JP5422685B2 - 中間膜用シート - Google Patents

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Description

本発明は、安価かつ軽量であり、耐貫通性や耐火炎熱照射に優れた防犯性能を有し、建築物用窓ガラス等に好適な合わせガラス、及び合わせガラスの製造方法に関する。
近年、空き巣の件数、被害ともに増加しつつある(非特許文献1参照)。こうした状況から、警察庁と国土交通省は、平成13年3月23日に「共同住宅に関わる防犯上の留意事項」を定め、その基本事項の中で、破壊とピッキングに強い錠の設置や、鍵付きクレセント及び補助錠の設置などの侵入防止の措置を講じることが望ましいとしている。
空き巣などの犯罪行為を目的とした外部侵入者は、通常、建物に侵入する際、施錠されている場合、建物に採光部として設けられたガラス窓を破壊する、ドアを破壊する、又はピッキングなどの手段を用い玄関ドアの鍵などを開錠することによって建物内部に侵入する。
また、非特許文献1によると、一戸建て住宅への侵入は窓よりの侵入が多く、更に、窓よりの侵入は、窓ガラスの一部を破壊又は穴を開けてサッシに設けられたクレセントを開けること、又は窓ガラスの全面を割ることによって行われるので、侵入防止のためには、容易に穴が開かない、又は容易に割れないようにしたガラスを窓ガラスとして用いることが好ましい。
フロート法又はロールアウト法などにより製造され、強化処理が施されていない生板ガラスに比較して、製造後に、風冷強化処理又はガラス中のナトリウムを一部カリウムで置換させるなどの化学強化処理などによって、ガラス表面に圧縮応力を発生させて割れにくくした強化ガラス、又は2枚のガラスをポリビニルブチラール(以下、「PVB」と略称することがある)などからなる中間膜により接着し、ガラスが割れたとしても中間膜であるPVBに穴の開くことが少ない合わせガラスの方が防犯性能は高い。
ガラス窓を破壊して侵入する際の手段としては、「打ち破り」と称され、バールやハンマーなどで破壊音を気にせずにガラス窓を破壊し、周囲の人が駆けつける前に盗難などの目的を達成しようとする手段と、「こじ破り」と称され、ドライバーなどで大きな音を出さないようにガラス窓を割って穴を開け、クレセント錠などを開けて密かに侵入する手段が挙げられる。大きな破壊音のする「打ち破り」に比べ、破壊音の小さな「こじ破り」の方が空き巣の被害件数は多い。
なお、強化ガラス単板は、よほど厚くない限り、「打ち破り」により破壊されてしまう。
前記「打ち破り」及び「こじ破り」に対して、割れにくく穴の開きにくい、即ち、物理的衝撃に対しての耐衝撃性及び耐貫通性を重視した防犯ガラスとしては、例えば、(1)合わせガラスの中間膜であるPVBを容易に穴が開かないように分厚くした合わせガラス、(2)合わせガラスの中間層に耐衝撃性の高いポリカーボネート板(以下、「PC」と略称することがある)を挿入し、エチレン−ビニルアセテート共重合体(以下、「EVA」と略称することがある)によって、接着一体化させた合わせガラス、(3)ガラス板とポリエチレンテレフタレート(以下、「PET」と略称することがある)シートを、接着後固化する接着剤により貼り合せた積層ガラスなどが市販されている。
ところで、日本には、建造物に対する防犯基準はないが、欧米ではストアーフロント、ホテルはもとより住宅、事務所、病院などの建造物において、防犯基準があり、特に米国では、ストアーフロント、ホテルには防犯用合わせガラスを用いることが推奨されている。例えば、日本では、ISO規格16939−1にガラスの耐衝撃性試験が標準化されており、その結果、板ガラスを防犯クラスP1A〜P5Aに分類している。
しかしながら、最も出荷量の多いPVB30ミルを用いた合わせガラスでも、製造工程と製造時間が長いため、その分経費がかかるため、比較的高価であるため、まだまだ普及が促進しているとは言いがたい状況である。
このように合わせガラスの普及のネックとなっている一因は価格である。特に合わせガラス製造プロセスの占める経費割合が高いという問題がある。
また、可燃性ガスを強制的に噴射させること、又は炎を絞ることにより火炎温度を高くした高熱タイプのガスバーナーを用い、ガラスを炙ると、局所的に高熱になった部分が溶解したり、膨張し熱割れを生じたりする。
ブタンガスなどの可燃性ガスを燃料とする携帯が容易な小型高熱タイプのガスバーナーは、市販されており、たやすく手に入る。該ガスバーナーを使い窓ガラスを炙ると、短時間で加熱部分のガラスが溶解又は熱割れして貫通穴が開き、「打ち破り」に比較して音が発生せず、「こじ破り」に比較して手間がかからない。
たとえ、合わせガラス構造とし中間層に「打ち破り」、「こじ破り」に強いPVB、PC板などを挟み込んだとしても、従来の防犯用合わせガラスには、高温タイプのガスバーナーで炙った場合のことは想定していないので、ガスバーナーで炙った際には、加熱部分のガラスが割れ、中間層に用いたPVB、PC板が溶けることで、手が入る程度の貫通穴が短時間で開くという問題があった。
一方、PETの融点は245℃であり、軟化点が80℃であるPVB及び軟化点が135℃であるPCに比較して、PETは、耐熱温度が高いので、ガラス板とPETシートを接着剤により貼り合せた積層ガラスは、ガスバーナーでガラス面側から炙ったとしても、PC板及びPVBを挟み込んだ合わせガラスに比較して、短時間で穴が開くことはない。
しかしながら、PETシートは、透明樹脂層、特に可塑化したポリビニルブチラールとの密着性が優れていないという問題がある。
「打ち破り」、「こじ破り」、及びガスバーナーによる火炎熱照射に対する防犯用合わせガラスの耐久性を上げるためには、ガラス及び/又は中間層の樹脂厚を厚くすること、ガラス板を3枚以上積層し、積層したガラス間にPVB、PC板、又はPETシートなどの樹脂層を挟み込んだ積層構造とすることなどが挙げられるが、これら方法では窓ガラスの厚み及び質量が増すことで、使用できるサッシ及び窓が限られてしまい、一般住宅用としては使い辛いものになるという問題がある。なお、ガスバーナーによる火炎熱照射による破壊貫通行為を「焼き破り」と称することがある。
前記課題を解決するため、例えば特許文献1には、一対のガラス板の間に、ポリエチレンテレフタレートからなるシートの両側に架橋型エチレン−ビニルアセテート共重合体を中間層として有し、該中間層の厚みが700μm以上2000μm以下である合わせガラスが提案されている。この合わせガラスは、CEN規格TC129の防犯クラス「P4A」を満足する性能を有する耐火炎熱照射による破壊貫通性に優れたものである。
しかし、前記特許文献1は、防犯クラス「P4A」の高グレードの高級な合わせガラスであり、また中間層の厚みが厚いため軽量化を図れず、更にオートクレーブによる接着工程が必要で製造工程の短縮化が困難であり、コストダウンを達成できるものではない。
特許第4076741号公報
JUSRIリポート別冊第8号、財団法人都市防犯研究センター、平成9年3月発行
本発明は、かかる現状に鑑みてなされたものであり、従来における前記諸問題を解決し、以下の目的を達成することを課題とする。即ち、本発明は、「打ち破り」、「こじ破り」、及び「焼き破り」により容易に破壊されたり、穴が開いたりすることがない防犯性能に優れた合わせガラス及び、製造工程の短縮化が可能であり、コストダウンが図れる合わせガラスの製造方法を提供することを目的とする。
前記課題を解決するため本発明者らが鋭意検討を重ねた結果、透明樹脂層との密着性を高めることを目的としたアンダー層を両面に有するポリエチレンテレフタレートからなるシートの両アンダー層表面上に加熱溶融によって粘着性を示す透明樹脂層を設けた中間層を一対のガラス板の間に挿入してなる合わせガラスが、「打ち破り」、「こじ破り」、及び「焼き破り」により容易に破壊されたり、穴が開いたりすることがない優れた防犯性能を備えていることを知見した。
また、前記中間層の厚みを700μm未満とすることにより、透明樹脂層の加熱溶融をオートクレーブ不要などで製造工程の短縮化とコストダウンとを図ることができ、合わせガラスの普及に貢献できる安価な合わせガラスを提供できることを知見した。
本発明は、本発明者らによる前記知見に基づくものであり、前記課題を解決するための手段としては、以下の通りである。即ち、
<1> 一対のガラス板の間に、中間層を有する合わせガラスであって、
前記中間層が、両面にアンダー層を有するポリエチレンテレフタレートからなるシートの両アンダー層表面上に、加熱溶融によって粘着性を示す透明樹脂を含有する透明樹脂層を有してなり、
前記中間層の厚みが700μm未満であることを特徴とする合わせガラスである。
<2> ポリエチレンテレフタレートからなるシートの厚みが50μm〜400μmである前記<1>に記載の合わせガラスである。
<3> 透明樹脂が、可塑化したポリビニルブチラール、エチレン−ビニルアセテート共重合体、及び架橋型エチレン−ビニルアセテート共重合体から選択される少なくとも1種からなる前記<1>から<2>のいずれかに記載の合わせガラスである。
<4> アンダー層が、アクリル樹脂、ポリウレタン樹脂及びポリオレフィン樹脂のいずれかを含有する前記<1>から<3>のいずれかに記載の合わせガラスである。
<5> 中間層を構成するポリエチレンテレフタレートシート、アンダー層、及び透明樹脂層の少なくともいずれかが、紫外線遮蔽機能及び赤外線遮蔽機能の少なくともいずれかを兼ね備えている前記<1>から<4>のいずれかに記載の合わせガラスである。
<6> 両面にアンダー層を有するポリエチレンテレフタレートからなるシートの両アンダー層表面上に、加熱溶融によって粘着性を示す透明樹脂を含有する透明樹脂層を有する中間層を、一対のガラス板の間に挟み込み、加熱処理することで前記透明樹脂層を溶融させて前記中間層及びガラス板を接着一体化させることを特徴とする合わせガラスの製造方法である。
<7> ポリエチレンテレフタレートからなるシートの少なくとも片面に、ポリエステル樹脂を含む第1層と、アクリル樹脂及びポリウレタン樹脂を含む第2層とをこの順に有することを特徴とする中間膜用シートである。
<8> ポリエチレンテレフタレートからなるシートの少なくとも片面に、ポリオレフィン樹脂及び金属酸化物を含む第1層と、ポリオレフィン樹脂を含む第2層とをこの順に有することを特徴とする中間膜用シートである。
<9> ポリエチレンテレフタレートからなるシートの両面に、第1層と、第2層とをこの順に有する前記<7>から<8>のいずれかに記載の中間膜用シートである。
<10> 合わせガラスの中間層に用いられる前記<7>から<9>のいずれかに記載の中間膜用シートである。
本発明によると、従来における諸問題を解決でき、打ち破り」、「こじ破り」、及び「焼き破り」により容易に破壊されたり、穴が開いたりすることがない防犯性能に優れた合わせガラス及び、製造工程の短縮化が可能であり、コストダウンに寄与できる合わせガラスの製造方法を提供することができる。
図1は、本発明の合わせガラスの一例を示す概略断面図である。 図2は、ISO規格16939−1に標準化された板ガラスの耐衝撃性試験に使用する支持架台の概略図である。 図3は、合わせガラスの加熱部位の説明図である。
(合わせガラス)
本発明の合わせガラスは、一対のガラス板の間に、中間層を有してなり、更に必要に応じてその他の層を有してなる。
<中間層>
前記中間層は、両面にアンダー層を有するポリエチレンテレフタレートからなるシートの両アンダー層表面上に、加熱溶融によって粘着性を示す透明樹脂を含有する透明樹脂層を有してなる。
前記中間層の厚みは、700μm未満であり、200μm〜500μmが好ましい。前記中間層の厚みが、700μm以上であると、防犯性はP3A以上と高グレードとなり、また加熱処理に要する時間が増加し、オートクレーブ不要などの工程短縮ができず高級品になることがある。
−ポリエチレンテレフタレートからなるシート(PETシート)−
前記PETシートとしては、その形状、構造、大きさ等については、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、前記形状としては、例えば、平板状などが挙げられ、前記構造としては、単層構造であってもいし、積層構造であってもよく、前記大きさとしては、前記合わせガラスの大きさ等に応じて適宜選択することができる。
前記PETは、その化学構造において主鎖にベンゼン環を有することで剛直であり、2軸延伸されて製造された透明なPETシートは、高い引っ張り強度と共に衝撃強さを有する強靱な素材である、かつ結晶性プラスチックであり融点が高く、融点以上に加熱して溶融しても粘性を示し、即座に溶け落ちることはない。また、強靱なPETシートとその両側の透明樹脂層を合わせガラスの中間層とすることで、柔らかいPVBのみの中間層を用いた合わせガラスに比べて、優れた耐こじ破り性を得ることができる、即ち、「こじ破り」により穴の開くまでの時間が極めて長くなる。
前記PETシートにストライプ柄、ロゴマークなどの図柄を印刷することで、本発明の合わせガラスに装飾性を付与することが可能である。
前記PETシートには、必要に応じて、赤外線遮断機能や紫外線遮断機能などを付与するため赤外線吸収剤、紫外線吸収剤を添加することができる。
前記PETシートを顔料等の着色剤で着色して、本発明の合わせガラスを透明着色合わせガラスとしてもよい。着色されたPETシートを使用し着色合わせガラスを製造する方が、ガラス自体を金属酸化物などで着色した着色ガラス、又は、ガラス表面に金属酸化物などの着色膜を形成した着色コーティングガラスを使い着色合わせガラスを製造することに比べて容易であり、色調、可視光透過率の選択の自由度が大きい。
前記PETシートは2軸延伸して作製するので厚いものは製造することが困難であり、市販されている透明なPETシートの厚みは、通常400μm以下である。よって、前記PETシートの厚みは、50μm以上400μm以下であることが好ましく、188μm〜400μmであることがより好ましい。
なお、複数のPETシートを用いる場合も、該複数のPETシートの合計厚みが50μm以上400μm以下であることが好ましい。
−アンダー層−
前記アンダー層は、前記PETシートと、透明樹脂層との間の密着力を向上させる目的で設けられる。特に従来PETシートと密着性が低かったが最も多く合わせガラスに用いられている可塑化したポリビニルブチラールを透明樹脂層に用いる際に、アンダー層は効果を発揮する。
前記アンダー層は、バインダー樹脂、更に必要に応じてその他の成分を含有してなる。
前記バインダー樹脂としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えばポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリウレタン樹脂、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、塩化ビニル樹脂、ポリアセタール樹脂、ポリオレフィン樹脂などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、合わせガラスに用いられる透明樹脂(可塑化したポリビニルブチラール(PVB)、エチレン−ビニルアセテート共重合体(EVA)、及び架橋型エチレン−ビニルアセテート共重合体(EVA))との熱融着後の密着性(密着力)の点でアクリル樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリオレフィン樹脂が特に好ましい。
前記アンダー層には、必要に応じて、赤外線吸収剤、紫外線吸収剤、着色剤、発泡抑制剤等のその他の成分を添加することができる。
前記アンダー層の形成方法としては、特に制限はなく、公知の方法に従って形成することができ、例えば、上記成分を配合してなるアンダー層塗布液を用いた塗布法により好適に形成することができる。
前記塗布法としては、例えばブレード塗工法、グラビア塗工法、グラビアオフセット塗工法、バー塗工法、ロール塗工法、ナイフ塗工法、エアーナイフ塗工法、コンマ塗工法、Uコンマ塗工法、AKKU塗工法、スムージング塗工法、マイクログラビア塗工法、リバースロール塗工法、4本又は5本ロール塗工法、ディップ塗工法、落下カーテン塗工法、スライド塗工法、ダイ塗工法、などが挙げられる。
前記アンダー層の厚みは、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、0.1μm〜2.0μmが好ましい。
−透明樹脂層−
前記透明樹脂層は、加熱溶融によって粘着性を示す透明樹脂を含有し、更に必要に応じてその他の成分を含有してなる。
前記透明樹脂としては、加熱溶融によって粘着性を示す透明な樹脂であれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば可塑化したポリビニルブチラール(PVB)、エチレン−ビニルアセテート共重合体(EVA)、及び架橋型エチレン−ビニルアセテート共重合体(EVA)から選択される少なくとも1種であることが好ましい。
前記PVB、EVA、及び架橋EVAは、接着後、固化する一般的な接着剤と比較して、接着後も分子鎖の絡み合いによる粘弾性を示す。したがってこれら透明樹脂からなる透明樹脂層を挟み込んで一体化させた合わせガラスは、「打ち破り」、「こじ破り」に対して穴が開きにくく、優れた防犯性能を示す。
前記架橋EVAは、三次元共重合体であるために高温下での溶融粘度が特に高く、ガスバーナーなどの火炎による加熱により、高温状態で溶融したとしても、PETシートにガラスを粘着させてガラスを保持する時間がPVB、EVAと比べて特に長い。即ち、PETシートの厚みを等しくして、同じ厚みのPVB、EVA、架橋EVAを用いた場合を比較すると、架橋EVAを用いて合わせガラスを作製し、該合わせガラスを炙った際に穴の開く時間が際立って長い。したがって耐火炎熱照射による破壊貫通性を高めたい場合は、透明樹脂層に架橋EVAを用いることが好ましい。
一方、市販品の合わせガラスの多くはPVBを中間層に設けたものが主であるため、製造プロセスを統一し、合わせガラスのコストダウンを図る観点から、可塑化したPVBを用いることが好ましい。
前記透明樹脂層には、必要に応じて、赤外線遮断機能や紫外線遮断機能などを付与するため赤外線吸収剤、紫外線吸収剤を添加することができる。更に必要に応じて、着色剤、発泡抑制剤等のその他の成分を添加することができる。
前記透明樹脂層の形成方法としては、特に制限はなく、公知の方法に従って形成することができ、例えば、(1)上記成分を配合してなる透明樹脂層塗布液を用いた塗布法、(2)上記成分を配合してなる透明樹脂層組成物を製膜した透明樹脂シートを用いる方法などが挙げられる。
前記透明樹脂層の厚みは、10μm〜150μmが好ましく、10μm〜50μmがより好ましい。
前記合わせガラスの中間層を構成する前記PETシート、前記アンダー層、及び前記透明樹脂層の少なくともいずれかには、紫外線遮蔽機能を付与することも可能であり、紫外線を遮蔽することで、PETシートの光劣化や室内への紫外線の侵入を抑制することもできる。
前記紫外線遮蔽機能を付与する手段については、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えばPETシート、アンダー層、又は透明樹脂層に、紫外線吸収剤を添加する方法などが挙げられる。前記紫外線吸収剤としては、例えばベンゾトリアゾール系、ベンゾジチオール系、クマリン系、ベンゾフェノン系、サリチル酸エステル系、シアノアクリレート系等の紫外線吸収剤;酸化チタン、酸化亜鉛などが挙げられる。前記紫外線吸収剤の種類、配合量は特に制限はなく、目的に応じて適宜選択される。
前記合わせガラスの中間層を構成する前記PETシート、前記アンダー層、及び前記透明樹脂層の少なくともいずれかには、赤外線遮蔽機能を付与することも可能であり、赤外線を遮蔽することで、室内の温度上昇作用である温室効果を抑制できる。その結果、エアコンなども冷房負荷・費用軽減とCO抑制のエコロジーにも貢献することもこできる。
前記赤外線遮蔽機能を付与させる手段については、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えばPETシート、アンダー層、又は透明樹脂層に、赤外線遮断機能を有する金属酸化物又は金属を添加する方法などが挙げられる。前記赤外線遮断機能を有する金属酸化物又は金属としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ。例えばドープ酸化インジウム(ITO)、アンチモンドープ酸化錫(ATO)、アルミニウムドープ酸化亜鉛、酸化亜鉛と銀と酸化亜鉛の複合系や赤外線吸収色素などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
<板ガラス>
前記ガラス板としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば透明ガラス板、型ガラス板、網入りガラス板、線入りガラス板、強化ガラス板、熱線反射ガラス板、熱線吸収ガラス板、Low−Eガラス板、その他の各種ガラス板などが挙げられる。
前記板ガラスは、中間層が優れた耐貫通性を示すため、フロート法により製造されて加熱処理などの強化処理を施されていない生板ガラスを用いても、充分な防犯性能を示す。更に、耐衝撃性を向上させて、即ち、割れにくくして、優れた防犯性能を得るには、生板ガラスを軟化点付近に加熱後、風冷強化した、又は生板ガラスの表面付近のナトリウムをカリウムなどに置換し化学強化した強化ガラス、網入り磨き板ガラスなどを用いても構わない。
前記ガラス板の厚みは1.8mm以上、6mm以下であることが好ましいく、例えば、呼び厚み、3mm(通称、FL3)、呼び厚み、4mm(通称、FL4)、呼び厚み、5mm(通称、FL5)、呼び厚み、6mm(通称、FL6)などのフロート装置で製造されたフロート板ガラス規格品を使用することができる。FL3、FL4、FL5、FL6共に、呼び厚みに対する許容差は、JIS R3202で±0.3mmとされており、例えば、FL3は、厚み2.7mm〜3.3mmの範囲内である。
ただし、ビルのアトリウムなどに用いられる防犯防災ガラスやリブガラスなどは、前記一般向けガラスより厚いガラスが使用されており、本発明の合わせガラスは、ビル向けにも使用可能であるため、本発明の合わせガラスに使用する板ガラスについては、ガラスの厚みや種類を特定する必要はない。
なお、本発明の合わせガラスは、3枚以上の板ガラスを積層させた構成としても構わない。
<その他の層>
前記その他の層としては、紫外線遮断機能を主として備えた紫外線遮断層、赤外線遮断機能を主として備えた赤外線遮断層を設けることができる。
<従来の防犯用合わせガラス>
従来の防犯用合わせガラスとしては、中間膜であるポリビニルブチラールの厚みを容易に穴が開かないように厚くした合わせガラス、又は合わせガラスの中間層に耐衝撃性の高いPC板及びEVAを挿入し一体化させた各々板厚3mmの一対の板ガラスを用い、中間層と併せて6.8mmとしたものが標準品として市販されている。
例えば、フロートガラス3.0mm厚(FL3)/PVB760μm厚/フロートガラス3.0mm厚(FL3)の積層構成による合わせガラスは、ISO規格16939−1の防犯クラス「P2A」を満足し、一戸建て住宅、マンションなどの一般住宅の窓やビルのアトリウムなどの防犯ガラスとして多く使われている。
本発明の合わせガラスは、透明樹脂層との密着性を高めることを目的としたアンダー層を両面に設けたPETシートの両側に加熱溶融によって粘着性を示す透明樹脂層を設けた中間層を2枚のガラス板の間に挟み込んだ後、加熱溶融することによってガラスと中間層とを一体化させて合わせガラスとした場合であり、前記従来の防犯用合わせガラスより薄い厚みで、「打ち破り」、「こじ破り」、及び「焼き破り」に強く、軽量かつ強靱かつ安価な防犯用合わせガラスとすることができる。
本発明の合わせガラスは、PETシートの厚みが50μm以上400μ以下、中間層の厚みを700μm未満とすることで、各々板厚3.0mmの一対の板ガラスを用い合わせガラスを作製した際に、ISO規格にて標準化された落球による耐衝撃試験に準拠して試験を行った結果、直径100mm、重さ4.11kgの鋼球を3mの高さから3回落下させても、鋼球が貫通しないISO規格16939−1の防犯クラス「P1A」又は「P2A」を満足する強度の合わせガラスを得ることが可能となる。
本発明の合わせガラスは、融点の高いPETシートの両面側に透明樹脂層との密着性を高めたアンダー層を設け、その両面に透明樹脂層を積層させた中間層を一対のガラス板に挟み込んだ構造としているので、ガスバーナーなどの火炎で加熱されガラスが熱割れしたとしても、融点の高いPETシートの利点を活かして、前記従来の防犯用合わせガラスに比較して、ガスバーナーなどの火炎による加熱に対して、穴が開くまでに要する時間が長くなり、「打ち破り」、及び「こじ破り」に対して穴が開きにくいと共に、耐火炎熱照射による破壊貫通性に優れた防犯性能を併せ持つものである。
(合わせガラスの製造方法)
本発明の合わせガラスの製造方法は、両面にアンダー層を有するポリエチレンテレフタレートからなるシートの両アンダー層表面上に、加熱溶融によって粘着性を示す透明樹脂を含有する透明樹脂層を有する中間層を、一対のガラス板の間に挟み込み、加熱処理することで前記透明樹脂層を溶融させて前記中間層及びガラス板を接着一体化させるものである。
前記透明樹脂層の加熱温度は、120℃〜150℃であることが好ましい。
前記合わせガラスの製造方法としては、具体的には、(1)合わせガラス製造装置内を脱気しつつ該製造装置に内設された電気ヒーターなどの輻射加熱手段を用いて、透明樹脂層を加熱溶融させ、中間層となるシートを軟化させて、一対の板ガラスと接着一体化させる方法、(2)ニップ圧力とニップ位置と加熱温度によるヒートロール方式であり、該ヒートロール方式に真空装置を組み入れ、合わせガラス製造装置内を脱気しつつヒートロールする方式などが挙げられる。
前記全ての製造方法において、本発明の合わせガラスは、従来のPVBやEVAや架橋EVAの中間層に対して透明樹脂層の厚みが薄くなっている分、加熱溶融に必要な熱量や時間を短縮することができ、オートクレーブが不要など様々な方法で製造工程を短縮して製造できるという利点がある。その結果、安価な合わせガラスを効率よく製造することができ、安全な防犯用合わせガラスの普及に寄与することができる。
前記合わせガラスの中間層は、融点の高いPETシートの両面側に透明樹脂層との密着性を高めたアンダー層を塗布によるコーティングで設け、その両面に設ける透明樹脂層を塗布もしくは溶融ラミネートによるコーティングで、合わせガラス製造工程以前に密着させておくこともできる。その結果、PETシートとその両面に透明樹脂層を積層させ中間層として一対のガラス板に挟み込んだ構造に対して、前記合わせガラスの中間層は、事前に透明樹脂層をPETシートにコーティングしている分、透明樹脂層とPETシート界面の2層の空気層がないため、合わせガラス製造における脱気が容易になり、オートクレーブ不要などによる様々な製造工程・製造装置の短縮化・簡略化にも繋がり、その結果、合わせガラス自体のコストダウンにも貢献できる。
ここで、図1は、本発明の合わせガラスの一例の断面図である。図1に示すように、合わせガラスは、両面にアンダー層2,2’を有したPETシート1の両面に透明樹脂層3,3’を設けた中間層4を、対面する板ガラス5,5’の間に挟み込んだ後、加熱処理することによって、透明樹脂層が直接ガラス板と接合され、PETシート1と、アンダー層2,2’と透明樹脂層3,3’と板ガラス5,5’を一体化させた構造となっている。
中間層4は、「打ち破り」、「こじ破り」、及び「焼き破り」に対する優れた防犯性と製造工程の短縮のバランスから、PETシート1は厚み188μm以上であることが好ましく、PETシート1とアンダー層2,2’と透明樹脂層3,3’を合せた中間層の厚みが700μm未満である。
板ガラス3,3’の厚みは1.8mm以上、6mm以下であることが好ましく、例えば、一般的なPVBのみを中間膜に使用する合わせガラスに使用する、呼び厚み、3mm(通称、FL3)、呼び厚み、4mm(通称、FL4)、呼び厚み、5mm(通称、FL5)、呼び厚み、6mm(通称、FL6)などのフロート装置で製造されたフロート板ガラス規格品を使用することができる。FL3、FL4、FL5、FL6共に、呼び厚みに対する許容差は、JIS R3202で±0.3mmとされており、例えば、FL3は、厚み2.7mm〜3.3mmの範囲内である。
本発明の合わせガラスにおいて、中間層4をPETシート1とその両側のアンダー層2,2’と透明樹脂層3,3’とした場合、強靱なPETシート1と粘弾性に優れた透明樹脂層3,3’により、中間層をPVBのみとした従来の合わせガラスに比較して、同等以上の強度を、従来より薄い中間層による合わせガラスで得ることができる。その結果、軽量な合わせガラスゆえにハンドリングが容易になり、強化処理の施されていない呼び厚み、2mm(通称、FL2)、又は呼び厚み、2.5mm(通称、FL2.5)のフロート法によるガラス板を用いたしても軽量でありながら充分な強度を有し、耐こじ破り性、耐うち破り性、耐焼き破り性による破壊貫通性に優れた合わせガラスを得ることができる。
防犯性能に加え、赤外線を反射させて、断熱効果及び遮熱効果を付与する目的で、本発明の合わせガラスに使用されるガラス板5,5’の少なくとも一面に、好ましくは中間層側の一面にAg、SnO、ITO、又はTiOなどからなる薄膜を成膜しても構わない。また、中間層自体に赤外線遮蔽機能を付与させても構わない。
本発明の合わせガラスは、一般的な溝幅9mm、11mmの合わせガラス用サッシに適用することが可能である。
また、一対のガラスを離間させた状態で周縁部を封止してなる複層ガラスに防犯性能を付与するために、本発明の耐破壊貫通性に優れた合わせガラスを室外側、あるいは室内側のガラスとして用いることができる。複層ガラスに防犯性能を得るためには、本発明の合わせガラスを用いることが好適であり、サッシ自体が重くなる複層ガラスにおいて、FL2、FL2.5のフロート板ガラスを用いた合わせガラスを複層ガラスに用いることは、軽量であるため、運搬などのハンドリングが楽になり、住宅に設置後のサッシの開け閉めも楽になるなどの好ましい結果をもたらす。
−用途−
本発明の合わせガラスは、優れた防犯防止機能を有しているので、例えば一般の戸建住宅、集合住宅、オフィスビス、店舗、公共施設、工場施設等の建物の開口部、間仕切り等の建材用ガラス;自動車、バス、トラック、電車、新幹線、飛行機、旅客機、船等の各種乗り物用窓ガラスなどに幅広く用いることができる。
以下、本発明の実施例を説明するが、本発明は、これらの実施例に何ら限定されるものではない。
<鋼球落下試験>
−ISO規格16939−1に標準化された板ガラスの耐衝撃性試験−
始めに、ISO規格16939−1にて標準化された板ガラスの耐衝撃性試験について順を追って説明する。
図2は、ISO規格16939−1に標準化された板ガラスの耐衝撃性試験に使用する支持架台の概略図である。
1.試験体s
・試験体sのサイズ:1100mm×900mm(寸法誤差:±5mm)
・保管条件:試験前の最低12時間は23±2℃の状態で保管する。
2.試験器具
・インパクター:鋼球(直径100mm±0.2mm、重さ4.11kg、60HRC〜65HRC)
・支持架台:図2に示す。
3.試験方法
(1)試験体sを固定する。
図2に示すように、試験体sを鋼製の受け箱a上に置き、鋼製の支持枠bを用いて試験体sの外周30mm±5mmの部分を140kN/m±20kN/mで締付ける。なお、試験体sと支持枠bの接触部には厚み4mmのゴム(40IHRD〜60IHRD)を設置する。鋼球の受け箱aには、受け箱aの底面の保護のため、受け箱aの底面に緩衝材dを置き、側面に衝撃時の空気抜きのための通気孔eを設ける。
(2)鋼球を所定の高さにセットする。
試験する防犯クラスに合せて、図示しない鋼球を所定の落下高さまで上げる。なお、各防犯クラスの試験条件は表1に示す通りである。
(3)鋼球を落下
・落下位置:図2に示すように、試験体sの中央を中心とする一辺13cm±2cmの正三角形の頂点、即ち、鋼球の衝撃落下位置cである3個所に鋼球を落下させる。なお、正三角形の一辺は試験体sの一辺に平行とする。
・落下順番:最初に鋼球を落下させる落下衝撃位置c’は、試験体sの一辺と平行になる辺の反対側の頂点c’で、他の2頂点は特に順番は決まっていない。
P1A〜P4Aクラスは3個所に各1回ずつ鋼球を落下させ(計3回)、P5Aクラスは3個所に各3回ずつ鋼球を自由落下させる(計9回)。
(4)判定条件
試験を行った3個の試験体sが全て下記の条件1及び2を、ともに満足した場合を合格とする。
条件1:試験体に落下させた鋼球が、試験体sを貫通しないこと。
条件2:試験後に試験体sが、試験前の設置位置より、5mm以上ずれていないこと。
(5)評価基準
○:P2A以上
△:P1A以上P2A未満
×:P1A未満
なお、市販されている防犯用合わせガラスの構成である、FL3の間に厚み30mil(=760μm)のPVB中間層を設けた合わせガラスは、ISO規格16939−1のP2Aクラスであり、FL3の間に厚み60mil(=1520μm)のPVB中間層を設けた合わせガラスはISO規格16939−1のP4Aクラスであり、FL3の間に厚み90mil(=2280μm)のPVB中間層を設けた合わせガラスは、ISO規格16939−1のP5Aクラスである。
<耐こじ破り性試験>
耐こじ破り性試験は、300mm×300mmサイズの各試験体を、ガラス溝幅9mmのサッシに塩化ビニル製のグレージングチャンネルを用いてはめ込んだ前記試験体の端部より、試験者が全長20cmのマイナスドライバーを用いて、試験体をこじ破り、10cm程度のクレセントを開錠するに可能な穴が開くまでの時間を測定し、耐こじ破り性を評価した。本評価試験は、「こじ破り」作業を試験者が行うので、試験者の体力差及びこじ破り作業のやり方の違いによって、比較評価結果が左右されることがないように、試験は同一人物が行った。
〔評価基準〕
○:開錠するに可能な穴が開くまでの時間が60秒以上
×:開錠するに可能な穴が開くまでの時間が60秒未満
<焼き破り試験>
焼き破り試験は、試験者がバーナーを用いて試験体に対する炎熱照射位置、即ち、火炎の当たる位置を移動しつつ行うので、比較評価結果に対し、試験者による差異がないように、同一人物が各試験体に対して3回ずつ行った。
前述のように300mm×300mmサイズの各試験体に対し、図3に示すように、試験体の片側端部6を治具に固定した後、試験体の角部から100mm離れた円弧状の加熱部7を、市販の高温タイプのガスバーナー(プリンス社製、型番GB−2001)を用い、試験者が、炎が直接ガラス表面を加熱するようにガラス面よりバーナー口を5cm程、離して火力を最大にして火炎の当たる位置を移動させつつ炙り、加熱部のガラスが割れ、ドライバーの先で軽く押して、ガラスが脱落するのに要した時間を測定し、耐火炎熱照射による破壊貫通性を比較評価した。ガスバーナー(プリンス社製、型番GB−2001)の火炎温度は仕様では、800℃〜1,300℃であり、試験時は火力を最大としたので火炎温度は1,300℃であったと推測される。
〔評価基準〕
○:ガラスが脱落するのに要した時間が160秒以上
×:ガラスが脱落するのに要した時間が160秒未満
<合わせガラス完成時間の測定>
合わせガラス完成時間を透明樹脂層(比較例3〜6では中間層)の熱溶融時間により比較した。
まず、製造装置内を脱気しつつ製造装置に内設された電気ヒーターなどの輻射加熱手段を用いて、透明樹脂層を加熱溶融させる方法において、中間層を挟む一対のガラスはFL2とし、ガラスと中間層のサイズを30mm×75mmに固定した各試験体において、電気ヒーターの温度を150℃に維持して、各試験体の透明樹脂層が溶融接着し、かつ空気抜けと透明樹脂層(又は中間層)の熱溶融による透明化が完了するまでの時間(合わせガラス完成時間)の測定を3回ずつ行い、その平均時間で合わせガラスの製造工程の短縮度合いを定量的に評価した。
〔評価基準〕
○:合わせガラス完成時間が150秒未満
×:合わせガラス完成時間が150秒以上
<耐光性試験>
耐光性試験には、スーパーUV試験(メタルハライドランプ、岩崎電気株式会社製)を用い、バックプレート温度を63℃に設定にし、各サンプルを上方からのUV照射に対してガラス面を垂直になるよう各試験体を設置し、500時間暴露したのち、暴露前後の合わせガラスの中に、特にPETシートがある場合はPETシートと透明樹脂層の間に、見られる浮きや気泡の量を官能的に評価した。
(製造例1)
<アクリル樹脂及びポリウレタン樹脂を有するアンダー層からなる両面アンダー層付きPETシートAの作製>
以下の手順により、両面アンダー層付きのPETシートを形成した。
まず、Geを触媒として重縮合した固有粘度0.66のポリエチレンテレフタレート(以下、PETと記載)樹脂を含水率50ppm以下に乾燥させ、ヒーター温度が280℃〜300℃設定温度の押し出し機内で溶融させた。溶融させたPET樹脂をダイ部より静電印加されたチルロール上に吐出させ、非結晶ベースを得た。得られた非結晶ベースをベース進行方向に3.3倍に延伸した後、幅方向に対して3.8倍に延伸し、厚みが188μmと250μmと300μmの3種のポリエチレンテレフタレートの支持体を得た。
上記により形成した厚み188μmと250μmと300μmの3種のポリエチレンテレフタレートの支持体の、それぞれの片面を、搬送速度105m/分で搬送し、730J/mの条件でコロナ放電処理を行った後、この上に塗布量を147.0mg/mとして下記[第1層塗布液(1)]をバーコート法により塗布した。そして、これを180℃で1分間乾燥して第1層を形成した後、続けて第1層の上に塗布量を96.3mg/mとして下記[第2層塗布液(1)]をバーコート法により塗布した後、170℃で1分間乾燥することにより、支持体のポリエチレンテレフタレートの片面に第1層と第2層とが積層されたアンダー層を作製した。
その後、それぞれの裏面に、上述と同じコロナ放電処理と上述と同じその後の第1層塗布液(1)の塗布及び乾燥を、また、上述と同じその後の第2層塗布液(1)の塗布及び乾燥を行い、支持体のポリエチレンテレフタレートの両面に第1層と第2層とが積層された製造例1のアンダー層付きのPETシートAを作製した。
[第1層塗布液(1)]
・ポリエステルバインダー(互応化学株式会社製、プラスコートZ687、固形分25質量%)・・・45.1質量部(塗布量:80mg/m、ポリエステルバインダー100質量部に対する比率:100質量部)
・カルボジイミド化合物(日清紡績株式会社製、カルボジライトV−02−L2、固形分40質量%)・・・15.8質量部(塗布量:45mg/m、ポリエステルバインダー100質量部に対する比率:56.3質量部)
・オキサゾリン化合物(株式会社日本触媒製、エポクロスK2020E、固形分40質量%)・・・7.0質量部(塗布量:20mg/m、ポリエステルバインダー100質量部に対する比率:25質量部)
・界面活性剤A(三洋化成工業株式会社製、ナロアクティーCL−95の1質量%水溶液)・・・15.5質量部(塗布量:1.1mg/m、ポリエステルバインダー100質量部に対する比率:1.4質量部)
・界面活性剤B(日本油脂株式会社製、ラピゾールB−90の1質量%水溶液)・・・12.7質量部(塗布量:0.9mg/m、ポリエステルバインダー100質量部に対する比率:1.1質量部)
・蒸留水・・・全体が1,000質量部になるように添加
[第2層塗布液(1)]
・ポリウレタンバインダー(三井化学株式会社製、オレスターUD−350、固形分38質量%)・・・22.8質量部(塗布量:61.5mg/m
・アクリルバインダー(ダイセル化学工業株式会社製、EM48D、固形分27.5質量%)・・・2.6質量部(塗布量:5mg/m
・カルボジイミド化合物(日清紡績株式会社製、カルボジライトV−02−L2、固形分40質量%)・・・4.7質量部(塗布量:13.35mg/m
・界面活性剤A(三洋化成工業株式会社製、ナロアクティーCL−95の1質量%水溶液)・・・15.5質量部(塗布量:1.1mg/m
・界面活性剤B(日本油脂株式会社製、ラピゾールB−90の1質量%水溶液)・・・12.7質量部(塗布量:0.9mg/m
・マット剤A(日産化学工業株式会社製、スノーテックスXL、固形分40.5質量%)・・・3.5質量部(塗布量:10mg/m
・マット剤B(日本アエロジル株式会社製、アエロジルOX−50水分散物、固形分10質量%)・・・1.6質量部(塗布量:1.1mg/m
・滑り剤(中京油脂株式会社製、カルバナワックス分散物セロゾール524、固形分30質量%)・・・1.6質量部(塗布量:3.3mg/m
・蒸留水・・・全体が1,000質量部になるように添加
(製造例2)
<ポリオレフィン樹脂を有するアンダー層からなる両面アンダー層付きPETシートBの作製>
以下の手順により、両面アンダー層付きのPETシートを形成した。
まず、Geを触媒として重縮合した固有粘度0.66のポリエチレンテレフタレート(以下、PETと記載)樹脂を含水率50ppm以下に乾燥させ、ヒーター温度が280〜300℃設定温度の押し出し機内で溶融させた。溶融させたPET樹脂をダイ部より静電印加されたチルロール上に吐出させ、非結晶ベースを得た。得られた非結晶ベースをベース進行方向に3.3倍に延伸した後、幅方向に対して3.8倍に延伸し、厚みが188μmと250μmと300μmの3種のポリエチレンテレフタレートの支持体を得た。
上記により形成した厚み188μmと250μmと300μmのポリエチレンテレフタレートの支持体、それぞれの片面を、搬送速度105m/分で搬送し、730J/mの条件でコロナ放電処理を行った後、この上に塗布量を276.8mg/mとして下記[第1層塗布液(2)]をバーコート法により塗布した。そして、これを180℃で1分間乾燥して第1層を形成した後、続けて第1層の上に塗布量を66.0mg/mとして下記[第2層塗布液(2)]をバーコート法により塗布した後、170℃で1分間乾燥することにより、支持体のポリエチレンテレフタレートの片面に第1層と第2層とが積層されたアンダー層を完成させた。
その後、それぞれの裏面に、上述と同じコロナ放電処理と上述と同じその後の第1層塗布液(2)の塗布及び乾燥を、また、上述と同じその後の第2層塗布液(2)の塗布及び乾燥を行い、支持体のポリエチレンテレフタレートの両面に第1層と第2層とが積層された製造例2のアンダー層付きのPETシートBを作製した。
[第1層塗布液(2)]
・ポリオレフィンバインダー(三井化学株式会社製、ケミパールS75N、固形分24質量%)・・・23.9質量部(塗布量:40.7mg/m
・オキサゾリン化合物(株式会社日本触媒製、エポクロスWS700、固形分25質量%)・・・7.1質量部(塗布量:12.7mg/m
・界面活性剤A(三洋化成工業株式会社製、ナロアクティーCL−95の1質量%水溶液)・・・62.0質量部(塗布量:4.4mg/m
・金属酸化物(三菱マテリアル株式会社製、TDL−1、固形分17質量%)・・・181.4質量部(塗布量:219mg/m
・蒸留水・・・全体が1,000質量部になるように添加
[第2層塗布液(2)]
・ポリオレフィンバインダー(三井化学株式会社製、ケミパールS75N、固形分24質量%)・・・26.2質量部(塗布量:44.7mg/m
・エポキシ化合物(ナガセ化成株式会社製、デナコールEX−614Bの1質量%水溶液)・・・221.8質量部(塗布量:15.8mg/m
・界面活性剤A(三洋化成工業株式会社製、ナロアクティーCL−95の1質量%水溶液)・・・77.2質量部(塗布量:5.5mg/m
・蒸留水・・・全体が1,000質量部になるように添加
次に、合わせガラスの実施例について説明する。
製造例1のアンダー層付きのPETシートAを用いた合わせガラスの実施例1〜20、製造例2のアンダー層付きのPETシートBを用いた合わせガラスの実施例21〜40を示す。
(実施例1)
図1に示すように、板厚3.0mmである加熱処理などの強化処理の施されていないフロートガラスFL3(日本板硝子株式会社製)を各評価に必要なサイズにカットし、端面を面取りした2枚の板ガラス5,5’の間に、両面にアクリル樹脂及びポリウレタン樹脂を有する厚み0.156μmのアンダー層2,2’を備えた厚み188μmの製造例1のアンダー層付きのPETシートA(易接着層両面付きPETシート、富士フイルム株式会社製)1の両面に、可塑化したポリビニルブチラール溶液を塗布し、乾燥させて厚みが50μmの透明樹脂層3,3’を設けた中間層4を挟み込み、真空ラミネーター(日清紡績株式会社製)を用いて、真空下、150℃で加熱溶融させたのち、真空と温度を維持したままプレスすることで、図1に示すような合わせガラスを作製した。
なお、300mm×300mmのサイズの場合には、真空下、150℃で20分間加熱溶融させたのち、真空と温度を維持したままプレスして、合わせガラスを作製した。
(実施例2)
実施例1において、中間層における透明樹脂層3,3’として、予め製膜しておいた厚みが50μmの可塑化したポリビニルブチラールシートを用いた以外は、実施例1と同様にして、合わせガラスを作製した。
(実施例3)
実施例2において、中間層における透明樹脂層3,3’として、厚みが50μmの架橋型エチレン−ビニルアセテート共重合体シートを用いた以外は、実施例2と同様にして、合わせガラスを作製した。エチレン−ビニルアセテート共重合体及び架橋型エチレン−ビニルアセテート共重合体を用いる場合は、真空下110℃で加熱溶融させたのち、真空と温度を維持したままプレスすることで、図1に示すような合わせガラスを作製し、その後150℃で再加熱することで、架橋及び接着を完了させて合わせガラスを作製した。
なお、300mm×300mmのサイズの場合には、真空下、110℃で20分間加熱溶融させたのち、真空と温度を維持したままプレスして、合わせガラスを作製し、その後150℃で10分間再加熱することで、架橋及び接着を完了させて合わせガラスを作製した。
(実施例4)
実施例2において、中間層における透明樹脂層3,3’として、厚みが50μmのエチレン−ビニルアセテート共重合体シートを用いた以外は、実施例2と同様にして、合わせガラスを作製した。
(実施例5)
実施例3において、中間層における透明樹脂層3,3’として、厚みを100μmとした以外は、実施例3と同様にして、合わせガラスを作製した。なお、透明樹脂のPETシートへの積層は、熱溶融押出ラミネート法にて行った。
(実施例6)
実施例3において、中間層における透明樹脂層3,3’として、厚みを150μmにした以外は、実施例3と同様にして、合わせガラスを作製した。
(実施例7)
実施例5において、中間層における透明樹脂層3,3’として、透明樹脂をエチレン−ビニルアセテート共重合体を用いた以外は、実施例5と同様にして、合わせガラスを作製した。
(実施例8)
実施例7において、中間層における透明樹脂層3,3’として、厚みを150μmにした以外は、実施例7と同様にして、合わせガラスを作製した。
(実施例9)
実施例3において、両面にアクリル樹脂及びポリウレタン樹脂を有する厚み0.156μmのアンダー層2,2’を備えた厚み250μmの製造例1のアンダー層付きのPETシートA(易接着層両面付きPETシート、富士フイルム株式会社製)1を用いた以外は、実施例3と同様にして、合わせガラスを作製した。なお、透明樹脂のPETシートへの積層は、熱溶融押出ラミネート法にて行った。
(実施例10)
実施例9において、中間層における透明樹脂層3,3’として、厚みを100μmとした以外は、実施例3と同様にして、合わせガラスを作製した。
(実施例11)
実施例9において、中間層における透明樹脂層3,3’として、厚みを150μmとした以外は、実施例3と同様にして、合わせガラスを作製した。
(実施例12)
実施例9において、中間層における透明樹脂層3,3’として、透明樹脂をエチレン−ビニルアセテート共重合体を用いた以外は、実施例3と同様にして、合わせガラスを作製した。
(実施例13)
実施例12において、中間層における透明樹脂層3,3’として、厚みを100μmとした以外は、実施例12と同様にして、合わせガラスを作製した。
(実施例14)
実施例12において、中間層における透明樹脂層3,3’として、厚みを150μmとした以外は、実施例12と同様にして、合わせガラスを作製した。
(実施例15)
実施例3において、両面にアクリル樹脂及びポリウレタン樹脂を有する厚み0.156μmのアンダー層2,2’を備えた厚み300μmの製造例1のアンダー層付きのPETシートA(易接着層両面付きPETシート、富士フイルム株式会社製)1を用いた以外は、実施例3と同様にして、合わせガラスを作製した。なお、透明樹脂のPETシートへの積層は、熱溶融押出ラミネート法にて行った。
(実施例16)
実施例15において、中間層における透明樹脂層3,3’として、厚みを100μmとした以外は、実施例15と同様にして、合わせガラスを作製した。
(実施例17)
実施例15において、中間層における透明樹脂層3,3’として、厚みを150μmとした以外は、実施例15と同様にして、合わせガラスを作製した。
(実施例18)
実施例15において、中間層における透明樹脂層3,3’として、透明樹脂をエチレン−ビニルアセテート共重合体を用いた以外は、実施例15と同様にして、合わせガラスを作製した。
(実施例19)
実施例18において、中間層における透明樹脂層3,3’として、厚みを100μmとした以外は、実施例18と同様にして、合わせガラスを作製した。
(実施例20)
実施例18において、中間層における透明樹脂層3,3’として、厚みを150μmとした以外は、実施例18と同様にして、合わせガラスを作製した。
(実施例21)
図1に示すように、板厚3.0mmである加熱処理などの強化処理の施されていないフロートガラスFL3(日本板硝子株式会社製)を各評価に必要なサイズにカットし、端面を面取りした2枚の板ガラス5,5’の間に、両面にポリオレフィン樹脂を有する厚み0.163μmのアンダー層2,2’を備えた厚み188μmの製造例2のアンダー層付きのPETシートB(易接着層両面付きPETシート、富士フイルム株式会社製)1の両面に、可塑化したポリビニルブチラール溶液を塗布し、乾燥させて厚みが50μmの透明樹脂層3,3’を設けた中間層4を挟み込み、真空ラミネーター(日清紡績株式会社製)を用いて、真空下、150℃で加熱溶融させたのち、真空と温度を維持したままプレスすることで、図1に示すような合わせガラスを作製した。
なお、300mm×300mmのサイズの場合には、真空下、150℃で20分間加熱溶融させたのち、真空と温度を維持したままプレスして、合わせガラスを作製した。
(実施例22)
実施例21において、中間層における透明樹脂層3,3’として、予め製膜しておいた厚みが50μmの可塑化したポリビニルブチラールシートを用いた以外は、実施例1と同様にして、合わせガラスを作製した。
(実施例23)
実施例22において、中間層における透明樹脂層3,3’として、厚みが50μmの架橋型エチレン−ビニルアセテート共重合体シートを用いた以外は、実施例2と同様にして、合わせガラスを作製した。エチレン−ビニルアセテート共重合体及び架橋型エチレン−ビニルアセテート共重合体を用いる場合は、真空下110℃で加熱溶融させたのち、真空と温度を維持したままプレスすることで、図1に示すような合わせガラスを作製し、その後150℃で再加熱することで、架橋及び接着を完了させて合わせガラスを作製した。
なお、300mm×300mmのサイズの場合には、真空下、110℃で20分間加熱溶融させたのち、真空と温度を維持したままプレスして、合わせガラスを作製し、その後150℃で10分間再加熱することで、架橋及び接着を完了させて合わせガラスを作製した。
(実施例24)
実施例22において、中間層における透明樹脂層3,3’として、厚みが50μmのエチレン−ビニルアセテート共重合体シートを用いた以外は、実施例22と同様にして、合わせガラスを作製した。
(実施例25)
実施例23において、中間層における透明樹脂層3,3’として、厚みを100μmとした以外は、実施例23と同様にして、合わせガラスを作製した。なお、透明樹脂のPETシートへの積層は、熱溶融押出ラミネート法にて行った。
(実施例26)
実施例23において、中間層における透明樹脂層3,3’として、厚みを150μmにした以外は、実施例23と同様にして、合わせガラスを作製した。
(実施例27)
実施例25において、中間層における透明樹脂層3,3’として、透明樹脂をエチレン−ビニルアセテート共重合体を用いた以外は、実施例25と同様にして、合わせガラスを作製した。
(実施例28)
実施例27において、中間層における透明樹脂層3,3’として、厚みを150μmにした以外は、実施例27と同様にして、合わせガラスを作製した。
(実施例29)
実施例23において、両面にオレフィン樹脂を有する厚み0.163μmのアンダー層2,2’を備えた厚み250μmの製造例2のアンダー層付きのPETシートB(易接着層両面付きPETシート、富士フイルム株式会社製)1を用いた以外は、実施例23と同様にして、合わせガラスを作製した。なお、透明樹脂のPETシートへの積層は、熱溶融押出ラミネート法にて行った。
(実施例30)
実施例29において、中間層における透明樹脂層3,3’として、厚みを100μmとした以外は、実施例29と同様にして、合わせガラスを作製した。
(実施例31)
実施例29において、中間層における透明樹脂層3,3’として、厚みを150μmとした以外は、実施例29と同様にして、合わせガラスを作製した。
(実施例32)
実施例29において、中間層における透明樹脂層3,3’として、透明樹脂をエチレン−ビニルアセテート共重合体を用いた以外は、実施例29と同様にして、合わせガラスを作製した。
(実施例33)
実施例32において、中間層における透明樹脂層3,3’として、厚みを100μmとした以外は、実施例32と同様にして、合わせガラスを作製した。
(実施例34)
実施例32において、中間層における透明樹脂層3,3’として、厚みを150μmとした以外は、実施例32と同様にして、合わせガラスを作製した。
(実施例35)
実施例23において、両面にオレフィン樹脂を有す厚み0.163μmのアンダー層2,2’を備えた厚み300μmの製造例2のアンダー層付きのPETシートB(易接着層両面付きPETシート、富士フイルム株式会社製)1を用いた以外は、実施例23と同様にして、合わせガラスを作製した。なお、透明樹脂のPETシートへの積層は、熱溶融押出ラミネート法にて行った。
(実施例36)
実施例35において、中間層における透明樹脂層3,3’として、厚みを100μmとした以外は、実施例35と同様にして、合わせガラスを作製した。
(実施例37)
実施例35において、中間層における透明樹脂層3,3’として、厚みを150μmとした以外は、実施例35と同様にして、合わせガラスを作製した。
(実施例38)
実施例35において、中間層における透明樹脂層3,3’として、透明樹脂をエチレン−ビニルアセテート共重合体を用いた以外は、実施例35と同様にして、合わせガラスを作製した。
(実施例39)
実施例38において、中間層における透明樹脂層3,3’として、厚みを100μmとした以外は、実施例38と同様にして、合わせガラスを作製した。
(実施例40)
実施例38において、中間層における透明樹脂層3,3’として、厚みを150μmとした以外は、実施例38と同様にして、合わせガラスを作製した。
(比較例1)
実施例1において、製造例1のアンダー層付きのPETシートAの代わりにアンダー層を有さない厚み188μmのPETシートを用いた以外は、実施例1と同様にして、合わせガラスを作製した。
(比較例2)
実施例1において、中間層における透明樹脂層3,3’として、可塑化したポリビニルブチラール溶液を塗布し、乾燥させて厚みを260μmに形成した以外は、実施例1と同様にして、合わせガラスを作製した。
(比較例3)
板厚3.0mmである加熱処理などの強化処理の施されていない一対のフロートガラスFL3(日本板硝子株式会社製)の間に、12mil(=304μm)の厚みに製膜したPVB中間層を有する合わせガラスを作製した。
(比較例4)
市販されている防犯用合わせガラスの構成である、一対のフロートガラスFL3(日本板硝子株式会社製)の間に、厚み15mil(=380μm)のPVB中間層を有する合わせガラスを作製した。
(比較例5)
市販されている防犯用合わせガラスの構成である、一対のフロートガラスFL3の間に、厚み30mil(=760μm)のPVB中間層を有する合わせガラスを作製した。
(比較例6)
市販されている防犯用合わせガラスの構成である、一対のフロートガラスFL3(日本板硝子株式会社製)の間に、厚み60mil(=1,520μm)のPVB中間層を有する合わせガラスを作製した。
(比較例7)
市販されている板ガラスであるフロートガラスFL3(厚み3mm;日本板硝子株式会社製)を1枚用いた。
(比較例8)
市販されている板ガラスであるフロートガラスFL5(厚み5mm;日本板硝子株式会社製)を1枚用いた。
次に、表2に、実施例1〜40及び比較例1〜8のガラスの構成一覧を示し、表3に、各試験結果を示した。
表2及び表3の結果から、実施例の多くは、市販されている合わせガラスのなかで最も出荷量が多い比較例5のPVB30ミル合わせガラスに対して、耐打ち破り性、耐こじ破り性、及び耐焼き破り性は、ほぼ同等レベル以上であることが分かった。
アンダー層付きPETシートを用いたことにより、PETシートと透明樹脂との密着性の向上させた結果、耐光性が改善し、耐光試験後の合わせガラスの浮きや気泡の発生もなくなり、従来、PETシートに対する密着力不足で長期耐久性に弱点のあった可塑化したポリビニルブチラール、エチレン−ビニルアセテート共重合体、及び架橋型エチレン−ビニルアセテート共重合体を透明樹脂層に用いることができるようになったことも大きい。
また、耐貫通性に有効な剛直なPETシートをコアとするため、可塑化したポリビニルブチラールやエチレン−ビニルアセテート共重合体、及び架橋型エチレン−ビニルアセテート共重合体の透明樹脂層を従来より薄膜にすることができ、その結果、合わせガラス製造工程に要する熱量及び時間を大幅に短縮でき、合わせガラス自体のコストを削減にも寄与できる。
これに対し、比較例1を除いた全ての合わせガラスは、JIS A3205に準拠して、試験体に対して耐光性試験及び耐熱性試験を行った結果、比較例1〜5と同様に、耐光性及び耐熱性ともに、JIS A3205に合格していた。耐光性試験前後の可視光線透過率の減少がなく、JIS A3205の規格である減少率10%以下を満たしていた。また、耐熱性試験後の試験体に変色及び気泡発生などの外観変化は見られなかった。
また、比較例1は、耐光性試験において、可塑化したポリビニルブチラールとPETシート間の密着性が低いことが起因で、浮きや気泡の発生が散発した。
本発明の合わせガラスは、透明樹脂層との密着性を高めることを目的としたアンダー層を両面に設けたポリエチレンテレフタレートからなるシートの両アンダー層表面上に加熱溶融によって粘着性を示す透明樹脂層を設け、該アンダー層付きのPETシートと該透明樹脂層を含む中間層を一対のガラス板の間に挟み込み、ガラスとPETシートを粘弾性のある透明樹脂にて加熱溶融して接着し、透明樹脂層を直接ガラス板と接合することで、従来の市場で最も多く使用されている防犯用合わせガラス(PVB30ミル)に比べて、耐衝撃性、耐貫通性に加え、ガスバーナーで炙る耐焼き破りにも、貫通穴の開くまでの時間を同等以上に長くできる防犯性に優れたものである。
また、本発明の合わせガラスの製造方法は、加熱溶融する透明樹脂層の厚みが従来の合わせガラスに対して薄いという特性を活かして、オートクレーブが不要など様々な方法で、合わせガラス製造工程の短縮化や効率化でき、優れた防犯性の安価な合わせガラスを提供することができる。
したがって、本発明の合わせガラスは、例えば一般の戸建住宅、集合住宅、オフィスビス、店舗、公共施設、工場施設等の建物の開口部、間仕切り等の建材用ガラス;自動車、バス、トラック、電車、新幹線、飛行機、旅客機、船等の各種乗り物用窓ガラスなどに好適に用いることができる。
1 PETシート
2、2’ アンダー層
3、3’ 透明樹脂層
4 中間層
5、5’ 板ガラス
6 支持部
7 加熱部

Claims (4)

  1. ポリエチレンテレフタレートからなるシートの少なくとも片面に、ポリエステル樹脂を含む第1層と、アクリル樹脂及びポリウレタン樹脂を含む第2層とをこの順に有することを特徴とする中間膜用シート。
  2. ポリエチレンテレフタレートからなるシートの少なくとも片面に、ポリオレフィン樹脂及び金属酸化物を含む第1層と、ポリオレフィン樹脂を含む第2層とをこの順に有することを特徴とする中間膜用シート。
  3. ポリエチレンテレフタレートからなるシートの両面に、第1層と、第2層とをこの順に有する請求項1から2のいずれかに記載の中間膜用シート。
  4. 合わせガラスの中間層に用いられる請求項1から3のいずれかに記載の中間膜用シート。
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