JP2003048808A - 耐久性に優れる抗菌剤組成物 - Google Patents

耐久性に優れる抗菌剤組成物

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JP2003048808A JP2001233252A JP2001233252A JP2003048808A JP 2003048808 A JP2003048808 A JP 2003048808A JP 2001233252 A JP2001233252 A JP 2001233252A JP 2001233252 A JP2001233252 A JP 2001233252A JP 2003048808 A JP2003048808 A JP 2003048808A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 樹脂に配合して優れた抗菌性を発揮するとと
もに、配合した樹脂組成物が着色することがなく、また
樹脂組成物を成形する際の熱や成形後の光照射等による
変色がなく、更に樹脂成形物の抗菌効果の耐久性に優れ
ているガラス系抗菌剤を提供する。 【解決手段】 ZnOを5〜40モル%、P25を45
〜55モル%、SiO2を1〜30モル%ZnO―P2
5−SiO2系ガラス50〜95質量%と特定の化学式で
示されるリン酸塩化合物5〜50質量%とからなる抗菌
剤組成物。

Description

【発明の詳細な説明】 【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は亜鉛と珪素を含有す
る抗菌性リン酸塩系ガラス及び特定の抗菌性リン酸塩化
合物からなる抗菌剤組成物に関する。本発明の抗菌剤組
成物は、抗菌性能に優れ、且つ加工時、保存時及び使用
時に経時的に変色が極めて少ないため、この抗菌剤組成
物を各種樹脂に配合した樹脂組成物を加工することによ
り、防かび性、防藻性及び抗菌性に優れかつその耐久性
を有すると共に、透明性を発揮したり、着色した場合の
色彩が鮮やかな繊維製品、塗料製品、成形製品等を得る
こと可能となる。 【0002】 【従来の技術】従来から無機系の抗菌剤として、銀や銅
等の抗菌性金属をアパタイト、ゼオライト、ガラス、リ
ン酸ジルコニウム、シリカゲル等に担持させたものが知
られている。これらは有機系の抗菌剤と比較して安全性
が高いうえ、揮発及び分解しないため抗菌効果の持続性
が長く、しかも耐熱性にすぐれる特徴を有している。そ
のため、これらの抗菌剤と各種高分子化合物とを混合し
得られた抗菌性樹脂組成物を用いて繊維状、フィルム状
又は各種成形体等に加工した抗菌加工製品として、各種
用途に用いられている。 【0003】なかでも、銀、銅又は亜鉛等の抗菌性金属
を含有するガラスからなる抗菌剤は、粒度、屈折率及び
抗菌性金属の溶出性等を目的に応じて容易に制御するこ
とができる特性を活かし、各種樹脂組成物に配合され、
利用されている。 【0004】例えば、銀を含有するガラスからなる抗菌
剤として特公平4−74453号が提案され、亜鉛を含
有するガラスからなる抗菌剤として特開平7−2579
38号が提案されている。しかし、従来の銀含有ガラス
からなる抗菌剤は、抗菌効果が高い利点を有する反面、
樹脂に練り込み加工する際の熱や樹脂加工後の紫外線暴
露等の影響で、樹脂自体の変質や劣化を促進したり、樹
脂加工製品が変色するなど、樹脂加工製品の本来の優れ
た特性を損なうことが多いという問題があった。 【0005】また従来の亜鉛含有ガラスからなる抗菌剤
は、樹脂に練り込み加工した際に樹脂の変質、劣化およ
び変色は極めて少いものの、銀を含有するガラスと比較
して抗菌性が低いため、樹脂組成物において抗菌効果を
十分発揮させようとすると、樹脂への添加量を多くせざ
るを得ず、やはり本来の樹脂物性を低下させてしまう問
題があった。 【0006】これらの問題を解決するために高濃度で亜
鉛を含有するガラスからなる抗菌剤や、亜鉛や銀を同時
に配合したガラスからなる抗菌剤が提案されている。例
えば、特開平11−100227号公報には、P25
5〜50モル%、ZnOを46〜80モル%、B23
SiO2を0〜30モル%、RO(ROはMgO、Ca
O、SrO、BaOの中から選ばれる1種以上)を0〜
40モル%、R 2O(R2OはLi2O、Na2O、K2
の中から選ばれる1種以上)を0〜20モル%を含むガ
ラスからなる抗菌剤、特開2001−26439号公報
には、B 23を20〜40モル%、ZnOを50〜70
モル%、P25を1〜5モル%、SiO2を0〜20モ
ル%、アルカリ金属酸化物を0〜1モル%を含むガラス
からなる抗菌剤が提案されている。 【0007】しかし、これらの抗菌剤はいずれも亜鉛を
高濃度で含有しているためガラスの屈折率が高くなり、
樹脂に練り込み加工した成形品の白色度が増加してしま
う。従って、透明性の高い樹脂にこの抗菌剤を配合した
場合は樹脂本来の透明性を損ない白濁してしまうため、
透明性を必要とする用途の成形品では好ましくない。そ
して透明性を要する用途以外でも、着色した樹脂成形品
に配合した場合に鮮明な色彩が出しにくく、色合わせが
難しいなどの問題が生じる。また、B23を主成分とし
て含有するガラスはP25を主成分として含有するガラ
スよりも硬度が高いため、このガラス系抗菌剤を樹脂に
混合し練り込み加工する際に用いるステンレス製混合機
や樹脂成形機の金属表面を研磨し、削れた金属粉が樹脂
加工品に混合することによって、最終樹脂製品を暗色化
するという問題が生じる。 【0008】一方、特開平8−175843号公報には
25を40〜55モル%、ZnOを35〜45モル
%、Al23を5〜15モル%、B23を1〜10モル
%含むガラス100重量部に対して、Ag2Oを0.01
〜1.0重量%含有する抗菌剤が提案されている。しか
し、ここに示される抗菌剤において十分な抗菌性を発揮
させるために加えられているAg2Oは、銀イオンに起
因する変色を抑制するため添加量が制限されており、実
質的には抗菌性が満足できるものではない。さらに、従
来のガラス系抗菌剤を樹脂に練り込み加工した樹脂加工
製品は、加工直後の抗菌効果は十分あるが、加工製品を
使用する際の水や市販洗剤等の薬品に触れることにより
効果が極めて低下する問題があり、抗菌効果の耐久性の
点では十分でないという問題もあった。 【0009】他方、銀、銅、亜鉛などの抗菌性金属イオ
ンをリン酸カルシウム、リン酸マグネシウム、リン酸ジ
ルコニウム、リン酸チタン等のリン酸塩化合物などを樹
脂に配合した抗菌性樹脂組成物が知られている。これら
のリン酸塩系化合物からなる抗菌剤は、樹脂に練り込み
加工した際に樹脂の変質、劣化および変色は極めて少い
もののガラス系抗菌剤と比較して高価であり、かつ樹脂
成形体においては、例えば0.1〜1.0wt%のリン
酸塩系抗菌剤を、単に混合して成形した場合、その樹脂
成形物は本来抗菌剤が有する優れた抗菌性及び耐久性を
十分発揮させることができない場合があるという問題点
を有しており、少量で抗菌効果を十分させるための改善
が望まれていた。 【0010】 【発明が解決しようとする課題】本発明は、樹脂に配合
した場合に優れた抗菌性、耐変色性、耐着色性、及び抗
菌効果の耐久性に優れたガラスとリン酸塩化合物とから
なる抗菌剤組成物を提供することを課題とするものであ
る。 【0011】 【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記の課
題を解決するために鋭意検討した結果、ZnO−P25
−SiO2系ガラス50〜95質量%と、特定のリン酸
塩化合物5〜50質量%からなる抗菌剤組成物は抗菌効
果の耐久性に優れ、しかも耐変色性および耐着色性に優
れることを見出し、本発明を完成するに至った。即ち、
上記のガラス及びリン酸塩化合物はそれぞれ単独でも抗
菌剤としての性能を有するものであるが、これらを一定
比率で組み合わせることにより、上記問題点を解決する
優れた性能を有する抗菌剤組成物であることを見出した
ものである。 【0012】 【発明の実施の形態】以下、本発明について詳細に説明
する。 ○ZnO−P25−SiO2系ガラス 本発明の抗菌剤組成物に使用されるZnO−P25−S
iO2系ガラスは、ZnOを5〜40モル%、P25
45〜55モル%、SiO2を1〜30モル%を含有す
るガラスである。このZnO−P25−SiO2系ガラ
スにおいて、抗菌性能を付与する成分であるZnOの含
有割合は、5〜40モル%であり、好ましくは20〜3
8モル%である。ZnOを40モル%より多く配合する
と、ガラスの屈折率が高くなり、このガラスを樹脂に練
り込んだ成形品が白く着色し、透明性が低下したり、着
色品の色合わせが難しくなる。また、ZnOが40モル
%より多いとガラス製造工程中で、安定したガラスが得
られにくく、また相対的にP25の配合量が減少するこ
とによりガラスの溶解性が低下し、結果として本発明の
抗菌剤組成物を配合した樹脂加工品の抗菌性能の耐久性
が不十分となる問題を生じる。一方、ZnOが5モル%
より少ないと本発明のガラスの抗菌性が不十分となる。 【0013】本発明の抗菌剤組成物に配合されるガラス
中のP25成分はガラスの骨格を形成する成分である。
ガラス中のP25の含有割合は45〜55モル%であ
る。P 25を55モル%より多く配合すると、本発明の
抗菌剤組成物に配合されるガラスの吸湿性が高くなっ
て、ガラスが経時的に潮解し、抗菌剤組成物が固化しや
すく、粉末として使用できなくなる問題が生じる。一
方、P25が45モル%より少ないとガラスの溶解性が
低下し、抗菌剤組成物を配合した樹脂製品の抗菌性能の
耐久性が低下するという問題が起きる。 【0014】本発明の抗菌剤組成物に配合されるガラス
中のSiO2成分の含有割合は1〜30モル%であり、
好ましい配合割合は3〜10モル%である。SiO2
ガラスの骨格を形成する成分であり、またガラスの屈折
率を下げ、それによってガラスを配合した樹脂の白色度
を低下させる効果が期待できる。SiO2の含有割合が
1モル%より少ない場合には強固なガラス骨格を形成す
ることができない。SiO2の含有割合が30モル%を
超えると、ガラスの溶解性が低下し、抗菌剤組成物を配
合した樹脂製品の耐久性が低下するという問題がある。
本発明の抗菌剤組成物中に配合されるガラスにはAl2
3を0〜20モル%、又はMgOとCaOの合計割合
で0〜20モル%を含有することが好ましい。これら三
成分を含まないガラスでも本発明は実施可能であるが、
ガラスの性質を更に改良したり、ガラスの製造が容易に
するためにこの三成分を配合することが出来る。 【0015】一般にP25を多く含有するガラスは吸湿
性が高く、空気中の水分を吸収し凝集する性質がある。
このガラスに、ガラスの骨格を形成する成分であるAl
23を一定濃度含有することにより、ガラスの吸湿性を
低下し凝集しにくい安定な骨格を形成することが可能と
なる。しかし、Al23を20モル%以上配合すると、
屈折率が高くなるうえガラスが不安定になるという問題
が生じる。またMgO及びCaOはガラス化する際の溶
融温度範囲を調整するために配合できる。ZnOおよび
25を多量に含有する本発明のガラス組成物は、原料
混合物を溶融しガラス化させる温度条件が狭い傾向があ
るが、これにMgOまたはCaOを配合することによっ
て溶融温度を低下させガラス化する組成範囲が広くな
り、製造がしやすくなる。MgO+CaOの好ましい含
有割合は、1〜10モル%である。MgO+CaOが2
0モル%以上の場合では、ガラスが不安定となり抗菌効
果の耐久性が損なわれてしまう。 【0016】本発明に使用されるガラスにおける必須の
ガラス骨格形成成分は、P25、ZnO、SiO2であ
る。ガラス組成を大きく変更しない範囲であれば所望に
よりその他のガラス骨格形成成分を追加することができ
る。その好ましい例として、ZrO2、TiO2、B23
等がある。又、所望により、Li2O、Na2O、K
2O、F2等の所謂「修飾成分」を適宜含有させることが
できる。これら修飾成分は、ガラスの溶融や成形性を容
易にするのに有効である。本発明のガラスの必須3成分
及びAl23、MgO、CaO以外の成分を多量に含有
させると、ガラスの耐水性が低下したり本発明における
特徴が損なわれる恐れがあるので、多くとも2モル%以
下とするのが好ましく、より好ましくは1モル%以下で
ある。 【0017】○リン酸塩化合物 本発明における下式〔1〕で示されるリン酸塩化合物は
銀イオンを溶出することを特徴とする銀系無機抗菌剤で
ある。 Agxyz2 (PO43 〔1〕 (Aはアルカリ金属イオン、MはZrイオン又はTiイ
オンであり、x、y及びzは各々1未満の正数であり、
かつx+y+z=1である。) 【0018】上式〔1〕におけるAは、アルカリ金属イ
オンであり、好ましい具体例としては、リチウムイオ
ン、ナトリウムイオン及びカリウムイオンである。ま
た、上式〔1〕におけるMは、ジルコニウムイオン又は
チタンイオンから選ばれる4価金属イオンである。 【0019】〔1〕の好ましい具体例として、以下のも
のがある。 Ag0.010.95Li0.04 Zr2 (PO43 Ag0.050.85Li0.10Zr2 (PO43 Ag0.100.80Li0.10Ti2 (PO43 Ag0.200.75 Na0.05Ti2 (PO43 Ag0.300.45Na0.25 Zr2 (PO43 Ag0.500.40 Na0.10Zr2 (PO43 Ag0.700.250.05Ti 2(PO43 Ag0.920.05Li0.03Zr 2(PO43 【0020】本発明の抗菌剤組成物に用いられるリン酸
塩化合物〔1〕におけるxおよびyの値は大きい方が、
高い抗菌性、防黴性を発揮できるので、上式〔1〕にお
けるzの値は小さい方が良く、0.3未満の値とするこ
とが好ましい。また、アルカリイオンとHイオンとのイ
オン交換反応の容易性から下限は0.05以上とするの
が好ましい。xの値が極めて小さい場合でも防黴性、抗
菌性を発揮できるが、0. 001未満であると、長時間
防黴性及び抗菌性を発揮させることが困難となるおそれ
があることと、経済性をも考慮すると0.01以上かつ
0.5未満とすることが好ましい。なお、yの値は(1
−x−z)に等しい値であるので、上記のようにx及び
zの値を好ましい範囲にすればyの範囲は0.2より大
きく0.94以下の値と自ら決定される。 【0021】本発明におけるZnO−P25−SiO2
系ガラスとリン酸塩化合物の好ましい配合割合は、Zn
O−P25−SiO2系ガラスが50〜95質量%、リ
ン酸塩化合物が5〜50質量%である。ZnO−P25
−SiO2系ガラスの配合割合が50質量%より少ない
と、ガラスとリン酸塩化合物の共存による抗菌力の向上
及び耐久性を発揮させることが困難となる恐れがあり、
ガラスの配合割合が95質量%より多くても、共存によ
る抗菌力の向上及び耐久性を発揮させることが困難とな
る。より好ましいガラスの配合割合は60〜90質量%
である。 【0022】また、本発明の抗菌剤組成物に加えて、ゼ
オライト、アルミノケイ酸塩、活性炭、アパタイト等の
化合物に、銀イオンを付加した銀系無機抗菌剤を必要に
応じて併用することが出来る。 【0023】本発明の抗菌剤を樹脂に配合する際、通常
粉末状とし、一般的には平均粒径で20μm以下のもの
が樹脂への分散加工上好ましく、繊維製品や塗料、フィ
ルム等に加工する場合には、物性低下を生じさせないた
めに平均粒径5μm以下、最大粒径20μm以下のもの
が好ましい。 【0024】本発明のガラスの製造に当たっては、既知
の製造方法を採用できる。一般には、ガラスの原料調合
物を溶融釜で1000〜2000℃で溶融した後、溶融
物を急冷して、ガラスを調製後、得られた塊状ガラスを
粉砕することにより粉末状のガラスを得ることができ
る。 【0025】本発明の抗菌剤組成物を樹脂に練り込んだ
場合、抗菌性能は樹脂成形品の表面付近に存在する抗菌
剤組成物により発現しているが、樹脂成形品を摩擦、洗
浄、洗濯等をする際、この抗菌剤組成物が樹脂成形品の
表面から脱落することがある。脱落が著しい場合には抗
菌効果が低下し、極めて短期間に効果が消失してしま
う。本発明の抗菌剤組成物を樹脂等に練り込み加工する
場合に、分散性の向上や密着性または接着性を向上させ
ることで樹脂からの脱落を防止するために、シランカッ
プリング剤やシリコーンオイル等表面処理剤によりガラ
ス粉末表面を処理してもかまわない。 【0026】本発明の抗菌剤組成物の表面処理に用いら
れる表面処理剤は、用途や樹脂種類、加工方法等により
適宜最適なものを選択すればよく、従来より無機粉体の
表面処理用にもちいられる処理剤であればいずれも使用
可能であり、特に制限はない。表面処理剤の具体例とし
てビニルトリエトキシシランやビニルトリメトキシシラ
ンなどのビニルシラン、γ-(メタクリロキシプロピル)
トリメトキシシランやγ-グリシドキシプロピルトリメ
トキシシランなどの(メタ)アクリロキシシランあるい
はグリシドキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラ
イソプロポキシチタン、アルミニウムエチラート等のカ
ップリング剤、ジメチルシリコーン、メチルフェニルシ
リコーン、メチルハイドロジェンシリコーン、反応性シ
リコーン、非反応性シリコーン等のシリコーンオイル等
が挙げられる。 【0027】表面処理の方法は、特に制限はなく、従来
より無機系紛体の表面処理法として知られているいかな
る方法でもよい。例えば、乾式法、湿式法、スプレー
法、ガス化法等がある。効率的な表面処理方法として
は、例えばガラスを粉末状に粉砕する際に塊状のガラス
と一緒に表面処理剤を混合したものを粉砕機で粉砕する
と表面処理も同時に実施することができる。 【0028】本発明の抗菌剤組成物には、樹脂への練り
込み加工性やその他の物性を改善するために、必要に応
じて種々の他の添加剤を混合することもできる。具体例
としては顔料、染料、酸化防止剤、耐光安定剤、難燃
剤、帯電防止剤、発泡剤、耐衝撃強化剤、ガラス繊維、
金属石鹸等の滑剤、防湿剤及び増量剤、カップリング
剤、核剤、流動性改良剤、消臭剤、木粉、防汚剤、防錆
剤、酸化亜鉛、金属粉、紫外線吸収剤、紫外線遮蔽剤、
などがある。 【0029】また、有機系抗菌・防カビ剤をさらに添加
することにより、効果の速効性、防かび効果向上をはか
ることもできる。本発明の抗菌剤組成物に混合する有機
系抗菌防カビ化合物の好ましい例として、第4アンモニ
ウム塩系化合物、脂肪酸エステル系化合物、ビグアナイ
ド類化合物、ブロノポ−ル、フェノ−ル系化合物、アニ
リド系化合物、ヨウ素系化合物、イミダゾ−ル系化合
物、チアゾ−ル系化合物、イソチアゾロン系化合物、ト
リアジン系化合物、ニトリル系化合物、フッ素系化合
物、キトサン、トロポロン系化合物及び有機金属系化合
物(ジンクピリチオン、OBPA)等がある。 【0030】本発明の抗菌剤組成物を含有させることが
できる樹脂の種類には特に制限はなく、天然樹脂、合成
樹脂、半合成樹脂のいずれであっても使用できる。また
成形用樹脂、繊維用樹脂、ゴム状樹脂のいずれであって
もよく、これらの樹脂に本発明の抗菌剤組成物を、既存
の混合方法で配合することにより、抗菌性樹脂組成物を
容易に得ることができる。 【0031】具体的な樹脂としては例えば、オレフィン
系樹脂、スチレン系樹脂、ポリエステル系樹脂、アクリ
ル系樹脂、ユリア樹脂、メラミン系樹脂、ナイロン系樹
脂、ポリカーボネート系樹脂、塩化ビニル系樹脂、ポリ
アセタ−ル、PBT、フッ素樹脂、ポリウレタンエラス
トマ−、ポリエステルエラストマ−、四フッ化エチレン
樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、レ−ヨン、アセテ−
ト、ポリビニルアルコ−ル、キュプラ、トリアセテ−
ト、ビニリデン等の成形用または繊維用樹脂、天然ゴ
ム、シリコ−ンゴム、スチレンブタジエンゴム、エチレ
ンプロピレンゴム、フッ素ゴム、ニトリルゴム、クロル
スルホン化ポリエチレンゴム、ブタジエンゴム、合成天
然ゴム、ブチルゴム、ウレタンゴムおよびアクリルゴム
等のゴム状樹脂がある。 【0032】抗菌性樹脂組成物における本発明の抗菌剤
組成物の好ましい配合割合は、0.01〜15質量%、
より好ましくは0.1〜3質量%である。0.01質量%
より少ないと抗菌性樹脂組成物の抗菌性が不充分であ
り、一方15質量%より多く配合しても抗菌効果の向上
がほとんどなく、樹脂物性の低下が著しくなる。 【0033】本発明の抗菌剤組成物を樹脂へ配合し樹脂
成形品とする方法は公知の方法をどれも採用できる。例
えば、抗菌剤組成物の粉末が樹脂とを付着しやすくす
るための添着剤や抗菌剤組成物粉末の分散性を向上させ
るための分散剤を使用し、ペレット状樹脂またはパウダ
ー状樹脂とミキサーで直接混合する方法、前記のよう
にして混合して、押し出し成形機にてペレット状に成形
した後、その成形物をペレット状樹脂に配合する方法、
抗菌剤組成物をワックスを用いて高濃度でペレット状
に成形後、その成形物をペレット状樹脂に配合する方
法、抗菌剤組成物をポリオ−ル等の高粘度の液状物に
分散混合したペ−スト状組成物を調製後、このペースト
をペレット状樹脂に配合する方法等がある。 【0034】上記の抗菌性樹脂組成物の成形には、各種
樹脂の特性に合わせてあらゆる公知の加工技術と機械が
使用可能であり、適当な温度又は圧力で加熱及び加圧又
は減圧しながら混合、混入又は混練りの方法によって容
易に調製することができ、それらの具体的操作は常法に
より行えば良く、塊状、スポンジ状、フィルム状、シー
ト状、糸状またはパイプ状或いはこれらの複合体等の種
々の形態に成形することができる。 【0035】この様にして得られた抗菌性樹脂成形品
は、その配合成分である抗菌剤組成物が優れた抗菌性と
耐変色性を有しているため、抗菌剤組成物と樹脂との混
合時、及びその後の抗菌性樹脂成形品の保存時又は使用
時に劣化することがない。 【0036】本発明の抗菌剤組成物の使用形態には特に
制限はなく、樹脂中に配合しても良いし、樹脂に配合せ
ず使用することもできる。防黴性、防藻性および抗菌性
が必要とされる用途に応じて適宜他の成分と混合した
り、他の材料と複合させることができる。例えば、粉末
状、粉末分散液状、粒状、塗料状、繊維状、紙状、フィ
ルム状、エアゾ−ル状等の種々の形態で用いることがで
きる。 【0037】○用途 本発明の抗菌剤組成物を配合した抗菌性製品は、防か
び、防藻及び抗菌性を必要とされる種々の分野、即ち電
化製品、台所製品、繊維製品、住宅建材製品、トイレタ
リー製品、紙製品、玩具、皮革製品、文具およびその他
の製品として利用することができる。さらに具体的用途
を例示すると、電化製品としては食器洗浄機、食器乾燥
機、冷蔵庫、洗濯機、ポット、テレビ、パソコン、CD
ラジカセ、カメラ、ビデオカメラ、浄水器、炊飯器、野
菜カッタ−、レジスタ−、布団乾燥器、FAX、換気
扇、エア−コンデショナ−等があり、台所製品として
は、食器、まな板、押し切り、トレ−、箸、給茶器、魔
法瓶、包丁、おたまの柄、フライ返し、弁当箱、しゃも
じ、ボ−ル、水切り篭、三角コ−ナ−、タワシいれ、ゴ
ミ篭、水切り袋等がある。 【0038】繊維製品としては、シャワ−カ−テン、布
団綿、エアコンフィルタ−、パンスト、靴下、おしぼ
り、シ−ツ、布団側地、枕、手袋、エプロン、カ−テ
ン、オムツ、包帯、マスク、スポ−ツウェア等があり、
住宅・建材製品としては、化粧板、壁紙、床板、窓用フ
ィルム、取っ手、カ−ペット、マット、人工大理石、手
摺、目地、タイル、ワックス等がある。またトイレタリ
ー製品としては、便座、浴槽、タイル、おまる、汚物い
れ、トイレブラシ、風呂蓋、軽石、石鹸容器、風呂椅
子、衣類篭、シャワ−、洗面台等があり、紙製品として
は、薬包紙、薬箱、スケッチブック、カルテ、折り紙等
があり、玩具としては、人形、ぬいぐるみ、紙粘土、ブ
ロック、パズル等がある。 【0039】さらに皮革製品としては、靴、鞄、ベル
ト、時計バンド、内装、椅子、グロ−ブ、吊革等があ
り、文具としては、ボ−ルペン、シャ−プペン、鉛筆、
消しゴム、クレヨン、用紙、手帳、フロッピ−ディス
ク、定規、ポストイット、ホッチキス等がある。その他
の製品としてはインソ−ル、化粧容器、タワシ、化粧用
パフ、補聴器、楽器、タバコフィルタ−、掃除用粘着紙
シ−ト、吊革握り、スポンジ、キッチンタオル、カ−
ド、マイク、理容用品、自販機、カミソリ、電話機、体
温計、聴診器、スリッパ、衣装ケ−ス、歯ブラシ、砂場
の砂、食品包装フィルム、スプレ−等がある。 【0040】 【作用】本発明の抗菌剤組成物が優れた抗菌性能、耐変
色性及び耐着色性を有し、また当該抗菌剤樹脂組成物が
高い耐久性を持つ抗菌性能を発揮する機構について、以
下のように推定される。高濃度のP25及びZnOを含
有するガラスは配合した樹脂組成物の抗菌性能の耐久性
が優れた抗菌剤として使用可能なものである。しかし、
これら2成分ではガラス化は不可能で、適当な成分およ
び含有割合を選定しないとガラスが形成されないし、吸
湿性(凝集性)と屈折率の増加による問題で抗菌剤とし
て好ましい性能が発現しない。そこで、適度な溶解性を
有したまま吸湿性(凝集性)および屈折率の増加を抑制
する成分としてSiO2の配合を必須成分とした。また
本発明のZnO−P25−SiO2系ガラスに式〔1〕
のリン酸塩化合物を混合することによって、抗菌性能に
有効な成分が、ZnO−P25−SiO2系ガラスとリ
ン酸塩化合物の両方から溶出し、それらの相互作用によ
って低添加量で初期の高い抗菌性能が得られるととも
に、樹脂組成物の抗菌性能の耐久性が得られるようにな
る。 【0041】 【実施例】以下、本発明を実施例によりさらに具体的に
説明する。 ○実施例(抗菌剤組成物の調製) 表1に示した組成(試料No.1〜3)の原料調合物を
1000〜1300℃で加熱溶融しガラスを作製後、得
られたガラスをボ−ルミルにて乾式粉砕して平均粒径約
5μmのガラス粉末を得た。この粉末に式〔1〕中のM
がZrであるリン酸塩化合物a(リン酸塩化合物中のA
g濃度が約10質量%であり、化学組成は、Ag0.49
0.380.13Zr2(PO43である)及び同じくリン
酸塩化合物b(リン酸塩化合物中のAg濃度が約3.5
質量%であり、化学組成は、Ag 0.16Na0.350.49
2(PO43である)を、表1に示した割合でミキサ
ー混合し、抗菌剤組成物を得た。 【0042】○比較例(抗菌剤組成物の調製) 表1に示した組成(試料No.4〜8)の原料調合物を
用いた以外は実施例1と同様にしてガラス粉末を得た。
このガラス粉末に実施例1と同様にリン酸塩化合物a又
はbを、表1に示した割合でミキサーで混合し、抗菌剤
組成物を得た。 【0043】 【表1】 【0044】○試験用成形プレートの調製及び抗菌性試
験、耐久性試験 グランドポリマー株式会社製PP樹脂(商品名グランド
ポリプロJ105)に対し、抗菌剤組成物(実施例1〜
3及び比較例1〜)を0.3質量%配合し、名機製作所
株式会社製射出成形機M−50AII−DMを用いて成
形温度220℃で射出成形し、11cm×11cm×2
mmの評価用成形プレート(試作No.1〜8)を作製
した(但し、各試作番号の成形プレートは試作番号と同
じ試料番号の試料を用いたものであり、以下同じ。)。
比較のため、抗菌剤組成物を配合せずPP樹脂のみの比
較用成形プレート(試作No.0)を同様に射出成形し
た。 【0045】成形プレートの抗菌力(初期抗菌効果)
を、JIS Z2801に準拠して評価した。PP樹脂
成形プレートを5cm×5cmに切断し、その表面をエ
タノールで拭いたものを評価用検体とした。被検菌には
大腸菌を用い、滅菌水を用いて普通ブイヨン培地を50
0分の1に希釈した溶液に菌数が2.5〜10×105
個/mlとなるように調整したものを菌液として用い
た。菌液0.4mlを検体表面に滴下し、その上から4.
0cm×4.0cmのポリエチレン製フィルムを被せ、
表面に一様に接触させ、温度35℃、湿度95RH%で
24時間保存した。保存開始から0時間後(理論添加菌
数)及び24時間保存した後に、菌数測定用培地(SC
DLP液体培地)10mlで検体上の生残菌を洗い出
し、この洗液について、標準寒天培地を用いる混釈平板
培養法(37℃2日間)により生菌数を測定して、検体
1枚当りの生菌数に換算した。 【0046】上記のようにして得られた抗菌評価結果を
各成形プレートの生菌数の対数値を比較用成形プレート
No.0の生菌数の対数値との差である増減値差で表記
し表2に示した。増減値差は値が大きいほど抗菌効果が
高いことを示している。なお、理論添加菌数は検体1枚
あたり2.5×105、比較用成形プレートNo.0の
生菌数は1.6×107であった。さらに成形プレート
を50℃に加熱した脱イオン水に16時間浸漬した後、
この成形プレートを検体として用いて、同様に抗菌力を
評価した結果を表2に示した。初期効果と比較し、水浸
漬後の抗菌効果の低下度合いにより抗菌効果の耐久性を
判定した。 【0047】 【表2】 【0048】本発明の抗菌剤組成物(実施例1〜3)を
配合した成形プレート(試作No1〜3)は抗菌性、耐
久性とも優れた性能を有している。本発明の抗菌剤組成
物のうち、ガラス剤のみを用い、リン酸塩化合物を配合
していない成形プレート(試作No.4〜6)は初期効
果は十分あるものの、抗菌効果の耐久性が著しく低下し
ている。さらにP25を含まずB23を多く含有するガ
ラス及びそのガラスとリン酸塩化合物である無機抗菌剤
aとを配合した成形プレート(試作No.7及び8)
は、リン酸塩化合物aの混合の有無に関わらず、抗菌効
果の耐久性が著しく低下している。 【0049】 【発明の効果】本発明の抗菌剤組成物は、初期抗菌性
能、耐着色性に優れ、更に樹脂に配合した際に優れた抗
菌効果の耐久性を有した抗菌性樹脂組成物を得ることが
できるため、極めて有用なものである。

Claims (1)

  1. 【特許請求の範囲】 【請求項1】 ZnOを5〜40モル%、P25を45
    〜55モル%、SiO2を1〜30モル%含有するZn
    O−P25−SiO2系ガラス50〜95質量%と、下
    式〔1〕で示されるリン酸塩化合物5〜50質量%とか
    らなる抗菌剤組成物。 Agxyz2 (PO43 〔1〕 (Aはアルカリ金属イオン、MはZrイオン又はTiイ
    オンであり、x、y及びzは各々1未満の正数であり、
    かつx+y+z=1である。)
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