JP2002321948A - 樹脂挿入合わせガラス - Google Patents

樹脂挿入合わせガラス

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JP2002321948A JP2001203148A JP2001203148A JP2002321948A JP 2002321948 A JP2002321948 A JP 2002321948A JP 2001203148 A JP2001203148 A JP 2001203148A JP 2001203148 A JP2001203148 A JP 2001203148A JP 2002321948 A JP2002321948 A JP 2002321948A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】打ち破り、こじ破りに強い耐衝撃性、耐貫通性
を示すとともに、ガスバーナーなどで炙ったとしても、
加熱により容易に穴の開くことのない耐火炎熱照射によ
る破壊貫通性に優れた防犯性能を有する樹脂挿入合わせ
ガラスを提供する。 【解決手段】一対のガラス板の間に、ポリエチレンテレ
フタレートからなるシートと、ポリビニルブチラール、
エチレン−ビニルアセテート共重合体または架橋型エチ
レン−ビニルアセテート共重合体などの透明樹脂とを挿
入し、一体化させてなる耐火炎熱照射による破壊貫通性
に優れた樹脂挿入合わせガラス。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、建築物用窓ガラス
向けなどの耐火炎熱照射による破壊貫通性に優れた防犯
性能を有する樹脂挿入合わせガラスに関する。特に、一
戸建て住宅、マンションなどの一般住宅の窓ガラスなど
に使用できる軽量であり、且つ耐火炎熱照射による破壊
貫通性に優れ、防犯性能および遮音性能に優れた合わせ
ガラスに関する。
【0002】
【従来の技術】平成9年3月に財団法人都市防犯研究セ
ンターより発行されたJUSRIリポート別冊第8号に
よると、近年、空き巣の件数、被害ともに増加しつつあ
る。こうした状況から、警察庁と国土交通省は平成13
年3月23日に「共同住宅に関わる防犯上の留意事項」
を定め、その基本事項の中で、破壊とピッキングに強い
錠の設置や、鍵付きクレセントおよび補助錠の設置など
の侵入防止の措置を講じることが望ましいとしている。
【0003】空き巣などの犯罪行為を目的とした外部侵
入者は、通常、建物に侵入する際、施錠されている場
合、建物に採光部として設けられたガラス窓を破壊す
る、ドアを破壊する、またはピッキングなどの手段を用
い玄関ドアの鍵などを開錠することによって建物内部に
侵入する。
【0004】JUSRIリポート別冊第8号によると、
一戸建て住宅への侵入は窓よりの侵入が多く、更に、窓
よりの侵入は 、窓ガラスの一部を破壊または穴を開け
てサッシに設けられたクレセントを開けること、または
窓ガラスの全面を割ることによって行われるので、侵入
防止のためには、容易に穴が開かない、または容易に割
れない様にしたガラスを窓ガラスとして用いることが好
ましい。
【0005】フロート法またはロールアウト法などによ
り製造され、強化処理が施されていない生板ガラスに比
較して、製造後に、風冷強化処理またはガラス中のナト
リウムを一部カリウムで置換させるなどの化学強化処理
などによって、ガラス表面に圧縮応力を発生させて割れ
にくくした強化ガラス、または2枚のガラスをポリビニ
ルブチラール(以下、PVBと略称する)などからなる
中間膜により接着し、ガラスが割れたとしても中間膜で
あるPVBに穴の開くことが少ない合わせガラスの方が
防犯性能は高い。
【0006】ガラス窓を破壊して侵入する際の手段とし
ては、打ち破りと称され、バールやハンマーなどで破壊
音を気にせずにガラス窓を破壊し、周囲の人が駆けつけ
る前に盗難などの目的を達成しようとする手段と、こじ
破りと称され、ドライバーなどで大きな音を出さないよ
うにガラス窓を割って穴を開け、クレセント錠などを開
けて密かに侵入する手段が挙げられる。大きな破壊音の
する打ち破りに比べ、破壊音の小さなこじ破りの方が空
き巣の被害件数は多い。
【0007】なお、強化ガラス単板は、よほど厚くない
限り、打ち破りにより破壊されてしまう。
【0008】打ち破りおよびこじ破りに対して、割れに
くく穴の開きにくい、即ち、物理的衝撃に対しての耐衝
撃性および耐貫通性を重視した防犯ガラス、例えば、合
わせガラスの中間膜であるPVBを容易に穴が開かない
ように分厚くした合わせガラス、合わせガラスの中間層
に耐衝撃性の高いポリカーボネート板(以下、PCと略
称する)を挿入し、エチレン−ビニルアセテート共重合
体(以下、EVAと略称する)によって、接着一体化さ
せた合わせガラス、ガラス板とポリエチレンテレフタレ
ート(以下、PETと略称する)シートを、接着後固化
する接着剤により貼り合わせた積層ガラスなどが防犯ガ
ラスとして市販されている。
【0009】日本には、建造物に対する防犯基準はない
が、欧米ではストアーフロント、ホテルはもとより住
宅、事務所、病院などの建造物において、防犯基準があ
り、特に米国では、ストアーフロント、ホテルには防犯
合わせガラスを用いることが推奨されている。
【0010】例えば、ヨーロッパでは、CEN規格(E
uropean Commiteefor Stand
ardization)TC129に板ガラスの耐衝撃
性試験が標準化されており、その結果より板ガラスを防
犯クラスP1A〜P5AおよびP6B〜P8Bに分類し
ている。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】ガラス窓を破壊し侵入
する際に、打ち破り、こじ破りに加え、火炎温度が高い
高熱タイプのガスバーナーの火炎によって窓ガラスを炙
ることで、ガラスを熱割れさせ貫通穴を開けた後、クレ
セントなどを開錠して侵入するケースが増えてきてい
る。
【0012】可燃性ガスを強制的に噴射させること、ま
たは炎を絞ることにより火炎温度を高くした高熱タイプ
のガスバーナーを用い、ガラスを炙ると、局所的に高熱
になった部分が溶解したり、膨張し熱割れを生じたりす
る。
【0013】ブタンガスなどの可燃性ガスを燃料とする
携帯が容易な小型高熱タイプのガスバーナーは、市販さ
れており、たやすく手に入る。該ガスバーナーを使い窓
ガラスを炙ると、短時間で加熱部分のガラスが溶解また
は熱割れし貫通穴が開き、打ち破りに比較して音が発生
せず、こじ破りに比較して手間がかからない。
【0014】たとえ、合わせガラス構造とし中間層に打
ち破り、こじ破りに強いPVB、PC板などを挟み込ん
だとしても、従来の防犯合わせガラスには、高温タイプ
のガスバーナーで炙った場合のことは想定していないの
で、ガスバーナーで炙った際には、加熱部分のガラスが
割れ、中間層に用いたPVB、PC板が溶けることで、
手が入る程度の貫通穴が短時間で開く問題があった。
【0015】一方、PETの融点は245℃であり、軟
化点が80℃であるPVBおよび軟化点が135℃であ
るPCに比較して、PETは、耐熱温度が高いので、ガ
ラス板とPETシートを接着剤により貼り合わせた積層
ガラスは、ガスバーナーでガラス面側から炙ったとして
も、PC板およびPVBを挟み込んだ合わせガラスに比
較して、短時間で穴が開くことはない。
【0016】しかしながら、PETは結晶性プラスチッ
クであり、PETシートとする際に2軸延伸することで
透明となるので透明性を維持するために、PVBおよび
PC板のように厚くすることが出来ず、ガラス板とPE
Tシートを、接着後固化する接着剤により貼り合わせた
だけでは耐衝撃性、耐貫通性に劣り、打ち破りおよびこ
じ破りに弱いという問題があった。
【0017】打ち破り、こじ破りおよびガスバーナーに
よる火炎熱照射に対する防犯合わせガラスの耐久性を上
げるためには、ガラスおよび/または中間層の樹脂厚を
厚くすること、ガラス板を3枚以上積層し、積層したガ
ラス間にPVB、PC板、またはPETシートなどの樹
脂を挟み込んだ積層構造とすることなどが挙げられる
が、これら方法では窓ガラスの厚みおよび重量が増すこ
とで、使用できるサッシおよび窓が限られてしまい、一
般住宅用としては使い辛いものになるという問題があっ
た。
【0018】
【課題を解決するための手段】本発明は、上記の問題点
を解決するために成されたものであり、打ち破り、こじ
破りにより容易に破壊されたり穴が開いたりすることが
ない。またCEN規格TC129に標準化された耐衝撃
性試験を行った結果、防犯クラスP4Aを満足し、ガス
バーナーなどの火炎によって加熱されたとしても、市販
されている従来の防犯合わせガラスに比較して、短時間
で穴の開くことのない極めて防犯性能に優れた防犯合わ
せガラスを提供することを目的とするものである。
【0019】本発明は、一対のガラス板の間に、ポリエ
チレンテレフタレートからなるシートと加熱溶融によっ
て粘着性を示す透明樹脂とを中間層として挿入し、該シ
ートと該透明樹脂からなる中間層およびガラス板を接着
一体化させてなることを特徴とする耐火炎熱照射による
破壊貫通性に優れた樹脂挿入合わせガラスである。
【0020】更に、本発明は、一対のガラス板の板厚は
各々1.8mm以上、6.0mm以下であり、ポリエチ
レンテレフタレートからなるシートのトータルの厚みは
110μm以上、400μm以下であり、該シートと前
記透明樹脂とを合わせた中間層の厚みは700μm以
上、2000μm以下であることを特徴とする上記の耐
火炎熱照射による破壊貫通性に優れた樹脂挿入合わせガ
ラスである。
【0021】更に、本発明は、ポリエチレンテレフタレ
ートからなるシートと前記透明樹脂とを合わせた前記中
間層において、ポリエチレンテレフタレートからなるシ
ートの両側の透明樹脂層の厚みが異なることを特徴とす
る上記の耐火炎熱照射による破壊貫通性に優れた樹脂挿
入合わせガラスである。
【0022】更に、本発明は、前記透明樹脂が架橋型エ
チレン−ビニルアセテート共重合体であることを特徴と
する上記の耐火炎熱照射による破壊貫通性に優れた樹脂
挿入合わせガラスである。
【0023】更に、本発明は、CEN規格TC129の
防犯クラス「P4A」を満足する性能を有することを特
徴とする上記の耐火炎熱照射による破壊貫通性に優れた
樹脂挿入合わせガラスである。
【0024】更に、本発明は、耐こじ破り性に優れる上
記の耐火炎熱照射による破壊貫通性に優れた樹脂挿入合
わせガラスである。
【0025】更に、本発明は、波長域500Hz〜30
00Hzの遮音性に優れる上記の耐火炎熱照射による破
壊貫通性に優れた樹脂挿入合わせガラスである。
【0026】空き巣目的の泥棒が、窓ガラスの破壊また
は開錠に手間取り、侵入を諦めるまでの時間は、財団法
人都市防犯研究センターより発行されているJUSRI
リポート別冊第8号に掲載されている調査によれば、2
分を超え5分以内で全体の51%とされている。
【0027】本発明者らは、鋭意検討した結果、一対の
ガラス板の間に少なくとも1枚以上のPETシートと、
PVB、EVA、架橋EVAなどの透明樹脂とを挿入し
て接着一体化させてなる樹脂挿入合わせガラスを作製
し、PETシートのトータルの厚みを110μm以上、
透明樹脂層の厚みを590μm以上、PETシートと前
記透明樹脂とを併せた合わせガラスの中間層の厚みを7
00μm以上とすることで、打ち破り、こじ破りに対す
る耐衝撃性および耐貫通性などの優れた防犯性能に加
え、ガスバーナーなどでの加熱に対して貫通穴が開くま
での時間の長い、即ち、市販の高熱タイプのガスバーナ
ーで炙った際に貫通穴が開くまでの時間が長い耐火炎熱
照射による破壊貫通性に優れた樹脂挿入合わせガラスを
完成させるに至った。
【0028】また、本発明者らは、本発明の樹脂挿入合
わせガラスの積層構成を、ガラス板/透明樹脂/PET
シート/透明樹脂/ガラス板とした場合、透明樹脂層の
厚みを異なる構成とし、ガスバーナーなどで炙る側の透
明樹脂層を厚くすることで、同じ中間層の厚みにおい
て、ガスバーナーなどの加熱に対し貫通穴が開くまでの
時間を長くできることが判った。透明樹脂層を異なる厚
みとすることで、本発明の樹脂挿入合わせガラスの特徴
である、ガスバーナーなどの加熱に対して貫通穴が開く
までの時間が長いことを損なうことなく、本発明の樹脂
挿入合わせガラスを軽量化することが可能である。
【0029】本発明において、EVAに硬化剤を添加
し、またはカルボキシル基などの官能基を有するEVA
変性樹脂に硬化剤を添加し加熱により架橋させた三次元
共重合体を架橋EVAと称する。
【0030】強靱なPETシートと、粘弾性を有するP
VB、EVA、架橋EVAなどの透明樹脂からなる中間
層を有する本発明の樹脂挿入合わせガラスは、耐衝撃性
および耐貫通性に優れ、PETシートのトータルの厚み
が110μm以上、透明樹脂層のトータルの厚みが59
0μm以上、PETシートと前記透明樹脂とを合わせた
合わせガラス中間層の厚みを700μm以上とすること
で、各々板厚1.8mm以上の一対の板ガラスを用い合
わせガラスを作製した際に、CEN規格にて標準化され
た落球による耐衝撃試験に準拠して試験を行った結果、
直径100mm、重さ4.11kgの鋼球を9mの高さ
から3回落下させても、鋼球が貫通しないCEN規格T
C129の防犯クラス「P4A」を満足する強度の合わ
せガラスを、一対の板ガラスと中間層とを合わせた厚さ
4.3mm以上で得ることが可能となる。
【0031】中間膜であるポリビニルブチラールの厚み
を容易に穴が開かないように厚くした合わせガラス、ま
たは合わせガラスの中間層に耐衝撃性の高いPC板およ
びEVAを挿入し一体化させた従来の防犯合わせガラス
は、各々板厚3mmの一対の板ガラスを用い、中間層と
を併せて6.8mmとしたものを標準品として市販され
ている。
【0032】例えば、フロートガラス2.7mm厚/架
橋EVA800μm厚/PETシート188μm厚/架
橋EVA400μm厚/フロートガラス2.7mm厚の
積層構成による厚み6.8mmの本発明の樹脂挿入合わ
せガラスは、CEN規格TC129の防犯クラス「P4
A」を満足し、架橋EVA800μm厚側の面から高熱
タイプのガスバーナーで炙った際にも、貫通穴の開くま
での時間が長いものであり、前記6.8mmの厚みによ
る従来の防犯合わせガラスに比較して耐火炎熱照射によ
る破壊貫通性に優れた防犯性能を有するものである。
【0033】更に、フロートガラス2.7mm厚/架橋
EVA400μm厚/PETシート125μm厚/架橋
EVA400μm厚/PETシート125μm厚/架橋
EVA400μm厚/フロートガラス2.7mm厚の積
層構成による厚み6.9mmの本発明の樹脂挿入合わせ
ガラスは、前記構成の樹脂挿入合わせガラスと比較し
て、CEN規格TC129の防犯クラス「P4A」に余
裕を持って合格し、高熱タイプのガスバーナーで炙った
際にも貫通穴の開くまでの時間が更に長く、際だった防
犯性能を有するものである。
【0034】更に、フロートガラス2.4mm厚/架橋
EVA400μm厚/PETシート125μm厚/架橋
EVA400μm厚/PETシート125μm厚/架橋
EVA400μm厚/フロートガラス2.4mm厚の積
層構成による厚み6.3mmの本発明の樹脂挿入合わせ
ガラスは、CEN規格TC129の防犯クラス「P4
A」に合格し、市販のガスバーナーで炙った際にも貫通
穴の開くまでの時間が長く、軽量かつ優れた防犯性能を
有するものであり、PETシート及び架橋EVAによる
中間層が固いので、厚み2.4mmのガラスをPVBを
中間層として合わせた合わせガラスに対して、こじ破り
に強く割れにくいものである。
【0035】また、PET樹脂挿入合わせガラスの構造
を、3枚以上のガラスを積層させた構成としても構わな
いが、本発明のPET樹脂挿入合わせガラスが防犯ガラ
スとして最も真価を発揮するのは、2枚のガラス板の間
にPETシートおよびPVB,EVA、架橋EVAなど
の透明樹脂を挟み込んだ後、ガラス板とPETシートと
該透明樹脂とを一体化させて樹脂挿入合わせガラスとし
た場合であり、PVBのみを中間膜とした合わせガラス
または網入りガラスと同じ厚みで、打ち破り、こじ破り
に強く、耐火炎熱熱照射による破壊貫通性に優れた防犯
性能を示し、軽量かつ強靱な防犯合わせガラスを提供す
るものである。
【0036】一般的な溝幅9、11mmの合わせガラス
用のサッシにはめ込むためには、本発明の樹脂挿入合わ
せガラスにおいて、PETシートと前記透明樹脂とを合
わせた中間層の厚みは、2000μm以下であることが
好ましく、耐火炎熱照射による破壊貫通性に優れ、CE
N規格TC129の防犯クラス「P4A」を満足する板
厚7mm程の樹脂挿入合わせガラスとして、前記サッシ
に、はめ込むことが可能となる。特に、フロートガラス
2.4mm厚/架橋EVA400μm厚/PETシート
125μm厚/架橋EVA400μm厚/PETシート
125μm厚/架橋EVA400μm厚/フロートガラ
ス2.4mm厚の積層構成による厚み6.3mmの本発
明の樹脂挿入合わせガラスは、はめ込み部材であるグレ
ージングチャンネルを用いる際に、余裕を持って前記溝
幅9、11mmのサッシにはめ込むことが可能である。
【0037】本発明の耐火炎熱照射による破壊貫通性に
優れた樹脂挿入合わせガラスは、防犯性能に優れた建築
物用窓ガラス向けであるので、用いるガラス板が薄いと
運搬、合わせ工程などにおいて、破損しやすく、運搬お
よび製造時のハンドリングが極めて悪くなる、よって、
フロート法による板ガラス、板厚1.8mm以上の板ガ
ラスを使用することが好ましい。また、合わせガラスに
使用する板ガラスの厚みは通常6mm以下であり、6m
mより厚い板ガラスを用いた合わせガラスは総厚で12
mmより厚くなり、重量が増し、サッシにはめ込んだ場
合も含め、持ち運びが容易でないし、サッシの枠体に負
荷がかかりすぎるという問題がある。よって、本発明の
耐火炎熱照射による破壊貫通性に優れた樹脂挿入合わせ
ガラスに使用する板ガラスの厚みは、1.8mm以上、
6mm以下であることが好ましい。
【0038】PETシートと架橋EVAを中間層とした
本発明の樹脂挿入合わせガラスは、PETシートと架橋
EVAによる中間層が固いので、ガラス板が薄い場合、
即ち、1.8mm以上、3.0mm以下の板厚におい
て、通常の中間層がPVBである合わせガラスに対して
強度が高く、運搬およびハンドリングが容易であり、軽
量な耐火炎熱照射による破壊貫通性に優れた樹脂挿入合
わせガラスとして最も真価を発揮する。
【0039】PETは、その化学構造において主鎖にベ
ンゼン環を有することで剛直であり、2軸延伸されて製
造された透明なPETシートは、高い引っ張り強度と共
に衝撃強さを有する強靱な素材である、且つ、結晶性プ
ラスチックであり融点が高く、融点以上に加熱して溶融
しても粘性を示し、即座に溶け落ちることはない。ま
た、強靱なPETシートと固い架橋EVAを合わせガラ
スの中間層とすることで、柔らかいPVBを中間層とし
た合わせガラスに比べて、優れた耐こじ破り性を得るこ
とができる、即ち、こじ破りにより穴の開くまでの時間
が極めて長くなる。
【0040】また、PETシートは2軸延伸して作るの
で厚いものは製造し辛く、市販されている透明なPET
シートの厚みは、せいぜい400μm以下である。よっ
て、本発明の樹脂挿入合わせガラスにおいて、2枚のガ
ラスの間に透明樹脂と共に挟み込むPETシートの厚み
は400μm以下であることが好ましい。
【0041】また、複数のPETシートを挟み込む場合
も、PETシートのトータルの厚みが110μm以上、
400μm以下、および該シートと前記透明樹脂とを合
わせた中間層の厚みは700μm以上、2000μm以
下で、CEN規格の防犯クラス「P4A」を満足し、耐
火炎熱照射による破壊貫通性に優れた防犯性能を有する
軽量な防犯合わせガラスを得ることができる。
【0042】PVB、EVA、および架橋EVAは、接
着後、固化する一般的な接着剤と比較して、接着後も分
子鎖の絡み合いによる粘弾性を示す。これら透明樹脂を
挟み込んで一体化させた合わせガラスは、打ち破り、こ
じ破りに対して穴が開きにくく、優れた防犯性能を示
す。
【0043】建築物用防犯合わせガラスに使用する本発
明の樹脂挿入合わせガラスは、融点の高いPETシート
の両面側に透明樹脂であるPVB、EVA、または架橋
EVAを積層させて一対のガラス板に挟み込んだ構造と
しているので、ガスバーナーなどの火炎で加熱されガラ
スが熱割れしたとしても、ガラスが、PVB、EVA、
または架橋EVAなどの、高温下に溶融した状態で粘着
性を示す透明樹脂により、融点の高いPETシートに貼
着された状態を暫く保つので、ガラスにPVB、EV
A、または架橋EVAのみを通常より厚くして挟み込ん
だ従来の防犯合わせガラス、ガラスに耐熱性の低いPC
板(軟化点120℃〜135℃以上に加熱すると発泡す
る)を挟み込んだ従来の防犯合わせガラスに比較して、
ガスバーナーなどの火炎による加熱に対して、穴が開く
までに要する時間が長くなり、打ち破り、こじ破りに対
して穴が開きにくいと共に耐火炎熱照射による破壊貫通
性に優れた防犯性能をも併せ持つことになる。
【0044】PVB、EVA、または架橋EVAのう
ち、架橋EVAは三次元共重合体であるために高温下で
の溶融粘度が特に高く、ガスバーナーなどの火炎による
加熱により、高温状態で溶融したとしても、PETシー
トにガラスを粘着させてガラスを保持する時間がPV
B、EVAと比べて特に長い。即ち、PETシートの厚
みを等しくして、同じ膜厚のPVB、EVA、架橋EV
Aを用いた場合を比較すると、架橋EVAを用いて本発
明の樹脂挿入合わせガラスを作製し、該樹脂挿入合わせ
ガラスを炙った際に穴の開く時間が際立って長い。よっ
て、本発明のPETシートと透明樹脂を中間層として挿
入した樹脂挿入合わせガラスには、透明樹脂に架橋EV
Aを用いることが好ましい。
【0045】本発明のPET樹脂挿入合わせガラスにお
いて、PETシートおよび架橋EVAを挿入すること
で、ガスバーナーなどの炎での加熱に対する、耐火炎熱
照射による破壊貫通性に優れた防犯性能が得られる。更
に、PETシートおよび/または架橋EVAなどの加熱
により溶融して接着性を示す透明樹脂の厚みを増す、即
ち、中間層の厚みを増すことでガスバーナーなどでの火
炎熱照射に対する防犯性能が増す。
【0046】一方、PVBを中間膜として用いた合わせ
ガラスの製造方法は、PVBからなるシートを、一対の
ガラス板の間に挟んだ後、該ガラス板から、はみ出した
PVBシートをカットし、合わせガラスの製造専用に作
製された内側に切れ込みのあるチューブからなる環状器
具にて周縁部を密封し、加圧加熱装置であるオートクレ
ーブ内にいれて、環状器具にてガラス板間を脱気し、更
に加圧加熱し、PVBからなる中間膜を軟化させて、一
対の板ガラスを接着一体化させている。
【0047】また、EVAまたは架橋EVAを用いた合
わせガラスは、加熱加圧装置であるオートクレーブを使
って製造できるが、他の製造方法として、製造装置内を
脱気しつつ製造装置に内設された電気ヒーターなどの輻
射加熱手段を用いて、ガラス間に挟み込んだEVA、ま
たは架橋EVAを加熱溶融させることでも製造でき、加
圧装置である高価なオートクレーブを使うことなく安価
な減圧装置を用いて製造できるという利点がある。
【0048】安価な減圧装置を使用して、原材料として
架橋EVAを用いると本発明の樹脂挿入合わせガラスを
安価に供給でき、供給価格の面からも本発明の樹脂挿入
合わせガラスに架橋EVAを用いることが好ましい。
【0049】更に、本発明の樹脂挿入合わせガラスの材
料には、PETシートが用いられている。該PETシー
トにストライプ柄、ロゴマークなどの図柄を印刷するこ
とで、本発明の樹脂挿入合わせガラスに装飾性を付与す
ることが可能である。
【0050】更に、該PETシートを着色して、本発明
の樹脂挿入合わせガラスを透明着色合わせガラスとして
もよい。着色されたPETシートを使用し着色合わせガ
ラスを製造する方が、ガラス自体を金属酸化物などで着
色した着色ガラス、または、ガラス表面に金属酸化物な
どの着色膜を形成した着色コーティングガラスを使い着
色合わせガラスを製造することに比べて容易であり、色
調、可視光透過率の選択の自由度が大きい。
【0051】
【発明の実施の形態】図1は、本発明の樹脂挿入合わせ
ガラスの一例の断面図である。図1に示すように、樹脂
挿入合わせガラスは、対面する板ガラス3、3’の間
に、PETシート1と透明樹脂2、2’とを挟み込んだ
後の、加熱加圧などの処理をすることによって、PET
シート1と、透明樹脂2、2’とガラス3,3’を一体
化させた構造となっている。
【0052】本発明の合わせガラスをガスバーナーで炙
ったとしても、容易に穴の開くこと無きようPETシー
ト1は110μm以上、PETシート1と透明樹脂2、
2’を合わせた中間層の厚みが700μm以上であるこ
とが好ましい。
【0053】透明樹脂2、2’には、PVB、EVA、
または架橋EVAを用いることができ、これら樹脂は、
粘弾性を有することで優れた耐貫通性を示して、打ち破
り、こじ破りによって簡単に穴の開くことのない優れた
防犯性能を示すものである。
【0054】また、PETシート1と透明樹脂2、2’
とからなる中間層において、ガスバーナーで炙ることを
想定する室外側の面の透明樹脂を透明樹脂2とすれば、
透明樹脂2の厚みを室内側の透明樹脂2’より厚くする
ことで、中間層の厚みが同じでもガスバーナーで炙った
際に貫通穴が開くまでの時間を長くすることができる。
【0055】本発明の樹脂挿入合わせガラスの製造時の
加熱温度などは、特に限定されるものではないが、例え
ば、透明樹脂2、2’がPVBの場合は、加熱加圧装置
であるオートクレーブを用い、オートクレーブ内での加
熱温度、120℃〜145℃、圧力、1.03×106
Pa〜1.27×106Pa(10.5kg/cm2〜1
3.0kg/cm2)で製造することが好ましい。
【0056】また、透明樹脂2、2’がEVAまたは架
橋EVAの場合は、製造時にオートクレーブを使う必要
がなく、加熱温度をEVAの場合は90℃〜110℃と
し、架橋EVAの場合は120℃〜140℃とすること
が好ましい。
【0057】本発明の樹脂挿入合わせガラスに使用する
板ガラス3、3’には、PETシート1および透明樹脂
2,2’が強靱であり優れた耐貫通性を示すため、フロ
ート法により製造されて加熱処理などの強化処理を施さ
れていない生板ガラスを用いても、充分な防犯性能を示
す。更に、耐衝撃性を向上させて、即ち、割れにくくし
て、優れた防犯性能を得るには、生板ガラスを軟化点付
近に加熱後、風冷強化した、または生板ガラスの表面付
近のナトリウムをカリウムなどに置換し化学強化した強
化ガラス、網入り磨き板ガラスなどを用いても構わな
い。
【0058】板ガラス3、3’の厚みは1.8mm以
上、6mm以下であることが好ましく、例えば、一般的
なPVBのみを中間膜に使用する合わせガラスに使用す
る、呼び厚さ、3mm(通称、FL3)、呼び厚さ、4
mm(通称、FL4)、呼び厚さ、5mm(通称、FL
5)、呼び厚さ、6mm(通称、FL6)などのフロー
ト装置で製造されたフロート板ガラス規格品を使用する
ことができる。FL3、FL4、FL5、FL6共に、
呼び厚さに対する許容差は、JIS R3202で±
0.3mmとされており、例えば、FL3は、厚み2.
7mm〜3.3mmの範囲内である。
【0059】また、本発明の樹脂挿入合わせガラスにお
いて、中間層をPETシート1と架橋EVA2,2’と
した場合、強靱なPETシート1と固く粘弾性に優れた
架橋EVA2、2’により、同じ板厚でも中間層をPV
Bのみとした従来の合わせガラスに比較して、強度の高
い合わせガラスを得ることができ、ハンドリングが容易
になり、強化処理の施されていない呼び厚さ、2mm
(通称、FL2)、または呼び厚さ、2.5mm(通
称、FL2.5)のフロート法によるガラス板を用いた
しても軽量でありながら充分な強度を有し、耐こじ破り
性に優れ、かつ耐火炎熱照射による破壊貫通性に優れた
樹脂挿入合わせガラスを得ることができる。
【0060】ガラス板3、3’間に挿入するPETシー
ト1の厚さを110μm以上とし、透明樹脂2、2’と
合わせた中間層の厚さを700μm以上とすることで、
打ち破り、こじ破りにより容易に穴が開くことなく、更
に透明樹脂2、2’として架橋EVAを用いることで、
高温タイプのガスバーナーなどで炙られたとしても短時
間で穴の開くことのない、防犯性能に優れた樹脂挿入合
わせガラスを得ることができる。
【0061】防犯性能に加え、赤外線を反射させて、断
熱効果および遮熱効果を付与する目的で、本発明の樹脂
挿入合わせガラスに使用されるガラス板3、3’の少な
くとも一面に、好ましくは中間層側の一面にAg、Sn
2、ITO、またはTiO2などからなる薄膜を成膜し
ても構わない。
【0062】また、一対のガラスを離間させた状態で周
縁部を封止してなる複層ガラスに防犯性能を付与するた
めに、本発明の耐火炎熱照射による破壊貫通性に優れた
樹脂挿入合わせガラスを室外側、あるいは室内側のガラ
スとして用いることができる。複層ガラスに防犯性能を
得るためには、本発明の樹脂挿入合わせガラスを用いる
ことが好適であり、サッシ自体が重くなる複層ガラスに
おいて、FL2、FL2.5のフロート板ガラスを用い
た本発明の樹脂挿入合わせガラスを複層ガラスに用いる
ことは、軽量なため、運搬などのハンドリングが楽にな
り、住宅に設置後のサッシの開け閉めも楽になるなどの
好ましい結果をもたらす。
【0063】図2は、中間層に挿入したPETシート1
にストライプ4を印刷した本発明の樹脂挿入合わせガラ
スの一例の正面図である。更に、図3は、中間層に挿入
したPETシート1にロゴマーク5を印刷した本発明の
樹脂挿入合わせガラスの一例の正面図である。図2、図
3に示すように、本発明の樹脂挿入合わせガラスの中間
層に挿入するPETシート1にストライプ4またはロゴ
マーク5などを印刷し装飾性を与えることも可能であ
る。更に、図4は、中間層に挿入したPETシート1の
一部を着色しシェードバンド6を形成した本発明の樹脂
挿入合わせガラスの一例の正面図である。図4に示すよ
うに、PETシート1の一部を印刷などにより着色して
もよく、染料または顔料などで着色されたPETシート
1を用いて本発明の樹脂挿入合わせガラスを着色ガラス
としてもよい。
【0064】本発明を以下の実施例により詳細に説明す
るが、本発明は以下の実施例により限定されるものでは
ない。
【0065】
【実施例】始めに、CEN規格、TC129にて標準化
された板ガラスの耐衝撃性試験について順を追って説明
する。図5は、CEN規格、TC129に標準化された
板ガラスの耐衝撃性試験に使用する支持架台の概略図で
ある。 (CEN規格、TC129に標準化された板ガラスの耐
衝撃性試験) 1.試験体s 試験体sのサイズ:1100mm×900mm(寸法誤
差:±5mm) 保管条件:試験前の最低12時間は23±2℃の状態で
保管する。
【0066】2.試験器具 インパクター:鋼球(直径100mm±0.2mm、重
さ4.11kg、60HRC〜65HRC) 支持架台:図5に示す。
【0067】3.試験方法 (1)試験体sを固定する。
【0068】図5に示すように、試験体sを鋼製の受け
箱a上に置き、鋼製の支持枠bを用いて試験体sの外周
30mm±5mmの部分を140kN/m2±20kN
/m2で締付ける。なお、試験体sと支持枠bの接触部
には厚さ4mmのゴム(40IHRD〜60IHRD)
を設置する。鋼球の受け箱aには、受け箱aの底面の保
護のため、受け箱aの底面に緩衝材dを置き、側面に衝
撃時の空気抜きのための通気孔eを設ける。
【0069】(2)鋼球を所定の高さにセットする。
【0070】試験する防犯クラスに合わせて、図示しな
い鋼球を所定の落下高さまで上げる。なお、各防犯クラ
スの試験条件は表1に示す通りである。
【0071】
【表1】
【0072】(3)鋼球を落下 落下位置:図5に示すように、試験体sの中央を中心と
する一辺13cm±2cmの正三角形の頂点、即ち、鋼
球の衝撃落下位置cである3個所に鋼球を落下させる。
なお、正三角形の一辺は試験体sの一辺に平行とする。
【0073】落下順番:最初に鋼球を落下させる落下衝
撃位置c’は、試験体sの一辺と平行になる辺の反対側
の頂点c’で、他の2頂点は特に順番は決まっていな
い。
【0074】P1A〜P4Aクラスは3個所に各1回づ
つ鋼球を落下させ(計3回)、P5Aクラスは3個所に
各3回づつ鋼球を自由落下させる(計9回)。
【0075】(4)判定条件 試験を行った試験体s、3体が全て下記の条件および
を、ともに満足した場合を合格とする。
【0076】試験体に落下させた鋼球が、試験体sを
貫通しないこと。
【0077】試験後に試験体sが試験前の設置位置よ
り、5mm以上ずれていないこと。
【0078】なお、市販されている防犯合わせガラスの
構成である、FL3の間に厚み30mil(=760μ
m)のPVB中間層を設けた合わせガラスは、CEN規
格P1Aクラスであり、FL3の間に厚み60mil
(=1520μm)のPVB中間層を設けた合わせガラ
スはCEN規格P4Aクラスであり、FL3の間に厚み
90mil(=2280μm)のPVB中間層を設けた
合わせガラスは、CEN規格P5Aクラスである。 実施例1 図6は、本発明の樹脂挿入合わせガラスの一例の主要部
の断面図である。図6に示すように、実測したところ、
板厚2.7mmである加熱処理などの強化処理の施され
ていないフロートガラスFL3を、サイズ30cm角に
カットし端面を面取りした2枚の板ガラス3、3’の間
に、サイズ30cm角の加熱して架橋EVAとなるシー
ト2、2’、2”および同サイズのPETシート1、
1’を挟み込み、減圧容器内に入れ、減圧容器内をロー
タリーポンプを用いて脱気した後、減圧容器内に内設さ
れたヒーターに通電し、90℃程度に維持した状態で1
0分間、次いで130℃程度に15分間、輻射加熱した
後、減圧容器内を大気圧に開放し、ヒーターのスイッチ
を切って暫くした後、取り出して、フロートガラス3、
厚み2.7mm/架橋EVA2、厚み400μm/PE
Tシート1、厚み125μm/架橋EVA2’、厚み4
00μm/PETシート1’、厚み125μm/架橋E
VA2”、厚み400μm/フロートガラス3’、厚み
2.7mmの積層構成の樹脂挿入合わせガラスを作製し
た。加熱して架橋EVAとなるシートには、EVAに硬
化剤を添加したEVA系熱硬化型透明接着シート(ブリ
ヂストン社製、商品名、EVASAFE)を用いた。
【0079】図7は、耐火炎熱照射による破壊貫通性の
評価の際の、合わせガラスの加熱部位の説明図である。
【0080】次いで、ガラス板の下端部7を治具に固定
した後、図7に示すように、前述のようにして作製した
樹脂挿入合わせガラスの一つの端部より半径100mm
の円弧錠の加熱部8を、試験者がブタンガスを用いる市
販の高温タイプのガスバーナー(プリンス社製、型番G
B−2001)を用いて、火炎が直接ガラス表面を加熱
するように、ガラス3面よりバーナー口を5cm程離し
て火力を最大にして火炎が当たる位置を移動させつつ炙
り、加熱部8のガラス3、3’が溶解または割れ、ドラ
イバーの先で軽く押して、該樹脂挿入合わせガラスの端
部が欠落するまでに要した時間を測定した。
【0081】GB−2001の火炎温度は仕様では、8
00℃〜1300℃であり、試験時は火力を最大とした
ので火炎温度は1300℃であったと推測される。
【0082】該樹脂挿入合わせガラスの加熱部8が割
れ、端部が欠落するまでに要した時間は、3回測定した
結果、第1回目、7分20秒、第2回目、5分40秒、
第3回目、6分10秒であり、平均すると6分20秒で
あった。
【0083】また、サイズを900×1100mmにか
えた以外は、前記の積層構成かつ各層の厚みを等しくし
て、樹脂挿入合わせガラスを試験体として作製し、耐衝
撃性を、前述のCEN規格TC129落球衝撃試験に準
拠して評価した。評価基準は、CEN規格TC129の
P4Aクラスである。
【0084】評価結果、試験体は防犯クラス「P4A」
に合格し、優れた耐衝撃性、耐貫通性を有していること
が判った。
【0085】CEN規格TC129では、予想されるガ
ラスの破り方(使用する道具や開口の大きさ)により防
犯クラスが分かれており、P4Aクラスの防犯ガラスは
「中道具(小型のバールなど)」を用いて手を差し込め
る程度の「小開口」を開け、窓のクレセントを外して侵
入する手口に対応する防犯ガラスである。
【0086】また、JIS A3205に準拠して、試
験体に対して耐光性試験、耐熱性試験を行った結果、耐
光性および耐熱性ともに、JIS A3205に合格し
ていた。耐光性試験前の可視光線透過率が87.1%で
あったのに対し、耐光性試験後も87.1%であり、減
少がなく、JIS A3205の規格である減少率10
%以下を満たしていた。また、耐熱性試験後の試験体に
変色および気泡発生などの外観変化は見られなかった。 実施例2 図6は、本発明の樹脂挿入合わせガラスの一例の主要部
の断面図である。図6に示すように、加熱処理などの強
化処理の施されていない、実測したところ、板厚2.4
mmであるフロートガラスFL2.5を、サイズ30c
m角にカットし端面を面取りした2枚の板ガラス3、
3’の間に、サイズ30cm角の架橋EVAからなるシ
ート2、2’、2”および同サイズのPETシート1、
1’を挟み込み、減圧容器内に入れ、減圧容器内をロー
タリーポンプを用いて脱気した後、減圧容器内に内設さ
れたヒーターに通電し、板ガラスを90℃程度に維持し
た状態で10分間、次いで130℃程度に15分間、輻
射加熱した後、減圧容器内を大気圧に開放し、ヒーター
のスイッチを切って暫くした後、取り出して、フロート
ガラス3、厚み2.4mm/架橋EVA2、厚み400
μm/PETシート1、厚み125μm/架橋EVA
2’、厚み400μm/PETシート1’、厚み125
μm/架橋EVA2”、厚み400μm/フロートガラ
ス3’、厚み2.4mmの積層構成の樹脂挿入合わせガ
ラスを作製した。加熱して架橋EVAとなるシートに
は、実施例1と同様にEVAに硬化剤を添加したEVA
系熱硬化型透明接着シート(ブリヂストン社製、商品
名、EVASAFE)を用いた。
【0087】図7は、耐火炎熱照射による破壊貫通性の
評価の際の、合わせガラスの加熱部位の説明図である。
実施例1と同様に、図7に示す半径100mmの円弧で
ある加熱部8を、試験者がブタンガスを用いる市販の高
温タイプのガスバーナー(プリンス社製、型番GB−2
001)を用いて、火炎が直接ガラス表面を加熱するよ
うに、ガラス3面よりバーナー口を5cm程離して火力
を最大にして火炎が当たる位置を移動させつつ炙り、加
熱部8のガラス3、3’が溶解または割れ、ドライバー
の先で軽く押して、該樹脂挿入合わせガラスの端部が欠
落するまでに要した時間を測定した。
【0088】該樹脂挿入合わせガラスの加熱部8が割
れ、端部が欠落するまでに要した時間は、3回測定した
結果、第1回目、6分50秒、第2回目、6分00秒、
第3回目、6分10秒であり、平均すると6分20秒で
あった。
【0089】また、サイズを900×1100mmにか
えた以外は、前記の積層構成かつ各層の厚みを等しくし
て、樹脂挿入合わせガラスを試験体として作製し、耐衝
撃性を、前述のCEN規格TC129落球衝撃試験に準
拠して評価した。評価結果、試験体は防犯クラス「P4
A」に合格し、優れた耐衝撃性、耐貫通性を有している
ことが判った。
【0090】また、JIS A3205に準拠して、試
験体に対して耐光性試験、耐熱性試験を行った結果、耐
光性および耐熱性ともに、JIS A3205に合格し
ていた。耐光性試験前の可視光線透過率が87.5%で
あったのに対し、耐光性試験後は87.4%であり、減
少率は0.1%であり、JIS A3205の規格であ
る減少率10%以下を満たしていた。また、耐熱性試験
後の試験体に変色および気泡発生などの外観変化は見ら
れなかった。 実施例3 図1は、本発明の樹脂挿入合わせガラスの一例の主要部
の断面図である。図1に示すように、実測したところ、
板厚、2.7mmである加熱処理などの強化処理の施さ
れていないフロートガラスFL3を、サイズ300mm
角にカットし端面を面取りした2枚の板ガラス3、3’
の間に、サイズ300mm角の加熱して架橋EVAとな
るシート2、2’、同サイズのPETシート1を挟み込
み、減圧容器内に入れ、減圧容器内をロータリーポンプ
を用いて脱気した後、減圧容器内に内設されたヒーター
に通電し、板ガラス3、3’を90℃程度に維持した状
態で10分間、次いで130℃程度に維持した状態で1
5分間、輻射加熱した後、減圧容器内を大気圧に開放
し、ヒーターのスイッチを切って暫く冷却させた後、取
り出して、本発明の樹脂挿入合わせガラスの断面図であ
る図1に示す、フロートガラス3、厚み2.7mm/架
橋EVA2、厚み800μm/PETシート1、厚み1
88μm/架橋EVA2’、厚み400μm/フロート
ガラス3’、厚み2.7mmの積層構成の樹脂挿入合わ
せガラスを作製した。加熱して架橋EVAとなるシート
には、実施例1および実施例2と同様に、EVAに硬化
剤を添加したEVA系熱硬化型透明接着シート(ブリヂ
ストン社製、商品名、EVASAFE)を用いた。
【0091】図7は、耐火炎熱照射による破壊貫通性の
評価の際の、合わせガラスの加熱部位7の説明図であ
る。ブタンガスを用いる市販の高温タイプのガスバーナ
ー(プリンス社製、型番GB−2001)を用い、火炎
放射は厚み800μmの架橋EVA2の側面のフロート
ガラス3側から行った。
【0092】実施例1および実施例2と同様に、耐火炎
熱照射による破壊貫通性の評価を3回行ったところ、樹
脂挿入合わせガラスの加熱部が割れ、端部が欠落するま
でに要した時間は、第1回目、7分20秒、第2回目、
6分40秒、第3回目、6分であり、平均すると6分4
0秒であった。
【0093】サイズを900×1100mmにかえた以
外は、前記の積層構成かつ各層の厚みを等しくして、樹
脂挿入合わせガラスを試験体として作製し、耐衝撃性
を、前述のCEN規格TC129落球衝撃試験に準拠し
て評価した。
【0094】評価結果、試験体は防犯クラス「P4A」
に合格し、優れた耐衝撃性、耐貫通性を有していること
が判った。
【0095】また、JIS A3205に準拠して、試
験体に対して耐光性試験、耐熱性試験を行った結果、耐
光性および耐熱性ともに、JIS A3205に合格し
ていた。耐光性試験前の可視光線透過率が87.1%で
あったのに対し、耐光性試験後は86.9%であり、減
少率が0.2%で、JIS A3205の規格である減
少率10%以下を満たしていた。また、耐熱性試験後の
試験体に変色および気泡発生などの外観変化は見られな
かった。 実施例4 図1は、本発明の樹脂挿入合わせガラスの一例の主要部
の断面図である。図1に示すように、実測したところ、
板厚、2.7mmである加熱処理などの強化処理の施さ
れていないフロートガラスFL3を、サイズ300mm
角にカットし端面を面取りした2枚の板ガラス3、3’
の間に、サイズ300mm角の加熱して架橋EVAとな
るシート2、2’、同サイズのPETシート1を挟み込
み、減圧容器内に入れ、減圧容器内をロータリーポンプ
を用いて脱気した後、減圧容器内に内設されたヒーター
に通電し、板ガラス3、3’を90℃程度に維持した状
態で10分間、次いで130℃程度に維持した状態で1
5分間、輻射加熱した後、減圧容器内を大気圧に開放
し、ヒーターのスイッチを切って暫く冷却させた後、取
り出して、本発明の樹脂挿入合わせガラスの断面図であ
る図1に示す、フロートガラス3、厚み2.7mm/架
橋EVA2、厚み400μm/PETシート1、厚み1
88μm/架橋EVA2’、厚み400μm/フロート
ガラス3’、厚み2.7mmの積層構成の樹脂挿入合わ
せガラスを作製した。加熱して架橋EVAとなるシート
には、実施例1〜実施例3と同様に、EVAに硬化剤を
添加したEVA系熱硬化型透明接着シート(ブリヂスト
ン社製、商品名、EVASAFE)を用いた。
【0096】図7は、耐火炎熱照射による破壊貫通性の
評価の際の、合わせガラスの加熱部位8の説明図であ
る。
【0097】実施例1〜実施例3と同様に、耐火炎熱照
射による破壊貫通性の評価を3回行ったところ、樹脂挿
入合わせガラスの加熱部8が割れ、端部が欠落するまで
に要した時間は、第1回目、6分20秒、第2回目、5
分50秒、第3回目、5分50秒であり、平均すると6
分であった。
【0098】サイズを900×1100mmにかえた以
外は、前記の積層構成かつ各層の厚みを等しくして、樹
脂挿入合わせガラスを試験体として作製し、耐衝撃性
を、前述のCEN規格TC129落球衝撃試験に準拠し
て評価した。
【0099】評価結果、試験体は防犯クラス「P4A」
に合格し、優れた耐衝撃性、耐貫通性を有していること
が判った。
【0100】以上のように、実施例1から4の樹脂挿入
合わせガラスは、いずれも端部が欠落するまで5分以上
を必要とし、耐火炎熱照射に対する優れた破壊貫通性を
有していた。 比較例1 実測したところ、板厚、2.7mmである加熱処理など
の強化処理の施されていないフロートガラスFL3を、
サイズ300mm角にカットし端面を面取りした2枚の
板ガラスの間に、サイズ30cm角のEVAからなるシ
ートを挟み込み、減圧容器内に入れ、減圧容器内をロー
タリーポンプを用いて脱気した後、減圧容器内に内設さ
れたヒーターに通電し、板ガラスを100℃に維持した
状態で10分間、輻射加熱した後、減圧容器内を大気圧
に開放し、ヒーターのスイッチを切って暫くした後、取
り出して、FL3/EVA、厚み800μm/FL3の
積層構成の合わせガラスを作製した。
【0101】図7は、耐火炎熱照射による破壊貫通性の
評価の際の、合わせガラスの加熱部位8の説明図であ
る。
【0102】実施例1〜実施例4と同様に、耐火炎熱照
射による破壊貫通性の評価を行ったところ、樹脂挿入合
わせガラスの加熱部8が割れ、端部が欠落するまでに要
した時間は、2分10秒であった。 (耐火炎熱照射による破壊貫通性の評価)実施例1で用
いた、FL3、厚み2.7mm/架橋EVA2、厚み4
00μm/PETシート1、厚み125μm/架橋EV
A2’、厚み400μm/PETシート1’、厚み12
5μm/架橋EVA2”、厚み400μm/FL3、厚
み2.7mmの積層構成の樹脂挿入合わせガラスと、F
L3を用い中間膜にPVBを用いPVBの厚みを変えた
合わせガラスと、単板ガラスとを試験体として、耐火炎
熱照射による破壊貫通性の比較評価試験を行った。本評
価試験は、試験者がバーナーを用いて試験体に対する炎
熱照射位置、すなわち、火炎の当たる位置を移動しつつ
行うので、比較評価結果に対し、試験者による差異が無
きよう、発明者中の同一人物が各試験体に対して3回ず
つ行った。
【0103】前述のように300mm×300mmサイ
ズの各試験体に対し、図7に示すように、試験体の片側
端部7を治具に固定した後、試験体の角部から100m
m離れた円弧状の加熱部8を、市販の高温タイプのガス
バーナー(プリンス社製、型番GB−2001)を用
い、試験者が炎が直接ガラス表面を加熱するようにガラ
ス面よりバーナー口を5cm程、離して火力を最大にし
て火炎の当たる位置を移動させつつ炙り、加熱部のガラ
スが割れ、ドライバーの先で軽く押して、ガラスが脱落
するのに要した時間を測定し、耐火炎熱照射による破壊
貫通性を比較評価した。
【0104】表2は、各試験体の耐火炎熱照射による破
壊貫通性の評価結果である。
【0105】
【表2】
【0106】実施例1に示すPET樹脂挿入合わせガラ
スが脱落するのに要した時間が第1回目、7分20秒、
第2回目、5分40秒、第3回目、6分10秒であり、
平均すると6分20秒であった。それに引き替え、FL
3の間に厚み15mil(=380μm)のPVB中間
層を設けた比較例2の合わせガラスが脱落するのに要し
た時間は、第1回目、2分40秒、第2回目、2分30
秒、第3回目、2分10秒であり、平均すると2分30
秒であった。
【0107】市販されている防犯合わせガラスの構成で
ある、FL3の間に厚み30mil(=760μm)の
PVB中間層を設けた比較例3の合わせガラスが脱落す
るのに要した時間は、第1回目、2分40秒、第2回
目、2分50秒、第3回目、2分10秒であり、平均す
ると2分30秒であった。更に、厚み60mil(=1
520μm)のPVB中間層を設けた比較例4の合わせ
ガラスが脱落するのに要した時間は、第1回目、2分4
0秒、第2回目、2分30秒、第3回目、2分40秒で
あり、平均すると2分40秒であった。厚み90mil
(=2280μm)のPVB中間層を設けた比較例5の
合わせガラスが脱落するのに要した時間は、第1回目、
3分20秒、第2回目、3分20秒、第3回目、3分4
0秒であり、平均すると3分30秒であった。
【0108】比較例6に示すFL3単板、比較例7に示
すFL5単板はガスバーナーによる火炎熱照射を始めて
1分以内で脱落し、合わせガラスの耐火炎熱照射による
破壊貫通性に遥か及ばなかった。
【0109】耐火炎熱照射による破壊貫通性の評価試験
の結果、実施例1に示す本発明の樹脂挿入合わせガラス
である構成FL3/架橋EVA2、厚み400μm/P
ETシート1、厚み125μm/架橋EVA2’、厚み
400μm/PETシート1’、厚み125μm/架橋
EVA2”、厚み400μm/FL3の加熱端部が欠落
するのに要した時間は平均で6分20秒であり、他の試
験体と比較して、際だって優れた耐火炎熱照射による破
壊貫通性を有していた。 (耐こじ破り性の評価)実施例1で用いたFL3/架橋
EVA2、厚み400μm/PETシート1、厚み12
5μm/架橋EVA2’、厚み400μm/PETシー
ト1’、厚み125μm/架橋EVA2”、厚み400
μm/FL3の積層構成の樹脂挿入合わせガラスと、F
L3を用いPVBを中間膜としPVBの厚みを変えた合
わせガラスと、単板ガラスとを試験体として、耐こじ破
り性の比較評価試験を行った。
【0110】評価方法は、ガラス溝幅9mmのサッシに
塩化ビニール製のグレージングチャンネルを用いてはめ
込んだ前記試験体の端部より、試験者が全長20cmの
マイナスドライバーを用いて、試験体をこじ破り、10
cm程度のクレセントを開錠するに可能な穴が開くまで
の時間を測定し、耐こじ破り性を評価した。本評価試験
は、こじ破り作業を試験者が行うので、試験者の体力差
およびこじ破り作業のやり方の違いによって、比較評価
結果が左右されることなきよう、試験は発明者中の同一
人物が行った。
【0111】表3は、各試験体の耐こじ破り性の評価結
果である。
【0112】
【表3】
【0113】表3に示すように、こじ破りにより、実施
例1に示すPET樹脂挿入合わせガラスに穴が開くまで
の時間は第1回目、3分30秒、第2回目、3分10
秒、第3回目、3分40秒であり、平均すると3分30
秒であった。それに引き替え、比較例2に示すFL3の
間に厚み15mil(=380μm)のPVB中間層を
設けた合わせガラスに穴が開くまでの時間は、第1回
目、40秒、第2回目、50秒、第3回目、30秒であ
り、平均すると40秒であった。
【0114】市販されている防犯合わせガラスの構成で
ある、FL3の間に厚み30mil(=760μm)の
PVB中間層を設けた比較例3の合わせガラスに穴が開
くまでの時間は、第1回目、1分、第2回目、1分50
秒、第3回目、1分10秒であり、平均すると1分20
秒であった。更に、厚み60mil(=1520μm)
のPVB中間層を設けた比較例4の合わせガラスに穴が
開くまでの時間は、第1回目、1分40秒、第2回目、
1分30秒、第3回目、1分30秒であり、平均すると
1分30秒であった。厚み90mil(=2280μ
m)のPVB中間層を設けた比較例5の合わせガラスに
穴が開くまでの時間は、第1回目、2分、第2回目、1
分50秒、第3回目、2分であり、平均すると2分であ
った。
【0115】比較例6に示すFL3単板、比較例7に示
すFL5単板は30秒以内で穴が開き、合わせガラスの
耐こじ破り性に遥かおよばなかった。
【0116】耐こじ破り性の評価試験の結果、実施例1
に示す本発明の樹脂挿入合わせガラスである構成FL3
/架橋EVA2、厚み400μm/PETシート1、厚
み125μm/架橋EVA2’、厚み400μm/PE
Tシート1’、厚み125μm/架橋EVA2”、厚み
400μm/FL3が、試験体の中で最も優れた耐こじ
破り性を有していた。 (遮音性能の評価)前記、実施例1に示した本発明のP
ET樹脂挿入合わせガラスと、比較例3〜5に示したP
VB合わせガラスと、比較例6および7の単板ガラスの
遮音性能の測定を、JIS A1416「実験室におけ
る建築部材の空気音の遮断性能の測定」に準拠して行
い、125Hz〜5000Hzの範囲で透過損失を測定
した。
【0117】透過損失は材料の遮音の程度を数量的に表
すもので、入射音のエネルギーと透過音との比の常用対
数を10倍した数値で表される。
【0118】表4は、実施例1のPET樹脂挿入合わせ
ガラス、比較例3〜5のPVB合わせガラス、比較例
6、7の単板ガラス、およびFL3を用いた市販の防音
合わせガラス(商品名、ラミネックスソネス30、セン
トラル硝子(株)製)を測定対象とした遮音性能の測定
値である。
【0119】
【表4】
【0120】表4に示すように、実施例1の本発明の樹
脂挿入合わせガラスは、500Hzの透過損失が30.
5dB、1000Hzの透過損失が35.9dB、20
00Hzの透過損失が39.3dBであり、比較例8の
防音合わせガラスであるラミネックスソネスの遮音性能
と500Hz、30.4dB、1000Hz、35.2
dB、2000Hz、39.3dBと同等以上であっ
た。
【0121】実施例1の本発明の樹脂樹脂挿入あわせガ
ラスは、比較例3〜5のPVB合わせガラスの遮音性能
を、2000Hzにおいて6dB以上回っていた。比較
例6、比較例7の単板ガラスは、低い遮音性能であっ
た。
【0122】図8は、縦軸を透過損失(dB)、横軸を
周波数(Hz)とした遮音曲線である。図8に、実施例
1の本発明のPET樹脂挿入合わせガラス、比較例4の
PVBの厚みが60mil(=1520μm)である合
わせガラス、および市販の防音合わせガラスであるラミ
ネックスソネス30の遮音曲線を示す。本発明の合わせ
ガラスは、500Hz以上、3500Hz以下の遮音性
能に優れる。
【0123】以上の評価試験および遮音性の測定表を行
った実施例1〜4のPET樹脂挿入合わせガラス、比較
例1〜5の合わせガラス、比較例6、7の単板ガラス、
比較例8の防音合わせガラスに用いたガラス板は、フロ
ート法で製造された後、例えば強化処理など、何ら処理
が行われていない生板ガラスである。
【0124】
【発明の効果】本発明は、合わせガラスの中間層にPE
Tシートを挿入し、ガラスとPETシートを粘弾性のあ
る透明樹脂によって接着することで、耐衝撃性、耐貫通
性に加え、ガスバーナーで炙ったとしても、貫通穴の開
くまでの時間を従来の防犯合わせガラスに比較して大幅
に長くし、防犯性能を格段に進歩させた、耐火炎熱照射
による破壊貫通性に優れ、加えて耐こじ破り性に優れる
樹脂挿入合わせガラスである。
【0125】本発明の樹脂挿入合わせガラスは、耐衝撃
性および耐貫通性に優れており、たとえガスバーナーで
炙ったとしても短時間で貫通穴が開くことがないので、
優れた防犯性能を示す。
【0126】更に、ガラスとPETシートを接着する透
明樹脂に架橋EVAを用いることによって、製作が簡単
となり安価になるとともに、ストライプパターン、また
はロゴマークなどの図柄が印刷されたPETシートを、
合わせガラスの中間層に挿入することで装飾ガラスとす
ることも可能であり、着色されたPETシートを用いて
着色透明ガラスとすることも可能である。
【0127】また、本発明の樹脂挿入合わせガラスは5
00Hz〜3000Hzにおける遮音性能に優れる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の樹脂挿入合わせガラスの一例の主要部
の断面図である。
【図2】中間層に挿入したPETシート1にストライプ
4を印刷した本発明の樹脂挿入合わせガラスの一例の正
面図である。
【図3】中間層に挿入したPETシート1にロゴマーク
5を印刷した本発明の樹脂挿入合わせガラスの一例の正
面図である。
【図4】中間層に挿入したPETシート1の一部を着色
しシェードバンド6を形成した本発明の樹脂挿入合わせ
ガラスの一例の正面図である。
【図5】CEN規格、TC129に標準化された板ガラ
スの耐衝撃性試験に使用する支持架台の概略図である。
【図6】本発明の樹脂挿入合わせガラスの一例の主要部
の断面図である。
【図7】合わせガラスの加熱部位の説明図である。
【図8】縦軸を透過損失(dB)、横軸を周波数(H
z)とした遮音曲線である。
【符号の説明】
1 PETシート 2、2’、2” 透明樹脂 3、3’ ガラス板 4 ストライプ 5 ロゴマーク 6 シェードバンド 7 支持部 8 加熱部
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 田原 雅貴 三重県松阪市大口町1510番地 セントラル 硝子株式会社硝子研究所内 (72)発明者 山本 秀樹 三重県松阪市大口町1510番地 セントラル 硝子株式会社硝子研究所内 (72)発明者 国吉 稔 三重県松阪市大口町1510番地 セントラル 硝子株式会社硝子研究所内 Fターム(参考) 4F100 AG00A AG00D AK01C AK01E AK42B AK68C AK68E GB07 JH01 JJ03 JJ07 JK01 JL12C JL12E JN01C JN01E 4G061 AA02 AA04 AA06 AA11 AA27 AA28 BA01 CA02 CB03 CB16 CD02 CD18 DA23 DA38 DA46

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 一対のガラス板の間に、ポリエチレンテ
    レフタレートからなるシートと加熱溶融によって粘着性
    を示す透明樹脂とを中間層として挿入し、該シートと該
    透明樹脂からなる中間層およびガラス板を接着一体化さ
    せてなることを特徴とする耐火炎熱照射による破壊貫通
    性に優れた樹脂挿入合わせガラス。
  2. 【請求項2】 一対のガラス板の板厚は各々1.8mm
    以上、6.0mm以下であり、ポリエチレンテレフタレ
    ートからなるシートのトータルの厚みは110μm以
    上、400μm以下であり、該シートと前記透明樹脂と
    を合わせた中間層の厚みは700μm以上、2000μ
    m以下であることを特徴とする請求項1に記載の耐火炎
    熱照射による破壊貫通性に優れた樹脂挿入合わせガラ
    ス。
  3. 【請求項3】 ポリエチレンテレフタレートからなるシ
    ートと前記透明樹脂とを合わせた前記中間層において、
    ポリエチレンテレフタレートからなるシートの両側の透
    明樹脂層の厚みが異なることを特徴とする請求項1また
    は請求項2に記載の耐火炎熱照射による破壊貫通性に優
    れた樹脂挿入合わせガラス。
  4. 【請求項4】 前記透明樹脂が架橋型エチレン−ビニル
    アセテート共重合体であることを特徴とする請求項1乃
    至請求項3のいずれかに記載の耐火炎熱照射による破壊
    貫通性に優れた樹脂挿入合わせガラス。
  5. 【請求項5】 CEN規格TC129の防犯クラス「P
    4A」を満足する性能を有することを特徴とする請求項
    1乃至請求項4のいずれかに記載の耐火炎熱照射による
    破壊貫通性に優れた樹脂挿入合わせガラス。
  6. 【請求項6】 耐こじ破り性に優れる請求項1乃至請求
    項5のいずれかに記載の耐火炎熱照射による破壊貫通性
    に優れた樹脂挿入合わせガラス。
  7. 【請求項7】 波長域500Hz〜3000Hzの遮音
    性に優れる請求項1乃至請求項6のいずれかに記載の耐
    火炎熱照射による破壊貫通性に優れた樹脂挿入合わせガ
    ラス。
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