JP2002325424A - 誘導電流式減速装置 - Google Patents

誘導電流式減速装置

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JP2002325424A
JP2002325424A JP2001132184A JP2001132184A JP2002325424A JP 2002325424 A JP2002325424 A JP 2002325424A JP 2001132184 A JP2001132184 A JP 2001132184A JP 2001132184 A JP2001132184 A JP 2001132184A JP 2002325424 A JP2002325424 A JP 2002325424A
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rotor
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reduction gear
hole
yoke
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Mutsuo Nishimoto
睦男 西本
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Isuzu Motors Ltd
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Isuzu Motors Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 ロータの温度上昇が小さく、かつ安価で制動
力の高い減速装置を提供する。 【解決手段】 回転軸11に一体的に取り付けられたロ
ータ12と、ロータ12に形成された複数個の貫通穴2
0と、各貫通穴20を囲むように設けられた伝導部材2
1と、固定側に取り付けられ、上記貫通穴20を通過す
るように磁束を作用させるための磁束供給手段33とを
備えたものである。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、主に大型自動車で
リターダとして使用される減速装置に係り、特に、誘導
電流を利用して制動力を発生させる減速装置に関するも
のである。
【0002】
【従来の技術】従来、主に大型自動車でリターダとして
使用される減速装置として、図10及び図11に示すよ
うな渦電流式減速装置が用いられている。
【0003】この渦電流式減速装置40は、制動対象と
なる回転軸41(ここでは自動車の変速機の出力側に設
けられたプロペラシャフト)に取付フランジ42を介し
て取り付けられたドラム状の鋼製ロータ43と、固定側
に取り付けられ、ロータ43の円筒部43aの内側に配
置された非磁性体からなる環状ケーシング45とを備え
ている。環状ケーシング45の外周部には、ロータ43
の円筒部43aの内周面に対向するように強磁性体から
なるポールピース46が周方向に等間隔を隔てて複数設
けられている。
【0004】環状ケーシング45の内部には、固定リン
グ47上に支持され、ポールピース46と対向する面の
極性が周方向に交互になるように配置された複数の永久
磁石49と、固定リング47に隣接し、図示しない回動
手段によって回動される回転リング50上に支持され、
ポールピース46と対向する面の極性が周方向に交互に
異なるように配置された複数の永久磁石51とが設けら
れている。
【0005】この渦電流式減速装置40では、制動時に
回転リング50を回動させて、一つのポールピース46
に内側から対向する固定側と回転側の二つの永久磁石4
7,50の極性が同一となるように位置させる。その結
果、図11に示すように、周方向に隣接する永久磁石4
9,49及び51,51、ポールピース46、ロータ4
3の円筒部43a、固定・回転リング47,50とで磁
気回路tが形成される。
【0006】ロータ43が回転して磁気回路tに対して
相対移動すると、ロータ43の円筒部43aの内面に渦
電流が生じる。この渦電流はレンツの規則により、ロー
タ(導体)43と磁気回路tとの相互の運動を妨げる向
きに生ずる。即ち、この渦電流によってロータ43の回
転が妨げられる(制動力が与えられる)。
【0007】非制動時には、回転リング50を回動させ
て、一つのポールピース46に内側から対向する固定側
と回転側の二つの永久磁石49,51の極性が互いに異
なるように位置させる。その結果、軸方向に隣接する永
久磁石49,51、ポールピース46及び固定・回転リ
ング47,50とで短絡的磁気回路が形成され、ロータ
43に磁束は作用せず制動力は発生しない。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、このよ
うな従来の渦電流式減速装置には、以下に示すような欠
点があった。
【0009】1)効率が悪く、ロータの温度が高くな
る。
【0010】即ち、ロータ43は制動時に磁気回路を形
成すると共に、渦電流を発生させるものであるため、磁
性体であり、かつ伝導体であることが必要とされること
から鋼が用いられているが、鋼は電気抵抗が大きく制動
時に大きな熱が発生する。
【0011】ロータ43の温度が、鋼の変態点(約72
3℃)よりも高くなると、ロータ43の性質が強磁性体
から常磁性体へと変化するため制動力が低下してしま
う。
【0012】また、ロータ43の温度が高くなると、ロ
ータ43が熱膨張によって変形してしまう問題もある。
【0013】従来からロータ43の温度上昇を抑えるた
めに、ロータ43の外周部に冷却フィン52を設けた
り、特開平10−243627号公報に開示されている
ように円筒部43aに銅を貼り付ける等、様々な工夫が
されているがいずれも十分な効果が得られるものではな
く、渦電流式減速装置における温度対策は限界に近づい
ている。
【0014】2)制動力を高めるためには磁力を大きく
する必要がある。即ち、磁力の高い高価な磁石を使用す
るか、大きさの大きい磁石を使用する必要があり、コス
トが高くなる。
【0015】そこで、本発明の目的は、上記課題を解決
し、ロータの温度上昇が小さく、かつ安価で制動力の高
い減速装置を提供することにある。
【0016】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に本発明は、回転軸に一体的に取り付けられたロータ
と、ロータに形成された複数個の貫通穴と、各貫通穴を
囲むように設けられた伝導部材と、固定側に取り付けら
れ、上記貫通穴を通過するように磁束を作用させるため
の磁束供給手段とを備えたものである。
【0017】これによれば、ロータが回転すると伝導部
材の内側を貫く磁束が変化するため伝導部材に誘導電流
が発生し、この誘導電流によってロータに効率よく制動
力が与えられる。伝導部材は磁性体である必要はないの
で電気抵抗の小さい材料を用いることによって発熱量を
小さくできる。また、伝導部材を電気抵抗の小さい材料
で形成すれば、発生する誘導電流が大きくなり制動力を
大きくできる。
【0018】また、上記磁束供給手段が、上記ロータの
一面側に配置され上記貫通穴に対向する第一ヨークと、
ロータの他面側に配置され上記貫通穴に対向するポール
ピースと、ポールピースのロータと反対側に配置された
複数の磁石と、磁石を支持する第二ヨークと、第二ヨー
クと上記ポールピースとを相対的に移動させて磁石の磁
束を貫通穴に通過させる状態と、通過させない状態とを
切り替える切替手段とからなるようにしても良い。
【0019】また、上記ロータが伝導体からなり、上記
伝導部材が、ロータに形成された貫通穴の縁部からなる
ようにしても良い。
【0020】また、上記ロータが銅からなるようにして
も良い。これによれば、銅は熱伝導率が高いため、ロー
タで発生した熱が積極的に低温側へ移動できるのでロー
タの温度上昇を抑えることができる 。
【0021】また、上記ロータが円板形状であっても良
い。これによれば、軽量かつコンパクトな減速装置を提
供できる。
【0022】
【発明の実施の形態】以下、本発明の好適な一実施形態
を添付図面に基づいて詳述する。
【0023】図1は本発明の一実施形態に係る誘導電流
式減速装置の正面断面図であり、図2は部分破断側面図
であり、図3は図2におけるA−A線断面図である。
【0024】図に示すように、誘導電流式減速装置10
は、制動対象となる回転軸11(ここでは自動車の変速
機の出力側に設けられたプロペラシャフト)に取付られ
た円板状のロータ12と、変速機のギヤボックス等の固
定側に取り付けられた非磁性体からなる環状ケーシング
13とを備えている。
【0025】ロータ12は、回転軸11にスプライン嵌
合固定された取付フランジ15に、駐車ブレーキの制動
ドラム16と一緒にボルト17により締結されたフラン
ジ部19にボルト等によって固定されており、回転軸1
1と一体に回転する。
【0026】また、ロータ12は電気抵抗の小さい伝導
体からなり、本実施形態では銅で形成されている。図2
に示すように、ロータ12には周方向に等間隔を隔てて
略長円形状の貫通穴20が多数形成されている。この結
果、各貫通穴20の外縁部は、一巻きのコイル(21の
部分)を形成する。本実施形態では、銅製ロータ12に
おける、各貫通穴20の縁部に位置する部分21が、請
求項1に記載した伝導部材となる。
【0027】環状ケーシング13は、断面が略コ字状に
形成されており、ロータ12を両測から挟み込むように
配置される。環状ケーシング13におけるロータ12の
一面側(図1において右側)に位置する部分には、磁性
体からなるリング状の第一ヨーク22がロータ12の各
貫通穴20に対向するように設けられている。第一ヨー
ク22は、貫通穴20より大きく形成されており、第一
ヨーク22と貫通穴20とが全面対向できるようになっ
ている。
【0028】一方、環状ケーシング13におけるロータ
12の他面側に位置する部分にはリング状の収容スペー
ス23が形成されており、収容スペース23のロータ1
2側を区画する側壁25には、ロータ12の貫通穴20
に他面側(図1において左側)から対向するように、強
磁性体からなるポールピース26が周方向に等間隔を隔
てて複数設けられている。また、側壁25とポールピー
ス26との間には、後述する収容スペース23内の磁石
31を水や埃などから保護するためのシール部材27が
介在されている。
【0029】収容スペース23内には、切替手段(エア
ーシリンダ)29によって回動される第二ヨーク(回動
リング)30と、その第二ヨーク30に支持され、上記
ポールピース26に内側から対向する複数の永久磁石3
1とが収容されている。
【0030】永久磁石31は、図2に示すように、周方
向に等間隔を隔てて複数配置されており、一つのポール
ピース26に対して二つの永久磁石31が対向するよう
になっている。また、永久磁石31は、ポールピース2
6に対向する面及びその反対側の面に極性を有してお
り、ポールピース26側の極性が二つ毎に交互になるよ
うに配置されている。
【0031】切替手段29は、第二ヨーク30を各磁石
31の1ピッチp分だけ回動して、一つのポールピース
26に、同じ極性の磁石31が対向する制動位置と、異
なる極性の磁石31が対向する非制動位置とを切り替え
るようになっている。なお、第二ヨーク30を回動する
手段としてエアーシリンダを示したが、本発明はこの点
において限定されず、電動モータ等、他の手段を用いて
も良い。
【0032】また、環状ケーシング13を一体物として
説明したが、ロータ12の一面側に位置する部分と、他
面側に位置する部分とを分割した構造としても良い。
【0033】さて、このような誘導電流式減速装置10
において、制動時には、切替手段29によって第二ヨー
ク30をポールピース26と相対的に回動させて、図3
(a)に示すように、各ポールピース26に同じ極性を
有する二つの磁石31が対向するように位置させる。そ
の結果、図に点線で示すように、二つの永久磁石31,
31、二つのポールピース26,26、第一ヨーク22
及び第二ヨーク30とで磁気回路sが形成される。この
とき、ポールピース26と第一ヨーク22との間を延び
る磁束はロータ12の各貫通穴20を通過する。従っ
て、本実施形態では、第一ヨーク22、ポールピース2
6、永久磁石31及び第二ヨーク30とで請求項1にお
ける磁束供給手段33が構成される。
【0034】この状態でロータ12が回転すると、貫通
穴20を貫く磁束、即ち、上記伝導部材21によって形
成される電気回路(一巻きのコイル)を通過する磁束が
変化するため、電気回路(21の部分)に起電力が誘導
されて誘導電流が発生する。この誘導電流はレンツの規
則により、磁束の変化を妨げる方向に発生する。従っ
て、誘導電流と磁気回路sとの作用により発生する電磁
力はロータ12の回転を妨げる制動力となる。
【0035】次に、非制動時には切替手段29によって
第二ヨーク30を永久磁石31の1ピッチp分だけ回動
させて、図3(b)に示すように、各ポールピース26
に異なる極性を有する二つの磁石31が対向するように
位置させる。その結果、図に点線で示すように、二つの
永久磁石31,31、一つのポールピース26及び第二
ヨーク30とで短絡的磁気回路hが形成される。その結
果、ロータ12には磁束が作用しなくなるため、ロータ
12に制動力は与えられない。
【0036】このように、ロータ12は制動時に磁気回
路を形成するものではないため、磁性体である必要がな
い。従って、ロータ12を銅などの電気抵抗の小さい伝
導体で形成することができ、発熱量を小さくできる。
【0037】また、ロータ12を電気抵抗の小さい伝導
体で形成することは、発生する誘導電流が大きくなるこ
とにつながり、制動力を大きくできる。
【0038】更に、図10及び図11に示す従来の渦電
流式減速装置40ではロータ(鋼)43の磁気抵抗によ
り磁気回路が弱くなるため効率が悪く、制動力が低くな
るが、本実施形態ではそのような問題が生じることがな
い。
【0039】また、ロータ12を銅等の熱伝導率の高い
材質で形成すれば、ロータ12のコイル(伝導部材21
の部分)で発生した熱が積極的に低温側へ移動できるた
め、ロータ12の温度上昇をより抑えることができる。
【0040】また、従来の渦電流式減速装置40では、
渦電流がロータ43の円筒部43aのほぼ全域に発生す
るため円筒部43a全域が発熱するのに対して、本実施
形態ではコイル(伝導部材21の部分)、即ち貫通穴2
0の縁部のみが発熱するので、従来と比べて発熱範囲が
小さく熱的に有利である。
【0041】また、従来の渦電流式減速装置40ではロ
ータ43の温度が鋼の変態点を越えると性質が変化して
しまうため制動力が低下するが、本実施形態の誘導電流
式減速装置10によればそのような問題が生じることは
ない。
【0042】更に、制動力を高めるためには、コイル
(伝導部材21の部分)の数、即ち貫通穴20の数を増
やせば良く、低コストで制動力の高い減速装置を提供で
きる。
【0043】また、本実施形態のようにロータ12を円
板状(ディスク状)に形成すれば、減速装置を軽量・コ
ンパクトにでき、スペースの有効利用が図れる。
【0044】しかしながら、本発明はロータ12の形状
に制約はなく、ロータ12をドラム状に形成して、その
円筒部を内外両側から挟み込むように環状ケーシング1
3を配置しても良い。
【0045】また、本実施形態ではロータ12全体を伝
導体で形成するとして説明したが、貫通穴20の縁部の
みを伝導体で形成することも可能である。
【0046】また、これまで磁石31は永久磁石である
として説明してきたが、本発明はこの点において限定さ
れず、電磁石を使用することもできる。その場合、制動
/非制動の切替は電磁石のon/off制御でできるた
め、切替手段29は必要なくなる。
【0047】以下、従来の渦電流式減速装置40と本実
施形態の誘導電流式減速装置10の理論値を比較する。
【0048】まず、ロータの発熱量について説明する。
【0049】渦電流式減速装置40において、図4に示
すように、ロータ43の円筒部43aの内面を渦電流と
同心で半径r、厚さdrの円殻60に切った場合、円殻
60に発生する渦電流の電圧eは、e=πr2 ×dB/
dt(B:磁束密度)で表すことができる。また、ロー
タ(鋼)43の電気抵抗率をρ、渦電流の有効深さをσ
とした場合、円殻60の抵抗Rは、R=ρ×長さ/断面
積からR=ρ×2πr/drσで表すことができる。
【0050】従って、電流diは、di=e/Rからd
i=rdrσ(dB/dt)/2ρで表すことができ
る。
【0051】発生電力Q=I2 Rであるから、上式より
dQ=πr3 drσ(dB/dt) 2 /2ρ・・・で
表すことができる。
【0052】ここで、有効深さσはロータ43の円筒部
43aの内側表面からの浸透深さであり、次式で求める
ことができる。
【0053】
【数1】
【0054】この有効深さσは、表面電流の1/eとな
る深さであり全電流の90%がこの深さ内に発生する。
従って、この式を上式に代入すると次式となる(dB
/dt=ωB、ω:角周波数=2πf、f:周波数=ロ
ータの回転数×磁極数/120)。
【0055】
【数2】
【0056】これを、r=0からr=r0 の円筒全体に
積分すれば、次式が得られる。
【0057】
【数3】
【0058】このことは、図10及び図11に示すよう
な渦電流式減速装置40では、発生電力、即ち発熱量
は、角周波数ω(ロータ43の回転数)の1.5乗に比
例し、渦電流の半径r0 (円筒部43の長さ2b)の4
乗に比例し、ロータ(鋼)43の電気抵抗ρ及び透磁率
μの1/2乗に反比例して大きくなることを示してい
る。
【0059】次に、本実施形態の誘導電流式減速装置1
0について説明する。
【0060】誘導電流式減速装置10において、図5に
示すように、各貫通穴20間に位置する柱32一本当た
りを考えると、発生する誘導電流Eの電圧eは、次式
で表すことができる。
【0061】e=BLυ・・・(B:磁束密度、L:
柱の有効長さ、υ:ロータの速度) また、抵抗R=内部抵抗ra+外部抵抗rbとして、r
a=rbと仮定すると、ra=ρL/S(ρ:柱(銅)
の電気抵抗率、S:柱の断面積)から、R=ra+rb
=2ra=2ρL/Sとなる。
【0062】従って、電流iは次式で表すことができ
る。
【0063】i=BυS/2ρ・・・ 柱32内部の電力損失は、全発生電力−外部電力損失で
あるから、内部電力損失i2ra=ei−i2 rbとな
り、この式に上記、式及びrb=ρL/Sを代入す
ると内部電力損失i2ra=B2υ2SL/4ρが得られ
る。
【0064】従って、単位体積当たりの発熱量Q=B2
υ2/4ρとなり、これは、本実施形態の誘導電流式減
速装置10では、発熱量Qは、ロータ12の速度υ(回
転数)の2乗に比例し、柱32(伝導部材21)の電気
抵抗ρに反比例して大きくなることを示している。
【0065】次にロータの温度上昇について説明する。
【0066】渦電流式減速装置40におけるロータ43
の温度分布は、図6に示すように、円筒部43aの内側
表面が最高温度θmaxとなり、外周に向かうにつれて
徐々に温度が低くなる。円管における熱伝導は、次式で
表すことができる。
【0067】
【数4】
【0068】ここで、q1は円管の単位長さ当たりの発
熱量、rmは円管の中心半径、αは円管(鋼)と空気と
の間の熱伝達率、λは円管(鋼)の熱伝導率、δは円管
の厚さ、θ0 は室温である。
【0069】このことは、ロータ43の最高温度θma
xは、熱伝達率α及び熱伝導率λに反比例して大きくな
ることを示している。
【0070】次に、本実施形態の誘導電流式減速装置1
0について、柱32一本当たりにおける温度分布は、図
7に示すように、柱32の中央部が最高温度θmaxと
なり、端部に向かうにつれて徐々に温度が低くなる。こ
の熱伝導は次式で表すことができる。
【0071】θmax−θ1=q2L2 /8λ・・・ ここで、q2は単位体積当たりの発熱量、Lは柱32の
長さ、λは柱(銅)の熱伝導率である。
【0072】また、θ1は柱32の両端部の温度であ
り、半無限体の平面上に2n(柱の幅)×2m(柱の厚
さ)の長方形熱源より熱量を発生していると考えると、
JAEGERの式より次式が得られる。
【0073】
【数5】
【0074】ここで、Zは柱の形状係数であり、q3は
単位面積当たりの発熱量でありq3=q2×Lである。
この数5を上記式に代入すると、次式が得られる。
【0075】
【数6】
【0076】このことは、本実施形態における誘導電流
式減速装置10のロータ12の最高温度θmaxは、柱
32の熱伝達率λに反比例して大きくなることを示して
いる。従って、ロータ12を熱伝達率λの大きい材質
(例えば、銅)で形成すれば温度上昇を抑制できること
が分かる。
【0077】図8に、本実施形態の誘導電流式減速装置
10と従来の渦電流式減速装置40それぞれにおける、
ロータの回転数と最高温度との関係を示す。
【0078】図中線10aは本実施形態の誘導電流式減
速装置を示し、線40aは従来の渦電流式減速装置を示
している。
【0079】図から明らかなように、いずれの減速装置
においても回転数が高くなるにつれてロータの最高温度
が上昇するが、本実施形態の誘導電流式減速装置10は
ロータの最高温度が従来の渦電流式減速装置40の2/
3程度に抑えられている。
【0080】次に、ロータに作用する制動トルク(制動
力)について説明する。
【0081】渦電流式減速装置40において、図4に示
すように、ロータ43の円筒部43aの内面を渦電流と
同心で半径r、厚さdrの円殻60に切った場合、di
=rdrσ(dB/dt)/2ρと、dB/dt=ωB
と、
【0082】
【数7】
【0083】から、電流diは次式で表すことができ
る。
【0084】
【数8】
【0085】従って、ロータに作用する電磁力dFは、
渦電流の長さlの実効値を2r/2 1/2 とすると、dF
=Bdilから、次式で表すことができる。
【0086】
【数9】
【0087】これを、r=0からr=r0 の円筒全体に
積分すれば、次式が得られる。
【0088】
【数10】
【0089】ここで、渦電流の直径とロータ43の円筒
部43aの長さはほぼ等しいので、2r0 =2bとし、
円筒部43aの直径をD、磁石の個数をPとすると、ロ
ータ43に作用する制動トルクTは次式で表すことがで
きる。
【0090】
【数11】
【0091】これは、渦電流式減速装置40では、制動
トルクTは、ロータ43の角周波数ω(回転数)の1/
2乗に比例し、ロータ43の電気抵抗ρ及び透磁率μの
1/2乗に反比例して大きくなることを示している。
【0092】一方、誘導電流式減速装置10では、上記
式より電流i=BυS/2ρであるから、一本の柱3
2に作用する電磁力Fは、F=B2 υSL/2ρとな
る。ここで、ロータ12の有効径をD、磁石31の個数
をP、磁石31一つ当たりの柱32の本数をNとする
と、ロータ12に作用する制動トルクTは次式で表すこ
とができる。
【0093】
【数12】
【0094】これは、誘導電流式減速装置10では、制
動トルクTは、ロータ12の速度υ(回転数)に比例
し、磁石31一つ当たりの柱32の個数、柱32の断面
積及び長さに比例し、ロータ12の電気抵抗ρに反比例
して大きくなることを示している。従って、ロータ12
の回転数が上がるほど渦電流式減速装置40と比べて大
きな制動トルクが得られることが分かる。
【0095】また、ロータ12を電気抵抗の小さな材料
(例えば、銅)で形成すれば大きな制動トルクが得られ
る。
【0096】図9に、本実施形態の誘導電流式減速装置
10と従来の渦電流式減速装置40におけるロータの回
転数と制動トルクとの関係の計算上のグラフを示す。
【0097】図中線10bは本実施形態の誘導電流式減
速装置を示し、線40bは従来の渦電流式減速装置を示
している。
【0098】図から明らかなように、本実施形態の誘導
電流式減速装置10では、回転数が高くなるにつれて、
従来の渦電流式減速装置40と比較して著しく大きな制
動トルクを得ることができる。これによって、ロータの
回転数が3000rpm付近で約1000N・mの制動
トルクを発生する超強力な減速装置を提供できる。従っ
て、坂道を下る時等にブレーキ操作不要で快適な運転が
可能となるうえ、フットブレーキの使用回数が低減し、
ブレーキの寿命向上につながる。
【0099】
【発明の効果】以上要するに本発明によれば、以下に示
すごとく優れた効果を発揮するものである。 1)ロータの発熱量が小さく、ロータの温度上昇が小さ
い。 2)制動力が高い。 3)安価で提供できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態に係る誘導電流式減速装置
の正面断面図である。
【図2】本発明の一実施形態に係る誘導電流式減速装置
の部分破断側面図である。
【図3】(a)は制動時の状態を示す、図2におけるA
−A線断面図である。(b)は非動時の状態を示す、図
2におけるA−A線断面図である。
【図4】従来の渦電流式減速装置におけるロータの円筒
部の内面を示す概略図である。
【図5】本発明の一実施形態に係る誘導電流式減速装置
の貫通穴及び伝導部材を示す概略図である。
【図6】従来の渦電流装置のロータにおける温度分布を
説明する概略図である。
【図7】本発明の一実施形態に係る誘導電流式減速装置
における柱の温度分布を説明する概略図である。
【図8】本発明の一実施形態に係る誘導電流式減速装置
と従来の渦電流式減速装置における、ロータの回転数と
最高温度との関係を示す図である。
【図9】本発明の一実施形態に係る誘導電流式減速装置
と従来の渦電流式減速装置における、ロータの回転数と
制動トルクとの関係を示す図である。
【図10】従来の渦電流式減速装置の上半分を示す正面
断面図である。
【図11】従来の渦電流式減速装置の部分側面断面図で
ある。
【符号の説明】
11 回転軸 12 ロータ 20 貫通穴 21 伝導部材 22 第一ヨーク 26 ポールピース 29 切替手段 30 第二ヨーク 31 磁石 33 磁束供給手段

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 回転軸に一体的に取り付けられたロータ
    と、該ロータに形成された複数個の貫通穴と、各貫通穴
    を囲むように設けられた伝導部材と、固定側に取り付け
    られ、上記貫通穴を通過するように磁束を作用させるた
    めの磁束供給手段とを備えたことを特徴とする誘導電流
    式減速装置。
  2. 【請求項2】 上記磁束供給手段が、上記ロータの一面
    側に配置され上記貫通穴に対向する第一ヨークと、ロー
    タの他面側に配置され上記貫通穴に対向するポールピー
    スと、該ポールピースのロータと反対側に配置された複
    数の磁石と、該磁石を支持する第二ヨークと、該第二ヨ
    ークと上記ポールピースとを相対的に移動させて磁石の
    磁束を貫通穴に通過させる状態と、通過させない状態と
    を切り替える切替手段とからなる請求項1記載の誘導電
    流式減速装置。
  3. 【請求項3】 上記ロータが伝導体からなり、上記伝導
    部材が、ロータに形成された貫通穴の縁部からなる請求
    項1又は2記載の誘導電流式減速装置。
  4. 【請求項4】 上記ロータが銅からなる請求項1〜3い
    ずれかに記載の誘導電流式減速装置。
  5. 【請求項5】 上記ロータが円板形状である請求項1〜
    4いずれかに記載の誘導電流式減速装置。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2008111482A (ja) * 2006-10-30 2008-05-15 Sumitomo Metal Ind Ltd 鉄道車両用歯車装置の温度予測方法

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