JP2002327257A - プレス成形性に優れた溶融アルミめっき鋼板とその製造方法 - Google Patents
プレス成形性に優れた溶融アルミめっき鋼板とその製造方法Info
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- JP2002327257A JP2002327257A JP2001130111A JP2001130111A JP2002327257A JP 2002327257 A JP2002327257 A JP 2002327257A JP 2001130111 A JP2001130111 A JP 2001130111A JP 2001130111 A JP2001130111 A JP 2001130111A JP 2002327257 A JP2002327257 A JP 2002327257A
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Abstract
(57)【要約】 （修正有）
【課題】 自動車の燃料タンクを代表とする厳しいプレ
ス加工に用いられる溶融アルミめっき鋼板とその製造方
法を提供する。 【解決手段】 めっき表面からの深さの平均がめっき厚
みの５０％以下、長径の平均が５μｍ以上２００μｍ以
下、短径の平均が長径の平均の１０％以上、１平方メー
トル当たりの個数が５．５×１０6 個以上、２．５×１
０8 個以下である凹みを有し、めっき層組成が質量比で
Ｓｉ：２〜１３％，残部がＡｌおよび不可避的不純物か
らなることを特徴とするプレス成形性に優れた溶融アル
ミめっき鋼板と、Ｍｎ，Ｓｉ，Ｐ，Ｔｉ，Ｎｂ等を含み
残部Ｆｅからなる鋼板と、溶融アルミめっきを行った
後、表面にめっき表面形状と同等の凸部を有するロール
を用いたスキンパス圧延にて上記に示す凹みを転写する
ことを特徴とする、プレス成形性に優れた溶融アルミめ
っき鋼板の製造方法。
ス加工に用いられる溶融アルミめっき鋼板とその製造方
法を提供する。 【解決手段】 めっき表面からの深さの平均がめっき厚
みの５０％以下、長径の平均が５μｍ以上２００μｍ以
下、短径の平均が長径の平均の１０％以上、１平方メー
トル当たりの個数が５．５×１０6 個以上、２．５×１
０8 個以下である凹みを有し、めっき層組成が質量比で
Ｓｉ：２〜１３％，残部がＡｌおよび不可避的不純物か
らなることを特徴とするプレス成形性に優れた溶融アル
ミめっき鋼板と、Ｍｎ，Ｓｉ，Ｐ，Ｔｉ，Ｎｂ等を含み
残部Ｆｅからなる鋼板と、溶融アルミめっきを行った
後、表面にめっき表面形状と同等の凸部を有するロール
を用いたスキンパス圧延にて上記に示す凹みを転写する
ことを特徴とする、プレス成形性に優れた溶融アルミめ
っき鋼板の製造方法。
Description
【０００１】
【発明の属する技術分野】本発明は、プレス成形性に優
れた溶融アルミめっき鋼板に関する。
れた溶融アルミめっき鋼板に関する。
【０００２】
【従来の技術】自動車の燃料タンクは、車体のデザイン
に合わせて最後に設計されることが通常で、その形状は
近年益々複雑になる傾向にある。また燃料タンクは自動
車の重要保安部品であるため、その使用材料には優れた
深絞り特性は勿論のこと、成型後の衝撃による耐割れ性
が良いことも要求される。これに加えて、フィルター目
詰まりに繋がるような腐食物の生成が少なく、耐孔あき
腐食性の良好な材料で製造されることが重要である。こ
れら様々な特性を有する燃料タンク用材料として、従来
よりターンシートと称されるＰｂ−Ｓｎ合金めっき鋼板
（特公昭５７−６１８３３号公報）が主に使用されてき
た。しかし、近年環境への負荷軽減からＰｂを使用しな
い材料の要求が強まっている。その要求に対して、特開
平１０−４６３５８号公報や特開平１０−６７２３５号
公報に示すような燃料タンク用アルミ（Ａｌ−Ｓｉ）め
っき鋼板及びアルミめっき製燃料タンク容器が開示され
ている。
に合わせて最後に設計されることが通常で、その形状は
近年益々複雑になる傾向にある。また燃料タンクは自動
車の重要保安部品であるため、その使用材料には優れた
深絞り特性は勿論のこと、成型後の衝撃による耐割れ性
が良いことも要求される。これに加えて、フィルター目
詰まりに繋がるような腐食物の生成が少なく、耐孔あき
腐食性の良好な材料で製造されることが重要である。こ
れら様々な特性を有する燃料タンク用材料として、従来
よりターンシートと称されるＰｂ−Ｓｎ合金めっき鋼板
（特公昭５７−６１８３３号公報）が主に使用されてき
た。しかし、近年環境への負荷軽減からＰｂを使用しな
い材料の要求が強まっている。その要求に対して、特開
平１０−４６３５８号公報や特開平１０−６７２３５号
公報に示すような燃料タンク用アルミ（Ａｌ−Ｓｉ）め
っき鋼板及びアルミめっき製燃料タンク容器が開示され
ている。
【０００３】アルミめっき鋼板はその表面に安定な酸化
皮膜が形成されるため、ガソリンを始めとして、アルコ
ールやガソリン等が劣化したときに生じる有機酸に対し
ても耐食性に優れることがこれまでの実験から確認され
ている。しかしながら、アルミめっき鋼板を燃料タンク
材料として使用する際の課題としては、プレス成形時に
めっき層が損傷を受けて耐食性が劣化することにある。
そのため、プレス成形性の高い溶融亜鉛めっき鋼板への
要求が高まっていた。
皮膜が形成されるため、ガソリンを始めとして、アルコ
ールやガソリン等が劣化したときに生じる有機酸に対し
ても耐食性に優れることがこれまでの実験から確認され
ている。しかしながら、アルミめっき鋼板を燃料タンク
材料として使用する際の課題としては、プレス成形時に
めっき層が損傷を受けて耐食性が劣化することにある。
そのため、プレス成形性の高い溶融亜鉛めっき鋼板への
要求が高まっていた。
【０００４】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、めっき層表
面の形状を制御することとめっき原板の深絞り性の良好
な鋼板を用いることにより、溶融アルミめっき鋼板の成
形性を向上することを目的とする。
面の形状を制御することとめっき原板の深絞り性の良好
な鋼板を用いることにより、溶融アルミめっき鋼板の成
形性を向上することを目的とする。
【０００５】
【課題を解決するための手段】本発明者は、溶融アルミ
めっき鋼板のプレス成形性について検討を行った結果、
鋼板の深絞り性も重要であるが、摺動性をめっき層の表
面形状により制御できることを見出した。すなわち、め
っき層表面に小さい凹みを多数つけることにより、その
凹みに潤滑油が溜まるために摺動性が向上することを見
出した。しかし、そのような凹みは、耐食性を低下させ
る可能性があり、形状と個数に摺動性と耐食性を両立す
る最適値が存在することを明らかにした。
めっき鋼板のプレス成形性について検討を行った結果、
鋼板の深絞り性も重要であるが、摺動性をめっき層の表
面形状により制御できることを見出した。すなわち、め
っき層表面に小さい凹みを多数つけることにより、その
凹みに潤滑油が溜まるために摺動性が向上することを見
出した。しかし、そのような凹みは、耐食性を低下させ
る可能性があり、形状と個数に摺動性と耐食性を両立す
る最適値が存在することを明らかにした。
【０００６】その、本発明の要旨とするところは、めっ
き表面からの深さの平均がめっき厚みの５０％以下、長
径の平均が５μｍ以上２００μｍ以下、短径の平均が長
径の平均の１０％以上、１平方メートル当たりの個数が
５．５×１０6 個以上、２．５×１０8 個以下である凹
みを有し、めっき層組成が質量比で、Ｓｉ：２〜１３
％、残部がＡｌの含有量が５０％以上のＡｌ系の化学成
分であることを特徴とするプレス成形性に優れた溶融ア
ルミめっき鋼板と、上記のめっき層を有し、化学成分が
質量割合で、Ｃ：０．００５％以下、Ｎ：０．０１％以
下、Ｍｎ：０．５％以下、Ｓｉ：０．３％以下、Ｐ：
０．１％以下、Ａｌ：０．００５％以上、０．２％以
下、必要に応じてＢ：０．０００２％以上、０．００５
％以下、Ｔｉ，Ｎｂの一方あるいは双方をＣ／１２＋Ｎ
／１４＋Ｓ／３２＜１．２（Ｔｉ／４８＋Ｎｂ／９３）
なる条件を満足するように含有し、残部Ｆｅおよび不可
避的不純物からなることを特徴とするプレス成形性に優
れた溶融アルミめっき鋼板と、上記の化学成分の鋼を用
いて溶融アルミめっきを行った後、ロール表面に凸部を
有し、その凸部が表面からの高さの平均がめっき厚みの
５０％以下、長径の平均が５μｍ以上２００μｍ以下、
短径の平均が長径の平均の１０％以上、１平方メートル
当たりの個数が５．５×１０6 個以上、２．５×１０8
個以下であるロールを用いるスキンパス圧延にて、上に
記載しためっき表面形状を転写することを特徴とする、
プレス成形性に優れた溶融アルミめっき鋼板の製造方法
にある。
き表面からの深さの平均がめっき厚みの５０％以下、長
径の平均が５μｍ以上２００μｍ以下、短径の平均が長
径の平均の１０％以上、１平方メートル当たりの個数が
５．５×１０6 個以上、２．５×１０8 個以下である凹
みを有し、めっき層組成が質量比で、Ｓｉ：２〜１３
％、残部がＡｌの含有量が５０％以上のＡｌ系の化学成
分であることを特徴とするプレス成形性に優れた溶融ア
ルミめっき鋼板と、上記のめっき層を有し、化学成分が
質量割合で、Ｃ：０．００５％以下、Ｎ：０．０１％以
下、Ｍｎ：０．５％以下、Ｓｉ：０．３％以下、Ｐ：
０．１％以下、Ａｌ：０．００５％以上、０．２％以
下、必要に応じてＢ：０．０００２％以上、０．００５
％以下、Ｔｉ，Ｎｂの一方あるいは双方をＣ／１２＋Ｎ
／１４＋Ｓ／３２＜１．２（Ｔｉ／４８＋Ｎｂ／９３）
なる条件を満足するように含有し、残部Ｆｅおよび不可
避的不純物からなることを特徴とするプレス成形性に優
れた溶融アルミめっき鋼板と、上記の化学成分の鋼を用
いて溶融アルミめっきを行った後、ロール表面に凸部を
有し、その凸部が表面からの高さの平均がめっき厚みの
５０％以下、長径の平均が５μｍ以上２００μｍ以下、
短径の平均が長径の平均の１０％以上、１平方メートル
当たりの個数が５．５×１０6 個以上、２．５×１０8
個以下であるロールを用いるスキンパス圧延にて、上に
記載しためっき表面形状を転写することを特徴とする、
プレス成形性に優れた溶融アルミめっき鋼板の製造方法
にある。
【０００７】
【発明の実施の形態】本発明のめっき層に関する限定理
由を以下に示す。凹みの深さの平均をめっき層厚みの５
０％以下としたのは、５０％超であると局部的にめっき
層の薄い部分から腐食が生じ、耐食性が劣化するためで
ある。凹みの長径の平均を５μｍ以上、２００μｍ以下
としたのは、５μｍ未満では凹みに保持される防錆油が
少なく摺動性の向上に寄与しないためである。また、２
００μｍ超では防錆油の保持性は十分であるものの、め
っき厚みの薄い部分が多くなり耐食性を低下させる。凹
みの短径の平均を長径の平均の１０％以上としたのは、
１０％未満では防錆油の保持性が低く摺動性が向上しな
いためである。
由を以下に示す。凹みの深さの平均をめっき層厚みの５
０％以下としたのは、５０％超であると局部的にめっき
層の薄い部分から腐食が生じ、耐食性が劣化するためで
ある。凹みの長径の平均を５μｍ以上、２００μｍ以下
としたのは、５μｍ未満では凹みに保持される防錆油が
少なく摺動性の向上に寄与しないためである。また、２
００μｍ超では防錆油の保持性は十分であるものの、め
っき厚みの薄い部分が多くなり耐食性を低下させる。凹
みの短径の平均を長径の平均の１０％以上としたのは、
１０％未満では防錆油の保持性が低く摺動性が向上しな
いためである。
【０００８】凹みの個数を、１平方メートル当たり５．
５×１０6 個以上、２．５×１０8個以下としたのは、
５．５×１０6 個未満では、防錆油の保持性が低く摺動
性が向上しないためである。また、２．５×１０8 個超
ではめっき層の薄い部分が多くなり耐食性が劣化する。
めっき層中のＳｉ添加量を２％以上、１３％以下とした
のは、添加量が２％未満であると、硬質で脆いＡｌ−Ｓ
ｉ−Ｆｅ合金層が厚く成長してしまい、加工性を確保で
きないばかりか、耐食性も低下するからである。また、
１３％超添加すると、合金層を薄くする効果が飽和する
ばかりか、Ｓｉは電気化学的にカソードになりやすいた
めに耐食性が劣化するためである。また、他の成分とし
ては耐食性を向上させる観点からＭｇを添加してもよ
い。その際の添加量は、溶融アルミ浴中のドロスの発生
が多くなってしまうために、２０％以下が望ましい。ま
た、めっき層厚さは特に規定しないが、下限は耐食性の
観点から、上限はめっき性の観点から、８μｍ以上、２
５μｍ以下が望ましい。
５×１０6 個以上、２．５×１０8個以下としたのは、
５．５×１０6 個未満では、防錆油の保持性が低く摺動
性が向上しないためである。また、２．５×１０8 個超
ではめっき層の薄い部分が多くなり耐食性が劣化する。
めっき層中のＳｉ添加量を２％以上、１３％以下とした
のは、添加量が２％未満であると、硬質で脆いＡｌ−Ｓ
ｉ−Ｆｅ合金層が厚く成長してしまい、加工性を確保で
きないばかりか、耐食性も低下するからである。また、
１３％超添加すると、合金層を薄くする効果が飽和する
ばかりか、Ｓｉは電気化学的にカソードになりやすいた
めに耐食性が劣化するためである。また、他の成分とし
ては耐食性を向上させる観点からＭｇを添加してもよ
い。その際の添加量は、溶融アルミ浴中のドロスの発生
が多くなってしまうために、２０％以下が望ましい。ま
た、めっき層厚さは特に規定しないが、下限は耐食性の
観点から、上限はめっき性の観点から、８μｍ以上、２
５μｍ以下が望ましい。
【０００９】次に、本発明の鋼成分に関する限定理由を
以下に示す。ＴｉおよびＮｂのいずれか一方または双方
を１．２（Ｔｉ／４８＋Ｎｂ／９３）＞Ｃ／１２＋Ｎ／
１４＋Ｓ／３２なる関係を満足するのが望ましいのは、
鋼中のＣおよびＮを析出物の形で固定し、固溶のＣ、Ｎ
を冷延時にほとんど存在させずにスムースな結晶回転を
可能にすることにより、その後の再結晶焼鈍で製品の深
絞り性を良好ならしめるに有利な方位である（１１１）
＜１１２＞、（５５４）＜２２５＞などの集積度の高い
集合組織を有する鋼板を得るためである。
以下に示す。ＴｉおよびＮｂのいずれか一方または双方
を１．２（Ｔｉ／４８＋Ｎｂ／９３）＞Ｃ／１２＋Ｎ／
１４＋Ｓ／３２なる関係を満足するのが望ましいのは、
鋼中のＣおよびＮを析出物の形で固定し、固溶のＣ、Ｎ
を冷延時にほとんど存在させずにスムースな結晶回転を
可能にすることにより、その後の再結晶焼鈍で製品の深
絞り性を良好ならしめるに有利な方位である（１１１）
＜１１２＞、（５５４）＜２２５＞などの集積度の高い
集合組織を有する鋼板を得るためである。
【００１０】Ｃ：０．００５％以下、Ｎを０．０１％以
下としたのはこれらの量を超えて、Ｃを添加すると製品
の加工性を損なうのみならず、Ｃ／１２＋Ｎ／１４＋Ｓ
／３２＜１．２（Ｔｉ／４８＋Ｎｂ／９３）なる条件式
を満たすに必要なＴｉあるいはＮｂの量が多くなり、不
必要に製造コストが高くなるためである。なお、他の成
分としては強度向上のために含まれる成分、すなわち、
Ｓｉ、Ｍｎ、Ｐの上限をＳｉ：０．３％以下、Ｍｎ：
０．５％以下、Ｐ：０．１％以下としたのは、これ以上
の添加は加工性を劣化する傾向があるためである。
下としたのはこれらの量を超えて、Ｃを添加すると製品
の加工性を損なうのみならず、Ｃ／１２＋Ｎ／１４＋Ｓ
／３２＜１．２（Ｔｉ／４８＋Ｎｂ／９３）なる条件式
を満たすに必要なＴｉあるいはＮｂの量が多くなり、不
必要に製造コストが高くなるためである。なお、他の成
分としては強度向上のために含まれる成分、すなわち、
Ｓｉ、Ｍｎ、Ｐの上限をＳｉ：０．３％以下、Ｍｎ：
０．５％以下、Ｐ：０．１％以下としたのは、これ以上
の添加は加工性を劣化する傾向があるためである。
【００１１】また、Ｂの添加は２次加工性を高めるの
で、必要に応じ０．０００２％以上のＢを添加すること
は効果的であるが、０．００５０％以上になると加工性
の劣化が著しくなるので添加する場合は、上限は０．０
０５０％とするのが望ましい。Ａｌは溶鋼での確実な脱
酸を可能とするために少なくとも０．００５％の添加が
必要であるが、過度の添加は加工性を劣化するので上限
を０．２％とした。また、特に制限していないが、不可
避的不純物としてＣｕ，Ｎｉ，Ｃｒ，Ｍｏ，Ｖなどが含
まれるが、その上限としては、それぞれ０．５％以下が
望ましい。
で、必要に応じ０．０００２％以上のＢを添加すること
は効果的であるが、０．００５０％以上になると加工性
の劣化が著しくなるので添加する場合は、上限は０．０
０５０％とするのが望ましい。Ａｌは溶鋼での確実な脱
酸を可能とするために少なくとも０．００５％の添加が
必要であるが、過度の添加は加工性を劣化するので上限
を０．２％とした。また、特に制限していないが、不可
避的不純物としてＣｕ，Ｎｉ，Ｃｒ，Ｍｏ，Ｖなどが含
まれるが、その上限としては、それぞれ０．５％以下が
望ましい。
【００１２】次に、本発明の製造方法に関しては、上記
に示す化学成分の鋼を用いて上記に示すめっき層の表面
形状を持つ溶融アルミめっき鋼板をいかなる方法で製造
しても、摺動性と耐食性を両立しているが、コストや品
質の点から、表面にめっき表面形状と同等の凸部を有す
るロールを用いたスキンパス圧延により、発明のめっき
表面形状を転写する方法が一番優れている。
に示す化学成分の鋼を用いて上記に示すめっき層の表面
形状を持つ溶融アルミめっき鋼板をいかなる方法で製造
しても、摺動性と耐食性を両立しているが、コストや品
質の点から、表面にめっき表面形状と同等の凸部を有す
るロールを用いたスキンパス圧延により、発明のめっき
表面形状を転写する方法が一番優れている。
【００１３】
【実施例】表１に示した化学成分の連続鋳造スラブを１
２００℃で加熱し、約９００℃で仕上げ圧延した４ｍｍ
厚の熱延板を８２．５％冷延した。その後、これらの鋼
板に対して、溶融めっき法で、アルミめっき鋼板を製造
した。その後、表面に凹凸を施したロールにてスキンパ
ス圧延を圧下率０．８％で行い、ＣｒＯ3 −ＳｉＯ 2 系
無機クロメートや更にリン酸まで含んだ無機クロメー
ト、或いは、有機樹脂とクロム酸が混合した液を塗布、
乾燥させた。いわゆる樹脂クロメート皮膜、クロムを含
まない皮膜等々を施したものを用意した。それらについ
ての検討結果を表２，３，４に示す。
２００℃で加熱し、約９００℃で仕上げ圧延した４ｍｍ
厚の熱延板を８２．５％冷延した。その後、これらの鋼
板に対して、溶融めっき法で、アルミめっき鋼板を製造
した。その後、表面に凹凸を施したロールにてスキンパ
ス圧延を圧下率０．８％で行い、ＣｒＯ3 −ＳｉＯ 2 系
無機クロメートや更にリン酸まで含んだ無機クロメー
ト、或いは、有機樹脂とクロム酸が混合した液を塗布、
乾燥させた。いわゆる樹脂クロメート皮膜、クロムを含
まない皮膜等々を施したものを用意した。それらについ
ての検討結果を表２，３，４に示す。
【００１４】
【表１】
【００１５】
【表２】
【００１６】
【表３】
【００１７】
【表４】
【００１８】凹みの形状は表面顕微鏡観察と断面観察に
より測定を行い、観測数１００以上の平均を求めた。断
面観察の測定例を図１、２、３、４に示す。深絞り性
は、ポンチ径４０ｍｍφ、ポンチ肩Ｒ５ｍｍ、ダイス径
４２．８ｍｍφ、ダイス肩Ｒ５ｍｍの金型を用いて、し
わ押え力１０００ｋｇｆにて限界絞り比（Ｌ．Ｄ．Ｒ）
を求め、２．１以上を良好とした。２次加工性は、前述
の金型により絞り比２．１にて成形したカップを−７０
℃に冷却し、テーパー（角度３７度）付きポンチにカッ
プをのせ、１ｍの高さから５ｋｇの重錘を落下させた。
その際に、脆性割れを生じなかったものを良好とした。
より測定を行い、観測数１００以上の平均を求めた。断
面観察の測定例を図１、２、３、４に示す。深絞り性
は、ポンチ径４０ｍｍφ、ポンチ肩Ｒ５ｍｍ、ダイス径
４２．８ｍｍφ、ダイス肩Ｒ５ｍｍの金型を用いて、し
わ押え力１０００ｋｇｆにて限界絞り比（Ｌ．Ｄ．Ｒ）
を求め、２．１以上を良好とした。２次加工性は、前述
の金型により絞り比２．１にて成形したカップを−７０
℃に冷却し、テーパー（角度３７度）付きポンチにカッ
プをのせ、１ｍの高さから５ｋｇの重錘を落下させた。
その際に、脆性割れを生じなかったものを良好とした。
【００１９】Ｂ添加により加工性の低下については、他
の化学成分は同一である鋼を用いて、同様の工程で製造
した鋼板との全伸びの差により検討し、全伸びの差（Δ
Ｅｌ）が５％以下であるものを良好とした。摺動性につ
いては、ビード引抜き試験により評価した。評価は、同
様の工程で製造し、請求項１に示す凹みがないものを基
準として、引抜き荷重の低下が１０％以上であるものを
良好とした。成形条件は板幅３０ｍｍの試料を用いて、
図５に示す金型により成型した。押さえ力は１０００ｋ
ｇｆで、引抜き速度２００ｍｍ／ｍｉｎとした。耐食性
は寸法７０×１５０ｍｍの試料をメラミン系黒色塗装２
０μｍを行い、１４０℃で２０分焼付けた。その後クロ
スカットを施し、塩水噴霧試験に供し、６０日後の外観
を目視観察した。評価は赤錆発生率５％以下を良好とし
た。
の化学成分は同一である鋼を用いて、同様の工程で製造
した鋼板との全伸びの差により検討し、全伸びの差（Δ
Ｅｌ）が５％以下であるものを良好とした。摺動性につ
いては、ビード引抜き試験により評価した。評価は、同
様の工程で製造し、請求項１に示す凹みがないものを基
準として、引抜き荷重の低下が１０％以上であるものを
良好とした。成形条件は板幅３０ｍｍの試料を用いて、
図５に示す金型により成型した。押さえ力は１０００ｋ
ｇｆで、引抜き速度２００ｍｍ／ｍｉｎとした。耐食性
は寸法７０×１５０ｍｍの試料をメラミン系黒色塗装２
０μｍを行い、１４０℃で２０分焼付けた。その後クロ
スカットを施し、塩水噴霧試験に供し、６０日後の外観
を目視観察した。評価は赤錆発生率５％以下を良好とし
た。
【００２０】Ｎｏ．１〜１２は鋼種の影響を検討したも
のである。めっき層の組成は、質量％で、Ｓｉ：２〜１
３％、Ｍｇ：０〜１５％と残部Ａｌと不可避的不純物と
した。これらの実験については、請求項１、４の範囲を
満たすため、摺動性と耐食性が良好であり、プレス成形
性に優れていた。Ｎｏ．１〜１２は、本発明の範囲を満
たしているため、深絞り性・延性が良好であり、プレス
成形性に優れた溶融アルミめっき鋼板を実現できた。ま
た、Ｎｏ．３、４、５、８、９、１０、１１、１２は本
発明範囲のＢ添加を行っており、２次加工性が優れ、プ
レス成形性に優れた溶融アルミめっき鋼板を実現でき
た。
のである。めっき層の組成は、質量％で、Ｓｉ：２〜１
３％、Ｍｇ：０〜１５％と残部Ａｌと不可避的不純物と
した。これらの実験については、請求項１、４の範囲を
満たすため、摺動性と耐食性が良好であり、プレス成形
性に優れていた。Ｎｏ．１〜１２は、本発明の範囲を満
たしているため、深絞り性・延性が良好であり、プレス
成形性に優れた溶融アルミめっき鋼板を実現できた。ま
た、Ｎｏ．３、４、５、８、９、１０、１１、１２は本
発明範囲のＢ添加を行っており、２次加工性が優れ、プ
レス成形性に優れた溶融アルミめっき鋼板を実現でき
た。
【００２１】Ｎｏ．１３〜３９はめっき層の表面形状の
影響を検討したものである。めっき層の組成は、質量％
でＳｉ：２〜１３％、Ｍｇ：０〜１５％と残部Ａｌと不
可避的不純物とした。Ｎｏ．１３〜１７は凹みの深さの
影響を検討した。Ｎｏ．１６、１７は凹みのめっき厚さ
に対する割合が大きいために耐食性が低下した。Ｎｏ．
１３、１４、１５は本発明の範囲を満たしているため、
プレス成形性に優れた溶融アルミめっき鋼板を実現でき
た。Ｎｏ．１８〜２５は凹みの径の影響を検討したもの
である。Ｎｏ．１８は凹みの長径が小さいため、潤滑油
の保持性が低く、摺動性が向上しなかった。Ｎｏ．２１
は短径の長径に対する比が小さいため、潤滑油の保持性
が低く、摺動性が向上しなかった。Ｎｏ．２５は凹みの
長径が大きいために、耐食性が低下した。
影響を検討したものである。めっき層の組成は、質量％
でＳｉ：２〜１３％、Ｍｇ：０〜１５％と残部Ａｌと不
可避的不純物とした。Ｎｏ．１３〜１７は凹みの深さの
影響を検討した。Ｎｏ．１６、１７は凹みのめっき厚さ
に対する割合が大きいために耐食性が低下した。Ｎｏ．
１３、１４、１５は本発明の範囲を満たしているため、
プレス成形性に優れた溶融アルミめっき鋼板を実現でき
た。Ｎｏ．１８〜２５は凹みの径の影響を検討したもの
である。Ｎｏ．１８は凹みの長径が小さいため、潤滑油
の保持性が低く、摺動性が向上しなかった。Ｎｏ．２１
は短径の長径に対する比が小さいため、潤滑油の保持性
が低く、摺動性が向上しなかった。Ｎｏ．２５は凹みの
長径が大きいために、耐食性が低下した。
【００２２】Ｎｏ．１９、２０、２２、２３、２４は本
発明の範囲を満たしているため、プレス成形性に優れた
溶融アルミめっき鋼板を実現できた。Ｎｏ．２６〜３９
は凹みの個数の影響を検討したものである。Ｎｏ．２
６、３３は凹みの数が少ないために、潤滑油の保持性が
低く、摺動性が向上しなかった。Ｎｏ．３２、３９は凹
みの数が多いために、耐食性が低下した。Ｎｏ．２７〜
３２、３４〜３８は本発明の範囲を満たしているため、
プレス成形性に優れた溶融アルミめっき鋼板を実現でき
た。
発明の範囲を満たしているため、プレス成形性に優れた
溶融アルミめっき鋼板を実現できた。Ｎｏ．２６〜３９
は凹みの個数の影響を検討したものである。Ｎｏ．２
６、３３は凹みの数が少ないために、潤滑油の保持性が
低く、摺動性が向上しなかった。Ｎｏ．３２、３９は凹
みの数が多いために、耐食性が低下した。Ｎｏ．２７〜
３２、３４〜３８は本発明の範囲を満たしているため、
プレス成形性に優れた溶融アルミめっき鋼板を実現でき
た。
【００２３】Ｎｏ．４０〜６４はめっき組成の影響を検
討したものである。めっき層の組成は、ＳｉとＭｇを質
量％で表４に示す濃度と残部Ａｌと不可避的不純物とし
た。Ｎｏ．４０、５２はＳｉ量が少ないために、Ｆｅ−
Ｓｉ−Ａｌ合金相が厚く成長したために耐食性が低下し
た。Ｎｏ．４６、５８はＳｉ量が多いために、耐食性が
低下した。Ｎｏ．４１〜４５、４７〜５１、５４〜５
７、５９〜６４は、本発明の範囲を満たしているため、
プレス成形性に優れた溶融アルミめっき鋼板を実現でき
た。なお、Ｎｏ．４７〜５２、５９〜６４はＭｇを添加
したが、本発明の範囲を満たしているため、プレス成形
性に優れた溶融アルミめっき鋼板を実現できた。
討したものである。めっき層の組成は、ＳｉとＭｇを質
量％で表４に示す濃度と残部Ａｌと不可避的不純物とし
た。Ｎｏ．４０、５２はＳｉ量が少ないために、Ｆｅ−
Ｓｉ−Ａｌ合金相が厚く成長したために耐食性が低下し
た。Ｎｏ．４６、５８はＳｉ量が多いために、耐食性が
低下した。Ｎｏ．４１〜４５、４７〜５１、５４〜５
７、５９〜６４は、本発明の範囲を満たしているため、
プレス成形性に優れた溶融アルミめっき鋼板を実現でき
た。なお、Ｎｏ．４７〜５２、５９〜６４はＭｇを添加
したが、本発明の範囲を満たしているため、プレス成形
性に優れた溶融アルミめっき鋼板を実現できた。
【００２４】
【発明の効果】本発明によれば、自動車などの燃料タン
クに用いられるプレス成形性の優れた溶融アルミめっき
鋼板を低コストで安定的に供給できる。
クに用いられるプレス成形性の優れた溶融アルミめっき
鋼板を低コストで安定的に供給できる。
【図１】本発明の断面観察の一例を示す図である。
【図２】本発明の断面観察の別の一例を示す図である。
【図３】本発明の断面観察の別の一例を示す図である。
【図４】本発明の断面観察の別の一例を示す図である。
【図５】本発明の評価に用いるプレス金型の図である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 伊崎 輝明 福岡県北九州市戸畑区飛幡町１番１号 新 日本製鐵株式会社八幡製鐵所内 Ｆターム(参考） 4K027 AA02 AA05 AA23 AB48 AC87 AE03 AE25
Claims (4)
- 【請求項１】 めっき表面に凹みを有し、その凹みがめ
っき表面からの深さの平均がめっき厚みの５０％以下、
長径の平均が５μｍ以上２００μｍ以下、短径の平均が
長径の平均の１０％以上、１平方メートル当たりの個数
が５．５×１０6 個以上、２．５×１０8 個以下であ
り、めっき層組成が質量比でＳｉ：２〜１３％、残部が
Ａｌの含有量が５０％以上のＡｌ系の化学成分であるめ
っき層を有することを特徴とするプレス成形性に優れた
溶融アルミめっき鋼板。 - 【請求項２】 請求項１のめっき層を有し、鋼板の化学
成分が質量割合で、 Ｃ：０．００５％以下、 Ｎ：０．０１％以下、 Ｍｎ：０．５％以下、 Ｓｉ：０．３％以下、 Ｐ：０．１％以下、 Ａｌ：０．００５％以上、０．２％以下、 Ｔｉ，Ｎｂの一方あるいは双方をＣ／１２＋Ｎ／１４＋
Ｓ／３２＜１．２（Ｔｉ／４８＋Ｎｂ／９３）なる条件
を満足するように含有し、残部Ｆｅおよび不可避的不純
物からなることを特徴とするプレス成形性に優れた溶融
アルミめっき鋼板。 - 【請求項３】 請求項１のめっき層を有し、鋼板の化学
成分が質量割合で、 Ｃ：０．００５％以下、 Ｎ：０．０１％以下、 Ｍｎ：０．５％以下、 Ｓｉ：０．３％以下、 Ｐ：０．１％以下、 Ａｌ：０．００５％以上、０．２％以下、 Ｂ：０．０００２％以上、０．００５％以下、 Ｔｉ，Ｎｂの一方あるいは双方をＣ／１２＋Ｎ／１４＋
Ｓ／３２＜１．２（Ｔｉ／４８＋Ｎｂ／９３）なる条件
を満足するように含有し、残部Ｆｅおよび不可避的不純
物からなることを特徴とするプレス成形性に優れた溶融
アルミめっき鋼板。 - 【請求項４】 請求項２または３の化学成分の鋼を用い
て質量％で、Ｓｉ：２〜１３％、残部がＡｌの含有量が
５０％以上である溶融アルミ系めっきを行った後、ロー
ル表面に凸部を有し、その凸部が表面からの高さの平均
がめっき厚みの５０％以下、長径の平均が５μｍ以上２
００μｍ以下、短径の平均が長径の平均の１０％以上、
１平方メートル当たりの個数が５．５×１０6 個以上、
２．５×１０8 個以下であるロールを用いるスキンパス
圧延にて、圧延することを特徴とする、プレス成形性に
優れた溶融アルミめっき鋼板の製造方法。
Priority Applications (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP2001130111A JP2002327257A (ja) | 2001-04-26 | 2001-04-26 | プレス成形性に優れた溶融アルミめっき鋼板とその製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP2001130111A JP2002327257A (ja) | 2001-04-26 | 2001-04-26 | プレス成形性に優れた溶融アルミめっき鋼板とその製造方法 |
Publications (1)
| Publication Number | Publication Date |
|---|---|
| JP2002327257A true JP2002327257A (ja) | 2002-11-15 |
Family
ID=18978546
Family Applications (1)
| Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
|---|---|---|---|
| JP2001130111A Pending JP2002327257A (ja) | 2001-04-26 | 2001-04-26 | プレス成形性に優れた溶融アルミめっき鋼板とその製造方法 |
Country Status (1)
| Country | Link |
|---|---|
| JP (1) | JP2002327257A (ja) |
Cited By (7)
| Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
|---|---|---|---|---|
| WO2007083580A1 (ja) * | 2006-01-23 | 2007-07-26 | Nippon Steel & Sumikin Stainless Steel Corporation | 塩害環境での耐食性に優れた自動車用燃料タンク用表面処理ステンレス鋼板 |
| JP2007327116A (ja) * | 2006-06-09 | 2007-12-20 | Nisshin Steel Co Ltd | 燃料タンク用高強度溶融アルミニウムめっき鋼板 |
| JP2008540827A (ja) * | 2005-05-03 | 2008-11-20 | ポスコ | 成形性に優れた高降伏比冷延鋼板とその製造方法。 |
| US8083122B2 (en) | 2003-06-05 | 2011-12-27 | Lg Electronics Inc. | Drum for washer and dryer |
| US8398786B2 (en) | 2005-10-06 | 2013-03-19 | Posco | Precipitation hardening cold rolled steel sheet having excellent yield ratios, and the method for manufacturing the same |
| CN104726813A (zh) * | 2013-12-24 | 2015-06-24 | Posco公司 | 一种加工性优秀的镀锌钢板及其制造方法 |
| CN105506509A (zh) * | 2014-09-26 | 2016-04-20 | 鞍钢股份有限公司 | 一种高强度热浸镀铝钢板及其制造方法 |
-
2001
- 2001-04-26 JP JP2001130111A patent/JP2002327257A/ja active Pending
Cited By (11)
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| CN105506509A (zh) * | 2014-09-26 | 2016-04-20 | 鞍钢股份有限公司 | 一种高强度热浸镀铝钢板及其制造方法 |
| CN105506509B (zh) * | 2014-09-26 | 2017-07-21 | 鞍钢股份有限公司 | 一种高强度热浸镀铝钢板及其制造方法 |
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