JP3184079B2 - 光ディスク用スタンパの製造方法及び光ディスクの製造方法 - Google Patents

光ディスク用スタンパの製造方法及び光ディスクの製造方法

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、各種光ディスクを
作製する際に使用される光ディスク用スタンパの製造方
及び光ディスクの製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来の光ディスク用スタンパの製造方法
およびその複製方法を図4ないし図6に基づいて以下に
説明する。図4に示すように、よく研磨され清浄なガラ
ス基板71(図4(a))の表面にフォトレジスト72
をスピン塗布法により、均一の厚さに塗布する(図4
(b))。続いて、記録する信号に応じて変調されたレ
ーザ光73、例えばアルゴンレーザを図示しないレーザ
カッティング装置からフォトレジスト72に照射し、各
種情報がピット列で記録されるように、露光を行う(図
4(c))。そして、露光されたフォトレジスト72を
現像除去することにより、ピット74aが複数形成され
る(図4(d))。
【0003】次に、上記フォトレジスト72の表面にニ
ッケル薄膜75をスパッタリング法や無電解メッキ法に
より形成し(図4(e))、導電化を行う。続いて、上
記ニッケル薄膜75が形成されたガラス基板71を電鋳
液中に浸漬し、電鋳処理を行い、電鋳膜76を形成する
(図4(f))。そして、この電鋳膜76をガラス基板
71から引き剥し、洗浄すると、表面に各ピット74a
の形成位置に対応した複数の突起74bを有したマスタ
スタンパ77が得られ(図4(g))、このマスタスタ
ンパ77を用いて以下に説明するマザースタンパ78を
複製する。
【0004】上記マザースタンパ78は、図5に示す方
法により複製される。上記マスタスタンパ77の表面
に、マザースタンパ78をマスタースタンパ77から剥
離し易くするための剥離皮膜である酸化膜79を形成す
る(図5(a))。酸化膜79が形成されたマスタスタ
ンパ77を電鋳液中に浸漬し、電鋳処理を行い電鋳膜8
0を形成する(図5(b))。そして、この電鋳膜80
をマスタスタンパ77から引き剥し、洗浄すると、マス
タスタンパ77と逆の凹凸形状を有し、複数のピット7
4cを有するマザースタンパ78が得られ(図5
(c))、このマザースタンパ78を用いて以下に説明
するワークスタンパ81を複製する。
【0005】上記ワークスタンパ81は、図6に示す方
法により複製される。上記マザースタンパ78の表面に
は、ワークスタンパ81を剥し易くするための剥離皮膜
である酸化膜82が形成される(図6(a))。続い
て、上記酸化膜82が形成されたマザースタンパ78を
電鋳液中に浸漬し、電鋳処理を行い、電鋳膜83を形成
する(図6(b))。そして、この電鋳膜83をマザー
スタンパ78から引き剥し、洗浄すると、マスタスタン
パ77と同じ凹凸形状の複数の突起74dを有するワー
クスタンパ81が得られ(図6(c))、このワークス
タンパ81を型として光ディスクが作製される。
【0006】尚、上記酸化膜79・82は、マスタスタ
ンパ77・マザースタンパ78を重クロム酸カリウム溶
液に浸漬して形成することができる。しかしながら、重
クロム酸カリウム溶液は、そのまま排出すると公害の原
因となるので、廃液処理を施さなければならない。この
ため、廃液処理装置が必要となり、廃液処理にコストが
かかる等の欠点があった。
【0007】そこで、特開平2−277791号公報、
特開平6−111384号公報または特開平6−111
386号公報には、重クロム酸カリウム溶液を使用せず
に、酸化膜79・82を形成するための光ディスク用ス
タンパの製造方法が提案されている。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】ところが、上記特開平
2−277791号公報、特開平6−111384号公
報および特開平6−111386号公報に開示されてい
る光ディスク用スタンパの製造方法では、それぞれ以下
の問題点を有している。上記特開平2−277791号
公報に開示されている光ディスク用スタンパの製造方法
では、マスタスタンパ77またはマザースタンパ78に
プラズマアッシング処理を施すことにより酸化膜79・
82を形成しているが、この処理法は、真空処理法のた
め、装置が大がかりなものになり、コストアップを招来
するとともに、処理時間が長くかかってしまう。
【0009】上記特開平6−111384号公報に開示
されている光ディスク用スタンパの製造方法では、マス
タスタンパ77またはマザースタンパ78に酸素プラズ
マアッシング処理法を施すことにより酸化膜79・82
を形成しているが、この方法もプラズマ処理法であるの
で、上述した理由から、コストアップを招来するととも
に、処理時間が長くかかってしまう。
【0010】上記特開平6−111386号公報に開示
されている光ディスク用スタンパの製造方法では、マス
タスタンパ77またはマザースタンパ78に紫外線−オ
ゾン処理法を施すことにより酸化膜79・82を形成し
ている。しかしながら、オゾンは有毒な物質であるの
で、外部に漏れ出さないようにするための装置が必要と
なり、コストアップを招来する。
【0011】また、表面が酸化されたマスタスタンパ7
7またはマザースタンパ78は、複数枚のマザースタン
パ78またはワークスタンパ81を複製するために、繰
り返し上記電鋳液中に浸漬される。一方、この電鋳液は
酸性であるので、電鋳液によって、上記マスタスタンパ
77またはマザースタンパ78の表面は徐々に腐食溶解
される。このため、幅が0.2〜0.8μm、長さが
0.5〜8μmである突起74bまたはピット74c
は、上記マザースタンパ78またはワークスタンパ81
の複製工程が繰り返されるにしたがい、上記電鋳液によ
り腐食溶解されて徐々に変形され、正確な形状のピット
74cを有したマザースタンパ78または突起74dを
有したワークスタンパ81を精度良く複製できなくな
り、ひいては上記ワークスタンパ81を用いて形成され
た光ディスクから正確な情報を再生することができない
という問題を有している。
【0012】本発明の目的は、低コストで、かつ短時間
でスタンパを作製することができるとともに、複製工程
を繰り返しても、ピットの形状が変化しない光ディスク
用スタンパの製造方法を提供することにある。
【0013】
【課題を解決するための手段】上記の課題を解決するた
めに、請求項1の発明の光ディスク用スタンパの製造方
法は、微細な凹凸を表面に形成した親スタンパに電鋳処
理を行うことによって、上記微細な凹凸を有した子スタ
ンパを複製する光ディスク用スタンパの製造方法におい
て、上記親スタンパに電鋳処理を行う前に、上記親スタ
ンパの表面を酸化した酸化膜を形成した後、この酸化膜
上に上記電鋳処理による上記微細な凹凸の腐食溶解を防
止するための導電性保護膜を形成することを特徴として
いる。
【0014】上記方法によれば、親スタンパの表面に酸
化膜を形成し、この酸化膜上に導電性保護膜を形成した
後、上記親スタンパに電鋳処理を行い、子スタンパを複
製する。このため、電鋳処理に使用する電鋳液が親スタ
ンパの表面に接触することがなくなるので、上記電鋳液
による上記微細な凹凸の腐食溶解を防止できる。
【0015】また、親スタンパの表面には酸化膜が備え
られているので、酸化膜と導電性保護膜とが剥離し易く
なる。このため、親スタンパから導電性保護膜を有した
子スタンパを剥離する際、剥離を容易に行うことができ
る。
【0016】この結果、導電性保護膜により上記電鋳液
による上記微細な凹凸の腐食溶解が防止できるので、上
記微細な凹凸を親スタンパから子スタンパに複製する工
程を繰り返しても、上記微細な凹凸は上記電鋳液により
変形されることがなく、同一の特性を有した子スタンパ
を作製することができる。また、酸化膜により、親スタ
ンパから導電性保護膜を有した子スタンパを剥離するこ
とが容易に行える。
【0017】請求項2の発明の光ディスク用スタンパの
製造方法は、請求項1に記載の光ディスク用スタンパの
製造方法において、上記酸化膜は、少なくとも酸素を含
む雰囲気中において上記親スタンパを加熱することによ
り形成されていることを特徴としている。
【0018】上記方法によれば、酸化膜は、親スタンパ
を少なくとも酸素を含んでいる雰囲気中において加熱
し、熱と酸素との作用によって、その表面が酸化される
ことにより形成されている。
【0019】この結果、酸化膜は、親スタンパを少なく
とも酸素を含んでいる雰囲気中において加熱するだけで
形成されるので、スタンパのコストダウンを図ることが
できる。
【0020】請求項3の発明の光ディスク用スタンパの
製造方法は、請求項1に記載の光ディスク用スタンパの
製造方法において、上記酸化膜は、上記親スタンパを温
水中に浸漬することにより形成されていることを特徴と
している。
【0021】上記方法によれば、酸化膜は、親スタンパ
を温水中に浸漬すると、温水の熱と温水中に含有してい
る酸素との作用により、その表面が酸化されることによ
り形成される。
【0022】この結果、温水に親スタンパを浸漬するだ
けで、温水の熱と温水中の酸素との作用により酸化膜が
形成されるので、スタンパのコストダウンを図ることが
できる。また、親スタンパを温水中に浸漬しているの
で、酸化膜の形成が促進されるとともに、親スタンパの
洗浄も同時に行うことができるので、請求項2の製造方
法よりもスタンパの作製時間を短縮することができる。
【0023】請求項4の発明の光ディスク用スタンパの
製造方法は、請求項1に記載の光ディスク用スタンパの
製造方法において、上記導電性保護膜はニッケル薄膜で
あり、このニッケル薄膜は上記親スタンパの表面を腐食
しない方法により形成されていることを特徴としてい
る。
【0024】上記方法によれば、ニッケル薄膜は、親ス
タンパの表面を腐食しない方法、例えばスパッタリング
法やアルカリ性無電解メッキ法により形成されるので、
親スタンパ表面に形成されている微細な凹凸が変形する
ことがない。また、スパッタリング法やアルカリ性無電
解メッキ法は、ニッケル薄膜の主剤であるニッケルを腐
食しない。
【0025】この結果、子スタンパには、より正確に親
スタンパの微細な凹凸が複製され、この子スタンパを用
いて作製された光ディスクは、より正確な情報を再生す
ることができる。また、親スタンパの表面を腐食しない
方法として、スパッタリング法やアルカリ性無電解メッ
キ法により形成されたニッケル薄膜には、腐食等の悪影
響が存在しない。また、請求項5の光ディスクの製造方
法は、請求項1乃至請求項4のいずれかに記載の製造方
法により作製された子スタンパを用いて、光ディスクを
作製することを特徴としている。この光ディスクによれ
ば、より正確な情報を再生することができる。
【0026】
【発明の実施の形態】本発明の実施の形態を図1ないし
図3に基づいて以下に説明する。電鋳処理によって作製
されたマスタスタンパ1(図1(a))の微細な突起1
bが複数形成されている面1aに酸化膜2を形成する
(図1(b))。この酸化膜2は、後述するニッケル薄
膜3を有する電鋳層4をマスタスタンパ1から剥し易く
するものであり、マスタスタンパ1を図示しないオーブ
ン中において加熱し、熱と後述するオーブン内の雰囲気
とにより、その表面を酸化したものである。そして、酸
化膜2の膜厚は20〜100Åが好ましい。この数値の
設定理由は、20Å未満では酸化膜2が均一に形成され
ないため、酸化膜2が形成されずマスタスタンパ1の表
面が露出することがあり、この場合、上記表面に直接ニ
ッケル薄膜3が形成されてしまい上記電鋳層4を剥すこ
とができなくなる一方、100Åを超えた場合、突起1
bの形状に悪影響が現れて好ましくないからである。
【0027】また、上記オーブンは、以下に示す条件に
設定されている。即ち、温度は80℃以上とし、その雰
囲気は空気、酸素を20%以上含む気体、または湿度が
80%以上であるスチームから成り、加熱時間は20分
以上とし、例えば酸化膜2を100Åに形成する場合、
空気雰囲気では約180分まで、上記酸素雰囲気および
スチーム雰囲気では約120分までとする。尚、加熱時
間は、酸化膜2の膜厚および加熱雰囲気の条件によって
適宜変更するのが好ましい。さらに、上記オーブンは、
マスタスタンパ1にゴミが付着しないようにするために
クリーンオーブンであることが望ましい。
【0028】また、酸化膜2を形成する他の方法とし
て、図2に示す温水洗浄装置20を利用してもよい。同
図において、温水洗浄装置20は、第1洗浄槽21、第
2洗浄槽22、温水槽23、IPA(Isopropyl Alcoho
l)槽24およびIPA蒸気乾燥槽25を備えている。第
1洗浄槽21には、界面活性剤26が満たされており、
その内部に超音波発生装置27が備え付けられている。
第2洗浄槽22には、純水28が満たされており、その
内部に超音波発生装置29が備え付けられている。温水
槽23には、温水30が満たされており、その内部に超
音波発生装置31が備え付けられている。IPA槽24
には、イソプロピルアルコール32が満たされている。
IPA蒸気乾燥槽25には、内部にヒータ33が備えら
れており、このヒータ33が浸される程度にイソプロピ
ルアルコール34が満たされており、かつ上部内部の全
周にわたり冷却パイプ35が設けられている。
【0029】上記構成において、マスタスタンパ1は、
第1洗浄槽21の界面活性剤26に浸漬されると、界面
活性剤26と超音波発生装置27から発振された超音波
との作用により洗浄される。第1洗浄槽21での洗浄工
程終了後、マスタスタンパ1は、第2洗浄槽22の純水
28に浸漬され、純水28と超音波発生装置29から発
振された超音波との作用により、マスタスタンパ1の表
面に残留していた界面活性剤26等が洗浄される。
【0030】第2洗浄槽22での洗浄工程終了後、マス
タスタンパ1は、温水槽23の温水30に浸漬される。
このとき、マスタスタンパ1の浸漬時間は2分以上と
し、例えば酸化膜2を100Åに形成する場合では約6
0分までとし、温水30の温度は70℃以上とする。こ
れにより、マスタスタンパ1は、その表面が温水30の
熱と温水30に含有している酸素との作用により酸化さ
れ、酸化膜2が形成されると同時に、超音波発生装置3
1から発振された超音波との作用により洗浄される。従
って、上述した雰囲気中において酸化膜2を形成する方
法よりも、酸化膜2の形成時間が短縮できるとともに、
マスタスタンパ1の作成時間を短縮することができる。
【0031】温水槽23での酸化膜2の形成および洗浄
工程終了後、マスタスタンパ1は、IPA槽24に搬送
され、IPA蒸気乾燥槽25での乾燥時間を短縮するた
めに、マスタスタンパ1の表面に残留している水分がイ
ソプロピルアルコール32に置換される。IPA槽24
での置換終了後、マスタスタンパ1は、IPA蒸気乾燥
槽25上に移動させられ、イソプロピルアルコール34
がヒータ33により加熱され発生したイソプロピルアル
コール蒸気34a内に搬送される。
【0032】ここで、イソプロピルアルコール蒸気34
aが上記表面に接触すると、イソプロピルアルコール蒸
気34aは冷却され、凝縮し、水滴になる。この水滴は
上記表面を滴下しながら汚れ等を除去する。そして、マ
スタスタンパ1は温度が徐々に上昇し、イソプロピルア
ルコール蒸気34a温度に達すると、イソプロピルアル
コール蒸気34aは凝縮しなくなり洗浄が終了する。
【0033】次に、マスタスタンパ1をイソプロピルア
ルコール蒸気34aから取り出すと、上記表面に付着し
ているイソプロピルアルコール34は、マスタスタンパ
1の温度により蒸発し乾燥する。尚、イソプロピルアル
コール蒸気34aは、冷却パイプ35により冷却され、
液化しイソプロピルアルコール34に戻る。
【0034】これにより、IPA蒸気乾燥槽25は洗浄
と乾燥とを1槽にて行うことができるので、別途乾燥装
置が不要となりコストダウンを図ることができる。
【0035】さらに、酸化膜2を形成する他の方法とし
て、図2に示して上述した温水槽23、IPA槽24お
よびIPA蒸気乾燥槽25の代わりに、第3洗浄槽41
および温水槽42を備えた図3に示す温水洗浄装置40
を利用してもよい。同図において、温水洗浄装置40
は、上記第1洗浄槽21、上記第2洗浄槽22、第3洗
浄槽41および温水槽42を備えている。第3洗浄槽4
1には、純水43が満たされているとともに、その内部
に超音波発生装置44が備え付けられている。温水槽4
2には、温水45が満たされている。
【0036】上記構成において、マスタスタンパ1は、
第1洗浄槽21の界面活性剤26に浸漬されると、界面
活性剤26と超音波発生装置27から発振された超音波
との作用により、マスタスタンパ1の表面に残留してい
た界面活性剤26等が洗浄される。第1洗浄槽21での
洗浄工程終了後、マスタスタンパ1は、第2洗浄槽22
の純水28に浸漬され、純水28と超音波発生装置29
から発振された超音波との作用により洗浄される。
【0037】第2洗浄槽22での洗浄工程終了後、マス
タスタンパ1は、第3洗浄槽41の純水43に浸漬さ
れ、純水43と超音波発生装置44から発振された超音
波との作用により洗浄される。尚、第3洗浄槽41は、
第2洗浄槽22にてマスタスタンパ1の表面に残留して
いた界面活性剤26等が完全に除去され、マスタスタン
パ1が清浄な状態であるならば、必ずしも必要でない。
【0038】第3洗浄槽41での洗浄工程終了後、マス
タスタンパ1を温水槽42の70℃以上に保たれている
温水45に所定時間浸漬すると、温水45の熱と温水4
5に含有している酸素との作用により、マスタスタンパ
1の表面が酸化されて酸化膜2が形成される。そして、
酸化膜2が形成された後、マスタスタンパ1は、0.5
〜5mm/secの速度で温水45から引き上げられながら表
面に残留している水分の乾燥を行う。引き上げ速度は、
マスタスタンパ1を温水45からゆっくり引き上げるこ
とにより上記表面から水分が除去され、温水45によっ
て加熱された上記表面から水分が乾燥するように決めら
れている。つまり、引き上げ速度が5mm/secを超える場
合では、上記表面に残留している水分が完全には乾燥せ
ず水滴が残ってしまい、この水滴に汚れ等が凝縮してし
まう。このため、乾燥工程が終了したマスタスタンパ1
の表面には汚れ等が残ってしまい好ましくない。一方、
引き上げ速度が0.5mm/sec未満の場合では上記水滴が
発生しないので、乾燥工程が終了したマスタスタンパ1
の表面は清浄であるが、乾燥時間が長くなってしまい好
ましくない。
【0039】次に、面1aに酸化膜2が形成されたマス
タスタンパ1には、酸化膜2上に導電性保護膜としての
ニッケル薄膜3が形成される(図1(c))。このニッ
ケル薄膜3は、電鋳膜4を形成するために使用する電鋳
液が酸化膜2を、即ち上述した突起1bを腐食溶解しな
いようにするためのものであり、マスタスタンパ1の表
面を腐食しない方法、例えばスパッタリング法またはア
ルカリ性無電解メッキ法により形成される。そして、こ
れら2つの方法の重要な点は、ニッケル薄膜3の主剤で
あるニッケルを腐食しないことである。
【0040】先ず、本実施の形態において利用したスパ
ッタリング法について説明する。このスパッタリング法
は、ターゲットをニッケルとし、真空度を0.3〜3P
aになるようにアルゴンガスを流しながら交流電源また
は高周波電源により電圧を印加して行う。これにより、
酸化膜2上には、ニッケル原子が積層されて、腐食等の
悪影響が存在しないニッケル薄膜3が形成される。ま
た、上記スパッタリング法では、ニッケル薄膜3の膜厚
が100〜1000Åになるように設定されている。上
記数値の設定理由は、100Å未満であるならば電鋳膜
4の形成時に電流が流れにくくなり電鋳層4が形成でき
なくなるとともに、ニッケル薄膜3が発熱により焼けて
しまう一方、1000Åを超えるとニッケル薄膜3の内
部応力(主に引張応力)が増大し、上記電鋳液に浸漬す
るとニッケル薄膜3が剥離する虞があるからである。
【0041】次に、アルカリ性無電解メッキ法について
説明する。アルカリ性無電解メッキ法において使用する
メッキ液は、アルカリ性の無電解メッキ液であればよ
く、表1に本実施の形態において使用したメッキ液の組
成例を示すが、これに限定されるものではない。
【0042】
【表1】
【0043】尚、含有量の単位は、メッキ液1リットル
当たりの各組成物の重量を表す。また、上記メッキ液
は、メッキを行うのに最適な温度である70℃に設定さ
れ、かつそのpHは9.0に調整されている。
【0044】このメッキ液に上記マスタスタンパ1を浸
漬し、このマスタスタンパ1に対して、上述したアルカ
リ性無電解メッキ法を行い、酸化膜2上に形成されるニ
ッケル薄膜3の膜厚が100Å〜10μmになれば、マ
スタスタンパ1をメッキ液から引き上げる。上記数値の
設定理由は、100Å未満の場合、スパッタリング法と
同様である一方、無電解メッキ法では上記内部応力が小
さいためニッケル薄膜3の膜厚を厚くすることが可能で
あるが、10μmを超えると作業時間が増加するので好
ましくないからである。尚、上記内部応力は、メッキ液
の組成によって異なる。
【0045】メッキ液から引き上げられたマスタスタン
パ1は、純水により十分な洗浄が行われた後、乾燥が行
われる。これにより、酸化膜2上には、腐食等の悪影響
が存在しないニッケル薄膜3が形成される。
【0046】そして、面1a上に酸化膜2とニッケル薄
膜3とがこの順で形成されたマスタスタンパ1は、図示
しない電鋳装置に取り付けられて、電鋳処理が行われ、
ニッケル薄膜3上に、所定の厚みを有した電鋳層4が形
成される(図1(d))。尚、電鋳層4の材料は、ニッ
ケル薄膜3と同一であってもなくてもよい。
【0047】電鋳処理終了後、酸化膜2とニッケル薄膜
3との接合部に薄板等を差し込み、隙間を作り、この隙
間を広げていくと酸化膜2を有しているマスタスタンパ
1と、ニッケル薄膜3を有している電鋳層4とに分離す
ることができる(図1(e))。そして、上記電鋳層4
を洗浄すると、上述した突起1bの形成位置に対応した
複数のピット5bを有するマザースタンパ5が作製され
る(図1(f))。
【0048】次に、このマザースタンパ5からワークス
タンパ9を作製する。この方法は、図1(g)ないし同
図(j)に示す通りである。即ち、マスタスタンパ1か
らマザースタンパ5を複製したのと同様に、上記ピット
5bが形成されている面5a上に酸化膜6を形成する
(図1(g))。この酸化膜6は、上述したオーブンに
よりマザースタンパ5を加熱して形成されるか、または
上述した温水洗浄装置20または温水洗浄装置40を使
用して形成される。
【0049】続いて、この酸化膜6上に上述したスパッ
タリング法またはアルカリ性無電解メッキ法によりニッ
ケル薄膜7を形成し(図1(h))、このニッケル薄膜
7上に電鋳処理により電鋳層8を形成する(図1
(i))。そして、酸化膜6を有しているマザースタン
パ5と、ニッケル薄膜7を有している電鋳層8とに分離
し、上記電鋳層8を洗浄するとマスタスタンパ1と同じ
部分に突起9aを有するワークスタンパ9が作製され
(図1(j))、このワークスタンパ9を型として光デ
ィスクが作製される。
【0050】以上のように、マスタスタンパ1からマザ
ースタンパ5を、またはマザースタンパ5からワークス
タンパ9を複製する場合、マスタスタンパ1またはマザ
ースタンパ5を上述したオーブンにおいて加熱する方
法、もしくは上述した温水洗浄装置20または温水洗浄
装置40を使用すれば、面1aまたは面5a上に酸化膜
2・6を形成することができる。また、上述したスパッ
タリング法またはアルカリ性無電解メッキ法によって、
上記酸化膜2・6上には、腐食等の悪影響が存在しない
ニッケル薄膜3・7が形成される。
【0051】この結果、マスタスタンパ1からマザース
タンパ5を、またはマザースタンパ5からワークスタン
パ9を複製する場合、マザースタンパ5およびマザース
タンパ9のコストダウンが図れるとともに、複製を繰り
返しても、マスタスタンパ1の突起1bおよびマザース
タンパ5のピット5bには、電鋳液による変形が発生し
ない。
【0052】また、従来の方法、例えば、重クロム酸カ
リウム溶液にマスタスタンパ1またはマザースタンパ5
を浸漬する方法、酸素プラズマアッシング処理法、また
はアルカリ溶液中での陽極酸化法によって形成された酸
化膜2・6であっても、この酸化膜2・6上に、上述し
たスパッタリング法またはアルカリ性無電解メッキ法に
よりニッケル薄膜3・7を形成すれば、電鋳液により上
記酸化膜2・6が腐食溶解されることはない。
【0053】この結果、上記従来の方法を用いて酸化膜
2・6を形成し、マザースタンパ5およびワークスタン
パ9の複製を繰り返しても、マスタスタンパ1の突起1
bおよびマザースタンパ5のピット5bには、電鋳液に
よる変形が発生しない。
【0054】
【発明の効果】以上のように、請求項1の発明の光ディ
スク用スタンパの製造方法は、微細な凹凸を表面に形成
した親スタンパに電鋳処理を行うことによって、上記微
細な凹凸を有した子スタンパを複製する光ディスク用ス
タンパの製造方法において、上記親スタンパに電鋳処理
を行う前に、上記親スタンパの表面を酸化した酸化膜を
形成した後、この酸化膜上に上記電鋳処理による上記微
細な凹凸の腐食溶解を防止するための導電性保護膜を形
成することを特徴としている。
【0055】これにより、導電性保護膜により上記電鋳
液による上記微細な凹凸の腐食浸食の防止ができるの
で、上記微細な凹凸を親スタンパから子スタンパに複製
する工程を繰り返しても、上記微細な凹凸は上記電鋳液
により変形されることがなく、同一の特性を有した子ス
タンパを作製することができるという効果を奏する。ま
た、酸化膜により、親スタンパから導電性保護膜を有し
た子スタンパを剥離することが容易に行えるという効果
も併せて奏する。
【0056】請求項2の発明の光ディスク用スタンパの
製造方法は、請求項1に記載の光ディスク用スタンパの
製造方法において、上記酸化膜は、少なくとも酸素を含
む雰囲気中において上記親スタンパを加熱することによ
り形成されていることを特徴としている。
【0057】これにより、酸化膜は、親スタンパを少な
くとも酸素を含んでいる雰囲気中において加熱するだけ
で形成されるので、スタンパのコストダウンを図ること
ができるという効果を奏する。
【0058】請求項3の発明の光ディスク用スタンパの
製造方法は、請求項1に記載の光ディスク用スタンパの
製造方法において、上記酸化膜は、上記親スタンパを温
水中に浸漬することにより形成されていることを特徴と
している。
【0059】これにより、温水に親スタンパを浸漬する
だけで、温水の熱と温水中の酸素との作用により酸化膜
が形成されるので、スタンパのコストダウンを図ること
ができるという効果を奏する。また、親スタンパを温水
中に浸漬しているので、酸化膜の形成が促進されるとと
もに、親スタンパの洗浄も同時に行うことができるの
で、請求項2の製造方法よりもスタンパの作製時間を短
縮することができるという効果を併せて奏する。
【0060】請求項4の発明の光ディスク用スタンパの
製造方法は、請求項1に記載の光ディスク用スタンパの
製造方法において、上記導電性保護膜はニッケル薄膜で
あり、このニッケル薄膜は上記親スタンパの表面を腐食
しない方法により形成されていることを特徴としてい
る。
【0061】これにより、子スタンパには、より正確に
親スタンパの微細な凹凸が複製され、この子スタンパを
用いて作製された光ディスクは、より正確な情報を再生
することができるという効果を奏する。また、親スタン
パの表面を腐食しない方法としてスパッタリング法やア
ルカリ性無電解メッキ法を使用した場合、これら2つの
方法はニッケル薄膜の主剤であるニッケルを腐食しない
ので、ニッケル薄膜には腐食等が存在しなくなるという
効果も併せて奏する。また、請求項5の光ディスクの製
造方法は、請求項1乃至請求項4のいずれかに記載の製
造方法により作製された子スタンパを用いて、光ディス
クを作製することを特徴としている。この光ディスクに
よれば、より正確な情報を再生することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】同図(a)ないし同図(j)は、本発明におけ
る光ディスク用スタンパの製造方法の概略を示す説明図
である。
【図2】親スタンパの表面に酸化膜を形成するための装
置の概略構成を示す模式図である。
【図3】親スタンパの表面に酸化膜を形成するための他
の装置の概略構成を示す模式図である。
【図4】同図(a)ないし同図(g)は、従来における
マスタスタンパの製造方法の概略を示す説明図である。
【図5】同図(a)ないし同図(c)は、従来における
マザースタンパの複製方法の概略を示す説明図である。
【図6】同図(a)ないし同図(c)は、従来における
ワークスタンパの複製方法の概略を示す説明図である。
【符号の説明】
1 マスタスタンパ(親スタンパ) 2 酸化膜 3 ニッケル薄膜 4 電鋳層 5 マザースタンパ(親スタンパ、子スタンパ) 6 酸化膜 7 ニッケル薄膜 8 電鋳層 9 ワークスタンパ(子スタンパ)
フロントページの続き (56)参考文献 特開 平5−320973(JP,A) 特開 平4−259936(JP,A) 特開 昭63−105986(JP,A) 特公 平1−18996(JP,B2) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C25D 1/00 - 1/22 G11B 7/26

Claims (5)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】微細な凹凸を表面に形成した親スタンパに
    電鋳処理を行うことによって、上記微細な凹凸を有した
    子スタンパを複製する光ディスク用スタンパの製造方法
    において、 上記親スタンパに電鋳処理を行う前に、上記親スタンパ
    の表面を酸化した酸化膜を形成した後、この酸化膜上に
    上記電鋳処理による上記微細な凹凸の腐食溶解を防止す
    るための導電性保護膜を形成することを特徴とする光デ
    ィスク用スタンパの製造方法。
  2. 【請求項2】上記酸化膜は、少なくとも酸素を含む雰囲
    気中において上記親スタンパを加熱することにより形成
    されていることを特徴とする請求項1に記載の光ディス
    ク用スタンパの製造方法。
  3. 【請求項3】上記酸化膜は、上記親スタンパを温水中に
    浸漬することにより形成されていることを特徴とする請
    求項1に記載の光ディスク用スタンパの製造方法。
  4. 【請求項4】上記導電性保護膜はニッケル薄膜であり、
    このニッケル薄膜は上記親スタンパの表面を腐食しない
    方法により形成されていることを特徴とする請求項1に
    記載の光ディスク用スタンパの製造方法。
  5. 【請求項5】請求項1乃至請求項4のいずれかに記載の
    製造方法により作製された子スタンパを用いて、光ディ
    スクを作製することを特徴とする光ディスクの製造方
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