JP2002321975A - 圧電磁器 - Google Patents

圧電磁器

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JP2002321975A
JP2002321975A JP2001186449A JP2001186449A JP2002321975A JP 2002321975 A JP2002321975 A JP 2002321975A JP 2001186449 A JP2001186449 A JP 2001186449A JP 2001186449 A JP2001186449 A JP 2001186449A JP 2002321975 A JP2002321975 A JP 2002321975A
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佳子 五木田
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 圧電特性を向上させることができる圧電磁器
を提供する。 【解決手段】 (Na0.5 Bi0.5 )TiO3 などの菱
面晶系ペロブスカイト構造化合物と、BaTiO3
(K0.5 Bi0.5 )TiO3 などの正方晶系ペロブスカ
イト構造化合物と、AgNbO3 などの単斜晶系ペロブ
スカイト構造化合物とを含む。結晶構造の異なる3種類
の化合物により圧電特性が向上されるようになってい
る。これらは完全に固溶していてもしていなくてもよ
い。これらの組成比、菱面晶系ペロブスカイト構造化合
物a,正方晶系ペロブスカイト構造化合物bおよび単斜
晶系ペロブスカイト構造化合物cは、a+b+c=1,
0.65≦a≦0.99,0<b≦0.2,0<c≦
0.15をそれぞれ満たす範囲内の値であることが好ま
しい。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、アクチュエータ、
センサーまたはレゾネータなどの分野において広く利用
される圧電磁器に関する。
【0002】
【従来の技術】圧電材料は、外部から電界が印加される
ことにより歪みを発生する(電気エネルギーの機械エネ
ルギーへの変換)効果と、外部から応力を受けることに
より表面に電荷が発生する(機械エネルギーの電気エネ
ルギーへの変換)効果とを有するものであり、近年、各
種分野で幅広く利用されている。例えば、チタン酸ジル
コン酸鉛(Pb(Zr,Ti)O3 ;PZT)などの圧
電材料は、印加電圧に対して1×10-10 m/Vのオー
ダーでほぼ比例した歪みを発生することから、微少な位
置調整などに優れており、光学系の微調整などにも利用
されている。また、それとは逆に、圧電材料は加えられ
た応力あるいはそれによる自身の変形量に比例した大き
さの電荷が発生することから、微少な力や変形を読み取
るためのセンサーとしても利用されている。更に、圧電
材料は優れた応答性を有することから、交流電界を印加
することで、圧電材料自身あるいは圧電材料と接合関係
にある弾性体を励振して共振を起こさせることも可能で
あり、圧電トランス、超音波モータなどとしても利用さ
れている。
【0003】現在実用化されている圧電材料の大部分
は、PbZrO3 (PZ)−PbTiO3 (PT)から
なる固溶体系(PZT系)である。その理由は、菱面晶
系のPZと正方晶系のPTの結晶学的な相境界(M.
P.B.)付近の組成を用いることで、優れた圧電特性
を得ることができるからである。このPZT系圧電材料
には、様々な副成分あるいは添加物を加えることによ
り、多種多様なニーズに応えるものが幅広く開発されて
いる。例えば、機械的品質係数(Qm)が小さいかわり
に圧電定数(d33)が大きく、直流的な使い方で大きな
変位量が求められる位置調整用のアクチュエータなどに
用いられるものから、圧電定数(d33)が小さいかわり
に機械的品質係数(Qm)が大きく、超音波モータなど
の超音波発生素子のような交流的な使い方をする用途に
向いているものまで様々なものがある。
【0004】また、PZT系以外にも圧電材料として実
用化されているものはあるが、それもマグネシウム酸ニ
オブ酸鉛(Pb(Mg,Nb)O3 ;PMN)などの鉛
系ペロブスカイト組成を主成分とする固溶体がほとんど
である。
【0005】ところが、これらの鉛系圧電材料は、主成
分として低温でも揮発性の極めて高い酸化鉛(PbO)
を60〜70質量%程度と多量に含んでいる。例えば、
PZTまたはPMNでは、質量比で約2/3が酸化鉛で
ある。よって、これらの圧電材料を製造する際には、磁
器であれば焼成工程、単結晶品であれば溶融工程などの
熱処理工程において、工業レベルで極めて多量の酸化鉛
が大気中に揮発し拡散してしまう。また、製造段階で放
出される酸化鉛については回収することも可能である
が、工業製品として市場に出された圧電製品に含有され
る酸化鉛については現状では回収が難しく、これらが広
く環境中に放出されると、酸性雨による鉛の溶出などが
心配される。従って、今後圧電磁器および単結晶の応用
分野が広がり、使用量が増大すると、無鉛化の問題が極
めて重要な課題となる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】鉛を全く含有しない圧
電材料としては、例えばチタン酸バリウム(BaTiO
3 )あるいはビスマス層状強誘電体などが知られてい
る。しかし、チタン酸バリウムはキュリー点が120℃
と低く、その温度以上では圧電性が消失してしまうの
で、はんだによる接合または車載用などの用途を考える
と実用的でない。一方、ビスマス層状強誘電体は、通常
400℃以上のキュリー点を有しており、熱的安定性に
優れているが、結晶異方性が大きいので、ホットフォー
ジングなどで自発分極を配向させる必要があり、生産性
の点で問題がある。また、完全に鉛の含有をなくすと、
大きな圧電性を得ることが難しい。
【0007】更に、最近では、新たな材料として、チタ
ン酸ビスマスナトリウム系の材料について研究が進めら
れている。例えば、特公平4−60073号公報,特開
平11−180769号公報には、チタン酸ビスマスナ
トリウムとチタン酸バリウムとを含む材料が開示されて
おり、特開平11−171643号公報にはチタン酸ビ
スマスナトリウムとチタン酸ビスマスカリウムとを含む
材料が開示されている。しかし、このチタン酸ビスマス
ナトリウム系の材料では、鉛系圧電材料に比べると未だ
十分といえる圧電特性が得られておらず、圧電特性の向
上が求められていた。
【0008】本発明はかかる問題点に鑑みてなされたも
ので、その目的は、優れた圧電特性を示し、低公害化、
対環境性および生態学的見地からも優れた圧電磁器を提
供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明による圧電磁器
は、菱面晶系ペロブスカイト構造化合物と、正方晶系ペ
ロブスカイト構造化合物と、単斜晶系ペロブスカイト構
造化合物とを含むものである。
【0010】本発明による他の圧電磁器は、菱面晶系ペ
ロブスカイト構造化合物と、正方晶系ペロブスカイト構
造化合物と、単斜晶系ペロブスカイト構造化合物とを含
む固溶体を含有するものである。
【0011】本発明によるこれらの圧電磁器では、結晶
構造の異なる3種類の化合物により、圧電特性の向上が
図られる。なお、鉛(Pb)の含有量が1質量%以下で
あるようにすれば、低公害化、対環境性および生態学的
見地から好ましい。
【0012】また、これらの化合物の組成比a,bおよ
びcは、化1に示したように、モル比でa+b+c=
1,0.65≦a≦0.99,0<b≦0.2,0<c
≦0.15をそれぞれ満たす範囲内の値であることが好
ましい。
【0013】更に、化合物の組成比と、その化合物のB
サイトに位置する元素に対するAサイトに位置する元素
の組成比との積を、3種類の化合物について足し合わせ
た値は、数1に示したように、0.9以上1.0以下の
範囲内であることが好ましい。
【0014】本発明による更に他の圧電磁器は、チタン
酸ナトリウムビスマスを含む第1酸化物と、チタン酸カ
リウムビスマスおよびチタン酸バリウムを含む群のうち
の少なくとも1種の第2酸化物と、ニオブ酸銀を含む第
3酸化物とを含むものである。
【0015】本発明による更に他の圧電磁器は、チタン
酸ナトリウムビスマスを含む第1酸化物と、チタン酸カ
リウムビスマスおよびチタン酸バリウムを含む群のうち
の少なくとも1種の第2酸化物と、ニオブ酸銀を含む第
3酸化物とを含む固溶体を含有するものである。
【0016】本発明によるこれらの圧電磁器では、第1
酸化物,第2酸化物および第3酸化物により、圧電特性
の向上が図られる。なお、これらの酸化物の組成比a,
bおよびcは、化2に示したように、モル比でa+b+
c=1,0.65≦a≦0.99,0<b≦0.2,0
<c≦0.15をそれぞれ満たす範囲内の値であること
が好ましい。
【0017】また、第1酸化物の組成比aと第1酸化物
第2元素に対する第1酸化物第1元素の組成比xとの
積、第2酸化物の組成比bと第2酸化物第2元素に対す
る第2酸化物第1元素の組成比yとの積、および第3酸
化物の組成比cと第3酸化物第2元素に対する第3酸化
物第1元素の組成比zとの積を足し合わせた値は、数2
に示したように、0.9以上1.0以下の範囲内である
ことが好ましい。
【0018】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態につい
て詳細に説明する。
【0019】本発明の一実施の形態に係る圧電磁器は、
菱面晶系(Rhombohedral)ペロブスカイト構造化合物
と、正方晶系(Tetragonal)ペロブスカイト構造化合物
と、単斜晶系(Monoclinic)ペロブスカイト構造化合物
とを含んでいる。または、菱面晶系ペロブスカイト構造
化合物と、正方晶系ペロブスカイト構造化合物と、単斜
晶系ペロブスカイト構造化合物とを含む固溶体を含有し
ている。すなわち、結晶構造の異なる3種類の化合物を
含んでおり、それらは固溶していてもよく、完全に固溶
していなくてもよい。
【0020】これにより、この圧電磁器では、少なくと
も一部において結晶学的な相境界(M.P.B.)が形
成され、圧電特性が向上するようになっている。具体的
には、1成分系あるいは2成分系に比べて電気機械結合
係数が向上すると共に、誘電率も向上し、その結果変位
量が向上するようになっている。
【0021】菱面晶系ペロブスカイト構造化合物として
は、例えば、チタン酸ナトリウムビスマスを含む第1酸
化物が挙げられる。この第1酸化物は、ペロブスカイト
構造のAサイトに位置する第1酸化物第1元素と、ペロ
ブスカイト構造のBサイトに位置する第1酸化物第2元
素と、酸素とからなり、その組成は例えば化3により表
される。
【0022】
【化3】A1x A2O3 式中、A1は第1酸化物第1元素を表し、A2は第1酸
化物第2元素を表す。xは化学量論組成であれば1であ
るが、化学量論組成からずれていてもよく、1以下であ
れば焼結性を高めることができると共により高い圧電特
性を得ることができるので好ましい。酸素の組成は化学
量論組成から求めたものであり、化学量論組成からずれ
ていてもよい。
【0023】第1酸化物第1元素には、チタン酸ナトリ
ウムビスマスであればナトリウム(Na)およびビスマ
ス(Bi)が該当する。チタン酸ナトリウムビスマスに
おけるナトリウムとビスマスとの組成比は、化学量論組
成であればモル比で1:1であるが、化学量論組成から
ずれていてもよい。第1酸化物第2元素には、チタン酸
ナトリウムビスマスであればチタン(Ti)が該当す
る。
【0024】菱面晶系ペロブスカイト構造化合物は、1
種類の化合物により構成されてもよいが、複数種の化合
物により構成されてもよい。複数種の化合物よりなる場
合、それらは固溶していてもよく、固溶していなくてい
もよい。
【0025】正方晶系ペロブスカイト構造化合物として
は、例えば、チタン酸カリウムビスマスおよびチタン酸
バリウムを含む群のうちの少なくとも1種の第2酸化物
が挙げられる。この第2酸化物は、ペロブスカイト構造
のAサイトに位置する第2酸化物第1元素と、ペロブス
カイト構造のBサイトに位置する第2酸化物第2元素
と、酸素とからなり、その組成は例えば化4により表さ
れる。
【0026】
【化4】B1y B2O3 式中、B1は第2酸化物第1元素を表し、B2は第2酸
化物第2元素を表す。yは化学量論組成であれば1であ
るが、化学量論組成からずれていてもよい。酸素の組成
は化学量論組成から求めたものであり、化学量論組成か
らずれていてもよい。
【0027】第2酸化物第1元素には、チタン酸カリウ
ムビスマスであればカリウム(K)およびビスマスが該
当し、チタン酸バリウムであればバリウム(Ba)が該
当する。チタン酸カリウムビスマスにおけるカリウムと
ビスマスとの組成比は、化学量論組成であればモル比で
1:1であるが、化学量論組成からずれていてもよい。
第2酸化物第2元素には、チタン酸カリウムビスマスお
よびチタン酸バリウム共にチタンが該当する。
【0028】正方晶系ペロブスカイト構造化合物も、菱
面晶系ペロブスカイト構造化合物と同様に、1種類の化
合物により構成されてもよいが、複数種の化合物により
構成されてもよい。複数種の化合物よりなる場合、それ
らは固溶していてもよく、固溶していなくていもよい。
【0029】単斜晶系ペロブスカイト構造化合物として
は、例えば、ニオブ酸銀を含む第3酸化物が挙げられ
る。この第3酸化物は、ペロブスカイト構造のAサイト
に位置する第3酸化物第1元素と、ペロブスカイト構造
のBサイトに位置する第3酸化物第2元素と、酸素とか
らなり、その組成は例えば化5により表される。
【0030】
【化5】C1z C2O3 式中、C1は第3酸化物第1元素を表し、C2は第3酸
化物第2元素を表す。zは化学量論組成であれば1であ
るが、化学量論組成からずれていてもよい。酸素の組成
は化学量論組成から求めたものであり、化学量論組成か
らずれていてもよい。
【0031】第3酸化物第1元素には、ニオブ酸銀であ
れば銀(Ag)が該当し、第3酸化物第2元素には、ニ
オブ酸銀であればニオブが該当する。単斜晶系ペロブス
カイト構造化合物も、菱面晶系ペロブスカイト構造化合
物と同様に、1種類の化合物により構成されてもよい
が、複数種の化合物により構成されてもよい。複数種の
化合物よりなる場合、それらは固溶していてもよく、固
溶していなくていもよい。
【0032】これら菱面晶系ペロブスカイト構造化合物
と正方晶系ペロブスカイト構造化合物と単斜晶系ペロブ
スカイト構造化合物との組成比、例えば、第1酸化物と
第2酸化物と第3酸化物との組成比は、モル比で化6に
示した範囲内であることが好ましい。正方晶系ペロブス
カイト構造化合物および単斜晶系ペロブスカイト構造化
合物の含有量が多すぎると圧電特性が低下してしまい、
少なすぎると結晶構造の異なる3種類の化合物を含むこ
とによる十分な効果が得られないからである。
【0033】
【化6】aA+bB+cC 式中、Aは菱面晶系ペロブスカイト構造化合物(例えば
第1酸化物)、Bは正方晶系ペロブスカイト構造化合物
(例えば第2酸化物)、Cは単斜晶系ペロブスカイト構
造化合物(例えば第3酸化物)をそれぞれ表す。a,b
およびcは、a+b+c=1,0.65≦a≦0.9
9,0<b≦0.2,0<c≦0.15をそれぞれ満た
す範囲内の値である。
【0034】ここで、この組成比というのは、固溶して
いるものも固溶していないものも含めた圧電磁器全体に
おける値である。なお、化6におけるbは、正方晶系ペ
ロブスカイト構造化合物がチタン酸バリウムの場合に
は、0<b<0.15の範囲内であればより好ましく、
0<b≦0.1の範囲内であれば更に好ましい。正方晶
系ペロブスカイト構造化合物がチタン酸カリウムビスマ
スの場合には、0<b≦0.20の範囲内であれば好ま
しく、0.05≦b≦0.20の範囲内であればより好
ましい。また、化6におけるcは、0<c≦0.1の範
囲内であればより好ましい。これらの範囲においてより
大きな変位量を得ることができるからである。
【0035】菱面晶系ペロブスカイト構造化合物、正方
晶系ペロブスカイト構造化合物および単斜晶系ペロブス
カイト構造化合物の組成比と、これら化合物のBサイト
に位置する元素に対するAサイトに位置する元素の組成
比(Aサイトに位置する元素/Bサイトに位置する元
素)とは、数3に示した関係を有することが好ましい。
【0036】
【数3】0.9≦ax+by+cz≦1.0 式中、a,bおよびcは、化6に示したように、菱面晶
系ペロブスカイト構造化合物と正方晶系ペロブスカイト
構造化合物と単斜晶系ペロブスカイト構造化合物とのモ
ル比によるそれぞれの組成比を表す。x,yおよびz
は、例えば化3,化4および化5に示したように、順
に、菱面晶系ペロブスカイト構造化合物,正方晶系ペロ
ブスカイト構造化合物および単斜晶系ペロブスカイト構
造化合物それぞれにおけるBサイトに位置する元素を1
とした場合のAサイトに位置する元素のモル比による組
成比、つまりBサイトに位置する元素に対するAサイト
に位置する元素のモル比による組成比を表す。
【0037】すなわち、例えば、第1酸化物と第2酸化
物と第3酸化物とを含む場合には、第1酸化物の組成比
aと第1酸化物第2元素に対する第1酸化物第1元素の
組成比xとの積、第2酸化物の組成比bと第2酸化物第
2元素に対する第2酸化物第1元素の組成比yとの積、
および第3酸化物の組成比cと第3酸化物第2元素に対
する第3酸化物第1元素の組成比zとの積を足し合わせ
た値が0.9以上1.0以下の範囲内であることが好ま
しい。化3においても説明したように、1.0以下の方
が高い焼結性および優れた圧電特性を得ることができる
と共に、0.9よりも小さくなると逆に圧電特性が低下
してしまうからである。
【0038】なお、この圧電磁器は鉛を含んでいてもよ
いが、その含有量は1質量%以下であることが好まし
く、鉛を全く含んでいなければより好ましい。焼成時に
おける鉛の揮発、および圧電部品として市場に流通し廃
棄された後における環境中への鉛の放出を最小限に抑制
することができ、低公害化、対環境性および生態学的見
地から好ましいからである。また、この圧電磁器の結晶
粒の平均粒径は例えば0.5μm〜20μmである。
【0039】このような構成を有する圧電磁器は、例え
ば、次のようにして製造することができる。
【0040】まず、出発原料として、酸化ビスマス(B
2 3 ),炭酸ナトリウム(Na 2 CO3 ),炭酸カ
リウム(K2 CO3 ),炭酸バリウム(BaCO3 ),
酸化銀(Ag2 O),酸化チタン(TiO2 )および酸
化ニオブ(Nb2 5 )などの粉末を必要に応じて用意
し、100℃以上で十分に乾燥させたのち、目的とする
組成に応じて秤量する。なお、出発原料には、酸化物に
代えて炭酸塩あるいはシュウ酸塩のように焼成により酸
化物となるものを用いてもよく、炭酸塩に代えて酸化物
あるいは焼成により酸化物となる他のものを用いてもよ
い。
【0041】次いで、例えば、秤量した出発原料をボー
ルミルなどにより有機溶媒中または水中で5時間〜20
時間十分に混合したのち、十分乾燥し、プレス成形し
て、750℃〜900℃で1時間〜3時間程度仮焼す
る。続いて、例えば、この仮焼物をボールミルなどによ
り有機溶媒中または水中で10時間〜30時間粉砕した
のち、再び乾燥し、バインダーを加えて造粒する。造粒
したのち、例えば、この造粒粉を一軸プレス成形機ある
いは静水圧成形機(CIP)などを用い100MPa〜
400MPaの加重を加えてプレス成形しペレット状と
する。
【0042】ペレット状としたのち、例えば、この成形
体を400℃〜800℃で2時間〜4時間程度熱処理し
てバインダーを揮発させ、950℃〜1300℃で2時
間〜4時間程度本焼成する。本焼成の際の昇温速度およ
び降温速度は、共に例えば50℃/時間〜300℃/時
間程度とする。本焼成ののち、得られた焼結体を必要に
応じて研磨し、電極を設ける。そののち、25℃〜10
0℃のシリコンオイル中で5MV/m〜10MV/mの
電界を5分間〜1時間程度印加して分極処理を行う。こ
れにより、上述した圧電磁器が得られる。
【0043】このように本実施の形態によれば、第1酸
化物などの菱面晶系ペロブスカイト構造化合物と、第2
酸化物などの正方晶系ペロブスカイト構造化合物と、第
3酸化物などの単斜晶系ペロブスカイト構造化合物とを
含むようにしたので、またはこれらを含む固溶体を含有
するようにしたので、1成分系あるいは2成分系に比べ
て電気機械結合係数を向上させることができると共に、
誘電率も向上させることができ、その結果変位量を向上
させることができる。
【0044】よって、鉛を含有しないまたは鉛の含有量
が少ない圧電磁器についても、利用の可能性を高めるこ
とができる。すなわち、焼成時における鉛の揮発、およ
び圧電部品として市場に流通し廃棄された後における環
境中への鉛の放出を最小限に抑制することができる低公
害化、対環境性および生態学的見地から極めて優れた圧
電磁器の活用を図ることができる。
【0045】特に、化6に示したように、菱面晶系ペロ
ブスカイト構造化合物と、正方晶系ペロブスカイト構造
化合物と、単斜晶系ペロブスカイト構造化合物との組成
比a,bおよびcが、モル比でa+b+c=1,0.6
5≦a≦0.99,0<b≦0.2,0<c≦0.15
をそれぞれ満たす範囲内の値となるようにすれば、より
圧電特性を向上させることができる。
【0046】また、数3に示したように、化合物の組成
比とその化合物のBサイトに位置する元素に対するAサ
イトに位置する元素の組成比との積を、3種類の化合物
について足し合わせた値が、0.9以上1.0以下の範
囲内となるようにすれば、または、第1酸化物の組成比
aと第1酸化物第2元素に対する第1酸化物第1元素の
組成比xとの積、第2酸化物の組成比bと第2酸化物第
2元素に対する第2酸化物第1元素の組成比yとの積、
および第3酸化物の組成比cと第3酸化物第2元素に対
する第3酸化物第1元素の組成比zとの積を足し合わせ
た値が0.9以上1.0以下の範囲内となるようにすれ
ば、焼結性を高めることができると共に、圧電特性をよ
り向上させることができる。
【0047】
【実施例】更に、本発明の具体的な実施例について説明
する。
【0048】(実施例1−1〜1−17)まず、菱面晶
系ペロブスカイト構造化合物である第1酸化物(Na
0.5 Bi0. 5 )TiO3 、正方晶系ペロブスカイト構造
化合物である第2酸化物BaTiO 3 、および単斜晶系
ペロブスカイト構造化合物である第3酸化物AgNbO
3 の出発原料として、酸化ビスマス粉末、炭酸ナトリウ
ム粉末,炭酸バリウム粉末,酸化チタン粉末,酸化銀粉
末および酸化ニオブ粉末を用意し、100℃以上で十分
に乾燥させたのち、それらを秤量した。出発原料の配合
比は、化7に示した焼成後のモル比による組成比a,b
およびcが表1に示したようになるように実施例1−1
〜1−17で変化させた。
【0049】
【化7】
【0050】
【表1】
【0051】次いで、秤量した出発原料をボールミルに
よりジルコニアボールを用いてアセトン中で約15時間
混合したのち、十分乾燥し、プレス成形して、900℃
で約2時間仮焼した。続いて、この仮焼物をボールミル
によりアセトン中で約15時間粉砕したのち、再び乾燥
し、バインダーとしてポリビニールアルコール(PV
A)水溶液を加えて造粒した。そののち、この造粒粉を
一軸プレス成形機で100MPaの加重を加えて仮成形
し、更に、CIPで400MPaの加重を加えて直径1
7mm、厚さ1mmの円盤状ペレットに成形した。成形
ののち、この成形体を700℃で約3時間熱処理してバ
インダーを揮発させ、1100℃〜1300℃で2時間
本焼成した。本焼成の際の昇温速度および降温速度は共
に200℃/時間とした。
【0052】本焼成したのち、得られた焼成体を研磨し
て厚さ0.4mmの平行平板状とし、その両面に銀ペー
ストを650℃で焼き付け、電極を形成した。そのの
ち、30℃〜150℃のシリコンオイル中で5〜10M
V/mの電界を15分間印加して分極処理を行った。こ
れにより、実施例1−1〜1−17の圧電磁器を得た。
【0053】得られた実施例1−1〜1−17の圧電磁
器について、比誘電率εd、広がり方向の電気機械結合
係数kr、および3MV/mの電圧パルスを印加した際
の変位量を測定した。その際、比誘電率εdの測定はL
CRメータ(ヒューレットパカード社製HP4284
A)により行い、電気機械結合係数krの測定はインピ
ーダンスアナライザー(ヒューレットパカード社製HP
4194A)とデスクトップコンピュータとを用いた自
動測定器により共振反共振法で行った。変位量の測定
は、渦電流式の非接触変位計、アンプ、発振器、マルチ
メータなどをデスクトップコンピュータで制御し、シリ
コンオイル中で電圧を印加して行った。それらの結果を
表1に示す。
【0054】また、本実施例に対する比較例1−1〜1
−6として、化7に示したモル比による組成比a,bお
よびcが表1に示したようになるように出発原料の配合
比を変化させたことを除き、他は本実施例と同一の条件
で圧電磁器を作製した。比較例1−1〜1−6について
も、本実施例と同様にして、比誘電率εd、広がり方向
の電気機械結合係数krおよび3MV/mの電圧パルス
を印加した際の変位量を測定した。それらの結果につい
ても表1に合わせて示す。
【0055】なお、比較例1−1は菱面晶系ペロブスカ
イト構造化合物のみ、比較例1−2は菱面晶系ペロブス
カイト構造化合物および単斜晶系ペロブスカイト構造化
合物のみ、比較例1−3〜1−6は菱面晶系ペロブスカ
イト構造化合物および正方晶系ペロブスカイト構造化合
物のみを含むように構成した場合である。このうち比較
例1−1は実施例1−1〜1−16全体に対する比較
例、比較例1−2は実施例1−3,1−8,1−12,
1−16に対する比較例、比較例1−3は実施例1−1
〜1−5に対する比較例、比較例1−4は実施例1−6
〜1−7に対する比較例、比較例1−5は実施例1−1
0〜1−13に対する比較例、比較例1−6は実施例1
−14〜1−17に対する比較例に該当している。
【0056】表1に示したように、本実施例によれば、
比較例に比べて大きな変位量を得ることができた。すな
わち、菱面晶系ペロブスカイト構造化合物である第1酸
化物(Na0.5 Bi0.5 )TiO3 、正方晶系ペロブス
カイト構造化合物である第2酸化物BaTiO3 、およ
び単斜晶系ペロブスカイト構造化合物である第3酸化物
AgNbO3 を含むように、またはそれらの固溶体を含
有するようにすれば、圧電特性を向上できることが分か
った。
【0057】また、実施例1−1〜1−16の結果か
ら、正方晶系ペロブスカイト構造化合物の組成比bまた
は単斜晶系ペロブスカイト構造化合物の組成比cの値を
大きくすると、変位量は大きくなり極大値を示した後小
さくなる傾向が見られ、bを0.15以下、cを0.1
5以下とすれば、より圧電特性を向上できることも分か
った。更には、bを0.1以下、cを0.1以下とすれ
ば、より圧電特性を向上できることも分かった。
【0058】(実施例2−1〜2−16)実施例2−1
〜2−16では、出発原料として炭酸バリウム粉末に代
えて炭酸カリウム粉末を用意し、化8に示したように、
正方晶系ペロブスカイト構造化合物である第2酸化物と
してBaTiO3 を(K0.5 Bi0.5 )TiO3 に代え
たことを除き、実施例1−1〜1−17と同一の条件で
圧電磁器を作製した。なお、出発原料の配合比は、化8
に示した焼成後のモル比による組成比a,bおよびcが
表2に示したようになるように実施例2−1〜2−16
で変化させた。
【0059】
【化8】
【0060】
【表2】
【0061】また、本実施例に対する比較例2−1〜2
−5として、化8に示したモル比による組成a,bおよ
びcが表2に示したようになるように出発原料の配合比
を変化させたことを除き、他は本実施例と同一の条件で
圧電磁器を作製した。実施例2−1〜2−16および比
較例2−1〜2−5についても、実施例1−1と同様に
して、比誘電率εd、広がり方向の電気機械結合係数k
rおよび3MV/mの電圧パルスを印加した際の変位量
を測定した。それらの結果を表2に示す。
【0062】なお、比較例2−1は菱面晶系ペロブスカ
イト構造化合物および単斜晶系ペロブスカイト構造化合
物のみを含むように構成し、比較例2−1〜2−6は菱
面晶系ペロブスカイト構造化合物および正方晶系ペロブ
スカイト構造化合物のみを含むように構成した場合であ
る。また、表2には、菱面晶系ペロブスカイト構造化合
物のみを含むように構成した比較例1−1の結果、およ
び菱面晶系ペロブスカイト構造化合物および単斜晶系ペ
ロブスカイト構造化合物のみを含むように構成した比較
例1−2の結果も合わせて示す。
【0063】このうち比較例1−1,2−1は実施例2
−1〜2−17全体に対する比較例、比較例1−2は実
施例2−3,2−7,2−11,2−15に対する比較
例、比較例2−2は実施例2−1〜2−4に対する比較
例、比較例2−3は実施例2−5〜2−8に対する比較
例、比較例2−4は実施例2−9〜2−12に対する比
較例、比較例2−5は実施例2−13〜2−16に対す
る比較例に該当している。
【0064】表2に示したように、本実施例によれば、
比較例に比べて大きな変位量を得ることができた。すな
わち、正方晶系ペロブスカイト構造化合物である第2酸
化物として、(K0.5 Bi0.5 )TiO3 を含むように
しても、実施例1−1〜1−17と同様に圧電特性を向
上できることが分かった。また、実施例2−1〜2−1
7の結果から、bを0.20以下、cを0.15以下と
すれば、圧電特性を向上させることができることも分か
った。
【0065】(実施例3−1〜3−3)実施例3−1〜
3−3では、化9に示した第1酸化物第2元素に対する
第1酸化物第1元素の組成比x、第2酸化物第2元素に
対する第2酸化物第1元素の組成比y、および第3酸化
物第2元素に対する第3酸化物第1元素の組成比zが表
3に示したようになるように出発原料を配合したことを
除き、実施例1−7と同一の条件で圧電磁器を作製し
た。なお、a,bおよびcは、モル比でa=0.9、b
=0.05、c=0.05となるようにし、x,yおよ
びzは同一、x=y=zとした。つまり、数3に示した
ax+by+czはx,yおよびzと同一の値となる。
【0066】
【化9】
【0067】
【表3】
【0068】実施例3−1〜3−3についても、実施例
1−7と同様にして、比誘電率εd、電気機械結合係数
krおよび3MV/mの電圧パルスを印加した際の変位
量を測定した。それらの結果を実施例1−7の結果と共
に表3に示す。
【0069】表3に示したように、実施例3−1〜3−
3によれば、実施例1−7に比べて大きな変位量を得る
ことができた。すなわち、数3に示したように、第1酸
化物の組成比aと第1酸化物第2元素に対する第1酸化
物第1元素の組成比xとの積、第2酸化物の組成比bと
第2酸化物第2元素に対する第2酸化物第1元素の組成
比yとの積、および第3酸化物の組成比cと第3酸化物
第2元素に対する第3酸化物第1元素の組成比zとの積
を足し合わせた値が0.9以上1.0以下の範囲内とな
るようにすれば、焼結性を高めることができると共に、
圧電特性を向上させることができることが分かった。
【0070】なお、上記実施例ではいくつかの例を具体
的に挙げて説明したが、他の菱面晶系ペロブスカイト構
造化合物、他の正方晶系ペロブスカイト構造化合物ある
いは他の単斜晶系ペロブスカイト構造化合物を含むよう
にしても、上記実施例と同様の結果を得ることができ
る。
【0071】以上、実施の形態および実施例を挙げて本
発明を説明したが、本発明は上記実施の形態および実施
例に限定されるものではなく、種々変形可能である。例
えば、上記実施の形態および実施例では、菱面晶系ペロ
ブスカイト構造化合物として第1酸化物を挙げて説明
し、正方晶系ペロブスカイト構造化合物として第2酸化
物を挙げて説明し、単斜晶系ペロブスカイト構造化合物
として第3酸化物を挙げて説明したが、これらの結晶構
造を有するものであれば他の化合物を含むようにしても
よい。
【0072】また、上記実施の形態および実施例では、
第1酸化物,第2酸化物および第3酸化物について具体
的に例を挙げて説明したが、上述した酸化物以外のもの
を含むようにしてもよい。
【0073】更に、上記実施の形態では、第1酸化物,
第2酸化物および第3酸化物の結晶構造について説明し
たが、上述した組成を有する酸化物を含んでいれば、ま
たはこれらを含む固溶体を含有していれば、これらの結
晶構造について論じるまでもなく、本発明に含まれる。
【0074】加えて、上記実施の形態および実施例で
は、菱面晶系ペロブスカイト構造化合物と正方晶系ペロ
ブスカイト構造化合物と単斜晶系ペロブスカイト構造化
合物とを含む場合についてのみ説明したが、これらに加
えて他の結晶構造を有する化合物を含んでいてもよい。
【0075】更にまた、本発明は、菱面晶系ペロブスカ
イト構造化合物,正方晶系ペロブスカイト構造化合物お
よび単斜晶系ペロブスカイト構造化合物を構成する元素
以外の元素を、不純物または他の結晶構造を有する化合
物の構成元素として含んでいてもよい。そのような元素
としては、例えば、ストロンチウム(Sr),マグネシ
ウム(Mg),カルシウム(Ca),リチウム(L
i),ジルコニウム(Zr),ハフニウム(Hf),タ
ンタル(Ta)および希土類元素が挙げられる。
【0076】
【発明の効果】以上説明したように請求項1ないし請求
項9のいずれか1に記載の圧電磁器によれば、菱面晶系
ペロブスカイト構造化合物と正方晶系ペロブスカイト構
造化合物と単斜晶系ペロブスカイト構造化合物とを含む
ように、あるいはこれらを含む固溶体を含有するように
したので、または、第1酸化物と第2酸化物と第3酸化
物とを含むように、あるいはこれらを含む固溶体を含有
するようにしたので、1成分系あるいは2成分系に比べ
て電気機械結合係数を向上させることができると共に、
誘電率も向上させることができ、その結果変位量を向上
させることができる。よって、鉛を含有しないまたは鉛
の含有量が少ない圧電磁器についても、利用の可能性を
高めることができる。すなわち、焼成時における鉛の揮
発、および圧電部品として市場に流通し廃棄された後に
おける環境中への鉛の放出を最小限に抑制することがで
きる低公害化、対環境性および生態学的見地から極めて
優れた圧電磁器の活用を図ることができる。
【0077】特に、請求項4,請求項5,請求項8また
は請求項9に記載の圧電磁器によれば、化1または化2
に示したように、それらの組成比a,bおよびcがa+
b+c=1,0.65≦a≦0.99,0<b≦0.
2,0<c≦0.15をそれぞれ満たす範囲内の値とな
るようにしたので、より高い圧電特性を得ることができ
る。
【0078】また、請求項5または請求項9に記載の圧
電磁器によれば、数1に示したように、化合物の組成比
とその化合物のBサイトに位置する元素に対するAサイ
トに位置する元素の組成比との積を、3種類の化合物に
ついて足し合わせた値が、0.9以上1.0以下の範囲
内となるように、または、数2に示したように、第1酸
化物の組成比aと第1酸化物第2元素に対する第1酸化
物第1元素の組成比xとの積、第2酸化物の組成比bと
第2酸化物第2元素に対する第2酸化物第1元素の組成
比yとの積、および第3酸化物の組成比cと第3酸化物
第2元素に対する第3酸化物第1元素の組成比zとの積
を足し合わせた値が0.9以上1.0以下の範囲内とな
るようにしたので、焼結性を高めることができると共
に、圧電特性をより向上させることができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 五木田 佳子 東京都中央区日本橋一丁目13番1号 ティ ーディーケイ株式会社内 (72)発明者 人見 篤志 東京都中央区日本橋一丁目13番1号 ティ ーディーケイ株式会社内 Fターム(参考) 4G031 AA01 AA11 AA14 AA24 AA35 BA10 CA01

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 菱面晶系ペロブスカイト構造化合物と、 正方晶系ペロブスカイト構造化合物と、 単斜晶系ペロブスカイト構造化合物とを含むことを特徴
    とする圧電磁器。
  2. 【請求項2】 菱面晶系ペロブスカイト構造化合物と、 正方晶系ペロブスカイト構造化合物と、 単斜晶系ペロブスカイト構造化合物とを含む固溶体を含
    有することを特徴とする圧電磁器。
  3. 【請求項3】 鉛(Pb)の含有量が1質量%以下であ
    ることを特徴とする請求項1または請求項2記載の圧電
    磁器。
  4. 【請求項4】 前記菱面晶系ペロブスカイト構造化合物
    と、前記正方晶系ペロブスカイト構造化合物と、前記単
    斜晶系ペロブスカイト構造化合物との組成比は、モル比
    で化1に示した範囲内であることを特徴とする請求項1
    ないし請求項3のいずれか1に記載の圧電磁器。 【化1】aA+bB+cC (式中、Aは菱面晶系ペロブスカイト構造化合物、Bは
    正方晶系ペロブスカイト構造化合物、Cは単斜晶系ペロ
    ブスカイト構造化合物をそれぞれ表す。a,bおよびc
    は、a+b+c=1,0.65≦a≦0.99,0<b
    ≦0.2,0<c≦0.15をそれぞれ満たす範囲内の
    値である。)
  5. 【請求項5】 前記菱面晶系ペロブスカイト構造化合
    物、前記正方晶系ペロブスカイト構造化合物および前記
    単斜晶系ペロブスカイト構造化合物の組成比と、これら
    化合物のBサイトに位置する元素に対するAサイトに位
    置する元素の組成比とは、数1に示した関係を有するこ
    とを特徴とする請求項1ないし請求項4のいずれか1に
    記載の圧電磁器。 【数1】0.9≦ax+by+cz≦1.0 (式中、a,bおよびcは、菱面晶系ペロブスカイト構
    造化合物と正方晶系ペロブスカイト構造化合物と単斜晶
    系ペロブスカイト構造化合物とのモル比による組成比で
    あり、aは菱面晶系ペロブスカイト構造化合物、bは正
    方晶系ペロブスカイト構造化合物、cは単斜晶系ペロブ
    スカイト構造化合物についてそれぞれ表す。また、x,
    yおよびzは、順に、菱面晶系ペロブスカイト構造化合
    物,正方晶系ペロブスカイト構造化合物および単斜晶系
    ペロブスカイト構造化合物それぞれにおけるBサイトに
    位置する元素に対するAサイトに位置する元素のモル比
    による組成比を表す。)
  6. 【請求項6】 チタン酸ナトリウムビスマスを含む第1
    酸化物と、 チタン酸カリウムビスマスおよびチタン酸バリウムを含
    む群のうちの少なくとも1種の第2酸化物と、 ニオブ酸銀を含む第3酸化物とを含むことを特徴とする
    圧電磁器。
  7. 【請求項7】 チタン酸ナトリウムビスマスを含む第1
    酸化物と、 チタン酸カリウムビスマスおよびチタン酸バリウムを含
    む群のうちの少なくとも1種の第2酸化物と、 ニオブ酸銀を含む第3酸化物とを含む固溶体を含有する
    ことを特徴とする圧電磁器。
  8. 【請求項8】 前記第1酸化物と、前記第2酸化物と、
    前記第3酸化物との組成比は、モル比で化2に示した範
    囲内であることを特徴とする請求項6または請求項7に
    記載の圧電磁器。 【化2】aA+bB+cC (式中、Aは第1酸化物、Bは第2酸化物、Cは第3酸
    化物をそれぞれ表す。a,bおよびcは、a+b+c=
    1,0.65≦a≦0.99,0<b≦0.2,0<c
    ≦0.15をそれぞれ満たす範囲内の値である。)
  9. 【請求項9】 前記第1酸化物は、ナトリウム(Na)
    およびビスマス(Bi)を含む第1酸化物第1元素と、
    チタン(Ti)を含む第1酸化物第2元素と、酸素
    (O)とからなり、 前記第2酸化物は、カリウム(K),ビスマスおよびバ
    リウム(Ba)を含む群のうちの少なくとも1種を含む
    第2酸化物第1元素と、チタンを含む第2酸化物第2元
    素と、酸素とからなり、 前記第3酸化物は、銀(Ag)を含む第3酸化物第1元
    素と、ニオブを含む第3酸化物第2元素と、酸素とから
    なり、 前記第1酸化物、前記第2酸化物および前記第3酸化物
    の組成比と、第1酸化物第2元素に対する第1酸化物第
    1元素の組成比,第2酸化物第2元素に対する第2酸化
    物第1元素の組成比および第3酸化物第2元素に対する
    第3酸化物第1元素の組成比とは、数2に示した関係を
    有することを特徴とする請求項6ないし請求項8のいず
    れか1に記載の圧電磁器。 【数2】0.9≦ax+by+cz≦1.0 (式中、a,bおよびcは第1酸化物と第2酸化物と第
    3酸化物とのモル比による組成比であり、aは第1酸化
    物、bは第2酸化物、cは第3酸化物についてそれぞれ
    表す。また、xは第1酸化物第2元素に対する第1酸化
    物第1元素のモル比による組成比、yは第2酸化物第2
    元素に対する第2酸化物第1元素のモル比による組成
    比、zは第3酸化物第2元素に対する第3酸化物第1元
    素のモル比による組成比をそれぞれ表す。)
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