JP4076741B2 - 樹脂挿入合わせガラス - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、建築物用窓ガラス向けなどの耐火炎熱照射による破壊貫通性に優れた防犯性能を有する樹脂挿入合わせガラスに関する。特に、一戸建て住宅、マンションなどの一般住宅の窓ガラスなどに使用できる軽量であり、且つ耐火炎熱照射による破壊貫通性に優れ、防犯性能および遮音性能に優れた合わせガラスに関する。
【0002】
【従来の技術】
平成9年3月に財団法人都市防犯研究センターより発行されたJUSRIリポート別冊第8号によると、近年、空き巣の件数、被害ともに増加しつつある。こうした状況から、警察庁と国土交通省は平成13年3月23日に「共同住宅に関わる防犯上の留意事項」を定め、その基本事項の中で、破壊とピッキングに強い錠の設置や、鍵付きクレセントおよび補助錠の設置などの侵入防止の措置を講じることが望ましいとしている。
【0003】
空き巣などの犯罪行為を目的とした外部侵入者は、通常、建物に侵入する際、施錠されている場合、建物に採光部として設けられたガラス窓を破壊する、ドアを破壊する、またはピッキングなどの手段を用い玄関ドアの鍵などを開錠することによって建物内部に侵入する。
【0004】
JUSRIリポート別冊第8号によると、一戸建て住宅への侵入は窓よりの侵入が多く、さらに、窓よりの侵入は 、窓ガラスの一部を破壊または穴を開けてサッシに設けられたクレセントを開けること、または窓ガラスの全面を割ることによって行われるので、侵入防止のためには、容易に穴が開かない、または容易に割れない様にしたガラスを窓ガラスとして用いることが好ましい。
【0005】
フロート法またはロールアウト法などにより製造され、強化処理が施されていない生板ガラスに比較して、製造後に、風冷強化処理またはガラス中のナトリウムを一部カリウムで置換させるなどの化学強化処理などによって、ガラス表面に圧縮応力を発生させて割れにくくした強化ガラス、または2枚のガラスをポリビニルブチラール(以下、PVBと略称する)などからなる中間膜により接着し、ガラスが割れたとしても中間膜であるPVBに穴の開くことが少ない合わせガラスの方が防犯性能は高い。
【0006】
ガラス窓を破壊して侵入する際の手段としては、打ち破りと称され、バールやハンマーなどで破壊音を気にせずにガラス窓を破壊し、周囲の人が駆けつける前に盗難などの目的を達成しようとする手段と、こじ破りと称され、ドライバーなどで大きな音を出さないようにガラス窓を割って穴を開け、クレセント錠などを開けて密かに侵入する手段が挙げられる。大きな破壊音のする打ち破りに比べ、破壊音の小さなこじ破りの方が空き巣の被害件数は多い。
【0007】
なお、強化ガラス単板は、よほど厚くない限り、打ち破りにより破壊されてしまう。
【0008】
打ち破りおよびこじ破りに対して、割れにくく穴の開きにくい、即ち、物理的衝撃に対しての耐衝撃性および耐貫通性を重視した防犯ガラス、例えば、合わせガラスの中間膜であるPVBを容易に穴が開かないように分厚くした合わせガラス、合わせガラスの中間層に耐衝撃性の高いポリカーボネート板(以下、PCと略称する)を挿入し、エチレン−ビニルアセテート共重合体(以下、EVAと略称する)によって、接着一体化させた合わせガラス、ガラス板とポリエチレンテレフタレート(以下、PETと略称する)シートを、接着後固化する接着剤により貼り合わせた積層ガラスなどが防犯ガラスとして市販されている。
【0009】
日本には、建造物に対する防犯基準はないが、欧米ではストアーフロント、ホテルはもとより住宅、事務所、病院などの建造物において、防犯基準があり、特に米国では、ストアーフロント、ホテルには防犯合わせガラスを用いることが推奨されている。
【0010】
例えば、ヨーロッパでは、CEN規格(European Commitee for Standardization)TC129に板ガラスの耐衝撃性試験が標準化されており、その結果より板ガラスを防犯クラスP1A〜P5AおよびP6B〜P8Bに分類している。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
ガラス窓を破壊し侵入する際に、打ち破り、こじ破りに加え、火炎温度が高い高熱タイプのガスバーナーの火炎によって窓ガラスを炙ることで、ガラスを熱割れさせ貫通穴を開けた後、クレセントなどを開錠して侵入するケースが増えてきている。
【0012】
可燃性ガスを強制的に噴射させること、または炎を絞ることにより火炎温度を高くした高熱タイプのガスバーナーを用い、ガラスを炙ると、局所的に高熱になった部分が溶解したり、膨張し熱割れを生じたりする。
【0013】
ブタンガスなどの可燃性ガスを燃料とする携帯が容易な小型高熱タイプのガスバーナーは、市販されており、たやすく手に入る。該ガスバーナーを使い窓ガラスを炙ると、短時間で加熱部分のガラスが溶解または熱割れし貫通穴が開き、打ち破りに比較して音が発生せず、こじ破りに比較して手間がかからない。
【0014】
たとえ、合わせガラス構造とし中間層に打ち破り、こじ破りに強いPVB、PC板などを挟み込んだとしても、従来の防犯合わせガラスには、高温タイプのガスバーナーで炙った場合のことは想定していないので、ガスバーナーで炙った際には、加熱部分のガラスが割れ、中間層に用いたPVB、PC板が溶けることで、手が入る程度の貫通穴が短時間で開く問題があった。
【0015】
一方、PETの融点は245℃であり、軟化点が80℃であるPVBおよび軟化点が135℃であるPCに比較して、PETは、耐熱温度が高いので、ガラス板とPETシートを接着剤により貼り合わせた積層ガラスは、ガスバーナーでガラス面側から炙ったとしても、PC板およびPVBを挟み込んだ合わせガラスに比較して、短時間で穴が開くことはない。
【0016】
しかしながら、PETは結晶性プラスチックであり、PETシートとする際に2軸延伸することで透明となるので透明性を維持するために、PVBおよびPC板のように厚くすることが出来ず、ガラス板とPETシートを、接着後固化する接着剤により貼り合わせただけでは耐衝撃性、耐貫通性に劣り、打ち破りおよびこじ破りに弱いという問題があった。
【0017】
打ち破り、こじ破りおよびガスバーナーによる火炎熱照射に対する防犯合わせガラスの耐久性を上げるためには、ガラスおよび/または中間層の樹脂厚を厚くすること、ガラス板を3枚以上積層し、積層したガラス間にPVB、PC板、またはPETシートなどの樹脂を挟み込んだ積層構造とすることなどが挙げられるが、これら方法では窓ガラスの厚みおよび重量が増すことで、使用できるサッシおよび窓が限られてしまい、一般住宅用としては使い辛いものになるという問題があった。
【0018】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上記の問題点を解決するために成されたものであり、打ち破り、こじ破りにより容易に破壊されたり穴が開いたりすることがない。またCEN規格TC129に標準化された耐衝撃性試験を行った結果、防犯クラスP4Aを満足し、ガスバーナーなどの火炎によって加熱されたとしても、市販されている従来の防犯合わせガラスに比較して、短時間で穴の開くことのない極めて防犯性能に優れた防犯合わせガラスを提供することを目的とするものである。
【0019】
本発明は、一対のガラス板の間に、PETシートと、その両側に加熱溶融によって粘着性を示す透明樹脂である架橋型エチレン−ビニルアセテート共重合体(以下、架橋EVAと略称する)を設け、該シートと該透明樹脂とを中間層として挟み込んで挿入し、架橋EVAを加熱溶融させることで該シートと架橋EVAからなる中間層およびガラス板を接着一体化させてなり、架橋EVAの透明樹脂が直接ガラス板と接合させてなり、一対のガラス板の板厚は各々1.8mm以上、6.0mm以下であり、PETシートのトータルの厚みは110μm以上、400μm以下であり、該シートと架橋EVAとを合わせた中間層の厚みは700μm以上、2000μm以下であり、CEN規格TC129の防犯クラス「P4A」を満足する性能を有する耐火炎熱照射による破壊貫通性に優れた樹脂挿入合わせガラスである。
【0020】
【0021】
さらに、本発明は、PETシートと前記透明樹脂である架橋EVAとを合わせた前記中間層において、PETシートの両側の透明樹脂層である架橋EVAの厚みが異なり、CEN規格TC129の防犯クラス「P4A」を満足する性能を有する上記の耐火炎熱照射による破壊貫通性に優れた樹脂挿入合わせガラスである。
【0022】
【0023】
【0024】
さらに、本発明は、耐こじ破り性に優れCEN規格TC129の防犯クラス「P4A」を満足する性能を有することを特徴とする上記の耐火炎熱照射による破壊貫通性に優れた樹脂挿入合わせガラスである。
【0025】
さらに、本発明は、波長域500Hz〜3000Hzの遮音性に優れCEN規格TC129の防犯クラス「P4A」を満足する性能を有することを特徴とする上記の耐火炎熱照射による破壊貫通性に優れた樹脂挿入合わせガラスである。
【0026】
空き巣目的の泥棒が、窓ガラスの破壊または開錠に手間取り、侵入を諦めるまでの時間は、財団法人都市防犯研究センターより発行されているJUSRIリポート別冊第8号に掲載されている調査によれば、2分を超え5分以内で全体の51%とされている。
【0027】
本発明者らは、鋭意検討した結果、一対のガラス板の間に少なくとも1枚以上のPETシートと、その両側に加熱溶融によって粘着性を示す透明樹脂である架橋EVAを設け、該シートと該透明樹脂とを中間層として挟みこんで挿入し、架橋EVAを加熱溶融させることで接着一体化させてなり、架橋型EVAの透明樹脂が直接ガラス板と接合されてなる樹脂挿入合わせガラスを作製し、PETシートのトータルの厚みを110μm以上、架橋EVAの厚みを590μm以上、PETシートと架橋EVAとを併せた合わせガラスの中間層の厚みを700μm以上とすることで、打ち破り、こじ破りに対する耐衝撃性および耐貫通性などの優れた防犯性能に加え、ガスバーナーなどでの加熱に対して貫通穴が開くまでの時間の長い、即ち、市販の高熱タイプのガスバーナーで炙った際に貫通穴が開くまでの時間が長い耐火炎熱照射による破壊貫通性に優れた樹脂挿入合わせガラスを完成させるに至った。
【0028】
また、本発明者らは、本発明の樹脂挿入合わせガラスの積層構成を、ガラス板/架橋EVA/PETシート/架橋EVA/ガラス板とした場合、架橋EVAの厚みを異なる構成とし、ガスバーナーなどで炙る側の架橋EVAを厚くすることで、同じ中間層の厚みにおいて、ガスバーナーなどの加熱に対し貫通穴が開くまでの時間を長くできることが判った。架橋EVAを異なる厚みとすることで、本発明の樹脂挿入合わせガラスの特徴である、ガスバーナーなどの加熱に対して貫通穴が開くまでの時間が長いことを損なうことなく、本発明の樹脂挿入合わせガラスを軽量化することが可能である。
【0029】
本発明において、EVAに硬化剤を添加し、またはカルボキシル基などの官能基を有するEVA変性樹脂に硬化剤を添加し加熱により架橋させた三次元共重合体を架橋EVAと称する。
【0030】
強靱なPETシートと、その両側の粘弾性を有する架橋EVAからなる中間層を有する本発明の樹脂挿入合わせガラスは、耐衝撃性および耐貫通性に優れ、PETシートのトータルの厚みが110μm以上、架橋EVAのトータルの厚みが590μm以上、PETシートと架橋EVAとを合わせた合わせガラス中間層の厚みを700μm以上とすることで、各々板厚1.8mm以上の一対の板ガラスを用い合わせガラスを作製した際に、CEN規格にて標準化された落球による耐衝撃試験に準拠して試験を行った結果、直径100mm、重さ4.11kgの鋼球を9mの高さから3回落下させても、鋼球が貫通しないCEN規格TC129の防犯クラス「P4A」を満足する強度の合わせガラスを、一対の板ガラスと中間層とを合わせた厚さ4.3mm以上で得ることが可能となる。
【0031】
中間膜であるポリビニルブチラールの厚みを容易に穴が開かないように厚くした合わせガラス、または合わせガラスの中間層に耐衝撃性の高いPC板およびEVAを挿入し一体化させた従来の防犯合わせガラスは、各々板厚3mmの一対の板ガラスを用い、中間層とを併せて6.8mmとしたものを標準品として市販されている。
【0032】
例えば、フロートガラス2.7mm厚/架橋EVA800μm厚/PETシート188μm厚/架橋EVA400μm厚/フロートガラス2.7mm厚の積層構成による厚み6.8mmの本発明の樹脂挿入合わせガラスは、CEN規格TC129の防犯クラス「P4A」を満足し、架橋EVA800μm厚側の面から高熱タイプのガスバーナーで炙った際にも、貫通穴の開くまでの時間が長いものであり、前記6.8mmの厚みによる従来の防犯合わせガラスに比較して耐火炎熱照射による破壊貫通性に優れた防犯性能を有するものである。
【0033】
さらに、フロートガラス2.7mm厚/架橋EVA400μm厚/PETシート125μm厚/架橋EVA400μm厚/PETシート125μm厚/架橋EVA400μm厚/フロートガラス2.7mm厚の積層構成による厚み6.9mmの本発明の樹脂挿入合わせガラスは、前記構成の樹脂挿入合わせガラスと比較して、CEN規格TC129の防犯クラス「P4A」に余裕を持って合格し、高熱タイプのガスバーナーで炙った際にも貫通穴の開くまでの時間がさらに長く、際だった防犯性能を有するものである。
【0034】
さらに、フロートガラス2.4mm厚/架橋EVA400μm厚/PETシート125μm厚/架橋EVA400μm厚/PETシート125μm厚/架橋EVA400μm厚/フロートガラス2.4mm厚の積層構成による厚み6.3mmの本発明の樹脂挿入合わせガラスは、CEN規格TC129の防犯クラス「P4A」に合格し、市販のガスバーナーで炙った際にも貫通穴の開くまでの時間が長く、軽量かつ優れた防犯性能を有するものであり、PETシート及び架橋EVAによる中間層が固いので、厚み2.4mmのガラスをPVBを中間層として合わせた合わせガラスに対して、こじ破りに強く割れにくいものである。
【0035】
また、PET樹脂挿入合わせガラスの構造を、3枚以上のガラスを積層させた構成としても構わないが、本発明のPET樹脂挿入合わせガラスが防犯ガラスとして最も真価を発揮するのは、2枚のガラス板の間にPETシートおよびその両側に架橋EVAを挟み込んだ後、ガラス板とPETシートとその両側に架橋EVAとを一体化させて樹脂挿入合わせガラスとした場合であり、PVBのみを中間膜とした合わせガラスまたは網入りガラスと同じ厚みで、打ち破り、こじ破りに強く、耐火炎熱熱照射による破壊貫通性に優れた防犯性能を示し、軽量かつ強靱な防犯合わせガラスを提供するものである。
【0036】
一般的な溝幅9、11mmの合わせガラス用のサッシにはめ込むためには、本発明の樹脂挿入合わせガラスにおいて、PETシートと架橋EVAとを合わせた中間層の厚みは、2000μm以下であることが好ましく、耐火炎熱照射による破壊貫通性に優れ、CEN規格TC129の防犯クラス「P4A」を満足する板厚7mm程の樹脂挿入合わせガラスとして、前記サッシに、はめ込むことが可能となる。特に、フロートガラス2.4mm厚/架橋EVA400μm厚/PETシート125μm厚/架橋EVA400μm厚/PETシート125μm厚/架橋EVA400μm厚/フロートガラス2.4mm厚の積層構成による厚み6.3mmの本発明の樹脂挿入合わせガラスは、はめ込み部材であるグレージングチャンネルを用いる際に、余裕を持って前記溝幅9、11mmのサッシにはめ込むことが可能である。
【0037】
本発明の耐火炎熱照射による破壊貫通性に優れた樹脂挿入合わせガラスは、防犯性能に優れた建築物用窓ガラス向けであるので、用いるガラス板が薄いと運搬、合わせ工程などにおいて、破損しやすく、運搬および製造時のハンドリングが極めて悪くなる、よって、フロート法による板ガラス、板厚1.8mm以上の板ガラスを使用することが好ましい。また、合わせガラスに使用する板ガラスの厚みは通常6mm以下であり、6mmより厚い板ガラスを用いた合わせガラスは総厚で12mmより厚くなり、重量が増し、サッシにはめ込んだ場合も含め、持ち運びが容易でないし、サッシの枠体に負荷がかかりすぎるという問題がある。よって、本発明の耐火炎熱照射による破壊貫通性に優れた樹脂挿入合わせガラスに使用する板ガラスの厚みは、1.8mm以上、6mm以下であることが好ましい。
【0038】
PETシートとその両側の架橋EVAを中間層とした本発明の樹脂挿入合わせガラスは、PETシートとその両側の架橋EVAによる中間層が固いので、ガラス板が薄い場合、即ち、1.8mm以上、3.0mm以下の板厚において、通常の中間層がPVBである合わせガラスに対して強度が高く、運搬およびハンドリングが容易であり、軽量な耐火炎熱照射による破壊貫通性に優れた樹脂挿入合わせガラスとして最も真価を発揮する。
【0039】
PETは、その化学構造において主鎖にベンゼン環を有することで剛直であり、2軸延伸されて製造された透明なPETシートは、高い引っ張り強度と共に衝撃強さを有する強靱な素材である、且つ、結晶性プラスチックであり融点が高く、融点以上に加熱して溶融しても粘性を示し、即座に溶け落ちることはない。また、強靱なPETシートとその両側の固い架橋EVAを合わせガラスの中間層とすることで、柔らかいPVBを中間層とした合わせガラスに比べて、優れた耐こじ破り性を得ることができる、即ち、こじ破りにより穴の開くまでの時間が極めて長くなる。
【0040】
また、PETシートは2軸延伸して作るので厚いものは製造し辛く、市販されている透明なPETシートの厚みは、せいぜい400μm以下である。よって、本発明の樹脂挿入合わせガラスにおいて、2枚のガラスの間に架橋EVAと共に挟み込むPETシートの厚みは400μm以下であることが好ましい。
【0041】
また、複数のPETシートを挟み込む場合も、PETシートのトータルの厚みが110μm以上、400μm以下、および該シートとその両側の架橋EVAとを合わせた中間層の厚みは700μm以上、2000μm以下で、CEN規格の防犯クラス「P4A」を満足し、耐火炎熱照射による破壊貫通性に優れた防犯性能を有する軽量な防犯合わせガラスを得ることができる。
【0042】
PVB、EVA、および架橋EVAは、接着後、固化する一般的な接着剤と比較して、接着後も分子鎖の絡み合いによる粘弾性を示す。これら透明樹脂を挟み込んで一体化させた合わせガラスは、打ち破り、こじ破りに対して穴が開きにくく、優れた防犯性能を示す。
【0043】
建築物用防犯合わせガラスに使用する本発明の樹脂挿入合わせガラスは、融点の高いPETシートの両面側に透明樹脂である架橋EVAを積層させて一対のガラス板に挟み込んだ構造としているので、ガスバーナーなどの火炎で加熱されガラスが熱割れしたとしても、ガラスが、高温下に溶融した状態で粘着性を示す架橋EVAにより、融点の高いPETシートに貼着された状態を暫く保つので、ガラスにPVB、EVA、または架橋EVAのみを通常より厚くして挟み込んだ従来の防犯合わせガラス、ガラスに耐熱性の低いPC板(軟化点120℃〜135℃以上に加熱すると発泡する)を挟み込んだ従来の防犯合わせガラスに比較して、ガスバーナーなどの火炎による加熱に対して、穴が開くまでに要する時間が長くなり、打ち破り、こじ破りに対して穴が開きにくいと共に耐火炎熱照射による破壊貫通性に優れた防犯性能をも併せ持つことになる。
【0044】
PVB、EVA、または架橋EVAのうち、架橋EVAは三次元共重合体であるために高温下での溶融粘度が特に高く、ガスバーナーなどの火炎による加熱により、高温状態で溶融したとしても、PETシートにガラスを粘着させてガラスを保持する時間がPVB、EVAと比べて特に長い。即ち、PETシートの厚みを等しくして、同じ膜厚のPVB、EVA、架橋EVAを用いた場合を比較すると、架橋EVAを用いて本発明の樹脂挿入合わせガラスを作製し、該樹脂挿入合わせガラスを炙った際に穴の開く時間が際立って長い。よって、本発明のPETシートと透明樹脂を中間層として挿入した樹脂挿入合わせガラスには、透明樹脂に架橋EVAを用いることが好ましい。
【0045】
本発明のPET樹脂挿入合わせガラスにおいて、PETシートおよびその両側に架橋EVAを挿入することで、ガスバーナーなどの炎での加熱に対する、耐火炎熱照射による破壊貫通性に優れた防犯性能が得られる。さらに、PETシートおよび/または架橋EVAなどの加熱により溶融して接着性を示す透明樹脂の厚みを増す、即ち、中間層の厚みを増すことでガスバーナーなどでの火炎熱照射に対する防犯性能が増す。
【0046】
一方、PVBを中間膜として用いた合わせガラスの製造方法は、PVBからなるシートを、一対のガラス板の間に挟んだ後、該ガラス板から、はみ出したPVBシートをカットし、合わせガラスの製造専用に作製された内側に切れ込みのあるチューブからなる環状器具にて周縁部を密封し、加圧加熱装置であるオートクレーブ内にいれて、環状器具にてガラス板間を脱気し、さらに加圧加熱し、PVBからなる中間膜を軟化させて、一対の板ガラスを接着一体化させている。
【0047】
また、EVAまたは架橋EVAを用いた合わせガラスは、加熱加圧装置であるオートクレーブを使って製造できるが、他の製造方法として、製造装置内を脱気しつつ製造装置に内設された電気ヒーターなどの輻射加熱手段を用いて、ガラス間に挟み込んだEVA、または架橋EVAを加熱溶融させることでも製造でき、加圧装置である高価なオートクレーブを使うことなく安価な減圧装置を用いて製造できるという利点がある。
【0048】
安価な減圧装置を使用して、原材料として架橋EVAを用いると本発明の樹脂挿入合わせガラスを安価に供給でき、供給価格の面からも本発明の樹脂挿入合わせガラスに架橋EVAを用いることが好ましい。
【0049】
さらに、本発明の樹脂挿入合わせガラスの材料には、PETシートが用いられている。該PETシートにストライプ柄、ロゴマークなどの図柄を印刷することで、本発明の樹脂挿入合わせガラスに装飾性を付与することが可能である。
【0050】
さらに、該PETシートを着色して、本発明の樹脂挿入合わせガラスを透明着色合わせガラスとしてもよい。着色されたPETシートを使用し着色合わせガラスを製造する方が、ガラス自体を金属酸化物などで着色した着色ガラス、または、ガラス表面に金属酸化物などの着色膜を形成した着色コーティングガラスを使い着色合わせガラスを製造することに比べて容易であり、色調、可視光透過率の選択の自由度が大きい。
【0051】
【発明の実施の形態】
図1は、本発明の樹脂挿入合わせガラスの一例の断面図である。図1に示すように、樹脂挿入合わせガラスは、対面する板ガラス3、3’の間に、PETシート1とその両側の架橋EVA2、2’とを挟み込んだ後の、加熱加圧などの処理をすることによって、架橋EVAが直接ガラス板と接合されてなり、PETシート1と、架橋EVA2、2’とガラス3、3’を一体化させた構造となっている。
【0052】
本発明の合わせガラスをガスバーナーで炙ったとしても、容易に穴の開くこと無きようPETシート1は110μm以上、PETシート1と架橋EVA2、2’を合わせた中間層の厚みが700μm以上であることが好ましい。
【0053】
架橋EVA2、2’は、粘弾性を有することで優れた耐貫通性を示して、打ち破り、こじ破りによって簡単に穴の開くことのない優れた防犯性能を示すものである。
【0054】
また、PETシート1と架橋EVA2、2’とからなる中間層において、ガスバーナーで炙ることを想定する室外側の面の架橋EVAを架橋EVA2とすれば、架橋EVA2の厚みを室内側の架橋EVA2’より厚くすることで、中間層の厚みが同じでもガスバーナーで炙った際に貫通穴が開くまでの時間を長くすることができる。
【0055】
【0056】
透明樹脂が架橋EVA2、2’の場合、製造時にオートクレーブを使う必要がなく、加熱温度を120℃〜140℃とすることが好ましい。
【0057】
本発明の樹脂挿入合わせガラスに使用する板ガラス3、3’には、PETシート1およびその両側の架橋EVA2、2’が強靱であり優れた耐貫通性を示すため、フロート法により製造されて加熱処理などの強化処理を施されていない生板ガラスを用いても、充分な防犯性能を示す。さらに、耐衝撃性を向上させて、即ち、割れにくくして、優れた防犯性能を得るには、生板ガラスを軟化点付近に加熱後、風冷強化した、または生板ガラスの表面付近のナトリウムをカリウムなどに置換し化学強化した強化ガラス、網入り磨き板ガラスなどを用いても構わない。
【0058】
板ガラス3、3’の厚みは1.8mm以上、6mm以下であることが好ましく、例えば、一般的なPVBのみを中間膜に使用する合わせガラスに使用する、呼び厚さ、3mm(通称、FL3)、呼び厚さ、4mm(通称、FL4)、呼び厚さ、5mm(通称、FL5)、呼び厚さ、6mm(通称、FL6)などのフロート装置で製造されたフロート板ガラス規格品を使用することができる。FL3、FL4、FL5、FL6共に、呼び厚さに対する許容差は、JIS R3202で±0.3mmとされており、例えば、FL3は、厚み2.7mm〜3.3mmの範囲内である。
【0059】
また、本発明の樹脂挿入合わせガラスにおいて、中間層をPETシート1とその両側の架橋EVA2,2’とした場合、強靱なPETシート1と固く粘弾性に優れた架橋EVA2、2’により、同じ板厚でも中間層をPVBのみとした従来の合わせガラスに比較して、強度の高い合わせガラスを得ることができ、ハンドリングが容易になり、強化処理の施されていない呼び厚さ、2mm(通称、FL2)、または呼び厚さ、2.5mm(通称、FL2.5)のフロート法によるガラス板を用いたしても軽量でありながら充分な強度を有し、耐こじ破り性に優れ、かつ耐火炎熱照射による破壊貫通性に優れた樹脂挿入合わせガラスを得ることができる。
【0060】
ガラス板3、3’間に挿入するPETシート1の厚さを110μm以上とし、その両側の架橋EVA2、2’と合わせた中間層の厚さを700μm以上とすることで、打ち破り、こじ破りにより容易に穴が開くことなく、さらに、架橋EVA2、2’を用いることで、高温タイプのガスバーナーなどで炙られたとしても短時間で穴の開くことのない、防犯性能に優れた樹脂挿入合わせガラスを得ることができる。
【0061】
防犯性能に加え、赤外線を反射させて、断熱効果および遮熱効果を付与する目的で、本発明の樹脂挿入合わせガラスに使用されるガラス板3、3’の少なくとも一面に、好ましくは中間層側の一面にAg、SnO2、ITO、またはTiO2などからなる薄膜を成膜しても構わない。
【0062】
また、一対のガラスを離間させた状態で周縁部を封止してなる複層ガラスに防犯性能を付与するために、本発明の耐火炎熱照射による破壊貫通性に優れた樹脂挿入合わせガラスを室外側、あるいは室内側のガラスとして用いることができる。複層ガラスに防犯性能を得るためには、本発明の樹脂挿入合わせガラスを用いることが好適であり、サッシ自体が重くなる複層ガラスにおいて、FL2、FL2.5のフロート板ガラスを用いた本発明の樹脂挿入合わせガラスを複層ガラスに用いることは、軽量なため、運搬などのハンドリングが楽になり、住宅に設置後のサッシの開け閉めも楽になるなどの好ましい結果をもたらす。
【0063】
図2は、中間層に挿入したPETシート1にストライプ4を印刷した本発明の樹脂挿入合わせガラスの一例の正面図である。さらに、図3は、中間層に挿入したPETシート1にロゴマーク5を印刷した本発明の樹脂挿入合わせガラスの一例の正面図である。図2、図3に示すように、本発明の樹脂挿入合わせガラスの中間層に挿入するPETシート1にストライプ4またはロゴマーク5などを印刷し装飾性を与えることも可能である。さらに、図4は、中間層に挿入したPETシート1の一部を着色しシェードバンド6を形成した本発明の樹脂挿入合わせガラスの一例の正面図である。図4に示すように、PETシート1の一部を印刷などにより着色してもよく、染料または顔料などで着色されたPETシート1を用いて本発明の樹脂挿入合わせガラスを着色ガラスとしてもよい。
【0064】
本発明を以下の実施例により詳細に説明するが、本発明は以下の実施例により限定されるものではない。
【0065】
【実施例】
始めに、CEN規格、TC129にて標準化された板ガラスの耐衝撃性試験について順を追って説明する。図5は、CEN規格、TC129に標準化された板ガラスの耐衝撃性試験に使用する支持架台の概略図である。
(CEN規格、TC129に標準化された板ガラスの耐衝撃性試験)
1.試験体s
試験体sのサイズ:1100mm×900mm(寸法誤差:±5mm)
保管条件:試験前の最低12時間は23±2℃の状態で保管する。
【0066】
2.試験器具
インパクター:鋼球(直径100mm±0.2mm、重さ4.11kg、
60HRC〜65HRC)
支持架台:図5に示す。
【0067】
3.試験方法
(1)試験体sを固定する。
【0068】
図5に示すように、試験体sを鋼製の受け箱a上に置き、鋼製の支持枠
bを用いて試験体sの外周30mm±5mmの部分を140kN/m2
±20kN/m2で締付ける。なお、試験体sと支持枠bの接触部には
厚さ4mmのゴム(40IHRD〜60IHRD)を設置する。鋼球の
受け箱aには、受け箱aの底面の保護のため、受け箱aの底面に緩衝材
dを置き、側面に衝撃時の空気抜きのための通気孔eを設ける。
【0069】
(2)鋼球を所定の高さにセットする。
【0070】
試験する防犯クラスに合わせて、図示しない鋼球を所定の落下高さまで
上げる。なお、各防犯クラスの試験条件は表1に示す通りである。
【0071】
【表1】
【0072】
(3)鋼球を落下
落下位置:図5に示すように、試験体sの中央を中心とする一辺13c
m±2cmの正三角形の頂点、即ち、鋼球の衝撃落下位置c
である3個所に鋼球を落下させる。なお、正三角形の一辺は
試験体sの一辺に平行とする。
【0073】
落下順番:最初に鋼球を落下させる落下衝撃位置c’は、試験体sの一
辺と平行になる辺の反対側の頂点c’で、他の2頂点は特に
順番は決まっていない。
【0074】
P1A〜P4Aクラスは3個所に各1回づつ鋼球を落下させ
(計3回)、P5Aクラスは3個所に各3回づつ鋼球を自由落
下させる(計9回)。
【0075】
(4)判定条件
試験を行った試験体s、3体が全て下記の条件1および2を、ともに満
足した場合を合格とする。
【0076】
1.試験体に落下させた鋼球が、試験体sを貫通しないこと。
【0077】
2.試験後に試験体sが試験前の設置位置より、5mm以上ずれていな
いこと。
【0078】
なお、市販されている防犯合わせガラスの構成である、FL3の間に厚み30mil(=760μm)のPVB中間層を設けた合わせガラスは、CEN規格P1Aクラスであり、FL3の間に厚み60mil(=1520μm)のPVB中間層を設けた合わせガラスはCEN規格P4Aクラスであり、FL3の間に厚み90mil(=2280μm)のPVB中間層を設けた合わせガラスは、CEN規格P5Aクラスである。
実施例1
図6は、本発明の樹脂挿入合わせガラスの一例の主要部の断面図である。図6に示すように、実測したところ、板厚2.7mmである加熱処理などの強化処理の施されていないフロートガラスFL3を、サイズ30cm角にカットし端面を面取りした2枚の板ガラス3、3’の間に、サイズ30cm角の加熱して架橋EVAとなるシート2、2’、2”および同サイズのPETシート1、1’を挟み込み、減圧容器内に入れ、減圧容器内をロータリーポンプを用いて脱気した後、減圧容器内に内設されたヒーターに通電し、90℃程度に維持した状態で10分間、次いで130℃程度に15分間、輻射加熱した後、減圧容器内を大気圧に開放し、ヒーターのスイッチを切って暫くした後、取り出して、フロートガラス3、厚み2.7mm/架橋EVA2、厚み400μm/PETシート1、厚み125μm/架橋EVA2’、厚み400μm/PETシート1’、厚み125μm/架橋EVA2”、厚み400μm/フロートガラス3’、厚み2.7mmの積層構成の樹脂挿入合わせガラスを作製した。加熱して架橋EVAとなるシートには、EVAに硬化剤を添加したEVA系熱硬化型透明接着シート(ブリヂストン社製、商品名、EVASAFE)を用いた。
【0079】
図7は、耐火炎熱照射による破壊貫通性の評価の際の、合わせガラスの加熱部位の説明図である。
【0080】
次いで、ガラス板の下端部7を治具に固定した後、図7に示すように、前述のようにして作製した樹脂挿入合わせガラスの一つの端部より半径100mmの円弧錠の加熱部8を、試験者がブタンガスを用いる市販の高温タイプのガスバーナー(プリンス社製、型番GB−2001)を用いて、火炎が直接ガラス表面を加熱するように、ガラス3面よりバーナー口を5cm程離して火力を最大にして火炎が当たる位置を移動させつつ炙り、加熱部8のガラス3、3’が溶解または割れ、ドライバーの先で軽く押して、該樹脂挿入合わせガラスの端部が欠落するまでに要した時間を測定した。
【0081】
GB−2001の火炎温度は仕様では、800℃〜1300℃であり、試験時は火力を最大としたので火炎温度は1300℃であったと推測される。
【0082】
該樹脂挿入合わせガラスの加熱部8が割れ、端部が欠落するまでに要した時間は、3回測定した結果、第1回目、7分20秒、第2回目、5分40秒、第3回目、6分10秒であり、平均すると6分20秒であった。
【0083】
また、サイズを900×1100mmにかえた以外は、前記の積層構成かつ各層の厚みを等しくして、樹脂挿入合わせガラスを試験体として作製し、耐衝撃性を、前述のCEN規格TC129落球衝撃試験に準拠して評価した。評価基準は、CEN規格TC129のP4Aクラスである。
【0084】
評価結果、試験体は防犯クラス「P4A」に合格し、優れた耐衝撃性、耐貫通性を有していることが判った。
【0085】
CEN規格TC129では、予想されるガラスの破り方(使用する道具や開口の大きさ)により防犯クラスが分かれており、P4Aクラスの防犯ガラスは「中道具(小型のバールなど)」を用いて手を差し込める程度の「小開口」を開け、窓のクレセントを外して侵入する手口に対応する防犯ガラスである。
【0086】
また、JIS A3205に準拠して、試験体に対して耐光性試験、耐熱性試験を行った結果、耐光性および耐熱性ともに、JIS A3205に合格していた。耐光性試験前の可視光線透過率が87.1%であったのに対し、耐光性試験後も87.1%であり、減少がなく、JIS A3205の規格である減少率10%以下を満たしていた。また、耐熱性試験後の試験体に変色および気泡発生などの外観変化は見られなかった。
実施例2
図6は、本発明の樹脂挿入合わせガラスの一例の主要部の断面図である。図6に示すように、加熱処理などの強化処理の施されていない、実測したところ、板厚2.4mmであるフロートガラスFL2.5を、サイズ30cm角にカットし端面を面取りした2枚の板ガラス3、3’の間に、サイズ30cm角の架橋EVAからなるシート2、2’、2”および同サイズのPETシート1、1’を挟み込み、減圧容器内に入れ、減圧容器内をロータリーポンプを用いて脱気した後、減圧容器内に内設されたヒーターに通電し、板ガラスを90℃程度に維持した状態で10分間、次いで130℃程度に15分間、輻射加熱した後、減圧容器内を大気圧に開放し、ヒーターのスイッチを切って暫くした後、取り出して、フロートガラス3、厚み2.4mm/架橋EVA2、厚み400μm/PETシート1、厚み125μm/架橋EVA2’、厚み400μm/PETシート1’、厚み125μm/架橋EVA2”、厚み400μm/フロートガラス3’、厚み2.4mmの積層構成の樹脂挿入合わせガラスを作製した。加熱して架橋EVAとなるシートには、実施例1と同様にEVAに硬化剤を添加したEVA系熱硬化型透明接着シート(ブリヂストン社製、商品名、EVASAFE)を用いた。
【0087】
図7は、耐火炎熱照射による破壊貫通性の評価の際の、合わせガラスの加熱部位の説明図である。実施例1と同様に、図7に示す半径100mmの円弧である加熱部8を、試験者がブタンガスを用いる市販の高温タイプのガスバーナー(プリンス社製、型番GB−2001)を用いて、火炎が直接ガラス表面を加熱するように、ガラス3面よりバーナー口を5cm程離して火力を最大にして火炎が当たる位置を移動させつつ炙り、加熱部8のガラス3、3’が溶解または割れ、ドライバーの先で軽く押して、該樹脂挿入合わせガラスの端部が欠落するまでに要した時間を測定した。
【0088】
該樹脂挿入合わせガラスの加熱部8が割れ、端部が欠落するまでに要した時間は、3回測定した結果、第1回目、6分50秒、第2回目、6分00秒、第3回目、6分10秒であり、平均すると6分20秒であった。
【0089】
また、サイズを900×1100mmにかえた以外は、前記の積層構成かつ各層の厚みを等しくして、樹脂挿入合わせガラスを試験体として作製し、耐衝撃性を、前述のCEN規格TC129落球衝撃試験に準拠して評価した。評価結果、試験体は防犯クラス「P4A」に合格し、優れた耐衝撃性、耐貫通性を有していることが判った。
【0090】
また、JIS A3205に準拠して、試験体に対して耐光性試験、耐熱性試験を行った結果、耐光性および耐熱性ともに、JIS A3205に合格していた。耐光性試験前の可視光線透過率が87.5%であったのに対し、耐光性試験後は87.4%であり、減少率は0.1%であり、JIS A3205の規格である減少率10%以下を満たしていた。また、耐熱性試験後の試験体に変色および気泡発生などの外観変化は見られなかった。
実施例3
図1は、本発明の樹脂挿入合わせガラスの一例の主要部の断面図である。図1に示すように、実測したところ、板厚、2.7mmである加熱処理などの強化処理の施されていないフロートガラスFL3を、サイズ300mm角にカットし端面を面取りした2枚の板ガラス3、3’の間に、サイズ300mm角の加熱して架橋EVAとなるシート2、2’、同サイズのPETシート1を挟み込み、減圧容器内に入れ、減圧容器内をロータリーポンプを用いて脱気した後、減圧容器内に内設されたヒーターに通電し、板ガラス3、3’を90℃程度に維持した状態で10分間、次いで130℃程度に維持した状態で15分間、輻射加熱した後、減圧容器内を大気圧に開放し、ヒーターのスイッチを切って暫く冷却させた後、取り出して、本発明の樹脂挿入合わせガラスの断面図である図1に示す、フロートガラス3、厚み2.7mm/架橋EVA2、厚み800μm/PETシート1、厚み188μm/架橋EVA2’、厚み400μm/フロートガラス3’、厚み2.7mmの積層構成の樹脂挿入合わせガラスを作製した。加熱して架橋EVAとなるシートには、実施例1および実施例2と同様に、EVAに硬化剤を添加したEVA系熱硬化型透明接着シート(ブリヂストン社製、商品名、EVASAFE)を用いた。
【0091】
図7は、耐火炎熱照射による破壊貫通性の評価の際の、合わせガラスの加熱部位7の説明図である。ブタンガスを用いる市販の高温タイプのガスバーナー(プリンス社製、型番GB−2001)を用い、火炎放射は厚み800μmの架橋EVA2の側面のフロートガラス3側から行った。
【0092】
実施例1および実施例2と同様に、耐火炎熱照射による破壊貫通性の評価を3回行ったところ、樹脂挿入合わせガラスの加熱部が割れ、端部が欠落するまでに要した時間は、第1回目、7分20秒、第2回目、6分40秒、第3回目、6分であり、平均すると6分40秒であった。
【0093】
サイズを900×1100mmにかえた以外は、前記の積層構成かつ各層の厚みを等しくして、樹脂挿入合わせガラスを試験体として作製し、耐衝撃性を、前述のCEN規格TC129落球衝撃試験に準拠して評価した。
【0094】
評価結果、試験体は防犯クラス「P4A」に合格し、優れた耐衝撃性、耐貫通性を有していることが判った。
【0095】
また、JIS A3205に準拠して、試験体に対して耐光性試験、耐熱性試験を行った結果、耐光性および耐熱性ともに、JIS A3205に合格していた。耐光性試験前の可視光線透過率が87.1%であったのに対し、耐光性試験後は86.9%であり、減少率が0.2%で、JIS A3205の規格である減少率10%以下を満たしていた。また、耐熱性試験後の試験体に変色および気泡発生などの外観変化は見られなかった。
実施例4
図1は、本発明の樹脂挿入合わせガラスの一例の主要部の断面図である。図1に示すように、実測したところ、板厚、2.7mmである加熱処理などの強化処理の施されていないフロートガラスFL3を、サイズ300mm角にカットし端面を面取りした2枚の板ガラス3、3’の間に、サイズ300mm角の加熱して架橋EVAとなるシート2、2’、同サイズのPETシート1を挟み込み、減圧容器内に入れ、減圧容器内をロータリーポンプを用いて脱気した後、減圧容器内に内設されたヒーターに通電し、板ガラス3、3’を90℃程度に維持した状態で10分間、次いで130℃程度に維持した状態で15分間、輻射加熱した後、減圧容器内を大気圧に開放し、ヒーターのスイッチを切って暫く冷却させた後、取り出して、本発明の樹脂挿入合わせガラスの断面図である図1に示す、フロートガラス3、厚み2.7mm/架橋EVA2、厚み400μm/PETシート1、厚み188μm/架橋EVA2’、厚み400μm/フロートガラス3’、厚み2.7mmの積層構成の樹脂挿入合わせガラスを作製した。加熱して架橋EVAとなるシートには、実施例1〜実施例3と同様に、EVAに硬化剤を添加したEVA系熱硬化型透明接着シート(ブリヂストン社製、商品名、EVASAFE)を用いた。
【0096】
図7は、耐火炎熱照射による破壊貫通性の評価の際の、合わせガラスの加熱部位8の説明図である。
【0097】
実施例1〜実施例3と同様に、耐火炎熱照射による破壊貫通性の評価を3回行ったところ、樹脂挿入合わせガラスの加熱部8が割れ、端部が欠落するまでに要した時間は、第1回目、6分20秒、第2回目、5分50秒、第3回目、5分50秒であり、平均すると6分であった。
【0098】
サイズを900×1100mmにかえた以外は、前記の積層構成かつ各層の厚みを等しくして、樹脂挿入合わせガラスを試験体として作製し、耐衝撃性を、前述のCEN規格TC129落球衝撃試験に準拠して評価した。
【0099】
評価結果、試験体は防犯クラス「P4A」に合格し、優れた耐衝撃性、耐貫通性を有していることが判った。
【0100】
以上のように、実施例1から4の樹脂挿入合わせガラスは、いずれも端部が欠落するまで5分以上を必要とし、耐火炎熱照射に対する優れた破壊貫通性を有していた。
比較例1
実測したところ、板厚、2.7mmである加熱処理などの強化処理の施されていないフロートガラスFL3を、サイズ300mm角にカットし端面を面取りした2枚の板ガラスの間に、サイズ30cm角のEVAからなるシートを挟み込み、減圧容器内に入れ、減圧容器内をロータリーポンプを用いて脱気した後、減圧容器内に内設されたヒーターに通電し、板ガラスを100℃に維持した状態で10分間、輻射加熱した後、減圧容器内を大気圧に開放し、ヒーターのスイッチを切って暫くした後、取り出して、FL3/EVA、厚み800μm/FL3の積層構成の合わせガラスを作製した。
【0101】
図7は、耐火炎熱照射による破壊貫通性の評価の際の、合わせガラスの加熱部位8の説明図である。
【0102】
実施例1〜実施例4と同様に、耐火炎熱照射による破壊貫通性の評価を行ったところ、樹脂挿入合わせガラスの加熱部8が割れ、端部が欠落するまでに要した時間は、2分10秒であった。
(耐火炎熱照射による破壊貫通性の評価)
実施例1で用いた、FL3、厚み2.7mm/架橋EVA2、厚み400μm/PETシート1、厚み125μm/架橋EVA2’、厚み400μm/PETシート1’、厚み125μm/架橋EVA2”、厚み400μm/FL3、厚み2.7mmの積層構成の樹脂挿入合わせガラスと、FL3を用い中間膜にPVBを用いPVBの厚みを変えた合わせガラスと、単板ガラスとを試験体として、耐火炎熱照射による破壊貫通性の比較評価試験を行った。本評価試験は、試験者がバーナーを用いて試験体に対する炎熱照射位置、すなわち、火炎の当たる位置を移動しつつ行うので、比較評価結果に対し、試験者による差異が無きよう、発明者中の同一人物が各試験体に対して3回ずつ行った。
【0103】
前述のように300mm×300mmサイズの各試験体に対し、図7に示すように、試験体の片側端部7を治具に固定した後、試験体の角部から100mm離れた円弧状の加熱部8を、市販の高温タイプのガスバーナー(プリンス社製、型番GB−2001)を用い、試験者が炎が直接ガラス表面を加熱するようにガラス面よりバーナー口を5cm程、離して火力を最大にして火炎の当たる位置を移動させつつ炙り、加熱部のガラスが割れ、ドライバーの先で軽く押して、ガラスが脱落するのに要した時間を測定し、耐火炎熱照射による破壊貫通性を比較評価した。
【0104】
表2は、各試験体の耐火炎熱照射による破壊貫通性の評価結果である。
【0105】
【表2】
【0106】
実施例1に示すPET樹脂挿入合わせガラスが脱落するのに要した時間が第1回目、7分20秒、第2回目、5分40秒、第3回目、6分10秒であり、平均すると6分20秒であった。それに引き替え、FL3の間に厚み15mil(=380μm)のPVB中間層を設けた比較例2の合わせガラスが脱落するのに要した時間は、第1回目、2分40秒、第2回目、2分30秒、第3回目、2分10秒であり、平均すると2分30秒であった。
【0107】
市販されている防犯合わせガラスの構成である、FL3の間に厚み30mil(=760μm)のPVB中間層を設けた比較例3の合わせガラスが脱落するのに要した時間は、第1回目、2分40秒、第2回目、2分50秒、第3回目、2分10秒であり、平均すると2分30秒であった。さらに、厚み60mil(=1520μm)のPVB中間層を設けた比較例4の合わせガラスが脱落するのに要した時間は、第1回目、2分40秒、第2回目、2分30秒、第3回目、2分40秒であり、平均すると2分40秒であった。厚み90mil(=2280μm)のPVB中間層を設けた比較例5の合わせガラスが脱落するのに要した時間は、第1回目、3分20秒、第2回目、3分20秒、第3回目、3分40秒であり、平均すると3分30秒であった。
【0108】
比較例6に示すFL3単板、比較例7に示すFL5単板はガスバーナーによる火炎熱照射を始めて1分以内で脱落し、合わせガラスの耐火炎熱照射による破壊貫通性に遥か及ばなかった。
【0109】
耐火炎熱照射による破壊貫通性の評価試験の結果、実施例1に示す本発明の樹脂挿入合わせガラスである構成FL3/架橋EVA2、厚み400μm/PETシート1、厚み125μm/架橋EVA2’、厚み400μm/PETシート1’、厚み125μm/架橋EVA2”、厚み400μm/FL3の加熱端部が欠落するのに要した時間は平均で6分20秒であり、他の試験体と比較して、際だって優れた耐火炎熱照射による破壊貫通性を有していた。
(耐こじ破り性の評価)
実施例1で用いたFL3/架橋EVA2、厚み400μm/PETシート1、厚み125μm/架橋EVA2’、厚み400μm/PETシート1’、厚み125μm/架橋EVA2”、厚み400μm/FL3の積層構成の樹脂挿入合わせガラスと、FL3を用いPVBを中間膜としPVBの厚みを変えた合わせガラスと、単板ガラスとを試験体として、耐こじ破り性の比較評価試験を行った。
【0110】
評価方法は、ガラス溝幅9mmのサッシに塩化ビニール製のグレージングチャンネルを用いてはめ込んだ前記試験体の端部より、試験者が全長20cmのマイナスドライバーを用いて、試験体をこじ破り、10cm程度のクレセントを開錠するに可能な穴が開くまでの時間を測定し、耐こじ破り性を評価した。本評価試験は、こじ破り作業を試験者が行うので、試験者の体力差およびこじ破り作業のやり方の違いによって、比較評価結果が左右されることなきよう、試験は発明者中の同一人物が行った。
【0111】
表3は、各試験体の耐こじ破り性の評価結果である。
【0112】
【表3】
【0113】
表3に示すように、こじ破りにより、実施例1に示すPET樹脂挿入合わせガラスに穴が開くまでの時間は第1回目、3分30秒、第2回目、3分10秒、第3回目、3分40秒であり、平均すると3分30秒であった。それに引き替え、比較例2に示すFL3の間に厚み15mil(=380μm)のPVB中間層を設けた合わせガラスに穴が開くまでの時間は、第1回目、40秒、第2回目、50秒、第3回目、30秒であり、平均すると40秒であった。
【0114】
市販されている防犯合わせガラスの構成である、FL3の間に厚み30mil(=760μm)のPVB中間層を設けた比較例3の合わせガラスに穴が開くまでの時間は、第1回目、1分、第2回目、1分50秒、第3回目、1分10秒であり、平均すると1分20秒であった。さらに、厚み60mil(=1520μm)のPVB中間層を設けた比較例4の合わせガラスに穴が開くまでの時間は、第1回目、1分40秒、第2回目、1分30秒、第3回目、1分30秒であり、平均すると1分30秒であった。厚み90mil(=2280μm)のPVB中間層を設けた比較例5の合わせガラスに穴が開くまでの時間は、第1回目、2分、第2回目、1分50秒、第3回目、2分であり、平均すると2分であった。
【0115】
比較例6に示すFL3単板、比較例7に示すFL5単板は30秒以内で穴が開き、合わせガラスの耐こじ破り性に遥かおよばなかった。
【0116】
耐こじ破り性の評価試験の結果、実施例1に示す本発明の樹脂挿入合わせガラスである構成FL3/架橋EVA2、厚み400μm/PETシート1、厚み125μm/架橋EVA2’、厚み400μm/PETシート1’、厚み125μm/架橋EVA2”、厚み400μm/FL3が、試験体の中で最も優れた耐こじ破り性を有していた。
(遮音性能の評価)
前記、実施例1に示した本発明のPET樹脂挿入合わせガラスと、比較例3〜5に示したPVB合わせガラスと、比較例6および7の単板ガラスの遮音性能の測定を、JIS A1416「実験室における建築部材の空気音の遮断性能の測定」に準拠して行い、125Hz〜5000Hzの範囲で透過損失を測定した。
【0117】
透過損失は材料の遮音の程度を数量的に表すもので、入射音のエネルギーと透過音との比の常用対数を10倍した数値で表される。
【0118】
表4は、実施例1のPET樹脂挿入合わせガラス、比較例3〜5のPVB合わせガラス、比較例6、7の単板ガラス、およびFL3を用いた市販の防音合わせガラス(商品名、ラミネックスソネス30、セントラル硝子(株)製)を測定対象とした遮音性能の測定値である。
【0119】
【表4】
【0120】
表4に示すように、実施例1の本発明の樹脂挿入合わせガラスは、500Hzの透過損失が30.5dB、1000Hzの透過損失が35.9dB、2000Hzの透過損失が39.3dBであり、比較例8の防音合わせガラスであるラミネックスソネスの遮音性能と500Hz、30.4dB、1000Hz、35.2dB、2000Hz、39.3dBと同等以上であった。
【0121】
実施例1の本発明の樹脂樹脂挿入あわせガラスは、比較例3〜5のPVB合わせガラスの遮音性能を、2000Hzにおいて6dB以上回っていた。比較例6、比較例7の単板ガラスは、低い遮音性能であった。
【0122】
図8は、縦軸を透過損失(dB)、横軸を周波数(Hz)とした遮音曲線である。図8に、実施例1の本発明のPET樹脂挿入合わせガラス、比較例4のPVBの厚みが60mil(=1520μm)である合わせガラス、および市販の防音合わせガラスであるラミネックスソネス30の遮音曲線を示す。本発明の合わせガラスは、500Hz以上、3500Hz以下の遮音性能に優れる。
【0123】
以上の評価試験および遮音性の測定表を行った実施例1〜4のPET樹脂挿入合わせガラス、比較例1〜5の合わせガラス、比較例6、7の単板ガラス、比較例8の防音合わせガラスに用いたガラス板は、フロート法で製造された後、例えば強化処理など、何ら処理が行われていない生板ガラスである。
【0124】
【発明の効果】
本発明は、合わせガラスの中間層にPETシートを挿入し、その両側に架橋EVAを挟み込み、ガラスとPETシートを粘弾性のある架橋EVAによって接着し架橋EVAを直接ガラス板と接合することで、耐衝撃性、耐貫通性に加え、ガスバーナーで炙ったとしても、貫通穴の開くまでの時間を従来の防犯合わせガラスに比較して大幅に長くし、防犯性能を格段に進歩させた、耐火炎熱照射による破壊貫通性に優れ、加えて耐こじ破り性に優れる樹脂挿入合わせガラスである。
【0125】
本発明の樹脂挿入合わせガラスは、耐衝撃性および耐貫通性に優れており、たとえガスバーナーで炙ったとしても短時間で貫通穴が開くことがないので、優れた防犯性能を示す。
【0126】
さらに、ガラスとPETシートを接着する透明樹脂に架橋EVAを用いることによって、製作が簡単となり安価になるとともに、ストライプパターン、またはロゴマークなどの図柄が印刷されたPETシートを、合わせガラスの中間層に挿入することで装飾ガラスとすることも可能であり、着色されたPETシートを用いて着色透明ガラスとすることも可能である。
【0127】
また、本発明の樹脂挿入合わせガラスは500Hz〜3000Hzにおける遮音性能に優れる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の樹脂挿入合わせガラスの一例の主要部の断面図である。
【図2】中間層に挿入したPETシート1にストライプ4を印刷した本発明の樹脂挿入合わせガラスの一例の正面図である。
【図3】中間層に挿入したPETシート1にロゴマーク5を印刷した本発明の樹脂挿入合わせガラスの一例の正面図である。
【図4】中間層に挿入したPETシート1の一部を着色しシェードバンド6を形成した本発明の樹脂挿入合わせガラスの一例の正面図である。
【図5】CEN規格、TC129に標準化された板ガラスの耐衝撃性試験に使用する支持架台の概略図である。
【図6】本発明の樹脂挿入合わせガラスの一例の主要部の断面図である。
【図7】合わせガラスの加熱部位の説明図である。
【図8】縦軸を透過損失(dB)、横軸を周波数(Hz)とした遮音曲線である。
【符号の説明】
1 PETシート
2、2’、2” 架橋EVA
3、3’ ガラス板
4 ストライプ
5 ロゴマーク
6 シェードバンド
7 支持部
8 加熱部
Claims (4)
- 一対のガラス板の間に、ポリエチレンテレフタレートからなるシートの両側に加熱溶融によって粘着性を示す透明樹脂である架橋型エチレン−ビニルアセテート共重合体を設け、該シートと該透明樹脂層とを中間層として挟み込んで挿入し、架橋型エチレン−ビニルアセテート共重合体を加熱溶融させることで該シートと架橋型エチレン−ビニルアセテート共重合体からなる中間層およびガラス板を接着一体化させてなり、架橋型エチレンービニルアセテート共重合体の透明樹脂が直接ガラス板と接合されてなり、一対のガラス板の板厚は各々1.8mm以上、6.0mm以下であり、ポリエチレンテレフタレートからなるシートのトータルの厚みは110μm以上、400μm以下であり、該シートと架橋型エチレン−ビニルアセテート共重合体とを合わせた中間層の厚みは700μm以上、2000μm以下であり、CEN規格TC129の防犯クラス「P4A」を満足する性能を有する耐火炎熱照射による破壊貫通性に優れた樹脂挿入合わせガラス。
- ポリエチレンテレフタレートからなるシートと架橋型エチレン−ビニルアセテート共重合体とを合わせた前記中間層において、ポリエチレンテレフタレートからなるシートの両側の架橋型エチレン−ビニルアセテート共重合体の厚みが異なるCEN規格TC129の防犯クラス「P4A」を満足する性能を有する請求項1に記載の耐火炎熱照射による破壊貫通性に優れた樹脂挿入合わせガラス。
- 耐こじ破り性に優れCEN規格TC129の防犯クラス「P4A」を満足する性能を有する請求項1または請求項2に記載の耐火炎熱照射による破壊貫通性に優れた樹脂挿入合わせガラス。
- 波長域500Hz〜3000Hzの遮音性に優れCEN規格TC129の防犯クラス「P4A」を満足する性能を有する請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の耐火炎熱照射による破壊貫通性に優れた樹脂挿入合わせガラス。
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