JP2002327226A - Co基磁性合金ならびにそれを用いた磁性部品 - Google Patents
Co基磁性合金ならびにそれを用いた磁性部品Info
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Abstract
などのノイズ対策部品、インバータトランス、アクティ
ブフィルタ用チョ−クコイル、アンテナ、平滑チョーク
コイル、レーザ電源、加速器用パルスパワー磁性部品等
に好適な高周波磁気特性に優れたCo基磁性合金および
それを用いた高周波用の高性能磁性部品を実現する。 【解決手段】 一般式:(Co1−aFea)
100−y−cM’yX’c(原子%)で表され、式
中、M’はV,Ti,Zr,Nb,Mo,Hf,Sc,
TaおよびWから選ばれた少なくとも一種の元素、X’
はSiおよびBから選ばれた少なくとも1種の元素を示
し、a,yおよびcはそれぞれa<0.35、1.5≦
y≦15、4≦c≦30を満足する組成であり、組織の
一部または全部が平均粒径50nm以下の結晶粒からな
り、比初透磁率が2000以下であることを特徴とする
Co基磁性合金である。
Description
アクトル、電磁シールド材料などのノイズ対策部品、イ
ンバータトランス、アクティブフィルタ用チョ−クコイ
ル、アンテナ、平滑チョークコイル、可飽和リアクト
ル、レーザ電源、加速器用パルスパワー磁性部品等に用
いられる高周波磁気特性に優れたCo基磁性合金および
それを用いた高性能磁性部品に関する。
ト、アモルファス合金やナノグラニュラー薄膜材料等が
知られている。フェライト材料は飽和磁束密度が低く、
温度特性が悪い問題があり、動作磁束密度が大きくなり
発熱が大きくなる高周波帯のハイパワーの用途には不向
きである。Fe基アモルファス合金は、磁歪が大きく応
力により特性が劣化する問題や、可聴周波数帯の電流が
重畳するような用途では騒音が大きいという問題があ
る。一方、Co基アモルファス合金は、熱的に不安定であ
るため、高周波特性が優れる用途に適する特性の材料を
ハイパワーの用途に使用した場合、経時変化が起こりや
すく高周波磁気特性が劣化する問題がある。
示すため、コモンモ−ドチョ−クコイル、高周波トラン
ス、パルストランス等の磁心に使用されている。代表的
組成系は特公平4-4393号公報(USP48819
89号)や特開平1-242755号公報に記載のFe-
Cu-(Nb,Ti,Zr,Hf,Mo,W,Ta)-Si
-B系合金やFe-Cu-(Nb,Ti,Zr,Hf,M
o,W,Ta)-B系合金等が知られている。これらのF
e基ナノ結晶合金は、通常液相や気相から急冷し非晶質
合金とした後、これを熱処理により微結晶化することに
より作製されている。液相から急冷する方法としては単
ロ−ル法、双ロ−ル法、遠心急冷法、回転液中紡糸法、
アトマイズ法やキャビテーション法等が知られている。
また、気相から急冷する方法としては、スパッタ法、蒸
着法、イオンプレ−ティング法等が知られている。Fe
基ナノ結晶合金はこれらの方法により作製した非晶質合
金を微結晶化したもので、非晶質合金にみられるような
熱的不安定性がほとんどなく、Fe系アモルファス合金
と同程度の高い飽和磁束密度と低磁歪で優れた軟磁気特
性を示すことが知られている。更にナノ結晶合金は経時
変化が小さく、温度特性にも優れていることが知られて
いる。
合金は従来の軟磁性材料に比べてほぼ同一の飽和磁束密
度の材料で比較した場合、従来の軟磁性材料より透磁率
が高く、磁心損失も低く軟磁気特性が優れている。しか
し、トランス等に使用する場合の最適な使用周波数帯域
は、薄帯材料では数10kHz付近であり、より高周波
の用途では必ずしも十分な特性とは言えない。またノイ
ズ対策部品に使用する場合も、特に効果が大きいのは1
MHz以下であり、より高い周波数帯域でも優れた特性
を示す材料が望まれている。また、高電流用のノイズ対
策部品の場合、磁心の飽和や動作が不安定になることを
防ぐ観点から低角形比の磁化曲線を示し、かつより高周
波の領域で優れた特性を示す材料が望まれている。この
ような用途では、低周波領域で比透磁率が数万というよ
うな高い透磁率の材料は、磁心材料が磁気的に飽和して
しまう問題や高周波において十分な特性が得られない問
題がある。また、可飽和リアクトルや加速器などに使用
される磁気スイッチの用途においては、制御性の向上、
圧縮率の向上、効率向上のため、高角形比で低磁心損失
の材料が磁心材料として望まれている。
膜化による渦電流損失の低減や高抵抗グラニュラー薄膜
などが検討されている。しかし、高抵抗グラニュラー薄
膜の場合は磁性材料の体積を増加するのに限界があり、
高エネルギーを扱うパルスパワーや大容量インバータに
使用されている磁気スイッチ、トランス、チョークコイ
ルなどの磁心材料として使用するのは困難である。した
がって、磁心材料として体積を増加することが容易な薄
帯材料やバルク材においても、より高周波における磁気
特性に優れた材料の出現が強く望まれている。しかし、
非晶質合金薄帯を熱処理により結晶化し製造したFe基
ナノ結晶軟磁性合金は、一般的に数100kHz以下の
周波数帯では透磁率が高く、コイル部品用材料として重
要な特性の一つである品質係数Qもそこそこ高い値を示
すが、MHz帯以上では磁界中熱処理などを行って誘導
磁気異方性を付与しても十分高いQが得られないという
問題、直流重畳による材料の飽和や3相電源ライン用の
チョークコイルなどに使用する場合は信号のアンバラン
スによる磁気的な飽和の問題がある。Co基のナノ結晶
合金としては、特開平3−249151号公報(USP
5151137号)に記載の合金が知られているが、こ
こに示されている合金はB化合物が多量に含まれてお
り、磁界中熱処理を行っても高周波において高いQと十
分低い角形比あるいは十分高い角形比の特性が得にくい
という問題がある。
めに本発明者らは、鋭意検討の結果、 一般式:(Co1−aFea)100−y−cM’
yX’c(原子%)で表され、式中、M’はV,Ti,
Zr,Nb,Mo,Hf,Sc,TaおよびWから選ば
れた少なくとも一種の元素、X’はSiおよびBから選
ばれた少なくとも1種の元素を示し、a,yおよびcは
それぞれa<0.35、1.5≦y≦15、4≦c≦3
0を満足する組成であり、組織の一部または全部が平均
粒径50nm以下の結晶粒からなり、比初透磁率が20
00以下であるCo基磁性合金がMHz帯域で優れた高周
波磁気特性を示すことを見出し本発明に想到した。
法等の超急冷法により急冷し、一旦アモルファス合金を
作製後、これを加工し結晶化温度以上に昇温して熱処理
を行い平均粒径50nm以下の微結晶を形成することに
より作製する。熱処理前のアモルファス合金は結晶相を
含まない方が望ましいが一部に結晶相を含んでも良い。
熱処理は通常はアルゴンガス、窒素ガス、ヘリウム等の
不活性ガス中で行なう。熱処理期間の少なくとも一部の
期間合金が飽和するのに十分な強さの磁界を印加して磁
界中熱処理を行い、誘導磁気異方性を付与する。合金磁
心の形状にも依存するが一般には薄帯の幅方向(巻磁心
の場合は磁心の高さ方向)に印加する場合は8kA/m
以上の磁界を印加する。磁路方向に磁界を印加して熱処
理する場合は約8A/m以上の磁界を印加する。印加す
る磁界は、直流、交流、繰り返しのパルス磁界のいずれ
を用いても良い。磁界は300℃以上の温度領域で通常
は20分以上印加し、昇温中、一定温度に保持中および
冷却中も印加した方が高周波のQあるいは角形比が向上
しより好ましい結果が得られる。これに対して、無磁界
で熱処理し、磁界中熱処理を適用しない場合は、高周波
磁気特性が劣化する。熱処理は通常露点が−30℃以下
の不活性ガス雰囲気中で行なうことが望ましく、露点が
−60℃以下の不活性ガス雰囲気中で熱処理を行なう
と、ばらつきが小さくより好ましい結果が得られる。熱
処理の際の最高到達温度は結晶化温度以上であり、通常
450℃から700℃の範囲である。一定温度に保持す
る熱処理パターンの場合は、一定温度での保持時間は通
常は量産性の観点から24時間以下であり、好ましくは
4時間以下である。熱処理の際の平均昇温速度は好まし
くは0.1℃/minから200℃/min、より好ま
しくは0.1℃/minから100℃/min、平均冷
却速度は好ましくは0.1℃/minから3000℃/m
in、より好ましくは0.1℃/minから100℃/m
inであり、この範囲で特に高周波磁気特性に優れた合
金が得られる。熱処理は1段ではなく多段の熱処理や複
数回の熱処理を行なうこともできる。更には合金に直
流、交流あるいはパルス電流を流して合金を発熱させ熱
処理することもできる。
発明合金は、比初透磁率が2000以下の特性を容易に
得ることができ、しかも1MHzにおけるQが4以上で
角形比Br・B8000 -1が20%以下の特性、あるいは
角形比Br・B8000 -1が85%以上の特性を容易に実
現することができる。ここで、B8000は8000 Am−1の
磁界を印加した場合の磁束密度、B800は800 Am-1の
磁界を印加した際の磁束密度である。特に比初透磁率が
1000以下の場合、Qは特に高くなり好ましい結果が
得られる。
ある必要があり、aが0.35以上では十分な誘導磁気
異方性が付与できず、使用時に磁化する方向とほぼ垂直
な方向に合金が飽和する十分な磁界を印加しながら熱処
理を行なうと、1MHzにおけるQの著しい低下を招き
好ましくない。また、使用時に磁化する方向とほぼ同じ
方向に合金が飽和する十分な磁界を印加しながら熱処理
を行った場合は、aが0.35以上では角形比が低下し
やすくなり好ましくない。特に好ましい範囲はa<0.
2である。この範囲で磁歪が小さく高いQあるいは、高
い角形比が得られ、かつ応力による特性劣化も小さくな
り、より好ましい結果が得られる。M’およびX’はア
モルファス形成を促進する元素である。M’はV,T
i,Zr,Nb,Mo,Hf,Sc,TaおよびWから
選ばれた少なくとも一種の元素であり、M’量yは1.
5≦y≦15、X’量cは4≦c≦30の範囲である。
yが1.5原子%未満では熱処理後に微細な結晶粒組織
が得られず、高いQが得られず好ましくない。yが15
原子%を超えると温度特性が悪くなり好ましくない。
X’はSiおよびBから選ばれた少なくとも1種の元素
である。X’量cが4原子%未満では熱処理後の結晶粒
が微細化されにくく好ましくなく、cが30原子%を越
えると飽和磁束密度の低下を招くため好ましくない。特
にB含有量が4原子%以上15原子%以下の場合は誘導
磁気異方性が大きくなり高いQあるいは高角形比の優れ
た特性が得られる。平均粒径50nm以下の結晶粒の残
部は主としてアモルファス相である。結晶粒の割合が多
い方が、誘導磁気異方性が大きくなり、より高周波のQ
が向上するが、一部にアモルファス相が存在した方が高
い抵抗率を実現でき、結晶粒が微細になり軟磁気特性も
改善されるため好ましい結果が得られる。
O、Al2O3等の粉末あるいは膜で合金薄帯表面を覆
う、化成処理により表面を処理する、アノード酸化処理
により表面に酸化物層を形成し層間絶縁が行なう等の処
理を行なうとより好ましい結果が得られる。これは特に
層間を渡る高周波における渦電流の影響を低減し、高周
波におけるQや磁心損失等の特性を改善する効果があ
る。この効果は表面状態が良好でかつ広幅の薄帯から構
成された磁心に使用した場合に著しい。更に、本発明合
金から磁心を作製する際に必要に応じて含浸やコーティ
ング等を行なうこともできる。本発明合金は高周波の用
途に最も性能を発揮できるが、センサーや低周波の磁性
部品の用途にも使用可能である。特に、磁気飽和しやす
い用途の場合に優れた特性を発揮できる。
磁界を印加しながら熱処理した本発明合金は、薄帯にお
いても高周波において従来の薄帯材料よりも高いQが得
られるが、薄膜や粉末でも同様に優れた特性を得ること
ができる。Qは品質係数と呼ばれるもので、透磁率の実
数部μ′と透磁率の虚数部μ″の比で表される。高周波
における磁心材料としての性能を表す特性の一つであ
り、Qが高い程コイル部品にした場合、損失が少なくな
り特性が優れる。
直流B−Hループはフラットな傾斜した形状となり、そ
の異方性磁界HKは通常950Am−1以上である。本
合金は大きな磁界が加わっても材料が磁気的に飽和し難
くなり、ハイパワーの用途に適する。比初透磁率は約2
000以下であり、比透磁率は従来のナノ結晶合金薄帯
よりも同一板厚で比較すると高い周波数帯まで低下が少
なくフラットな特性を示す。
子%以下をCu、Auから選ばれた少なくとも一種の元
素で置換しても良い。Cu、Auを置換することにより
結晶粒がより微細化され高周波磁気特性がより向上す
る。特に好ましい置換量は0.1≦x≦3(原子%)で
あり、この範囲で製造が容易でQが高く特に優れた高周
波磁気特性が可能となる。本発明合金においてCoの一
部をNiで置換しても良い。Niを置換することにより、
耐食性の改善や誘導磁気異方性を調整することができ
る。
Cr,Mn,Sn,Zn,In,Ag,白金属元素,M
g,Ca,Sr,Y,希土類元素,N,OおよびSから
選ばれた少なくとも一種の元素で置換しても良い。M’
の一部をCr,Mn,Sn,Zn,In,白金属元素,
Mg,Ca,Sr,Y,希土類元素,N,OおよびSか
ら選ばれた少なくとも一種の元素で置換することによ
り、耐食性を改善する、抵抗率を高める、磁気特性を調
整する等の効果が得られる。特に、PdやPt等の白金属元
素は誘導磁気異方性を大きくすることができ、より高い
周波数帯のQ等の特性を向上することができる。また、
X’の一部をC,Ge,Ga,AlおよびPから選ばれ
た少なくとも一種の元素で置換しても良い。X’の一部
をC,Ge,Ga,AlおよびPから選ばれた少なくと
も一種の元素で置換することにより、磁歪を調整する、
結晶粒を微細化する等の効果がある。
下の結晶粒が形成している。前記結晶粒は組織の30%
以上の割合であることが望ましく、より好ましくは50
%以上、特に好ましくは60%以上である。特に望ましい
平均結晶粒径は2nmから30nmであり、この範囲で
1MHz以上の高周波において特に高いQが得られる。
前述の本発明合金中に形成する結晶粒は主にCoを主体
とする結晶相であり、Si,B,Al,GeやZr等を
固溶しても良い。また、規則格子を含んでも良い。前記
結晶相以外の残部は主にアモルファス相であるが、実質
的に結晶相だけからなる合金も本発明に含まれる。Cu
やAuを含む合金の場合は、一部にCuやAuを含む面心
立方構造の相(fcc相)も存在する場合がある。ま
た、アモルファス相が結晶粒の周囲に存在する場合、抵
抗率が高くなり、結晶粒成長の抑制により、結晶粒が微
細化されており軟磁気特性が改善されるためより好まし
い結果が得られる。本発明合金において化合物相が存在
しない場合により優れた高周波磁気特性を示す。
nm以下の結晶粒の少なくとも一部または全部が体心立
方構造(bcc)の結晶粒である場合に誘導磁気異方性
が大きくなり特に優れた高周波磁気特性を示す。本発明
合金において、平均粒径50nm以下の結晶粒の少なく
とも一部または全部が面心立方構造(fcc)の結晶粒
であっても良く、優れた軟磁気特性と低磁歪特性が得ら
れる。本発明合金において、平均粒径50nm以下の結
晶粒の少なくとも一部または全部が六方晶(hcp)の
結晶粒が含まれても良い。
から構成されていることを特徴とする磁性部品である。
前記本発明合金により巻磁心あるいは積層磁心を構成し
導線を巻きチョークコイルを構成することにより、高周
波において高いQを示す低損失の高性能トランス、チョ
ークコイルやインダクタの実現が可能である。また、前
記本発明合金から構成されたシートは高周波磁気特性に
優れるため、ノイズ対策用部品に好適である。また、同
調式高周波加速空胴用コアとして使用した場合に高いQ
を示すため優れた特性を発揮できる。また、高角形比の
前記Co基磁性合金から構成された磁性部品は磁気スイ
ッチコアなどに優れた特性を実現できる。
説明するが本発明はこれらに限定されるものではない。 (実施例1)(Co0.81Fe0.19)bal.Cu1
Nb3Si15.5B6.5(原子%)の合金溶湯を単
ロ−ル法により急冷し、幅5mm厚さ18μmのアモル
ファス合金薄帯を得た。このアモルファス合金薄帯を外
径19mm、内径15mmに巻回し、トロイダル磁心を
作製した。作製した磁心を窒素ガス雰囲気の熱処理炉に
挿入し、図1に示す熱処理パタ−ンで熱処理を行った。
熱処理の際、合金磁心の磁路と垂直方向(合金薄帯の幅
方向)、すなわち磁心の高さ方向に280kAm−1の
磁界を印加した。熱処理後の合金は結晶化しており、電
子顕微鏡観察の結果組織のほとんどが粒径20nm程度
の微細な体心立方構造の結晶粒からなっており結晶粒の
割合は65%程度と見積もられた。結晶相のほとんどは
体心立方構造であった。残部のマトリックスは主にアモ
ルファス相であった。図2にX線回折パターンを示す。
X線回折パターンからは体心立方構造の相を示す結晶ピ
ークが認められ、化合物相のピークは認められなかっ
た。次に、この合金磁心の直流B−Hループ、1MHz
における品質係数Q(=μ′/μ″)を測定した。図3
に直流B−Hループ、表1に得られた結果を示す。比較
のため本発明外のFebal.Cu1Nb3Si15.5B
6.5合金に同様の熱処理を行った後の特性も表1に示
す。本発明合金磁心のB8000は0.97T、1MH
zにおける交流比初透磁率μriacは270、Br/B
8000は1%、1MHzにおけるQは18であり、本
発明外の合金よりも高周波において高いQを示し、かつ
角形比が低く飽和しにくいB−Hループを示しているた
め高周波加速空胴用コアやノイズ対策用コイル部品に適
している。また、本発明合金の100kHz、0.2T
における磁心損失は260kWm−3であり、数100
kHz以下の磁心損失も十分低いため、数100kHz
以下で使用するトランスやチョークコイルにも使用可能
である。一方、従来の合金は本発明合金よりもQが低く
劣っている。
2.6Si9B9(原子%)で表される組成の合金溶湯
を単ロ−ル法により急冷し、幅5mm厚さ18μmのア
モルファス合金薄帯を得た。このアモルファス合金薄帯
を外径19mm、内径15mmに巻回し、トロイダル磁
心を作製した。この合金磁心を実施例1と同様な熱処理
パタ−ンで熱処理し磁気測定を行った。熱処理後の合金
の組織中には粒径50nm以下の極微細な結晶粒が形成
していた。図4に飽和磁束密度Bs、角形比Br/B
8000、1kHzにおける交流比初透磁率μriacのF
e量a依存性、図5に誘導磁気異方性定数KuのFe量
a依存性、図6にQのFe量a依存性を示す。8000
Am-1における磁束密度B8000(≒Bs)は0.55T以上で
あり、a≧0.1では1Tを超える高い値が得られる。
角形比BrB8000 −1はFeを含むことにより20
%以下の低い値を示す。特にa=0.1〜0.35で低
い角形比を示す。比初透磁率μriacはFe量の減少
とともに低下しa<0.35で2000以下の低い値を
示す。Kuはa<0.35で著しく大きくなり、a=
0.1付近で最大となる。Qはa<0.35で著しく大
きくなりa=0.1付近で最大値約13を示す。以上の
ようにa<0.35において大きなQが得られることが
分る。特に大きいQはa<0.2で得られる。
大気中あるいはAr雰囲気中の単ロ−ル法により急冷
し、幅10mm、厚さ15μmのアモルファス合金薄帯
を作製した。Zr,Hf等の活性な金属を含む合金はA
rガス雰囲気中で製造した。このアモルファス合金薄帯
を外径19mm、内径15mmに巻回し、トロイダル磁
心を作製した。この合金磁心を図1に示す熱処理パタ−
ンで熱処理した。熱処理中の磁界印加方向は磁心の磁路
と垂直方向(合金薄帯幅方向)に印加した。熱処理後の
合金中には粒径50nm以下の極微細なbcc相、fcc相、
hcp相などからなる結晶粒が形成していた。熱処理後の
合金磁心の直流B−Hループ、1kHzにおける交流比
初透磁率μriac、1MHzにおけるQを測定した。表2
に角形比Br/B800 0、1kHzにおける交流比初
透磁率μriac、1MHzにおけるQ及び形成相を示す。
本発明合金は1MHzにおけるQが4以上と大きく、角
形比Br/B80 00が低く、ハイパワー用途の高周波
用チョークコイルやトランス用の磁心材料やパルスパワ
ー用コア材料などに好適である。一方、本発明外のナノ
結晶合金は1MHzにおけるQが低く1MHzを超える
ような高周波領域の特性に劣っている。また、本発明合
金の低周波側の透磁率は2000以下と低く、飽和しに
くいB−Hループを示し、フェライトなどに比べると高
飽和磁束密度で温度特性も良好なため、磁気的に飽和し
にくいため大電流の用途に使用する磁性部品に特に適し
ている。また高周波のQが高いためアンテナ用磁心など
にも適している。
bal.Cu1Nb3Si13.5B9(原子%)の合金溶
湯を単ロ−ル法により急冷し、幅25mm厚さ18μm
のアモルファス合金薄帯を得た。このアモルファス合金
薄帯を外径25mm、内径20mmに巻回し、トロイダ
ル磁心を作製した。この合金磁心を磁心の高さ方向(合
金薄帯幅方向)に磁界を印加しながら磁界中熱処理を行
った。熱処理は実施例1と同様なパターンで行い磁界は
全期間印加した。この合金は粒径10〜20nmの体心
立方構造の結晶粒が形成していることを透過電子顕微鏡
とX線回折により確認した。また、直流磁気特性とQを
測定した結果、角形比BrB8000 −1は1%、Qは
10であった。次にこの磁心に三相インバータの導線を
貫通させ、三相用の零相リアクトルを構成した。比較の
ために、同組成で磁界中熱処理を行なわず化合物が形成
した合金を用いた零相リアクトルと従来のFe基ナノ結
晶合金(Febal.Cu1Nb3Si13.5B9(原子
%))を用いた三相用零相リアクトルを作製した。比較
のため作製した同組成の従来合金の角形比BrB
8000 −1、1MHzのQはそれぞれ45%と1.
5、従来のFe基ナノ結晶合金(Febal.Cu1Nb3
Si13.5B9(原子%))の角形比BrB8000
−1、1MHzのQはそれぞれ1%と0.65であっ
た。インバータ回路に実装して測定したノイズ減衰量
は、本発明の零相リアクトルでは1MHzにおいて−7
dB、無磁界熱処理で化合物相が形成したCo基ナノ結
晶合金では、−1.1dB、従来のFe基ナノ結晶合金
を使用した零相リアクトルでは−4.5dBであり、本
発明の合金を用いた。
大気中あるいはAr雰囲気中の単ロ−ル法により急冷
し、幅10mm、厚さ12μmのアモルファス合金薄帯
を作製した。Zr,Hf等の活性な金属を含む合金はA
rガス雰囲気中で製造した。このアモルファス合金薄帯
を外径19mm、内径15mmに巻回し、トロイダル磁
心を作製した。この合金磁心を図1に示す熱処理パタ−
ンで熱処理した。熱処理中の磁界印加方向は磁心の磁路
方向(合金薄帯長手方向)に印加した。熱処理後の合金
中には粒径50nm以下の極微細な結晶粒が形成してい
た。熱処理後の合金磁心の直流B−Hループ及び比初透
磁率μriacを測定した。表3に角形比Br/B800、
比初透磁率μriac及び形成相を示す。本発明合金は角形
比が85%以上と高く、90%以上の角形比も得られる
ためパルスパワー用の磁気スイッチなどの用途に好適で
ある。
の組成の合金溶湯をHe雰囲気中の単ロ−ル法により急
冷し、幅5mm、厚さ15μmのアモルファス合金薄帯
を作製した。このアモルファス合金薄帯を外径19m
m、内径15mmに巻回し、トロイダル磁心を作製し
た。この合金磁心を図1に示す熱処理パタ−ンで熱処理
した。熱処理中の磁界印加方向は磁心の磁路と垂直方向
(合金薄帯幅方向)に印加した。熱処理後の合金中には
粒径約8nmの極微細な結晶粒が形成していた。熱処理
後の合金磁心の直流B−Hループを測定し、誘導磁気異
方性定数Kuを求めた。得られた結果を図7に示す。熱
処理温度が高くなるに伴いKuは増加した。結晶の体積
分率Xを見積もりKuとXの関係をプロットした。得ら
れた結果を図8に示す。体積分率の増加に伴いKuが大
きくなり、結晶相の割合が多い方程Kuが大きくなり高
周波の用途には好ましいことが分った。
Si9B9の組成の合金溶湯をHe雰囲気中の単ロ−ル法
により急冷し、幅5mm、厚さ18μmのアモルファス
合金薄帯を作製した。このアモルファス合金薄帯を外径
19mm、内径15mmに巻回し、トロイダル磁心を作
製した。この合金磁心を図1に示す熱処理パタ−ンで熱
処理した。熱処理中の磁界印加方向は磁心の磁路と垂直
方向(合金薄帯幅方向)に印加した。熱処理後の本発明
合金中には粒径約8nmの極微細なCo、Fe及びSi
を主に含むbcc相を主体とする結晶粒が形成していた。
熱処理後の本発明合金磁心の磁心損失Pcvの周波数依存
性を図9に示す。また比較のために、従来のチョークコ
イル用低透磁率磁心の磁心損失Pcvの周波数依存性も図
9に示す。本発明合金からなる磁心は従来の磁心よりも
著しくPcvが低く優れている。図10に本発明合金から
なる磁心及び従来のチョークコイル用磁心の直流重畳特
性を示す。本発明磁心は比較的良好な直流重畳特性を示
すことが分る。前述の低磁心損失の特徴と良好な直流重
畳特性、またギャップを形成する必要がないという特徴
から高周波用のチョークコイルに適していることが分
る。
数依存性を示す。μ′(実数部)は数MHzまでほぼ一
定であり、μ″(虚数部)が最大となる周波数は10M
Hzを超え周波数特性に優れている。Qはこの周波数帯
では単調に減少するが、1MHzにおいても10以上の
高い値を示す。図12に本発明合金と従来のナノ結晶軟
磁性合金のQの周波数依存性を比較して示す。本発明合
金は従来のナノ結晶合金よりも100kHzからMHz
帯にかけてQが高く優れており、アンテナや高周波用イ
ンダクタなどの部品に適していることが分る。また、熱
処理中の磁界印加方向は磁心の磁路と垂直方向(合金薄
帯幅方向)に印加し、熱処理した本発明合金は、飽和し
にくい特徴から、高周波帯だけでなく低周波帯(商用周
波数帯)の電流センサやリアクトルなどの部品にも使用
可能である。更には、各種センサや電磁シールド部材に
も使用可能である。
トル、電磁シールド材料などのノイズ対策部品、インバ
ータトランス、アクティブフィルタ用チョ−クコイル、
アンテナ、平滑チョークコイル、レーザ電源、加速器用
パルスパワー磁性部品等に好適なCo基磁性合金および
それを用いた高性能磁性部品を実現できるためその効果
は著しいものがある。
図である。
を示した図である。
を示した図である。
比Br/B8000、比初透磁率μiのFe量a依存性
を示した図である。
のFe量a依存性を示した図である。
した図である。
理温度依存性を示した図である。
の体積分率X依存性を示した図である。
コイル用低透磁率磁心の磁心損失Pcvの周波数依存性を
示した図である。
コイル用磁心の直流重畳特性を示す。
波数依存性を示した図である。
質係数Qの周波数依存性を示した図である。
Claims (15)
- 【請求項1】 一般式:(Co1−aFea)
100−y−cM’yX’c(原子%)で表され、式
中、M’はV,Ti,Zr,Nb,Mo,Hf,Sc,
TaおよびWから選ばれた少なくとも一種の元素、X’
はSiおよびBから選ばれた少なくとも1種の元素を示
し、a,yおよびcはそれぞれa<0.35、1.5≦
y≦15、4≦c≦30を満足する組成であり、組織の
一部または全部が平均粒径50nm以下の結晶粒からな
り、比初透磁率が2000以下であることを特徴とする
Co基磁性合金。 - 【請求項2】 B含有量が4原子%以上15原子%以下
であることを特徴とする請求項1に記載のCo基磁性合
金。 - 【請求項3】 アモルファス相が一部に存在することを
特徴とする請求項1又は2に記載のCo基磁性合金。 - 【請求項4】 化合物相が存在しないことを特徴とする
請求項1乃至3のいずれかに記載のCo基磁性合金。 - 【請求項5】 平均粒径50nm以下の結晶粒の少なく
とも一部または全部が体心立方構造の結晶粒であること
を特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載のCo基
磁性合金。 - 【請求項6】 平均粒径50nm以下の結晶粒の少なく
とも一部または全部が面心立方構造の結晶粒であること
を特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載のCo基
磁性合金。 - 【請求項7】 平均粒径50nm以下の結晶粒の少なく
とも一部または全部が六方晶の結晶粒であることを特徴
とする請求項1乃至6のいずれかに記載のCo基磁性合
金。 - 【請求項8】 a<0.2であることを特徴とする請求
項1乃至7のいずれかに記載のCo基磁性合金。 - 【請求項9】 Coの一部をNiで置換したことを特徴
とする請求項1乃至8のいずれかに記載のCo基磁性合
金。 - 【請求項10】 CoとFeの総量の10原子%以下を
Cu、Auから選ばれた少なくとも一種の元素で置換し
たことを特徴とする請求項1乃至9のいずれかに記載の
Co基磁性合金。 - 【請求項11】 M’の一部をCr,Mn,Sn,Z
n,In,Ag,白金属元素,Mg,Ca,Sr,Y,
希土類元素,N,OおよびSから選ばれた少なくとも一
種の元素で置換したことを特徴とする請求項1乃至10
のいずれかに記載のCo基磁性合金。 - 【請求項12】 X’の一部をC,Ge,Ga,Alお
よびPから選ばれた少なくとも一種の元素で置換したこ
とを特徴とする請求項1乃至11のいずれかに記載のC
o基磁性合金。 - 【請求項13】 1MHzにおけるQが4以上、角形比
Br・B8000 -1が20%以下であるであることを特徴
とする請求項1乃至12のいずれかに記載のCo基磁性
合金。 - 【請求項14】 角形比Br・B8000 -1が85%以上
であるであることを特徴とする請求項1乃至13のいず
れかに記載のCo基磁性合金。 - 【請求項15】 請求項1乃至14のいずれかに記載の
Co基磁性合金から構成されていることを特徴とする磁
性部品。
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JP2017059816A (ja) * | 2015-09-14 | 2017-03-23 | 株式会社東芝 | 軟磁性材料、回転電機、モータ及び発電機 |
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- 2002-02-19 JP JP2002041556A patent/JP4003166B2/ja not_active Expired - Fee Related
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