JP2021177133A - 軸受装置の予圧計測方法及び軸受装置の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】より正確な予圧を計測することができる軸受装置の予圧計測方法を提供する。【解決手段】 外輪と、内軸と、前記外輪と前記内軸との間に配置され、前記外輪及び前記内軸にそれぞれ形成されている軌道に所定の接触角で接触している複数の転動体と、を備える軸受装置の前記接触角に関する接触角情報を取得する接触角取得工程と、前記転動体と前記軌道との間の前記接触角の方向の荷重を取得する荷重取得工程と、前記接触角取得工程により取得した前記接触角情報と、前記荷重取得工程により取得した前記荷重とに基づいて、前記軸受装置の予圧を取得する予圧取得工程と、を備える、軸受装置の予圧計測方法。【選択図】 図1

Description

本発明は、軸受装置の予圧計測方法及び軸受装置の製造方法に関する。
自動車等の車両において、車輪を支持するために車輪用軸受装置(ハブユニット)が用いられている。例えば、特許文献1には、軸受ユニット(ハブユニット)として、内周部に複列の外方軌道を有する外輪と、当該外輪の内周側へ同心に配され、その外周部に前記外方軌道と対向する内方軌道を有する内輪と、前記複列の外方軌道及び内方軌道の間にそれぞれ組み込まれた複数の玉とを備える複列アンギュラ玉軸受が開示されている。特許文献1の軸受ユニットでは、内輪構成体がハブに組み込まれた後、ハブに設けられている加締め部を加締めることで、軸受ユニットに対して所定の予圧を付与している。
また、特許文献1では、予圧の測定方法として、軸受ユニットに付加するモーメント荷重を暫増させつつ、内外輪の傾きを各変位計の変位の差に基づいて測定し、当該傾き及びモーメント荷重に基づいて剛性値を算出し、当該剛性値のモーメント荷重に対する変曲点の位置に基づいて、軸受ユニットの予圧を特定する技術が開示されている。
また、従来、軸受に付与された予圧とアキシアル隙間との間に一定の関係があることを利用して、軸受のアキシアル隙間を測定し、このアキシアル隙間に基づいて、予圧を予測する方法が知られている(例えば、特許文献2)。
特開2012−251818号公報 特開2000−9562号公報
ハブユニットには、剛性を保つために大きな予圧(例えば、数トン)が付与されている。ハブユニットの剛性が高いほど、車輪の振動が抑制されるため、従前においてハブユニットに要求される予圧は増加傾向にあった。一方で、過度に大きな予圧がハブユニットに付与されると、外輪、内軸及び転動体に掛かる負荷が大きくなるため、ハブユニットの摩耗や剥離が発生しやすくなり、ハブユニットの耐久寿命が縮められる原因となる。また、外輪、内軸及び転動体に掛かる負荷が大きくなると、ハブユニットの摩擦トルクも大きくなるため、車輪の回転のためにより大きなエネルギーが必要となり、車両の燃費が低減する原因となる。
近年、車両の燃費向上が強く要求されており、ハブユニットの剛性を可能な限り保ちつつ、ハブユニットの摩擦トルクを低減することが求められている。すなわち、ハブユニットに付与される予圧の最適化が求められている。
ハブユニットの予圧を計測する方法としては、特許文献1のように、軸受ユニットに付加するモーメント荷重を暫増させながら測定される各変位計の変位の差に基づいて予圧を計測する方法と、特許文献2のように、アキシアル隙間に基づいて予圧を計測する方法とが知られている。
しかしながら、特許文献1の方法では、計測の際に軸受ユニットにモーメント荷重を暫増させながら付加する必要があり、計測に必要な構成が複雑となる。また、特許文献1の方法では剛性値の変曲点を予圧として検出しているが、当該変曲点の取り方は一意に決まらず、計測される予圧にばらつきが生じる場合があり、正確な予圧を測定することは困難である。
また、特許文献2の方法では、アキシアル隙間が同じ場合、計測される予圧も同じになる。しかしながら、実際には同じアキシアル隙間であってもハブユニットの摩擦トルクが異なる場合があるため、アキシアル隙間によりハブユニットの予圧の傾向(例えば、大、中、小といったおおよその予圧の程度)を知ることはできても、正確な予圧を計測することはできない。このため、従来の予圧計測方法では、正確な予圧を計測することができなかった。
本発明は、より正確な予圧を計測することができる軸受装置の予圧計測方法を提供することを目的とする。
(1)本発明に係る軸受装置の予圧計測方法は、外輪と、内軸と、前記外輪と前記内軸との間に配置され、前記外輪及び前記内軸にそれぞれ形成されている軌道に所定の接触角で接触している複数の転動体と、を備える軸受装置の前記接触角に関する接触角情報を取得する接触角取得工程と、前記転動体と前記軌道との間の前記接触角の方向の荷重を取得する荷重取得工程と、前記接触角取得工程により取得した前記接触角情報と、前記荷重取得工程により取得した前記荷重とに基づいて、前記軸受装置の予圧を取得する予圧取得工程と、を備える。このような構成によれば、接触角情報と、荷重とに基づいて、軸受装置の予圧をより正確に取得することができる。
(2)好ましくは、前記荷重取得工程は、前記外輪の外周側から前記外輪を介して前記転動体と前記軌道との接触点を含む接触領域へ超音波を付与し、前記接触領域から反射された超音波を検出する第1工程と、前記反射された超音波の強度に基づいて、前記荷重を取得する第2工程と、を有する。このような構成によれば、超音波の強度に基づいて、荷重を取得することができる。
(3)好ましくは、前記第1工程は、前記転動体の中心と前記接触点とを結ぶ仮想直線に対して垂直な平面を有する治具を前記外輪の外周面に沿って設ける工程と、前記平面に設置されている送波器から前記接触領域へ超音波を付与し、前記平面に設置されている受波器にて前記接触領域から反射された超音波を検出する工程と、を有する。このような構成によれば、設計上、外輪を追加工できない場合であっても、荷重を検出することができる。
(4)好ましくは、前記荷重取得工程は、複数の前記転動体それぞれについての前記荷重を検出し、前記予圧取得工程は、次の式(1)により前記予圧を取得する。
F=Σ(Fi×sinα) ・・・(1)
ただし、
Σ :i=1〜Nの積算
N :前記転動体の個数
F :前記予圧
Fi:前記荷重(i=1〜N)
α :前記接触角
このような構成によれば、複数の転動体のそれぞれの荷重に基づいて、予圧を算出するため、より正確な予圧を取得することができる。
(5)好ましくは、前記荷重取得工程は、任意の1個の前記転動体についての前記荷重を検出し、前記予圧取得工程は、次の式(2)により前記予圧を取得する。
F=N×F1×sinα ・・・(2)
ただし、
N :前記転動体の個数
F :前記予圧
F1:前記荷重
α :前記接触角
このような構成によれば、複数の接触荷重を計測する必要がなく、予圧計測方法を簡素化することができ、当該方法に掛かる時間を短縮することができる。
(6)好ましくは、前記外輪及び前記内軸の一方は回転輪であり、前記前記外輪及び前記内軸の他方は固定輪であり、前記接触角取得工程は、前記回転輪の回転数を検出する回転検出工程と、前記転動体の公転に伴う前記固定輪の変形を外部から検出する変形検出工程と、前記回転検出工程の検出結果と、前記変形検出工程の検出結果と、前記転動体に関する諸元データと、を用いて、前記接触角を求める演算工程と、を有する。このような構成によれば、より正確な接触角を取得することができるため、予圧をより正確に取得することができる。
(7)本発明に係る軸受装置の製造方法は、外輪と、内軸と、前記外輪と前記内軸との間に配置され、前記外輪及び前記内軸にそれぞれ形成されている軌道に所定の接触角で接触している複数の転動体と、を備える軸受装置の製造方法であって、前記内軸は、軸方向一方側に第1の内輪軌道を有し、軸方向他方側に小径部を有する軸部材と、前記小径部の径方向外方に嵌合すると共に、外周面に第2の内側軌道が形成されている内輪部材と、を有し、前記外輪及び複数の前記転動体が組み付けられた状態の前記内軸を準備する準備工程と、前記小径部の径方向外方に嵌合されている前記内輪部材を軸方向一方側に押し付けている状態で、前記軸部材の軸方向他方側の端部を径方向外方へ塑性変形させるかしめ工程と、前記かしめ工程の後、又は前記かしめ工程と同時に、前記(1)から前記(6)のいずれかに記載の軸受装置の予圧計測方法を行う計測工程と、を備える。このような構成によれば、より正確に予圧を取得しつつ、軸受装置を製造することができる。
(8)好ましくは、前記計測工程の後、前記計測工程により取得された前記予圧と、基準値とを比較し、前記予圧が適正な値であるか否かを判定する判定工程と、をさらに備え、前記かしめ工程は、前記判定工程により前記予圧が適正な値ではないと判定された後に再び実行される。このように構成することで、1回目のかしめ工程の後、軸受装置の予圧を取得・確認し、必要に応じて再度かしめ工程を行うといったように、予圧を確認しつつ、かしめ加工を間欠的に進めていく作業が可能となる。これにより、より正確に予圧が付与された軸受装置を製造することができる。
本発明によれば、より正確な予圧を計測することができる。
実施形態に係る予圧計測方法に使用する軸受装置の断面図である。 軸受装置の予圧を説明する説明図である。 本実施形態に係る変形検出センサ及び荷重検出センサを示す説明図である。 本実施形態に係る予圧の計測方法の手順を示すフローチャートである。 回転検出センサ及び変形検出センサの出力結果を示すグラフである。 荷重検出センサの受波器において検出される超音波の強度と、接触荷重との関係を示すグラフである。 本実施形態に係る軸受装置の製造方法の手順を示すフローチャートである。 軸受装置の製造装置の一例を示す断面図である。 第1変形例に係る荷重検出センサの設置構成を示す説明図である。 第3変形例に係る変形検出センサを示す説明図である。
<実施形態>
以下、本発明の実施形態を、図面を参照して説明する。
<軸受装置の全体構成>
図1は、実施形態に係る予圧計測方法に使用する軸受装置10の断面図である。軸受装置10は、自動車等の車両に用いられる車輪用軸受装置(ハブユニット)である。軸受装置10は、自動車の車体に設けられている懸架装置に対して車輪を回転自在に支持する。
軸受装置10は、外輪11と、内軸12と、転動体13と、保持器14と、シール部材18、19とを備えている。外輪11と内軸12とは同心状に配置されている。本実施形態では、外輪11に対して内軸12が軸心C1回りに回転自在となっている。すなわち、外輪11が固定輪であり、内軸12が回転輪(回転軸)である。
以下の説明においては、軸心C1に沿う方向を「軸方向」という。軸方向には、軸心C1に平行な方向も含まれる。軸受装置10が自動車の車体に設けられた状態において、車両アウタ側を軸方向一方側といい、車両インナ側を軸方向他方側という。軸方向に直交する方向を「径方向」という。内軸12が軸心C1回りに回転する方向を「周方向」という。軸受装置10は、図示しない車輪やブレーキディスクがフランジ部16bに固定された内軸12を、車体に対して回転自在に支持することができる。
外輪11は、機械構造用炭素鋼等により形成されている。外輪11は、円筒形状に形成され、外周面11aにフランジ11cを有している。フランジ11cは、ボルトにより車体側の懸架装置に固定される。外輪11の内周面には、複列の外側軌道11bが形成されている。外周面11aには、後述の荷重検出センサ23を取り付けるための凹部110が形成されている。
内軸12は、機械構造用炭素鋼等により形成されている。内軸12は、軸部材16と、内輪部材17とを有している。軸部材16は、軸方向に沿って延びる本体部16aと、本体部16aから径方向外方に突出するフランジ部16bとを有している。本体部16aとフランジ部16bとは、一体に形成されている。フランジ部16bは、本体部16aの軸方向一方側に設けられている。フランジ部16bには、車輪やブレーキディスク(図示せず)が取り付けられる。
内輪部材17は、環状に形成されている部材である。内輪部材17は、軸部材16の軸方向他方側の端部に固定されている。具体的には、軸部材16の軸方向他方側には、本体部16aの他の部分よりも外径が小さく形成された小径部16cが設けられ、この小径部16cの径方向外方に軸方向他方側から内輪部材17が圧入されることで、小径部16cに内輪部材17が嵌合されている。そして、軸部材16の軸方向他方側の端部16dを径方向外方へ塑性変形させてかしめることによって、内輪部材17が軸部材16に固定されている。
軸部材16の本体部16aの外周面には、軸方向一方側の外側軌道11bの径方向内側に対向する内側軌道16eが形成されている。内輪部材17の外周面には、軸方向他方側の外側軌道11bの径方向内側に対向する内側軌道17eが形成されている。外側軌道11b及び内側軌道16e,17eは、それぞれ断面において凹円弧形状に形成されている。
複数の転動体13は、それぞれ機械構造用炭素鋼等により形成されている玉である。複数の転動体13は、軸方向一方側の外側軌道11bと内側軌道16eとの間(以下、「一方側軌道」という)、及び軸方向他方側の外側軌道11bと内側軌道17eとの間(以下、「他方側軌道」という)に配設されている。すなわち、複数の転動体13は、一方側軌道及び他方側軌道の複列に配設されている。複数の転動体13は、外側軌道11b及び内側軌道16e、17eそれぞれに対して接触角αを有して点接触する。したがって、軸受装置10は、アンギュラ玉軸受を構成し、外輪11及び内軸12が、それぞれ軌道輪を構成する。
保持器14は、樹脂により形成されている環状の部材である。保持器14は、各列の複数の転動体13を周方向に所定の間隔を空けて保持している。シール部材18、19は、外輪11の軸方向両端部と内軸12との間、より詳細には、外輪11の軸方向一方側の端部と本体部16aとの間、及び、外輪11の軸方向他方側の端部と内輪部材17との間にそれぞれ取り付けられている。シール部材18、19は、外輪11と内軸12との間に形成される環状空間に泥水等の異物が浸入するのを防ぎ、かつ環状空間内の潤滑剤が漏出しないように封止する役割を有している。
<軸受装置の予圧について>
図2は、軸受装置10の予圧を説明する説明図である。図2は、図1の軸受装置10の一部を拡大して示している。また、図2は、軸部材16の紙面奥行方向に位置する転動体13を破線により示している。なお、転動体13の個数は、説明のために各列4個ずつとして示しているが、実際にはより多い転動体13が配設されている。
軸受装置10の「予圧F」は、転動体13のそれぞれに予め付与されている軸方向の力の総和である。例えば、各列の転動体13が負のアキシアル隙間をもって一方側軌道及び他方側軌道に配設されている場合、一方側軌道の転動体13と外輪11及び軸部材16との間には、それぞれ接触荷重F1〜F4が生じ、他方側軌道の転動体13と外輪11及び内輪部材17との間には、それぞれ接触荷重F5〜F8が生じている。接触荷重F1〜F8は、それぞれ転動体13の接触角αの方向に負荷される荷重であり、アキシアル方向(軸方向)の成分と、ラジアル方向(径方向)の成分とを含む。
外輪11、軸部材16及び内輪部材17が軸方向に固定されている状態において、接触荷重F1〜F4のアキシアル方向の成分の総和と、接触荷重F5〜F8のアキシアル方向の成分の総和は等しい。そして、接触荷重F1〜F4(又は接触荷重F5〜F8)のアキシアル方向の成分の総和が、軸受装置10の予圧Fに相当する。
発明者らは、転動体13における接触荷重F1〜F4と、接触角αとに基づいて、予圧Fを算出できることを見出した。接触荷重F1のアキシアル方向の成分は、接触荷重F1と接触角αとに基づいて、(F1×sinα)により求められる。このため、予圧Fは、以下の式(1)により求めることができる。
F=Σ(Fi×sinα) ・・・(1)
ここで、Σはi=1〜Nの積算であり、Nは各列の転動体13の個数(図2の例では、4個)であり、Fiはそれぞれの転動体13における接触荷重である。
ここで、式(1)により正確に予圧Fを算出するためには、接触荷重Fi及び接触角αについて、それぞれ正確な値を取得する必要がある。軸受装置10の内部に配置される転動体13の接触角αを直接測定することは困難である。そのため、従来、内軸12における内輪部材17を軸部材16にかしめ固定する際の荷重を管理することによって、接触角αが適切な値となるように軸受装置10が組み立てられていた。
しかし、軸受装置10を構成する各部品には寸法誤差等が存在するため、かしめ固定する際の荷重に基づいて取得される接触角αは、実際の接触角αを正確に示していない場合があった。そのため、本実施形態では、組み立てられた状態の軸受装置10であっても転動体13の接触角αを取得できるようにすることで、より正確な接触角αを取得する。
<検査装置の全体構成>
図1を参照する。本実施形態に係る検査装置は、処理装置20と、変形検出センサ21と、回転検出センサ22と、荷重検出センサ23と、を備えている。処理装置20は、例えば、CPU等を含む制御部20aと、HDD等のストレージや揮発性メモリ等を含む記憶部20bとを有するコンピュータにより構成される。変形検出センサ21、回転検出センサ22及び荷重検出センサ23の検出結果は、処理装置20へ送信される。処理装置20の制御部20aは、記憶部20bから読み出したコンピュータプログラムを実行することにより、各センサ21、22、23の検出結果に基づいて、接触角α、接触荷重Fi及び予圧Fを演算する処理を行う。
処理装置20は、予圧Fを求めるための情報として、上記の式(1)を記憶部20bに記憶している。また、処理装置20は、接触荷重Fiを求めるための情報として、超音波の強度と接触荷重との関係を示す情報(例えば、図6のグラフ又はテーブルデータ)を記憶部20bに記憶している。さらに、処理装置20は、接触角αを求めるための情報として、以下の式(2)と、式(2)に含まれるパラメータと、を記憶部20bに記憶している。
Figure 2021177133
ここで、Dwは、転動体13の直径、Dpwは、転動体13のピッチ円直径、αは、接触角、frは、所定時間における内軸12の回転数、nは、転動体13の個数、pは、外輪11の周方向の特定位置を転動体13が所定時間に通過する回数(転動体13の通過数)である。式(2)は、転動体13の公転数fを求めるための2つの公知の式(3)、(4)から求められる式である。
Figure 2021177133
f=p/n ・・・(4)
以上の式(2)において、転動体13に関する諸元データである直径Dw、ピッチ円直径Dpw、及び個数nは、既知の値であり、記憶部20bに記憶されている。内軸12の回転数frと、転動体13の通過数pとは、それぞれセンサ22、21の検出結果から処理装置20により求められる。
回転検出センサ22は、内軸12の回転数frを検出するセンサである。回転検出センサ22は、例えば光学センサであり、フランジ部16bに向けて光を照射し、フランジ部16bからの反射光を測定する。フランジ部16bの一部には、図1に示すように反射板22aが設けられており、内軸12が軸心C1回りに回転すると、反射板22aは周方向に移動する。
回転検出センサ22がフランジ部16bに光を照射している状態で、内軸12が回転すると、内軸12が1回転するごとに、反射板22aが1回ずつ当該光が照射されている部分を通過する。これにより、内軸12が1回転するごとに、回転検出センサ22において検出される反射光が高くなる部分が1領域取得されることで、内軸12の回転数(すなわち、所定時間あたりの回転の回数)を検出することができる。なお、回転検出センサ22における検出箇所は、内軸12の回転に伴って周期的に移動する箇所であれば特に限定されず、反射板22aの設置も必須ではない。
図3は、本実施形態に係る変形検出センサ21及び荷重検出センサ23を示す説明図である。変形検出センサ21は、外輪11の外周面11aに設けられ、外側軌道11b上を転動体13が公転することに伴う外輪11の変形を外部から検出する。変形検出センサ21は、例えば、外輪11の外周面11aのひずみを測定するひずみゲージ21Aを有する。
ひずみゲージ21Aは、図2に示す範囲R内の外輪11の変形を検出するように設けられる。範囲Rは、外輪11の外周面11aにおける第1の点P1と第2の点P2との間の範囲である。第1の点P1は、軸受装置10の軸心C1に垂直で、転動体13の中心を通る仮想的な直線L1上の点である。第2の点P2は、外側軌道11b及び転動体13の接触点と、転動体13の中心とを通る仮想的な直線(接触角αをなす直線)L2上の点である。範囲Rは、外側軌道11b上を転動体13が転動することによって外輪11が比較的大きく変形する部位である。ひずみゲージ21Aは、範囲Rの全体における外輪11の変形を検出するように設けられてもよいし、範囲R内の一部の変形を検出するように設けられてもよい。
荷重検出センサ23は、外輪11の凹部110に設けられ、外側軌道11bと転動体13との接触点における接触荷重Fiを外輪11の外部から検出する。荷重検出センサ23は、例えば超音波センサであり、超音波を出力する送波器と、超音波を検出する受波器とを有する。凹部110は、直線L2に対して垂直な平面を有し、荷重検出センサ23の送波器及び受波器は、当該平面に設置されている。荷重検出センサ23は、送波器から外側軌道11bと転動体13との接触点を含む接触領域へ超音波を付与し、接触領域から反射された超音波を受波器にて検出する。受波器において検出された超音波の強度は、処理装置20へ送信される。
なお、後述の予圧計測方法を実行する前は、正確な接触角αが不明であるため、直線L2は「設計上の接触角α」に基づいて設定されている。このため、実際の接触角αから例えば±10度程度ずれる場合もある。しかしながら、荷重検出センサ23の送波器から付与される超音波は、送波器を中心に外輪11内を扇状に拡がりながら伝播するため、直線L2が実際の接触角αから多少ずれている場合であっても、超音波は接触領域へ到達できる。
<予圧の計測方法>
次に、検査装置による予圧の計測方法について説明する。図4は、本実施形態に係る予圧の計測方法の手順を示すフローチャートである。予圧の計測方法は、回転検出工程S31と、変形検出工程S32と、荷重検出工程S33と、演算工程S34とを有する。本実施形態では、回転検出工程S31、変形検出工程S32及び荷重検出工程S33は、この順で実行されるが、本発明の実施に関してはこれに限られず、これら3個の工程は、どのような順序で実行してもよい。また、複数の工程S31〜S33を並行して実行してもよい。
回転検出工程S31は、回転検出センサ22が内軸12からの反射光を検出する工程である。変形検出工程S32は、変形検出センサ21が外輪11の変形を検出する工程である。荷重検出工程S33は、荷重検出センサ23が転動体13と外側軌道11bとの接触点を含む接触領域から反射された超音波を検出する工程である。回転検出工程S31、変形検出工程S32及び荷重検出工程S33は、軸受装置10の内軸12を回転させている状態で実行される。なお、荷重検出工程S33は、軸受装置10の内軸12の回転を停止させている状態で実行されてもよい。
演算工程S34は、検出工程S31〜S33の後に実行される。演算工程S34は、接触角取得工程と、荷重取得工程と、予圧取得工程とを有する。演算工程S34が実行されると、処理装置20が、検出工程S31〜S33のそれぞれから出力された信号と、記憶部20bに記憶されている転動体13に関する諸元データと基づいて、軸受装置10の予圧Fを算出する。
図5は、回転検出センサ22及び変形検出センサ21の出力結果を示すグラフである。図5において、横軸は時間であり、縦軸は各センサ21、22の信号の出力値(電圧値)である。図5において、上側のグラフは回転検出センサ22の出力結果を示し、下側のグラフは変形検出センサ21の出力結果を示す。回転検出センサ22は、内軸12が一回転するたびに信号を出力する。すなわち、所定時間あたりの信号出力の回数(グラフ中の凸部分の数)が、回転数frとなる。図5には、内軸12の10回転分の出力が示されている。
ひずみゲージ21Aは、外輪11の変形が大きいほど大きな信号を出力する。外側軌道11b上を転動体13が転動し、ひずみゲージ21Aの直下を通ると、外輪11が転動体13によって径方向外方へ押圧され、ひずみゲージ21Aが取り付けられた部分の外輪11の弾性変形が大きくなる。また、ひずみゲージ21Aの直下を転動体13が過ぎると、転動体13によって径方向外方へ押圧されなくなるので、外輪11の弾性変形が解消される。ひずみゲージ21Aは、このような外輪11の変形を反映し、上下に変動する信号を出力する。したがって、上下に変動するグラフの山の部分において、転動体13がひずみゲージ21Aの直下を通っていると考えることができる。すなわち、所定時間あたりの当該山の部分の数が、転動体13の通過数pとなる。
演算工程S34において、処理装置20は、上記の式(2)を用い、変形検出センサ21で検出した転動体13の通過数pと、回転検出センサ22で検出した回転数fr、転動体13の諸元データn、Dw、Dpwとから転動体13の接触角αを求める(接触角取得工程)。
ここで、ひずみゲージ21Aには、正確なひずみの検出は求められておらず、図5に示すように、出力の上下の変動を検出できれば足りる。そのため、外輪11の外周面11aにおけるひずみゲージ21Aの取り付け個所を平滑にする下処理は不要である。外輪11は、通常、鋳造によって形成され、その外周面には鋳肌が残った状態となっている。上記の理由により、ひずみゲージ21Aを取り付けるために鋳肌を削るような下処理は不要となるため、実際の製品における接触角αの取得が可能となる。
図6は、荷重検出センサ23の受波器において検出される超音波の強度と、接触荷重Fiとの関係を示すグラフである。図6において、横軸は超音波の強度であり、縦軸は接触荷重である。例えば、処理装置20の制御部20aは、荷重検出工程S33にて検出された超音波の強度X1と、図6のグラフとに基づいて、接触荷重F1を算出する(荷重取得工程)。本実施形態では、複数の転動体13と外側軌道11bとがそれぞれ接触する複数の接触領域から検出される複数の超音波強度X1〜X4に基づいて、接触荷重F1〜F4(図2)をそれぞれ算出する。
図6のグラフは、例えば、軸受装置10を模擬したモデル装置を用いた実験により取得される。実験では、はじめに、外輪11を模擬した第1部材へ、転動体13を模擬した第2部材を接触させる。そして、第1部材と第2部材の接触点へ超音波を付与しながら、当該接触点へ既知の荷重を負荷し、当該接触点から反射された超音波の強度を測定する。これにより、当該グラフを描画することができる。なお、超音波の強度と接触荷重との関係は、例えば軸受装置10を模擬したモデルを用いたコンピュータ上のシミュレーションにより取得されてもよい。
本実施形態では接触荷重Fiを算出するために超音波の強度と接触荷重との関係を用いるが、本発明の実施に関してはこれに限られない、例えば、エコー比と接触荷重との関係を用いて、接触荷重Fiを算出してもよい。エコー比は、荷重検出センサ23の送波器から送信された超音波の強度Xinと、受波器において検出される超音波の強度Xoutとの割合(Xout/Xin)である。
処理装置20は、式(2)により取得された接触角αと、図6のグラフに基づいて取得された複数の接触荷重Fiと、式(1)とに基づいて、予圧Fを算出する(予圧取得工程)。算出された予圧Fは、記憶部20bに記憶される。
予圧Fが所定の設計値の許容誤差範囲に収まっていれば、軸受装置10は所定の品質を満たす製品となる。また、予圧Fが所定よりも小さい場合には、内軸12の軸部材16のかしめ加工を追加で行う等の追加工により、予圧Fを大きくすることで所定の品質を確保することもできる。また、算出された予圧Fを軸受装置10と紐付けて管理することにより、かしめ加工の研究(例えば、良品製造のための条件だし)や、各設計要因が予圧に及ぼす影響の検討に予圧Fに関する情報を活用することができ、軸受装置における摩擦トルクの低減や寿命の解析に寄与することができる。
<軸受装置の製造方法>
図7は、本実施形態に係る軸受装置10の製造方法の手順を示すフローチャートである。本実施形態に係る製造方法は、製造途中において適宜予圧を計測し、当該計測結果を軸受装置10の製造条件(例えば、かしめ量)にフィードバックさせる。これにより、より正確に予圧Fが負荷された軸受装置10を製造することができる。
本実施形態に係る製造方法が開始されると、はじめに準備工程S1が実行される。準備工程S1は、外輪11及び複数の転動体13が組み付けられた状態の内軸12を準備する工程である。準備工程S1は、形成工程と、組付工程と、圧入工程とを有する。
形成工程は、軸受装置10を構成する各部材(例えば外輪11、内軸12及び転動体13)を形成する工程(例えば焼鈍処理工程、被膜処理工程、冷間鍛造工程、旋削工程、熱処理工程及び研磨工程)である。組付工程は、形成工程の後に実行され、軸部材16の径方向外方に外輪11及び複数の転動体13を組み付ける工程である。圧入工程は、組付工程の後に実行され、外輪11及び複数の転動体13が組み付けられた状態の軸部材16の小径部16cに、軸方向他方側から内輪部材17を圧入する工程である。
圧入工程において、複数の転動体13が負のアキシアル隙間となるように、内輪部材17が小径部16cに圧入される。これにより、複数の転動体13には外輪11及び内軸12から接触荷重がそれぞれ負荷される。以上により、準備工程S1が終了する。
次に、かしめ工程S2が実行される。かしめ工程S2は、軸部材16の軸方向他方側の端部16dをかしめ加工することで、内輪部材17を軸部材16に固定する工程である。図8は、軸受装置10の製造装置の一例を示す断面図である。製造装置30は、かしめ工程S2を実行するための装置である。
製造装置30は、回転機構31と、かしめ機構32と、拘束機構33とを備えている。軸受装置10は、内軸12の軸心C1を図8の上下方向に向けて、かしめ加工される軸方向他方側が上となる姿勢で回転機構31の回転体31a上に装着される。回転体31aは、図示しない電動モータにより上下方向の基準軸Z回りに回転し、内軸12も回転体31aの回転に伴い回転する。各センサ21、22、23は、回転体31aに装着されている状態の軸受装置10に対して取り付けられる。
かしめ機構32は、パンチ32aと、固定スピンドル32bとを有している。固定スピンドル32bは、製造装置30の基準軸(基準線)Zを中心とする柱状の部材であり、図示しない昇降フレームに固定され、上下方向に移動可能である。固定スピンドル32bには、下方に向かって開口している孔32cが形成されている。孔32cの中心軸(中心線)C2は、基準軸Zに対して所定角度で傾斜している。パンチ32aは、軸状に形成され、孔32cの内部に軸受部32dを介して回転自在に設けられている。
かしめ工程S2が開始されると、回転機構31により軸部材16が回転される。そして、軸部材16の回転を維持した状態で、固定スピンドル32bが下降し、回転している軸部材16の軸方向他方側の端部16dにパンチ32aが押し付けられる。パンチ32aが端部16dを径方向外方へ塑性変形させることで、端部16dがかしめられる。以上により、かしめ工程S2が終了する。
図7を参照する。次に、計測工程S3が実行される。計測工程S3は、上記の予圧計測方法(図4)により、軸受装置10の予圧Fを計測する工程である。すなわち、図4のフローチャートは、計測工程S3のサブルーチンに相当する。計測工程S3では、各センサ21〜23を軸受装置10へ取り付けて各信号を検出する。そして、処理装置20により予圧Fが計測され、当該予圧Fが記憶部20bに記憶されると、計測工程S3が終了する。
次に、判定工程S4が実行される。判定工程S4では、計測工程S3により取得された予圧Fと、第1基準値Rf1及び第2基準値Rf2とを比較することで、予圧Fが適正な値であるか否かを判定する。第1基準値Rf1は、予圧Fの所定の設計値の許容誤差範囲の下限値である。第2基準値Rf2は、予圧Fの所定の設計値の許容誤差範囲の上限値である。第1基準値Rf1及び第2基準値Rf2は、記憶部20bに予め記憶されている。
判定工程S4が開始されると、制御部20aは、記憶部20bに記憶されている予圧Fと第1基準値Rf1との差分(F−Rf1)と、予圧Fと第2基準値Rf2との差分(F−Rf2)とを算出する。次に、差分(F−Rf1)と差分(F−Rf2)との積を算出する。
ここで、予圧Fは、第1基準値Rf1以上で、かつ第2基準値Rf2以下の場合に、適正な値となる。すなわち、差分(F−Rf1)が0以上となり、かつ差分(F−Rf2)が0以下となる場合に、予圧Fは適正な値となる。このため、制御部20aは、差分(F−Rf1)と差分(F−Rf2)との積が0以下となる場合に、予圧Fが適正な値であると判定する。判定工程S4において予圧Fが適正な値であると判定されると(図7における判定工程後のYES)、本実施形態に係る製造方法が終了する。
また、制御部20aは、差分(F−Rf1)と差分(F−Rf2)との積が0より大きくなる場合に、予圧Fが適正な値ではないと判定する。判定工程S4において予圧Fが適正な値ではないと判定されると(図7における判定工程後のNO)、第2判定工程S5に進む。
なお、判定工程S4の内容は、所定の設計値の許容誤差範囲を示す基準値と予圧との比較により、予圧が適正な値か否かを判定できれば、上記の方法に限られない。例えば、予圧と基準値との比を求めてもよい。
第2判定工程S5は、予圧Fが適正な値ではないと判定された場合に、予圧Fが所定の設計値の許容誤差範囲よりも低いか否かを判定する工程である。例えば、第2判定工程S5では、差分(F−Rf1)が0よりも小さい場合、処理装置20は予圧Fが所定の設計値の許容誤差範囲よりも低いと判定し、追加のかしめ工程S2に進む(図7における第2判定工程後のYES)。このように構成することで、1回目のかしめ工程S2の後、軸受装置10の予圧Fを取得・確認し、必要に応じて再度のかしめ工程S2を行うといったように、予圧Fを確認しつつ、かしめ加工を間欠的に進めていく作業が可能となる。これにより、より正確に予圧Fが付与された軸受装置10を製造することができる。
また、差分(F−Rf1)が0よりも大きい場合(又は、差分(F−Rf2)が0よりも大きい場合)、処理装置20は予圧Fが所定の設計値の許容誤差範囲よりも高いと判定し、確認工程S6に進む(図7における第2判定工程後のNO)。
確認工程S6は、軸受装置10を検査する工程及び軸受装置10を廃棄する工程の少なくとも一方を含む。軸受装置10を検査する工程では、例えば検査員による目視検査や、カメラで撮像した画像を解析することによる画像検査を行う。これらの検査に基づいて、軸受装置10の予圧Fが適切な値ではない原因(異常原因)を判断し、必要に応じて製造ライン(例えば、製造装置30)の検査を行う。軸受装置10を廃棄する工程では、予圧Fが適切な値ではないと判断された軸受装置10を廃棄する。なお、上記の検査を行った後に軸受装置10を廃棄してもよい。
以上のように、確認工程S6によれば、軸受装置10の予圧Fが適正な値ではないと判定され、かつ追加のかしめ工程では当該予圧Fを適正な値にすることができない場合に、製造した軸受装置10を製造ラインから外して検査又は廃棄することができ、製造ラインに乗っている軸受装置10の品質を向上することができる。
なお、計測工程S3は、かしめ工程S2と並行して実行してもよい。この場合、端部16dをかしめ加工しながら、同時に軸受装置10の予圧Fを取得し、予圧Fが適正な値になったときにかしめ工程S2を終了する。これにより、適正な予圧Fとなるまでかしめ加工を行うことができ、軸受装置10の品質のばらつきを抑制することができる。
<変形例>
以上、本発明の実施形態に係る軸受装置の検査装置、予圧計測方法及び製造方法を説明した。しかしながら、本発明の実施に関してはこれに限られず、種々の変形を行うことができる。以下、本発明の変形例について説明する。なお、以下の説明において、実施形態から変更のない部分については同じ符号を付し、説明を適宜省略する。
<第1変形例:荷重検出センサ設置構成の変形例>
図9は、第1変形例に係る荷重検出センサ23の設置構成を示す説明図である。上記の実施形態では、外輪11の外周面11aに凹部110を設けるが、本変形例では凹部110に代えて、外周面11aに着脱可能な治具111を用いる。治具111は、例えば外輪11と同じ機械構造用炭素鋼等により形成されている。
治具111は、直線L2に対して垂直な平面を有し、外周面11aに沿って設けられている。荷重検出センサ23は、当該平面に送波器及び受波器を設置した状態で、外輪11の径方向外方に設けられている。荷重検出センサ23の送波器は、治具111及び外輪11を介して、転動体13と外側軌道11bとの接触領域へ超音波を付与する。荷重検出センサ23の受波器は、当該接触領域から反射され、外輪11及び治具111を介して受波器へ伝播する超音波を検出する。
このような構成によれば、外輪11に凹部110を加工する必要がなく、1個の治具111を複数の軸受装置10へ着脱することで、複数の軸受装置10のそれぞれの接触荷重を検出することができるため、予圧計測方法に掛かるコストを削減することができる。また、設計上、外輪11に凹部110を加工できない場合であっても、上記の構成によれば、軸受装置10の接触荷重を検出することができる。
<第2変形例>
上記の実施形態又は第1変形例では、設計上の接触角αに基づいて凹部110又は治具111を設けている。しかしながら、予圧計測方法において、実際の接触角αを取得した後に、実際の接触角αに対応する治具111を外輪11の外周面11aに設置するように構成してもよい。このような構成によれば、荷重検出センサ23が、より正確に転動体13と外側軌道11bとの接触点へ超音波を付与することが可能となるため、検出される超音波のS/N比が高くなり、より正確に予圧を計測することができる。
この場合、例えば、それぞれ異なる形状を有する複数の治具111を準備する。そして、予圧計測方法では、図4の回転検出工程S31及び変形検出工程S32の後に、式(2)に基づいて接触角αを演算する第1演算工程を行う。続いて、当該第1演算工程により算出された接触角αに基づいて、直線L2を設定し、当該直線L2に対して垂直な平面を有する治具111を選定する。次に、選定された治具111を外輪11の外周面11aに設置し、荷重検出工程S33を実行する。最後に、式(1)に基づいて予圧Fを演算する第2演算工程を行う。
<第3変形例:変形検出センサの変形例>
図10は、第3変形例に係る変形検出センサを示す説明図である。本変形例に係る変形検出センサ21は、変位センサ21Bを有する。変位センサ21Bは、例えば非接触式のレーザ変位センサであり、範囲R中の特定点P3における外輪11の径方向の変位を検出する。なお、変位センサ21Bは、接触式のセンサであってもよい。
点P3の直下を転動体13が通ると外輪11の外周面11aが径方向外方へわずかに膨らむように変位し、点P3の直下を転動体13が過ぎると外輪11の外周面11aが相対的に径方向内側へ縮むように変位する。変位センサ21Bは、このような外輪11の外周面11aの径方向の変位を検出する。したがって、変位センサ21Bの検出信号に基づいて、転動体13の通過数pを求めることができる。
<第4変形例:予圧計測方法の変形例>
上記の実施形態では、複数の転動体13のそれぞれについて、複数の接触荷重F1〜F4を計測し、当該接触荷重F1〜F4と、接触角αと、式(1)とに基づいて、予圧Fを取得する。しかしながら、複数の転動体13にそれぞれ負荷される接触荷重Fiは、おおむね同じ値となる場合が多いため、任意の1個の転動体13と外側軌道11bとの間の接触荷重(例えば、F1)を計測し、以下の式(5)に基づいて予圧Fを取得してもよい。
F=N×F1×sinα ・・・(5)
ここで、Nは各列の転動体13の個数(図2の例では、4個)であり、F1は任意の1個の転動体13における接触荷重である。このように、任意の1個の転動体13における接触荷重F1のアキシアル方向の成分(sinα)を、転動体13の個数倍(N倍)することで、予圧Fを取得することができる。このような構成によれば、複数の接触荷重Fiを計測する必要がなく、予圧計測方法を簡素化することで、当該方法に掛かる時間を短縮することができる。
なお、例えば1列に20個の転動体13が配置されている場合に、一部の転動体13のみ(例えば、5個のみ)の接触荷重を計測し、当該接触荷重の平均値をF1として、上記の式(5)により予圧Fを取得するように構成してもよい。このような構成によれば、列に含まれる全部の転動体13の接触荷重を計測する必要がなく、予圧計測方法を簡素化することができ、さらに複数の転動体13の接触荷重の平均値に基づいて予圧を算出するため、より正確に予圧を算出することができる。
<第5変形例:接触角情報の変形例1>
上記の実施形態では、式(2)により接触角αを算出した後、式(1)へ当該接触角αを代入して、予圧Fを算出する。しかしながら、例えば式(1)へ式(2)を代入して得られる式により、予圧Fを取得するように構成してもよい。すなわち、接触角αを算出する過程を省略して、予圧Fを取得してもよい。
<第6変形例:接触角情報の変形例2>
上記の実施形態では、変形検出センサ21及び回転検出センサ22の検出結果に基づいて、接触角αを算出し、当該接触角αに基づいて予圧を取得する。しかしながら、予圧Fは、実際の検出結果に基づく接触角αではなく(すなわち、式(2)により算出された接触角αではなく)、設計上の接触角αをそのまま式(1)に代入することで、取得されてもよい。設計上の接触角αとは、外側軌道11b、内側軌道16e及び内側軌道17e等の軸受装置10の形状により決まる接触角である。
本発明に係る接触角取得工程では、接触角αに関する接触角情報を取得する。上記の実施形態の場合、式(2)により算出される接触角αが、接触角情報である。また、第5変形例の場合、回転数fr及び通過数pが、接触角情報である。また、第6変形例の場合、設計上の接触角αが、接触角情報である。
<その他>
接触角αの取得は、複列の転動体13のうち一方の列の転動体13のみ(例えば、一方側軌道の転動体13のみ)に対して行ってもよい。一方の列の転動体13の接触角と、他方の列の転動体13の接触角との間には相関があるため、取得した一方の列の転動体13の接触角から他方の列の転動体13の接触角を求めてもよい。
回転検出センサ22は、内軸12の回転数を直接的に検出するものに限らず、間接的に検出するものであってもよい。例えば、回転検出センサ22は、内軸12を回転させるモータの回転数を検出するものであってもよい。
変形検出センサ21は、ひずみゲージ21A又は変位センサ21Bに限らず、外輪11(軌道輪)の変形を検出できるものであれば、特に限定されない。
上記の実施形態では、軸受装置10として車輪用の軸受装置を例に挙げて説明しているが、本発明は車輪用以外のアンギュラ玉軸受にも適用することができる。アンギュラ玉軸受は、内軸が固定され、外輪が回転するものであってもよい。この場合、変形検出センサ21は、内軸に対して設けることができる。
上記の実施形態及び変形例では、変形検出センサ21と荷重検出センサ23とが、周方向に同じ位置に設置されている。しかしながら、変形検出センサ21と荷重検出センサ23とは周方向に異なる位置に設置されていてもよい。
上記の実施形態において、判定工程S4は、処理装置20により基準値(Rf1、Rf2)と予圧Fとを比較することで、予圧Fが適正な値であるか否かを判定する。しかしながら、判定工程S4は、処理装置20ではなく、軸受装置10の製造を行う作業員により行われてもよい。この場合、例えば処理装置20は、図示省略する表示部(例えば、ディスプレイ)に、記憶部20bに記憶されている基準値と、計測工程S3により算出された予圧Fとを表示する。そして、作業員は、表示されている基準値と予圧Fとを確認し、予圧Fが適正な値であるか否かを判定する。また、第2判定工程S5も、判定工程S4と同様に、作業員により行われてもよい。
今回開示した実施形態及び変形例はすべての点で例示であって制限的なものではない。本発明の技術的範囲は、上記の実施形態及び変形例に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された構成と均等の範囲内でのすべての変更が含まれる。
10:軸受装置、11:外輪、11a:外周面、11b:外側軌道、
11c:フランジ、110:凹部、111:治具、12:内軸、13:転動体、
14:保持器、16:軸部材、16a:本体部、16b:フランジ部、
16c:小径部、16d:端部、16e:内側軌道、17:内輪部材、
17e:内側軌道、18、19:シール部材、20:処理装置、
20a:制御部、20b:記憶部、21:変形検出センサ、21A:ひずみゲージ、
21B:変位センサ、22:回転検出センサ、22a:反射板、23:荷重検出センサ、
30:製造装置、31:回転機構、31a:回転体、32:かしめ機構、32a:パンチ、
32b:固定スピンドル、32c:孔、32d:軸受部、33:拘束機構、C1:軸心、
L1、L2:直線、Fi:接触荷重(i=1〜8)、Rf1:第1基準値、
Rf2:第2基準値、R:範囲、α:接触角

Claims (8)

  1. 外輪と、内軸と、前記外輪と前記内軸との間に配置され、前記外輪及び前記内軸にそれぞれ形成されている軌道に所定の接触角で接触している複数の転動体と、を備える軸受装置の前記接触角に関する接触角情報を取得する接触角取得工程と、
    前記転動体と前記軌道との間の前記接触角の方向の荷重を取得する荷重取得工程と、
    前記接触角取得工程により取得した前記接触角情報と、前記荷重取得工程により取得した前記荷重とに基づいて、前記軸受装置の予圧を取得する予圧取得工程と、
    を備える、軸受装置の予圧計測方法。
  2. 前記荷重取得工程は、
    前記外輪の外周側から前記外輪を介して前記転動体と前記軌道との接触点を含む接触領域へ超音波を付与し、前記接触領域から反射された超音波を検出する第1工程と、
    前記反射された超音波の強度に基づいて、前記荷重を取得する第2工程と、
    を有する、
    請求項1に記載の軸受装置の予圧計測方法。
  3. 前記第1工程は、
    前記転動体の中心と前記接触点とを結ぶ仮想直線に対して垂直な平面を有する治具を前記外輪の外周面に沿って設ける工程と、
    前記平面に設置されている送波器から前記接触領域へ超音波を付与し、前記平面に設置されている受波器にて前記接触領域から反射された超音波を検出する工程と、
    を有する、
    請求項2に記載の軸受装置の予圧計測方法。
  4. 前記荷重取得工程は、複数の前記転動体それぞれについての前記荷重を検出し、
    前記予圧取得工程は、次の式(1)により前記予圧を取得する、
    請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の軸受装置の予圧計測方法。
    F=Σ(Fi×sinα) ・・・(1)
    ただし、
    Σ :i=1〜Nの積算
    N :前記転動体の個数
    F :前記予圧
    Fi:前記荷重(i=1〜N)
    α :前記接触角
  5. 前記荷重取得工程は、任意の1個の前記転動体についての前記荷重を検出し、
    前記予圧取得工程は、次の式(2)により前記予圧を取得する、
    請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の軸受装置の予圧計測方法。
    F=N×F1×sinα ・・・(2)
    ただし、
    N :前記転動体の個数
    F :前記予圧
    F1:前記荷重
    α :前記接触角
  6. 前記外輪及び前記内軸の一方は回転輪であり、前記外輪及び前記内軸の他方は固定輪であり、
    前記接触角取得工程は、
    前記回転輪の回転数を検出する回転検出工程と、
    前記転動体の公転に伴う前記固定輪の変形を外部から検出する変形検出工程と、
    前記回転検出工程の検出結果と、前記変形検出工程の検出結果と、前記転動体に関する諸元データと、を用いて、前記接触角を求める演算工程と、
    を有する、
    請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の軸受装置の予圧計測方法。
  7. 外輪と、内軸と、前記外輪と前記内軸との間に配置され、前記外輪及び前記内軸にそれぞれ形成されている軌道に所定の接触角で接触している複数の転動体と、を備える軸受装置の製造方法であって、
    前記内軸は、
    軸方向一方側に第1の内輪軌道を有し、軸方向他方側に小径部を有する軸部材と、
    前記小径部の径方向外方に嵌合すると共に、外周面に第2の内側軌道が形成されている内輪部材と、を有し、
    前記外輪及び複数の前記転動体が組み付けられた状態の前記内軸を準備する準備工程と、
    前記小径部の径方向外方に嵌合されている前記内輪部材を軸方向一方側に押し付けている状態で、前記軸部材の軸方向他方側の端部を径方向外方へ塑性変形させるかしめ工程と、
    前記かしめ工程の後、又は前記かしめ工程と同時に、請求項1から請求項6のいずれか1項に記載の軸受装置の予圧計測方法を行う計測工程と、
    を備える、軸受装置の製造方法。
  8. 前記計測工程の後、前記計測工程により取得された前記予圧と、基準値とを比較し、前記予圧が適正な値であるか否かを判定する判定工程と、をさらに備え、
    前記かしめ工程は、前記判定工程により前記予圧が適正な値ではないと判定された後に再び実行される、
    請求項7に記載の軸受装置の製造方法。
JP2020082049A 2020-05-07 2020-05-07 軸受装置の予圧計測方法及び軸受装置の製造方法 Pending JP2021177133A (ja)

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* Cited by examiner, † Cited by third party
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CN114166508A (zh) * 2021-12-09 2022-03-11 中国铁建重工集团股份有限公司 一种实时获取多排滚子转盘轴承载荷分布状态的方法

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