JP2002324670A - 有機el素子の製造方法 - Google Patents

有機el素子の製造方法

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JP2002324670A
JP2002324670A JP2001126368A JP2001126368A JP2002324670A JP 2002324670 A JP2002324670 A JP 2002324670A JP 2001126368 A JP2001126368 A JP 2001126368A JP 2001126368 A JP2001126368 A JP 2001126368A JP 2002324670 A JP2002324670 A JP 2002324670A
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JP2001126368A
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Emiko Kanbe
江美子 神戸
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 塗布による有機層の積層が可能であり、特性
に優れた有機EL素子の製造方法を提供する。 【解決手段】 積層される下層側と上層側の有機層の形
成に際し、下層側の有機層を、高分子EL材料を含有す
る層とし、上層側の有機層を、塗布溶媒として、i)総炭
素数3〜6の鎖状化合物であって、分子内に炭素数1〜
3のアルコキシ基、カルボニル基、および炭素数2〜3
のエステル基から選ばれる1種以上を有し、かつこれら
の基のα位および/またはβ位に水酸基を有する化合
物、ii)総炭素数3〜6の鎖状化合物であって、分子内
に炭素数2〜4のジアルキルアミド基を有する化合物、
iii)総炭素数5〜8の鎖状化合物であるエステル、なら
びにiv)総炭素数4〜7の鎖状化合物であるカーボネー
トから選択される1種以上の化合物を用いて塗布形成す
る有機EL素子の製造方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、塗布法により有機
層を積層形成することを特長とする有機EL素子の製造
方法に関し、更に詳細には、下層を侵すことなく安定で
アモルファスな膜を形成できる塗布溶媒を用いることに
より塗布による高信頼性でかつ高効率な有機EL素子形
成を可能にした製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】コダック社による真空蒸着法を用いた積
層型有機EL素子の発表以来、有機ELディスプレイの
開発が盛んに行われ現在実用化されつつある。
【0003】このような積層型有機EL素子の形成は、
低分子系色素を真空蒸著することによって行っている。
しかし、真空蒸着法では均質で欠陥がない薄膜を得るこ
とは困難であり、数層もの有機層を形成するには長時間
を要するため、効率的な素子の製造法とはいえないもの
であった。
【0004】また、特開平4−332874号、特開平
11−54270号、特開平11−40358号等に
は、生産効率の良いとされる塗布により、有機層を形成
した有機EL素子が開示されているが、いずれも有機層
は単層型であり、より効率の高まる発光が可能な有機層
の積層構造は考慮に入れていない。
【0005】さらに、特開平4−2096号、特開20
00−77185号においては塗布によって積層構造の
有機層を形成した有機EL素子が開示されている。特開
平4−2096号の実施例では、ポリマー型の正孔注入
輸送材料、あるいは正孔注入輸送材料と高分子バインダ
ーとの塗布により正孔注入輸送層を形成し、この上に発
光材料と高分子バインダーとの塗布により発光層を形成
したものなどが挙げられている。これらの塗布溶媒は、
正孔注入輸送層の塗設においては、1,2−ジクロルエ
タン、1,2,3−トリクロルプロパン、トルエン、酢
酸エチルなどであり、発光層の塗設においてはトルエ
ン、水−エタノール、メタノール、酢酸エチルなどであ
る。また、特開2000−77185号は、積層される
有機層中にシロキサン骨格を有する有機高分子を含有さ
せるものであり、その実施例には、積層される各有機層
に各機能化合物とシリコーン樹脂とを塗布し、架橋させ
ることが記載されている。これらの塗布溶媒は、テトラ
ヒドロフラン(THF)などである。
【0006】しかし、これらの積層構造では、積層可能
な有機層の構成が非常に限定されたり、架橋構造導入が
必要となったりということから効率の低い発光の有機E
L素子となっている。
【0007】また、現在一般に使われているポリマー型
有機EL素子においては、水溶液と有機溶媒を用いた溶
液との組合せで有機物層を形成した、有機物積層構造が
とられており、このようなものでは下層の構造が限定さ
れ、キャリアのチャージバランスがとりづらく、連続駆
動において寿命の短い素子が多い。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、塗布
により積層構造の有機層の形成が可能であり、このた
め、簡便にかつ短時間で有機EL素子を製造でき、なお
かつ発光効率が高く、長寿命であり、信頼性の高い有機
EL素子の製造方法を提供することである。
【0009】
【課題を解決するための手段】このような目的は、下記
(1)〜(4)の本発明により達成される。 (1) 基板と、基板上に設けられた第1電極と、発光
層を含む2層以上の積層された有機層と、有機層上に形
成された第2電極とを有し、前記有機層のうちの少なく
とも1層を有機溶媒に溶解した塗料を塗布することによ
り形成する有機EL素子の製造方法において、積層され
る下層側と上層側の有機層の形成に際し、下層側の有機
層を、高分子EL材料を含有する層とし、上層側の有機
層を、塗布溶媒として、i)総炭素数3〜6の鎖状化合物
であって、分子内に炭素数1〜3のアルコキシ基、カル
ボニル基、および炭素数2〜3のエステル基から選ばれ
る1種以上を有し、かつこれらの基のα位および/また
はβ位に水酸基を有する化合物、ii)総炭素数3〜6の
鎖状化合物であって、分子内に炭素数2〜4のジアルキ
ルアミド基を有する化合物、iii)総炭素数5〜8の鎖状
化合物であるエステル、ならびにiv)総炭素数4〜7の
鎖状化合物であるカーボネートから選択される1種以上
の化合物を用いて塗布形成する有機EL素子の製造方
法。 (2) 下層側有機層の高分子EL材料の分子量が、重
量平均分子量で5000以上である上記(1)の有機E
L素子の製造方法。 (3) 下層側有機層の高分子EL材料が、ポリフルオ
レンおよびその誘導体、ポリパラフェニレンビニレンお
よびその誘導体、ポリビフェニレンビニレンおよびその
誘導体、ポリターフェニレンビニレンおよびその誘導
体、ポリナフチレンビニレンおよびその誘導体、ポリチ
ェニレンビニレンおよびその誘導体、ポリN−ビニルカ
ルバゾールおよびその誘導体、ポリチオフェンおよびそ
の誘導体、ポリアクリレート誘導体、ならびにポリメタ
クリレート誘導体から選ばれる1種以上の化合物である
有機EL素子の製造方法. (4) 積層される下層側の有機層が、塗布形成される
上記(1)〜(3)のいずれかの有機EL素子の製造方
法。
【0010】
【発明の実施の形態】以下、本発明について詳細に説明
する。本発明の有機EL素子は、基板上に設けられた第
1電極と、これと対をなす第2電極との間に有機層を有
するものであり、この有機層は発光層を含む2層以上か
らなる。
【0011】このような2層以上の有機層は、少なくと
も1層が塗布により形成される。この場合の上下層とな
る2層について着目すると、下層側の有機層には、高分
子EL材料を含有させ、上層側の有機層は所定の塗布溶
媒を用いて形成される。
【0012】このような構成とすることで、塗布による
設層が可能になることから、生産性が向上し、かつ十分
な膜厚が得られるため、発光効率が高く、長寿命の有機
EL素子が得られる。
【0013】上記の着目する上下層の2層のほかに、有
機層が存在する構成では、上記の上下層が最上層側に位
置する方が好ましく、上記の下層側に、さらに、有機層
を設ける場合は、高分子材料を含有させることが好まし
い。
【0014】まず、上記の上下層について説明する。下
層側の有機層は、高分子EL材料を含有する層とする
が、高分子EL材料の分子量は、重量平均分子量Mwで
5000以上が好ましく、さらには5000〜50万で
あることが好ましい。このような分子量のものを用いる
ことにより、下層としての物理的強度が十分に得られ、
素子のリークなどが生ぜず、素子としての特性が向上す
る。
【0015】高分子EL材料は、有機EL素子を構成す
る有機層の機能を発現する材料となるものである。この
高分子EL材料は、目的とする層に応じて、適宜選択さ
れ、低分子化合物の機能材料を高分子化が可能な誘導体
とし、この誘導体から高分子を得るようにしてもよい。
【0016】高分子EL材料としては、具体的にはポリ
フルオレンおよびその誘導体、ポリパラフェニレンビニ
レンおよびその誘導体、ポリビフェニレンビニレンおよ
びその誘導体、ポリターフェニレンビニレンおよびその
誘導体、ポリナフチレンビニレンおよびその誘導体、ポ
リチェニレンビニレンおよびその誘導体、ポリN−ビニ
ルカルバゾールおよびその誘導体、ポリチオフェンおよ
びその誘導体、ポリアクリレート誘導体、ポリメタクリ
レート誘導体が挙げられる。
【0017】これらの高分子EL材料は、隣接層に含有
される化合物との組み合わせなどにもよるが、主に、正
孔注入輸送性の化合物や発光材料として用いられるもの
もある。また、ポリアクリレート誘導体、ポリメタクリ
レート誘導体は、目的に応じた機能性化合物(例えばN,
N,N'N'-テトラフェニルベンジジンのような正孔注入輸
送性化合物)を導入して高分子化したものである。
【0018】これらの高分子EL材料は、単独使用して
もよいが、目的とする有機層の機能を損なわない範囲で
2種以上を併用してもよい。
【0019】また、低分子化合物と併用してもよいが、
高分子EL材料の層全体に占める割合は20〜100%
(質量百分率)が好ましく、さらに好ましくは50〜1
00%(質量百分率)である。高分子成分の割合が低い
と上層に塗布により積層構造をとる工程において、この
下層部分が物理的に弱いため侵され、リークなどが発生
しやすくなる。
【0020】高分子EL材料を含有する下層の形成方法
は、特に限定するものではなく、真空蒸着法、イオン化
蒸着法、溶液塗布法(例えばスピンコート法、キャスト
法、ディップコート法、スプレーコート法など)が用い
られる。中でも、生産性向上の上では溶液塗布法が望ま
しい。
【0021】この高分子EL材料を含有する下層を塗布
により形成する場合の塗布溶媒は、高分子EL材料を溶
解するものであれば特に制限されるものではなく、トル
エン、キシレンなどの芳香族系、1,2-ジクロロエタン、
1,2,3-トリクロロプロパンなどのハロゲン系、テトラヒ
ドロフラン(THF)などのヘテロ環系、等の有機溶媒の使
用が一般的である。塗布に際しては0.1〜5%(質量
百分率)の溶液とすればよい。
【0022】なお、上層の塗布は、下層を乾燥(すなわ
ち下層中の溶媒の80%(質量百分率)以上を除去)し
た後に行うことが望ましい。
【0023】一方、このような下層と組み合わせて用い
られる上層は塗設されるが、この場合の塗布溶媒には、 i)総炭素数3〜6の鎖状化合物であって、分子内に炭
素数1〜3のアルコキシ基、カルボニル基、および炭素
数2〜3のエステル基から選ばれる1種以上を有し、か
つこれらの基のα位および/またはβ位(好ましくはα
位またはβ位)に水酸基を有する化合物、ii)総炭素数
3〜6の鎖状化合物であって、分子内に炭素数2〜4の
ジアルキルアミド基を有する化合物、iii)総炭素数5〜
8の鎖状化合物であるエステル、ならびにiv)総炭素数
4〜7の鎖状化合物であるカーボネートから選択される
1種以上の化合物が用いられる。
【0024】ここで述べる極性溶媒は、有機EL材料を
侵しにくいので積層用の塗布溶媒に適している。また、
顕微鏡観察によれば結晶粒が見られないことが確認さ
れ、また、X線回折分析によってもアモルファス膜が得
られていることがわかる。このアモルファス膜は、素子
を構成したとき、リークや機能低下が生じにくく、長寿
命となる利点がある。i)、ii)の化合物において、総炭
素数が3未満であるときは、塗料の乾燥速度が速すぎて
有機色素層の層厚を均一に制御することが困難となる。
一方、i)、ii)の化合物において、総炭素数が7以上で
ある湯合には、塗料の乾操速度が著しく遅くなり粘度の
増大等でやはり層厚の均一な制御が難しくなる。iii)、
iv)の化合物における総炭素数の範囲の規定も同様の理
由による。また、飽和アルコールは、炭素数が少ない場
合乾燥速度が速すぎ、有機EL材料の析出を招き、塗膜
形成ができないという難点があり、また、総炭素数が多
い場合は乾燥速度が遅くなるが同時に溶解性も低くなり
有機EL材料を溶解することができないという難点があ
る。また、芳香族系、ハロゲン系では、ほとんどの有機
EL材料を溶解するため、下層が侵され、リークすると
いう問題がある。さらに、酢酸エチル等の高速揮発エス
テル系では、上述のように、乾燥速度が速すぎて、アモ
ルファス塗膜の形成ができない。また、テトラヒドロフ
ラン(THF)等のヘテロ環系では下層が侵されやすく
なり、リークが生じてしまう。
【0025】このような有機溶媒の具体例としては、2
−メトキシエタノール、2−エトキシエタノール、イソ
プロピルセロソルブ、乳酸メチル、乳酸エチル、アセト
イン、ジアセトンアルコール、4−ヒドロキシブタノ
ン、プロピオイン、2−ヒドロキシ−2−メチル−3−
ブタノン、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミ
ド、酢酸プロピル、酢酸ブチル、酢酸sec-ブチル、酢酸
tert-ブチル、酢酸ペンチル、酢酸2−メチルブチル、
酢酸3−メチルブチル、酢酸ヘキシル、蟻酸ブチル、蟻
酸イソブチル、蟻酸ペンチル、蟻酸イソペンチル、蟻酸
ヘキシル、蟻酸ヘプチル、酪酸エチル、イソ酪酸エチ
ル、酪酸プロピル、酪酸イソプロピル、プロピルプロピ
オン酸、ブチルプロピオン酸、tert-ブチルプロピオン
酸、sec-ブチルプロピオン酸、吉草酸メチル、イソ吉草
酸メチル、吉草酸エチル、イソ吉草酸エチル、炭酸エチ
ルメチル、炭酸ジエチル、炭酸ジプロピル、等が挙げら
れる。
【0026】上層に添加され、この溶媒に溶解する有機
EL材料としては、溶解性を示すものであればよく、素
子構成に応じて適宜選択される。具体的には、テトラセ
ン、ジフェニルアントラセン、ペリレン、ルブレンなど
の縮合多環炭化水素化合物およびそれらの誘導体、フェ
ナントロリン、バソフェナントロリン、フェナントリジ
ン、バソクプロインなどの縮合複素環化合物およびその
誘導体、オキサジアゾール、トリアゾール、ビスベンゾ
キサゾリン、メロシアニン等の複素環化合物やそれらの
誘導体などを挙げることができる。また、有機金属錯
体、例えば、8−キノリノラト系錯体配位子として8−
キノリノールおよびその誘導体を配位できるアルカリ金
属もしくはアルカリ土類金属、ホウ素、アルミニウム、
ガリウム、インジウム等の錯体が挙げられる。
【0027】これらは主に発光材料や電子注入輸送性化
合物として用いられるものである。
【0028】これらは、有機層の機能を阻害しない範囲
内で、単独で使用してもよいし、それぞれ混合してもよ
い。また、必要に応じ、バインダー樹脂等を混合しても
よい。
【0029】このような有機材料は、上述の塗布溶媒に
それぞれの濃度が0.1〜5%(質量百分率)になるよ
う溶解されることが好ましい。塗布に関しては、スピン
コート法、スプレーコート法、ディップコート法などあ
らゆる溶液を用いる塗布法を用いることができる。塗布
後、上記溶媒の乾操のため、素子をホットプレート等で
加熱してもよい。加熱は、有機EL材料のTg(ガラス
転移温度)以下の温度が好ましく、通常50〜80℃程
度の温度であり、減圧下あるいは不活性雰囲気下の乾燥
が好ましい。
【0030】このような上下層の積層構造の有機層とさ
れる組み合わせは、通常、下層がポリマー型の正孔(ホ
ール)注入および/または輸送層、あるいは発光層で、
上層が所定の塗布溶媒を用いた発光層(電子注入および
/または輸送層を兼ねる場合もある。)、あるいは電子
注入および/または輸送層であることが好ましい。
【0031】したがって、本発明の有機EL素子は、基
板上に第1電極として陽極を有し、有機層上に第2電極
として陰極を有するものであることが好ましい。このよ
うな構成では、前述のとおり、陽極とポリマー型の下層
との間には、さらに、正孔注入および/または輸送層を
設けることもでき、このような層も、上層を塗布で形成
するならば、高分子材料を含有するポリマー型であるこ
とが好ましい。
【0032】ただし、本発明の有機EL素子は、用いる
高分子EL材料の種類や、塗布溶媒、等に応じて、第1
電極を陰極とし、第2電極を陽極とすることもでき、有
機層の構成も種々のものとすることができ、特に限定さ
れるものではない。また、高分子EL材料を、目的に応
じて合成することも可能である。
【0033】本発明において、上下層とされる有機層
は、通常は異なる機能をもつ層であるが、場合によって
は同一機能の層(例えば発光層同士)であってもよい。
【0034】有機層1層当たりの厚さは、塗布法による
ときは、0.5〜1000nmが好ましく、より好ましく
は10〜500nmである。また、真空蒸着法等の蒸着法
によるときは、1〜500nm程度である。
【0035】本発明において、陰極(電子注入電極)
は、電子注入層等との組み合わせでは、低仕事関数で電
子注入性を有している必要がないため、特に限定される
必要はなく、通常の金属を用いることができる。なかで
も、導電率や扱い易さの点で、Al,Ag,In,T
i,Cu,Au,Mo,W,Pt,PdおよびNi、特
にAl,Agから選択される1種または2種等の金属元
素が好ましい。これら陰極薄膜の厚さは、電子を電子注
入輸送層等に与えることのできる一定以上の厚さとすれ
ば良く、50nm以上、好ましくは100nm以上とすれば
よい。また、その上限値には特に制限はないが、通常膜
厚は50〜500nm程度とすればよい。
【0036】また、電子注入電極(陰極)として必要に
応じて下記のものを用いてもよい。例えば、K、Li、
Na、Mg、La、Ce、Ca、Sr、Ba、Sn、Z
n、Zr等の金属元素単体、または安定性を向上させる
ためにそれらを含む2成分、3成分の合金系、例えばA
g・Mg(Ag:0.1〜50%(原子比))、Al・
Li(Li:0.01〜14%(原子比))、In・M
g(Mg:50〜80%(原子比))、Al・Ca(C
a:0.01〜20%(原子比))、LiF(F:0.
01〜40%(原子比))等が挙げられる。電子注入電
極(陰極)薄膜の厚さは、電子注入を十分行える一定以
上の厚さとすれば良く、0.1nm以上、好ましくは0.
5nm以上、特に1nm以上とすればよい。また、その上限
値には特に制限はないが、通常膜厚は1〜500nm程度
とすればよい。電子注入電極(陰極)の上には、さらに
補助電極(保護電極)を設けてもよい。電子注入電極と
補助電極とを併せた全体の厚さとしては、特に制限はな
いが、通常50〜500nm程度とすればよい。
【0037】陽極(ホール注入電極)材料は、ホール注
入輸送層等へホールを効率よく注入することのできるも
のが好ましく、仕事関数4.5eV〜5.5eVの物質が好
ましい。具体的には、錫ドープ酸化インジウム(IT
O)、亜鉛ドープ酸化インジウム(IZO)、酸化イン
ジウム(In23 )、酸化スズ(SnO2 )および酸
化亜鉛(ZnO)のいずれかを主組成としたものが好ま
しい。これらの酸化物はその化学量論組成から多少偏倚
していてもよい。In23 に対するSnO2 の混合比
は、1〜20%(質量百分率)、さらには5〜12%
(質量百分率)が好ましい。また、IZOでのIn2
3 に対するZnOの混合比は、通常、12〜32%(質
量百分率)程度である。ホール注入電極は、仕事関数を
調整するため、酸化シリコン(SiO2 )を含有してい
てもよい。酸化シリコン(SiO2 )の含有量は、IT
Oに対するSiO2 の mol比で0.5〜10%程度が好
ましい。SiO2 を含有することにより、ITOの仕事
関数が増大する。
【0038】光を取り出す側の電極は、ホール注入電極
に限らず、発光波長帯域、通常400〜700nm、特に
各発光光に対する光透過率が50%以上、さらには80
%以上、特に90%以上であることが好ましい。透過率
が低くなりすぎると、発光層からの発光自体が減衰さ
れ、発光素子として必要な輝度を得難くなってくる。
【0039】ホール注入電極の厚さは、50〜500n
m、特に50〜300nmの範囲が好ましい。また、その
上限は特に制限はないが、あまり厚いと透過率の低下や
剥離などの心配が生じる。厚さが薄すぎると、十分な効
果が得られず、製造時の膜強度等の点でも問題がある。
【0040】さらに、素子の有機層や電極の劣化を防ぐ
ために、素子上を封止板等により封止することが好まし
い。
【0041】本発明において、有機EL構造体を形成す
る基板としては、非晶質基板(例えばガラス、石英な
ど)、結晶基板(例えば、Si、GaAs、ZnSe、
ZnS、GaP、InPなど)が挙げられ、またこれら
の結晶基板に結晶質、非晶質あるいは金属のバッファ層
を形成した基板も用いることができる。また金属基板と
しては、Mo、Al、Pt、Ir、Au、Pdなどを用
いることができ、好ましくはガラス基板が用いられる。
基板は、光取り出し側となる場合、上記電極と同様な光
透過性を有することが好ましい。
【0042】
【実施例】以下、本発明を実施例によって具体的に説明
する。比較例を併せて示す。 実施例1 ガラス基板上にシート抵抗15Ω/□のITO(インジ
ウム錫オキサイド)陽極(200nm厚)が形成されてい
る基板のITO上にホール注入層であるバイトロン(Bay
tron)P(バイエル株式会社製:ポリエチレンジオキサ
イドチオフェンとポリスチレンスルホン酸とのポリマー
の混合水分散液)を用いてスピンコートで40nm厚に形
成した。
【0043】次いで、ホール輸送層を形成した。ホール
輸送層は、トルエン溶媒に、ルブレンを1mol%、N,N,
N',N'−テトラフェニルベンジジンを導入したポリアク
リレート誘導体であるTPDポリマー(下記構造)を9
9mol%の比で混合したものを溶解させ、スピンコートで
40nm厚に形成した。この塗布液の濃度は1.0%(質
量百分率)である。
【0044】次いで、電子輸送性の発光層をスピンコー
トで形成した。メチルセロソルブ溶媒に、ルブレンを1
mol%、8−キノリノラト系アルミニウム錯体であるBA
lq(下記構造)を99mol%の比で混合したものを溶解
させスピンコートで50nm厚に形成した。この塗布液の
濃度は1.0%(質量百分率)である。
【0045】ここで、50℃で真空乾燥を1時間行っ
た。上記の膜厚は、いずれも真空乾燥後のものである。
【0046】次いで、その上に陰極を蒸着で形成した。
陰極はMgAg(Mg:Ag=10:1(体積比))で
200nm厚に形成した。
【0047】
【化1】
【0048】このようにして得られた有機EL素子の1
0mA/cm2での輝度は500cd/m2であり、黄色の発光が
得られ、10mA/cm2定電流駆動(Arガス下)での輝度
半減期は、600時間であった。
【0049】実施例2 TPDポリマー層の代わりにバイトロン(Baytron)P層
上に下記構造のポリフルオレン誘導体の層(発光層)を
形成する以外、実施例1同様にして素子を形成した。ポ
リフルオレン誘導体層はポリフルオレン誘導体のトルエ
ン塗布液(1.0%(質量百分率))から形成した。な
お、BAlq層(但し、ルブレンは含有しない。)は、
この場合、電子注入輸送層として機能する。
【0050】
【化2】
【0051】この素子の10mA/cm2での輝度は1500
cd/m2であり、緑色の発光が得られ、10mA/cm2定電流
駆動(Arガス下)での輝度半減期は、500時間であ
った。
【0052】実施例3 BAlq層の代わりに、ポリフルオレン層の上にトリス
(8−キノリノラト)アルミニウム(Alq3)の層を
ジメチルアセトアミド塗布液(0.5%(質量百分
率))を用いて15nm厚に形成する以外、実施例2と同
様にして素子を形成した。
【0053】この素子の10mA/cm2での輝度は、170
0cd/m2であり、緑色の発光が得られ、10mA/cm2での
輝度半減期は350時間であった。
【0054】実施例4〜5 メチルセロソルブの代わりに、1.3%(質量百分率)
の酢酸n−ブチル溶液または1.4%(質量百分率)の
炭酸ジエチル溶液を用いてBAlq層を形成する以外、
実施例2と同様にして素子を形成し、各素子の特性を調
べたところ、実施例2と同様の結果が得られた。
【0055】比較例1 実施例1と同様にバイトロン(Baytron)P層、次いでT
PDポリマー層を形成したのち、メタノール溶媒にてB
Alq層(実施例1と同じくルブレン含有)を40nm厚
に形成し、後は実施例1と同様にして素子を形成した。
なお、BAlq層は、濃度0.7%(質量百分率)のメ
タノール塗布液から形成した。
【0056】この素子では、BAlq層は膜中に結晶が
析出していた。また、10mA/cm2での輝度は150cd/m
2であり、10mA/cm2定電流駆動(Arガス下)での輝
度半減期は、1時間であった。
【0057】比較例2 実施例1と同様にバイトロン(Baytron)P層、次いでT
PDポリマー層を形成したのち、THF溶媒にてAlq
3層(トリス(8−キノリノラト)アルミニウム(Al
q3)99mol%とルブレン1mol%含有)層を40nm相当
厚に形成し、後は実施例1と同様にして素子を形成し
た。なお、Alq3層は、濃度1.0%(質量百分率)
のTHF塗布液から形成した。
【0058】この素子では、下層が侵され、素子がリー
クし、輝度等を測定できなかった。
【0059】比較例3 実施例1と同様にバイトロン(Baytron)P層、次いでN
PB(N,N'-ジナフチル−N,N'-ジフェニルベンジジン
(下記構造:NPB)99mol%とルブレン1mol%含有)層を
蒸着で形成したのち、メチルセロソルブ溶媒にてBAl
q層を40nm相当厚に形成し、後は実施例1と同様にし
て素子を形成した。なお、BAlq層は、濃度1.0%
(質量百分率)のメチルセロソルブ塗布液から形成し
た。
【0060】
【化3】
【0061】この素子では、下層が侵され、素子がリー
クし輝度等を測定できなかった。
【0062】
【発明の効果】本発明によれば、塗布による有機層の積
層が可能であり、発光効率が高く、長寿命の有機EL素
子が得られる。

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 基板と、基板上に設けられた第1電極
    と、発光層を含む2層以上の積層された有機層と、有機
    層上に形成された第2電極とを有し、前記有機層のうち
    の少なくとも1層を有機溶媒に溶解した塗料を塗布する
    ことにより形成する有機EL素子の製造方法において、 積層される下層側と上層側の有機層の形成に際し、下層
    側の有機層を、高分子EL材料を含有する層とし、上層
    側の有機層を、塗布溶媒として、i)総炭素数3〜6の鎖
    状化合物であって、分子内に炭素数1〜3のアルコキシ
    基、カルボニル基、および炭素数2〜3のエステル基か
    ら選ばれる1種以上を有し、かつこれらの基のα位およ
    び/またはβ位に水酸基を有する化合物、ii)総炭素数
    3〜6の鎖状化合物であって、分子内に炭素数2〜4の
    ジアルキルアミド基を有する化合物、iii)総炭素数5〜
    8の鎖状化合物であるエステル、ならびにiv)総炭素数
    4〜7の鎖状化合物であるカーボネートから選択される
    1種以上の化合物を用いて塗布形成する有機EL素子の
    製造方法。
  2. 【請求項2】 下層側有機層の高分子EL材料の分子量
    が、重量平均分子量で5000以上である請求項1の有
    機EL素子の製造方法。
  3. 【請求項3】 下層側有機層の高分子EL材料が、ポリ
    フルオレンおよびその誘導体、ポリパラフェニレンビニ
    レンおよびその誘導体、ポリビフェニレンビニレンおよ
    びその誘導体、ポリターフェニレンビニレンおよびその
    誘導体、ポリナフチレンビニレンおよびその誘導体、ポ
    リチェニレンビニレンおよびその誘導体、ポリN−ビニ
    ルカルバゾールおよびその誘導体、ポリチオフェンおよ
    びその誘導体、ポリアクリレート誘導体、ならびにポリ
    メタクリレート誘導体から選ばれる1種以上の化合物で
    ある有機EL素子の製造方法.
  4. 【請求項4】 積層される下層側の有機層が、塗布形成
    される請求項1〜3のいずれかの有機EL素子の製造方
    法。
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