1、10,30μMのスタウロスポリン)を含むリン酸化反応溶液(40mM トリス−HCl、pH7.4、18mM塩化マグネシウム、2mM ATP−γS、6μg/テストのヒストンH1)を50μl加えた。懸濁液を90分間37℃で連続的に振盪させながらインキュベートした。1000rpmで10秒間ビーズを遠心し、沈殿させ、36μlの上澄み液を集めた。上澄み液36μlに150mMトリス−HCl、pH9.2、5mM EDTAを含む結合緩衝液30μlを加えた。さらに、50mM PEO−ヨードアセチルビオチン(Pierce社)溶液(50mMのリン酸緩衝液pH6.0)を20μl加えた後、90分間暗所室温でインキュベートした。その後、等量(86μl)のSDS−サンプルローディング緩衝液(0.125Mトリス−HCl、pH6.8、4% SDS, 10% β―ME, 25%グリセリン、ブロモフェノールブルー)を加え、5分間100℃で処理した。
【0080】
第4工程
第3工程で準備したサンプルを20μl/レーンの条件でSDS−PAGEを行った(第一化学薬品、プレキャストゲル、4−20%グラジエント、10mmx 10mm)。SDS−PAGEの条件は、第一化学薬品の指示に従った(60mA、40分)。SDS−PAGE後、ゲル内に展開された蛋白質は電気的にPVDFメンブレンに転写された(10V, 30分、Western Blot法)。得られたメンブレンを4w/v%のBSAで30分間ブロックし、TBS−Tで5分間洗浄した。次にアビジンFITC(Pierce社)(TBS−Tで1000倍希釈)溶液中で37℃、30分間反応した。反応後、メンブレンをTBS−Tで2回、H2Oで1回洗浄し、乾燥させた。MolecularImager(Bio−Rad社)で蛍光のバンドを視覚化し、測定した。
【0081】
得られた視覚化された蛍光バンドをイメージアナライザーにより数値化し、グラフ化したものを図6に示す。noneはCDK阻害剤を添加しないで上記工程を実施したもの、DMSOはCDK阻害剤の溶剤(ジメチルスルホキシド)のみを添加して上記工程を実施したもの、IP(−)はCDK2抗体を入れずに上記工程を実施したものである。図6に示すように、CDK2の活性は、両阻害剤の分量依存的に阻害された。この結果より、測定された活性値はCDK2に特異的な値であることが証明された。
【0082】
【発明の効果】
上記から示されたように、本発明の方法は、放射性物質を用いずに、細胞周期調節因子の活性を鋭敏に高感度に測定することができる。
【配列表】
Figure 0004036655
Figure 0004036655
Figure 0004036655
Figure 0004036655

【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1において得られるビオチン化アクチンの量(ng/スロット)と、蛍光量(カウント)との関係を示す検量線である。
【図2】実施例2において得られるビオチン化アクチンの量(ng/スロット)と、蛍光量(カウント)との関係を示す検量線である。
【図3】実施例3において得られる蛍光バンドを示す図である。
【図4】活性型CDK2の測定のための検量線である。
【図5】実施例5において得られる蛍光バンドを示す図である。
【図6】実施例6において得られるグラフである。

Claims (10)

  1. 生体細胞からサイクリン依存性キナーゼ/サイクリン複合体を測定するための試料を調製し、
    該試料の存在下、サイクリン依存性キナーゼの基質となる基質蛋白質とアデノシン5'−O−(3−チオトリホスフェート)(ATP−γS)を反応させて、該基質蛋白質のセリンまたはスレオニン残基にモノチオリン酸基を導入し、
    導入されたモノチオリン酸基の硫黄原子に標識蛍光物質または標識酵素を結合させることによって該基質蛋白質を標識し、
    該基質蛋白質を標識した標識蛍光物質からの蛍光量を測定するか、または該基質蛋白質を標識した標識酵素に、該標識酵素との反応によって光学的に検出可能な物質が生じるような基質を作用させて、生じた生成物の量を光学的に測定し、
    予め作製した検量線をもとにサイクリン依存性キナーゼの活性値を蛍光量または生じた生成物の量から算出することからなる細胞周期調節因子の活性の測定法。
  2. 該複合体のサイクリン依存性キナーゼが、CDK1、CDK2、CDK4およびCDK6から選択される請求項1に記載の測定法。
  3. 該標識蛍光物質が、蛍光色素である請求項1に記載の測定法。
  4. 該蛍光色素が、FITCである請求項3に記載の測定法。
  5. 該標識酵素が、ペルオキシダーゼである請求項1に記載の測定法。
  6. 該複合体のサイクリン依存性キナーゼがCDK1またはCDK2であり、該基質蛋白質がヒストンH1である請求項1〜5のいずれか一つに記載の測定法。
  7. 該複合体のサイクリン依存性キナーゼがCDK4またはCDK6であり、該基質蛋白質が、システイン残基をアラニンに置換したRbである請求項1〜5のいずれか一つに記載の測定法。
  8. 前記生体細胞が、癌の患者から採取された組織サンプルに含まれる細胞である請求項1〜7のいずれか一つに記載の測定法。
  9. 癌が、胃癌、大腸癌、乳癌、肺癌、食道癌、前立腺癌、肝癌、腎臓癌、膀胱癌、皮膚癌、子宮癌、脳腫瘍、骨肉種または骨髄腫瘍である請求項8記載の測定法
  10. 請求項1〜9のいずれか一つに記載の測定法に使用される、生体細胞を可溶化するための細胞可溶化用液と、サイクリン依存性キナーゼに対する抗体と、サイクリン依存性キナーゼの基質と、ATP−γSと、モノチオリン酸基の硫黄原子に結合可能な標識蛍光物質または標識酵素との組み合わせからなる試薬。
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