JP2002324731A - 電気二重層キャパシタ用セパレータ及び電気二重層キャパシタ - Google Patents
電気二重層キャパシタ用セパレータ及び電気二重層キャパシタInfo
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Abstract
が低く、しかも、一定体積当たりのエネルギー密度を高
くすることができ、(3)形態安定性に優れ、電解液に
濡れても強度の低下しない、電気二重層キャパシタ用セ
パレータ及びこれを用いた電気二重層キャパシタを提供
する。 【解決手段】 前記電気二重層キャパシタ用セパレータ
は、フィブリルを有する合成繊維とフィブリルを有しな
い合成繊維とを含む繊維層2層以上を含む繊維シートか
らなり、前記繊維層の内、少なくとも2層が、互いに繊
維配向の異なる繊維層であり、前記各繊維層を構成する
繊維が圧着されている。
Description
シタ用セパレータ及び電気二重層キャパシタに関する。
c Double Layer Capacitor;
EDLC)は、比較的大きな容量をもち、しかも、長寿
命且つ急速充放電が可能であることから、電源の平滑
化、又はノイズ吸収などの従来の用途以外に、パーソナ
ルコンピューターのメモリーバックアップ電源、あるい
は、二次電池の補助又は代替に用いられてきており、近
年においては電気自動車用の二次電池としての用途が期
待されている。電気二重層キャパシタは、分極性電極と
電解液界面に生じる電気二重層を利用したコンデンサで
ある。つまり、イオン性電解液中に一対の電極を浸漬
し、電解液の電気分解電圧より低い電圧を印加すると、
電極と反対符号のイオンが電極のごく近傍に分布してイ
オン層を形成する。一方、電極の内部には、イオン層と
反対符号の電荷が蓄積される。このイオン層と電荷層と
を電気二重層と呼ぶ。この電気二重層に蓄積された電荷
は、正負電極間に負荷をつなぐと、放電し、同時にイオ
ンは電極から離れ、電解液は中和状態に戻る。電気二重
層キャパシタの容量は電極の表面積によって決まるた
め、電極には表面積の大きい活性炭が使用され、イオン
性の電解液には、容量、耐電圧、及びエネルギー密度な
どの点で有利な有機系のものが使用されている。
て、1対の電極が接触してしまうと、電極と電解液との
界面においてイオン層及び電荷層を形成することが困難
になるため、通常、1対の電極間に、イオン透過性で電
気絶縁性を有するセパレータが配置されている。従来の
電気二重層キャパシタ用セパレータとして、抄造網によ
り形成された繊維シート2層以上からなる電解紙が公知
である。しかしながら、この電解紙によっては充分な短
絡防止性が得られない場合があった。この場合、この電
解紙を2枚以上重ねて使用すれば、前記問題点を低減す
ることができるが、内部抵抗が高くなり、しかも、一定
体積当たりのエネルギー密度が低下するという問題点が
あった。更に、この電解紙は、主に繊維間の水素結合に
よって形態を保っているために強度が低く、特に、電解
液に濡れると強度が低下して、短絡する場合があった。
は、従来技術の前記の欠点を解消し、(1)短絡が発生
しにくく、(2)内部抵抗が低く、しかも、一定体積当
たりのエネルギー密度を高くすることができ、(3)形
態安定性に優れ、電解液に濡れても強度の低下しない、
電気二重層キャパシタ用セパレータ、及びこれを用いた
電気二重層キャパシタを提供することにある。
る、フィブリルを有する合成繊維とフィブリルを有しな
い合成繊維とを含む繊維層2層以上を含む繊維シートか
らなり、前記繊維層の内、少なくとも2層が、互いに繊
維配向の異なる繊維層であり、前記繊維シートを構成す
る各繊維層の繊維が圧着されていることを特徴とする、
電気二重層キャパシタ用セパレータにより解決すること
ができる。また、本発明は、前記電気二重層キャパシタ
用セパレータを含む、電気二重層キャパシタに関する。
セパレータ(以下、単にセパレータと称することがあ
る)は、フィブリルを有する合成繊維(以下、フィブリ
ル合成繊維と称する)とフィブリルを有しない合成繊維
(以下、非フィブリル合成繊維と称する)とを含む繊維
層2層以上を含む繊維シートからなり、前記繊維層の
内、少なくとも2層が、互いに繊維配向の異なる繊維層
であり、前記繊維シートを構成する各繊維層の繊維が圧
着されている。繊維シートの態様は、特に限定されるも
のではないが、例えば、織物、編物、紙、若しくは不織
布、又はこれらの複合体であることができる。これらの
中でも、厚さを薄くすることのできる理由で、不織布が
好ましく、繊維の均一分散性に優れており、短絡が発生
しにくく、信頼性が高い理由で、湿式不織布がより好ま
しい。
フィブリル合成繊維は、繊維の一部が枝分かれした微細
繊維を含む繊維、あるいは、前記微細繊維のみから構成
されている繊維であり、例えば、合成繊維をフィブリル
化処理(例えば、叩解)することにより得ることができ
るし、あるいは、合成繊維の製造過程でフィブリル化す
ることもある。前記フィブリル合成繊維は、一本の繊維
(すなわち、幹状繊維)から、その一部が枝分かれする
ことにより無数の微細繊維(すなわち、枝分かれ繊維)
が発生した繊維であるか、あるいは、その全部が分割さ
れることにより無数の微細繊維が発生した繊維である限
り、特に限定されるものではなく、例えば、微細繊維の
みから構成されているフィブリル合成繊維、あるいは、
微細繊維部分と幹状繊維部分とを含むフィブリル合成繊
維を挙げることができる。なお、微細繊維部分と幹状繊
維部分とを含むフィブリル合成繊維においては、微細繊
維部分が、フィブリル合成繊維の端部(一端又は両端)
及び/又は端部間に位置することができる。
フィブリル合成繊維は、任意の樹脂からなることができ
るが、融解温度又は炭化温度が300℃以上の樹脂から
構成されていると、以下に詳述するように、電気二重層
キャパシタを製造する上で好ましい。なお、本明細書に
おける「融解温度」とは、JIS K 7121に規定
されている示差熱分析により得られる示差熱分析曲線
(DTA曲線)から得られる温度を意味する。また、本
明細書における「炭化温度」とは、JIS K7120
に規定されている熱重量測定により得られる温度を意味
する。
キャパシタでは、それを構成する個々の材料(例えば、
集電極、電極、又はセパレータ等)が水分を含んでいる
と、耐電圧の高い電気二重層キャパシタやエネルギー密
度の高い電気二重層キャパシタを製造することが困難で
あるため、個々の材料を充分に乾燥しておく必要があ
る。しかしながら、従来から使用されているようなポリ
プロピレン繊維からなるセパレータやセルロース系パル
プからなるセパレータは、集電極や電極等の材料と比較
して耐熱温度が低いため、集電極、電極、及びセパレー
タを組み立てた後に150℃以上の温度で乾燥すると、
セパレータが溶融したり、あるいは、炭化するなど、劣
化が著しく、これらの材料を組み立てた後に同時に乾燥
することは困難であった。一方、個々の材料をそれぞれ
別々に乾燥した後に組み立てればセパレータの劣化を防
ぐことができるが、手間がかかりすぎるという問題があ
った。そこで、セパレータを構成するフィブリル合成繊
維として、前記のように、融解温度又は炭化温度が30
0℃以上の樹脂からなるフィブリル合成繊維を使用する
と、集電極、電極、及びセパレータを組み立てた後、1
50℃以上の温度で同時に乾燥することができるため、
容易に耐電圧の高い電気二重層キャパシタやエネルギー
密度の高い電気二重層キャパシタを製造することができ
る。
例えば、ポリテトラフルオロエチレン又はポリフェニレ
ンサルファイドなどを挙げることができる。また、炭化
温度が300℃以上の樹脂としては、例えば、パラ系全
芳香族ポリアミド、メタ系全芳香族ポリアミド、ポリア
ミドイミド、芳香族ポリエーテルアミド、ポリベンゾイ
ミダゾール、又は全芳香族ポリエステルなどを挙げるこ
とができる。これらの中でも、パラ系全芳香族ポリアミ
ド又はメタ系全芳香族ポリアミドが、電解液との親和性
にも優れており、また、炭化温度が高い点で、パラ系全
芳香族ポリアミドが好ましい。
維を含むため、フィブリル合成繊維による機械的な絡合
によって形態を維持することができ、強度的にすぐれて
いるため、短絡しにくい。また、厚さが薄い状態である
ことができ、一定体積当たりのエネルギー密度を高くし
やすい。
非フィブリル合成繊維は、繊維が枝分かれしていない繊
維である限り、特に限定されるものではないが、例え
ば、繊度が0.45dtex以下の細繊維などを挙げる
ことができる。なお、本明細書における「繊度」とは、
JIS L 1015に規定されているA法により得ら
れる値を意味する。繊度が0.45dtex以下の前記
細繊維は、任意の樹脂からなることができるが、軟化温
度が200℃以上の樹脂から構成されていると、フィブ
リル合成繊維を融解温度又は炭化温度が300℃以上の
樹脂から構成する場合と同様の理由により、電気二重層
キャパシタを製造する上で、好ましい。なお、本明細書
における「軟化温度」とは、JIS K 7121に規
定されている熱流束示差走差熱量測定(DSC,昇温温
度=10℃/分)により得られるDSC曲線における融
解吸熱曲線の開始点を与える温度を意味する。
ば、ポリアミド系樹脂(例えば、66ナイロン)、ポリ
エステル系樹脂、アクリル系樹脂、又はポリビニルアル
コールなどを挙げることができる。これらの中でも、電
解液中での安定性に優れ、軟化温度が200℃以上であ
る点で、ポリエステル系樹脂が好ましい。前記細繊維の
繊維長は、特に限定されるものではなく、繊維シートの
態様によって変化する。例えば、繊維シートが湿式不織
布からなる場合には、繊維長1〜25mmであることが
好ましく、3〜20mmであることがより好ましい。本
発明における「繊維長」とは、JIS L 1015の
B法(補正ステープルダイヤグラム法)により得られる
長さを意味する。また、前記細繊維の断面形状は、特に
限定されるものではなく、例えば、円形であることもで
きるし、あるいは、非円形、例えば、長円、楕円、星
型、各種のアルファベット文字型(例えば、Y字型又は
X字型など)、又はプラス(+)型などであることもで
きる。
それぞれ独立して、フィブリル合成繊維1種類のみを含
むこともできるし、あるいは、繊維径及び/又は樹脂構
成の点で異なるフィブリル合成繊維2種類以上を含むこ
ともできる。前記各繊維層において、フィブリル合成繊
維の割合は、特に限定されるものではないが、前記繊維
層を構成する全繊維の30mass%以上であることが
好ましい。
層は、それぞれ独立して、非フィブリル合成繊維(例え
ば、繊度0.45dtex以下の細繊維)1種類のみを
含むこともできるし、あるいは、繊維径及び/又は樹脂
構成の点で異なる非フィブリル合成繊維(例えば、繊度
0.45dtex以下の細繊維)2種類以上を含むこと
もできる。前記各繊維層において、非フィブリル合成繊
維の割合は、特に限定されるものではないが、前記繊維
層を構成する全繊維の10〜70mass%であること
が好ましい。
成する複数の繊維層の内、少なくとも2層が、相互にそ
の繊維配向が異なることが必要である。本明細書におい
て、繊維層の「繊維配向」とは、前記繊維層を構成する
非フィブリル合成繊維の繊維配向のベクトル和の方向を
意味し、「各繊維層の繊維配向が相互に異なる」とは、
各繊維層を構成する非フィブリル合成繊維の繊維配向の
ベクトル和の方向が相互に異なることを意味する。な
お、フィブリル合成繊維は、微細繊維部分が広がった状
態にあるため、繊維層の繊維配向には実質的に影響を与
えない。
向」とは、各非フィブリル合成繊維における一方の端部
(例えば、繊維層の長手方向に関して、上流側に位置す
る端部)を始点とし、残るもう一方の端部(例えば、繊
維層の長手方向に関して、下流側に位置する端部)を終
点とするベクトルを意味する。例えば、図1に示す繊維
層10[繊維層の長手方向を矢印Lで示し、それと直交
する方向(幅方向)を矢印Cで示す]における非フィブ
リル合成繊維1を例にとると、繊維層の長手方向に関し
て上流側に位置する端部u1を始点とし、繊維層の長手
方向に関して下流側に位置するd1を終点とするベクト
ルv1が、前記非フィブリル合成繊維1の繊維配向であ
る。なお、図1に示す非フィブリル合成繊維2のよう
に、繊維の両端を結ぶ線が繊維層の長手方向と直交する
場合には、繊維層の長手方向に関する上流側及び下流側
を決定することができないので、便宜上、繊維層の長手
方向に直交する方向のいずれか一方(例えば、矢印Cで
示す方向)を基準とし、矢印Cで示す方向に関して上流
側に位置する端部u2を始点とし、矢印Cで示す方向に
関して下流側に位置するd2を終点とするベクトルv
2を、前記非フィブリル合成繊維2の繊維配向と規定す
る。
成する非フィブリル合成繊維の繊維配向のベクトル和の
方向は、例えば、円網抄紙機で抄紙した繊維層の場合、
一般に、各非フィブリル合成繊維の繊維配向が、繊維層
の長手方向に揃う傾向があるため、非フィブリル合成繊
維の繊維配向のベクトル和は、長手方向とほぼ同じ方向
を示す。一方、長網抄紙機又は短網抄紙機で抄紙した繊
維層の場合には、一般に、各非フィブリル合成繊維の繊
維配向がランダムになる傾向があるため、非フィブリル
合成繊維の繊維配向のベクトル和は、長手方向と幅方向
との間の方向、すなわち、長手方向から幅方向側へ偏向
した方向を示す。
いは、異なっているかを判定する手段は、特に限定され
るものではないが、例えば、各繊維層ごとに、長手方向
の引張り強度と幅方向の引張り強度とを測定し、その比
(以下、強度比と称する)を比較することにより判定す
ることができる。例えば、繊維層Aの繊維配向と繊維層
Bの繊維配向とを比較する場合には、繊維層Aにおける
長手方向の引張り強度(MDA)の、幅方向の引張り強
度(CDA)に対する強度比(MDA/CDA)と、繊維
層Bにおける長手方向の引張り強度(MDB)の、幅方
向の引張り強度(CDB)に対する強度比(MDB/CD
B)とを、それぞれ算出する。繊維層Aの強度比(MDA
/CDA)と繊維層Bの強度比(MDB/CDB)とが一
致すれば、繊維層Aの繊維配向と繊維層Bの繊維配向と
は同一であると判定することができ、繊維層Aの強度比
(MDA/CDA)と繊維層Bの強度比(MDB/CDB)
とが異なれば、繊維層Aの繊維配向と繊維層Bの繊維配
向とは異なっていると判定することができる。特に限定
されるものではないが、繊維層Aの強度比(MDA/C
DA)の、繊維層Bの強度比(MDB/CDB)に対する
比{(MDA/CDA)/(MDB/CDB)}が、2以上
か、あるいは、0.5以下であることが好ましい。な
お、前記「引張り強度」とは、JIS P 8113に
規定の方法により得られる値を意味する。
維シートは、特に限定されるものではないが、例えば、
2種類以上の異なる抄紙機で抄紙し、抄き合わせる(積
層する)ことにより、形成させることができ、例えば、
各繊維の繊維配向が一方向の繊維層と各繊維の繊維配向
がランダムである繊維層とを含む繊維シートを挙げるこ
とができる。抄紙機としては、例えば、長網抄紙機、短
網抄紙機、又は円網抄紙機(例えば、順流円網抄紙機、
逆流円網抄紙機、又は円網フォーマー抄紙機)などが公
知である。一般に、円網抄紙機で抄紙した場合には、各
繊維の繊維配向が一方向に揃う傾向があり、長網抄紙機
又は短網抄紙機で抄紙した場合には、各繊維の繊維配向
がランダムになる傾向がある。従って、繊維配向が異な
る繊維層2層は、例えば、長網抄紙機と円網抄紙機(例
えば、順流円網抄紙機、逆流円網抄紙機、又は円網フォ
ーマー抄紙機)との組み合わせにより、あるいは、短網
抄紙機と円網抄紙機(例えば、順流円網抄紙機、逆流円
網抄紙機、又は円網フォーマー抄紙機)との組み合わせ
により、形成することができる。また、繊維層3層から
なる場合には、例えば、或る繊維配向の繊維層(A層)
2つと、それとは異なる繊維配向の繊維層(B層)1つ
とを、A層−B層−A層、A層−A層−B層、又はA層
−B層−B層の順に積層して調製することもできる。本
発明のセパレータは、繊維配向が異なる繊維層2層以上
を有するので、繊維分布の不均一性が解消され、繊維の
分布状態が均一化されるので、ピンホールの形成が防止
され、従って、短絡の発生を抑制することができる。
構成する各繊維同士が圧着した状態にある。本明細書に
おいて「圧着」とは、加熱しない状態で、あるいは、構
成繊維の全繊維が軟化温度未満で加熱した状態で、圧力
を加えることにより、各繊維を相互に密着させることを
意味する。構成繊維の全繊維が軟化しない前記温度とし
ては、構成繊維を構成する樹脂のうち、最も低い軟化温
度を有する樹脂の軟化温度よりも10℃以上低い温度で
あることが好ましく、20℃以上低い温度であることが
より好ましい。また、圧着処理において加える圧力は、
特に限定されるものではないが、繊維同士が圧着し、強
度を保持することができるように、線圧50N/cm以
上であることが好ましい。本発明のセパレータは、前記
各繊維層を構成する各繊維を相互に圧着した状態にある
ため、強度の高い状態であることができ、従って、厚さ
の薄い状態にすることができる。また、各繊維を相互に
融着させた場合のように、フィルム化してイオンの透過
性を妨げることがない。更には、内部抵抗が低く、一定
体積当たりのエネルギー密度を高くすることもできる。
含む限り、繊維層の数は特に限定されるものではない。
また、繊維層を構成する各繊維層は、その全ての繊維層
がフィブリル合成繊維と非フィブリル合成繊維とを含む
繊維層であることもできるし、あるいは、それ以外の繊
維層(例えば、フィブリル合成繊維を含み、且つ非フィ
ブリル合成繊維を含まない繊維層、あるいは、非フィブ
リル合成繊維を含み、且つフィブリル合成繊維を含まな
い繊維層)を含むこともできる。本発明のセパレータの
面密度は、特に限定されるものではないが、例えば、2
0〜40g/m2であることが好ましい。なお、前記
「面密度」とは、JISP 8124(紙及び板紙−坪
量測定法)に規定する方法に基づく坪量を意味する。ま
た、本発明のセパレータの厚さは、特に限定されるもの
ではないが、例えば、30〜50μmであることが好ま
しい。なお、前記「厚さ」とは、JIS B7502に
規定する方法による測定値、すなわち、5N荷重時の外
側マイクロメーターによる測定値を意味する。更に、本
発明のセパレータの見掛密度は、特に限定されるもので
はないが、例えば、0.5〜0.8g/cm3であるこ
とが好ましい。なお、前記「見掛密度」とは、前記面密
度を前記厚さで割った値[すなわち、(面密度)/(厚
さ)]を意味する。面密度、厚さ、及び見掛密度が前記
の好適範囲内にあると、強度的に優れ、一定体積当たり
のエネルギー密度が高く、内部抵抗が低いセパレータで
あることができる。
の電気二重層キャパシタ用セパレータを含み、好ましく
は、前記セパレータ2枚以上を含む。セパレータを2枚
以上重ねて用いることにより、更に確実に短絡を防止す
ることができる。本発明の電気二重層キャパシタは、セ
パレータとして、本発明のセパレータを含むこと以外
は、従来公知の電気二重層キャパシタと同様の構成をと
ることができる。例えば、本発明のセパレータを、一対
の電極間に配置させることにより、本発明の電気二重層
キャパシタを構成することができる。より具体的には、
例えば、後述する実施例に示すように、それぞれがシー
ト状の集電極(例えば、アルミニウム薄板)、電極(例
えば、粒状活性炭、カーボンブラック、及びポリテトラ
フルオロエチレンを混ぜて練り上げた電極)、セパレー
タ、電極、及び集電極をこの順で積み重ねた最上層及び
/又は最下層に絶縁シートを重ねてから、この電極群を
捲回形に加工することにより、本発明の電気二重層キャ
パシタを構成することができる。
に限定されるものではないが、例えば、常法により繊維
シートを製造し、その繊維シートをセパレータとして使
用することができる。例えば、好適である湿式不織布は
次のようにして製造することができる。まず、フィブリ
ル合成繊維及び非フィブリル合成繊維(例えば、細繊
維)を、それぞれ用意する。これらのフィブリル合成繊
維及び非フィブリル合成繊維は、いずれも市販されてい
るため、容易に入手することができる。次いで、これら
の繊維を使用して、常法の湿式法(例えば、水平長網方
式、傾斜ワイヤー型短網方式、又は円網方式など)によ
り繊維ウエブを形成する。この際、異なる種類の抄紙機
(例えば、短網抄紙機と円網抄紙機との組み合わせ、あ
るいは、長網抄紙機と円網抄紙機との組み合わせ)によ
って抄造した各湿式繊維ウエブを湿潤状態で積層するこ
とにより、湿潤積層繊維ウェブとして製造することもで
きるし、あるいは、異なる種類の抄紙機によって抄造し
た各湿潤繊維ウエブとして別々に製造することもでき
る。
状態で乾燥して水分を除去することにより、あるいは、
個々のウェブ毎に別々に、乾燥して水分を除去した後、
積層することにより、乾燥湿式不織布を得ることができ
る。なお、前記乾燥は、繊維ウエブを構成する繊維が融
解しない温度で実施することが好ましい。得られた乾燥
湿式不織布を、例えば、カレンダーなどを用いて圧力を
加えることによって、各繊維を相互に圧着する。このよ
うに圧力を加えることによって、例えば、厚さを調整し
たり、厚さを薄くしたり、厚さを均一化したり、フィブ
リル合成繊維のフィブリル化処理を高めてより緻密なも
のとしたり、フィブリル合成繊維の微細繊維を密着させ
ることにより強度を向上させることができる。なお、圧
力を加える際には、加熱した状態で実施することもでき
るし、あるいは、加熱しない状態で実施することもでき
るが、加熱すると前記の厚さ調整効果及び強度向上効果
を発揮しやすい。但し、構成繊維が溶融する程度に加熱
すると、皮膜が形成されてイオン透過性が悪くなるた
め、加熱する場合には構成繊維を構成する樹脂のうち、
最も低い軟化温度を有する樹脂の軟化温度よりも10℃
以上低い温度で加熱することが好ましく、20℃以上低
い温度で加熱することがより好ましい。
するが、これらは本発明の範囲を限定するものではな
い。
リル合成繊維[ケブラー(登録商標);デュポン製,炭
化温度=500℃以上]と、ポリエチレンテレフタレー
トからなる非フィブリル合成細繊維(繊度=0.11d
tex,繊維長=3mm,融解温度=260℃,軟化温
度=253℃,断面=円形)とを、50:50の質量比
率で混合したスラリーを調製した。次いで、傾斜ワイヤ
ー型短網、順流円網、及びヤンキードライヤーを備えた
抄紙機に、前記スラリーを供給することにより、短網及
び円網のそれぞれのシートが抄き合わされた湿潤シート
を形成し、続いて、この抄き合わされた湿潤シートを温
度120℃に設定したヤンキードライヤーにより乾燥し
た。得られた乾燥シートを、温度220℃に設定された
一対の熱カレンダーにより押圧(線圧力=500N/c
m)して、湿式不織布、すなわち、本発明のセパレータ
(面密度=30g/m2,厚さ=43μm,見掛密度=
0.7g/cm3)を製造した。このセパレータを構成
するフィブリル合成繊維は、微細繊維部分と幹状繊維部
分とを含む繊維であった。また、セパレータを構成する
非フィブリル合成細繊維は、多少圧着されているもの
の、熱融着していないため、皮膜は形成されていなかっ
た。なお、セパレータを構成する短網により抄いたシー
トに由来する繊維層は、繊維がランダムに配向してお
り、円網により抄いたシートに由来する繊維層は、繊維
が一方向に配向していた。
ーの第1の組み合わせと、順流円網及びヤンキードライ
ヤーの第2の組み合わせとを両方備えた抄紙機に、前記
実施例1と同様のスラリーを供給することにより、各々
湿潤シートを形成した。これらの各湿潤シートを温度1
20℃に設定したヤンキードライヤーにより乾燥した。
得られた各乾燥シートは、短網及び円網双方とも、面密
度15g/m2のシートであった。この乾燥した短網シ
ートと乾燥した円網シートとを重ね、温度220℃に設
定された一対の熱カレンダーにより押圧(線圧力=50
0N/cm)して、湿式不織布、つまり、本発明のセパ
レータ(面密度=30g/m2,厚さ=43μm,見掛
密度=0.7g/cm3)を製造した。このセパレータ
を構成するフィブリル合成繊維は、微細繊維部分と幹状
繊維部分とを含む繊維であった。また、セパレータを構
成する非フィブリル合成細繊維は、多少圧着されている
ものの、熱融着していないため、皮膜は形成されていな
かった。なお、セパレータを構成する短網により抄いた
シートに由来する繊維層は、繊維がランダムに配向して
おり、円網により抄いたシートに由来する繊維層は、繊
維が一方向に配向していた。
網2台とヤンキードライヤーとを備えた抄紙機に供給し
て、各円網のそれぞれのシートが抄き合わされた湿潤シ
ートを形成した。この抄き合わされた湿潤シートを温度
120℃に設定したヤンキードライヤーにより乾燥し
た。得られた乾燥シートを、温度220℃に設定された
一対の熱カレンダーにより押圧(線圧力=500N/c
m)して、湿式不織布、すなわち、比較用セパレータ
(面密度=30g/m2,厚さ=43μm,見掛密度=
0.7g/cm3)を製造した。このセパレータを構成
するフィブリル合成繊維は、微細繊維部分と幹状繊維部
分とを含む繊維であった。また、セパレータを構成する
非フィブリル合成細繊維は、多少圧着されているもの
の、熱融着していないため、皮膜は形成されていなかっ
た。なお、セパレータを構成する円網により抄いたシー
トに由来する各繊維層は、いずれも繊維が一方向に配向
していた。
として、粒状活性炭、カーボンブラック、及びポリテト
ラフルオロエチレンを混ぜて練り上げた電極(圧延法に
より作製)を用意した。更に、セパレータとして、前記
実施例1及び2で製造した本発明のセパレータ、並びに
前記比較例1で製造した比較用セパレータに加え、市販
のキャパシタ用セルロース製セパレータ(比較例2;面
密度=20g/m2,厚さ=48μm,見掛密度=0.
4g/cm3)を用意した。これらの集電極、電極、及
びセパレータを、それぞれ100℃で5時間、180℃
で5時間、及び100℃で5時間乾燥した。次に、グロ
ーボックス内で集電極、電極、セパレータ2枚、電極、
及び集電極をこの順に積み重ねた最下層に絶縁シートを
重ねてから、この電極群を、500g荷重で捲回形に加
工した。電解液としてテトラエチルアンモニウム・テト
ラフルオロボーレイトをプロピレンカーボネートに溶解
させた溶液を減圧含浸した後、封緘して本発明のキャパ
シタ2種及び比較用キャパシタ2種を製造した。実施例
1及び2で製造した本発明のセパレータについては、2
枚のセパレータの短網層が、それぞれ外側に配置され、
両側の電極と接触するように挿入した。
機により測定した充放電カーブから求めた。すなわち、
内部抵抗は、1Aの定電流で2分間、2.5Vまで充電
した後、2分間で放電する操作により得られた充放電カ
ーブから求めた。静電容量は、0.02Aの定電流で1
0分間、2.5Vまで充電した後、10分間で放電する
操作により得られた充放電カーブから求めた。また、漏
れ電流は、0.9Vに印加したキャパシタの72時間後
における電圧の降下量を基に、式(1): i=C×(dV/dt) (1) [式中、iは漏れ電流を意味し、Cは静電容量を意味
し、dVは電圧降下量を意味し、dtは時間を意味す
る]から算出した。結果を表1に示す。
ータは、内部抵抗に関して、従来のセルロース製セパレ
ータ(比較例2)と比べても遜色のない値を示した。ま
た、従来のセルロース製セパレータは、使用枚数が3枚
以下では、巻回加工の際に、部分的な破断等の発生によ
り安定して製作することができなかった。このため、セ
パレータの占める体積が多くなるので、キャパシタの一
定体積中の電極材料が減少し、静電容量が低下した。比
較例1で製造した比較用セパレータは、漏れ電流が大き
く、使用することのできるものではなかった。漏れ電流
の基準としては、0.2mA以下であることが好ましい
からである。本発明のセパレータは薄く、2枚を前述の
ような配置で装填することによって短絡防止効果もあ
り、内部抵抗も低減する。この結果、エネルギー密度を
向上させることができ、電気二重層キャパシタを作製す
る際に最適なセパレータである。
が異なる繊維層2層以上を有するので、繊維分布の不均
一性が解消され、繊維の分布状態が均一化されるので、
ピンホールの形成が防止され、従って、短絡の発生を抑
制することができる。また、本発明のセパレータによれ
ば、繊維が相互に圧着した状態にあるため、融着した場
合と異なり、内部抵抗が低く、しかも、一定体積当たり
のエネルギー密度を高くすることができる。更に、本発
明のセパレータによれば、フィブリル合成繊維を含み、
しかも、繊維が相互に圧着した状態にあるため、形態安
定性に優れ、電解液に濡れても強度が低下しない。
示す説明図である。
層。
Claims (2)
- 【請求項1】 フィブリルを有する合成繊維とフィブリ
ルを有しない合成繊維とを含む繊維層2層以上を含む繊
維シートからなり、前記繊維層の内、少なくとも2層
が、互いに繊維配向の異なる繊維層であり、前記繊維シ
ートを構成する各繊維層の繊維が圧着されていることを
特徴とする、電気二重層キャパシタ用セパレータ。 - 【請求項2】 請求項1に記載の電気二重層キャパシタ
用セパレータを含む、電気二重層キャパシタ。
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