JP2002327739A - 複列転がり軸受の予圧測定方法および予圧測定装置 - Google Patents

複列転がり軸受の予圧測定方法および予圧測定装置

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Abstract

(57)【要約】 【課題】軸受を組み付けた後でも転動体22に対する予
圧を従来に比して簡易に知る。 【解決手段】複列転がり軸受に対して付与した予圧を測
定する方法であって、軸受の内・外輪24,21のう
ち、一方部材を固定した状態で、他方部材に対してその
中心軸線を回転中心に対して傾かせるための外力を加え
ることにより、両部材24,21の相対的な傾きを検出
し、当該検出結果に基づいて軸受の予圧を認識する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、複列転がり軸受の
予圧測定方法および予圧測定装置に関する。
【0002】
【従来の技術】複列転がり軸受の一例として複列アンギ
ュラ玉軸受の場合、その組み立て品において所要の剛性
を確保するため、転動体に軸方向で予圧を与えて負隙間
としているのが一般的である。
【0003】そのため、負隙間が所要のものとなってい
るか測定しながら、ナット等の締結具を締結、あるいは
かしめによって予圧を与えて組み付けるようにすること
が従来周知である。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】したがって、その予圧
の測定を、従来は組み立て後に行うのでは無く、ナット
の締め付け、もしくは軸端かしめの前の正隙間状態で隙
間を測定し、その値から、あらかじめ正隙間状態で実測
しておいたナットの締め付けトルク、もしくは軸端かし
め力と隙間の減少との関係を求め、その関係に応じて、
所望の予圧に達するように締め付けトルク等を設定して
組付けるようにしていた。
【0005】よって、従来の方法では、ナットの座面の
潤滑状況やかしめ条件が、あらかじめ実測しておいた条
件と異なると、組み付け後の負隙間に誤差が生じる。
【0006】このため、与圧が適正に与えられて負隙間
が正しく設定されているか否か、従来においては、その
かしめを行った複列アンギュラ玉軸受で確認することが
できなかった。
【0007】また、軸受装置の製造途中で予圧測定を全
数に対して行うことは生産効率の妨げとなるので、多数
の軸受装置の中から無作為に取り出したサンプルに対し
てのみ予圧測定することがある。その場合、予圧測定さ
れたものが良品でも、測定していない軸受装置の中に検
査から洩れて不良品が存在するおそれがあるため、予圧
測定を簡易なものにして不良品を極力洩れなく発見する
ことが望まれていた。
【0008】このような事情に鑑み、本発明は、軸受を
組み付けた後においても転動体に対する予圧を従来に比
して簡易に知ることのできる予圧測定方法および予圧測
定装置を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明に係る複列転がり
軸受の予圧測定方法は、複列転がり軸受に対して付与し
た予圧を測定する方法であって、前記軸受の内・外輪の
うち、一方部材を固定した状態で、他方部材に対してそ
の中心軸線を回転中心に対して傾かせるための外力を加
えることにより、前記両部材の相対的な傾きを検出し、
当該検出結果に基づいて前記軸受の予圧を間接的に認識
することを特徴とする。
【0010】本発明の複列転がり軸受の予圧測定方法に
よれば、傾きを生じさせる外力による外輪と内輪との相
対的な傾き度合いが大きいほど予圧が小さく剛性が低い
ものとなっている対応関係にあるから、検出された内・
外輪の相対的な傾き度合いに応じてその軸受に対する予
圧を知ることができ、傾きを生じさせるような外力を与
えるという簡単な方法を採用することによって、簡易に
かつ効率的に軸受の予圧を知ることができる。
【0011】また、前記一方部材の固定が、その軸方向
一端側を軸方向と径方向で不動に位置決めすることによ
って行われ、また、前記他方部材に対する外力の加担
が、その軸方向他端面における1点に対してアキシャル
荷重を加えることにより行われることが好ましい。
【0012】この場合、外力を加担する箇所が1箇所で
あるので、その外力のアキシャル荷重を加担する手段と
してリニアアクチュエータ等の簡易なものを採用できる
とともに、その荷重も精度良く定めて加担することがで
きるので、測定精度も高いものとなる利点がある。
【0013】また、前記傾きの検出が、前記他方部材の
軸方向他端面において離れた2点の軸方向変位量と、前
記一方部材の軸方向他端面において前記他方部材の2点
と同一位相となる2点の軸方向変位量とをそれぞれ測定
する処理と、前記両部材に関してそれぞれ測定した各2
点の軸方向変位量の偏差を個別に求めることにより、こ
の各偏差に基づいて前記両部材の傾きをそれぞれ認識す
る処理と、前記認識した両部材の各傾きに基づいて前記
両部材の相対的な傾きを認識する処理とによって行われ
ることが好ましい。
【0014】この場合、外輪や内輪の傾き検出を角度検
出で行うものでなく、変位量の検出によるものであるか
ら、その検出手段は簡易なもので良いとともに、測定精
度が高まる等の利点がある。
【0015】また、前記傾き検出時に前記他方部材およ
び一方部材の軸方向変位量を測定する各2点が、それぞ
れ180度対向する位置に特定されているとともに、こ
れら各2点の計4点が、前記他方部材に対して外力を加
担する1点と、回転中心とを結ぶ直線上に、配置されて
いることが好ましい。
【0016】この場合、外力を加担する1点と、他方部
材および一方部材の軸方向変位量を測定する各2点の全
てが回転中心とを結ぶ直線上に配置されているから、両
部材の傾きのための計算が簡易なものとなるとともに、
精度良く軸方向変位量を検出できることになり、予圧も
高精度に測定できる。
【0017】本発明に係る複列転がり軸受の予圧測定装
置は、軸受の内・外輪のうち、一方部材を固定した状態
で、他方部材に対してその中心軸線を回転中心に対して
傾けせるための外力を加える外力付加手段と、該外力付
加手段から加えられる外力による前記外輪と前記内輪と
の相対的な傾きを検出する傾き検出手段と、該傾き検出
手段の検出結果に基づいて前記軸受の予圧を算出する予
圧算出手段とを備えていることを特徴とする。
【0018】本発明の軸受の予圧測定装置によれば、転
がり軸受の外輪と内輪とのうちの一方部材を固定し、他
方部材に対しては軸方向で傾きを生じさせるように外力
を加えることによって、その外力による外輪と内輪との
相対的な傾き度合いを検出し、その検出結果に基づい
て、傾き度合いが大きいほど予圧が小さく剛性が低いも
のとなる対応関係にあるから、その傾き度合いに応じて
その軸受に対する予圧を知ることができ、傾きを生じさ
せるような外力を与えるという簡単な装置を採用するこ
とによって、簡易に、かつ効率的に軸受の予圧を知るこ
とができる。
【0019】また、該複列転がり軸受の予圧測定装置と
しては、前記傾き検出手段は、前記他方部材の軸方向他
端面において離れた2点の軸方向変位量と、前記一方部
材の軸方向他端面において前記他方部材の2点と同一位
相となる2点の軸方向変位量とをそれぞれ測定する変位
量検出手段と、前記両部材に関してそれぞれ測定した各
2点の軸方向変位量の偏差を個別に求めることにより、
この各偏差に基づいて前記両部材の傾きをそれぞれ認識
する個別傾き検出手段と、前記認識した両部材の各傾き
に基づいて前記両部材の相対的な傾きを認識する相対傾
き検出手段とを備えることが好ましい。
【0020】この場合、傾きを生じさせる外力を加える
前と後とにおける外輪および内輪上の点の軸方向での変
位量を検出するものであるから、傾きを直接角度等で検
出するものに比して簡易かつ安価な変位量検出手段を利
用するもので傾き検出ができることになる。
【0021】
【発明の実施の形態】本発明の詳細を図面に示す実施形
態に基づいて説明する。
【0022】図1から図4は本発明の一実施形態を示し
ている。ここでは、複列転がり軸受として、自動車の駆
動輪が取り付けられるタイプの車軸用軸受装置を例に挙
げる。図1は、車軸用軸受装置の予圧を測定する装置及
び方法の説明図、図2は、車軸用軸受装置を示す断面
図、図3は、かしめ工程を示す断面図、図4は、複列転
がり軸受の予圧測定における外輪と内輪との変位検出位
置等を示す平面図である。
【0023】図2に示すように、車軸用軸受装置は、ハ
ブホイール1と、複列アンギュラ玉軸受2と、等速ジョ
イント3とを備えている。
【0024】ハブホイール1は、中空構造となってお
り、その外周面の軸方向中間部には車輪取付け用の径方
向外向きのフランジ11が形成され、また、中心孔内周
面HにはスプラインSが形成され、外周面においてフラ
ンジ11よりも車両インナ側には複列転がり軸受2にお
ける車両アウタ側の玉22群の軌道面12が形成された
構成となっている。
【0025】複列アンギュラ玉軸受2は、二列の軌道溝
を有する単一の外輪21と、二列で配設される転動体と
しての複数の玉22と、二つの冠形保持器23と、車両
インナ側の玉22群に関する内輪24とから構成されて
おり、車両アウタ側の玉22群の軌道となる内輪につい
ては上述したようにハブホイール1の軌道面12部分を
利用している。
【0026】等速ジョイント3は、周知のツェッパタイ
プ(バーフィールド型)の等速ジョイントと呼ばれるも
のとされ、外輪31、内輪32、玉33および保持器3
4などから構成されている。
【0027】外輪31は、内輪32、玉33および保持
器34などが収納配設される椀形部35と、この椀形部
35の小径側に一体に連接される軸部36とから構成さ
れている。
【0028】軸部36の外周面には、スプラインが形成
されており、ハブホイール1の中心孔内周面Hに対して
スプライン嵌合される。
【0029】このハブホイール1の車両インナ側端部
は、径方向外向きに屈曲されて軸受装置2の内輪24の
車両インナ側端面に対してかしめつけられている。この
かしめ部には、符号14を付してある。
【0030】このかしめ部14により、複列アンギュラ
玉軸受2の内輪24が車両アウタ側に押圧されることに
より、複列アンギュラ玉軸受2に対して所要の予圧(圧
縮応力)が付与された状態となり、また、複列アンギュ
ラ玉軸受2がハブホイール1に対して抜け止めされる。
【0031】また、ハブホイール1に対して等速ジョイ
ント3が複列転がり軸受2の近傍に隣り合わされる形態
で結合される。
【0032】そして、ハブホイール1のフランジ11に
対して図示しないディスクブレーキ装置のディスクロー
タおよび車輪があてがわれて複数のボルト13により装
着される。
【0033】また、複列転がり軸受2の外輪21に設け
てある径方向外向きのフランジ25が、車体側のナック
ル6などにボルト止めされる。
【0034】さらに、等速ジョイント3の内輪32に対
してシャフト5がスプライン嵌合されて止め輪(符号省
略)などで抜け止め固定される。前述のシャフト5の他
端側は、図示しない別の等速ジョイントを介して車両の
デファレンシャル装置に取り付けられる。
【0035】このような車軸用軸受装置では、シャフト
5の回転動力が、等速ジョイント3を介してハブホイー
ル1に取り付けられてある車輪(図示省略)に対して伝
達される。
【0036】上記車軸用軸受装置は、かしめ工程を経て
製造工程を完了することになるため、次にかしめ工程等
を簡単に説明する。
【0037】仮組み状態の車軸用軸受装置に対してかし
め加工を次のように行う。まず、図3(a)に示すよう
に、軸受2等を外嵌していないハブホイール1の車両ア
ウタ側の端面に対して第1治具50をあてがい、このハ
ブホイール1の車両インナ側を上にした姿勢で基台60
上に配置する。
【0038】上記第1治具50は、円柱形状の金属部材
からなり、ハブホイール1の車両アウタ側の円筒部分に
対して所要の隙間を介して嵌合する程度の大きさに設定
されている。
【0039】このような準備をしておいてから、ハブホ
イール1の車両インナ側軸端に対して、図3(b)に示
すように、ローリングかしめを行う。
【0040】このローリングかしめは、アキシャル荷重
Pをかけながらかしめ工具70をローリングさせるので
あるが、これにより、ハブホイール1の車両インナ側軸
端が徐々に径方向外向きに屈曲させられることになり、
最後には、この屈曲部分が、複列アンギュラ玉軸受2の
内輪24の車両インナ側端面に対して押し付けられるこ
とになり、これで、複列アンギュラ玉軸受2に対して所
要の予圧が付与されるとともに、複列アンギュラ玉軸受
2がハブホイール1に対して結合される。
【0041】このようにしてかしめ作業が終了する。
(図3(c)参照)。
【0042】その後、図1に示すように、該複列アンギ
ュラ玉軸受2の予圧を次のようにして測定し、予圧が適
正範囲にあって良品の場合、等速ジョイント3の軸部3
6をハブホイール1の中心孔内周面Hにスプライン嵌合
し、軸嵌合に伴いC形止め輪38で抜け止めされる。
【0043】次に、本発明に係る予圧測定方法について
説明する。
【0044】図1に示すように、組み付けられた状態の
ハブホイール1を、支持台80に軸方向及び径方向で不
動に載置固定する。このように、ハブホイール1が固定
されることにより、ハブホイール1に嵌合支持される一
方部材としての内輪24が軸方向及び径方向で不動に固
定されることになる。この場合、ハブホイール1は、図
1に示すようにボルト13の螺着締結でフランジ11を
支持台80に固定したり、固定用治具でフランジ11を
支持台80に固定したりしても良い。
【0045】そのとき、支持台80におけるハブホイー
ル1のフランジ11の載置面が水平になっていること
が、他方部材としての外輪21上面および内輪24上面
もほぼ水平に設定される上で望ましい。
【0046】次いで、外輪21の他端面としての上端面
と、内輪24の他端面としての上端面とにそれぞれダイ
ヤルゲージ7a〜7dにおける変位検出用のスピンドル
の先端を軸方向で変位可能に当接する。
【0047】その軸方向変位の検出対象位置は、図1お
よび図4に示すように、外輪21において後述するよう
に荷重Fを与える箇所、および軸心Pを通る仮想直線L
上の外輪21の上面の2点A,Dと、同じ仮想直線L上
の内輪24の上面の2点B,Cとである。
【0048】その外輪21の上面の2点は、上記仮想直
線上で径の両端に振り分けられたそれぞれの位置であ
り、その内輪24A,Dの上面の2点も、上記仮想直線
上で径の両端に振り分けられたそれぞれの位置となって
いる。なお、各点A,Dは、外輪21上面の径方向での
幅の中央位置に設定し、各点B,Cは、内輪24上面の
径方向での幅の中央位置に設定することが好ましい。
【0049】その状態で、各ダイヤルゲージは7a〜7
dその変位前位置が基準位置の零点となるように調整さ
れる。その後、前記フランジ11の上面における平面視
で前記仮想直線Lが通る位置Xに対して、外力を、すな
わち軸方向に沿う下向きのアキシャル荷重Fを外力付与
手段8によって加える。
【0050】ここで、外力付与手段8は、プッシャを備
える例えば電動シリンダ等のリニアアクチュエータ9、
及び、このリニアアクチュエータ9を駆動制御する制御
手段10で構成され、その付与されている荷重Fの値が
どの程度であるか、リニアアクチュエータを駆動制御す
る制御手段10において、例えば電動モータのトルク検
出等によって検出できるようにしている。
【0051】そして、予め設定された値の荷重Fを外力
付与手段8によって与えられることで、外輪21には、
その荷重付与位置Xが下降し、荷重付与位置Xの反対側
が上昇する傾きが生じる。すなわち、外輪21の中心軸
線が内輪24の回転中心に対し相対的に傾くことにな
る。このときの傾きは、前記複列アンギュラ玉軸受2の
予圧に応じて、予圧が高いほど剛性が高くなることから
小さくなる関係にある。
【0052】また、その外輪21の傾きに連動して外輪
21および玉22を介して内輪24にも力が作用するこ
とで、固定側の内輪24も弾性変形の範囲で微小ではあ
るが幾分傾くことになる。
【0053】そして、その車軸用軸受装置に対応させて
予め設定した荷重値Fまで付与した状態のときの、前記
ダイヤルゲージ7a〜7dの値を人手によって読み取っ
て、あるいは電気的に自動的に読み取って、その値をデ
ータとして、前記制御手段10の演算手段に入力する。
【0054】荷重Fによる外輪21の傾きは、前記各ダ
イヤルゲージ7a〜7dのうち、ダイヤルゲージ7a
と、ダイヤルゲージ7dとにより検出される変位により
各検出位置での軸方向での変位として検出される。すな
わち、ダイヤルゲージ7aで検出される変位量をa1
し、ダイヤルゲージ7dで検出される変位量をa2とす
ると、前記荷重Fによる外輪21の傾きθ1は、θ1
(a1+a2)/L1によって求められる。ここで、a1
2は外輪21の測定点各2点の軸方向変位量の偏差、
1は、ダイヤルゲージ7a,7dの測定点間距離であ
る。また、各ダイヤルゲージ7a〜7dは変位量検出手
段を構成している。
【0055】同様に、内輪24の傾きは、前記各ダイヤ
ルゲージ7a〜7dのうち、ダイヤルゲージ7bと、ダ
イヤルゲージ7cとにより検出される変位により各検出
位置での軸方向での変位として検出される。すなわち、
ダイヤルゲージ7bで検出される変位量をb1とし、ダ
イヤルゲージ7cで検出される変位量をb2とすると、
前記荷重Fによる外輪21の傾きθ2は、θ2=(b1
2)/L2によって求められる。ここで、b1+b2は内
輪24の測定点各2点の軸方向変位量の偏差、L 2は、
ダイヤルゲージ7b,7cの測定点間距離である。ま
た、演算手段は、外輪21、内輪24それぞれの傾きθ
1,θ2を検出する個別傾き検出手段を構成している。
【0056】そして、次に、演算手段によって、外輪2
1と内輪24との相対的な傾きθが、θ=θ1−θ2の式
によって求められる。ここで、演算手段は外輪21と内
輪24との相対的な傾きθを検出する相対傾き検出手段
を構成している。
【0057】この求められた傾きθの逆数に適宜係数K
を掛けた値が求める予圧になる。つまり、予圧Pは、P
=K/θで求められる。
【0058】ここで、Kは、荷重Fの値や、荷重付与位
置、変位検出位置等に対応して固有値となるパラメータ
である。このパラメータは荷重値を異ならせたり、荷重
付与位置や変位位置等を異ならせたりして予め測定され
て得られた結果を用いる。
【0059】この予圧Pの算出は、ダイヤルゲージ7a
〜7dの各検出値が入力される前記制御手段10で演算
されることによって行われる。なお、入力されたデータ
は、デジタル信号化され、そのデジタル信号となった情
報により、制御手段に備えるマイコン等で演算処理され
る。
【0060】なお、上記実施の形態では、外輪と内輪と
のそれぞれの軸方向に対する傾き度合いを検出して、互
いの相対的な傾き度合いを得るようにした方法を示した
が、例えば固定された内輪については、その軸方向に対
する傾きの検出を行わず、内輪は軸方向に対してその端
面が直交面を成すものと仮定し、外輪についてのみ軸方
向に対する傾きを検出し、外輪と内輪との相対的な傾き
度合いはその外輪の傾き度合いの検出結果であるとし
て、予圧を判断するようにしても良い。この場合、内輪
の傾き検出は行わないから、そのための測定装置等を不
要にできる。
【0061】なお、上記実施の形態では、内輪側の軸を
固定したものを示したが、外輪を固定するようにしても
良い。この場合、内輪側に軸方向に対する傾きが生じさ
せる外力を加えることになる。また、この場合、外輪に
ついてはその荷重の影響での傾きがほとんど生じないと
考えられるので、内輪の傾き度合いについてのみ検出
し、外輪と内輪との相対的な傾き度合いは、検出された
内輪の傾き度合いが相当するものとなり、それに基い
て、予圧を算出するようにしても良い。
【0062】上記実施の形態では、変位検出手段として
ダイヤルゲージで変位検出するものを示したが、それと
は別の変位検出手段を採用しても良い。また、外輪や内
輪の軸方向に対する傾き角度を直接角度として検出でき
る手段を採用しても良い。
【0063】上記実施の形態では、ハブホイール1の車
両インナ側端部を、軸受装置2の内輪24の車両インナ
側端面に対してかしめたものを示したが、ハブホイール
の車両インナ側端部に対してナットを螺着締結して、そ
のナットによる締結で軸受装置2の内輪24の車両イン
ナ側端面に対して予圧を加える状態で固定するものに対
しても、本発明を適用できる。
【0064】
【発明の効果】本発明に係る複列転がり軸受の予圧測定
方法によれば、傾きを生じさせる外力による外輪と内輪
との相対的な傾き度合いが大きいほど予圧が小さく剛性
が低いものとなっている対応関係にあるから、検出結果
の傾き度合いに応じてその軸受に対する予圧を知ること
ができ、傾きを生じさせるような外力を与えるという簡
単な方法を採用することによって、簡易にかつ効率的に
軸受の予圧を知ることができる。したがって、組付け後
の軸受装置を全数検査するようにしても検査効率良く良
品と不良品と識別できる。
【0065】また、本発明に係る複列転がり軸受予圧測
定装置によれば、転がり軸受の外輪と内輪とのうちの一
方部材を固定し、他方部材に対しては軸方向で傾きを生
じさせるように外力を加えることによって、その外力に
よる外輪と内輪との相対的な傾き度合いを検出し、その
検出結果に基づいて、傾き度合いが大きいほど予圧が小
さく剛性が低いものとなる対応関係にあるから、その傾
き度合いに応じてその軸受に対する予圧を知ることがで
き、傾きを生じさせるような外力を与えるという簡単な
装置を採用することによって、簡易に、かつ効率的に軸
受の予圧を知ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】複列転がり軸受と該軸受の予圧測定装置とを示
す説明図
【図2】車軸用軸受装置を示す縦断側面図
【図3】かしめ工程を示す縦断面図
【図4】複列転がり軸受の予圧測定における外輪と内輪
との変位検出位置等を示す平面図
【符号の説明】
7a〜7b 変位量検出手段(ダイヤルゲージ) 8 外力付加手段 21 外輪(他方部材) 24 内輪(一方部材)

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 複列転がり軸受に対して付与した予圧を
    測定する方法であって、 前記軸受の内・外輪のうち、一方部材を固定した状態
    で、他方部材に対してその中心軸線を回転中心に対して
    傾かせるための外力を加えることにより、前記両部材の
    相対的な傾きを検出し、 当該検出結果に基づいて前記軸受の予圧を認識する、こ
    とを特徴とする複列転がり軸受の予圧測定方法。
  2. 【請求項2】 請求項1に記載の複列転がり軸受の予圧
    測定方法において、 前記一方部材の固定が、その軸方向一端側を軸方向と径
    方向で不動に位置決めすることによって行われ、また、
    前記他方部材に対する外力の加担が、その軸方向他端面
    における1点に対してアキシャル荷重を加えることによ
    り行われる、ことを特徴構成とする複列転がり軸受の予
    圧測定方法。
  3. 【請求項3】 請求項1または2に記載の複列転がり軸
    受の予圧測定方法において、 前記傾きの検出が、前記他方部材の軸方向他端面におい
    て離れた2点の軸方向変位量と、前記一方部材の軸方向
    他端面において前記他方部材の2点と同一位相となる2
    点の軸方向変位量とをそれぞれ測定する処理と、 前記両部材に関してそれぞれ測定した各2点の軸方向変
    位量の偏差を個別に求めることにより、この各偏差に基
    づいて前記両部材の傾きをそれぞれ認識する処理と、 前記認識した両部材の各傾きに基づいて前記両部材の相
    対的な傾きを認識する処理とによって行われる、ことを
    特徴とする複列転がり軸受の予圧測定方法。
  4. 【請求項4】 請求項3に記載の複列転がり軸受の予圧
    測定方法において、 前記傾き検出時に前記他方部材および一方部材の軸方向
    変位量を測定する各2点が、それぞれ180度対向する
    位置に特定されているとともに、 これら各2点の計4点が、前記他方部材に対して外力を
    加担する1点と、回転中心とを結ぶ直線上に、配置され
    ている、ことを特徴とする複列転がり軸受の予圧測定方
    法。
  5. 【請求項5】 複列転がり軸受に対して付与した予圧を
    測定する装置であって、 前記軸受の内・外輪のうち、一方部材を固定した状態
    で、他方部材に対してその中心軸線を回転中心に対して
    傾けせるための外力を加える外力付加手段と、該外力付
    加手段から加えられる外力による前記外輪と前記内輪と
    の相対的な傾きを検出する傾き検出手段と、該傾き検出
    手段の検出結果に基づいて前記軸受の予圧を算出する予
    圧算出手段とを備えている、ことを特徴とする複列転が
    り軸受の予圧測定装置。
  6. 【請求項6】 請求項5に記載の複列転がり軸受の予圧
    測定装置において、 前記傾き検出手段は、 前記他方部材の軸方向他端面において離れた2点の軸方
    向変位量と、前記一方部材の軸方向他端面において前記
    他方部材の2点と同一位相となる2点の軸方向変位量と
    をそれぞれ測定する変位量検出手段と、 前記両部材に関してそれぞれ測定した各2点の軸方向変
    位量の偏差を個別に求めることにより、この各偏差に基
    づいて前記両部材の傾きをそれぞれ認識する個別傾き検
    出手段と、 前記認識した両部材の各傾きに基づいて前記両部材の相
    対的な傾きを認識する相対傾き検出手段と、 を備える、ことを特徴とする軸受の予圧測定装置。
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