JP2002322367A - 耐水防汚性樹脂およびその耐水防汚性樹脂を有する成形体 - Google Patents

耐水防汚性樹脂およびその耐水防汚性樹脂を有する成形体

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JP2002322367A
JP2002322367A JP2001125446A JP2001125446A JP2002322367A JP 2002322367 A JP2002322367 A JP 2002322367A JP 2001125446 A JP2001125446 A JP 2001125446A JP 2001125446 A JP2001125446 A JP 2001125446A JP 2002322367 A JP2002322367 A JP 2002322367A
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resin
antibacterial
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JP2001125446A
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Mitsuyo Yamatomi
光代 山冨
Masahiko Ito
雅彦 伊藤
Shigeki Kawase
茂樹 河瀬
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Original Assignee
Matsushita Electric Industrial Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 商品にセルフクリーニング機能を付設するこ
となく、樹脂構成部材の変色や材料の劣化を防止するな
ど耐久性および衛生面の優れた耐水防汚性の熱可塑性樹
脂を得ること。 【解決手段】 成形時の熱で性能が低下しない耐熱性の
抗菌抗黴性組成物、帯電防止性組成物、均一に分散する
撥水性組成物のいずれか一種もしくは複数種が分散配合
した熱可塑性樹脂で構成することにより、耐水防汚性樹
脂および耐水防汚性樹脂成形体を得られる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、埃汚れや黴・雑菌
繁殖などに対する防汚染性を有する耐水防汚性樹脂に関
するものである。
【0002】
【従来の技術】日常的に使用する際に水と接することが
多く、構成材料表面に耐水性を要求される商品、例えば
洗濯機を構成する樹脂部材(洗濯兼脱水槽や攪拌翼、洗
濯槽蓋など)や温水洗浄便座を構成する樹脂部材(便
座、蓋など)には、ポリオレフィン系を主体とした熱可
塑性樹脂などが多く使用されている。洗濯機を例に挙げ
て説明すると、洗濯機の使用時間が長期間経過してくる
と、洗濯兼脱水槽や攪拌翼などの洗剤液やすすぎ水と接
触する部分が黒色や褐色などに変化することが知られて
いる。その原因は、洗濯機に特有の微生物であるペニシ
リウム属、ムコール属、キューブラリア属、クラドスポ
リウム属、アルタナリア属、ヒューミコーラ属を中心と
する黴、さらには酵母、細菌などの微生物が繁殖してい
るためである。これらの繁殖を防ぐために、樹脂部材に
抗菌抗黴性組成物を混練、成形する方法が考えられる
が、従来の抗菌抗黴性組成物は熱に弱く、例えば、洗濯
機構成部材として多用されているポリプロピレンをマス
ターバッチ混練および射出成形する際に一般的な成形温
度とされる約200℃以上の高温にさらされた場合、抗
菌抗黴性組成物は分解され、抗菌抗黴性能は発現されな
かった。また、表面に塗布する方法もあるが塗膜に耐水
性がなく、洗濯機の使用環境は高湿あるいは接水が条件
であることから、短期間に性能が失われる恐れがあっ
た。
【0003】一方、特公昭63−15874号公報に、
セルフクリーニング機能を有する全自動洗濯機が示され
ている。全自動洗濯機は、洗濯槽と脱水槽とを並設した
2槽式洗濯機と異なり、洗濯兼脱水槽(回転槽)の外周
に水受槽を配置したものである。全自動洗濯機を長期間
使用していると、回転槽の外周面および水受槽の内周面
に石けんかすや繊維屑などが付着し、特に水受槽の内周
面隅部には、その付着量が多くなる。しかし、セルフク
リーニング機能、すなわち水受槽に給水・貯水した状態
で回転槽を回転させる桶洗い工程を付設した前掲特公昭
63−15874号公報に記載の全自動洗濯機によれ
ば、微生物の栄養源となる金属石けんや繊維屑などの付
着物の堆積層が厚い場合には比較的容易に付着物を除去
することができるが、付着物の堆積層が薄い場合は付着
物を除去することが困難であり、このような場合、付着
物中の金属石けんなどを栄養源として微生物が繁殖し、
回転槽や水受槽、さらには主にすすぎ水などの洗浄液を
介して攪拌翼にまで汚染が広まり、各部材が黒色や褐色
などのくすんだ色に変化し、かつ材料劣化が進む恐れが
強い。また洗濯機使用者が定期的なセルフクリーニング
操作を怠った場合には、すすぎ洗い時に前記付着物が剥
れ落ち、濃色に着色された微生物を含む汚染物がすすぎ
水中に浮遊、分散し、洗濯物を汚す結果を招くという不
具合を生じる。なお、これらすすぎ水に含まれる多量の
カビ類はアレルギー性疾患の原因ともなり、衛生上好ま
しくない。また、昨今の高気密性住宅内において、換気
が定期的に行われない場合、部屋内の埃や粉塵などのハ
ウスダストが増加し、洗濯槽の蓋内側や操作パネルなど
に埃などが静電気により表面に吸着され黒ずみ、商品の
美観を損なうことがあるが、家庭用中性洗剤による清浄
方法しかなく、使用者に負担を強いている。日常的に水
に接する箇所で使用する商品の樹脂部分に発生する黴、
細菌の繁殖、および水垢、埃の付着を防止する機能を付
与した熱可塑性樹脂は存在しない。
【0004】本発明は、商品にセルフクリーニング機能
を付設することなく、樹脂構成部材の変色や材料の劣化
を防止するなど耐久性および衛生面の優れた耐水防汚性
の熱可塑性樹脂を得ることを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】前記従来の課題を解決す
るために、本発明は、熱可塑性樹脂として多用されてい
るポリプロピレンをマスターバッチ混練および射出成形
する際に、一般的な成形温度とされる約200℃以上の
高温にさらされても性能を低下しない耐熱性の抗菌性組
成物、帯電防止性組成物、および均一に分散する撥水性
組成物のいずれか一種または複数種を配合することを特
徴にした。本発明によると、樹脂部材表面から溶出する
抗菌性組成物の作用により、樹脂部材の表面や内部にカ
ビ、酵母、細菌等の微生物が繁殖するのを抑えることが
できる。また帯電防止性組成物の働きにより、静電気に
よる樹脂部材表面に対し汚れの吸着を防ぐことができ
る。また樹脂部材表面に存在する撥水性組成物の作用に
より、ファンデルワールス力により表面に付着した汚れ
粒子を流水によるロールアップ現象で剥離することが可
能になり、表面に堆積することがない。
【0006】
【発明の実施の形態】請求項1に記載の発明は、熱可塑
性樹脂に抗菌抗黴性組成物、帯電防止性組成物、撥水性
組成物のいずれか一種もしくは複数種を分散配合させる
ものである。耐水防汚性樹脂表面から溶出する抗菌性組
成物の作用により、耐水防汚性樹脂の表面や内部にカ
ビ、酵母、細菌等の微生物が繁殖するのを抑えることが
できる。また帯電防止性組成物の働きにより、静電気に
よる耐水防汚性樹脂表面の汚れの吸着を防ぐことができ
る。また耐水防汚性樹脂表面に存在する撥水性組成物の
作用により、ファンデルワールス力により表面に付着し
た汚れ粒子を流水によるロールアップ現象で剥離するこ
とが可能になり、表面に堆積することがない。
【0007】請求項2に記載の発明は、特に請求項1記
載の抗菌抗黴組成物の耐熱温度を150℃以上250℃
以下することにより、それぞれの可塑性樹脂において配
合する等の熱可塑性樹脂の成形温度にさらされても抗菌
抗黴性能を有し、樹脂部材表面での細菌や黴の繁殖を防
ぐ。
【0008】請求項3に記載の発明は、特に請求項1お
よび2記載の抗菌抗黴組成物として、抗菌抗黴作用のあ
る孟宗竹エキスを吸湿吸着能力の大きいシリカゲル担体
に速やかに吸着させて用い、これにより孟宗竹エキスの
蒸散を抑制し、熱安定性を向上させるため、成形後の樹
脂部材表面に抗菌抗黴性能を付与することができる。
【0009】請求項4に記載の発明は、特に請求項1お
よび2記載の抗菌抗黴組成物を、導電性ウィスカを担体
とし、担持可能な銀錯塩、植物抽出液、第4級アンモニ
ウム塩、グルコン酸クロルヘキシジンなどの抗菌抗黴組
成物を吸着させ、有機珪素化合物、ワックス、ステアリ
ン酸化合物などのコーティング材料で上記導電性ウィス
カの表面の一部あるいは全部をコーティング材料で被覆
したものである。ウィスカ表面にコーティング材料を塗
布することで、導電性ウィスカに吸着させた抗菌抗黴組
成物の徐放効果を得ることと共に、熱的安定性を増加さ
せる。
【0010】請求項5に記載の発明は、特に請求項1記
載の抗菌抗黴組成物および撥水性組成物を、グアニジル
基を含有する加水分解性有機シラン化合物およびグアニ
ジル基を少なくとも1個含有する有機ポリシロキサン化
合物群から選ばれた少なくとも1種とし、熱可塑性樹脂
に分散配合することによって、熱安定性に優れた抗菌抗
黴性能と同時に撥水性を付与し、防汚性に優れた耐水防
汚性樹脂を提供する。
【0011】請求項6に記載の発明は、特に請求項1記
載の帯電防止性組成物を、ポリエーテルエステルアミド
の群より選ばれる少なくとも一種とし、熱可塑性樹脂に
分散配合することによって、樹脂部材表面は除電され、
埃などの汚れ成分に対して静電引力による吸着が発生し
ない。
【0012】請求項7に記載の発明は、特に請求項1記
載の帯電防止性組成物を、界面活性剤の群より選ばれる
少なくとも一種とし、熱可塑性樹脂に分散配合すること
によって、樹脂部材表面は除電され、埃などの汚れ成分
に対して静電引力による吸着が発生しない。
【0013】請求項8に記載の発明は、特に請求項1記
載の帯電防止性組成物を、導電性ウィスカの群より選ば
れる少なくとも一種とし、熱可塑性樹脂に分散配合する
ことによって、樹脂部材表面は除電され、埃などの汚れ
成分に対して静電引力による吸着が発生しない。
【0014】請求項9に記載の発明は、特に請求項1記
載の撥水性組成物を、有機珪素化合物の群より選ばれる
少なくとも一種とし、樹脂部材表面に優れた撥水特性を
発現する。
【0015】請求項10に記載の発明は、特に請求項1
記載の撥水性組成物を、アルキルシラン化合物の群より
選ばれる少なくとも一種とし、樹脂部材表面に優れた撥
水特性を発現する。
【0016】請求項11に記載の発明は、抗菌抗黴組成
物、帯電防止性組成物、撥水性組成物を分散配合した熱
可塑性樹脂を筐体、構成部品およびその成形体に成形す
ることにより、抗菌抗黴性、永久帯電防止、撥水性を有
する成形品を提供する。
【0017】
【実施例】以下、本発明の実施例について説明する。
【0018】(実施例1)本実施例に用いる抗菌抗黴組
成物を製造する手順を説明する。シリカゲルは、「JI
SZ0701包装用シリカゲル乾燥剤」に記載のB型の
シリカゲルで、低湿度では比較的吸湿率が低く、かつ総
吸湿量の多い粉末で、平均粒径が2.6μm程度のもの
を用いた。このシリカゲル粉末を180℃で2時間以上
乾燥させたものを準備する。このシリカゲル100重量
部に対し、エチルアルコール95重量部に孟宗竹エキス
を5重量部溶解した溶液に、上記のシリカゲル粉末を分
散混合し、使用した溶媒の沸点温度よりやや高い温度で
乾燥し、速やかに吸着溶媒および吸湿水分を放出させた
後、目的粒径に粉砕して抗菌抗黴組成物[A−1]を得
た。
【0019】なお本実施例ではシリカゲルの平均粒径が
2.6μmのものを用いたが、平均粒径が0.1〜10
μmのものであれば同様の効果が得られる。またシリカ
ゲル100重量部に対し、エチルアルコールを50〜2
00重量部、孟宗竹エキス0.2〜10重量部の範囲で
用いても同様の効果を得ることができる。微粉末シリカ
ゲルの代わりに粒径約5μmのゼオライト粉末を用いて
もよい。また本実施例では、抗菌抗黴性材料として孟宗
竹エキスのみを用いたが、複数種の抗菌抗黴性材料を用
いて構成することもできる。また、溶媒はエチルアルコ
ールの代わりにメチルアルコールを用いてもよい。
【0020】次に本実施例に用いる撥水性組成物を製造
する手順を説明する。平均分子量5,000、密度0.
92の低分子量ポリプロピレン樹脂100重量部に対し
て、撥水剤「BX16−152B」(変性ジメチルシリ
コーン;東レダウコーニング(株)製)を10重量部を
ヘンシェルミキサーで3分間ブレンドした後、2軸押出
機で220℃、30rpm、滞留時間5分の条件で溶融混
練し、ペレット状の撥水性組成物[B−1]を得た。な
お本実施例に用いる撥水剤は、「BX16−152B」
(変性ジメチルシリコーン;東レダウコーニング(株)
製)を用いたが、他の有機珪素化合物またはアルキルシ
ラン化合物およびその混合物であっても同様の効果は得
られる。具体的な例として、有機珪素化合物としては、
ジメチルポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサ
ン、ジフェニルポリシロキサン、メチルハイドロジエン
ポリシロキサンなどのシリコーン化合物や、それらのシ
リコーン化合物をアルキッド変性、ポリエステル変性、
アクリル変性、エポキシ変性した変性シリコーン化合物
などが挙げられるが、これらに限定するものではない。
またアルキルシラン化合物としては、トリメチルメトキ
シシラン、トリメチルエトキシシラン(以下メトキシが
エトキシやクロロであってもよい)、ジメチルジメトキ
シシラン、メチルトリメトキシシラン、メチルジメトキ
シシラン、ジメチルメトキシシラン、ジフェニルジメト
キシシラン、フェニルトリメトキシシランなどが挙げら
れるが、これらに限定するものではない。
【0021】次に、耐水防汚性樹脂成形体の成形の手順
を説明する。ポリプロピレン樹脂100重量部に対し、
抗菌抗黴組成物[A−1]5重量部、帯電防止剤「ペレ
スタッド300」(高分子型帯電防止剤;三洋化成
(株)製)5重量部、撥水性組成物[B−1]1重量部
をヘンシェルミキサーで3分間ブレンドした後、2軸押
出機で220℃、30rpm、滞留時間5分の条件で溶融
混練し、樹脂組成物を得た。射出成形機により試験片を
成形した。大きさは帯電防止効果を表す表面固有抵抗値
を測定するための厚さ2mm、8cm角とした。表面固有抵
抗の測定条件は、成形後、各試験片をそのまま20℃、
湿度65%RH雰囲気下に24時間放置試験片を処理し
たものについて行った。
【0022】なお本実施例に用いる熱可塑性樹脂は、ポ
リオレフィン系樹脂、ポリアクリル系樹脂、ポリスチレ
ン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポ
リカーボネート系樹脂、ポリアセタール樹脂、熱可塑性
ポリウレタン、フッ素樹脂などが挙げられるが、これら
に限定するものではない。具体的にはポリオレフィン系
樹脂として、ポリプロピレン、ポリエチレン、エチレン
ー酢酸ビニル共重合体(EVA)、エチレンーエチルア
クリレート系共重合体などが挙げられるが、これらに限
定するものではない。ポリアクリル系樹脂として、ポリ
メタクリル酸メチルなどが挙げられる。ポリスチレン系
樹脂としては、ポリスチレン、スチレン/アクリロニト
リル共重合体(AN樹脂)、アクリロニトリル/ブタジ
エン/スチレン共重合、スチレン/メチレン共重合体
(MS樹脂)などが挙げられるが、これらに限定するも
のではない。ポリエステル系樹脂としては、ポリエチレ
ンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリ
シクロヘキサンジメチレンテレフタレート、ポリブチレ
ンアジペート、ポリエチレンアジペートなどが挙げられ
るが、これらに限定するものではない。ポリアミド系樹
脂としては、ナイロン66、ナイロン69、ナイロン6
12、ナイロン6、ナイロン11、ナイロン12、ナイ
ロン46、ナイロン6/66、ナイロン6/12などが
挙げられるが、これらに限定するものではない。熱可塑
性樹脂のメルトインデックス(230℃2.16kg)は
通常0.1〜100である。これらのうち好ましいのは
ポリオレフィン系樹脂であり、特に好ましいものはポリ
プロピレン、ポリエチレンおよびABS樹脂である。
【0023】なお本実施例に用いる導電性組成物は、
「ペレスタッド300」(高分子型帯電防止剤;三洋化
成(株)製)を用いたが、ポリエーテルエステルアミド
の群より選ばれるものであれば同様の効果は得られ、こ
れに限定するものではない。
【0024】本発明の導電性組成物の導電性は、通常1
×108〜1×1016Ω、好ましくは1×1010〜1×
1015Ω、特に好ましくは1×1012〜1×1014Ωで
ある。
【0025】本実施例に従って成形した試験片および比
較対象としてポリプロピレンのみを用いて成形した試験
片を用いて、下記に示すような抗菌試験および抗黴試験
を行った。上記抗菌試験は、エスケリチアコーライ(Es
cherichia coli)、コッカスアウレウス(Staphyrococc
us aureus)、バチルスザブチリス(Bacillus subtili
s)を用いて、ハローテスト法を行い、評価は7日後に
行った。また抗黴試験は、日本工業規格のカビ抵抗性試
験(JISZ2911)の繊維製品用防黴試験によるハ
ローテスト法に準じた。用いた黴は、クラドスポリウム
クラドスポリオイデス(Cladosporium cladosporioide
s)、ケトミウムグロボスム(Chaetomium globosum)、
ペニシリウムシトリナム(Penicilliumcitrinum)、ア
スペルギルスニゲル(Aspergillus niger)で、評価は
14日後に行った。その結果、(表1)に示す抗菌スペ
クトルが得られ、実用的な抗菌抗黴性能が確認できた。
【0026】
【表1】
【0027】また、本実施例に従って成形した試験片お
よび比較対象としてポリプロピレンのみを用いて成形し
た試験片を用いて、下記に示すような水垢防汚試験を行
った。上記水垢防汚試験は、ビーカーに入れた水道水に
試験片の半分が浸漬するようにし、40℃雰囲気中で3
日間放置した。その結果および本実施例に従って成形し
た試験片および比較対象としてポリプロピレンのみを用
いて成形した試験片の表面固有抵抗値を(表2)に示
す。ポリプロピレンのみの試験片には水道水中の炭酸カ
ルシウムの固着による喫水線が確認されたが、本実施例
による試験片には固着が認められなかった。本実施例に
よる試験片の表面固有抵抗値は一般に埃がつかない限界
値とされる1×1014Ωよりも小さい3×1012Ωであ
ったのに対し、ポリプロピレンのみを用いて成形した試
験片は5×1015Ωであった。
【0028】
【表2】
【0029】また、本発明の耐水防汚性樹脂には、必要
に応じ、本発明の特性を阻害しない範囲で公知の他の樹
脂用添加物を任意に添加することができる。該組成物と
しては、顔料、染料、充填剤、核剤、ガラス繊維、滑
剤、可塑剤、離型剤、酸化防止剤、難燃剤、紫外線吸収
剤などが挙げられる。
【0030】本発明の耐水防汚性樹脂を射出成形(イン
ジェクション成形)、中空成形(ブロー成形)、押出成
形などの成形方法により、日常的に水と接する部分の筐
体、構成部品およびその他の成形体を得ることができ
る。具体的な例を挙げると、洗濯兼脱水槽、攪拌羽、操
作パネルなどの洗濯機部材、浴槽循環孔、物置棚、排水
孔、配水管などのシステムバス、洗面台、システムキッ
チンなど水周り機器部材、筐体、小物立てなどの食器洗
浄乾燥機部材、便座、便器蓋、操作部などの温水洗浄便
座部材などに利用できるが、ここに挙げた商品に限定す
るものでない。
【0031】(実施例2)本実施例に用いる抗菌抗黴組
成物を製造する手順を説明する。酢酸銀100重量部に
対して、亜硫酸ナトリウム400重量部、チオ硫酸ナト
リウム水和物300重量部を塩素を含まない水に溶解
し、十分攪拌しながら混合しチスルファト銀錯塩水溶液
を得る。一方平均長さ約50μm、ウィスカ径約2μmの
酸化亜鉛ウィスカを180℃で2時間以上乾燥させたも
のを準備する。上記酸化亜鉛ウィスカ2000重量部を
銀錯塩水溶液中に分散した後、約60℃で速やかなに吸
着水分を放出させ、目的粒径に粉砕して、酸化亜鉛ウィ
スカ担体に抗菌抗黴性材料を吸着させた材料を得る。テ
トラメトキシシラン100重量部を溶解した溶液中に抗
菌抗黴性材料を吸着させた担体100重量部を分散させ
た後、20重量部の純水を加え、テトラメトキシシラン
を加水分解する。この操作により、抗菌抗黴性材料を吸
着させた担体表面の一部または全部をコーティングし、
加水分解に使用したエチルアルコールを速やかに揮発さ
せ乾燥して抗菌抗黴組成物[A−2]を得る。さらに酸
化亜鉛ウィスカは樹脂の剛性、耐磨耗性などの特性を改
善するとともに、酸化亜鉛ウィスカは抗菌抗黴性を発揮
する重金属材料として知られており、抗菌抗黴組成物
[A−2]とともに徐放することによって長期間の抗菌
抗黴効果をも得ることができる。
【0032】なお、本実施例では銀錯塩を用いたが、植
物抽出物、第4級アンモニウム塩、グルコン酸クロルヘ
キシジンなどの抗菌抗黴性材料を用いてもよい。また、
コーティング材料としては、有機珪素化合物、ワック
ス、ステアリン酸化合物などを用いても同様の効果を得
られる。また導電性ウィスカとして、酸化亜鉛ウィスカ
を用いたが、導電性ウィスカの群から選ばれる一種以上
のものであれば同様の効果が得られる。具体的には、チ
タン酸カリウムウィスカ、チタン酸ナトリウムウィスカ
などのチタン酸金属塩系ウィスカ、ホウ酸マグネシウ
ム、ホウ酸アルミニウムなどのホウ酸金属塩系ウィス
カ、珪酸カルシウムウィスカ、珪酸アルミニウムウィス
カなどの珪酸金属塩系ウィスカ、硫酸カルシウムウィス
カなどの硫酸金属塩ウィスカ、炭酸カルシウムウィスカ
などの炭酸金属塩ウィスカ、酸化亜鉛ウィスカ、酸化チ
タンウィスカ、酸化マグネシウムウィスカ、酸化アルミ
ニウムウィスカ、酸化ベリリウムウィスカなどの酸化金
属系ウィスカ、炭化珪素ウィスカ、炭化チタンウィスカ
などの炭化金属系ウィスカ、窒化アルミニウムウィス
カ、窒化珪素ウィスカ、窒化チタンウィスカなどの窒化
金属系ウィスカ、炭素ウィスカなどのその他のウィスカ
の針状あるいはテトラポット状のウィスカ、ならびにこ
れらのウィスカ表面を銀、銅、スズなどの金属で被覆し
たウィスカが挙げられる。これらのうち、好ましいもの
はチタン酸カリウムウィスカ、酸化チタンウィスカ、酸
化亜鉛ウィスカおよびホウ酸アルミニウムウィスカであ
る。これら導電性ウィスカの形状としては、導電性組成
物の比重を小さくする観点から、短軸が通常、0.01
〜30μm、好ましくは0.1〜10μm、長軸が通常1
〜100μm、好ましくは10〜50μmの針状ウィスカ
がよい。また長軸と短軸の比(アスペクト比)は、通常
10〜1,000で、好ましくは100〜500であ
る。
【0033】本発明の導電性組成物を成形材料に用いる
場合の導電性ウィスカの量は、樹脂材料100重量部に
対して、通常0.01〜30重量部、好ましくは0.5
〜10重量部である。0.01重量部未満では導電性が
不十分であり、30重量部を超えると成形性が悪くな
り、また導電性組成物の比重が大きくなるので好ましく
ない。
【0034】次に、耐水防汚性樹脂成形体の成形の手順
を説明する。ポリプロピレン樹脂100重量部に対し、
抗菌抗黴組成物[A−2]5重量部、導電性組成物とし
て界面活性剤のアルキルベンゼンスルホン酸を2重量部
をヘンシェルミキサーで3分間ブレンドした後、2軸押
出機で220℃、30rpm、滞留時間5分の条件で溶融
混練し、樹脂組成物を得た。これを射出成形機により、
試験片を成形した。大きさは帯電防止効果を表す表面固
有抵抗値を測定するための厚さ2mm、8cm角とした。表
面固有抵抗の測定条件は、成形後、各試験片をそのまま
20℃、湿度65%RH雰囲気下に24時間放置試験片
を処理したものについて行った。
【0035】なお本実施例に用いる導電性組成物は、ア
ルキルベンゼンスルホン酸を用いたが、非イオン性、ア
ニオン性、カチオン性もしくは両性の界面活性剤であれ
ば同様の効果は得られ、これに限定するものではない。
非イオン性界面活性剤としては、高級アルコールエチレ
ンオキサイド付加物、脂肪酸エチレンオキサイド付加
物、高級アルキルアミンエチレンオキサイド付加物、ポ
リプロピレングリコールエチレンオキサイド付加物など
のポリエチレングリコール型の非イオン界面活性剤、ポ
リエチレンオキサイド、グリセリンの脂肪酸エステル、
ペンタエリスリットの脂肪酸エステル、ソルビットおよ
びソルビタンの脂肪酸エステル、多価アルコールのアル
キルエーテル、アルカノールアミン類の脂肪酸アミドな
どの多価アルコール型非イオン界面活性剤などが挙げら
れる。アニオン性界面活性剤としては、高級脂肪酸のア
ルカリ金属塩などのカルボン酸塩類、高級アルコール硫
酸エステル塩、高級アルキルエーテル硫酸エステル塩な
どの硫酸エステル塩類、アルキルベンゼンスルホン酸
塩、アルキルスルホン酸塩、パラフィンスルホン酸塩な
どのスルホン酸塩類、高級アルコールリン酸エステル塩
などのリン酸エステル類などが挙げられる。カチオン型
界面活性剤としては,アルキルトリメチルアンモニウム
塩などの第4級アンモニウム塩類などが挙げられる。両
性界面活性剤としては、高級アルキルアミノプロピオン
酸塩などのアミノ酸型両性界面活性剤、高級アルキルジ
メチルベタイン、高級アルキルジヒドロキシエチルベタ
インなどのベタイン型両性界面活性剤などが挙げられ
る。これらのうち好ましいものは、アニオン性界面活性
剤であり、特に好ましいものはアルキルベンゼンスルホ
ン酸塩、アルキルスルホン酸塩、パラフィンスルホン酸
塩などのスルホン酸塩類である。 界面活性剤の使用量
は使用樹脂の合計重量に対して、通常0.1〜5重量
%、好ましくは0.4〜3重量%である。界面活性剤の
量が0.1重量%未満では効果が発現せず、5重量%を
超えると樹脂表面に析出し樹脂の外観を損ねたり、樹脂
物性が阻害されたりするので好ましくない。
【0036】また、帯電防止効果をさらに向上させる目
的で、アルカリ金属およびアルカリ土類金属のいずれか
一種以上を含んだハロゲン化物からなる金属塩を含有さ
せてもよい。金属塩としては、塩化リチウム、塩化ナト
リウム、塩化カリウム、塩化マグネシウム、塩化カルシ
ウム、臭化ナトリウム、臭化カリウム、臭化マグネシウ
ムなどが挙げられる。これらのうち、特に好ましいのは
塩化ナトリウムおよび塩化カルシウムである。これら金
属塩の使用量は、使用樹脂の合計重量に対して通常0.
01〜5重量%、好ましくは0.05〜3重量%であ
る。金属塩の量が0.01重量%未満では効果が発現せ
ず、5重量%を超えると樹脂表面に析出し樹脂の外観を
損ねる。
【0037】本実施例に従って成形した試験片および比
較対象としてポリプロピレンのみを用いて成形した試験
片を用いて、下記に示すような抗菌試験および抗黴試験
を行った。上記抗菌試験は、エスケリチアコーライ(Es
cherichia coli)、コッカスアウレウス(Staphyrococc
us aureus)、バチルスザブチリス(Bacillus subtili
s)を用いて、ハローテスト法を行い、評価は7日後に
行った。また抗黴試験は、日本工業規格のカビ抵抗性試
験(JISZ2911)の繊維製品用防黴試験によるハ
ローテスト法に準じた。用いた黴は、クラドスポリウム
クラドスポリオイデス(Cladosporium cladosporioide
s)、ケトミウムグロボスム(Chaetomium globosum)、
ペニシリウムシトリナム(Penicilliumcitrinum)、ア
スペルギルスニゲル(Aspergillus niger)で、評価は
14日後に行った。その結果、(表3)に示す抗菌スペ
クトルが得られ、実用的な抗菌抗黴性能が確認できた。
【0038】
【表3】
【0039】本実施例に従って成形した試験片および比
較対象としてポリプロピレンのみを用いて成形した試験
片の表面固有抵抗値を(表4)に示す。本実施例による
試験片の表面固有抵抗値は一般に埃がつかない限界値と
される1×1014Ωよりも小さい4×1012Ωであった
のに対し、ポリプロピレンのみを用いて成形した試験片
は5×1015Ωであった。
【0040】
【表4】
【0041】(実施例3) ポリエチレン粉末100重量部に対してビグアニジル基
含有アルコキシシラン化合物
【0042】
【化1】
【0043】2.5重量部と混合し、160℃、30rp
m、滞留時間5分の条件で溶融混練し、樹脂組成物を得
た。これを射出成形機により、試験片を成形した。な
お、本実施例では、抗菌抗黴組成物としてビグアニジル
基含有アルコキシシラン化合物を用いたが、グアニジル
基を含有する有機珪素化合物であれば同様の効果が得ら
れ、具体的にはグアニジル基を含有する加水分解性有
機シラン化合物グアニジル基を少なくとも1個含有す
る有機ポリシロキサン化合物、またはこれらの混合物
のいずれかである。グアニジル基を有する加水分解性有
機シラン化合物としては、下記一般式(2)で示される
ものが好ましい。
【0044】 X1X2X3−Si−Y1−NHC(=NH)NH−Z1 (2) ここで、X1〜X3は、その少なくとも1つは、アルコ
キシル基(例、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ
基、イソプロポキシ基など)およびハロゲン (例、塩
素)から選ばれた加水分解性の基であり、残りは水素、
C1〜C5アルキル基(例、メチル基、エチル基、プロ
ピル基、イソプロピル基など)、またはフェニル基など
の非加水分解性の基である。好ましくは、X1〜X3の
2つ以上、より好ましくは全部が加水分解性の基であ
る。Y1は、オキシ基、アゾ基、チオ基、ヒドロキシメ
チレン基、オキシカルボニル基、フェニレン基などの介
在基を鎖中に含んでいてもよいC1〜C30 アルキレ
ン基を意味し、Z1はシアノ基または−C(=NH)N
H−Z2で示される基であり、ここでZ2は水素、C1
〜C20アルキル基、またはフェニル基であり、フェニ
ル基の水素原子はフッ素や塩素、臭素等のハロゲン、ト
リフルオロメチル基、アルコキシル基等の1もしくは2
以上の置換基で置換されていてもよい。特に、上記一般
式(1)において、Yがプロピレン基、Z1が−C(=
NH)NH−Z2で示される基であり、Z2がハロゲ
ン、トリフルオロメチル等で置換された置換フェニル基
であるグアニジル基含有シラン化合物が、合成が容易で
あって、しかも抗菌防黴活性が高いため、好ましい。上
に示したように、一般式(2)で示される有機シラン化
合物は、そのグアニジル基に無機酸(例、塩酸、硫酸な
ど)または有機酸(酢酸、クエン酸、グルコン酸など)
が付加した酸付加塩として使用することもできる。この
グアニジル基含有加水分解性シラン化合物は、特願平3
−359589号および同3−359591号に記載の
方法で製造することができる。上記のグアニジル基含有
シラン化合物は、分子中に含まれる−NHC(=NH)
NH−Z1で示されるグアニジル基(Z1がシアノ基で
ある場合にはシアノグアニジル基、Z1が−C(=N
H)NH−Z2で示される基である場合にはビグアニジ
ル基)により、高い抗菌防黴性を発揮することができ
る。また、このシラン化合物は加水分解性基を含有し、
樹脂と混合した時に大気中の水分により容易に加水分解
して、ポリシロキサン型の不溶物となって樹脂中に分散
し、樹脂に抗菌防黴性を付与することができる。なお、
ビグアニジル基[Z1が−C(=NH)NH−Z2]で
ある場合、Z2基によりシラン化合物の抗菌防黴性が変
化することがあるので、Z2は殺菌防黴対象となる微生
物種や要求される抗菌防黴力に応じて選択することがで
きる。本発明で使用しうる別の抗菌防黴剤はグアニジル
基を少なくとも1個含有する有機ポリシロキサン化合物
であり、このポリシロキサン化合物は次の一般式(3)
で示される構成単位を少なくとも1個以上含有するケイ
素ポリマーである。
【0045】−XYSiO− (3) ここで、XはC1〜C5の直鎖または分岐アルキル基を
意味し、特にメチル基またはエチル基が好ましい。Yは
グアニジル基を含有する1価の基を意味し、好ましく
は、式−Y1−NHC(=NH)NH−Z1(式中、Y
1およびZ1は上記と同じ意味)で示される基である。
このグアニジル基含有ポリシロキサン化合物は、通常は
液状であり、その粘度は25℃で0.1〜100万cSt
の範囲内が可能であるが、好ましくは5〜5万cStであ
る。この有機ポリシロキサン化合物もなどの有機珪素化
合物のいずれかの物質においても同様に、グアニジル基
に無機酸または有機酸が付加した酸付加塩であってもよ
い。この有機ポリシロキサン化合物も、−XYSiO−
なる構成単位中に含まれるシアノグアニジル基またはビ
グアニジル基により、前記(化1)で示されるシラン化
合物と同様に高い抗菌防黴性を示す。樹脂との結合力を
高めるために、ポリシロキサン分子中にアミノ、エポキ
シ、アクリルなどといった反応性の官能基を導入しても
よい。また、ビグアニジル基を含有する場合、ポリシロ
キサン化合物の抗菌防黴力はやはりZ2基により変化す
ることがあるので、殺菌防黴対象となる微生物種や要求
される抗菌防黴力に応じてZ2を選択すればよい。ポリ
シロキサン分子中の抗菌防黴性構成単位(−XYSiO
−)の数は少なくとも1個あればよいが、2個以上存在
していても構わない。有機ポリシロキサン化合物は、一
般にシリコーン油として、繊維処理剤、樹脂改質剤、撥
水剤、離型剤などを含む多様な用途に使用されている。
本発明で使用する上記−Y1−NHC(=NH)NH−
Z1のグアニジル基含有ポリシロキサン化合物も、樹脂
とブレンドすることによって、抗菌防黴性以外に、例え
ば、撥水性といった、シリコーンに固有の望ましい特性
を同時に付与することができると期待される。本発明で
用いるグアニジル基含有抗菌防黴剤は、加水分解性有機
シラン化合物と有機ポリシロキサン化合物のいずれのタ
イプであっても、樹脂と高い結合性を示す固定化型の抗
菌防黴剤である。そのため、樹脂と混合して成形体とし
た場合に、従来の無機系抗菌剤のように銀が遊離した
り、また従来の有機系抗菌剤のように樹脂から早期に溶
出することがなく、優れた抗菌防黴効果の持続性・耐久
性と人体や環境に対する高い安全性とを兼ね備えている
という、望ましい特徴を有している。
【0046】本実施例に従って成形した試験片および比
較対象としてポリエチレンのみを用いて成形した試験片
を用いて、下記に示すような抗菌試験および抗黴試験を
行った。上記抗菌試験は、エスケリチアコーライ(Esch
erichia coli)、コッカスアウレウス(Staphyrococcus
aureus)、バチルスザブチリス(Bacillus subtilis)
を用いて、ハローテスト法を行い、評価は7日後に行っ
た。また抗黴試験は、日本工業規格のカビ抵抗性試験
(JISZ2911)の繊維製品用防黴試験によるハロ
ーテスト法に準じた。用いた黴は、クラドスポリウムク
ラドスポリオイデス(Cladosporium cladosporioide
s)、ケトミウムグロボスム(chaetomium globosum)、
ペニシリウムシトリナム(Penicilliumcitrinum)、ア
スペルギルスニゲル(Aspergillus niger)で、評価は
14日後に行った。その結果、(表5)に示す抗菌スペ
クトルが得られ、実用的な抗菌抗黴性能が確認できた。
【0047】
【表5】
【0048】また、本実施例に従って成形した試験片お
よび比較対象としてポリエチレンのみを用いて成形した
試験片を用いて、下記に示すような水垢防汚試験を行っ
た。上記水垢防汚試験は、水道水を操作パネル窓表面に
滴下し、40℃雰囲気中で3日間放置した。その結果を
(表6)に示す。本実施例による試験片およびポリエチ
レンのみの試験片の両方の表面とも水道水中の炭酸カル
シウムの固着による水痕が確認された。その水痕をペー
パータオルによる軽い力で2往復拭取りを行った後、目
視で確認した。ポリエチレンのみの試験片にある水痕は
固着し、全く除去されなかったが、本実施例による試験
片にある水痕は除去され、残存が認められなかった。
【0049】
【表6】
【0050】
【発明の効果】以上のように、請求項1〜10に記載の
発明によれば、耐水防汚性樹脂および耐水防汚性樹脂に
よる成形体は次の効果を有する。耐水防汚性樹脂表面か
ら溶出する抗菌性組成物の作用により、耐水防汚性樹脂
表面や内部にカビ、酵母、細菌等の微生物が繁殖するの
を抑えることができる。また帯電防止性組成物の働きに
より、静電気による耐水防汚性樹脂表面の汚れの吸着を
防ぐことができる。また耐水防汚性樹脂表面に存在する
撥水性組成物の作用により、ファンデルワールス力によ
り表面に付着した水垢などの汚れ粒子を流水によるロー
ルアップ現象で剥離することが可能になり、表面に堆積
することがない。
フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C08K 7/02 C08K 9/12 9/12 C08L 77/12 C08L 77/12 83/08 83/08 D06F 39/12 C D06F 39/12 C08K 5/54 (72)発明者 河瀬 茂樹 大阪府門真市大字門真1006番地 松下電器 産業株式会社内 Fターム(参考) 3B155 AA15 CB06 GC02 4F071 AA02 AA14 AA20 AA57 AA67 AA71A AA73A AB26 AC09A AC10A AC12A AC16 AC16A AD01 AE10 AE16 AF04 AF37 AF52 AH03 4J002 AA011 BB001 BB121 CL084 CP092 CP093 DJ006 EX076 EX078 EZ008 FA066 FA067 FB096 FB236 FB266 FB296 FD104 FD107 FD116 FD117 FD182 FD186 FD203 FD208 FD317 GC00 GL00

Claims (11)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 抗菌抗黴性組成物、帯電防止性組成物、
    撥水性組成物のいずれか一種もしくは複数種が分散配合
    した熱可塑性樹脂で構成されたことを特徴とした耐水防
    汚性樹脂。
  2. 【請求項2】 熱可塑性樹脂に分散配合する抗菌抗黴組
    成物は、耐熱温度が150℃以上250℃以下であるこ
    とを特徴とする請求項1記載の耐水防汚性樹脂。
  3. 【請求項3】 熱可塑性樹脂に分散配合する抗菌抗黴組
    成物は、シリカゲルを担体とし、孟宗竹エキスを吸着さ
    せた物質であることを特徴とする請求項1または請求項
    2記載の耐水防汚性樹脂。
  4. 【請求項4】 熱可塑性樹脂に分散配合する抗菌抗黴組
    成物は、一種または複数種の抗菌抗黴性材料を吸着させ
    た導電性ウィスカの表面の一部あるいは全部をコーティ
    ング材料で被覆してなる物質であることを特徴とする請
    求項1または請求項2記載の耐水防汚性樹脂。
  5. 【請求項5】 熱可塑性樹脂に分散配合する抗菌抗黴組
    成物および撥水性組成物は、グアニジル基を含有する加
    水分解性有機シラン化合物およびグアニジル基を少なく
    とも1個含有する有機ポリシロキサン化合物群から選ば
    れた少なくとも1種であることを特徴とするまたは請求
    項2記載の耐水防汚性樹脂。
  6. 【請求項6】 熱可塑性樹脂に分散配合する帯電防止性
    組成物は、ポリエーテルエステルアミドの群より選ばれ
    る少なくとも一種からなる物質であることを特徴とする
    請求項1記載の耐水防汚性樹脂。
  7. 【請求項7】 熱可塑性樹脂に分散配合する帯電防止性
    組成物は、界面活性剤の群より選ばれる少なくとも一種
    からなる物質であることを特徴とする請求項1記載の耐
    水防汚性樹脂。
  8. 【請求項8】 熱可塑性樹脂に分散配合する帯電防止性
    組成物は、導電性ウィスカの群より選ばれる少なくとも
    一種からなる物質であることを特徴とする請求項1記載
    の耐水防汚性樹脂。
  9. 【請求項9】 熱可塑性樹脂に分散配合する撥水性組成
    物は、有機珪素化合物の群より選ばれる少なくとも一種
    からなる物質であることを特徴とする請求項1記載の耐
    水防汚性樹脂。
  10. 【請求項10】 熱可塑性樹脂に分散配合する撥水性組
    成物は、アルキルシラン化合物の群より選ばれる少なく
    とも一種からなる物質であることを特徴とする請求項1
    記載の耐水防汚性樹脂。
  11. 【請求項11】 請求項1〜10記載の熱可塑性防汚樹
    脂の成形により得られた抗菌抗黴性、永久帯電防止、撥
    水性および耐水性を有する筐体、構成部品等の成形体。
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