JP2002323021A - ドリリングタッピンねじ及びその製造方法 - Google Patents

ドリリングタッピンねじ及びその製造方法

Info

Publication number
JP2002323021A
JP2002323021A JP2001124140A JP2001124140A JP2002323021A JP 2002323021 A JP2002323021 A JP 2002323021A JP 2001124140 A JP2001124140 A JP 2001124140A JP 2001124140 A JP2001124140 A JP 2001124140A JP 2002323021 A JP2002323021 A JP 2002323021A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
tapping screw
resin
drilling tapping
drilling
film
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2001124140A
Other languages
English (en)
Inventor
Tsugumoto Ikeda
貢基 池田
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Kobe Steel Ltd
Original Assignee
Kobe Steel Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Kobe Steel Ltd filed Critical Kobe Steel Ltd
Priority to JP2001124140A priority Critical patent/JP2002323021A/ja
Publication of JP2002323021A publication Critical patent/JP2002323021A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Abstract

(57)【要約】 【課題】 ドリル部の耐食性を維持しつつ、ドリル部へ
の亜鉛等耐食性皮膜の形成を防止することにより、薄金
属板等の被締結物に対するドリリングタッピンねじの穿
孔性を高め、ねじ込み作業効率が改善できるドリリング
タッピンねじとその製造方法を提供する。 【解決手段】 ドリリングタッピンねじをエポキシ系、
オレフィン系、又はテフロン(登録商標)系樹脂溶液に
浸漬して、少なくともドリル部表面に厚さ0.5μm以
上、特に好ましくは1〜5μmの樹脂皮膜を形成した
後、ドリル部以外の表面に電気めっき法等により亜鉛ま
たは亜鉛合金めっき等の耐食性皮膜を形成する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、被締結物である金
属板等に対して下穴を開けるためのドリル部を、タッピ
ンねじの先端部に当該先端部と一体した形態で形成した
ドリリングタッピンねじにおいて、防錆効果を損なうこ
となくねじ込み作業を改善する技術に関するものであ
る。
【0002】
【従来の技術】金属板等を締結する際に用いられるねじ
の中で、ドリリングタッピンねじは、被締結物、例えば
薄金属板を締結する場合等においては、被締結物に予め
下穴を開けておくことなく、その下穴を開けるためのド
リル部をタッピンねじの先端部に、この先端部と一体化
させて設けたタッピンねじである。ねじ先端の形状によ
り、とがり先のものと切り刃先のものとに分けられる。
【0003】図1に、ドリリングタッピンねじのうち、
ねじ先端が切り刃先形状のものの一例について、その正
面図を示す。ドリリングタッピンねじ1は、頭部2、シ
ャンク3、およびドリル部4で構成されており、シャン
ク3にはねじ山5が設けられ、そしてドリル部4には切
り刃6が設けられている。
【0004】薄金属板等の締結作業を効率的に行おうと
したり、あるいは、めねじ側が厚い金属板であったり、
塑性変形が困難な材料であったりする場合には、ドリリ
ングタッピンねじの穿孔効率を高めるために、ドリルは
縦方向に溝を設けられた切り刃を形成し、切り屑をスム
ーズに排出させるようにしたドリリングタッピンねじが
知られている。このように、刃先形状による穿孔効率の
改良がなされているものの、ドリリングタッピンねじに
よる材料等の締結作業効率は必ずしもよいものとはいえ
ない。これは、ねじ表面に存在する耐食性皮膜の硬度が
低いことも一因となっている。通常、鋼製ドリリングタ
ッピンねじでは、浸炭焼入れ焼戻し処理が施された後、
ねじの表面には、耐食性を付与するために、所要の表面
処理がなされている。たとえば、JIS B1125
(ドリリングタッピンねじ)では、鋼ドリリングタッピ
ンねじには、原則として電気亜鉛めっきを施すように規
定されている。
【0005】穿孔効率を高めるため、例えば、特開平3
−149407号公報では、ドリル部の表面処理とし
て、電気Znめっきや電気Snめっき等を施した後、所
要の加熱処理をしてZnとFeとの合金層、あるいはS
nとFeとの合金層を形成させたものが開示されてい
る。これによれば、ドリリングタッピンねじの全表面に
単にZnやSnあるいははんだを電気めっきした場合よ
りも、地鉄との間にそれぞれの金属との合金層の皮膜を
形成させることにより、一定の鉄板を貫通するのに要す
る時間が飛躍的に短縮されるとしている。しかしなが
ら、ドリリングタッピンねじ表面に亜鉛皮膜を形成させ
た後、加熱処理を施し、さらに酸化物を除去する工程を
必要とする問題がある。
【0006】また、特開平4−312207号公報に
は、ドリル部に切り屑排出用の細い溝を縦方向に設けた
ドリリングタッピンねじを成形した後、浸炭焼入れ、焼
戻しを施し、これにさらに、380〜400℃のZn4
0%−Sn60%の合金浴に約1分間浸漬し、引き上げ
て直ちに遠心力分離機のバケットに入れ、回転遠心力に
よって当該ドリリングねじの表面の余分な溶融合金を振
り切っためっき処理を施したものが開示されている。ま
た、特開2000−266023号公報には、溶融亜鉛
または溶融亜鉛合金で溶融めっきし、亜鉛または亜鉛合
金の融点以下の温度で加熱しながら遠心処理する方法が
開示されている。しかしながら、これらの方法ではめっ
き浴からドリリングタッピンねじを引き上げた後、当該
めっき融液が凝固しないうちに回転遠心力を付加した
り、高温加熱しながら遠心処理するといった煩雑な工程
を必要とする。
【0007】このような先行技術での問題点を解決し、
穿孔作業性を向上させるため、特開2000−1707
30号公報では、ドリル部には亜鉛めっき等の耐食性皮
膜が形成されていずに地鉄が露出しているドリリングタ
ッピンねじを開示している。これによれば、ドリル部の
表層硬さは亜鉛めっき等耐食性皮膜形成品に比べて飛躍
的に高めることができ、その結果、穿孔作業性が向上で
きるとしている。しかしながら、この発明品ではドリル
部に耐食性皮膜が形成されておらず地鉄が露出している
ため、耐食性が著しく劣っており、施工までの保管期間
においてドリル部に鉄錆が発生し、外観を損なうばかり
でなく、錆生成により穿孔作業性をかえって低下させる
問題がある。また、この発明品の製造手段としては亜鉛
等の耐食性皮膜形成後、ドリル部の該被膜を酸あるいは
アルカリ溶液により除去する方法や市販のテープ、ゴム
等のコーティング材でドリル部を被覆後、耐食性被膜を
形成し、コーティング材を除去する方法が例示されてい
るが、前者では耐食性皮膜除去に用いた酸あるいはアル
カリ成分が残存し、保管時あるいは施工時の耐食性を劣
化させる可能性がある。また、後者の方法は、コーティ
ング材の形成工程だけでなく、その除去工程も必要とす
るため、工程が煩雑となる。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記問題点
に鑑み、ドリル部の耐食性を維持しつつ、ドリル部への
亜鉛等耐食性皮膜の形成を防止することにより、薄金属
板等の被締結物に対するドリリングタッピンねじの穿孔
性を高め、ねじ込み作業効率が改善できるドリリングタ
ッピンねじとその製造方法を提供するものである。
【0009】本発明者らは、電気亜鉛めっきねじの穿孔
性が劣る原因について、亜鉛めっき膜厚の観点から検討
を行った。図2は従来のバレル式電気めっき法により亜
鉛めっきを施したドリリングタッピンねじへのめっき付
着状況の一例を示す図であり、(a)は頭部2の断面
図、(b)はドリル部4先端部の断面図であり、7は被
めっき材、8はめっき層である。図2(a)に示すよう
に、ドリリングタッピンねじにおいては、耐食性付与の
ため通常20μm程度の膜厚の亜鉛めっき層8がバレル
式の電気めっき法によって施されるのが一般的である
が、電気めっき法では、原理的に凸部に電流が集中しや
すく、その結果、図2(b)に示すようにドリル部4、
特に切り刃部のめっき層8の膜厚が40μm程度にまで
増大し、これが穿孔性劣化の一因となっていることを突
き止めた。すなわち、被締結物である金属板等に対して
ねじの小穴を開ける初期段階において、穴開けに関与す
るドリル部、特に切り刃部に皮膜硬度の低い亜鉛めっき
層が厚く形成されているため、穿孔性が阻害される。
【0010】これを解決する手段として、ドリル部のめ
っき膜厚を低減することや、前述の特開2000−17
0730号公報に記載されているようにドリル部にめっ
きが形成されないようにすることが考えられる。しかし
電気めっき、特にバレル方式での電気めっきにおいて
は、凸部となるドリル部のめっき膜厚を他の部分に比べ
て薄くすることは原理上、非常に困難である。
【0011】そこで、本発明者らは特開2000−17
0730号公報における問題点も勘案し、ドリル部表面
に、耐食性を有し且つ電気めっき皮膜の形成を防止し得
る物質を予め形成し(以下、「マスキング処理」と称
す。)、その後、電気めっき処理を行うことによりドリ
ル部の耐食性を損なうことなく、穿孔性を改善すること
を試みた。
【0012】通常、鋼製ドリリングタッピンねじでは、
表面硬度確保のため浸炭焼入れ焼戻し処理が施されるた
め、ねじ表面には強固な酸化皮膜が形成されており、ね
じ表面に密着性のよい電気めっきを施すためには、この
酸化皮膜を完全に除去する必要がある。そこで、一連の
電気めっき工程では、めっき前に水酸化ナトリウム水溶
液などの強アルカリ溶液で浸漬脱脂や電解脱脂し、さら
に塩酸などの強酸で酸洗処理して被めっき材表面が活性
化される。この脱脂・酸洗処理は、被めっき材表面が乾
燥して発錆することを避けるため、電気めっき処理と連
続して行われるのが一般的であり、上記マスキング処理
をかかる一連の電気めっき工程内で実施することは、工
程を煩雑にすることなどから困難である。そこで、一連
の電気めっき工程前、すなわち脱脂、酸洗などの処理の
前にマスキング処理を施すことが必要であり、マスキン
グ皮膜には、ねじを使用するまでの保管中における耐食
性(耐大気腐食性)のみならず、電気めっき層の形成を
防止するため耐アルカリ性、耐酸性が要求される。
【0013】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記観点
からマスキング皮膜の種類や皮膜形成方法について鋭意
検討を進めた結果、本発明を完成させるに至った。
【0014】第1の発明は、外周にねじ山を有するシャ
ンクと、該シャンクの一端部に該シャンクと一体となっ
て形成された頭部と、該シャンクの他端部に該シャンク
と一体となって形成されたドリル部とからなるドリリン
グタッピンねじにおいて、前記ドリル部表面に厚さ0.
5μm以上の耐薬品性樹脂の皮膜が形成され、前記ドリ
ル部以外の表面には耐食性皮膜が形成されていることを
特徴とするドリリングタッピンねじである。
【0015】第2の発明は、前記耐薬品性樹脂がエポキ
シ系樹脂、オレフィン系樹脂、又はテフロン系樹脂であ
る第1の発明に係るドリリングタッピンねじである。
【0016】第3の発明は、さらに、前記樹脂皮膜の厚
さが15μm以下である第1又2の発明に係るドリリン
グタッピンねじである。
【0017】第4の発明は、前記耐食性皮膜が亜鉛めっ
きである第1〜3のいずれかの発明に係るドリリングタ
ッピンねじである。
【0018】第5の発明は、外周にねじ山を有するシャ
ンクと、該シャンクの一端部に該シャンクと一体となっ
て形成された頭部と、該シャンクの他端部に該シャンク
と一体となって形成されたドリル部とからなるドリリン
グタッピンねじの製造方法であって、少なくとも前記ド
リル部表面に耐薬品性樹脂の皮膜を形成した後、前記ド
リル部以外の表面に耐食性皮膜を形成することを特徴と
するドリリングタッピンねじの製造方法である。
【0019】第6の発明は、前記耐薬品性樹脂がエポキ
シ系樹脂、オレフィン系樹脂、又はテフロン系樹脂であ
る第5の発明に係るドリリングタッピンねじの製造方法
である。
【0020】第7の発明は、前記耐食性皮膜の形成が電
気めっき法で行われるものである第5又は6の発明に係
るドリリングタッピンねじの製造方法である。
【0021】以下、本発明の実施の形態について説明す
る。
【0022】
【発明の実施の形態】マスキング皮膜としては、耐食性
(耐大気腐食性、めっき前処理工程での耐薬品性)の観
点からエポキシ系樹脂皮膜あるいはポリエチレン、ポリ
プロピレンなどのポリオレフィン系樹脂皮膜、テフロン
系樹脂皮膜などの耐薬品性樹脂皮膜が適用でき、その膜
厚は0.5μm以上が必要である。0.5μm未満では
電気めっき層の形成を防止する効果が小さく、ドリル部
へのめっき付着を抑制できないばかりでなく、めっき
後、使用までの保管期間における防食効果も不十分とな
る。一方、マスキング皮膜の膜厚は、あまり大きくしす
ぎると穿孔性が低下するので、15μm以下とすること
が好ましく、10μm以下とすることがさらに好まし
い。なお、防食性および耐食性を確実に兼ね備えさせる
ためには、マスキング皮膜の膜厚は1〜5μmに制御す
ることが特に好ましい。エポキシ系樹脂、ポリオレフィ
ン系樹脂、及びテフロン系樹脂としては、市販の水系や
溶剤系のものが適用可能であり、例えば、エポキシ系樹
脂として新東塗料株式会社製のSAクリヤーや旭電化工
業株式会社製のアデカレジンEM−0487、ポリオレ
フィン系樹脂としては三井化学株式会社製のケミパール
A−100、東邦化学工業株式会社製のHYTEC S
−9349、例えば、テフロン系樹脂として関西ペイン
ト株式会社製のアレスフロンなど(いずれも商品名)が
例示される。
【0023】耐食性皮膜としては、鋼製ねじに対する防
食性能から亜鉛めっきあるいは亜鉛合金めっきが適して
おり、亜鉛合金めっきの合金元素としてはNi、Coな
どの鉄族元素やMn、Cr、Snなどが例示される。
【0024】本発明に係るドリリングタッピンねじは、
例えば、以下のように製造される。
【0025】先ず、所要の化学成分を有する適切な直径
の鋼材、例えば、冷間圧造用炭素鋼線(例えば、JIS
G3539)あるいは機械構造用炭素鋼鋼材(例え
ば、S15C〜S22C)を素材として、所定寸法のド
リリングタッピンねじ(例えば、JIS B1125に
規定されたもの)に加工成形する。次いで、この成形品
に浸炭焼入れ焼戻し処理を施して、表層部を所要の硬度
になるよう硬化処理する。次に、エポキシ系樹脂、ポリ
エチレンなどのオレフィン系樹脂若しくはテフロン系樹
脂などの耐薬品性樹脂を含有する溶液中に浸漬する方
法、溶液をスプレーで吹き付ける方法等により所定の膜
厚(0.5μm以上、特に好ましくは1〜5μm)とな
るよう樹脂をドリル部に付着させ、乾燥または必要に応
じて硬化処理を行い、マスキング皮膜を形成させる。マ
スキング皮膜の膜厚の調整は、例えば、予め実験によ
り、使用する樹脂の種類ごとに、樹脂溶液の濃度または
吹き付け時間とマスキング皮膜の膜厚との関係を求めて
おき、適宜樹脂溶液の濃度または吹き付け時間を変更す
ることにより行うことができる。そして、所定の脱脂、
酸洗などの前処理を施したのち連続して電気亜鉛めっき
等により耐食性皮膜を形成させる。
【0026】なお、本発明に係るドリリングタッピンね
じは、ドリル部が、切り刃先のものに限らず、とがり先
のものであってもよい。
【0027】次に、本発明を実施例によってさらに具体
的に説明する。
【0028】
【実施例】図1に示すようなドリル部4を形成したドリ
リングタッピンねじ1(呼び径:4.8mm、全長:1
9mm)を複数個準備し、これらのねじ1のドリル部4
にマスキング処理として、表1に示す種々の有機樹脂皮
膜(エポキシ樹脂、ポリエチレン樹脂、アクリル樹脂、
ウレタン樹脂)を、各皮膜成分の濃度が10〜50質量
%の範囲の水溶液または有機溶媒中に5秒間浸漬し、溶
液濃度を適宜変更することにより種々の厚さに形成し、
これらを100℃×5分間の加熱条件にて硬化処理を行
った。ここに、エポキシ系樹脂Aは旭電化工業株式会社
製のアデカレジンEM−0487、エポキシ系樹脂Bは
新東塗料株式会社製のSAクリヤー、ポリエチレン樹脂
Aは三井化学株式会社製のケミパールA−100、ポリ
エチレン樹脂Bは東邦化学工業株式会社製のHYTEC
S−9349、ポリエチレン樹脂Cは東邦化学工業株
式会社製のHYTEC S−9284A(いずれも商品
名)である。そして、このマスキング処理後のドリリン
グタッピンねじを10質量%水酸化ナトリウム水溶液
中、40℃で1A/dm2、10分間の陽極電解脱脂、
水洗を行った後、10質量%塩酸水溶液に室温で10分
間浸漬、水洗を行い、その後、塩化アンモニウム浴を用
いて平均めっき膜厚20μmになるようバレル式電気め
っき法により亜鉛めっきまたは亜鉛合金めっきを施し
た。また、比較のため、マスキング処理を施さずに上記
と同じ条件で亜鉛めっきを施したドリリングタッピンね
じを複数個作製し、このうちの一部については、ドリル
部の亜鉛めっき層を10質量%硫酸水溶液により除去し
た。
【0029】これらのドリリングタッピンねじについ
て、ドリル部の断面観察によりマスキング皮膜の膜厚を
測定するとともに、この皮膜による亜鉛(または亜鉛合
金)めっきの付着防止効果を評価するため、ドリル部に
おけるめっき付着面積割合を目視により求めた。ここ
に、めっき付着面積割合とは、ドリル部全体の表面積に
対するめっきが付着した面積の割合をいう。また、この
皮膜の耐食性を評価するため、JIS Z2371に規
定されている塩水噴霧試験により24時間後のドリル部
における赤錆発生面積割合を目視により求めた。ここ
に、赤錆発生面積割合とは、ドリル部全体の表面積に対
する赤錆が発生した面積の割合をいう。さらに、穿孔性
を評価するため、電気ドリルを用いて板厚1.0mmの
溶融亜鉛めっき鋼板に対してドリリングタッピンねじを
垂直に打ち込んだ。電気ドリルのスイッチを入れてから
ドリリングタッピンねじを打ち込み終わるまでの所要時
間(以下、「ねじ打ち込み時間」という。)を測定し
た。
【0030】表1に試験結果の一覧を示す。
【0031】表1から明らかなように、エポキシ系また
はポリオレフィン系(ポリエチレン)樹脂により皮膜厚
さ0.5μm以上とした場合(No.2〜7、9〜1
3)、ドリル部表面へのめっき付着が認められないか、
めっき付着があってもその付着面積割合が5%以下と低
くめっき付着防止効果に優れ、また、ドリル部表面への
赤錆発生が認められないか、赤錆が発生してもその発生
面積割合が5%以下と低く耐食性に優れ、ねじ打ち込み
時間も3.5〜5.0秒と短く穿孔性に優れていること
が確認された。
【0032】これに対して、マスキング皮膜の膜厚が
0.5μm未満の場合(No.1、8)には、ドリル部
表面へのめっき付着が増加してめっき付着面積割合が5
%超または20%超となるとともに、めっきが付着して
いない部分では赤錆が発生して赤錆面積割合も5%を超
え、めっき付着防止効果、耐食性ともに低下することが
わかった。なお、ポリエチレン樹脂Bの皮膜厚さが15
μmを超えた場合(No.14)には、ねじ打ち込み時
間が6.5秒に延長され、穿孔性が低下することがわか
った。
【0033】一方、アクリル系やポリウレタン系などの
有機樹脂皮膜を施したもの(No.16、17)では、
めっき前処理であるアルカリ脱脂、酸洗過程で皮膜の溶
解あるいは剥離が生じて十分なマスキング効果が得られ
ず、その結果、マスキング処理なしの場合(No.1
8)と同様、めっき付着面積割合が5%超または20%
超と高くなり、赤錆の発生は認められなかったが、ねじ
打ち込み時間は5.7〜6.0秒に延長され、ドリル部
表面へのめっき付着防止効果、穿孔性ともに所定の膜厚
のエポキシ樹脂またはポリエチレン樹脂皮膜を施した本
発明品(No.2〜7、9〜13)より劣ることがわか
った。
【0034】また、亜鉛めっき後、ドリル部のめっき層
を溶解したもの(No.22)の場合、ねじ打ち込み時
間は3.8秒に短縮され穿孔性は良好であるものの、ド
リル部表面の赤錆発生面積割合は20%を超え耐食性が
著しく低下することが確認された。
【0035】
【表1】
【0036】
【発明の効果】以上述べたように、本発明のドリリング
タッピンねじを用いることにより、ドリル部の耐腐食性
を維持しつつ、ねじ込み時間が短縮されるので、作業効
率が改善される。
【図面の簡単な説明】
【図1】切り刃先型ドリリングタッピンねじの例の概略
正面図である。
【図2】従来の亜鉛めっきねじのめっき付着状況の一例
を示す図であり、(a)は頭部の断面図、(b)はドリ
ル部先端部の断面図である。
【符号の説明】 1:ドリリングタッピンねじ(切り刃先型) 2:頭部 3:シャンク 4:ドリル部 5:ねじ山 6:切り刃 7:被めっき材 8:めっき層
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C25D 17/16 C25D 17/16 A F16B 33/06 F16B 33/06 A Z

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 外周にねじ山を有するシャンクと、該シ
    ャンクの一端部に該シャンクと一体となって形成された
    頭部と、該シャンクの他端部に該シャンクと一体となっ
    て形成されたドリル部とからなるドリリングタッピンね
    じにおいて、前記ドリル部表面に厚さ0.5μm以上の
    耐薬品性樹脂の皮膜が形成され、前記ドリル部以外の表
    面には耐食性皮膜が形成されていることを特徴とするド
    リリングタッピンねじ。
  2. 【請求項2】 前記耐薬品性樹脂がエポキシ系樹脂、オ
    レフィン系樹脂、又はテフロン系樹脂である請求項1に
    記載のドリリングタッピンねじ。
  3. 【請求項3】 さらに、前記樹脂皮膜の厚さが15μm
    以下である請求項1又は2に記載のドリリングタッピン
    ねじ。
  4. 【請求項4】 前記耐食性皮膜が亜鉛めっきである請求
    項1〜3のいずれかに記載のドリリングタッピンねじ。
  5. 【請求項5】 外周にねじ山を有するシャンクと、該シ
    ャンクの一端部に該シャンクと一体となって形成された
    頭部と、該シャンクの他端部に該シャンクと一体となっ
    て形成されたドリル部とからなるドリリングタッピンね
    じの製造方法であって、少なくとも前記ドリル部表面に
    耐薬品性樹脂の皮膜を形成した後、前記ドリル部以外の
    表面に耐食性皮膜を形成することを特徴とするドリリン
    グタッピンねじの製造方法。
  6. 【請求項6】 前記耐薬品性樹脂がエポキシ系樹脂、オ
    レフィン系樹脂、又はテフロン系樹脂である請求項5記
    載のドリリングタッピンねじの製造方法。
  7. 【請求項7】 前記耐食性皮膜の形成が電気めっき法で
    行われるものである請求項5又は6に記載のドリリング
    タッピンねじの製造方法。
JP2001124140A 2001-04-23 2001-04-23 ドリリングタッピンねじ及びその製造方法 Pending JP2002323021A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2001124140A JP2002323021A (ja) 2001-04-23 2001-04-23 ドリリングタッピンねじ及びその製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2001124140A JP2002323021A (ja) 2001-04-23 2001-04-23 ドリリングタッピンねじ及びその製造方法

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2002323021A true JP2002323021A (ja) 2002-11-08

Family

ID=18973572

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2001124140A Pending JP2002323021A (ja) 2001-04-23 2001-04-23 ドリリングタッピンねじ及びその製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2002323021A (ja)

Cited By (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2006022371A (ja) * 2004-07-07 2006-01-26 Kida Seiko Kk ボルトのメッキ方法及びメッキライン
JP2006057729A (ja) * 2004-08-20 2006-03-02 Taisei Corp 木材接合用ねじ部材及びこれを用いた木材接合構造
JP2009257469A (ja) * 2008-04-16 2009-11-05 Nippon Steel Corp ドリリングタッピンねじ及びその製造方法
EP2003348A3 (de) * 2007-06-15 2010-02-10 Adolf Würth GmbH & Co. KG Schraube und ihre Verwendung
GB2478641A (en) * 2010-03-12 2011-09-14 Radio Design Ltd Masking means and methods of use
CN104562933A (zh) * 2014-12-23 2015-04-29 德阳天元重工有限公司 悬索桥索夹螺栓及其表面处理方法

Cited By (8)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2006022371A (ja) * 2004-07-07 2006-01-26 Kida Seiko Kk ボルトのメッキ方法及びメッキライン
JP4500609B2 (ja) * 2004-07-07 2010-07-14 木田精工株式会社 ボルトのメッキ方法及びメッキライン
JP2006057729A (ja) * 2004-08-20 2006-03-02 Taisei Corp 木材接合用ねじ部材及びこれを用いた木材接合構造
EP2003348A3 (de) * 2007-06-15 2010-02-10 Adolf Würth GmbH & Co. KG Schraube und ihre Verwendung
JP2009257469A (ja) * 2008-04-16 2009-11-05 Nippon Steel Corp ドリリングタッピンねじ及びその製造方法
GB2478641A (en) * 2010-03-12 2011-09-14 Radio Design Ltd Masking means and methods of use
GB2478641B (en) * 2010-03-12 2015-07-15 Radio Design Ltd Masking means and a method of using masking means
CN104562933A (zh) * 2014-12-23 2015-04-29 德阳天元重工有限公司 悬索桥索夹螺栓及其表面处理方法

Similar Documents

Publication Publication Date Title
CN1200139C (zh) 金属表面的防腐蚀方法
JP2002323021A (ja) ドリリングタッピンねじ及びその製造方法
JP5151645B2 (ja) ドリリングタッピンねじ及びその製造方法
JP5983277B2 (ja) 塗装後耐食性と耐エナメルヘア性に優れる高鮮映性塗装下地用電気亜鉛めっき鋼板およびその製造方法
US10081878B2 (en) Coated stainless steel member
JPS62211397A (ja) 密着性に優れた亜鉛系合金メツキ鋼板の製法
WO2021065025A1 (ja) 表面処理された亜鉛系めっき鋼板およびその製造方法
JP2003268521A (ja) 溶融Sn−Znめっき鋼板
JPH0525679A (ja) 耐衝撃密着性に優れた高耐食性表面処理鋼板
JP2006506531A (ja) 裸鋼板あるいは、亜鉛層であるいはポリマーを含む亜鉛合金層で被覆される亜鉛めっきを施された鋼板、および電気めっきによる製造方法
JPS61119694A (ja) 電気メツキ鋼板の製造方法
US20050232723A1 (en) Fastener for use in adverse environmental conditions
JP2665297B2 (ja) 亜鉛系めっきアルミニウム板の製造方法
JPH11310895A (ja) 亜鉛系電気めっき鋼板の製造方法
WO2021065026A1 (ja) 表面処理された亜鉛系めっき鋼板およびその製造方法
JP2009197944A (ja) ドリルねじ及びその製造方法
JP2961037B2 (ja) 耐衝撃密着性に優れたZn系めっき鋼板
JPH11350198A (ja) 複合亜鉛系合金めっき金属板およびその製造方法
JPH07166371A (ja) 耐食性、耐パウダリング性、耐低温衝撃剥離性、摺動性及びリン酸塩処理性にすぐれるZn−Ni系合金めっき鋼板及びその製造方法
JP2707477B2 (ja) 高耐食性複層電気めっき鋼板
KR100312133B1 (ko) 알루미늄합금의 내식피막형성방법
JP3358468B2 (ja) 亜鉛系複合めっき金属板およびその製造方法
JP2000170730A (ja) ドリリングタッピンねじ
JPH0665760A (ja) 高耐食性複層電気めっき鋼板
JP2000178794A (ja) 亜鉛系合金めっき金属板およびその製造方法