JP2002331757A - 感熱記録材料 - Google Patents

感熱記録材料

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JP2002331757A
JP2002331757A JP2001142002A JP2001142002A JP2002331757A JP 2002331757 A JP2002331757 A JP 2002331757A JP 2001142002 A JP2001142002 A JP 2001142002A JP 2001142002 A JP2001142002 A JP 2001142002A JP 2002331757 A JP2002331757 A JP 2002331757A
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acid
recording material
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JP2001142002A
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English (en)
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Noriyuki Hosoi
憲行 細井
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Fujifilm Holdings Corp
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Fuji Photo Film Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 医療用記録媒体として好適に用いられ、透明
性に優れ、適性な濃度、色調よりなる画像を安定に形成
し得る感熱記録材料を提供する。 【解決手段】 透明支持体上に、発色成分を含む感熱記
録層を有する感熱記録材料において、透過濃度計TD9
04(ビジュアルフィルタ、マクベス社製)で測定した
濃度2.0の領域における、波長670nmでの吸光度
が1.4〜1.6であることを特徴とする感熱記録材料
である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、透明な感熱記録材
料に関し、詳しくは、医療用記録媒体等に好適な高画質
の感熱記録材料に関する。
【0002】
【従来の技術】感熱記録は、(1)現像が不要である、
(2)紙支持体の場合、材質が一般紙に近い、(3)取
扱いが容易である、(4)発色濃度が高い、(5)記録装
置が簡便で信頼性が高くかつ安価である、(6)記録時
の騒音が無い、(7)メンテナンスが不要である、等の
利点があることから、近年様々な分野で普及しており、
例えば、ファクシミリやプリンター等の分野、POS等
のラベル分野等に用途が拡大している。このような感熱
記録に用いる感熱記録材料としては、電子供与性無色染
料と電子受容性化合物との反応を利用したもの、ジアゾ
化合物とカプラーとの反応を利用したもの、有機酸の銀
と還元剤との反応を利用したもの、等が広く知られてい
る。
【0003】このような状況のもと、近年では多色化に
対応するためや、画像等をオーバーヘッドプロジェクタ
ーにより投影したり、画像等をライトテーブル上で直接
観察したりする、などのために、サーマルヘッドで直接
記録することのできる透明な感熱記録材料の開発が望ま
れてきた。そこで、実質的に無色の発色成分Aと、該発
色成分Aと反応して発色させる実質的に無色の発色成分
Bとを結着剤中に微粒子状に分散し、あるいは発色成分
A及びBのいずれか一方をマイクロカプセル化し、他方
を乳化物として形成される感熱記録層を、合成高分子フ
ィルム等の透明な支持体上に設ける等により作製される
感熱記録材料が提案されている。
【0004】このような透明な感熱記録材料は、それ自
体の透明性の点で優れ、医療用途(医療画像診断用)と
して好適であり、例えば、CRT医療診断用、X線画像
用のプリンタの記録媒体として使用されている。医療用
画像では、画像部の濃度が適切に得られなければ診断に
有用な透過画像を得ることができない。特に医療診断に
用いられる画像では、その濃度が診断上極めて重要であ
り、不適な状態では診断に影響を及ぼしかねない。しか
しながら、CRT等の医療機器から得た画像情報(例え
ば、512階調、1024階調等の濃度データ)に基づ
き画像記録する場合、濃度データの階調域に対して記録
媒体が一定の発色特性(感度)を有していなければ、実
際に得られる画像はもとの画像情報と合致せず、画像全
域を適切な濃度で記録することができない。
【0005】そこで、一般には、画像情報の階調域に対
して、記録媒体が一定の発色特性(感度)を示すように
プリンタの階調補正がなされる。このとき、例えば波長
670nmのレーザで読み取った濃度情報(データ)に
基づいて補正が可能であるが、該波長での濃度は、ビジ
ュアル濃度として計測される濃度(一般に簡易な濃度測
定に用いられ、広範な波長域を使用した透過型濃度計に
よる濃度など)と異なるので所望の濃度が得られず、更
にビジュアル濃度に合うように濃度補正がされる。しか
しながら、上記のように補正を適切に行うためには、記
録媒体中の読み取り領域(画像領域)における、670
nmでの吸光度とビジュアル濃度とが一定の関係を有し
ている必要があり、適正な補正がなされなければ、画像
診断に適する良好な画像を形成することはできない。ま
た、特に670nm付近の吸収は画像の黒色調に影響す
るため、この波長域を基準に濃度を所望の濃度域に合わ
せるのが好ましい。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、前記従来に
おける問題を解決し、透明性に優れ、適性な濃度、色調
よりなる画像を安定に形成し得る感熱記録材料を提供す
ることを目的とし、該目的を達成することを課題とす
る。
【0007】
【課題を解決するための手段】前記課題を解決するため
の手段は以下の通りである。即ち、 <1> 透明支持体上に感熱記録層を有する感熱記録材
料において、透過濃度計TD904(ビジュアルフィル
タ、マクベス社製)で測定した濃度2.0の領域におけ
る、波長670nmでの吸光度(透過濃度)が1.4〜
1.6であることを特徴とする感熱記録材料である。 <2> 記録後の画像部において、極大吸収波長が62
5〜715nmである色素の含有量が、感熱記録層の該
画像部における全色素量(質量)の25〜35質量%で
ある前記<1>に記載の感熱記録材料である。
【0008】
【発明の実施の形態】本発明の感熱記録材料において
は、透過濃度計TD904(ビジュアルフィルタ、マク
ベス社製)で測定した濃度2.0の領域における、波長
670nmでの吸光度が1.4〜1.6となる感熱記録
層を有することを特徴とする。以下、本発明の感熱記録
材料について詳細に説明する。
【0009】本発明の感熱記録材料は、透明支持体上に
感熱記録層を少なくとも1層有してなり、必要に応じて
保護層等の他の層が設けられていてもよい。 〈感熱記録層〉本発明に係る感熱記録層は、少なくとも
発色成分を含有してなり、該発色成分で得られた画像部
の、透過濃度計TD904(ビジュアルフィルタ、マク
ベス社製)で測定した濃度2.0の領域における、波長
670nmでの吸光度(透過濃度)は1.4〜1.6で
ある。必要に応じて、顔料等の色素成分などの他の成分
を含有していてもよい。
【0010】特に医療分野においては、CRT等の医療
機器から得た画像情報(例えば1026階調等の濃度デ
ータ)に基づき画像記録する場合に、予め波長670n
mのレーザを用いて(感熱記録材料に記録した)ステッ
プウェッジ等の画像濃度を読み取り、読み取った濃度デ
ータをもとに、画像情報に基づいて熱印画される画像濃
度が透過濃度計で計測されるビジュアル濃度と一致する
ように補正を行うが、本発明においては、一定の補正が
可能なように、画像部での、670nmで読み取られる
吸光度(透過濃度)とビジュアル濃度とが一定の関係を
有するように、感熱記録層を、透過濃度計TD904
(ビジュアルフィルタ、マクベス社製)で測定した濃度
2.0の領域における、波長670nmでの吸光度を
1.4〜1.6の範囲に調整する。
【0011】ここで、前記濃度2.0の領域における波
長670nmでの吸光度が上記範囲にないと、最終的に
得られる補正後の濃度が高すぎたり低すぎたりして、補
正後の画像として、適正な濃度、色調の画像が得られな
い。波長670nmでの吸光度(透過濃度)は、例えば
分光光度計などにより容易に測定できる。
【0012】前記濃度2.0の領域における波長670
nmでの吸光度を、上記範囲に調整する方法としては、
特に制限はなく、例えば、用いる発色成分や色素(色
材)等、及びその含有量等を適宜選択することにより行
うことができる。本発明においては、記録後の、即ち発
色成分が発色した画像部において、該画像部に存在す
る、極大吸収波長が625〜715nmである色素の含
有量により好適に調整することができる。記録後の画像
部において、極大吸収波長が625〜715nmである
色素の含有量としては、感熱記録層の該画像部における
全色素量(質量)の25〜35質量%が好ましい。中で
も、28〜32質量%がより好ましい。前記含有量が、
25質量%未満であると、波長670nmでの吸光度が
1.4にまで至らず、補正後の画像濃度が高くなりすぎ
ることがあり、35質量%を超えると、波長670nm
での吸光度が1.6を超え、補正後の画像濃度が低くな
りすぎることがある。
【0013】以下、感熱記録層に含まれる各種成分等に
ついて詳述する。 (発色成分)前記感熱記録層は、未処理時には優れた透
明性を有し、加熱により呈色する性質を有するものであ
れば、いかなる組成のものでも使用することができる。
このような感熱記録層としては、実質的に無色の発色成
分Aと、該発色成分Aと反応して発色させる実質的に無
色の発色成分Bとを含有する、いわゆる二成分型感熱記
録層が挙げられるが、発色成分A又は発色成分Bは、マ
イクロカプセルに内包されることが好ましい。この二成
分型感熱記録層を構成する二成分の組合せとしては、下
記(a)〜(m)のようなものが挙げられる。
【0014】(a)電子供与性染料前駆体と、電子受容
性化合物との組合せ。 (b)光分解性ジアゾ化合物と、カプラーとの組合せ。 (c)ベヘン酸銀、ステアリン酸銀等の有機金属塩と、
プロトカテキン酸、スピロインダン、ハイドロキノン等
の還元剤との組合せ。 (d)ステアリン酸第二鉄、ミリスチン酸第二鉄等の長
鎖脂肪族塩と、没食子酸、サリチル酸アンモニウム等の
フェノール類との組合せ。 (e)酢酸、ステアリン酸、パルミチン酸等のニッケ
ル、コバルト、鉛、銅、鉄、水銀、銀等との塩等の有機
酸重金属塩と、硫化カルシウム、硫化ストロンチウム、
硫化カリウム等のアルカリ土類金属硫化物との組合せ、
又は、前記有機酸重金属塩と、s−ジフェニルカルバジ
ド、ジフェニルカルバゾン等の有機キレート剤との組合
せ。 (f)硫化銀、硫化鉛、硫化水銀、硫化ナトリウム等の
(重)金属硫酸塩と、Na−テトラチオネート、チオ硫
酸ソーダ、チオ尿素等の硫黄化合物との組合せ。 (g)ステアリン酸第二鉄等の脂肪族第二鉄塩と、3,
4−ジヒドロキシテトラフェニルメタン等の芳香族ポリ
ヒドロキシ化合物との組合せ。 (h)シュウ酸銀、シュウ酸水銀等の有機貴金属塩と、
ポリヒドロキシアルコール、グリセリン、グリコール等
の有機ポリヒドロキシ化合物との組合せ。 (i)ペラルゴン酸第二鉄、ラウリン酸第二鉄等の脂肪
族第二鉄塩と、チオセシルカルバミドやイソチオセシル
カルバミド誘導体との組合せ。 (j)カプロン酸鉛、ペラルゴン酸鉛、ベヘン酸鉛等の
有機酸鉛塩と、エチレンチオ尿素、N−ドデシルチオ尿
素等のチオ尿素誘導体との組合せ。 (k)ステアリン酸第二鉄、ステアリン酸銅等の高級脂
肪酸重金属塩と、ジアルキルジチオカルバミン酸亜鉛と
の組合せ。 (l)レゾルシンとニトロソ化合物との組合せのような
オキサジン染料を形成する物。 (m)ホルマザン化合物と還元剤及び/又は金属塩との
組合せ。
【0015】これらの中でも、本発明の感熱記録材料に
おいては、(a)電子供与性染料前駆体と電子受容性化
合物との組合せ、(b)光分解性ジアゾ化合物とカプラ
ーとの組合せ、又は(c)有機金属塩と還元剤との組合
せを用いることが好ましく、特に上記(a)又は(b)
の組合せであることがより好ましい。
【0016】また、本発明の感熱記録材料は、(拡散透
過率/全光透過率)×100(%)から算出されるヘイ
ズ値を下げるように感熱記録層を構成することにより、
透明性に優れた画像を得ることができる。このヘイズ値
は材料の透明性を表す指数で、一般には、ヘイズメータ
ーを使用して全光透過量、拡散透過光量、平行透過光量
から算出される。本発明において、上記ヘイズ値を下げ
る方法としては、例えば、感熱記録層に含まれる前記発
色成分A、Bの両成分の50%体積平均粒径を1.0μ
m以下、好ましくは、0.6μm以下とし、かつバイン
ダーを感熱記録層の全固形分の30〜60質量%の範囲
で含有させる方法、前記発色成分A、Bのいずれか一方
をマイクロカプセル化し、他方を塗布乾燥後に実質的に
連続層を構成するような、例えば、乳化物のようなもの
として使用する方法等が挙げられる。また、感熱記録層
に使用する成分の屈折率をなるべく一定の値に近づける
方法も有効である。
【0017】次に、前記感熱記録層に好ましく使用され
る、前記組成の組合せ(a、b、c)について詳細に説
明する。まず、(a)電子供与性染料前駆体と電子受容
性化合物との組合せについて説明する。本発明において
好ましく使用される電子供与性染料前駆体は、実質的に
無色のものであれば特に限定されるものではないが、エ
レクトロンを供与して、或いは、酸等のプロトンを受容
して発色する性質を有するものであり、特に、ラクト
ン、ラクタム、サルトン、スピロピラン、エステル、ア
ミド等の部分骨格を有しており、電子受容性化合物と接
触した場合に、これらの部分骨格が開環若しくは開裂す
る無色の化合物であることが好ましい。
【0018】前記電子供与性染料前駆体としては、例え
ば、トリフェニルメタンフタリド系化合物、フルオラン
系化合物、フェノチアジン系化合物、インドリルフタリ
ド系化合物、ロイコオーラミン系化合物、ローダミンラ
クタム系化合物、トリフェニルメタン系化合物、トリア
ゼン系化合物、スピロピラン系化合物、フルオレン系化
合物、ピリジン系化合物、ピラジン系化合物等が挙げら
れる。
【0019】前記フタリド類の具体例としては、米国再
発行特許明細書第23,024号、米国特許明細書第
3,491,111号、同第3,491,112号、同
第3,491,116号、同第3,509,174号等
に記載された化合物が挙げられる。前記フルオラン類の
具体例としては、米国特許明細書第3,624,107
号、同第3,627,787号、同第3,641,01
1号、同第3,462,828号、同第3,681,3
90号、同第3,920,510号、同第3,959,
571号等に記載された化合物が挙げられる。前記スピ
ロピラン類の具体例としては、米国特許明細書第3,9
71,808号等に記載された化合物が挙げられる。前
記フルオレン系化合物の具体例としては、特願昭61−
240989号公報等に記載された化合物が挙げられ
る。前記ピリジン系及びピラジン系化合物類としては、
米国特許明細書第3,775,424号、同第3,85
3,869号、同第4,246,318号等に記載され
た化合物が挙げられる。これらの中でも、特に、黒発色
の2−アリールアミノ−3−〔H、ハロゲン、アルキル
又はアルコキシ−6−置換アミノフルオラン〕が好まし
く挙げられる。
【0020】具体的には、例えば、2−アニリノ−3−
メチル−6−ジエチルアミノフルオラン、2−アニリノ
−3−メチル−6−N−シクロヘキシル−N−メチルア
ミノフルオラン、2−p−クロロアニリノ−3−メチル
−6−ジブチルアミノフルオラン、2−アニリノ−3−
メチル−6−ジオクチルアミノフルオラン、2−アニリ
ノ−3−クロロ−6−ジエチルアミノフルオラン、2−
アニリノ−3−メチル−6−N−エチル−N−イソアミ
ルアミノフルオラン、2−アニリノ−3−メチル−6−
N−エチル−N−ドデシルアミノフルオラン、2−アニ
リノ−3−メトキシ−6−ジブチルアミノフルオラン、
2−o−クロロアニリノ−6−ジブチルアミノフルオラ
ン、2−p−クロロアニリノ−3−エチル−6−N−エ
チル−N−イソアミルアミノフルオラン、2−o−クロ
ロアニリノ−6−p−ブチルアニリノフルオラン、2−
アニリノ−3−ペンタデシル−6−ジエチルアミノフル
オラン、2−アニリノ−3−エチル−6−ジブチルアミ
ノフルオラン、2−o−トルイジノ−3−メチル−6−
ジイソプロピルアミノフルオラン、2−アニリノ−3−
メチル−6−N−イソブチル−N−エチルアミノフルオ
ラン、2−アニリノ−3−メチル−6−N−エチル−N
−テトラヒドロフルフリルアミノフルオラン、2−アニ
リノ−3−クロロ−6−N−エチル−N−イソアミルア
ミノフルオラン、2−アニリノ−3−メチル−6−N−
メチル−N−γ−エトキシプロピルアミノフルオラン、
2−アニリノ−3−メチル−6−N−エチル−N−γ−
エトキシプロピルアミノフルオラン、2−アニリノ−3
−メチル−6−N−エチル−N−γ−プロポキシプロピ
ルアミノフルオラン等が挙げられる。
【0021】前記電子供与性染料前駆体に作用して発色
させる電子受容性化合物としては、フェノール化合物、
有機酸若しくはその金属塩、オキシ安息香酸エステル等
の酸性物質が挙げられ、例えば、特開昭61−2911
83号公報等に記載されている化合物が挙げられる。具
体的には、2,2−ビス(4’−ヒドロキシフェニル)
プロパン(一般名:ビスフェノールA)、2,2−ビス
(4’−ヒドロキシフェニル)ペンタン、2,2−ビス
(4’−ヒドロキシ−3’,5’−ジクロロフェニル)
プロパン、1,1−ビス(4’−ヒドロキシフェニル)
シクロヘキサン、2,2−ビス(4’−ヒドロキシフェ
ニル)ヘキサン、1,1−ビス(4’−ヒドロキシフェ
ニル)プロパン、1,1−ビス(4’−ヒドロキシフェ
ニル)ブタン、1,1−ビス(4’−ヒドロキシフェニ
ル)ペンタン、1,1−ビス(4’−ヒドロキシフェニ
ル)ヘキサン、1,1−ビス(4’−ヒドロキシフェニ
ル)ヘプタン、1,1−ビス(4’−ヒドロキシフェニ
ル)オクタン、1,1−ビス(4’−ヒドロキシフェニ
ル)−2−メチル−ペンタン、1,1−ビス(4’−ヒ
ドロキシフェニル)−2−エチル−ヘキサン、1,1−
ビス(4’−ヒドロキシフェニル)ドデカン、1,4−
ビス(p−ヒドロキシフェニルクミル)ベンゼン、1,
3−ビス(p−ヒドロキシフェニルクミル)ベンゼン、
ビス(p−ヒドロキシフェニル)スルフォン、ビス(3
−アリル−4−ヒドロキシフェニル)スルフォン、ビス
(p−ヒドロキシフェニル)酢酸ベンジルエステル等の
ビスフェノール類;
【0022】3,5−ジ−α−メチルベンジルサリチル
酸、3,5−ジ−ターシャリーブチルサリチル酸、3−
α−α−ジメチルベンジルサリチル酸、4−(β−p−
メトキシフェノキシエトキシ)サリチル酸等のサリチル
酸誘導体;
【0023】又は、その多価金属塩(特に、亜鉛、アル
ミニウムが好ましい);p−ヒドロキシ安息香酸ベンジ
ルエルテル、p−ヒドロキシ安息香酸−2−エチルヘキ
シルエステル、β−レゾルシン酸−(2−フェノキシエ
チル)エステル等のオキシ安息香酸エステル類;p−フ
ェニルフェノール、3,5−ジフェニルフェノール、ク
ミルフェノール、4−ヒドロキシ−4’−イソプロポキ
シ−ジフェニルスルフォン、4−ヒドロキシ−4’−フ
ェノキシ−ジフェニルスルフォン等のフェノール類が挙
げられる。中でも、良好な発色特性を得る観点からビス
フェノール類が特に好ましい。また、上記の電子受容性
化合物は、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用
してもよい。
【0024】次に、(b)光分解性ジアゾ化合物とカプ
ラーとの組合せについて説明する。前記光分解性ジアゾ
化合物とは、後述するカップリング成分であるカプラー
とカップリング反応して所望の色相に発色するものであ
り、反応前に特定波長域の光を受けると分解し、もはや
カップリング成分が存在しても発色能力を持たなくなる
光分解性のジアゾ化合物である。この発色系における色
相は、ジアゾ化合物とカプラーとが反応して生成するジ
アゾ色素により決定される。従って、ジアゾ化合物、或
いは、カプラーの化学構造を変えることにより、容易に
発色色相を変えることができ、その組み合わせ次第で、
任意の発色色相を得ることができる。
【0025】本発明において好ましく使用される光分解
性ジアゾ化合物としては、芳香族系ジアゾ化合物が挙げ
られ、具体的には、芳香族ジアゾニウム塩、ジアゾスル
フォネート化合物、ジアゾアミノ化合物等が挙げられ
る。前記芳香族ジアゾニウム塩としては、以下の一般式
で表される化合物が挙げられるが、これに限定されるも
のではない。また、前記芳香族ジアゾニウム塩は、光定
着性に優れ、定着後の着色ステインの発生の少なく、発
色部の安定なものが好ましく用いられる。Ar−N2 +
-前記式中、Arは置換基を有する、あるいは無置換
の芳香族炭化水素環基を表し、N2 +はジアゾニウム基
を、X-は酸アニオンを表す。
【0026】前記ジアゾスルフォネート化合物として
は、近年多数のものが知られており、各々のジアゾニウ
ム塩を亜硫酸塩で処理することにより得られ、本発明の
感熱記録材料に好適に用いることができる。
【0027】前記ジアゾアミノ化合物としては、ジアゾ
基を、ジシアンジアミド、サルコシン、メチルタウリ
ン、N−エチルアントラニックアシッド−5−スルフォ
ニックアシッド、モノエタノールアミン、ジエタノール
アミン、グアニジン等でカップリングさせることにより
得ることができ、本発明の感熱記録材料に好適に用いる
ことができる。これらのジアゾ化合物の詳細について
は、例えば、特開平2−136286号公報等に詳細に
記載されている。
【0028】一方、上述のジアゾ化合物とカップリング
反応するカプラーとしては、例えば、2−ヒドロキシ−
3−ナフトエ酸アニリドの他、レゾルシンをはじめ、特
開昭62−146678号公報等に記載されているもの
が挙げられる。
【0029】前記感熱記録層において、ジアゾ化合物と
カプラーとの組合せによるものを用いる場合、これらの
カップリング反応は塩基性雰囲気下で行うことによりそ
の反応をより促進させることができる観点から、増感剤
として、塩基性物質を添加してもよい。前記塩基性物質
としては、水不溶性又は難溶性の塩基性物質や加熱によ
りアルカリを発生する物質が挙げられ、例えば、無機又
は有機アンモニウム塩、有機アミン、アミド、尿素やチ
オ尿素又はそれらの誘導体、チアゾール類、ピロール
類、ピリミジン類、ピペラジン類、グアニジン類、イン
ドール類、イミダゾール類、イミダゾリン類、トリアゾ
ール類、モルフォリン類、ピペリジン類、アミジン類、
フォリムアジン類又はピリジン類等の含窒素化合物が挙
げられる。これらの具体例としては、例えば、特開昭6
1−291183号公報等に記載されたものが挙げられ
る。
【0030】次に、(c)有機金属塩と還元剤との組合
せについて説明する。前記有機金属塩としては、具体的
には、ラウリン酸銀、ミリスチン酸銀、パルミチン酸
銀、ステアリン酸銀、アラキン酸銀又はベヘン酸銀等の
長鎖脂肪族カルボン酸の銀塩;ベンゾトリアゾール銀
塩、ベンズイミダゾール銀塩、カルバゾール銀塩又はフ
タラジノン銀塩等のイミノ基を有する有機化合物の銀
塩;s−アルキルチオグリコレート等の硫黄含有化合物
の銀塩;安息香酸銀、フタル酸銀等の芳香族カルボン酸
の銀塩;エタンスルホン酸銀等のスルホン酸の銀塩;o
−トルエンスルフィン酸銀等のスルフィン酸の銀塩;フ
ェニルリン酸銀等のリン酸の銀塩;バルビツール酸銀、
サッカリン酸銀、サリチルアスドキシムの銀塩又はこれ
らの任意の混合物が挙げられる。これらの内、長鎖脂肪
族カルボン酸銀塩が好ましく、中でもベヘン酸銀がより
好ましい。また、ベヘン酸をベヘン酸銀と共に使用して
もよい。
【0031】前記還元剤としては、特開昭53−102
0号公報第227頁左下欄第14行目〜第229頁右上
欄第11行目の記載に基づいて適宜使用することができ
る。中でも、モノ、ビス、トリス又はテトラキスフェノ
ール類、モノ又はビスナフトール類、ジ又はポリヒドロ
キシナフタレン類、ジ又はポリヒドロキシベンゼン類、
ヒドロキシモノエーテル類、アスコルビン酸類、3−ピ
ラゾリドン類、ピラゾリン類、ピラゾロン類、還元性糖
類、フェニレンジアミン類、ヒドロキシルアミン類、レ
ダクトン類、ヒドロオキサミン酸類、ヒドラジド類、ア
ミドオキシム類、N−ヒドロキシ尿素類等を使用するこ
とが好ましい。上記のうち、ポリフェノール類、スルホ
ンアミドフェノール類又はナフトール類等の芳香族有機
還元剤が特に好ましい。
【0032】感熱記録材料の十分な透明性を確保するた
めには、前記感熱記録層に(a)電子供与性染料前駆体
と電子受容性化合物との組合せ、又は(b)光分解性ジ
アゾ化合物とカプラーとの組合せを用いることが好まし
い。また、本発明では、前記発色成分Aと発色成分Bの
いずれか一方を、マイクロカプセル化して使用すること
が好ましく、前記電子供与性染料前駆体、又は光分解性
ジアゾ化合物をマイクロカプセル化して使用することが
より好ましい。
【0033】(マイクロカプセル)以下に、マイクロカ
プセルの製造方法について詳述する。マイクロカプセル
の製造には、界面重合法、内部重合法、外部重合法等が
あり、いずれの方法も採用することができる。上記の通
り、本発明の感熱記録材料は、電子供与性染料前駆体、
又は光分解性ジアゾ化合物をマイクロカプセル化するこ
とが好ましく、特に、カプセルの芯となる電子供与性染
料前駆体、又は光分解性ジアゾ化合物を疎水性の有機溶
媒に溶解又は分散させ調製した油相を、水溶性高分子を
溶解した水相中に混合し、ホモジナイザー等の手段によ
り乳化分散した後、加温することによりその油滴界面で
高分子形成反応を起こし、高分子物質のマイクロカプセ
ル壁を形成させる界面重合法を採用することが好まし
い。
【0034】前記高分子物質を形成するリアクタント
は、油滴内部及び/又は油滴外部に添加される。前記高
分子物質の具体例としては、ポリウレタン、ポリウレ
ア、ポリアミド、ポリエステル、ポリカーボネート、尿
素−ホルムアルデヒド樹脂、メラミン樹脂、ポリスチレ
ン、スチレンメタクリレート共重合体、スチレン−アク
リレート共重合体等が挙げられる。これらの中でも、ポ
リウレタン、ポリウレア、ポリアミド、ポリエステル、
ポリカーボネートが好ましく、ポリウレタン、ポリウレ
アが特に好ましい。
【0035】例えば、ポリウレアをカプセル壁材とする
場合には、ジイソシアナート,トリイソシアナート,テ
トライソシアナート,ポリイソシアナートプレポリマー
等のポリイソシアナートと、ジアミン,トリアミン,テ
トラアミン等のポリアミン、2以上のアミノ基を有する
プレポリマー、ピペラジン若しくはその誘導体又はポリ
オール等と、を上記水相中で界面重合法によって反応さ
せることにより容易にマイクロカプセル壁を形成させる
ことができる。
【0036】また、例えば、ポリウレアとポリアミドか
らなる複合壁若しくはポリウレタンとポリアミドからな
る複合壁は、例えば、ポリイソシアナート及びそれと反
応してカプセル壁を形成する第2物質(例えば、酸クロ
ライド若しくはポリアミン、ポリオール)を水溶性高分
子水溶液(水相)又はカプセル化すべき油性媒体(油
相)中に混合し、これらを乳化分散した後、加温するこ
とにより調製することができる。このポリウレアとポリ
アミドからなる複合壁の製造方法の詳細については、特
開昭58−66948号公報に記載されている。
【0037】前記ポリイソシアナート化合物としては、
3官能以上のイソシアナート基を有する化合物が好まし
いが、2官能のイソシアナート化合物を併用してもよ
い。具体的には、キシレンジイソシアナート及びその水
添物、ヘキサメチレンジイソシアナート、トリレンジイ
ソシアナート及びその水添物、イソホロンジイソシアナ
ート等のジイソシアナートを主原料とし、これらの2量
体あるいは3量体(ビューレットあるいはイソシアヌレ
ート)の他、トリメチロールプロパン等のポリオールと
キシリレンジイソシアナート等の2官能イソシアナート
とのアダクト体として多官能としたもの、トリメチロー
ルプロパン等のポリオールとキシリレンジイソシアナー
ト等の2官能イソシアナートとのアダクト体にポリエチ
レンオキシド等の活性水素を有するポリエーテル等の高
分子量化合物を導入した化合物、ベンゼンイソシアナー
トのホルマリン縮合物等が挙げられる。特開昭62−2
12190号公報、特開平4−26189号公報、特開
平5−317694号公報、特願平8−268721号
公報等に記載の化合物が好ましい。
【0038】前記ポリイソシアナートは、マイクロカプ
セルの平均粒径が0.3〜12μmで、かつカプセル壁
の厚みが0.01〜0.3μmとなるように添加される
ことが好ましい。分散粒子径は0.2〜10μm程度が
一般的である。
【0039】ポリイソシアナートと反応してマイクロカ
プセル壁の構成成分の一つとして水相中及び/又は油相
中に添加するポリオール又は/及びポリアミンの具体例
としては、プロピレングリコール、グリセリン、トリメ
チロールプロパン、トリエタノールアミン、ソルビトー
ル、ヘキサメチレンジアミン等が挙げられる。ポリオー
ルを添加した場合には、ポリウレタン壁が形成される。
上記反応において、反応温度を高く保ち、あるいは適当
な重合触媒を添加することが反応速度を速める点で好ま
しい。ポリイソシアナート、ポリオール、反応触媒、あ
るいは、壁剤の一部を形成させるためのポリアミン等に
ついては成書に詳しい(岩田敬治編 ポリウレタンハン
ドブック 日刊工業新聞社(1987))。
【0040】また、前記マイクロカプセル壁には、必要
に応じて金属含有染料、ニグロシン等の荷電調節剤、或
いは、その他任意の添加物質を加えることができる。こ
れらの添加剤は壁形成時又は任意の時点でカプセルの壁
に含有させることができる。また、必要に応じてカプセ
ル壁表面の帯電性を調節するために、ビニルモノマー等
のモノマーをグラフト重合させてもよい。
【0041】更に、マイクロカプセル壁をより低温な状
況下でも物質透過性に優れ、発色性に富む壁質とするた
め、壁材として用いるポリマーに適合した可塑剤を用い
ることが好ましい。該可塑剤は、その融点が50℃以上
のものが好ましく、更に該融点が120℃以下のものが
より好ましい。このうち、常温下で固体状のものを好適
に選択して用いることができる。例えば、壁材がポリウ
レア、ポリウレタンからなる場合、ヒドロキシ化合物、
カルバミン酸エステル化合物、芳香族アルコキシ化合
物、有機スルホンアミド化合物、脂肪族アミド化合物、
アリールアミド化合物等が好適に用いられる。
【0042】前記の油相の調製に際し、電子供与性染料
前駆体、又は光分解性ジアゾ化合物を溶解し、マイクロ
カプセルの芯を形成するときに用いられる疎水性有機溶
媒としては、沸点100〜300℃の有機溶媒が好まし
い。具体的には、エステル類の他、ジメチルナフタレ
ン、ジエチルナフタレン、ジイソプロピルナフタレン、
ジメチルビフェニル、ジイソプロピルビフェニル、ジイ
ソブチルビフェニル、1−メチル−1−ジメチルフェニ
ル−2−フェニルメタン、1−エチル−1−ジメチルフ
ェニル−1−フェニルメタン、1−プロピル−1−ジメ
チルフェニル−1−フェニルメタン、トリアリルメタン
(例えば、トリトルイルメタン、トルイルジフェニルメ
タン)、ターフェニル化合物(例えば、ターフェニ
ル)、アルキル化合物、アルキル化ジフェニルエーテル
(例えば、プロピルジフェニルエーテル)、水添ターフ
ェニル(例えば、ヘキサヒドロターフェニル)、ジフェ
ニルエーテル等が挙げられる。これらの中でも、エステ
ル類を使用することが乳化分散物の乳化安定性の観点か
ら特に好ましい。
【0043】前記エステル類としては、リン酸トリフェ
ニル、リン酸トリクレジル、リン酸ブチル、リン酸オク
チル、リン酸クレジルフェニル等のリン酸エステル類;
フタル酸ジブチル、フタル酸−2−エチルヘキシル、フ
タル酸エチル、フタル酸オクチル、フタル酸ブチルベン
ジル等のフタル酸エステル;テトラヒドロフタル酸ジオ
クチル;安息香酸エチル、安息香酸プロピル、安息香酸
ブチル、安息香酸イソペンチル、安息香酸ベンジル等の
安息香酸エステル;アビエチン酸エチル、アビエチン酸
ベンジル等のアビエチン酸エステル;アジピン酸ジオク
チル;コハク酸イソデシル;アゼライン酸ジオクチル;
シュウ酸ジブチル、シュウ酸ジペンチル等のシュウ酸エ
ステル;マロン酸ジエチル;マレイン酸ジメチル、マレ
イン酸ジエチル、マレイン酸ジブチル等のマレイン酸エ
ステル;クエン酸トリブチル;ソルビン酸メチル、ソル
ビン酸エチル、ソルビン酸ブチル等のソルビン酸エステ
ル;セバシン酸ジブチル、セバシン酸ジオクチル等のセ
バシン酸エステル;ギ酸モノエステル及びジエステル、
酪酸モノエステル及びジエステル、ラウリン酸モノエス
テル及びジエステル、パルミチン酸モノエステル及びジ
エステル、ステアリン酸モノエステル及びジエステル、
オレイン酸モノエステル及びジエステル等のエチレング
リコールエステル類;トリアセチン;炭酸ジエチル;炭
酸ジフェニル;炭酸エチレン;炭酸プロピレン;ホウ酸
トリブチル、ホウ酸トリペンチル等のホウ酸エステル等
が挙げられる。
【0044】これらの中でも、特にリン酸トリクレジル
を単独又は混合して用いた場合、乳化物の安定性が最も
良好となり好ましい。上記のオイル同士又は他のオイル
との併用による使用も可能である。
【0045】カプセル化しようとする電子供与性染料前
駆体、又は光分解性ジアゾ化合物の前記疎水性有機溶媒
に対する溶解性が劣る場合には、溶解性の高い低沸点溶
媒を補助的に併用することもできる。このような低沸点
溶媒としては、例えば、酢酸エチル、酢酸イソプロピ
ル、酢酸ブチル、メチレンクロライド等が好ましく挙げ
られる。
【0046】前記電子供与性染料前駆体、又は光分解性
ジアゾ化合物を感熱記録材料の感熱記録層に用いる場
合、該電子供与性染料前駆体の含有量としては、0.1
〜5.0g/m2が好ましく、1.0〜4.0g/m2
より好ましい。また、光分解性ジアゾ化合物の含有量と
しては、0.02〜5.0g/m2が好ましく、発色濃
度の点から0.10〜4.0g/m2がより好ましい。
【0047】前記電子供与性染料前駆体の含有量が0.
1〜5.0g/m2の範囲にあると、十分な発色濃度が
得られ,また、両者の含有量が5.0g/m2以内であ
ると、十分な発色濃度が保持され、かつ感熱記録層の透
明性を保持することができる。
【0048】一方、用いる水相には保護コロイドとして
水溶性高分子を溶解した水溶液を使用し、これに前記油
相を投入後、ホモジナイザー等の手段により乳化分散を
行うが、前記水溶性高分子は、分散を均一に、かつ容易
にするとともに、乳化分散した水溶液を安定化させる分
散媒として作用する。ここで、更に均一に乳化分散し安
定化させるためには、油相あるいは水相の少なくとも一
方に界面活性剤を添加してもよい。前記界面活性剤とし
ては、周知の乳化用界面活性剤を使用することができ
る。界面活性剤の添加量は、油相の質量に対して0.1
〜5%が好ましく、0.5〜2%がより好ましい。
【0049】水相に含有させる界面活性剤は、アニオン
性又はノニオン性の界面活性剤の中から、前記保護コロ
イドと作用して沈殿や凝集を起こさないものを好適に選
択して使用することができる。好ましい界面活性剤とし
ては、例えば、アルキルベンゼンスルホン酸ソーダ、ア
ルキル硫酸ナトリウム、スルホコハク酸ジオクチルナト
リウム塩、ポリアルキレングリコール(例えば、ポリオ
キシエチレンノニルフェニルエーテル)等が挙げられ
る。
【0050】乳化は、上記成分を含有した油相と保護コ
ロイド及び界面活性剤を含有する水相とを、高速撹拌、
超音波分散等の通常の微粒子乳化に用いられる手段、例
えば、ホモジナイザー、マントンゴーリー、超音波分散
機、ディゾルバー、ケディーミル等、公知の乳化装置を
用いて容易に行うことができる。乳化後は、カプセル壁
形成反応を促進させるために、乳化物を30〜70℃に
加温することが好ましい。また、反応中はカプセル同士
の凝集を防止するために、加水してカプセル同士の衝突
確率を下げたり、十分な攪拌を行うことが好ましい。
【0051】また、反応中に改めて凝集防止用の分散物
を添加してもよい。重合反応の進行に伴って炭酸ガスの
発生が観測され、その発生の終息をもっておよそのカプ
セル壁形成反応の終点とみなすことができる。通常、数
時間反応させることにより、目的のマイクロカプセルを
得ることができる。
【0052】(乳化分散物)電子供与性染料前駆体若し
くは光分解性ジアゾ化合物等の発色成分の一方を芯物質
としてカプセル化した場合には、これに対応する他方の
発色成分である電子受容性化合物若しくはカプラー等
は、例えば、水溶性高分子及び有機塩基、その他の発色
助剤等と共に、サンドミル等の手段により固体分散して
用いることもできるが、予め水に難溶性又は不溶性の高
沸点有機溶剤に溶解した後、これを界面活性剤及び/又
は水溶性高分子を保護コロイドとして含有する高分子水
溶液(水相)と混合し、ホモジナイザー等で乳化した乳
化分散物(以下、「乳化分散液」ともいう。)として用
いることがより好ましい。この場合、必要に応じて、低
沸点溶剤を溶解助剤として用いることもできる。更に、
カプラー、有機塩基は別々に乳化分散することも、混合
してから高沸点有機溶剤に溶解し、乳化分散することも
できる。好ましい乳化分散粒子径は1μm以下である。
【0053】この場合に使用される高沸点有機溶剤は、
例えば、特開平2−141279号公報に記載された高
沸点オイルの中から適宜選択することができる。中でも
エステル類を使用することが、乳化分散液の乳化安定性
の観点がら好ましく、中でも、リン酸トリクレジルが特
に好ましい。上記のオイル同士、又は他のオイルとの併
用も可能である。
【0054】上記の保護コロイドとして含有される水溶
性高分子としては、公知のアニオン性高分子、ノニオン
性高分子、両性高分子の中から適宜選択することがで
き、乳化しようとする温度における水に対する溶解度が
5%以上の水溶性高分子が好ましく、その具体例として
は、ポリビニルアルコールまたはその変成物、ポリアク
リル酸アミドまたはその誘導体、エチレン−酢酸ビニル
共重合体、スチレン−無水マレイン酸共重合体、エチレ
ン−無水マレイン酸共重合体、イソブチレン−無水マレ
イン酸共重合体、ポリビニルピロリドン、エチレン−ア
クリル酸共重合体、酢酸ビニル−アクリル酸共重合体、
カルボキシメチルセルロース,メチルセルロース等のセ
ルロース誘導体、カゼイン、ゼラチン、澱粉誘導体、ア
ラビヤゴム、アルギン酸ナトリウム等が挙げられる。こ
れらの中でも、ポリビニルアルコール、ゼラチン、セル
ロース誘導体が特に好ましい。
【0055】また、油相の水相に対する混合比(油相質
量/水相質量)は、0.02〜0.6が好ましく、0.
1〜0.4がより好ましい。該混合比が0.02〜0.
6の範囲内であると、適度の粘度に保持でき、製造適性
に優れ、塗布液安定性に優れる。
【0056】本発明の感熱記録材料において電子受容性
化合物を用いる場合、該電子受容性化合物は、前記電子
供与性染料前駆体1質量部に対して、0.5〜30質量
部が好ましく、1.0〜10質量部がより好ましい。ま
た、本発明の感熱記録材料においてカプラーを用いる場
合、該カプラーは、前記ジアゾ化合物1質量部に対し
て、0.1〜30質量部が好ましい。
【0057】(塗布液)感熱記録層形成用の塗布液(以
下、「感熱記録層用塗布液」ということがある。)は、
例えば、上記のように調製したマイクロカプセル液と乳
化分散物とを混合することにより調製することができ
る。ここで、前記マイクロカプセル液の調製の際に保護
コロイドとして用いた水溶性高分子、並びに前記乳化分
散物の調製の際に保護コロイドとして用いた水溶性高分
子は、前記感熱記録層におけるバインダーとして機能す
る。また、これら保護コロイドとは別にバインダーを添
加、混合して、感熱記録層用塗布液を調製してもよい。
前記添加されるバインダーとしては、水溶性のものが一
般的であり、ポリビニルアルコ−ル、ヒドロキシエチル
セルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、エピクロ
ルヒドリン変性ポリアミド、エチレン−無水マレイン酸
共重合体、スチレン−無水マレイン酸共重合体、イソブ
チレン−無水マレインサリチル酸共重合体、ポリアクリ
ル酸、ポリアクリル酸アミド、メチロール変性ポリアク
リルアミド、デンプン誘導体、カゼイン、ゼラチン等が
挙げられる。また、これらのバインダーに耐水性を付与
する目的で耐水化剤を加えたり、疎水性ポリマーのエマ
ルジョン、具体的には、スチレン−ブタジエンゴムラテ
ックス、アクリル樹脂エマルジョン等を添加することも
できる。
【0058】前記感熱記録層用塗布液を支持体上に塗布
する際、水系又は有機溶剤系の塗布液に用いる公知の塗
布手段が用いられるが、この場合、感熱記録層用塗布液
を安全かつ均一に塗布するとともに、塗膜の強度を保持
するため、本発明の感熱記録材料においては、メチルセ
ルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエ
チルセルロース、澱粉類、ゼラチン、ポリビニルアルコ
ール、カルボキシ変性ポリビニルアルコール、ポリアク
リルアミド、ポリスチレン又はその共重合体、ポリエス
テル又はその共重合体、ポリエチレン又はその共重合
体、エポキシ樹脂、アクリレート系樹脂又はその共重合
体、メタアクリレート系樹脂又はその共重合体、ポリウ
レタン樹脂、ポリアミド樹脂、ポリビニルブチラール樹
脂等を使用することができる。
【0059】(他の成分)前記他の成分としては、特に
限定はなく、目的に応じて適宜選択することができる
が、例えば、公知の、熱可融性物質、紫外線吸収剤、酸
化防止剤等が挙げられる。
【0060】前記熱可融性物質は、熱応答性の向上を図
る目的で感熱記録層に含有させることができる。前記熱
可融性物質としては、芳香族エーテル、チオエーテル、
エステル、脂肪族アミド、ウレイド等が挙げられる。こ
れらの例は、特開昭58−57989号、同58−87
094号、同61−58789号、同62−10968
1号、同62−132674号、同63−151478
号、同63−235961号、特開平2−184489
号、同2−215585号の各公報等に記載されてい
る。
【0061】前記紫外線吸収剤としては、ベンゾフェノ
ン系紫外線吸収剤、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収
剤、サリチル酸系紫外線吸収剤、シアノアクリレート系
紫外線吸収剤、オキザリックアシッドアニリド系紫外線
吸収剤等が好適に挙げられる。これらの例は、特開昭4
7−10537号、同58−111942号、同58−
212844号、同59−19945号、同59−46
646号、同59−109055号、同63−5354
4号、特公昭36−10466号、同42−26187
号、同48−30492号、同48−31255号、同
48−41572号、同48−54965号、同50−
10726号の各公報、米国特許2,719,086
号、同3,707,375号、同3,754,919
号、同4,220,711号の各明細書等に記載されて
いる。
【0062】前記酸化防止剤としては、ヒンダードアミ
ン系酸化防止剤、ヒンダードフェノール系酸化防止剤、
アニリン系酸化防止剤、キノリン系酸化防止剤等が好適
に挙げられる。これらの例は、特開昭59−15509
0号、同60−107383号、同60−107384
号、同61−137770号、同61−139481
号、同61−160287号の各公報等に記載されてい
る。
【0063】前記その他の成分の塗布量としては、0.
05〜1.0g/m2 程度が好ましく、0.1〜0.4
g/m2 がより好ましい。なお、前記その他の成分は、
前記マイクロカプセル内に添加してもよいし、前記マイ
クロカプセル外に添加してもよい。
【0064】前記感熱記録層は、サーマルヘッドの僅か
な熱伝導の差異等から生ずる濃度ムラ等を抑え高画質な
画像を得るため、飽和透過濃度(DT-max)を得るのに
必要なエネルギー量幅、即ち、ダイナミックレンジが広
い感熱記録層であることが好ましい。本発明において
は、熱エネルギー量90〜150mJ/mm2により透
過濃度DT3.0が得られる特性を有する感熱記録層が
好ましい。
【0065】前記感熱記録層は、塗布乾燥後の乾燥塗布
量が1〜25g/m2であって、さらに層厚が1〜25
μmとなるように塗布されることが好ましい。また、感
熱記録層を2層以上積層して用いることも可能であり、
このときの全感熱記録層の、塗布乾燥後における固形分
塗布量としては、1〜25g/m2が好ましい。
【0066】〈透明支持体〉前記透明支持体としては、
例えば、ポリエチレンテレフタレートやポリブチレンテ
レフタレート等のポリエステルフィルム、三酢酸セルロ
ースフィルム、ポリプロピレンやポリエチレン等のポリ
オレフィンフィルム等の合成高分子フィルム等が挙げら
れる。これらは、単独で、あるいは貼り合わせて使用で
きる。前記合成高分子フィルムの厚みとしては、25〜
250μmが好ましく、50〜200μmがより好まし
い。
【0067】また、前記合成高分子フィルムは任意の色
相に着色されていてもよく、その着色方法としては、樹
脂フィルムを成形する前に樹脂に染料を混練してフィル
ムを成形する方法や、染料を適当な溶剤に溶かした塗布
液を調製し、これを無色透明な樹脂フィルム上に公知の
塗布方法(例えば、グラビアコート法、ローラーコート
法、ワイヤーコート法等)により塗布する方法等が挙げ
られる。中でも、青色染料を混練したポリエチレンテレ
フタレートやポリエチレンナフタレート等のポリエステ
ル樹脂をフィルムに成形し、これに耐熱処理、延伸処
理、帯電防止処理を施したものが好ましい。
【0068】本発明の感熱記録材料をシャーカステン等
上で支持体側から観察した場合、透明な非画像部分を透
過するシャーカステン光により幻惑が生じ見ずらい画像
になることがある。したがって、これを避ける点から、
前記透明支持体として、JIS−Z8701に規定され
た色度座標上の、A(x=0.2805,y=0.30
05)、B(x=0.2820,y=0.2970)、
C(x=0.2885,y=0.3015)、D(x=
0.2870,y=0.3040)の4点で形成される
四角形の領域内に青く着色された合成高分子フィルムを
用いることが特に好ましい。
【0069】〈他の層〉本発明の感熱記録材料には、前
記感熱記録層上に更に保護層、中間層、下塗り層、紫外
線フィルター層、光反射防止層等を設けてもよい。 −保護層− 前記感熱記録層上に、あるいは後述の中間層を前記感熱
記録層上に設ける場合には該中間層上に、保護層を形成
してもよい。前記保護層は、バインダ、顔料等の各種成
分を含んでなり、これら成分を含む保護層形成用の塗布
液を塗布等して形成することができる。
【0070】前記バインダーとしては、透明性を良好な
ものとする点で、ポリビニルアルコール、カルボキシ変
性ポリビニルアルコール、シリカ変性ポリビニルアルコ
ール等が好ましい。
【0071】前記顔料は、サーマルヘッドによる記録時
の、スティッキングや異音等の発生を抑える目的で用い
られ、有機及び/又は無機の顔料が好ましい。前記顔料
としては、その平均粒径(即ち、レーザ回折法で測定し
た50%体積平均粒径(レーザ回折粒度分布測定装置L
A700((株)堀場製作所製)により測定した、顔料
中の50%体積に相当する顔料粒子の平均粒径)が、
0.10〜5.00μmの顔料が好ましく、スティッキ
ングや異音等の発生を効果的に防止する観点からは、
0.20〜0.50μmがより好ましい。前記平均粒径
が上記範囲にあると、サーマルヘッドに対する摩耗の低
減効果が大きく、サーマルヘッドと保護層中のバインダ
ーとの間の溶着を防止でき、印画時のサーマルヘッドと
感熱記録材料の保護層との間のスティッキングを効果的
に防止することができる。
【0072】前記顔料としては、公知の有機、無機の顔
料が挙げられ、例えば、炭酸カルシウム、酸化チタン、
カオリン、水酸化アルミニウム、非晶質シリカ、酸化亜
鉛等の無機顔料、尿素ホルマリン樹脂、エポキシ樹脂等
の有機顔料が好適に挙げられる。中でも、カオリン、水
酸化アルミニウム、非晶質シリカが好ましい。前記顔料
は、一種単独で用いてもよいし二種以上を併用してもよ
い。また、高級脂肪酸、高級脂肪酸の金属塩、及び高級
アルコールの少なくとも一種で表面被覆された顔料であ
ってもよい。前記高級脂肪酸としては、ステアリン酸、
パルミチン酸、ミリスチン酸、ラウリン酸等が挙げられ
る。
【0073】前記顔料は、例えば、ヘキサメタリン酸ソ
ーダ、部分ケン化又は完全ケン化変性ポリビニルアルコ
ール、ポリアクリル酸共重合体、各種界面活性剤等の分
散助剤、好ましくは、部分ケン化又は完全ケン化変性ポ
リビニルアルコール、ポリアクリル酸共重合体アンモニ
ウム塩の共存下で、ディゾルバー、サンドミル、ボール
ミル等の既知の分散機で、上述した平均粒径にまで分散
して用いられるのが好ましい。即ち、上記平均粒径にな
るまで分散して用いるのが好ましい。
【0074】前記保護層には、公知の硬膜剤等が含有さ
れていてもよい。また、前記感熱記録層又は中間層上に
均一に保護層を形成する点で、保護層形成用の塗布液に
は界面活性剤を添加することが好ましい。該界面活性剤
としては、スルホ琥珀酸系のアルカリ金属塩、フッ素含
有界面活性剤等があり、具体的には、ジ−(2−エチル
ヘキシル)スルホ琥珀酸、ジ−(n−ヘキシル)スルホ
琥珀酸等のナトリウム塩又はアンモニウム塩等が挙げら
れる。更に、前記保護層には、感熱記録材料の帯電防止
の目的で界面活性剤、金属酸化物微粒子、無機電解質、
高分子電解質等を添加してもよい。
【0075】−中間層− 前記中間層は、多色の感熱記録材料とした場合の感熱記
録層相互の混色防止や、有害なガス(酸素等)の遮断に
よる画像保存性の向上の目的で、好ましくは前記感熱記
録層上に形成される。前記中間層は、バインダを含んで
なり、該バインダーとしては、特に制限はなく適宜選択
でき、例えばポリビニルアルコール、ゼラチン、ポリビ
ニルピロリドン、セルロース誘導体等を使用できる。ま
た、塗布適性付与のため、種々の界面活性剤を添加して
もよい。また、ガスバリア性をより高めるため、雲母等
の無機微粒子を、前記バインダー量の2〜20質量%、
より好ましくは5〜10質量%添加してもよい。
【0076】−下塗り層− 支持体から感熱記録層が剥がれることを防止する目的
で、マイクロカプセル等を含有する感熱記録層や光反射
防止層等を塗布する前に、支持体上に下塗り層を形成し
ておいてもよい。該下塗り層としては、アクリル酸エス
テル共重合体、ポリ塩化ビニリデン、SBR、水性ポリ
エステル等を用いることができ、層厚としては、0.0
5〜0.5μmが好ましい。前記下塗り層上に感熱記録
層を塗布する際、感熱記録層形成用の塗布液に含まれる
水分により下塗り層が膨潤して、感熱記録層に記録され
た画像が悪化することがあるので、下塗り層にはグルタ
ルアルデヒド、2,3−ジヒドロキシ−1,4−ジオキ
サン等のジアルデヒド類及びホウ酸等の硬膜剤を含有し
て硬膜することが好ましい。前記硬膜剤の添加量として
は、下塗り素材の質量に応じて0.2〜3.0質量%の
範囲で、所望の硬化度に合わせて適宜添加することがで
きる。
【0077】−紫外線フィルター層− 前記感熱記録層が形成されない側の透明支持体の表面
に、画像の褪色防止の目的で、ベンゾトリアゾール系、
ベンゾフェノン系、ヒンダードアミン系等の紫外線吸収
剤を含む紫外線フィルター層を設けてもよい。
【0078】−光反射防止層− 前記感熱記録層が形成されない側の透明支持体の表面
に、平均粒径1〜20μm、好ましくは1〜10μmの
微粒子を含有する光反射防止層を設けてもよい。この
時、光反射防止層の塗設により、入射光角20°で測定
した光沢度を50%以下にすることが好ましく、30%
以下にすることがより好ましい。前記微粒子としては、
大麦、小麦、コーン、米、豆類より得られる澱粉等の微
粒子のほか、セルロースファイバー、ポリスチレン樹
脂、エポキシ樹脂、ポリウレタン樹脂、尿素ホルマリン
樹脂、ポリ(メタ)アクリレート樹脂、ポリメチル(メ
タ)アクリレート樹脂、塩化ビニル又は酢酸ビニル等の
共重合体樹脂、ポリオレフィン等の合成高分子の微粒
子、炭酸カルシウム、酸化チタン、カオリン、スメクタ
イト粘土、水酸化アルミニウム、シリカ、酸化亜鉛等の
無機物の微粒子等が挙げられる。これらは、一種単独で
用いてもよく二種以上を併用してもよい。また、感熱記
録材料の透明性を良好なものとする観点から、屈折率が
1.45〜1.75の微粒子状物質が好ましい。
【0079】本発明の感熱記録材料は、透明支持体上に
感熱記録層用塗布液を公知の塗布方法により塗布し、乾
燥して感熱記録層を形成(必要に応じて他の層を形成)
することにより作製できる。前記感熱記録層と他の層と
を同時に形成してもよく、前記感熱記録層用塗布液と他
の塗布液とを透明支持体上に重層塗布することにより形
成することができる。前記公知の塗布方法としては、ブ
レード塗布法、エアナイフ塗布法、グラビア塗布法、ロ
ールコーティング塗布法、スプレー塗布法、ディップ塗
布法、バー塗布法等が挙げられる。
【0080】
【実施例】以下、実施例により本発明を説明するが、本
発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0081】(実施例1) 〈保護層用塗布液の調製〉 −保護層用顔料分散液の調製− 水110gに、顔料としてステアリン酸処理水酸化アル
ミニウム(ハイジライトH42S,昭和電工(株)製)
30gを加え3時間撹拌した後、これに分散助剤(ポイ
ズ532A,花王(株)製)0.8g、10質量%ポリ
ビニルアルコール水溶液(PVA−105,(株)クラ
レ製)30g、2質量%に調整した下記化合物[10
0]の水溶液10gを加えサンドミルで分散し、平均粒
径0.30μmの保護層用顔料分散液を得た。尚、「平
均粒径」は、用いる顔料を分散助剤共存下で分散し、そ
の分散直後の顔料分散物に水を加えて0.5質量%に希
釈した被検液を、40℃の温水中に投入し光透過率が7
5±1.0%になるように調整した後、30秒間超音波
処理しレーザー回折粒度分布測定装置LA700
((株)堀場製作所製)により測定した、全顔料の50
%体積に相当する顔料粒子の平均粒径を使用した。以下
において、「平均粒径」は全て同様の方法により測定し
た粒径を表す。
【0082】
【化1】
【0083】−保護層用塗布液の調製− 水65gに、下記成分を混合して保護層用塗布液を得
た。 ・8質量%ポリビニルアルコール水溶液 (PVA124C,(株)クラレ製) …90g ・20.5質量%ステアリン酸亜鉛分散物 (F155,中京油脂(株)製) … 5.5g ・21.5質量%ステアリン酸アミド化合物 (G−270,中京油脂(株)製) … 3.8g ・18.0質量%ステアリン酸 (セロゾール920,中京油脂(株)製) … 2.8g ・40%ホウ酸水溶液 …10g ・前記保護層用顔料分散液(18質量%) …70g ・35質量%シリコーンオイル水分散液 … 4.7g (ポリジメチルシロキサン,BY22−840, 東レ・ダウコーニング(株)製) ・10質量%ドデシルベンゼンスルフォン酸Na塩水溶液 … 6.5g ・6質量%スチレン−マレイン酸共重合体アンモニウム塩水溶液 (ポリマロン385,荒川化学(株)製) …17.5g ・20%コロイダルシリカ …14g (スノーテックス,日産化学(株)製) ・10%サーフロンS131S(セイミケミカル(株)製)…16g ・プライサーフA217(第一工業製薬(株)製) … 1.1g ・2%酢酸 …8g
【0084】〈感熱記録層用塗布液の調製〉まず、マイ
クロカプセル液A及びB、並びに顕色剤乳化分散液を調
製した。 −マイクロカプセル液Aの調製− 発色成分として、 ・下記化合物[201](最大吸収波長575nm)… 9.85g ・下記化合物[202](最大吸収波長632nm)… 2.5g ・下記化合物[203](最大吸収波長700nm)… 4.0g ・下記化合物[204](最大吸収波長495nm)… 4.7g ・下記化合物[205](最大吸収波長535nm)… 1.2g ・下記化合物[206](最大吸収波長450nm)… 1.1g ・下記化合物[207]( − )… 0.57g を、酢酸エチル24.3gに添加して70℃に加熱、溶
解した後、45℃まで冷却した。これにカプセル壁材
(タケネートD140N,武田薬品工業(株)製)1
3.1g、バーノックD750(大日本インキ工業
(株)製)2.3gを加え、混合した。
【0085】
【化2】
【0086】
【化3】
【0087】
【化4】
【0088】この溶液を、水16gに8質量%のポリビ
ニルアルコール水溶液(PVA−217C,(株)クラ
レ製)48gを混合した水相中に加えた後、エースホモ
ジナイザー(日本精機(株)製)を用い回転数1500
0rpmで5分間乳化を行った。得られた乳化液に、更
に水110g及びテトラエチレンペンタミン1.0gを
添加した後、60℃で4時間カプセル化反応を行い、平
均粒径0.35μmのマイクロカプセル液Aを調製し
た。
【0089】−マイクロカプセル液Bの調製− 発色成分として、 ・前記化合物[201] … 9.0g ・前記化合物[202] … 3.2g ・前記化合物[203] … 4.0g ・前記化合物[204] … 3.3g ・前記化合物[205] … 1.5g ・前記化合物[206] … 0.2g ・前記化合物[207] … 0.5g を酢酸エチル21gに添加し、70℃に加熱、溶解した
後35℃に冷却した。これに、n−ブタノール0.5
g、タケネートD127N(武田薬品(株)製)14.
1g、及びタケネートD110N(武田薬品(株)製)
2.5gを加え、35℃のまま40分間保温した。
【0090】この溶液を、水16.6gに8質量%のポ
リビニルアルコール(PVA217C,(株)クラレ
製)48.1gを混合した水相中に加え、エースホモジ
ナイザー(日本精機(株)製)を用い回転数15000
rpmで5分間乳化を行った。得られた乳化液に、更に
水112g及びテトラエチレンペンタミン0.9gを添
加した後、60℃で4時間カプセル化反応を行い、平均
粒径0.35μmのマイクロカプセル液Bを調製した。
【0091】−顕色剤乳化分散液の調製− 顕色剤として ・下記化合物[301] … 6.7g ・下記化合物[302] … 8.0g ・下記化合物[303] … 5.8g ・下記化合物[304] … 1.5g ・下記化合物[305] … 2.2g ・下記化合物[306] … 0.8g ・下記化合物[307] … 4.3g をトリクレジルフォスフェート1.0g、マレイン酸ジ
エチル0.5gと共に、酢酸エチル16.5gに添加
し、70℃に加熱して溶解した。
【0092】
【化5】
【0093】
【化6】
【0094】得られた溶液を、水70g、8質量%ポリ
ビニルアルコール水溶液(PVA−217C,(株)ク
ラレ製)57g、15質量%のポリビニルアルコール水
溶液(PVA−205C,(株)クラレ製)20g、下
記化合物[401]及び下記化合物[402]の2質量
%水溶液11.5gを混合した水相中に加えた後、エー
スホモジナイザー(日本精機(株)製)を用いて回転数
10000rpmで平均粒径0.7μmになるように乳
化し、顕色剤乳化分散液を得た。
【0095】
【化7】
【0096】−感熱記録層用塗布液Aの調製− 上記より得た、マイクロカプセル液A(固形分濃度23
質量%)12g、マイクロカプセル液B(固形分濃度2
4質量%)2.5g、及び顕色剤乳化分散液(固形分濃
度22質量%)50g、並びに下記化合物[403]の
50質量%水溶液0.7g、コロイダルシリカ(スノー
テックス,日産化学(株)製)1.8gを混合して、感
熱記録層用塗布液Aを調製した。
【0097】
【化8】
【0098】−感熱記録層用塗布液Bの調製− 下記成分を混合し、感熱記録層用塗布液Bを調製した。 ・前記マイクロカプセルA(固形分濃度23質量%) … 2.3g ・前記マイクロカプセルB(固形分濃度24質量%) … 6.6g ・前記顕色剤乳化分散液(固形分濃度22質量%) …33g ・コロイダルシリカ(スノーテックス,日産科学(株)製) … 1.5g ・前記化合物[403] … 0.4g
【0099】−感熱記録層用塗布液Cの調製− 6質量%のPVA水溶液(PVA−124C,(株)ク
ラレ製)35g、下記化合物[404]の2%水溶液2
g、及び上記より得たマイクロカプセル液A(固形分濃
度23質量%)0.5gを水5gに溶解し、感熱記録層
用塗布液Cを調製した。
【0100】
【化9】
【0101】〈BC層(バック層)用塗布液の調製〉下
記組成を混合し、水を加えて全量を62.77L(リッ
トル)となるよう調製し、BC層用塗布液を得た。 〔組成〕 ・石灰処理ゼラチン …1000g ・球形PMMAマット剤(平均粒子径5.7μm)12質量%含有のゼラチン 分散物 … 757g ・下記紫外線吸収剤を含む乳化物 …3761g 下記化合物[501] …9.8g 下記化合物[502] …8.4g 下記化合物[503] …9.8g 下記化合物[504] …13.9g 下記化合物[505] …29.3g (上記の各紫外線吸収剤の量は、乳化物1kg当たりの量を示す。) ・1,2−ベンズイソチアゾリン−3−オン … 1.75g ・ポリ(p−ビニルベンゼンスルホン酸ナトリウム) (分子量約40万) … 64.2g ・下記化合物[506] … 10.0g ・ポリエチルアクリレートのラテックス20%液 …3180ml ・N,N−エチレン−ビス(ビニルスルホニルアセトアミド) … 75.0g ・1,3−ビス(ビニルスルホニルアセトアミド)プロパン … 25.0g
【0102】
【化10】
【0103】〈BPC層(バック保護層)用塗布液の調
製〉下記組成を混合し、苛性ソーダでpH=7.0に調
製した後、水を加えて全量を62.79L(リットル)
となるよう調製し、BPC層用塗布液を得た。 〔組成〕 ・石灰処理ゼラチンを …1000g ・球形PMMAマット剤(平均粒子径0.70μm)15質量%含有のゼラチ ン分散物 …2000g ・メタノール …1268ml ・1,2−ベンズイソチアゾリン−3−オン … 1.75g ・ポリアクリル酸ナトリウム(分子量約10万) … 64.4g ・ポリ(p−ビニルベンゼンスルホン酸ナトリウム) (分子量約40万) … 54.0g ・p−t−オクチルフェノキシポリオキシエチレン−エチルスルホン酸ナトリ ウム … 25.2g ・N−プロピル−N−ポリオキシエチレン−パーフルオロオクタンスルホン酸 アミドブチルスルホン酸ナトリウム … 5.3g ・パーフルオロオクタンスルホン酸カリウム … 7.1g
【0104】〈感熱記録材料の作製〉透明支持体とし
て、JIS−Z8701に規定された色度座標でx=
0.2850、y=0.2995に青色染色した透明P
ET支持体(厚さ180μm)を準備し、該透明PET
支持体の表面に、上記より得たBC層用塗布液、BPC
層用塗布液を支持体に近い側から順に各々の塗布量が4
4.0ml/m2、18.5ml/m2となるように塗布
し、乾燥した。
【0105】続いて、BC層及びBPC層が塗設されて
いない側の透明PET支持体の表面に、支持体に近い側
から、上記より得た感熱記録層用塗布液A、感熱記録層
用塗布液B、感熱記録層用塗布液C、及び保護層用塗布
液を順に各々の塗布量が50ml/m2、20ml/
2、25ml/m2、25ml/m2となるように塗布
し乾燥して、本発明の感熱記録材料(1)を得た。
【0106】(比較例1)実施例1において、マイクロ
カプセル液Aの調製に用いた発色成分[201]〜[2
07]の各含有量を下記含有量に代え、かつマイクロカ
プセル液Bの調製に用いた発色成分[201]〜[20
7]の各含有量を下記含有量に代えたこと以外、実施例
1と同様にして、比較例の感熱記録材料(2)を作製し
た。
【0107】〔マイクロカプセル液Aの発色成分の含有
量〕 ・前記化合物[201] … 11.7g ・前記化合物[202] … 1.5g ・前記化合物[203] … 2.2g ・前記化合物[204] … 5.65g ・前記化合物[205] … 1.2g ・前記化合物[206] … 1.1g ・前記化合物[207] … 0.57g 〔マイクロカプセル液Bの発色成分の含有量〕 ・前記化合物[201] … 12.2g ・前記化合物[202] … 1.6g ・前記化合物[203] … 2.4g ・前記化合物[204] … 3.3g ・前記化合物[205] … 1.5g ・前記化合物[206] … 0.2g ・前記化合物[207] … 0.5g
【0108】(比較例2)透明支持体として、175μ
m厚の下塗りされたポリエチレンテレフタレート(PE
T)支持体を準備し、該PET支持体の表面に下記組成
の感熱性組成物をドクターブレードでコーティングし、
50℃下で1時間乾燥した。 〔感熱性組成物の組成〕 ・ベヘン酸銀 …4.74g/m2 ・ポリビニルブチラール(ButvarTM B79、Monsant社製)…18.92g/m2 ・シリコーン油(BaysiloneTM、Bayer AG社製) …0.043g/m2 ・ベンゾ[e][1,3]オキサジン−2,4−ジオン(色調剤) …0.260g/m2 ・7−(エチルカルボナト)−ベンゾ[e][1,3] オキサジン−2,4−ジオン (下記化合物(II):色調剤) … 0.133g/m2 ・3,4−ジヒドロキシ安息香酸ブチル(還元剤) … 1.118g/m2 ・無水テトラクロロフタル酸 … 0.151g/m2 ・ピメリン酸 … 0.495g/m2
【0109】
【化11】
【0110】支持体上に塗布した感熱性組成物上に、更
に下記組成の水性塗布液をコーティングした。尚、下記
組成において、各成分の組成率(%)は、水性塗布液全
体に対する固形分率(質量%)を示す。 〔水性塗布液の組成〕 ・ポリビニルアルコール …2.5% (MowivoilTM WX48、Wacker Chemie社製) ・イオン交換カラム中への通過により酸の形態に転化されたUltravonTM W (分散剤、Ciba Geigy社製) …0.09% ・滑石(タイプP3、Noppon Talc社製) …0.11% ・コロイド状シリカ …1.2% (LevasilTM UP AC 4055、Bayer AG社製) ・メタンスルホン酸の存在下で加水分解されたオルト珪酸テトラメチル …2.1% ・トリステアリン酸ソルビタン …0.18% (SPANTM65、ICI PLC社製) ・リン酸モノ〔イソトリデシルポリグリコールエーテル(3EO)〕 (ServoxylTM VPDZ 3 100、Servo Delden BV社製) …0.09%
【0111】1N硝酸を加えることにより感熱性組成物
のpHを4に調整した。水中に不溶性であるこれらの組
成物中の潤滑剤をボールミルの中で、必要に応じて分散
剤を使用して、分散させた。この組成物を85μmの湿
潤層厚さにコーティングし、続いて40℃下において1
5分間乾燥した後、温度45℃及び相対湿度70%の環
境条件下で7日間に渡って硬化させた。以上のようにし
て、比較例の感熱記録材料(3)を得た。
【0112】(評価)上記より得た本発明の感熱記録材
料(1)及び比較例の感熱記録材料(2)〜(3)を用
いて下記評価を行った。前記感熱記録材料(1)〜
(3)に対して、サーマルプリンタ(FM−DP354
3T、富士写真フイルム(株)製)を用いて24段ステ
ップウェッジを印画し、マクベス透過濃度計(TD90
4(ビジュアルフィルタ使用)、マクベス社製)で測定
した濃度が2.0であるステップにおける、波長670
nmでの透過濃度(吸光度)を測定したところ、下記表
1示す通りであった。
【0113】
【表1】
【0114】これら感熱記録材料(1)〜(3)を用
い、上記より得た透過濃度(吸光度)を用いて前記サー
マルプリンタの階調補正を行った後、CR画像(肺野
部)を印画した。その結果、感熱記録材料(1)では、
適正な濃度、色調よりなる良好な画像を形成することが
できた。一方、感熱記録材料(2)では、中間濃度が高
すぎて画像が潰れてしまい、感熱記録材料(3)では、
画像濃度が薄くなりすぎてしまい、いずれの場合も医療
診断に適した医療用画像を得ることはできなかった。
【0115】
【発明の効果】本発明によれば、透明性に優れ、適性な
濃度、色調よりなる画像を安定に形成し得る感熱記録材
料を提供することができる。

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 透明支持体上に感熱記録層を有する感熱
    記録材料において、 透過濃度計TD904(ビジュアルフィルタ、マクベス
    社製)で測定した濃度2.0の領域における、波長67
    0nmでの吸光度が1.4〜1.6であることを特徴と
    する感熱記録材料。
  2. 【請求項2】 記録後の画像部において、極大吸収波長
    が625〜715nmである色素の含有量が、該画像部
    における全色素量(質量)の25〜35質量%である請
    求項1に記載の感熱記録材料。
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