JP2002334487A - 光情報記録媒体用スタンパの製造方法及び光ディスク用基板 - Google Patents

光情報記録媒体用スタンパの製造方法及び光ディスク用基板

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JP2002334487A
JP2002334487A JP2001401610A JP2001401610A JP2002334487A JP 2002334487 A JP2002334487 A JP 2002334487A JP 2001401610 A JP2001401610 A JP 2001401610A JP 2001401610 A JP2001401610 A JP 2001401610A JP 2002334487 A JP2002334487 A JP 2002334487A
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Yuzuru Kudo
譲 工藤
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Ricoh Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 低欠陥・低コストな光情報記録媒体用スタン
パの製造方法及びこれにより製造される光用ディスク基
板を提供する。 【解決手段】 ニッケルスパッタのスパッタパワーを
1.2KW以上、アルゴン流量を0.5Pa未満とし、
形成される導電皮膜6の膜厚は50nm〜150nmの
範囲とする。また、ニッケル電鋳時には無通電時間を作
らず、通電開始から3分間以上、0.1A/dm
0.5A/dmの範囲で弱通電する。弱通電後、電流
値上昇時には、通電電流値の上昇勾配を1分当たり1A
/dm〜2.5A/dm の範囲とする。さらに、ガ
ラス原盤1の厚さを5mm〜10mmの範囲とする。さ
らに、スタンパ8の情報パタン面側に、照度3mW/c
以上、紫外線積算光量1J/cm以上、酸素流入
圧力0.1MPa以上の紫外線オゾン処理を施し、処理
後、5分以内に15℃〜30℃の範囲の純水で洗浄す
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、半導体プロセスに
おける情報パタン形成方法等に用いられる、光情報記録
媒体用スタンパの製造方法、及びこれにより製造される
光ディスク用基板に関するものである。
【0002】
【従来の技術】光ディスク用原盤には、スパイラル状又
は同心円上に、トラッキング用の案内溝やアドレス・デ
ータを表す凹凸のピットが予め形成されている。このよ
うな案内溝やピットのパタンは、原盤となるガラス基板
状にフォトレジスト層を形成し、原盤露光装置の対物レ
ンズで形成すべきパタンに応じて強度変調された光ビー
ムを収束してフォトレジスト層を露光し、その後現像す
ることによって得ることができる。一般的にフォトレジ
ストは、露光による光架橋反応と熱架橋反応により潜像
が形成されるため、ビームスポット径よりも1割〜2割
程度、開口部の溝幅は広くなる。また、集光ビームの光
強度分布がガウス分布であるため、フォトレジストに形
成された溝は台形形状となる。
【0003】台形形状の溝の問題点は、トラックピッチ
が狭くなると、溝の開口部が隣接トラック間で干渉しあ
い、溝と溝との間の平坦部分(ランド)の高さが減少
し、溝の深さをフォトレジストの膜厚で制御できなくな
る点である。また、ランドが平坦でないスタンパから作
製された光情報記録媒体は、隣接トラックからのクロス
トーク信号が増加し、記録特性(特にジッタ特性)が低
下する問題がある。このため、トラックピッチが狭い大
容量の光情報記録媒体用スタンパでは、溝幅が狭く、溝
断面が矩形である必要がある。フォトレジストに形成す
る溝を狭くするには、露光ビームの波長を短く、対物レ
ンズの開口数(以下、NAと記す)を大きくすればよい
が、露光時の焦点深度が小さくなるため、溝形状の変動
が懸念される。そこで、ガラス原盤上に水溶性樹脂層
(下層)を形成し、その上にフォトレジスト層を形成し
てから露光・現像すると同時に、フォトレジスト層をマ
スク層として下層のエッチングを行い、その後フォトレ
ジスト層を除去することによって、短波長と高NAにせ
ずとも、露光ビームスポット以下の細い溝断面が得られ
る、いわゆるレジストマスク法という技術がある。
【0004】一般の、フォトレジストを使用してのスタ
ンパ作製技術では、ニッケル電鋳前にガラス原盤表面に
導電皮膜を形成する必要がある。そのために以下の例の
ような技術がある。特開平5−205321号公報で
は、光(磁気)ディスク成形用スタンパの電鋳加工におい
て、電鋳加工初期に発生する導電膜の剥離欠陥を防止す
るために、ガラス原盤にアルゴンガス圧8mtorr
(1.1Pa)、入射出力1KWでニッケルをスパッタ
し、ニッケル膜厚を200〜350Å、引っ張りの内部
応力が7×10/cm(7×10N/cm)以上
とした技術を提案している。また、特開平11−766
2号公報では、高密度大容量の光ディスク用スタンパを
歩留りよく製造する技術として、ガラス原盤上に化学増
幅タイプのフォトレジストをスピンコートして遠紫外レ
ーザ光でパタン露光した後、ガラス原盤をベーキングし
てからアルカリ現像液にてパタン形成を行い、さらにレ
ジスト表面にスパッタリング圧力0.5〜2.0Paの成
膜条件によるスパッタ法で30〜100nmのニッケル
薄膜を積層してから、ニッケル電解メッキを行いスタン
パを作製する技術を提案している。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】レジストマスク法の場
合、水溶性樹脂を用いて情報パタンを形成しているた
め、導電皮膜が透水性だとニッケル電鋳時に水溶性樹脂
層(下層)が電鋳液中の水分によって侵され、導電皮膜
が剥離するという大きな問題が起こる。しかし、前述の
技術によるスパッタ法で形成された導電皮膜では、水に
対する遮断性が十分ではなく、電鋳時に導電皮膜が剥離
を起こすおそれが大いにある。また、導電皮膜剥離を防
止するための、電鋳に関する具体的な手法は述べられて
いない。
【0006】上記問題点に鑑み、本発明の課題は、水溶
性樹脂を用いたレジストマスク法によって情報パタンを
形成されたガラス原盤からスタンパを作製する工程にお
いて、ニッケル電鋳時に導電皮膜の剥離を起こしたりス
タンパが反ったりすることなく、且つ、低欠陥・低コス
トに、光情報記録媒体用スタンパを提供することであ
る。また、スタンパの情報パタン面側に付着した有機物
系の付着残渣を分解して遊離させ、環境に悪影響を与え
ずに確実に除去することができ、且つ、情報パタンの微
細溝を損なうことのない、光情報記録媒体用スタンパの
製造方法を提供することである。
【0007】さらに、本発明の課題は、上記製造方法に
より作製された光情報記録媒体用スタンパを用い、低欠
陥・低コストで製造できる、大容量の光ディスク用基板
を提供することである。
【0008】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
に、請求項1記載の本発明は、ガラス原盤上に、水溶性
樹脂にて下層を形成する工程と、前記下層を熱処理する
工程と、前記下層上にフォトレジスト層を形成する工程
と、前記フォトレジスト層を熱処理する工程と、前記フ
ォトレジスト層へ露光する工程と、前記フォトレジスト
層を現像・洗浄すると同時に、エッチングにより下層に
情報パタンを形成する工程と、前記フォトレジスト層を
除去する工程と、前記下層表面にニッケルスパッタで導
電皮膜を形成する工程と、前記導電皮膜上にニッケルの
電鋳層を積層する工程と、前記電鋳層を導電皮膜と一体
にガラス原盤から剥離してスタンパとする工程と、前記
スタンパの情報パタン面側の付着残渣を洗浄除去する工
程と、前記スタンパを裏面研磨・内外径加工してマスタ
スタンパ盤を作製する工程を有することを特徴とする光
情報記録媒体用スタンパの製造方法とする。
【0009】また、請求項2記載の本発明は、請求項1
記載の光情報記録媒体用スタンパの製造方法において、
ニッケルスパッタによる導電被膜形成工程のスパッタパ
ワーが1.2KW以上であることを特徴とする光情報記
録媒体用スタンパの製造方法とする。さらに、請求項3
記載の本発明は、請求項1または2記載の光情報記録媒
体用スタンパの製造方法において、ニッケルスパッタに
よる導電被膜形成工程のアルゴン流量が0.5Pa未満
であることを特徴とする光情報記録媒体用スタンパの製
造方法とする。請求項4記載の本発明は、請求項1乃至
3のいずれかに記載の光情報記録媒体用スタンパの製造
方法において、形成される導電皮膜の膜厚が50nm〜
150nmの範囲であることを特徴とする光情報記録媒
体用スタンパの製造方法とする。
【0010】請求項5記載の本発明は、請求項1乃至4
のいずれかに記載の光情報記録媒体用スタンパの製造方
法において、ニッケル電鋳工程には無通電時間を作ら
ず、電鋳槽に入槽と同時に通電を開始し、通電開始から
3分間以上、0.1A/dm 〜0.5A/dmの範
囲で弱通電することを特徴とする光情報記録媒体用スタ
ンパの製造方法とする。請求項6記載の本発明は、請求
項1乃至5のいずれかに記載の光情報記録媒体用スタン
パの製造方法において、ニッケル電鋳工程の弱通電後、
電流値を上昇させる時に、通電電流値の上昇勾配を1分
当たり1A/dm〜2.5A/dmの範囲とするこ
とを特徴とする光情報記録媒体用スタンパの製造方法と
する。請求項7記載の本発明は、請求項1乃至6のいず
れかに記載の光情報記録媒体用スタンパの製造方法にお
いて、ガラス原盤の厚さを5mm〜10mmの範囲とす
ることを特徴とする光情報記録媒体用スタンパの製造方
法とする。
【0011】請求項8記載の本発明は、請求項1乃至7
のいずれかに記載の光情報記録媒体用スタンパの製造方
法において、スタンパの情報パタン面側の付着残渣を洗
浄除去する工程で、スタンパの情報パタン面側に紫外線
オゾン処理を施すことを特徴とする光情報記録媒体用ス
タンパの製造方法とする。請求項9記載の本発明は、請
求項1乃至8のいずれかに記載の光情報記録媒体用スタ
ンパの製造方法において、紫外線オゾン処理での紫外線
照射の照度を3mW/cm以上とすることを特徴とす
る光情報記録媒体用スタンパの製造方法とする。請求項
10記載の本発明は、請求項1乃至9のいずれかに記載
の光情報記録媒体用スタンパの製造方法において、紫外
線オゾン処理での紫外線積算光量を1J/cm以上と
することを特徴とする光情報記録媒体用スタンパの製造
方法とする。請求項11記載の本発明は、請求項1乃至
10のいずれかに記載の光情報記録媒体用スタンパの製
造方法において、紫外線オゾン処理でのオゾン発生のた
めの酸素流入圧力を0.1MPa以上とすることを特徴
とする光情報記録媒体用スタンパの製造方法とする。
【0012】請求項12記載の本発明は、請求項1乃至
11のいずれかに記載の光情報記録媒体用スタンパの製
造方法において、紫外線オゾン処理後、スタンパの情報
パタン面側を5分以内に純水による流水で洗浄すること
を特徴とする光情報記録媒体用スタンパの製造方法とす
る。請求項13記載の本発明は、請求項1乃至12のい
ずれかに記載の光情報記録媒体用スタンパの製造方法に
おいて、紫外線オゾン処理後の洗浄に使用する純水の温
度を15℃〜30℃の範囲とすることを特徴とする光情
報記録媒体用スタンパの製造方法とする。請求項14記
載の本発明は、請求項1乃至13のいずれかに記載の光
情報記録媒体用スタンパの製造方法により製造された光
情報記録媒体用スタンパを用いて、形成される ことを
特徴とする光ディスク用基板とする。
【0013】
【発明の実施の形態】本発明の実施の形態を図に基づい
て説明する。図1は原盤からスタンパ作製までの工程を
示す概略断面図である。まず、図1には図示しないが、
原盤洗浄について説明する。円盤状の研磨ガラス原盤に
対する水溶性樹脂の塗布性を向上させるために、UV/
と呼ばれる紫外線オゾン処理装置で約2分間表面処
理することにより、ガラス原盤表面の有機物を除去する
と同時に、表面に酸化皮膜を形成する。この効果で、ガ
ラス原盤に対する水溶性樹脂の塗れ性が向上し、水溶性
樹脂の膜厚を均一化できると共に、水溶性樹脂とガラス
原盤の密着性が強まる。ここで、水に対する濡れ性(親
水性)が向上できる方法であれば、オゾン処理以外の方
法でも代用が可能である。例えば、イソプロピルアルコ
ールなどの溶剤で表面を洗浄した後、十分に純水で洗浄
しておけば、ガラス表面を親水性に置換することができ
る。しかし、有機物の除去性に優れている点や、薬品等
を使わない点、環境への影響、コスト、作業性の点で、
紫外線オゾン処理が最も優れた方式である。その後高圧
純水シャワーや超音波を印加した純水シャワーによっ
て、ガラス原盤表面に浮いた不純物を完全に洗浄除去し
たあと、高速回転振り切り及びNブローによって乾燥
させる。なお、ガラス原盤の厚さは、あまり薄すぎると
後のニッケル電鋳時に内部応力によってガラス原盤が反
ってしまうし、厚すぎると重くなって作業性に支障を来
すので、5mm〜10mmの範囲とする。
【0014】図1(a)に基づき、下層の形成について
説明する。表面処理されたガラス原盤1に、水溶性樹脂
をスピンコートし、加熱乾燥・冷却することによって、
水溶性樹脂層である下層2を形成する。この加熱処理に
より水溶性樹脂の耐水性がある程度高まるため、現像・
リンス工程でのサイドエッチングによる下層剥離を防止
することができる。この時、塗布された下層2の膜厚
は、スタンパ表面に形成する溝深さと同じ値に設定する
必要がある。水溶性樹脂としては、ポリビニルアルコー
ル、メチルセルロース、ポリビニルピロリドンのいずれ
かを用いる。特にポリビニルアルコールは、ケン化度が
高い程耐水性が高くなる性質を利用して、現像・リンス
工程における水に対する溶解速度を制御することも可能
である。さらに、これら水溶性樹脂は、加熱処理条件
(温度と時間)を調節することにより、水に対する溶解
速度を制御できるため、下層に形成される溝形状の品質
を安定化させることができる。通常はオーブン中で16
0℃〜240℃、30分間の加熱処理を施せばよい。
【0015】図1(b)に基づき、フォトレジスト層の
形成について説明する。下層2を形成されたガラス原盤
1表面に、フォトレジストをスピンコートし、加熱乾燥
・冷却することによって、フォトレジスト層3を形成す
る。加熱条件は、オーブンで90℃〜130℃、30分
である。フォトレジスト材料としては、例として東京応
化製のポジ型i線系フォトレジストといった高解像度タ
イプが適している。フォトレジスト層3の膜厚は、厚す
ぎると大きな露光パワーが必要となり、薄すぎるとマス
ク層としての役割を果たさないので、100nm〜20
0nmの範囲になるように調整する。
【0016】図1(c)、(d)に基づき、露光手段に
ついて説明する。フォトレジスト層3を製作したガラス
原盤に、所定の情報パタンをKrガスレーザにより露光
する。ガラス原盤1を回転横送りしながら露光すること
により、フォトレジスト層3にはスパイラル状の潜像が
形成される。露光光量の調整で、図1(d)で示したよう
に、フォトレジスト層3に形成される溝の底幅(W
bot)を制御できる。なお、露光用光学装置の概略図
を図2に示す。
【0017】図1(d)、(e)に基づき、現像及び洗
浄について説明する。露光されたガラス原盤1をアルカ
リ性の現像液で現像し、純水で洗浄後、高速回転で振り
切り乾燥を行う。まず、図1(d)に示すように、現像
処理によってフォトレジスト層3の露光された部分(潜
像が形成された部分)が除去され、マスク層が形成され
る。さらに現像・純水洗浄が進むと下層2のエッチング
が開始され、図1(e)に示すように下層2にはフォト
レジスト層3の溝の底幅(Wbot)と同じ溝幅を有す
る矩形溝が形成される。最後に高速回転で振り切り乾燥
をする。水溶性樹脂は純水の温度が低いほど溶解速度が
遅くなるため、この特性を利用して洗浄に使用する純水
の温度を調整し、水に対する溶解速度を制御することが
可能である。前述したように、水に対する溶解速度が高
いと、下層のサイドエッチングで下層がガラス原盤から
剥離する問題が起きる。そこで、純水の温度を室温程度
(15℃〜25℃)で一定に保つよう設定すれば、洗浄
時間に対する溝形状の変化率を小さくすることができ
る。この結果、下層に形成される溝形状の同一サンプル
内の差若しくはサンプル間の差による変動を小さくする
ことができ、溝形状の品質を安定化させることができ
る。
【0018】図1(f)、(g)に基づき、フォトレジ
スト層の除去について説明する。有機溶剤4を用いてフ
ォトレジスト層3を除去する。除去方法としては、図1
(f)に示すように、有機溶剤4中にガラス原盤1を浸
漬させ、超音波振動子5による超音波を1分〜5分印加
した後、いったんガラス原盤1を取り出し、ガラス原盤
1の上から新しい有機溶剤4をかけつつ低速で回転さ
せ、フォトレジスト混じりの汚れた有機溶剤4を洗い流
し、最後に高速回転振り切り乾燥をして図1(g)に示
す状態にする。また、図示はしないが、超音波を印加し
た有機溶剤のシャワーを1分〜5分かけた後、高速振り
切り乾燥をする方法もある。印加する超音波の出力は、
100W〜500Wの範囲内とする。なお有機溶剤4
は、乳酸エチルまたはN−メチル−2−ピロリドンを用
いることで、下層を侵すことなく、フォトレジスト層3
のみを完全に除去することができる。またこれらの有機
溶剤は有害性が低く、環境に対する影響を極力小さくで
きる。
【0019】図1(h)に基づき、導電皮膜の形成につ
いて説明する。フォトレジスト層3を除去したガラス原
盤1の表面に、アルゴンイオンによるニッケルスパッタ
で、ニッケルの導電皮膜6を形成する。この時、導電皮
膜6が成膜条件によって透水性を持つようだと、ニッケ
ル電鋳時に下層2がニッケル電鋳液中の水分によって侵
され、導電皮膜6が剥離するという致命的な問題が起こ
る。これを防ぐために、水に対する遮断性を十分に備え
た、密な膜組成の導電皮膜6を形成する必要がある。そ
のための成膜条件として、スパッタ時のスパッタパワー
が1.2KW以上、アルゴンガス流量が0.5Pa 未満
となるように設定する。これにより導電皮膜6の膜組成
が密になり、透水性を持たない導電皮膜6を形成するこ
とができる。なお導電皮膜6の膜厚は、薄すぎると水に
対する遮断性が十分ではなく、厚すぎると内部応力によ
るクラックが発生するため、50nm〜150nmの範
囲内とする。
【0020】図1(i)に基づき、電鋳処理について説
明する。導電皮膜6が形成されたガラス原盤1へニッケ
ル電鋳処理を施し、電鋳層7を導電皮膜6上に積層さ
せ、下層2の微細パタンと凹凸が逆転した微細パタンを
有するスタンパ8を形成する。ガラス原盤1を電鋳槽に
入槽すると同時に通電を開始し、無通電時間を作らない
ことによって、導電皮膜6が酸性のニッケル電鋳液によ
ってエッチングされ剥離するのを防ぐようにする。ま
た、通電開始から3分間以上0.1A/dm〜0.5A
/dmの範囲内で弱通電することで、導電皮膜6をニ
ッケル電鋳液に馴染ませ電鋳時剥離が起きるのを防止す
ることができる。さらに、弱通電後の通電電流値の上昇
勾配を、1分当たり 1A/dm〜2.5A/dm
とすることで、昇電時のショックによって電鋳時剥離が
起きるのを防止することができる。最終的に、12A/
dm〜20A/dm程度まで電流値を上昇させて
から一定に保ち、所定の電鋳膜厚(300μm程度)を
得るまで通電を続ける。こうすることによって、出来上
がったスタンパ8のビッカース硬度を、情報パタン面側
で250〜300、裏面で150〜200 程度に保つ
ことができる。
【0021】図1(j)、(k)、(l)に基づき、ス
タンパの剥離及び洗浄について説明する。スタンパ8を
形成したガラス原盤1からスタンパ8を剥離する。この
時、スタンパ8に応力が加わって、スタンパ8を曲げて
しまわないように注意する。図1(j)に見られるよう
に、剥離したスタンパ8の情報パタン面側には水溶性樹
脂の残渣9が付着しているため、これを洗浄して除去す
る。ただし水洗しただけでは残渣9を完全に取り去るこ
とができないため、UV/Oによる紫外線オゾン処理
を施す。図1(k)にその様子を示す。この時、オゾン
を効率良く発生させるために、処理チャンバー内へ導入
する酸素の流入圧力を0.1MPa以上とし、紫外線の
照射照度を3mW/cm以上、積算光量を1J/cm
以上とすることによって、効率的に残渣9の分子の結
合を切り、分解遊離することができる。紫外線オゾン処
理が終了したら、5分以内に純水による流水洗浄を行
い、図1(l)に示すように、残渣9を完全に洗い流
す。紫外線オゾン処理後時間を置くと、せっかく分解遊
離した残渣9が再び結合・再付着するからである。な
お、水溶性樹脂は温水に対する溶解性が高いため、洗浄
時に温水を使用すると一見効率が良いように思えるが、
実際には溶けた水溶性樹脂が糊状になってスタンパに強
固に付着し、取れなくなってしまう。そのため、流水洗
浄時の水温は、15℃〜25℃の範囲内になるようにす
る。流水洗浄が終了したら、高速回転で振り切り乾燥を
行う。
【0022】図1(m)に基づき、スタンパのマスタス
タンパ化について説明する。洗浄したスタンパ8の情報
パタン面側に、プラスチックコートで保護膜をつけ、裏
面研磨を行う。ここで、剥離工程前のスタンパ8に裏面
研磨をしても良い。この場合、保護膜を付ける必要がな
くなる。この後内外径を所望の寸法にプレス加工するこ
とで、マスタスタンパが完成する。
【0023】本発明の作製プロセスでは、ガラス原盤1
とフォトレジスト層3の間に水溶性樹脂層の下層2を設
けており、フォトレジスト層3に形成された溝パタンを
マスク層として利用し、エッチングで形成された下層2
の溝パタンをスタンパ8にする。この結果、マスク層の
溝の底幅が下層2の溝幅となるため、フォトレジスト層
3に形成された溝断面よりも細い溝、すなわち露光ビー
ムスポット径以下の微細溝を下層2に形成することがで
き、また台形ではなく、断面形状が矩形の溝パタンを得
ることができる。また露光用光源として波長400nm
近傍のKrガスレーザを用いることが可能なので、光学
装置も高価な紫外域用ではなく通常の可視領域のものを
使用でき、コスト的に非常に有利となる。
【0024】図3は光ディスク用基板の製造方法を示す
概略断面図である。本発明の光ディスク用基板は上記の
製造方法により作製された光情報記録媒体用スタンパを
用い、射出成形によって成形する。接離自在に設けられ
た金型としての固定金型20と可動金型21との接合部
に形成されるキャビティ内にスタンパ8を固定し、キャ
ビティ内に溶融樹脂を射出充填し、固定金型20と可動
金型21とで圧縮する。樹脂を冷却固化した後、固定金
型20と可動金型とを分離して、光ディスク用基板が得
られる。図4は光ディスクの製造工程を示す図である。
本発明の光ディスク用基板に記録層、誘電体層、反射
層、保護層等を成膜・形成することによって、光ディス
クとして使用できるようになる。
【0025】
【発明の効果】以上説明したように、請求項1に記載の
本発明によれば、回折限界以下の微細溝パターンを崩す
ことなく、しかも低欠陥かつ低コストで光情報記録媒体
用スタンパの製造方法を提供することができる。また、
請求項2乃至4に記載の本発明によれば、水に対する遮
断性を十分に備え且つ、内部応力によるクラックを起こ
さない導電皮膜を形成できるため、ニッケル電鋳時に導
電皮膜が剥離するのを防止した光情報記録媒体用スタン
パの製造方法を提供することができる。さらに、請求項
5または6に記載の本発明によれば、昇電時のショック
等によってニッケル電鋳時に導電被膜が剥離するのを防
止した光情報記録媒体用スタンパの製造方法を提供する
ことができる。さらに、請求項7に記載の本発明によれ
ば、ニッケル電鋳時に内部応力によってガラス原盤が反
るのを防ぐことができ、良好な作業性が得られる光情報
記録媒体用スタンパの製造方法を提供することができ
る。さらに、請求項8乃至11記載の本発明によれば、
効率良く発生させられたオゾンと十分な強度の紫外線に
よって、効率的に水溶性樹脂残渣の分子の結合を切り、
分解遊離できる光情報記録媒体用スタンパの製造方法を
提供することができる。さらに、請求項12または13
記載の本発明によれば、水溶性樹脂残渣が再付着するこ
となく完全に洗い流すことができ、しかも有害な有機溶
剤を使う必要がないため、環境に悪影響を与えることも
なく、有機溶剤の処理にかかるコストを削減できる光情
報記録媒体用スタンパを提供することができる。さら
に、請求項14に記載の本発明によれば、上記光情報記
録媒体用スタンパを用いて、射出成形により光ディスク
用基板を成形することによって、大容量でありながら低
欠陥・低コストの光ディスク用基板を提供することがで
きる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る光情報記録媒体用スタンパの製造
方法の工程を示す概略断面図である。
【図2】露光用光学装置の概略図である。
【図3】本発明の光ディスク用基板の製造方法を示す概
略断面図である。
【図4】本発明の光ディスク用基板を用いた光ディスク
製造の流れを示すフローチャートである。
【符号の説明】
1 ガラス原盤 2 下層 3 フォトレジスト層 4 有機溶剤 5 超音波振動子 6 導電被膜 7 電鋳層 8 スタンパ 9 残渣 10 Krガスレーザ 11 スタビライザ 12 変調器 13 偏向器 14 十字遮光マスク 15 ミラー 16 対物レンズ 17 ターンテーブル 18 回転モータ 19 スライダ 20 固定金型 21 可動金型

Claims (14)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ガラス原盤上に、水溶性樹脂にて下層を
    形成する工程と、前記下層を熱処理する工程と、前記下
    層上にフォトレジスト層を形成する工程と、前記フォト
    レジスト層を熱処理する工程と、前記フォトレジスト層
    へ露光する工程と、前記フォトレジスト層を現像・洗浄
    すると同時に、エッチングにより下層に情報パタンを形
    成する工程と、前記フォトレジスト層を除去する工程
    と、前記下層表面にニッケルスパッタで導電皮膜を形成
    する工程と、前記導電皮膜上にニッケルの電鋳層を積層
    する工程と、前記電鋳層を導電皮膜と一体にガラス原盤
    から剥離してスタンパとする工程と、前記スタンパの情
    報パタン面側の付着残渣を洗浄除去する工程と、前記ス
    タンパを裏面研磨・内外径加工してマスタスタンパ盤を
    作製する工程を有する ことを特徴とする光情報記録媒
    体用スタンパの製造方法。
  2. 【請求項2】 請求項1記載の光情報記録媒体用スタン
    パの製造方法において、 ニッケルスパッタによる導電被膜形成工程のスパッタパ
    ワーが1.2KW以上である ことを特徴とする光情報
    記録媒体用スタンパの製造方法。
  3. 【請求項3】 請求項1または2記載の光情報記録媒体
    用スタンパの製造方法において、 ニッケルスパッタによる導電被膜形成工程のアルゴン流
    量が0.5Pa未満である ことを特徴とする光情報記
    録媒体用スタンパの製造方法。
  4. 【請求項4】 請求項1乃至3のいずれかに記載の光情
    報記録媒体用スタンパの製造方法において、 形成される導電皮膜の膜厚が50nm〜150nmの範
    囲である ことを特徴とする光情報記録媒体用スタンパ
    の製造方法。
  5. 【請求項5】 請求項1乃至4のいずれかに記載の光情
    報記録媒体用スタンパの製造方法において、 ニッケル電鋳工程には無通電時間を作らず、電鋳槽に入
    槽と同時に通電を開始し、通電開始から3分間以上、
    0.1A/dm〜0.5A/dmの範囲で弱通電
    する ことを特徴とする光情報記録媒体用スタンパの製
    造方法。
  6. 【請求項6】 請求項1乃至5のいずれかに記載の光情
    報記録媒体用スタンパの製造方法において、 ニッケル電鋳工程の弱通電後、電流値を上昇させる時
    に、通電電流値の上昇勾配を1分当たり1A/dm
    2.5A/dm の範囲とする ことを特徴とする光情
    報記録媒体用スタンパの製造方法。
  7. 【請求項7】 請求項1乃至6のいずれかに記載の光情
    報記録媒体用スタンパの製造方法において、 ガラス原盤の厚さを5mm〜10mmの範囲とする こ
    とを特徴とする光情報記録媒体用スタンパの製造方法。
  8. 【請求項8】 請求項1乃至7のいずれかに記載の光情
    報記録媒体用スタンパの製造方法において、 スタンパの情報パタン面側の付着残渣を洗浄除去する工
    程で、スタンパの情報パタン面側に紫外線オゾン処理を
    施す ことを特徴とする光情報記録媒体用スタンパの製
    造方法。
  9. 【請求項9】 請求項1乃至8のいずれかに記載の光情
    報記録媒体用スタンパの製造方法において、 紫外線オゾン処理での紫外線照射の照度を3mW/cm
    以上とする ことを特徴とする光情報記録媒体用スタ
    ンパの製造方法。
  10. 【請求項10】 請求項1乃至9のいずれかに記載の光
    情報記録媒体用スタンパの製造方法において、 紫外線オゾン処理での紫外線積算光量を1J/cm
    上とする ことを特徴とする光情報記録媒体用スタンパ
    の製造方法。
  11. 【請求項11】 請求項1乃至10のいずれかに記載の
    光情報記録媒体用スタンパの製造方法において、 紫外線オゾン処理でのオゾン発生のための酸素流入圧力
    を0.1MPa以上とする ことを特徴とする光情報記
    録媒体用スタンパの製造方法。
  12. 【請求項12】 請求項1乃至11のいずれかに記載の
    光情報記録媒体用スタンパの製造方法において、 紫外線オゾン処理後、スタンパの情報パタン面側を5分
    以内に純水による流水で洗浄する ことを特徴とする光
    情報記録媒体用スタンパの製造方法。
  13. 【請求項13】 請求項1乃至12のいずれかに記載の
    光情報記録媒体用スタンパの製造方法において、 紫外線オゾン処理後の洗浄に使用する純水の温度を15
    ℃〜30℃の範囲とする ことを特徴とする光情報記録
    媒体用スタンパの製造方法。
  14. 【請求項14】 請求項1乃至13のいずれかに記載の
    光情報記録媒体用スタンパの製造方法により製造された
    光情報記録媒体用スタンパを用いて、成形される こと
    を特徴とする光ディスク用基板。
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