JP2007074975A - 組織性質判定装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】 癌の悪性度の判断、または、精度の高い抗癌剤治療の有効性の予測を行うために有用な、組織の性質に関する情報を取得することが可能な組織性質判定装置を提供する。
【解決手段】 生体から採取した組織の性質を判定する組織性質判定装置。前記組織から調製した試料に含まれる第1サイクリン依存性キナーゼの活性を反映する第1データを取得する第1データ取得手段と、前記第1サイクリン依存性キナーゼの発現量を反映する第2データを取得する第2データ取得手段と、前記第1データ及び第2データより得られる第1の値に基づいて組織の性質に関する情報を取得する解析手段とを備えている。
【選択図】 図1

Description

本発明は組織性質判定装置に関する。さらに詳しくは、例えばヒトの組織の種々の性質を的確に判定することができ、癌の悪性度の判断及び/又は抗癌剤治療の有効性予測方法に好適に用いることができる組織性質判定装置に関する。
従来より、癌診断として、血清中の腫瘍マーカーを調べる血清診断や、生検(バイオプシイ)による組織診、細胞診が知られているが、これらは信頼性が低いか、又は個々人の判断や医療機関の判定にバラツキがあることから、近年、診断医によるバラツキが少ない癌の画一的診断方法として、生体で発現されるタンパク質に基づく分子診断が検討されている。
例えば、特許文献1では、試料のCDK1及びCDK4の発現量、さらには必要に応じてp53の突然変異状態を指標とする診断方法が提案されている。また、特許文献2では、CDK4、CDK6、サイクリン依存性キナーゼインヒビター(CDKインヒビター)の過剰発現を指標とする癌及び前癌状態の診断方法が提案されている。さらに、特許文献3には、CDKの活性値を蛍光を用いて測定する方法および、その方法を用いて癌を診断する方法が提案されている。
また、癌の治療方法の一つとして、抗癌剤治療方法があるが、その有効性を予測する方法として、例えば特許文献4には、培養癌細胞株の抗癌剤感受性と該細胞のインタクトな状態における遺伝子発現プロファイルに基づき抗癌剤適合性マーカー遺伝子を特定し、特定した抗癌剤適合性マーカー遺伝子と該遺伝子を利用した未知検体の抗癌剤適合性予測方法が開示されている。
特表2002−504683号公報 特表2002−519681号公報 特開2002−335997号公報 特開2003−304884号公報
前記特許文献1から3には、試験対象物が癌またはその前段階であるか否かを判断することなどが記載されているが、癌の悪性度の判断、すなわち、予後の判断については全く記載されていない。
また前記特許文献4には、抗癌剤治療の有効性の予測の方法が記載されているが、この方法による抗癌剤治療の有効性の予測の精度は高いものとは言えない。
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、癌の悪性度の判断、または、精度の高い抗癌剤治療の有効性の予測を行うために有用な、組織の性質に関する情報を取得することが可能な組織性質判定装置を提供することを目的としている。
本発明の第1の観点による組織性質判定装置は、生体から採取した組織の性質を判定する組織性質判定装置であって、
前記組織から調製した試料に含まれる第1サイクリン依存性キナーゼの活性を反映する第1データを取得する第1データ取得手段と、
前記第1サイクリン依存性キナーゼの発現量を反映する第2データを取得する第2データ取得手段と、
前記第1データ及び第2データより得られる第1の値に基づいて組織の性質に関する情報を取得する解析手段と
を備えることを特徴としている。
本発明の第1の観点による組織性質判定装置では、癌の悪性度の判断、または、精度の高い抗癌剤治療の有効性の予測を行うために有用な、組織の性質に関する情報を取得することが可能となる。
前記組織に含まれる第2サイクリン依存性キナーゼの活性を反映する第3データを取得する第3データ取得手段と、
前記第2サイクリン依存性キナーゼの発現量を反映する第4データを取得する第4データ取得手段と
をさらに備え、
前記解析手段が、前記第1の値を取得する第1値取得手段と、第3データ及び第4データに基づいて第2の値を取得する第2値取得手段とを備え、前記第1の値と第2の値に基づいて組織の性質に関する情報を取得するように構成することができる。
前記解析手段が、前記第1の値と前記第2の値との比を第1の閾値と比較することによって組織の性質に関する情報を取得するように構成することができる。
前記解析手段が、前記第1データから第1サイクリン依存性キナーゼの活性値を取得する第1活性値取得手段と、前記第2データから第1サイクリン依存性キナーゼの発現量を取得する第1発現量取得手段と、前記第3データから第2サイクリン依存性キナーゼの活性値を取得する第2活性値取得手段と、前記第4データから第2サイクリン依存性キナーゼの発現量を取得する第2発現量取得手段とを備えており、第1サイクリン依存性キナーゼの活性値と、第1サイクリン依存性キナーゼの発現量とに基づいて前記第1の値を取得するとともに、第2サイクリン依存性キナーゼの活性値と、第2サイクリン依存性キナーゼの発現量とに基づいて前記第2の値を取得するように構成することができる。
第1データを第1サイクリン依存性キナーゼの活性値に変換するための第1変換データと、第2データを第1サイクリン依存性キナーゼの発現量に変換するための第2変換データと、第3データを第2サイクリン依存性キナーゼの活性値に変換するための第3変換データと、第4データを第2サイクリン依存性キナーゼの発現量に変換するための第4変換データとを記憶する変換データ記憶手段をさらに備え、
前記第1活性値取得手段が、前記第1変換データに基づいて第1データから第1サイクリン依存性キナーゼの活性値を取得し、
前記第1発現量取得手段が、前記第2変換データに基づいて第2データから第1サイクリン依存性キナーゼの発現量を取得し、
前記第2活性値取得手段が、前記第3変換データに基づいて第3データから第2サイクリン依存性キナーゼの活性値を取得し、
前記第2発現量取得手段が、前記第4変換データに基づいて第4データから第2サイクリン依存性キナーゼの発現量を取得するように構成することができる。
前記解析手段が、第1サイクリン依存性キナーゼの活性値と、第1サイクリン依存性キナーゼの発現量との比を前記第1の値として取得するとともに、第2サイクリン依存性キナーゼの活性値と、第2サイクリン依存性キナーゼの発現量との比を前記第2の値として取得するように構成することができる。
前記第1サイクリン依存性キナーゼをCDK1とし、前記第2サイクリン依存性キナーゼをCDK2とすることができる。
前記組織の性質を、組織に含まれる細胞の増殖能又は悪性度とすることができる。
前記細胞の増殖能又は悪性度に関する情報を、治療方法の判定に用いられる情報とすることができる。
前記解析手段が、前記第1の値を第2の閾値と比較することによって組織の性質に関する情報を取得するように構成することができる。
前記解析手段が、前記第1データから第1サイクリン依存性キナーゼの活性値を取得する第1活性値取得手段と、前記第2データから第1サイクリン依存性キナーゼの発現量を取得する第1発現量取得手段とを備えており、第1サイクリン依存性キナーゼの活性値と、第1サイクリン依存性キナーゼの発現量とに基づいて前記第1の値を取得するように構成することができる。
第1データを第1サイクリン依存性キナーゼの活性値に変換するための第1変換データと、第2データを第1サイクリン依存性キナーゼの発現量に変換するための第2変換データとを記憶する変換データ記憶手段をさらに備え、
前記第1活性値取得手段が、前記第1変換データに基づいて第1データから第1サイクリン依存性キナーゼの活性値を取得し、
前記第1発現量取得手段が、前記第2変換データに基づいて第2データから第1サイクリン依存性キナーゼの発現量を取得するように構成することができる。
前記解析手段が、第1サイクリン依存性キナーゼの活性値と、第1サイクリン依存性キナーゼの発現量との比を前記第1の値として取得するように構成することができる。
CDKインヒビターの発現量を反映する第5データを取得する第5データ取得手段をさらに備え、
前記解析手段が、前記第1の値と、前記第5データに基づいて得られる第3の値とに基づいて、組織の性質に関する情報を取得するように構成することができる。
前記解析手段が、前記第5データからCDKインヒビターの発現量を取得する第3発現量取得手段を備え、前記第1の値と、前記CDKインヒビターの発現量とに基づいて組織の性質に関する取得を取得するように構成することができる。
前記解析手段が、前記第1の値を第2の閾値と比較するとともに、前記CDKインヒビターの発現量を第3の閾値と比較することによって細胞の性質に関する情報を取得するように構成することができる。
前記組織の性質を、刺激物質に対する感受性とすることができる。
前記刺激物質に対する感受性の情報を、抗癌剤の使用の判定に用いられる情報とすることができる。
所定の基質を含む基質溶液と、前記組織から調製した試料とを接触させる第1接触手段をさらに備えており、
前記第1データ取得手段が、前記基質溶液が試料に含まれる第1サイクリン依存性キナーゼと接触することによって生成される物質に付加された第1標識を検出することによって前記第1データを取得するように構成することができる。
第1サイクリン依存性キナーゼの抗体含む抗体溶液と、前記試料とを接触させる第2接触手段をさらに備え、
前記第2データ取得手段が、前記抗体に付加された第2標識を検出することによって前記第2データを取得するように構成することができる。
また、本発明の第2の観点による組織性質判定装置は、複数の動作モードで動作可能であり、組織の性質を判定する組織性質判定装置であって、
サイクリン依存性キナーゼの活性又は発現量を反映する複数のデータを取得するデータ取得手段と、
このデータ取得手段によって取得される複数のデータに基づいて組織に含まれる細胞の増殖能又は悪性度に関する情報を取得する第1解析手段と、
前記データ取得手段によって取得される複数のデータに基づいて組織の刺激物質に対する感受性に関する情報を取得する第2解析手段と、
前記第1解析手段又は第2解析手段を選択し、選択した解析手段を動作させるモード選択手段と
を備えることを特徴としている。
本発明の第2の観点による組織性質判定装置では、動作モードを選択することにより、組織に含まれる細胞の増殖能又は悪性度に関する情報および組織の刺激物質に対する感受性に関する情報を選択的に取得することができるので、癌の状態に合わせた動作モードを選択することによって、癌患者の治療方法の判定に有用な情報を効率よく取得することができる。
前記複数のデータは、サイクリン依存性キナーゼの活性を反映する複数の第1データと、当該サイクリン依存性キナーゼの発現量を反映する複数の第2データとを含むことができる。
前記複数の第1データが、第1サイクリン依存性キナーゼの活性を反映する第3データと、当該第1サイクリン依存性キナーゼの発現量を反映する第4データとを含み、
前記複数の第2データが、第2サイクリン依存性キナーゼの活性を反映する第5データと、当該第2サイクリン依存性キナーゼの発現量を反映する第6データとを含み、
前記第1解析手段が、前記第3、第4、第5及び第6データに基づいて、細胞の増殖能又は悪性度に関する情報を取得するように構成することができる。
さらに、本発明の第3の観点による組織性質判定装置は、組織の性質を判定する組織性質判定装置であって、
前記組織から調製した試料に含まれる第1サイクリン依存性キナーゼの活性を反映する第1データを取得する第1データ取得手段と、
前記試料に含まれる第1サイクリン依存性キナーゼの発現量を反映する第2データを取得する第2データ取得手段と
前記第1データ取得手段による第1データの取得のために組織に所定の処理を施す第1試料処理手段と、
前記第2データ取得手段による第2データの取得のために組織に所定の処理を施す第2試料処理手段と、
前記第1データ及び第2データに基づいて組織の性質に関する情報を取得する解析手段と、
第1試料処理手段による処理と、第2試料処理手段による処理とが並行して行われるように、当該第1試料処理手段及び第2試料処理手段の動作を制御する制御手段と
を備えることを特徴としている。
本発明の第3の観点による組織性質判定装置では、制御手段が、第1試料処理手段による処理と、第2試料処理手段による処理とが並行して行われるように、当該第1試料処理手段及び第2試料処理手段の動作を制御するので、組織の性質に関する情報が得られるまでの時間を短縮することができる。
本発明の組織性質判定装置によれば、癌の悪性度の判断、または、精度の高い抗癌剤治療の有効性の予測を行うために有用な、組織の性質に関する情報を取得することが可能となる。
以下、添付図面を参照しつつ、本発明の組織性質判定装置(以下、単に判定装置ともいう)の実施の形態を詳細に説明する。
本実施の形態の判定装置は、CDKの発現量や活性値を測定し、得られた測定値に基づいて癌の悪性度(再発リスクの高さ)の判定や、抗癌剤の有効性(感受性)の判定を行うのに好適に用いることができるものであるが、当該判定装置の説明に先立って、まず、[1]哺乳動物組織(癌細胞を含む組織)の性質の判定方法、及び[2]抗癌剤治療の有効性予測方法(組織の、刺激物質に対する感受性の判定方法)について説明をする。
[1]哺乳動物組織の性質の判定方法
哺乳動物組織の性質を判定する判定方法は、哺乳動物組織の2種以上のサイクリン依存性キナーゼの発現量及び活性値を測定し、第1のサイクリン依存性キナーゼの活性値と発現量との比及び第2のサイクリン依存性キナーゼの活性値と発現量との比を含むCDKプロファイルに基づいて、当該哺乳動物組織の性質を判定するものである。腫瘍細胞を含む組織にかかる判定方法を適用することにより、腫瘍細胞を含む組織の性質、癌の悪性度を診断することができる。なお、CDKプロファイルとは、ある組織が有する少なくとも1種類のCDKの活性値と発現量との比(例えば比活性)及び/又は複数のCDKの活性値、発現量より計算される数値(例えば、第1CDKの活性値と発現量との比(A1)と、第2CDKの活性値と発現量との比(A2)との比(例えば、A1/A2又はA2/A1)など)を含む情報のことである。
前記判定方法が対象とする哺乳動物は特に限定されないが、ヒト、特に臨床状態、より具体的には癌についての状態の判定が求められているヒトに有用である。
前記判定方法が対象とする組織は、哺乳動物の生体組織、すなわち繊維性結合組織、軟骨組織、骨組織、血液、リンパ等の支持組織;上皮組織;筋組織;神経組織等であればよいが、特に個体としての調和を破り、増殖の制御機構に異常を来している腫瘍細胞を含む組織のように、病理的情報を得たい組織に好適である。例えば、乳、肺、肝臓、胃、大腸、膵臓、皮膚、子宮、精巣、卵巣、甲状腺、副甲状腺、リンパ系統、骨髄などの位置にできる腫瘍組織が好適な対象となる。
判定する哺乳動物組織の性質には、測定対象となる組織に含まれる細胞の増殖能、悪性度が含まれる。細胞の増殖能とは、細胞の増殖活性レベルで、増殖の制御機構に異常を来しているか否か(癌化の有無)、さらには異数倍体性などに関する情報が該当する。細胞の悪性度とは、具体的には、転移のしやすさ、再発のしやすさ、予後の悪さ等が挙げられる。
ここで、再発とは、悪性腫瘍を摘出するために臓器を部分切除した後、残存臓器に同じ悪性腫瘍が再現する場合、及び原発巣から腫瘍細胞が分離して遠隔組織(遠隔臓器)へ運ばれ、そこで自立的に増殖する場合(転移再発)をいう。一般に5年以内に再発が認められる場合に「再発しやすい」という。また、ステージ分類ではステージIIIは再発率50%であり、ステージII(再発率20%)に比して再発しやすい。予後とは、疾病の経過及び終末を予知することで、5年又は10年後の死亡率が高い程予後は悪く、例えばステージIIIは死亡率50%であり、ステージII(死亡率20%)よりも予後が悪い。
サイクリン依存性キナーゼとは、サイクリンと結合して活性化される酵素群の総称であり、その種類に応じて、細胞周期の特定時期で機能している。また、CDKインヒビターとは、サイクリン・CDK複合体に結合し、その活性を阻害する因子群の総称である。
ここで、細胞が増殖を開始し、DNA複製、染色体の分配、核分裂、細胞質分裂などの事象を経て、2つの娘細胞となって出発点に戻るまでのサイクルである細胞周期は、図16に示されるように、G1期、S期、G2期、M期の4期に分けられる。S期はDNAの複製期であり、M期は分裂期である。G1期は有糸分裂の完了からDNA合成の開始までの間で、M期に入るための準備点検期である。G1期にある臨界点(動物細胞ではR点)を過ぎると、細胞周期は始動し、通常途中で止まることなく、一巡する。G2期は、DNA合成の終了から有糸分裂の開始の間である。細胞周期の主なチェックポイントは、G1期からS期にはいる直前、G2期から有糸分裂への入り口である。特にG1期チェックポイントはS期開始の引き金を引くため、重要である。G1期のある点を過ぎると、細胞は増殖シグナルがなくなっても、増殖を停止することなく、S→G2→M→G1と細胞周期を進行させるからである。尚、増殖を停止した細胞で、G1期のDNA含量をもった休止期(G0)があり、細胞周期からはずれた状態にある。増殖誘導により細胞周期内のG1期よりやや長い時間の後にS期へ進行することができる。
前記判定方法で用いられるサイクリン依存性キナーゼ(CDK)は、CDK1、CDK2、CDK4、CDK6、サイクリンA依存性キナーゼ、サイクリンB依存性キナーゼ、及びサイクリンD依存性キナーゼからなる群より選ばれることが好ましい。サイクリンA依存性キナーゼとは、サイクリンAと結合して活性を示すCDKのことで、現在判明しているところでは、CDK1及びCDK2の双方をいう。またサイクリンB依存性キナーゼとはサイクリンBと結合して活性を示すCDKのことで、現在判明しているところではCDK1が該当する。サイクリンD依存性キナーゼとはサイクリンDと結合して活性を示すCDKのことで、現在判明しているところではCDK4及びCDK6の双方が該当する。
これらのCDKは、現在判明しているところ、表1に示されるように、それぞれ対応するサイクリンと結合したサイクリン・CDK複合体(以下、活性型CDKともいう)となって、表1に示されるような細胞周期の特定時期を活性化している。例えば、CDK1はサイクリンA又はBと、CDK2はサイクリンA又はEと、CDK4及びCDK6はサイクリンD1、D2、又はD3と結合して活性型となる。一方、CDK活性は表1に示されるようなCDKインヒビターによって活性が阻害されることもある。例えば、p21はCDK1,2を阻害、p27はCDK2,4,6を阻害、p16がCDK4,6を阻害する。
Figure 2007074975
前記CDKのうち、2種類以上のCDKの発現量と活性値を測定し、各CDKにおけるこれらの比(すなわち、下記式で表されるCDK比活性又はその逆数)を求めて、CDKプロファイルを得る。CDKの比活性=CDK活性値/CDK発現量 従って、CDKプロファイルとしては、具体的には、例えば、CDK比活性を含むプロファイル(CDK比活性プロファイル)やCDK比活性の逆数を含むプロファイル(CDK比活性の逆数プロファイル)等が挙げられる。
CDK活性値とは、特定のサイクリンと結合して、どれだけの基質(例えば、活性型CDK1、活性型CDK2はヒストンH1、活性型CDK4及び活性型CDK6はRb(網膜芽細胞腫タンパク、Retinoblastoma protein))をリン酸化するかというキナーゼ活性のレベル(単位をU(ユニット)で現す)をいい、従来より知られている酵素活性測定方法で測定することができる。具体的には、測定試料の細胞溶解液から活性型CDKを含む試料を調製し、32P標識したATP(γ−〔32P〕−ATP)を用いて、基質タンパク質に32Pを取り込ませ、標識されたリン酸化基質の標識量を測定し、標準品で作成された検量線をもとに定量する方法がある。また放射性物質の標識を用いない方法としては、特開2002−335997号公報に開示の方法が挙げられる。この方法は、測定試料の細胞可溶化液から、目的の活性型CDKを含む試料を調製し、アデノシン5’−O−(3−チオトリホスフェート)(ATP−γS)と基質を反応させて、該基質タンパク質のセリン又はスレオニン残基にモノチオリン酸基を導入し、導入されたモノチオリン酸基の硫黄原子に標識蛍光物質又は標識酵素を結合させることによって基質タンパク質を標識し、標識されたチオリン酸基質の標識量(標識蛍光物質を用いた場合には蛍光量)を測定し、標準品で作成された検量線に基づいて定量する方法である。
活性測定に供する試料は、測定対象となる組織の可溶化液から目的のCDKを特異的に採取することにより調製する。この場合、目的のCDKに特異的な抗CDK抗体を用いて調製してもよいし、特定のサイクリン依存性キナーゼ(例えばサイクリンA依存性キナーゼ、サイクリンB依存性キナーゼ、サイクリンE依存性キナーゼ)の活性測定の場合には、抗サイクリン抗体を用いて調製する。いずれの場合も活性型CDK以外のCDKが試料に含まれることになる。例えばサイクリン・CDK複合体にCDKインヒビターが結合した複合体も含まれる。また、抗CDK抗体を用いた場合には、CDK単体、CDKとサイクリン及び/又はCDKインヒビターの複合体、CDKとその他の化合物との複合体などが含まれる。従って、活性値は、活性型、不活性型、各種競合反応が混在する状態下で、リン酸化された基質の単位(U)として測定される。
CDK発現量とは、細胞可溶化液から測定される目的のCDK量(分子個数に対応する単位)であって、タンパク質混合物から目的のタンパク質量を測定する従来公知の方法で測定できる。例えば、ELISA法、ウェスタンブロット法等を使用してもよいし、特開2003−130871号公報に開示の方法で測定することもできる。目的のタンパク質(CDK)は、特異的抗体を用いて捕捉すればよい。例えば、抗CDK1抗体を用いることにより、細胞内に存在するCDK1のすべて(CDK単体、CDKとサイクリン及び/又はCDKインヒビターの複合体、CDKとその他の化合物との複合体を含む)を捕捉できる。
従って、前記式により算出される比活性は、細胞に存在しているCDKのうち、活性を示すCDKの割合に相当し、判定対象である動物細胞の増殖状態に基づくCDK活性レベルといえる。このようにして求められるCDK比活性は、測定試料調製方法に依存しない。測定試料調製方法、特に生検材料から調製される測定試料(細胞可溶化液)は、実際に採取された組織中に含まれる非細胞性組織、例えば細胞外基質の多寡による影響を受けやすいことから、このような影響を控除した比活性又はその逆数を用いる意義は大きく、従来の単なる活性値と比べて、臨床的性格との相関性が高い。
2種類以上のCDK比活性又はその逆数を含むCDKプロファイルを知ることにより、いずれのCDK活性が優位になっているかを知ることができ、これにより細胞周期のいずれの時期にある細胞割合がどの程度であるか、又はいずれの時期の細胞割合が優勢であるか等を知ることができる。
以下、CDK比活性を含むCDK比活性プロファイルを中心に、哺乳動物組織(特に癌細胞を含む組織)の性質の判定方法を説明する。 比活性を測定するCDKの種類は、知りたい性質の種類に応じて適宜選択すればよい。一般に、癌細胞は正常な増殖制御を逸脱して増殖が活発に行われていることから、S期、G2期にある細胞割合が多いと考えられ、このような場合に癌化していると考えられる。また、このような癌は、進行が早く、悪性であるといえる。さらに、異数媒体性は、異常なM期を経過したか、又はM期を経ずにG1期へ進んで、S期に入ったときに起ると考えられているため、M期に存在する細胞割合が少ないことも悪性であるといえる。従って、第1のサイクリン依存性キナーゼとしてCDK1、第2のサイクリン依存性キナーゼとしてCDK2を使用し、CDK1比活性の大きさに従い群に分類し、類似したCDK1比活性を持つ群の中ではCDK2比活性値がS期の細胞比率を反映する値となる。S期にある細胞が多い場合、当該細胞が構成細胞となっている組織が臨床的に悪性、すなわち転移しやすい予後の悪い悪性の癌であると判定することができる。
なお、CDKの種類、判明している作用から、2種類以上のCDK比活性を含むCDK比活性プロファイルにより細胞周期の特定時期の存在割合を推測し、細胞の悪性度を判定してもよいし、予め対応する正常組織細胞を標準細胞として測定した2種類以上のCDKの比活性プロファイルを求め、正常細胞との比較から悪性度を判定してもよい。 CDK比活性プロファイルとして、2種類のサイクリン依存性キナーゼの比活性の比を採用することが好ましい。この場合、2種類のサイクリン依存性キナーゼの比活性の比を、該比に対応する所定の閾値と比較することにより、組織の性質を判定する。
前記判定方法で用いられる閾値は、測定対象の細胞の種類、判定項目により適宜決められる。閾値の設定は、対象となる項目に関する多数の細胞、個体のデータベースと、当該細胞のCDK比活性のデータベースとから、該当項目に対してボーダーとなる比活性の比の値を選択すればよい。例えば、癌の悪性度について病理医の判定が既知の複数の患者から採取された腫瘍細胞について、相関性があるとされる2種類のCDKの比活性の比をそれぞれ求め、求められた比を小さい順に並べて集団を2等分できる中央値を閾値とすることができる。
[2]抗癌剤治療の有効性予測方法(組織の、刺激物質に対する感受性の判定方法)
抗癌剤治療の有効性予測方法は、患者から採取した腫瘍細胞のサイクリン依存性キナーゼの活性値、発現量、及び活性値と発現量との比からなる群より選択される少なくとも1つのパラメータと、選択されたパラメータに対応する閾値とを比較する工程;及び前記比較工程の結果に基づいて、前記患者の抗癌剤治療の有効性を予測する工程を含んでいる。 前記予測方法で予測する治療の有効性には、術前療法、術後療法の双方が含まれる。術前療法では、原発巣が存在する状態で抗癌剤を投与し続けた結果、原発巣が縮小ないし消失する場合が有効となり、術後療法では、腫瘍の摘出手術を行なった後に抗癌剤を投与し続けた結果、再発しない場合が有効となる。術後療法では、目に見えない転移等に対して、抗癌剤が有効であるかどうかが再発の有無となって現れる。
前記予測方法に用いられる試料となる組織は、患者から採取した腫瘍細胞を含む組織である。術後療法の場合、癌の摘出手術によりこれらの組織を入手できるので、これを利用することができる。術前療法の場合には、患者の腫瘍組織から生検した組織(バイオプシー)などを用いることができる。
前記予測方法で用いられるサイクリン依存性キナーゼ(CDK)としては、CDK1、CDK2、CDK4、CDK6、サイクリンA依存性キナーゼ、サイクリンB依存性キナーゼ、及びサイクリンD依存性キナーゼ等が挙げられ、癌の種類、抗癌剤の種類に応じて適宜選択される。つまり、癌には種々の種類があり、各患者の癌細胞がもっている細胞周期に関連する性格が抗癌剤治療の有効性に大いに関係するからである。
癌の種類としては、乳癌、胃癌、大腸癌、食道癌、前立腺癌等が挙げられる。また、抗癌剤としては、乳癌に対しては、例えばCMF群(シクロフォスファミド、メトトレキシエート、フルオロウラシルの3剤を併用して投与する療法)、ドセタキセル、パクリタキセル等のタキサン系抗癌剤、CE(シクロフォスファミド、エピルビシンの2剤を併用して投与する療法)、AC(ドキソルビシン、シクロフォスファミドの2剤を併用して投与する療法)、CAF(フルオロウラシル、ドキソルビシン、シクロフォスファミドの3剤を併用して投与する療法)、FEC(フルオロウラシル、エピルビシン、シクロフォスファミドの3剤を併用して投与する療法)、トラスツズマブとパクリタキセルの2剤を併用して投与する療法、カペシタビン等が挙げられ、胃癌に対しては、例えばFAM(フルオロウラシル、ドキソルビシン、マイトマイシンCの3剤を併用して投与する療法)、FAP(フルオロウラシル、ドキソルビシン、シスプラチンの3剤を併用して投与する療法)、ECF(エピルビシン、シスプラチン、フルオロウラシルの3剤を併用して投与する療法)、マイトマイシンCとテガフールの2剤を併用して投与する療法、フルオロウラシルとカルムスチンの2剤を併用して投与する療法等が挙げられ、大腸癌に対しては、例えばフルオロウラシルとロイコボリンの2剤を併用して投与する療法、マイトマイシンとフルオロウラシルの2剤を併用して投与する療法等が挙げられ、卵巣癌に対しては、例えばTP(パクリタキセル、シスプラチンの2剤を併用して投与する療法)、TJ(パクリタキセル、カルボプラチンの2剤を併用して投与する療法)、CP(シクロフォスファミド、シスプラチンの2剤を併用して投与する療法)、CJ(シクロフォスファミド、カルボプラチンの2剤を併用して投与する療法)等が挙げられる。
判定の指標とするのは、CDKの活性値、発現量、及び活性値と発現量との比から選択される1つ又は2つのパラメータである。活性値と発現量との比は、CDK活性値/CDK発現量で示されるCDK比活性であってもよいし、CDK発現量/CDK活性値の値であってもよい。 前記パラメータを所定の閾値と比較することにより抗癌剤治療が有効か否か判定できる。ここで活性値、発現量、及び活性値と発現量との比から選択されるパラメータとは、抗癌剤の種類、癌の種類により適宜選択されるパラメータである。このパラメータは、過去に抗癌剤治療が行われ、その結果が判明している癌患者から抗癌剤治療の前に摘出されて保存されていた腫瘍細胞について、CDKの活性値と発現量を測定し、それぞれのパラメータについて、抗癌剤治療結果を解析し、抗癌剤治療結果と相関のあるパラメータを抗癌剤の有効性判定に用いるパラメータとして選択したものである。
閾値と比較するパラメータは、所定のCDKにおける1つのパラメータであってもよいし、2つのパラメータの組合せであってもよい。2つのパラメータを選択する場合、それぞれにおけるパラメータをそれぞれの閾値と比較する。 判定の指標となるCDKは、1種類であってもよいし(第1の有効性予測方法)、2種類以上であってもよい(第2の有効性予測方法)。
2種類以上のCDKを採用する場合、複数のCDKについて、それぞれにおけるパラメータをそれぞれの閾値と比較し、各キナーゼの比較結果の組み合わせにより、有効性を予測してもよい(第2−1の有効性予測方法)。この場合、閾値と比較するパラメータの種類は、複数のCDKにおいて、同じ種類のパラメータ(例えば発現量)を用いてもよいし、異なる種類のパラメータ(例えば、一方のCDKについては発現量を比較し、他方のCDKについては活性値を比較する)を用いてもよい。
また、複数種類のCDKを採用する場合において、まず第1の有効性予測方法で、第1のCDKに基づいて予測し、第1の有効性予測方法で有効性が疑われると判定された腫瘍細胞に関して、第1のCDKとは異なるCDKについて、活性値、発現量、及び活性値と発現量との比から選択されるパラメータと、該パラメータに対応する閾値と比較することによって、有効性を予測してもよい(第2−2の有効性予測方法)。第2−2の有効性予測方法で、第1CDKと異なるCDKは、1種類のCDK(第2CDK)であってもよいし、複数種類のCDK(第3、第4・・・CDK)を用いてもよい。複数種類のCDKを用いる場合、それぞれのCDKについて、各CDKの活性値、発現量、及び活性値と発現量との比からなる群より選択される少なくとも1つのパラメータと、該パラメータに対応する閾値とを比較し、これらの比較結果の組み合わせに基づいて、前記患者の抗癌剤治療の有効性を予測する。
第2のCDKについて、有効性の判定に用いるパラメータは、前述した群から選ばれる。パラメータは1つだけ選択してもよいし、2つのパラメータを選択して、それぞれの閾値と比較してもよい。また、異なるCDKとして複数種類のCDK、すなわち第2、さらには第3、第4のCDKについて測定する場合、判定に使用するパラメータは、全て同種のパラメータ(例えば発現量)を用いてもよいし、異なる種類のパラメータ(例えば、第2のCDKは発現量とし、第3のCDKは活性値とする等の組み合わせ)を用いてもよい。
前記第2の有効性予測方法は、予測の正答率を上げる点で有効である。さらに第2−2の予測方法により、第1の予測方法で有効であると判定されない場合であっても、抗癌剤治療が有効な場合が少なくないので、第2の有効性予測方法を採用する意義がある。 また、抗癌剤治療の効き方にも、さらに病状が悪化することを防止するレベルと、腫瘍を縮小させて、病状を快方に向かわせることができるレベルとに分類することができ、第2の有効性予測方法、特に第2−2の有効性予測方法により、抗癌剤治療の効き方のレベルを加味した予測を行なうこともできる。
前記予測方法は、CDKだけでなく、さらにサイクリン依存性キナーゼインヒビター(CDKインヒビター)の発現量を、対応する閾値と比較し、前記CDKの比較結果と、前記CDKインヒビターの比較結果との組み合わせに基づいて、前記患者の抗癌剤治療の有効性を予測してもよい(第3の有効性予測方法)。CDKインヒビターは、サイクリン・CDK複合体に結合し、その活性を阻害する因子群で、INK4ファミリーとCIP/KIPファミリーに分類される。前記有効性予測方法では、CIP/KIPファミリーが好ましく用いられ、特にp21が好ましく用いられる。p21は、細胞増殖サイクルにおけるG1期及びG2期チェックポイントの双方で進行を阻害するインヒビターで、損傷したDNAの修復のための時間を与えることができる。
第3の有効性予測方法は、CDKを所定パラメータについて閾値と比較した結果と、CDKインヒビターの発現量を閾値と比較した結果の組み合わせに基づいて、抗癌剤治療の有効性を予測してもよいし、第1段階でCDKを所定パラメータについて閾値と比較し、有効性を予測判定した(第1の有効性予測方法)後、有効であると判定されなかった腫瘍細胞について、第2段階でCDKインヒビターの発現量を閾値と比較し、有効である可能性が高いものを選び出すようにしてもよい。
なお、CMF投与群の治療有効性予測因子として、Her2やp21が報告されている。The international Breast Cancer Study Group(IBCSG)のトライアルでは、Her2が過剰発現している乳癌患者に対してCMF投与が無効であることが示され、p21に関しては、p21高発現患者群における無病生存率が、低発現患者群よりも有意に悪いことが報告されている。しかし、Her2,p21ともにCMF療法に対する効果の低い患者群に予測する因子であり、積極的に治療効果のある患者群を予測する因子の報告例はない。一方、前記予測方法は、有効であることを積極的に示すもので、しかも閾値を厳格にすることで、100%に近い有効性を期待できる場合を提示することができる。
前記予測方法において、閾値は、抗癌剤の種類、癌の種類により適宜設定される値である。具体的には所定の癌に対して所定の抗癌剤を投与した抗癌剤治療結果と上記のパラメータとの関係を、多くの抗癌剤治療結果について調べ、多数の抗癌剤治療結果と相関のあるパラメータに関して、その抗癌剤治療結果が有効であった場合を選択できるように設定された値である。好ましくは抗癌剤治療結果が全て有効であった場合のみを選択できるように閾値を設定する。このように、実際の臨床治療結果に基づいて閾値の設定が行われるため、確度の高い有効性の判定が可能となる。閾値の設定に用いる臨床治療結果の数を増加させることにより、有効性判定の確度を向上させることができる。なお、抗癌剤治療結果としては、所定の抗癌剤治療を続けることにより生じた腫瘍サイズの変化や、抗癌剤投与を5〜6年続けて再発の有無を調べた結果等があげられる。
なお、CDK活性値/CDK発現量(CDK比活性)、又はCDK発現量/CDK活性値で示される比は、細胞に存在しているCDKのうち、活性を示すCDKの割合に相当し、測定対象である腫瘍細胞が固有のものとして示す増殖状態に基づくCDK活性レベルといえ、測定に供する試料の調製方法に依存しない。測定試料調製方法、特に生検材料から調製される細胞可溶化液は、実際に採取された組織中に含まれる非細胞性組織、例えば細胞外基質の多寡による影響を受けやすい。従って、CDK活性値と発現量との比を用いることにより、測定試料調製時に不可避の影響を控除することができ、タンパク質に着目した判定方法であっても、高精度に有効性を判定することができる。
CDKインヒビター発現量とは、細胞可溶化液から測定される目的のCDKインヒビター量(分子個数に対応する単位)であって、タンパク質混合物から目的の蛋白質量を測定する従来公知の方法で測定できる。例えば、ELISA法、ウェスタンブロット法などを使用してもよい。目的の蛋白質(CDKインヒビター)は、特異的抗体を用いて捕捉すればよい。目的のタンパク質と特異的に結合できるものであれば、モノクローナル抗体であっても、ポリクローナル抗体であってもよい。例えば、p21を捕捉する場合、抗p21モノクローナル抗体、抗p21ポリクローナル抗体のいずれも用いることができる。
つぎに、前述した[1]哺乳動物組織の性質の判定方法、及び[2]抗癌剤治療の有効性予測方法を好適に実施することができる、本発明の一実施の形態に係る判定装置について説明をする。
図1は本発明の一実施の形態に係る判定装置Aの斜視説明図である。この判定装置Aは、組織に含まれるサイクリン依存性キナーゼ(CDK)の活性値及び発現量を測定し、得られた測定値に基づいて、ヒトの癌細胞の悪性度(再発リスクの高さ)の判定や、抗癌剤の有効性(感受性)の判定を行うものであり、装置本体部20の前方部分に配設された検出部4、チップセット部1、第1試薬セット部5及び第2試薬セット部6、装置本体部20の後方部分に配設された活性測定ユニット2、廃液を収容するための廃液槽7及びピペットを洗浄するためのピペット洗浄槽8、装置本体部20の上方に配設されており、ピペットを3方向(X方向、Y方向及びZ方向)に移動させることができる分注機構部3、装置本体部20の背部に配設された流体部9及び電子基板部10、並びに前記検出部4及び電子基板部10と通信可能に接続された制御手段であるパーソナルコンピュータ12とで主に構成されている。また、本実施の形態の判定装置Aには、純水タンク13、洗浄液タンク14、廃液タンク15及び空圧源11が設けられている。純水タンク13には、測定終了時の流路洗浄用純水が貯留されており、配管21により流体部9に接続されており、洗浄液タンク14にはピペットを洗浄する洗浄液が貯留されており、配管22によりピペット洗浄槽8に接続されており、さらに廃液を収容するための廃液タンク15は配管23により廃液槽7に接続されている。さらに、判定装置Aには、生体試料から前記判定装置Aで処理可能な検体を得るための可溶化装置Bが並設されている。
以下、前述した判定方法又は有効性予測方法の手順に概略従って、前記可溶化装置B及び判定装置Aについて説明をする。
[可溶化装置]
可溶化装置Bは、判定装置Aによる処理に先立って、患者から摘出した組織等の生体試料から、当該判定装置Aで処理可能な液状の検体を調製するものであり、筐体部30、この筐体部30の前面上方に配置された操作部31、前記生体試料を押し付けたり、すりつぶしたりするための一対のペッスル34を備えた駆動部32、及び前記生体試料が収容されるエッペンチューブ35がセットされる検体セット部33とで主に構成されている。
前記駆動部32は、ペッスル34を上下動させるとともに及び回転運動を与えることができ、これによりエッペンチューブ35内に注入された生体試料が押し付けられたり、すりつぶされたりする。そして、前記筐体部30内には、かかる駆動部32の動作を制御する制御部(図示せず)が内蔵されている。
前記操作部31には、操作ボタン31a、運転ランプ31b、装置の状態やエラーメッセージ等を表示するための表示部31cが配設されている。また、検体セット部33内には、図示しない冷却手段が配設されており、当該検体セット部33上面の凹所にセットされたエッペンチューブ内の生体試料を一定の温度に保っている。
可溶化装置Bにより可溶化され、さらに図示しない遠心分離機により遠心分離処理された生体試料の上澄み液は、所定の検体容器に採取されて判定装置Aの第1試薬セット部5にセットされる。
[第1試薬セット部]
第1試薬セット部5内には、前記検体セット部33と同様に図示しない冷却手段が配設されており、当該第1試薬セット部5上面の凹所にセットされるスクリューキャップ等の容器内の検体や、CDK1抗原(キャリブレーション1)、CDK2抗原(キャリブレーション2)等の各種抗原や、蛍光標識されたCDK1抗体、蛍光標識されたCDK2抗体等の各種蛍光標識化抗体等を一定の温度に保っている。本実施の形態では、縦5列、横4列、合計20箇所の凹所が設けられており、最大20個のスクリューキャップ等の容器をセットすることができるようになっている。
[第2試薬セット部]
前記第1試薬セット部5の隣りには、第2試薬セット部6が配設されている。この第2試薬セット部6には、前記第1試薬セット部5と同様に複数の凹所が形成されており、これら凹所内にバッファー、基質溶液、蛍光増強試薬等が入れられた、エッペンチューブやスクリューキャップ等の容器がセットされる。
また、判定装置Aによる処理に先立って、チップセット部1にタンパク固相用チップがセットされるとともに、活性測定ユニット2にカラムがセットされる。
[チップセット部]
チップセット部1は、アルミニウム製のブロックからなっており、図2〜3に示されるように、上面にタンパク固相用チップ121を載置するための凹部132を有するとともに、底部に吸引口135を有している。より詳細には、チップセット部1は、上面に長方形の第1凹部132と、この第1凹部132の底部に同じく長方形の第2凹部133とを備えている。第1凹部132の底面には前記第2凹部133の周縁に長方形の枠状のゴム製弾性ガスケット137が配設されている。
前記第2凹部133は、その底部に、十字形の溝134と、底部中心に吸引口135とを備え、前記溝134の溝底は第2凹部133の周縁から中心に向かって深くなるように傾斜している。吸引口135は、外部の吸引ポンプ(図示せず)へ接続するために設けられたニップル136と連通している。そして、後に詳述するタンパク固相用チップ121は、第1凹部132の底面ガスケット137を介して水平に装填される。タンパク固相用チップ121の各ウェルにタンパク含有試料液が注入又は滴下された後、ニップル136に接続された図示しない吸引ポンプが作動する。
これにより、タンパク固相用チップ121が第1凹部132の底面へガスケット137を介して気密的に吸着されるとともに、各ウェル内の試料液が後述する多孔質膜を介して吸引され、測定目的のタンパクが当該多孔質膜に固相形成される。この場合、タンパク固相用チップ121を第1凹部132の底面に押し付けて固定する固定部材をチップセット部1に設けてもよい。
前記タンパク固相用チップ121は、図4〜8に示すように、多孔質膜122と、この多孔質膜122を挟持するための上テンプレート101及び下テンプレート111とで構成されている。このタンパク固相用チップ121が、サイクリン依存性キナーゼの抗体含む抗体溶液と、生体試料(検体)とを接触させる第2接触手段として機能する。
図4〜5に示されるように、長方形の板状の上テンプレート101には、マトリックス状に4行10列に配列された40個の長円形の貫通孔102が穿設されている。上テンプレート101の下面には、前記40個の貫通孔102の周囲を一周する溝(凹部)104が形成されている。そして、この溝104により、その内側に長方形の多孔質膜設置領域103が区画される。また、溝104の底には8つの治具貫通孔105が穿設されている。
一方、長方形の板状の下テンプレート111には、前記上テンプレート101の貫通孔102に対応する位置にそれぞれマトリックス状に4行10列に配列された40個の長円形の貫通孔112が形成されている。貫通孔112は、貫通孔102と同じ形状及び断面積を有している。
下テンプレート111の上面には、40個の貫通孔112の周囲を1周する畝状の凸部114が前記溝104に対応する位置に形成されている。そして、この凸部114によりその内側に長方形の多孔質膜設置領域113が区画される。また、下テンプレート111の周縁には6つの切り欠き部115が形成されている。なお、前記上テンプレート101及び下テンプレート111は、例えば塩化ビニル樹脂で作製することができる。
図8は前記タンパク固相用チップ121の断面を示しており、上テンプレート101と下テンプレート111とは、図に示されるように重ねられ、前記溝104に凸部114が離脱可能に圧入される。これにより、各貫通孔102と各貫通孔112とが互いに同軸となる。
そして、多孔性膜設置領域103と113との間に長方形状の疎水性多孔性膜122が装填され、前記凸部114の溝104への圧入により均一に圧縮される。これにより、多孔性膜122が各貫通孔102により水密的に区画され、貫通孔102の数だけのウェル(液溜め)が形成される。
[活性測定ユニット]
活性測定ユニット2は、図9〜12に示すように、それぞれがカラム201及び流体マニホールド213を備えた複数の試料調製部211からなっており、CDKの活性値を測定するのに用いられる。
図9に示されるように、カラム201は、塩化ビニル樹脂で作製された円筒体からなっており、内部には、液体試料中の目的物質を単離するために用いる担体206を保持する担体保持器202と、この担体保持器202に液体試料を導入するための液体導入部203と、前記担体保持器202から液体試料を受け入れて貯留するための液体貯留部204とを有している。前記カラム201が、所定の基質を含む基質溶液と、生体試料(検体)とを接触させる第1接触手段を構成している。
カラム201の液体貯留部204は、外部から液体試料を注入又は採取可能な開口205を上部に備えている。担体206は、円柱形のモノリスシリカゲルからなっており、このモノリスシリカゲルは、粒子担体とは異なり、3次元ネットワーク状の骨格とその空隙が一体となった構造を有している。また、モノリスシリカゲルには、所定のCDK抗体が固定されている。担体206はカラム201の下部開口から担体保持部02に挿入され、Oリング207を介して固定用パイプ208によって弾性的に押圧されて支持される。なお、前記固定用パイプ208は、カラム201の下部開口から圧入され、固定用パイプ208とOリング207の孔が液体導入部203を形成する。
また、カラム201の下端には当該カラム201を前記試料調製部211に装填して固定するための装填用フランジ209が形成されている。このフランジ209は、直径Dの円盤状のフランジの両側を幅W(W<D)になるように平行に切り欠いて形成された長円形のフランジである。
図10は試料調製部211の斜視図であり、同図に示されるように、試料調製部211は、L字形の支持プレート212を備え、この支持プレート212には流体マニホールド213と、シリンジポンプ214と、減速機付きステッピングモータ215とが固定されている。
ステッピングモータ215の出力軸にはスクリューシャフト216が接続されている。そして、このスクリューシャフト216に螺合する駆動アーム217がシリンジポンプ214のピストン218の先端に接続されている。ステッピングモータ215によりスクリューシャフト216が回転すると、ピストン218が上下運動するようになっている。シリンジポンプ214と流体マニホールド213とは、コネクタ219、220を介して送液チューブ250により接続されている。また、シリンジポンプ214は、コネクタ220aを介して送液チューブ220bにより、流路を満たすための液体(洗浄液)が収容されているチャンバ234(図13参照)と接続されている。
図11〜12に示されるように、流体マニホールド213は、前記カラム201の液体導入部203が接続されるカラム接続部221と、液体試料を受け入れる液体試料受入部222とを備えている。
流体マニホールド213は、内部に流路223を備え、下面に、液体試料受入部222と流路223との間を開閉する電磁バルブ224と、流路223とカラム接続部221との間を開閉する電磁バルブ225とを備えている。また、流体マニホールド213は、側面にコネクタ220を接続するためのコネクタ接続用ねじ穴226を有しており、このねじ穴226は流路223に接続されている。
図13は試料調製部211の流体回路図であり、流体マニホールド213にシリンジポンプ214がコネクタ220を介して接続された状態を示している。そして、シリンジポンプ214には、電磁バルブ233を介してチャンバ234が接続され、当該チャンバ234には陽圧源235から陽圧が印加されている。
ここで、カラム201を流体マニホールド213に装填する方法を説明する。
図11〜12に示されるように、流体マニホールド213の上面には、カラム201の下端を受け入れるカラム受入用凹部227が形成され、この凹部227の底部の中心がカラム接続部に貫通するとともに底部の円周にOリング228が装着されている。また、流体マニホールド213の上面には2枚の断面L字形押さえ板229、230がカラム装填用凹部227を中心として前記幅Wより広くDより狭い間隔で平行に固定されている。
そこで、カラム201をカラム装填用凹部227に、フランジ209が押さえ板229、230の間を通るように装填し、時計方向又は反時計方向に90度だけ回転させる。これによって、フランジ209の直径Dの部分が押さえ板229、230に係合するとともに、Oリング228の弾性によりフランジ209が押さえ板229、230により固定される。なお、カラム201を除去する場合には、カラム201を押さえながら、左右いずれかの方向に90度だけ回転させればよい。
カラム201が試料調製部211の流体マニホールド213に装填されるとき、気泡混入を防止するため当該流体マニホールド213の凹部227は流体で満たされているが、カラム201の先端を凹部227に挿入するとその体積によって流体が溢れ出す。この液体が周辺へ流出することを防止するために、カラム装着用凹部227の周囲に溢れ液貯留凹部231が設けられており、溢れ液貯留凹部231の一部にピペットにより溢れ液を吸引排出するための溢れ液排出凹部232が設けられている。
各種の検体及び試薬は、ピペットを備えた分注機構部3によって、所定の箇所に、又は所定の箇所から注入又は吸引される。
ここで、液体試料受入部222に検体または試薬が注入された場合の動作について説明する。液体試料受入部222に検体または試薬が注入されると、まず電磁バルブ224が開き(電磁バルブ225と233は閉)、シリンジポンプ214が吸引動作をする。これによって、検体または試薬は、電磁バルブ224を通過し、シリンジポンプ214側に吸引される。次に、電磁バルブ224を閉じ、電磁バルブ225を開き、シリンジポンプ214が吐出動作をする。これによって、検体または試薬は、電磁バルブ225を通過し、カラム201中に送液される。
[分注機構部]
分注機構部3は、図1に示すように、ピペットX方向移動用のフレーム352と、ピペットY方向移動用のフレーム353と、ピペットZ方向移動用のプレート354とを備えている。
フレーム352は、プレート354を矢印X方向に移動させるためのスクリューシャフト355と、プレート354を支持して摺動させるためのガイドバー356と、スクリューシャフト355を回転させるステッピングモータ357を備えている。
フレーム353は、フレーム352を矢印Y方向に移動させるためのスクリューシャフト358と、フレーム352を支持して摺動させるためのガイドバー359と、スクリューシャフト358を回転させるステッピングモータ361とを備えている。
また、プレート354は、ピペット362を支持するアーム368を矢印Z方向に移動させるためのスクリューシャフト367と、アーム368を支持して摺動させるためのガイドバー、スクリューシャフト367を回転させるステッピングモータ370とを備えている。
なお、本実施の形態では、分注機構部3が一対のピペット362を備えているので、同時に2つの検体容器に試薬等を注入したり、同時に2つの検体容器から内容物を吸引したりすることができ、測定処理を効率よく行うことができる。
[流体部]
装置本体部20の背部には、図1に示すように、前記ピペット362、ピペット洗浄槽8及び各試料調製部211等に接続されて流体を操作する流体部9が配設されている。この流体部9は、図13に示されるように、各試料調製部211の電磁バルブ224、225、保冷液チャンバからシリンジ214に液体を充填する際に流体を制御する電磁バルブ233、ピペット362による液体の吸引、吐出の際に流体を制御する電磁バルブ、廃液槽7におけるピペット362から廃棄される液体を吸引する際に流体を制御する電磁バルブ、及びピペット洗浄槽8においてピペット362を洗浄する際に流体を制御する電磁バルブを備えている。
[電子基板部]
また、装置本体部20の背部には、各試料調製部211、ステッピングモータ357、361、370、流体部9等に駆動信号を供給するための電子基板部10が配設されている。
[検出部]
検出部4は、タンパク固相用チップ121の多孔質膜122に捕捉されたタンパク量を反映する蛍光物質量および、リン酸基の量を反映する蛍光物質量を測定するものであり、前記タンパク固相用チップ121に励起光を照射し、発生する蛍光を検出し、検出した蛍光の強度に対応する大きさの電気信号を電子基板部10に出力する。検出部4としては、一般に用いられている、光源部、照明系及び受光系からなるものを適宜採用することができる。
[制御手段]
制御手段であるパーソナルコンピュータ12は、図14に示すように、前記電子基板部10に接続される制御部77、この制御部77にデータ等を入力するための入力部78、及び分析結果等を表示する表示部79を備えている。前記制御部77が、本発明における解析手段、検量線を使用して蛍光強度から活性値を取得する第1(第2)活性値取得手段、及び検量線を使用して蛍光強度から発現量を取得する第1(第2)発現量取得手段を構成している。
前記制御部77は、図14に示されるように、CPU91aと、ROM91bと、RAM91cと、入出力インターフェース91dと、画像出力インターフェース91eとを備えている。ROM91bには、オペレーティングシステム、装置の動作を制御するための制御プログラム、及び制御プログラムの実行に必要なデータが格納されている。CPU91aは、制御プログラムをRAM91cにロードし、又はROM91bから直接実行することが可能である。このようにしてCPU91aが処理した結果のデータは、入出力インターフェース91dを通じて前記電子基板部10に送信され、CPU91aの処理に必要なデータは、前記電子基板部10から入出力インターフェース91dを通じて受信される。CPU91aは制御プログラムを実行することにより、前記電子基板部10の制御を行うことが可能となる。また、CPU91aは、検出部4で得られた蛍光強度に基づいてサイクリン依存性キナーゼの発現量や活性値を取得し、取得した値に基づいて細胞に関する性質の情報を取得する役割を果たしている。そして、前記発現量や活性値を取得するために、前記RAM91cには、蛍光強度を発現量又は活性値に変換するための変換データである検量線が記憶されている。
図15は、本実施の形態の判定装置Aを制御する制御系のブロック図である。この制御系は、同図に示されるように、分注機構部3の各部を駆動するためのドライバー回路を有する電子基板部10と、この電子基板部10を制御するとともに検出部4からの検出結果を分析するための制御部77、この制御部77へデータ等を入力する入力部78、及び制御部77で分析された分析結果等を表示するための表示部79から構成されるパーソナルコンピュータ12とからなっている。
制御部77は、電子基板部10を制御することにより、当該電子基板部10から各試料調製部211のステッピングモータ215を駆動するための駆動信号、第1試薬セット部5の温度調節をするための駆動信号、ステッピングモータ357、361、370を駆動するための駆動信号、及び流体部9にある電磁バルブを駆動するための駆動信号を出力する。また、制御部77は、検出信号を検出部4から電子基板部10を介して取り込む。
つぎに、本実施の形態に係る判定装置Aを用いて細胞の性質を判定する方法について、ヒトの癌細胞の悪性度(再発リスクの高さ)及び抗癌剤の有効性(感受性)を判定する場合を例にとって説明をする。
(1)可溶化装置による前処理
判定装置Aによる処理に先立って、可溶化装置Bを用いて癌患者から摘出した組織から液状の検体を採取する。その手順としては、まず、前記組織をピンセットを用いてエッペンチューブに投入する。ついで、このエッペンチューブを図1に示される可溶化装置Bの検体セット部33にセットし、操作部31のスタートボタンを押すと、ペッスル34が所定位置まで下降し、エッペンチューブ内の組織を当該エッペンチューブの底部に押し付ける。
この状態で、界面活性剤およびタンパク質分解酵素阻害剤等を含有する緩衝液等の可溶化液を自動又はマニュアルでエッペンチューブ内に注入する。その後、ペッスル34を回転させて前記組織をすりつぶす。所定時間経過後にペッスル34の駆動を停止させ、さらに当該ペッスル34を上方に移動させた後にエッペンチューブを検体セット部33から取り出す。ついで、可溶化されたエッペンチューブ内の内容物を遠心分離機にかけ、得られる上澄み液を検体としてマニュアルで採取する。
(2)判定装置への検体等のセッティング
前記上澄み液を2つの検体容器に入れ、互いに異なる希釈倍率で希釈した後に、当該検体容器を第1試薬セット部5の所定位置にセットする。2つの検体のうち、一方は発現量測定用の検体であり、他方は活性値測定用の検体である。
また、前記タンパク固相用チップ121をチップセット部1にセットするとともに、8つのカラム201を活性測定ユニット2の試料調製部211にそれぞれにセットする。
(3)判定装置による処理の全体フロー
判定装置による処理の全体のフローを図17に示す。なお、以下のフローチャート中の判断において、「Yes」および「No」を図示しない場合は、下がYes、右(左)がNoである。また、以下に説明する処理は、全て制御部77によって制御される処理である。
まず、電源が投入されると、測定登録を受け付ける処理が実行される(ステップS1)。この処理では、検体番号などの測定に関する情報の入力を受け付ける。
次に、予後予測モード(ヒトの癌細胞の悪性度(再発リスクの高さ)を判定するモード)及び抗癌剤感受性モード(抗癌剤の有効性(感受性)を判定するモード)のいずれかの測定モードの選択を受け付ける処理が実行される(ステップS2)。具体的には、パーソナルコンピュータ12の表示部79に、2つのモードの入力ボタンが表示される。オペレータは、希望するモードの入力ボタンをクリックする。なお、本例では、抗癌剤感受性モードにおいて、タキサン系抗癌剤の感受性を判定している。また、上記2つのモードに加えて、予後予測・抗癌剤感受性モードを選択できるようにしてもよい。
ついで、測定開始の指示を受け付けているか否かの判断をする(ステップS3)。YesならステップS4へ、NoならステップS8に進む。
つぎに第1試薬セット部5にセットした検体容器から検体を吸引し、吸引した検体に所定の処理を施すことによって、蛍光検出用の試料を調製する(ステップS4)。このステップの処理には、後に詳述する発現量測定用試料の調製処理と活性値測定用試料の調製処理とが含まれ、これら2つの処理は並行して実行される。
蛍光検出用の試料を含むタンパク固相用チップ121がセットされたチップセット部1を図1に示される位置から検出部4の中に移動させる(ステップS5)。
ついで、タンパク固相用チップ121の各ウェルに励起光を照射し、前記蛍光検出用の試料から放射される蛍光を検出する(ステップS6)。
つぎに、パーソナルコンピュータ12の制御部77にて、蛍光強度を取得し、取得した蛍光強度から解析結果を出力する(ステップS7)。
判定装置をシャットダウンする指示を受け付けているか否かを判断する(ステップS8)。YesならステップS9に進み、NoならステップS1に戻る。
最後にシャットダウン処理をし、電源をオフにする(ステップS9)。
(4)発現量測定用試料の調製処理
前記ステップS4における発現量測定用試料の調製処理のフローを図18に示す。
まず、タンパク固相用チップの各ウェルに予め貯留している保存液を排出し、各ウェル内を洗浄する(ステップS11)。洗浄は、分注機構部3のピペットを介して洗浄液を上方から各ウェルに注入し、ついでタンパク固相用チップの下方から陰圧により注入された洗浄液を多孔質膜を通して吸引することによって行う。以下の洗浄工程も同様である。
つぎに、第1試薬セット部5にセットされた検体容器から発現量測定用の検体をピペットで吸引し、この検体を所定の複数のウェルに注入し、ついでこの検体をタンパク固相用チップの下方から陰圧により吸引する。これにより、タンパク固相用チップの多孔質膜にタンパク質が固相化される(ステップS12)。
ついで、ステップS11と同様にして前記所定のウェル内を洗浄液で洗浄する。これによって、タンパク質以外の成分をタンパク固相用チップの多孔質膜から取り除く(ステップS13)。
その後、ブロッキング液を前記所定のウェル内に注入し、15分以上(例えば、30分間)放置した後にウェル内に残っているブロッキング液を排出する(ステップS14)。これにより、タンパク質が固相化されていない多孔質膜の部位に蛍光標識されたCDK1抗体(蛍光標識CDK1抗体)、蛍光標識されたCDK2抗体(蛍光標識CDK2抗体)、および蛍光標識されたP21抗体(蛍光標識P21抗体)が固相化するのを防止することができる。なお、蛍光標識CDK1抗体、蛍光標識CDK2抗体、および、蛍光標識P21抗体としては、市販品を使用することができる。
つぎに、蛍光標識CDK1抗体、蛍光標識CDK2抗体及び蛍光標識P21抗体をそれぞれ所定のウェルに注入する。その際、それぞれの蛍光標識抗体について、2つのウェルに注入する。20〜30分経過して、蛍光標識抗体と多孔質膜に固相化されたタンパク質(CDK1、CDK2、またはP21)との反応が終了した後に注入した蛍光標識を排出する(ステップS15)。
最後に、ステップS13と同様にして、前記所定のウェル内を洗浄液で洗浄する(ステップS16)。
(5)活性値測定用試料の調製処理
前記ステップS4における活性値測定用試料の調製処理のフローを図19に示す。なお、この活性値測定用試料の調製処理においては、図1に示される活性測定ユニット2として、図中手前側に4つの試料調製部211を備え、図中奥側にも4つの試料調製部211を備えたものが用いられる。この活性測定ユニット2の各試料調製部211を、図中奥側の左から第1試料調製部(Ac1)、第2試料調製部(Ac2)、第3試料調製部(Ac3)、第4試料調製部(Ac4)とし、また、図中手前の左から第5試料調製部(Ac5)、第6試料調製部(Ac6)、第7試料調製部(Ac7)、第8試料調製部(Ac8)とする。
まず、第1〜第8試料調製部(Ac1〜Ac8)のそれぞれについて、液体試料受入部222に、分注機構部3のピペットで洗浄用の試薬であるバッファーを注入する。そして、第1〜第8試料調製部(Ac1〜Ac8)のそれぞれについて、シリンジポンプ214および電磁バルブ224,225が前述したように動作することにより、バッファーは、カラム201に送液される。全てのカラム201中の余剰バッファーは、分注機構部3のピペットで吸引して廃棄する(ステップS21)。
つぎに、免疫沈降(抗体とCDKの反応)をさせる(ステップS22)。まず、第1試薬セット部5にセットされた1つの検体容器から活性値測定用の検体1を一方のピペットで、活性値測定用の検体2を他方のピペットで吸引する。
そして、検体容器から吸引された活性値測定用の検体1は、図20に示されるように、まず、第1試料調製部(Ac1)の液体試料受入部222に注入される。そして、検体1は、シリンジポンプ214および電磁バルブ224,225が前述したように動作することにより、第1試料調製部(Ac1)のカラム201に送液される。その際、ピストン218を上下に1.5往復(排出→吸引→排出)させることにより、検体1は、カラム201の担体206を1.5往復する。
一方、検体容器から吸引された活性値測定用の検体2は、まず、第5試料調製部(Ac5)の液体試料受入部222に注入される。そして、検体2は、上記と同様に、第5試料調製部(Ac5)のカラム201に送液される。
第1試料調製部(Ac1)および第5試料調製部(Ac5)のカラム201の担体206には、CDK1の抗体もCDK2の抗体も固定されていない。従って、第1試料調製部(Ac1)および第5試料調製部(Ac5)では、CDK1およびCDK2は固相化されず、第1試料調製部(Ac1)のカラム201には、CDK1およびCDK2を含む検体1が貯留され、第5試料調製部(Ac5)のカラム201には、CDK1およびCDK2を含む検体2が貯留される。
次に、第1試料調製部(Ac1)のカラム201に貯留された検体1は、ピペットによって吸引され、第3試料調製部(Ac3)の液体試料受入部222に注入される。そして、検体1は、上記と同様に、第3試料調製部(Ac3)のカラム201に送液される。
一方、第5試料調製部(Ac5)のカラム201に貯留された検体2は、ピペットによって吸引され、第4試料調製部(Ac4)の液体試料受入部222に注入される。そして、検体2は、上記と同様に、第4試料調製部(Ac4)のカラム201に送液される。
第3試料調製部(Ac3)および第4試料調製部(Ac4)のカラム201の担体206には、CDK1の抗体が固定されている。従って、第3試料調製部(Ac3)および第4試料調製部(Ac4)では、CDK1は固相化されるが、CDK2は固相化されず、第3試料調製部(Ac3)のカラム201には、CDK1を含まずCDK2を含む検体1が貯留され、第4試料調製部(Ac4)のカラム201には、CDK1を含まずCDK2を含む検体2が貯留される。
次に、第3試料調製部(Ac3)のカラム201に貯留された検体1は、ピペットによって吸引され、第7試料調製部(Ac7)の液体試料受入部222に注入される。そして、検体1は、上記と同様に、第7試料調製部(Ac7)のカラム201に送液される。
一方、第4試料調製部(Ac4)のカラム201に貯留された検体2は、ピペットによって吸引され、第8試料調製部(Ac8)の液体試料受入部222に注入される。そして、検体2は、上記と同様に、第8試料調製部(Ac8)のカラム201に送液される。
第7試料調製部(Ac7)および第8試料調製部(Ac8)のカラム201の担体206には、CDK2の抗体が固定されている。従って、第7試料調製部(Ac7)および第8試料調製部(Ac8)では、CDK2が固相化されるので、第7試料調製部(Ac7)のカラム201には、CDK1もCDK2も含まない検体1が貯留され、第8試料調製部(Ac8)のカラム201には、CDK1もCDK2も含まない検体2が貯留される。
第7試料調製部(Ac7)および第8試料調製部(Ac8)のカラム201に貯留された検体1および検体2は、それぞれピペットによって吸引され、廃液槽7に廃棄される。
そして、第1試料調製部(Ac1)および第5試料調製部(Ac5)は、バックグラウンドの活性測定用に、第3試料調製部(Ac3)および第4試料調製部(Ac4)は、CDK1の活性測定用に、第7試料調製部(Ac7)および第8試料調製部(Ac8)は、CDK2の活性測定用に使用される。
このように、カラム内に残った検体を他のカラムに注入することによって、少ない検体量で、バックグラウンド活性測定、CDK1活性測定およびCDK2活性測定が可能となる。
ついで、検体中の不要成分を洗浄して取り除くために、バッファー1をカラム201に送液する(ステップS23)。
その後、前記バッファー1はステップS25で実行される酵素反応に影響を与えることから、かかる酵素反応のためのコンディションを作ることを主目的に、バッファー2をカラム201に送液して、前記バッファー1の成分を洗い流す(ステップS24)。
つぎに、基質HistonH1とATPγSを含む基質反応液をカラム201に注入し、ピストン219を5.5往復させる(ステップS25)。カラム201中にカラム201の下側から押し出された液は、そのまま貯留される。このステップによって、CDK1又はCDK2を酵素として、HistonH1にリン酸基が導入される。そして、このリン酸基の量は、CDK1又はCDK2の酵素として働きの強さ(すなわち活性値)に左右されることから、前記リン酸基の量を測定することによって、CDK1又はCDK2の活性値を求めることができる。なお、図20に示される第1試料調製部(Ac1)および第5試料調製部(Ac5)を使用して求められるバックグラウンド活性値は、後述するように、バックグラウンド補正をするために用いられる。
ついで、蛍光標識化試薬を、ピペットを用いてカラム201の上方より直接カラム201内に分注し、HistonH1に導入されたリン酸基に蛍光標識を結合させる(ステップS26)。その際、ピペットが、所定の時間、カラム内の液体の吸入及び吐出を繰り返すことによりカラム201内の液体を撹拌する。
ステップS26の開始から所定時間(例えば、20分間)経過後に反応停止液を前記蛍光標識化試薬と同様にカラム201に直接分注する。そして、ステップS26と同じく所定の時間、カラム内の液体の吸入及び吐出を繰り返すことによりカラム201内の液体を撹拌する(ステップS27)。これにより、蛍光標識の結合が停止する。
つぎに、第1試料調製部(Ac1),第3試料調製部(Ac3),第4試料調製部(Ac4),第5試料調製部(Ac5),第7試料調製部(Ac7),および第8試料調製部(Ac8)のカラム201内の液体を、それぞれ、タンパク固相用チップ121の6つのウェルに分注した後に当該タンパク固相用チップ121を下方から吸引する(ステップS28)。これによって、蛍光標識が結合したリン酸基を有するHistonH1がタンパク固相用チップ121の多孔質膜に固相化される。
ついで、前記発現量測定用試料の調製処理におけるステップS11と同様にしてウェルの洗浄を行う(ステップS29)。
最後に、蛍光を活性化させるために、蛍光増強試薬をウェルに分注し、排出する操作を6回繰り返す(ステップS30)。
(6)解析処理
図21に示されるように、検出部で得られた蛍光強度から解析がなされ、その解析結果が出力される。
まず、制御部77は、検出部4の受光系から電子基板部10を介して、CDK1の活性、CDK1の発現、CDK2の活性、CDK2の発現、P21の発現、バックグラウンドの活性、及びバックグラウンドの発現のそれぞれについて、2つずつ蛍光強度を取得する(ステップS31)。
ついで、制御部77は、各項目について2つずつ得られた蛍光強度の平均値を算出する(ステップS32)。
つぎに、CDK1活性の蛍光強度(平均値)からバックグラウンド活性(平均値)を引くとともに、CDK2活性の蛍光強度(平均値)からバックグラウンド活性(平均値)を引くことにより、CDK1活性及びCDK2活性についてバックグラウンド補正を行う。CDK1発現、CDK2発現およびP21発現についても同様にしてバックグラウンド補正を行う(ステップS33)。
ついで、それぞれの項目について、検量線を用いて発現量および活性値を取得する(ステップS34)。なお、この検量線は、蛍光強度を発現量または活性値に変換するためのデータであり、試薬のロットが変更されたときに、発現量または活性値が既知である2種類以上の検体を用いて予め作成され、制御部77のRAM91cに記憶される。
つぎに、以下の式に従い、CDK1比活性及びCDK2比活性を算出する(ステップS35)。
CDK1比活性=CDK1活性値/CDK1発現量
CDK2比活性=CDK2活性値/CDK2発現量
また、以下の式に従いCDK1比活性とCDK2比活性との比を算出する(ステップS36)。
CDK1比活性とCDK2比活性との比=CDK2比活性/CDK1比活性
ついで、前記CDK1比活性とCDK2比活性との比が第1の閾値以上であるか否かが判断され(ステップS37)、CDK1比活性とCDK2比活性との比が第1の閾値以上の場合は、癌の再発リスクが高いと判定し、前記比が第1の閾値よりも小さい場合は、癌の再発リスクが低いと判定する。
そして、再発リスクの大きさを判定する根拠となるCDK1発現量、活性値、比活性、CDK2発現量、活性値、比活性、CDK1比活性とCDK2比活性との比を表示するとともに、再発リスクの判定結果を表示する(ステップS38)。
図22は図21に示される解析処理の他の実施例のフローを示す図である。本例においては、ステップS40において、タキサン系抗癌剤の感受性を判定している。
この実施例に示される解析処理において、ステップS31からステップS36は、図21に示される解析処理と同じである。
ついで、前記CDK1比活性とCDK2比活性との比が第2の閾値以上であるか否かが判断され(ステップS39)、CDK1比活性とCDK2比活性との比が第2の閾値以上の場合は、癌の再発リスクが高いと判定し、前記比が第2の閾値よりも小さい場合は、癌の再発リスクが低いと判定する。
CDK1比活性とCDK2比活性との比が第2の閾値以上の場合は、前記CDK1比活性とCDK2比活性との比が第3の閾値以上であるか否かが判断され(ステップS40)、CDK1比活性とCDK2比活性との比が第3の閾値以上の場合は、抗癌剤に対する感受性が高い、即ち抗癌剤が有効であると判定し、一方、CDK1比活性とCDK2比活性との比が第3の閾値よりも小さい場合は、抗癌剤に対する感受性が中位であると判定する。なお、第3の閾値としては、第2の閾値よりも大きい値が使用される。また、第2の閾値としては、第1の閾値と同じ値を用いることが好ましい。
そして、以上の各判定をする根拠となるCDK1発現量、活性値、比活性、CDK2発現量、活性値、比活性、CDK1比活性とCDK2比活性との比を表示するとともに、再発リスクの判定結果又は感受性の判定結果を表示する(ステップS41)。この判定結果としては、例えば、「再発リスクが低い」、「再発リスクが高く、抗癌剤感受性が高い」、および、「再発リスクが高く、抗癌剤感受性が中位」の3種類を表示することができる。
(7)判定結果の利用例
図22に示すステップS41で表示された判定結果を医師がどのように利用するのかを図23に示す。
患者に対して画像診断で乳癌の可能性を確認し、バイオプシーによる病理組織診または細胞診で癌を確定する。病理組織診の結果、癌が早期癌であると診断された場合は、癌組織の摘出手術を行い、摘出された組織に対して判定装置Aによる組織性質の判定を行う。判定装置Aによる組織性質の判定の結果、癌がローリスク群に属する(判定装置Aに表示された判定結果が「再発リスクが低い」)と判明した場合は、医者により治療1(ホルモン療法剤の単独使用)が選択され、Taxane(タキサン)系抗癌剤の使用が有効であるTaxane(タキサン)感受性群(判定装置Aに表示された判定結果が「再発リスクが高く、抗癌剤感受性が高い」)に属する場合は、治療2(ホルモン療法剤とタキサン系抗癌剤の併用)が選択される。なお、判定装置Aに表示された判定結果が「再発リスクが高く、抗癌剤感受性が中位」の場合は、Taxane(タキサン)が有効であるとは言い切れないため、医師の判断により、治療2(ホルモン療法剤とタキサン系抗癌剤の併用)または、治療3(ホルモン療法剤とTaxane(タキサン)以外の化学抗癌剤の併用)が選択される。
また、病理組織診において、進行癌であると診断された場合は、医者と患者とで術前化学療法(摘出手術前の化学抗癌剤治療)を行うか否かが検討される。術前化学療法を行う場合には、抗癌剤(Taxane)に24時間浸漬したバイオプシーサンプルに対して判定装置Aによる抗癌剤感受性の判定を行う。判定装置Aに表示された判定結果が「抗癌剤感受性が高い」の場合は、治療2(ホルモン療法剤とタキサン系抗癌剤の併用)が選択される。なお、判定装置Aに表示された判定結果が「抗癌剤感受性が中位」の場合は、Taxane(タキサン)が有効であるとは言い切れないため、医師の判断により、治療2(ホルモン療法剤とタキサン系抗癌剤の併用)または、治療3(ホルモン療法剤とTaxane(タキサン)以外の化学抗癌剤の併用)が選択される。このような術前化学療法を行うことにより、癌組織を抗癌剤で縮小させた後に摘出することができる。
術前化学療法を行わない場合には、摘出手術が行われ、摘出された癌組織に対して判定装置Aによる抗癌剤感受性の判定を行う。判定装置Aに表示された判定結果が「抗癌剤感受性が高い」の場合は、治療2(ホルモン療法剤とタキサン系抗癌剤の併用)が選択される。なお、判定装置Aに表示された判定結果が「抗癌剤感受性が中位」の場合は、Taxane(タキサン)が有効であるとは言い切れないため、医師の判断により、治療2(ホルモン療法剤とタキサン系抗癌剤の併用)または、治療3(ホルモン療法剤とTaxane(タキサン)以外の化学抗癌剤の併用)が選択される。
図24は、感受性の解析に関する他の実施例を示している。この例もタキサン系抗癌剤の感受性を判定しており、CDK2比活性と閾値である「400」との比較を行い(ステップS50)、CDK2比活性が400以上である場合は、感受性が高いタイプIと判定し、CDK2比活性が400未満である場合は、p21の発現量と閾値である「8」との比較を行う(ステップS51)。p21の発現量が8以上のときは、感受性が低いタイプIIIと判定し、p21の発現量が8未満のときは、感受性が中位であるタイプIIと判定する。なお、この実施例において、前記CDK2比活性及びp21の発現量の各閾値は、予め蓄積された患者データ等に基づいて設定することができる。
図25は、感受性の解析に関するさらに他の実施例を示している。この実施例では、サイクリン(Cyclin)Eの発現量と、CDK2の比活性とに基づいて、CE(抗癌剤)の感受性を判定している。具体的には、CDK2比活性とサイクリン(Cyclin)Eの発現量との比を所定の閾値と比較することによって、CE(抗癌剤)の感受性を判定している。なお、サイクリン(Cyclin)Eの発現量は、試薬を適宜変更することによって、CDK1の発現量と同様にして測定することができる。
図26は、感受性の解析に関するさらに他の実施例を示している。この実施例では、CDK1比活性を所定の閾値と比較することによって、CMF(抗癌剤)の感受性を判定している。この例において、患者No.1〜16は、摘出手術後CMF(抗癌剤)の投与治療を受けた結果癌の再発が認められなかった患者であり、患者No.17〜25は、CMF(抗癌剤)の投与治療にもかかわらず癌が再発した患者である。この場合、閾値(カットオフ値)として「90」を設定すると、CDK1比活性が90以上の8例(No.1、6、9、11〜15)はいずれも再発しなかった例となるので、90という閾値が適切であることが分かる。なお判定には、摘出されて冷凍保存されていた組織を用いた。
図27は図21に示される解析処理のさらに他の実施例のフローを示す図である。この実施例に示される解析処理は、ステップS31からステップS36は、図21に示される解析処理と同じである。この実施例に示される解析処理では、ステップS42で、ステップS2で選択されたモードが、予後予測モードであるか、感受性モードであるかの判断をし、予後予測モードの場合は、前記CDK1比活性とCDK2比活性との比が第4の閾値以上であるか否かが判断され(ステップS43)、感受性モードの場合は、CDK2比活性が第5の閾値以上であるか否かが判断される(ステップS45)。
ステップS43において、CDK1比活性とCDK2比活性との比が第4の閾値以上の場合は、再発リスクが高いと判定し、前記比が第4の閾値よりも小さい場合は、再発リスクが低いと判定する。
そして、再発リスクが高いと判定された場合、感受性モードを実行するか否かを判断する処理が実行される(ステップS44)。具体的には、パーソナルコンピュータ12の表示部79上に、感受性モードを実行するか、再発リスクの判定結果のみを表示するかを選択するためのボタンを表示し、オペレータからの入力を受け付ける処理が実行される。
ステップS44において、感受性モードを実行すると判断された場合は、処理はステップS45に進み、感受性モードを実行しない(再発リスクの判定結果のみを表示する)と判断された場合は、処理は、ステップS48に進む。
また、ステップS45において、CDK2比活性が第5の閾値以上である場合は、感受性が高い、即ち抗癌剤が有効であると判定し、一方、CDK2比活性が第5の閾値よりも小さい場合は、P21発現量と第6の閾値との比較を行う(ステップS46)。
そして、P21発現量が第6の閾値よりも小さい場合は、感受性が低いと判定し、P21発現量が第6の閾値以上である場合は、CDK1比活性と第7の閾値との比較を行う(ステップS47)。CDK1比活性が第7の閾値よりも小さい場合は、感受性がやや低いと判定し、CDK1比活性が第7の閾値以上である場合は、感受性が中位であると判定する。
そして、以上の各判定をする根拠となるCDK1発現量、活性値、比活性、CDK2発現量、活性値、比活性、CDK1比活性とCDK2比活性との比、及びP21発現量を表示するとともに、選択されている選択モードに応じて、再発リスクの判定結果又は感受性の判定結果を表示する(ステップS48)。
なお、第4から第7の閾値としては、PCT/JP2005/009847に記載されている閾値および特願2005−158373に記載されている閾値を使用することができる。また、第4の閾値としては、前述した第1の閾値と同じ値を用いることが好ましい。
図28は図27に示される解析処理の他の実施例のフローを示す図である。この実施例では、図17におけるステップS1において、モードの選択を受け付ける処理は含まれず、ステップS61において再発リスクの判定を行って、再発リスクが高いと判定された検体についてのみ、抗癌剤の感受性の判定(ステップS62)が行われる。その他のステップについては、図27と同様である。
なお、上記の実施形態においては、判定装置Aは、再発リスクの判定および抗癌剤の感受性の判定が可能であるが、本発明はこれに限らず、いずれか一方のみが可能な判定装置に本発明を適用してもよい。
本発明の判定装置の一実施の形態の斜視説明図である。 図1に示される判定装置におけるチップセット部の上面図である。 図2のA−A矢視断面図である。 図1に示される判定装置におけるチップセット部にセットされるタンパク固相用チップの上テンプレートの上面図である。 図4のB−B矢視断面図である。 図1に示される判定装置におけるチップセット部にセットされるタンパク固相用チップの下テンプレートの上面図である。 図6のC−C矢視断面図である. 図4の上テンプレートと図6の下テンプレートの組立断面図である。 図1に示される判定装置における活性測定ユニットの試料調製部のカラムの断面説明図である。 図1に示される判定装置における活性測定ユニットの試料調製部の斜視図である。 図10に示される試料調製部の流体マニホールドの上面図である。 図11のD−D矢視断面図である。 図10に示される試料調製部の流体回路図である。 制御手段のハードウェア構成を示すブロック図である。 判定装置を制御する制御系を示すブロック図である。 細胞周期を説明するための図である。 判定装置による処理の全体フローを示す図である。 発現量測定用試料の調製処理のフローを示す図である。 活性値測定用試料の調製処理のフローを示す図である。 本発明に係る測定方法おいて試薬等の利用例を示す説明図である、 判定装置による解析処理の一例の全体フローを示す図である。 判定装置による解析処理の他の例の全体フローを示す図である。 本発明に係る測定方法おいて得られた判定結果の利用例を示す図である。 感受性の解析に関する他の実施例を示す図である。 感受性の解析に関するさらに他の実施例を示す図である。 感受性の解析に関するさらに他の実施例を示す図である。 判定装置による解析処理の他の例の全体フローを示す図である。 判定装置による解析処理の他の例の全体フローを示す図である。
符号の説明
1チップセット部
2活性測定ユニット
3分注機構部
4検出部
5第1試薬セット部
6第2試薬セット部
7廃液槽
8ピペット洗浄槽
9流体部
10電子基板部
11空圧源
12パーソナルコンピュータ(制御手段)
13純水タンク
14洗浄液タンク
15廃液タンク
20装置本体部
30筐体部
31操作部
32駆動部
33検体セット部
34ペッスル
77制御部
78入力部
79表示部
A判定装置
B可溶化装置

Claims (24)

  1. 生体から採取した組織の性質を判定する組織性質判定装置であって、
    前記組織から調製した試料に含まれる第1サイクリン依存性キナーゼの活性を反映する第1データを取得する第1データ取得手段と、
    前記第1サイクリン依存性キナーゼの発現量を反映する第2データを取得する第2データ取得手段と、
    前記第1データ及び第2データより得られる第1の値に基づいて組織の性質に関する情報を取得する解析手段と
    を備えることを特徴とする組織性質判定装置。
  2. 前記試料に含まれる第2サイクリン依存性キナーゼの活性を反映する第3データを取得する第3データ取得手段と、
    前記第2サイクリン依存性キナーゼの発現量を反映する第4データを取得する第4データ取得手段と
    をさらに備えており、
    前記解析手段が、前記第1の値を取得する第1値取得手段と、第3データ及び第4データに基づいて第2の値を取得する第2値取得手段とを備え、前記第1の値と第2の値に基づいて組織の性質に関する情報を取得する請求項1に記載の組織性質判定装置。
  3. 前記解析手段が、前記第1の値と前記第2の値との比を第1の閾値と比較することによって組織の性質に関する情報を取得する請求項2に記載の組織性質判定装置。
  4. 前記解析手段が、前記第1データから第1サイクリン依存性キナーゼの活性値を取得する第1活性値取得手段と、前記第2データから第1サイクリン依存性キナーゼの発現量を取得する第1発現量取得手段と、前記第3データから第2サイクリン依存性キナーゼの活性値を取得する第2活性値取得手段と、前記第4データから第2サイクリン依存性キナーゼの発現量を取得する第2発現量取得手段とを備えており、第1サイクリン依存性キナーゼの活性値と、第1サイクリン依存性キナーゼの発現量とに基づいて前記第1の値を取得するとともに、第2サイクリン依存性キナーゼの活性値と、第2サイクリン依存性キナーゼの発現量とに基づいて前記第2の値を取得する請求項2又は3に記載の組織性質判定装置。
  5. 第1データを第1サイクリン依存性キナーゼの活性値に変換するための第1変換データと、第2データを第1サイクリン依存性キナーゼの発現量に変換するための第2変換データと、第3データを第2サイクリン依存性キナーゼの活性値に変換するための第3変換データと、第4データを第2サイクリン依存性キナーゼの発現量に変換するための第4変換データとを記憶する変換データ記憶手段をさらに備えており、
    前記第1活性値取得手段が、前記第1変換データに基づいて第1データから第1サイクリン依存性キナーゼの活性値を取得し、
    前記第1発現量取得手段が、前記第2変換データに基づいて第2データから第1サイクリン依存性キナーゼの発現量を取得し、
    前記第2活性値取得手段が、前記第3変換データに基づいて第3データから第2サイクリン依存性キナーゼの活性値を取得し、
    前記第2発現量取得手段が、前記第4変換データに基づいて第4データから第2サイクリン依存性キナーゼの発現量を取得する請求項4に記載の組織性質判定装置。
  6. 前記解析手段が、第1サイクリン依存性キナーゼの活性値と、第1サイクリン依存性キナーゼの発現量との比を前記第1の値として取得するとともに、第2サイクリン依存性キナーゼの活性値と、第2サイクリン依存性キナーゼの発現量との比を前記第2の値として取得する請求項4又は5に記載の組織性質判定装置。
  7. 前記第1サイクリン依存性キナーゼがCDK1であり、前記第2サイクリン依存性キナーゼがCDK2である請求項2〜6のいずれかに記載の組織性質判定装置。
  8. 前記組織の性質が、組織に含まれる細胞の増殖能又は悪性度である請求項1〜7のいずれかに記載の組織性質判定装置。
  9. 前記細胞の増殖能又は悪性度に関する情報が、治療方法の判定に用いられる情報である請求項8に記載の組織性質判定装置。
  10. 前記解析手段が、前記第1の値を第2の閾値と比較することによって組織の性質に関する情報を取得する請求項1に記載の組織性質判定装置。
  11. 前記解析手段が、前記第1データから第1サイクリン依存性キナーゼの活性値を取得する第1活性値取得手段と、前記第2データから第1サイクリン依存性キナーゼの発現量を取得する第1発現量取得手段とを備えており、第1サイクリン依存性キナーゼの活性値と、第1サイクリン依存性キナーゼの発現量とに基づいて前記第1の値を取得する請求項1又は10に記載の組織性質判定装置。
  12. 第1データを第1サイクリン依存性キナーゼの活性値に変換するための第1変換データと、第2データを第1サイクリン依存性キナーゼの発現量に変換するための第2変換データとを記憶する変換データ記憶手段をさらに備えており、
    前記第1活性値取得手段が、前記第1変換データに基づいて第1データから第1サイクリン依存性キナーゼの活性値を取得し、
    前記第1発現量取得手段が、前記第2変換データに基づいて第2データから第1サイクリン依存性キナーゼの発現量を取得する請求項11に記載の組織性質判定装置。
  13. 前記解析手段が、第1サイクリン依存性キナーゼの活性値と、第1サイクリン依存性キナーゼの発現量との比を前記第1の値として取得する請求項11又は12に記載の組織性質判定装置。
  14. CDKインヒビターの発現量を反映する第5データを取得する第5データ取得手段をさらに備えており、
    前記解析手段が、前記第1の値と、前記第5データに基づいて得られる第3の値とに基づいて、組織の性質に関する情報を取得する請求項1、10、11、12又は13に記載の組織性質判定装置。
  15. 前記解析手段が、前記第5データからCDKインヒビターの発現量を取得する第3発現量取得手段を備え、前記第1の値と、前記CDKインヒビターの発現量とに基づいて組織の性質に関する取得を取得する請求項14に記載の組織性質判定装置。
  16. 前記解析手段が、前記第1の値を第2の閾値と比較するとともに、前記CDKインヒビターの発現量を第3の閾値と比較することによって組織の性質に関する情報を取得する請求項15に記載の組織性質判定装置。
  17. 前記組織の性質が、刺激物質に対する感受性である請求項1、10、11、12、13、14、15又は16に記載の組織性質判定装置。
  18. 前記刺激物質に対する感受性の情報が、抗癌剤の使用の判定に用いられる情報である請求項17に記載の組織性質判定装置。
  19. 所定の基質を含む基質溶液と、前記試料とを接触させる第1接触手段をさらに備えており、
    前記第1データ取得手段が、前記基質溶液が組織に含まれる第1サイクリン依存性キナーゼと接触することによって生成される物質に付加された第1標識を検出することによって前記第1データを取得する請求項1〜18のいずれかに記載の組織性質判定装置。
  20. 第1サイクリン依存性キナーゼの抗体含む抗体溶液と、前記試料とを接触させる第2接触手段をさらに備えており、
    前記第2データ取得手段が、前記抗体に付加された第2標識を検出することによって前記第2データを取得する請求項1〜19のいずれかに記載の組織性質判定装置。
  21. 複数の動作モードで動作可能であり、組織の性質を判定する組織性質判定装置であって、
    サイクリン依存性キナーゼの活性又は発現量を反映する複数のデータを取得するデータ取得手段と、
    このデータ取得手段によって取得される複数のデータに基づいて組織に含まれる細胞の増殖能又は悪性度に関する情報を取得する第1解析手段と、
    前記データ取得手段によって取得される複数のデータに基づいて組織の刺激物質に対する感受性に関する情報を取得する第2解析手段と、
    前記第1解析手段又は第2解析手段を選択し、選択した解析手段を動作させるモード選択手段と
    を備えることを特徴とする組織性質判定装置。
  22. 前記複数のデータが、サイクリン依存性キナーゼの活性を反映する複数の第1データと、当該サイクリン依存性キナーゼの発現量を反映する複数の第2データとを含む請求項21に記載の組織性質判定装置。
  23. 前記複数の第1データが、第1サイクリン依存性キナーゼの活性を反映する第3データと、当該第1サイクリン依存性キナーゼの発現量を反映する第4データとを含み、
    前記複数の第2データが、第2サイクリン依存性キナーゼの活性を反映する第5データと、当該第2サイクリン依存性キナーゼの発現量を反映する第6データとを含み、
    前記第1解析手段が、前記第3、第4、第5及び第6データに基づいて、細胞の増殖能又は悪性度に関する情報を取得する請求項22に記載の組織性質判定装置。
  24. 組織の性質を判定する組織性質判定装置であって、
    前記組織から調製した試料に含まれる第1サイクリン依存性キナーゼの活性を反映する第1データを取得する第1データ取得手段と、
    前記試料に含まれる第1サイクリン依存性キナーゼの発現量を反映する第2データを取得する第2データ取得手段と
    前記第1データ取得手段による第1データの取得のために組織に所定の処理を施す第1試料処理手段と、
    前記第2データ取得手段による第2データの取得のために組織に所定の処理を施す第2試料処理手段と、
    前記第1データ及び第2データに基づいて組織の性質に関する情報を取得する解析手段と、
    第1試料処理手段による処理と、第2試料処理手段による処理とが並行して行われるように、当該第1試料処理手段及び第2試料処理手段の動作を制御する制御手段と
    を備えることを特徴とする組織性質判定装置。
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