JP2002321369A - インクジェット記録ヘッドおよびその製造方法 - Google Patents

インクジェット記録ヘッドおよびその製造方法

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JP2002321369A JP2001270602A JP2001270602A JP2002321369A JP 2002321369 A JP2002321369 A JP 2002321369A JP 2001270602 A JP2001270602 A JP 2001270602A JP 2001270602 A JP2001270602 A JP 2001270602A JP 2002321369 A JP2002321369 A JP 2002321369A
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Maki Oikawa
真樹 及川
Kenji Yabe
賢治 矢部
Ryoji Inoue
良二 井上
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    • B41PRINTING; LINING MACHINES; TYPEWRITERS; STAMPS
    • B41JTYPEWRITERS; SELECTIVE PRINTING MECHANISMS, i.e. MECHANISMS PRINTING OTHERWISE THAN FROM A FORME; CORRECTION OF TYPOGRAPHICAL ERRORS
    • B41J2/00Typewriters or selective printing mechanisms characterised by the printing or marking process for which they are designed
    • B41J2/005Typewriters or selective printing mechanisms characterised by the printing or marking process for which they are designed characterised by bringing liquid or particles selectively into contact with a printing material
    • B41J2/01Ink jet
    • B41J2/135Nozzles
    • B41J2/14Structure thereof only for on-demand ink jet heads
    • B41J2/14016Structure of bubble jet print heads
    • B41J2002/14185Structure of bubble jet print heads characterised by the position of the heater and the nozzle

Abstract

(57)【要約】 【課題】 電気熱変換素子の発生する熱によって、イン
クを発砲させて吐出させるインクジェット記録ヘッドに
おいて、電気熱変換素子へのキャビテーションの影響を
低減する。 【解決手段】電気熱変換素子51の周りには、インクを
加熱して発泡させるための空間を形成する圧力室55が
形成されている。共通液室54から圧力室55に連通す
るインク流路83は、圧力室55へのインク供給方向に
おいてその中心線が、電気熱変換素子51の中心線から
オフフセットされて位置するように配置されている。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、インク等の記録液
を吐出口から吐出して液滴を形成して記録動作を行う記
録装置に用いられるインクジェット記録ヘッドおよびそ
の製造方法に関する。なお、本発明のインクジェット記
録ヘッドは、一般的なプリント装置のほか、複写機、通
信システムを有するファクシミリ、プリント部を有する
ワードプロセッサ等の装置、さらには、各種処理装置と
複合的に組み合わされた産業用記録装置に適用すること
ができる。
【0002】
【従来の技術】インクジェット記録装置は、いわゆるノ
ンインパクト記録方式の記録装置であり、記録時に騒音
がほとんど生じず、高速な記録と様々な被記録媒体に対
する記録とが可能であるという特徴を有している。この
ようなことから、インクジェット記録装置は、プリン
タ、複写機、ファクシミリ、ワードプロセッサ等の記録
機構を担う装置として広く採用されている。
【0003】このようなインクジェット記録装置に搭載
される記録ヘッドにおける代表的なインク吐出方式とし
ては、ピエゾ素子等の電気機械変換体を用いたもの、レ
ーザー等の電磁波を照射してインクを発熱させ、この発
熱による作用でインク滴を吐出させるもの、あるいは発
熱抵抗体を有する電気熱変換素子によってインクを加熱
し、膜沸騰の作用によりインク滴を吐出させるものなど
が知られている。
【0004】これらのうち、電気熱変換素子を用いたイ
ンクジェット記録ヘッドは、電気熱変換素子を記録液室
内に設け、これに記録信号である電気パルスを供給して
発熱させることによりインクに熱エネルギーを与え、そ
のときの記録液の相変化により生じる記録液の発泡時
(沸騰時)の気泡圧力を利用して、微小な吐出口からイ
ンク液を吐出させて被記録媒体に対し記録を行うもので
ある。電気熱変換素子を用いたインクジェット記録ヘッ
ドは、一般に、インク滴を吐出するための吐出口が開口
しているノズルと、このノズルにインクを供給するイン
ク流路および共通液室とを有している。
【0005】このようなインクジェット記録ヘッドは、
通常、記録装置本体のキャリッジに載置されている。記
録装置本体は、被記録媒体を、キャリッジに載置された
インクジェット記録ヘッドの吐出口面に対向する位置を
通るように搬送する搬送手段を有している。キャリッジ
は、被記録媒体の搬送方向に対して交差する方向に移動
可能に構成されている。
【0006】このような記録装置での記録動作は、イン
クジェット記録ヘッドを移動させつつ所定の周期でイン
クを吐出させる主走査と、被記録媒体を所定幅分だけ搬
送する副走査とを繰り返して行われる。
【0007】図45は、従来のインクジェット記録ヘッ
ドのノズル部分を示す模式図である。同図(a)は、吐
出口形成部材を透視した状態で示した平面図、同図
(b)は同図(a)のP−P’線に沿って切断した断面
図を示している。
【0008】図45に示すインクジェット記録ヘッド
は、インク供給口156に接続された共通液室154を
有している。共通液室154を挟んでその両側には、イ
ンクを発泡させて吐出させる電気熱変換素子151と、
その電気熱変換素子151を収容する、電気熱変換素子
151の中心を中心とする円形の圧力室155とが複数
並んで設けられている。共通液室154と各圧力室15
5との間には、それぞれインク流路153が設けられて
いる。電気熱変換素子151に対向する位置には、吐出
口152が開口している。
【0009】このインクジェット記録ヘッドでは、隣り
合う吐出口152および電気熱変換素子151の印字方
向(キャリッジ移動方向)の位置は、各駆動ブロック間
の駆動タイミングのずれ時間の間にキャリッジ(不図
示)が移動する距離に相当するオフセット分だけずれて
いる。図45には、表記を簡潔にするため、各ノズルに
4つの駆動ブロックを割り当てたインクジェット記録ヘ
ッドを示しており、吐出口152の印字方向の配置は吐
出口の並び方向に4ノズルおきに周期的に変化してい
る。
【0010】そして、駆動ブロックに、駆動されるタイ
ミングが早いものから昇順に番号を付けた場合、図45
に示す例では、右上の吐出口152およびそれから左側
に4の整数倍のノズル数離れた吐出口152に駆動ブロ
ック1が割り当てられ、その左隣の吐出口152に駆動
ブロック2、さらにその左隣の吐出口152に駆動ブロ
ック3、さらにその左隣の吐出口152に駆動ブロック
4が割り当てられている。このような構成にすること
で、駆動ブロック1〜4を昇順に順次駆動し、インクを
吐出させて、これらの吐出口152から吐出されたイン
クを、記録媒体上に一列に並んで着弾させることができ
る。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】図45に示す構成のノ
ズルでは、インク流路163の中心線と電気熱変換素子
151の中心線とが一致しているため、共通液室154
からインク流路163を通って圧力室155へ向かうイ
ンクの流れが電気熱変換素子151の中心線に対して線
対称に生じる。そのため、電気熱変換素子151によっ
てインクを加熱することにより発生した気泡は、電気熱
変換素子151上でその中心線に対称に安定して消泡す
る。場合によっては消泡位置が電気熱変換素子151の
発熱域の角部(計4箇所)に分散することもあるが、そ
の場合でもそれぞれの消泡位置は一定になる。
【0012】気泡の消泡時にはキャビテーションの崩壊
による衝撃力が発生する。上述の従来例のように消泡位
置が安定しているノズル構成では、電気熱変換素子15
1のうちの特定の個所がキャビテーションによる衝撃力
を受けるため、電気熱変換素子151が損傷を受けやす
く耐久寿命が短くなってしまうという問題があった。
【0013】そこで、本発明の他の目的は、電気熱変換
素子のキャビテーションによる損傷を回避し、その寿命
を長くすることができるインクジェット記録ヘッドを提
供することにある。
【0014】
【課題を解決するための手段】前述の目的を達成するた
め、本発明によるインクジェット記録ヘッドは、インク
を吐出する複数のインク吐出口と、該個々のインク吐出
口にそれぞれ対応して設けられ、インクを発泡させて吐
出させる複数の電気熱変換素子と、前記電気熱変換素子
を収容し、前記インクを加熱して発泡させるための空間
を形成する複数の圧力室と、該複数の圧力室にインクを
供給する共通液室と、前記圧力室と共通液室とを連通さ
せる複数のインク流路とを有するインクジェット記録ヘ
ッドであって、前記インク流路は、圧力室へのインク供
給方向における中心線が、同方向における前記電気熱変
換素子の中心線からオフセットされて位置するように配
置されていることを特徴とする。
【0015】この構成によれば、インクを吐出させる気
泡の消泡時に、消泡に伴うインクのリフィルの流れによ
って、気泡を電気熱変換素子の側方に偏った位置に押し
流し、この位置で最終的な消泡が行われるようにでき、
消泡時のキャビテーションによる電気熱変換素子への影
響を小さくできる。
【0016】特に、圧力室を実質的に円柱形の形状を有
するインクジェット記録ヘッドにおいて、インク流路を
電気熱変換素子の中心線からオフセットした位置に配置
することにより、最終的な消泡が、圧力室の側縁付近で
上下に延びた比較的広い領域で生じるようにでき、キャ
ビテーションの発生領域を分散させて、キャビテーショ
ンの影響を低減できる。
【0017】さらに、インク吐出口を、その中心が前記
電気熱変換素子の中心からオフセットされて位置するよ
うに配置することによって、気泡を発泡させて吐出口か
らインク液滴を吐出させた後に吐出口と気泡との間に残
ったインク(以下、吐出口側インク)が気泡の消泡時の
収縮に伴って電気熱変換素子に向かって移動する際の速
度ベクトルの方向を不安定に揺らがせたり、電気熱変換
素子に対して垂直ではなく傾いた速度ベクトルを持たせ
たりすることができる。また更に、吐出口側インクが電
気熱変換素子に衝突する個所を共通液室側から流入して
くるインク(以下、液室側インク)によって吐出口側イ
ンクが衝突する前に覆ってしまうことが可能となる。
【0018】その結果、消泡過程は、吐出口側インクが
電気熱変換素子の一部の個所に垂直に集中して衝突する
ことなく終了する。したがって、電気熱変換素子は消泡
過程で強い衝撃力を受けることがなくなり、損傷をほと
んど受けなくなる。その結果、電気熱変換素子の耐久性
能を著しく向上させることが可能になる。
【0019】また、前記インク吐出口の中心が、前記電
気熱変換素子の中心から前記インク流路側にオフセット
した位置に配置されている構成としてもよい。これによ
り、吐出口側インクが気泡の消泡時の収縮に伴って電気
熱変換素子に向かって移動する際の速度ベクトルの方向
を不安定に揺らがせたり、電気熱変換素子に対して垂直
ではなく傾いた速度ベクトルを持たせたりすることがで
きる。また更に、吐出口側インクが電気熱変換素子に衝
突する個所を共通液室側から流入してくる液室側インク
によって吐出口側インクが衝突する前に覆ってしまうこ
とが可能となる。
【0020】さらに、インク吐出口のオフセットの量は
1〜10μmである構成とすることが好ましい。また、
更に好ましくは前記オフセットの量は3〜7μmである
のが良い。
【0021】また、前記電気熱変換素子の中心が前記圧
力室の中心からオフセットされて位置するように配置さ
れている構成としてもよい。これにより、圧力室中心か
らの吐出口中心のオフセット量を小さく保ちつつ、吐出
口中心と電気熱変換素子中心とのオフセット量を大きく
設定することが可能になる。その結果、インク液滴の吐
出方向の適正な維持と圧力室内に発生する泡溜まりの抑
制とを達成しつつ、吐出口近傍の外面にインク溜まりが
形成されないようにすることができ、記録画像の品位を
さらに高く保つことが可能となる。
【0022】本発明のインクジェット記録ヘッドでは、
消泡工程で気泡は、インク吐出口の、圧力室に連絡する
部分の縁より外側に追いやられやすい。そこで、圧力室
の、インク吐出口が連絡している面に平行な面内で見
て、電気熱変換素子が占める領域は、インク吐出口の、
圧力室に連絡する部分の縁に囲まれる領域内に含まれて
いる構成にすることも好ましい。すなわち、このような
構成にすることによって、消泡がより確実に電気熱変換
素子の外側の領域で生じるようにでき、電気熱変換素子
へのキャビテーションの影響をさらに低減することがで
きる。
【0023】この構成の場合、インク吐出口には、圧力
室側に向かって断面積が増加するように、側壁にテーパ
を付けることが好ましい。このようにすることによっ
て、インク吐出口の、インク吐出面での開口の大きさ
を、所望の小さな大きさに保ちつつ、インク吐出口の、
圧力室に連絡する部分の縁に囲まれる領域内に電気熱変
換素子が占める領域が含まれるようにすることができ
る。
【0024】さらに、このようにインク吐出口がテーパ
を有している場合、圧力室の、インク吐出口が連絡して
いる面に平行な面内で見て、電気熱変換素子の占める領
域が、インク吐出口の、インク吐出面側の開口の縁から
はみ出している部分において、インク吐出口の、インク
吐出面側の開口の縁から前記電気熱変換素子の縁までの
距離は、任意の位置で実質的に等しくすることが好まし
い。このようにすることによって、テーパ角を最小限の
大きさにすることができる。
【0025】また、インク吐出口の中心が電気熱変換素
子の中心からオフセットされて位置するように配置され
ている場合、インク吐出口は、電気熱変換素子からオフ
セットされている方向に長い形状とすることが好まし
い。この際のインク吐出口の形状としては、長方形、長
円形、楕円形のいずれとしてもよい。このようにするこ
とによって、インク吐出口の大きさ、またはそのテーパ
角を最小限の大きさに保ちつつ、インク吐出口の、圧力
室に連絡する部分の縁に囲まれる領域内に電気熱変換素
子が占める領域が含まれるようにすることができる。
【0026】また、インク吐出口を、電気熱変換素子に
電力を供給する配線が接続されている方向に長い形状と
することも好ましい。この際のインク吐出口の形状とし
ては、長方形、長円形、楕円形のいずれとしてもよい。
この構成によれば、電気熱変換素子と配線との接続部
が、インク吐出口の、圧力室に連絡する部分の縁に囲ま
れる領域内に含まれるようにでき、したがって、接続部
へのキャビテーションの影響を低減することができる。
【0027】また、インク流路の、電気熱変換素子の中
心線からのオフセット方向が、一列に並んで配置されて
いる複数の前記インク流路について同じ方向である構成
とすることが好ましい。このように構成することで、イ
ンク流路および圧力室を形成する部材の形成位置が、製
造のばらつきにより本来の位置からずれたとしても、電
気熱変換素子および吐出口に対するインク流路の相対位
置が複数のノズルで同様にずれるので、複数のノズル間
でインク吐出量やインク吐出方向にずれが生じないよう
にでき、形成画像への悪影響があまり生じないようにで
きる。
【0028】同様に、インク流路が、共通液室を挟んで
対向するように2列並んで形成されており、対向するイ
ンク流路列に属するインク流路の、電気熱変換素子の中
心線からのオフセット方向が、対向するインク流路列の
並び方向と平行な線に関して線対称な方向である構成と
することが好ましい。
【0029】また、本発明のインクジェット記録ヘッド
において、長さが異なる複数のインク流路の流抵抗が実
質的に等しくなるようにすることによって、複数のイン
ク流路のリフィル特性を実質的に同じにすることができ
る。
【0030】複数のインク流路のリフィル特性を実質的
に同じにし、所定の周波数で連続してインクを吐出させ
た時の、複数のノズルからのインクの吐出量を実質的に
同じにして実質的に濃度ムラがない、良好な画像を形成
できるようにするために、複数のインク流路の流抵抗の
差は、10%以内にすることが望ましい。
【0031】このように長さが異なる複数のインク流路
の流抵抗を実質的に揃えることは、長さが異なる複数の
インク流路の断面積を変化させることによって実現でき
る。インク流路の断面積を変化させるには、その幅や高
さを変化させたり、複数のうちの少なくともいずれかの
インク流路内にリブを設けたりすればよい。
【0032】特に、長さの異なるインク流路の流抵抗を
支配的に決めている個所の断面積を同一にし同部分のイ
ンク流れ方向の長さを調節することによって流抵抗を略
同一にする構成を用いると、気泡消泡時に圧力室に流入
するインクの流速を長さの異なるインク流路間で略同一
にできる。そのため、この構成を前述のインク流路の中
心線が電気熱変換素子の中心線からオフセット配置さ
れ、吐出口が電気熱変換素子中心からオフセット配置さ
れている構成のヘッドに用いると、長さが異なるインク
流路においても消泡時の吐出口側インクと液室側インク
の関係を一定に維持でき、電気熱変換素子の耐久寿命の
インク流路間のバラつきを無くし、耐久寿命を安定的に
高く維持することが可能となる。
【0033】本発明のインクジェット記録ヘッドにおい
て、インク流路の共通液室側の領域に、その単位長さ辺
りの流抵抗が、インク流路の吐出口側の領域の流抵抗よ
りも小さい領域を設ければ、製造のばらつきによって共
通液室の幅などが本来の幅からずれても、複数のインク
流路の流抵抗が実質的に同じになるようにすることがで
きる。すなわち、インク流路全体の流抵抗は、各部の流
抵抗の和になるので、前述のような構成では、インク流
路の流抵抗が、流抵抗が比較的大きい吐出口側の領域の
流抵抗によってほぼ決まるので、流抵抗が比較的小さい
共通液室のインク流路の長さが多少変化しても、インク
流路全体の流抵抗はほとんど変化しない。
【0034】以上のような複数のインク流路の長さが異
なるインクジェット記録ヘッドは、特に、電気熱変換体
を複数の駆動ブロックに割り当て、その駆動ブロック毎
にずらしたタイミングで電気熱変換体を駆動するため
に、複数のインク吐出口が、印字方向にオフセットして
配置されているインクジェット記録ヘッドとして典型的
に用いられるものであり、このようなインクジェット記
録ヘッドに対して、本発明は特に好適に適用可能であ
る。
【0035】本発明によるインクジェット記録ヘッドの
製造方法は、インク流路の流抵抗Rを、
【0036】
【数5】
【0037】
【数6】
【0038】但し、ここで x : 前記共通液室からの距離 S(x):距離xの位置のインク流路の断面積 D(x):距離xの位置のインク流路の断面係数 a(x):距離xの位置のインク流路の高さ b(x):距離xの位置のインク流路の幅 η :インク粘度 によって求め、得られた流抵抗に基づいて、複数のイン
ク流路の流抵抗が等しくなるようにインク流路の形状を
決める工程を有することを特徴とする。
【0039】また、本発明によるインクジェット記録ヘ
ッドの製造方法は、インク流路の流抵抗Rを
【0040】
【数7】
【0041】
【数8】
【0042】但し、ここで k :前記インク流路の分割数 xn :前記インク流路をk分割したときのn番目の
分割位置までの距離 S(xn):前記共通液室から距離xnの位置の前記イン
ク流路の断面積 D(xn):前記共通液室から距離xnの位置の前記イ
ンク流路の断面係数 a(xn):前記共通液室から距離xnの位置の前記イン
ク流路の高さ b(xn):前記共通液室から距離xnの位置の前記イン
ク流路の幅 η :インク粘度 によって求めるようにしてもよい。
【0043】この際、積分および加算は、インクの主要
な流れが生じる経路に沿って行い、その経路に垂直な断
面でS(x)およびS(xn)およびD(x)およびD
(xn)を求めるようにすることが好ましい。
【0044】またさらに、積分および加算を、共通液室
から電気熱変換素子の中心までの経路に亘って行うこと
が好ましい。
【0045】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施形態について
図面を参照して説明する。
【0046】(記録ヘッドカートリッジの構成)図28
〜図35は、本発明が実施もしくは適用される好適なヘ
ッドカートリッジ、記録ヘッド、インクタンクのそれぞ
れの構成およびそれぞれの関係を説明する図である。以
下、これらの図面を参照して各構成要素の説明を行う。
【0047】本実施形態の記録ヘッド(インクジェット
記録ヘッド)H1001は、図28(a)および図28
(b)の斜視図でわかるように、記録ヘッドカートリッ
ジH1000を構成する一構成要素であり、記録ヘッド
カートリッジH1000は、記録ヘッドH1001と、
記録ヘッドH1001に着脱自在に設けられたインクタ
ンクH1900(H1901,H1902,H190
3,H1904)とから構成されている。記録ヘッドH
1001は、インクタンクH1900から供給されるイ
ンク(記録液)を、記録情報に応じて吐出口から吐出す
る。
【0048】この記録ヘッドカートリッジH1000
は、インクジェット記録装置本体に載置されているキャ
リッジ(不図示)の位置決め手段および電気的接点によ
って固定支持されるとともに、キャリッジに対して着脱
可能となっている。インクタンクH1901はブラック
のインク用、インクタンクH1902はシアンのインク
用、インクタンクH1903はマゼンタのインク用、イ
ンクタンクH1904はイエローのインク用である。こ
のようにインクタンクH1901,H1902,H19
03,H1904のそれぞれが記録ヘッドH1001に
対してシールゴムH1800側に着脱自在であり、それ
ぞれのインクタンクが交換可能となっていることによ
り、インクジェット記録装置における印刷のランニング
コストが低減される。
【0049】次に、記録ヘッドH1001を構成してい
るそれぞれの構成要素毎に順を追ってさらに詳しく説明
する。
【0050】(1)記録ヘッド 記録ヘッドH1001は、電気信号に応じて膜沸騰をイ
ンクに対して生じさせるための熱エネルギーを生成する
電気熱変換体(記録素子)を用いて記録を行うバブルジ
ェット(登録商標)方式のサイドシュータ型の記録ヘッ
ドである。
【0051】記録ヘッドH1001は、図29の分解斜
視図に示すように、記録素子ユニットH1002とイン
ク供給ユニットH1003とタンクホルダーH2000
から構成されている。
【0052】さらに、図30の分解斜視図に示すよう
に、記録素子ユニットH1002は、第1の記録素子基
板H1100、第2の記録素子基板H1101、第1の
プレート(第1の支持部材)H1200、電気配線テー
プ(可撓性の配線基板)H1300、電気コンタクト基
板H2200、第2のプレート(第2の支持部材)H1
400で構成されており、また、インク供給ユニットH
1003は、インク供給部材H1500、流路形成部材
H1600、ジョイントシール部材H2300、フィル
ターH1700、シールゴムH1800から構成されて
いる。
【0053】(1−1)記録素子ユニット(インクジェ
ット記録ヘッド) 図31は、第1の記録素子基板H1100の構成を説明
するために一部分解した斜視図である。第1の記録素子
基板H1100は、厚さ0.5〜1mmのSi基板H1
110の片面に、インクを吐出するための複数の記録素
子(電気熱変換素子)H1103と、各電気熱変換素子
H1103に電力を供給するAl等の電気配線が、成膜
技術により形成されている。そして、この電気熱変換素
子H1103に対応する複数のインク流路と複数の吐出
口H1107とがフォトリソグラフィ技術により形成さ
れるとともに、複数のインク流路にインクを供給するた
めのインク供給口H1102が反対側の面(裏面)に開
口するように形成されている。また、記録素子基板H1
100は第1のプレートH1200に接着され固定され
ており、ここにインク供給口H1102が形成されてい
る。さらに、第1のプレートH1200には、開口部を
有する第2のプレートH1400が接着され固定されて
おり、この第2のプレートH1400を介して、電気配
線テープH1300が記録素子基板H1100に対して
電気的に接続されるように保持されている。この電気配
線テープH1300は、記録素子基板H1100にイン
クを吐出するための電気信号を印加するものであり、記
録素子基板H1100に対応する電気配線と、この電気
配線部に位置しプリンタ本体からの電気信号を受け取る
外部信号入力端子H1301とを有し、この外部信号入
力端子H1301は、インク供給部材H1500の背面
側に位置決めされ固定されている。
【0054】インク供給口H1102は、Siの結晶方
位を利用した異方性エッチングやサンドブラストなどの
方法で形成されている。すなわち、Si基板H1110
が、ウエハー面方向に<100>、厚さ方向に<111
>の結晶方位を持つ場合、アルカリ系(KOH,TMA
H,ヒドラジン等)による異方性エッチングで、約5
4.7度の角度でエッチングを進行させ得る。これによ
り所望の深さにエッチングを行い、長溝状の貫通口から
なるインク供給口H1102を形成する。インク供給口
H1102を挟んで両側に電気熱変換素子H1103が
それぞれ1列ずつ千鳥状に配列されている。電気熱変換
素子H1103と、電気熱変換素子H1103に電力を
供給するAl等の電気配線は、成膜技術により形成され
ている。さらに、前記電気配線に電力を供給するための
電極H1104が電気熱変換素子H1103の両外側に
配列されており、電極H1104にはAu等のバンプH
1105が熱超音波圧着法で形成されている。そして、
Si基板H1110上には、電気熱変換素子H1103
に対応したインク流路を形成するためのインク流路壁H
1106と吐出口H1107が樹脂材料でフォトリソグ
ラフィ技術によりに形成され、吐出口群H1108が形
成されている。電気熱変換素子H1103に対向して吐
出口H1107が設けられているため、インク供給口H
1102から供給されたインクは電気熱変換素子H11
03の発熱作用により発生した気泡により吐出口H11
07から吐出される。
【0055】また図32は第2の記録素子基板H110
1の構成を説明するために一部分解した斜視図である。
第2の記録素子基板H1101は3色のインクを吐出さ
せるための記録素子基板であり、3個のインク供給口H
1102が並列して形成されており、それぞれのインク
供給口H1102を挟んだ両側に電気熱変換素子H11
03とインク吐出口H1107が形成されている。第1
の記録素子基板H1100と同じようにSi基板H11
10にインク供給口H1102や電気熱変換素子H11
03、電気配線、電極H1104などが形成されており
その上に樹脂材料でフォトリソグラフィ技術によりイン
ク流路やインク吐出口H1107が形成されている。そ
して、第1の記録素子基板H1100と同様に電気配線
に電力を供給するための電極H1104にはAu等のバ
ンプH1105が形成されている。
【0056】次に第1のプレートH1200は、例え
ば、厚さ0.5〜10mmのアルミナ(Al23)材料
で形成されている。なお、第1のプレートH1200の
材料は、アルミナに限られることなく、記録素子基板H
1100の材料の線膨張率と同等の線膨張率を有し、か
つ、記録素子基板H1100材料の熱伝導率と同等もし
くは同等以上の熱伝導率を有する材料で作られてもよ
い。第1のプレートH1200の材料は、例えば、シリ
コン(Si)、窒化アルミニウム(AlN)、ジルコニ
ア、窒化珪素(Si34)、炭化珪素(SiC)、モリ
ブデン(Mo)、タングステン(W)のうちいずれであ
ってもよい。第1のプレートH1200には、第1の記
録素子基板H1100にブラックのインクを供給するた
めのインク連通口H1201と、第2の記録素子基板H
1101にシアン、マゼンタ、イエローのインクを供給
するためのインク連通口H1201が形成されており、
記録素子基板のインク供給口H1102が第1のプレー
トH1200のインク連通口H1201にそれぞれ対応
し、かつ、第1の記録素子基板H1100と第2の記録
素子基板H1101はそれぞれ第1のプレートH120
0に対して位置精度良く接着固定されている。接着に用
いられる第1の接着剤は、低粘度で硬化温度が低く、短
時間で硬化し、硬化後比較的高い硬度を有し、かつ、耐
インク性のあるものが望ましい。その第1の接着剤は、
例えば、エポキシ樹脂を主成分とした熱硬化接着剤であ
り、この第1の接着層H1202の厚みは50μm以下
が望ましい。
【0057】電気配線テープH1300は、第1の記録
素子基板H1100と第2の記録素子基板H1101に
対してインクを吐出するための電気信号を印加するもの
である。この電気配線テープH1300は、それぞれの
記録素子基板H1100,H1101を組み込むための
複数のデバイスホール(開口部)H1,H2と、それぞ
れの記録素子基板H1100,H1101の電極H11
04に対応する電極端子H1302と、この電気配線テ
ープH1300の端部に位置しプリンタ本体装置からの
電気信号を受け取るための外部信号入力端子H1301
を有する電気コンタクト基板H2200と電気的接続を
おこなうための電極端子部を有しており、この電極端子
部と電極リードH1302とは連続した銅箔の配線パタ
ーンでつながっている。この電気配線テープH1300
は、例えば、配線が2層構造をなし表層がレジストフィ
ルムによって覆われているフレキシブル配線基板からな
る。この場合、外部信号入力端子H1301の裏面側
(外面側)には、補強板が接着され、平面性向上が図ら
れている。補強板としては、例えば0.5〜2mmのガ
ラスエポキシ、アルミニウム等の耐熱性を有する材料が
使用される。
【0058】電気配線テープH1300と第1の記録素
子基板H1100と第2の記録素子基板H1101は、
それぞれ電気的に接続されており、接続方法は、例え
ば、記録素子基板の電極H1104上のバンプH110
5と、電気配線テープH1300の電極リードH130
2とが、熱超音波圧着法により電気接合される。
【0059】第2のプレートH1400は、例えば、厚
さ0.5〜1mmの一枚の板状部材であり、例えばアル
ミナ(Al23)等のセラミックや、Al、SUSなど
の金属材料で形成されている。ただし、第2のプレート
H1400の材料は、これらに限定されるものではな
く、記録素子基板H1100,H1101および第1の
プレートH1200と同等の線膨張率を有し、かつ、そ
れらの熱伝導率と同等以上の熱伝導率を有する材料であ
ってもよい。
【0060】そして、第2のプレートH1400は、第
1のプレートH1200に接着固定された第1の記録素
子基板H1100と第2の記録素子基板H1101の外
形寸法よりも大きな開口部をそれぞれ有する形状であ
る。また、第1の記録素子基板H1100および第2の
記録素子基板H1101と電気配線テープH1300を
平面的に電気接続できるように、第1のプレートH12
00に第2の接着層H1203により接着されており、
電気配線テープH1300の裏面が第3の接着層H13
06により接着固定される。
【0061】第1の記録素子基板H1100および第2
の記録素子基板H1101と電気配線テープH1300
の電気接続部分は、第1の封止剤(不図示)および第2
の封止剤により封止され、電気接続部分をインクによる
腐食や外的衝撃から保護している。第1の封止剤は、主
に電気配線テープの電極端子H1302と記録素子基板
のバンプH1105との接続部の裏面側と記録素子基板
の外周部分を封止し、第2の封止剤は、前記接続部の表
側を封止している。
【0062】さらに電気配線テープH1300の端部に
プリンタ本体装置からの電気信号を受け取るための外部
信号入力端子H1301を有する電気コンタクト基板H
2200が、異方性導電フィルム等を用いて熱圧着され
電気的に接続されている。
【0063】そして電気配線テープH1300は、第2
のプレートH1400に接着されると同時に、第1のプ
レートH1200および第2のプレートH1400の一
側面に沿って折り曲げられ、第1のプレートH1200
の側面に第3の接着層H1306により接着される。第
2の接着剤は、粘度が低く、接触面に薄い第2の接着層
H1203を形成し得るとともに、耐インク性を有する
ものが好ましい。また、第3の接着層H1306は、例
えば、エポキシ樹脂を主成分とした厚さ100μm以下
の熱硬化接着剤層である。
【0064】(1−2)インク供給ユニット インク供給部材H1500は、例えば、樹脂成形により
形成されている。該樹脂材料には、形状的剛性を向上さ
せるためにガラスフィラーを5〜40%混入した樹脂材
料を使用することが望ましい。
【0065】図30、図33に示すように、インクタン
クH1900を着脱自在に保持するインク供給部材H1
500は、インクタンクH1900から記録素子ユニッ
トH1002にインクを導くためのインク供給ユニット
H1003の一構成部品であり、流路形成部材H160
0が超音波溶着されて、インクタンクH1900から第
1のプレートH1200に至るインク流路H1501が
形成されている。また、インクタンクH1900と係合
するジョイント部H1520には、外部からのゴミの進
入を防ぐためのフィルターH1700が溶着により接合
されており、さらに、ジョイント部H1520からのイ
ンクの蒸発を防止するために、シールゴムH1800が
装着されている。
【0066】またインク供給部材H1500は、着脱自
在のインクタンクH1900を保持する機能も有してお
り、インクタンクH1900の第2の爪H1910を係
合する第1の穴H1503を有している。
【0067】また、記録ヘッドカートリッジH1000
をインクジェット記録装置本体のキャリッジに装着位置
に案内するための装着ガイドH1601、記録ヘッドカ
ートリッジをヘッドセットレバーによりキャリッジに装
着固定するための係合部、キャリッジの所定の装着位置
に位置決めするためのX方向(キャリッジスキャン方
向)の突き当て部H1509、Y方向(記録メディア搬
送方向)の突き当て部H1510、Z方向(インク吐出
方向)の突き当て部H1511を備えている。また、記
録素子ユニットH1002の電気コンタクト基板H22
00を位置決め固定する端子固定部H1512を有し、
端子固定部H1512およびその周囲には複数のリブが
設けられ、端子固定部H1512を有する面の剛性を高
めている。
【0068】(1−3)記録ヘッドユニットとインク供
給ユニットの結合 先述の図29に示した通り、記録ヘッドH1001は、
記録素子ユニットH1002をインク供給ユニットH1
003に結合しさらにタンクホルダーH2000と結合
することにより完成する。結合は以下のように行われ
る。
【0069】記録素子ユニットH1002のインク連通
口(第1のプレートH1200のインク連通口H120
1)とインク供給ユニットH1003のインク連通口
(流路形成部材H1600のインク連通口H1602)
とを、インクがリークしないように連通させるため、ジ
ョイントシール部材H2300を介してそれぞれの部材
を圧着するようビスH2400で固定する。この際同時
に、記録素子ユニットH1002はインク供給ユニット
のX方向、Y方向、Z方向の基準位置に対して正確に位
置決めされ固定される。
【0070】そして記録素子ユニットH1002の電気
コンタクト基板H2200はインク供給部材H1500
の一側面に、端子位置決めピンH1515(2ヶ所)と
端子位置決め穴H1309(2ヶ所)により位置決めさ
れ、固定される。固定方法としては、例えば、インク供
給部材H1500に設けられた端子位置決めピンH15
15をかしめることにより固定されるが、その他の固定
手段を用いて固定しても良い。その完成図を図34に示
している。
【0071】さらにインク供給部材H1500のタンク
ホルダーとの結合穴および結合部をタンクホルダーH2
000に嵌合させ結合することにより、記録ヘッドH1
001が完成する。すなわち、インク供給部材H150
0、流路形成部材H1600、フィルターH1700、
シールゴムH1800から構成されるタンクホルダー部
と、記録素子基板H1100,H1101、第1のプレ
ートH1200、配線基板H1300、第2のプレート
H1400から構成される記録素子部とを接着等で結合
することにより、記録ヘッドが構成されている。その完
成図を図35に示している。
【0072】(2)記録ヘッドカートリッジの説明 先述の図28(a),(b)は、記録ヘッドカートリッ
ジH1000を構成する記録ヘッドH1001とインク
タンクH1901、H1902、H1903、H190
4の装着を説明する図であり、インクタンクH190
1、H1902、H1903、H1904の内部には、
対応する色のインクが収納されている。また、図33に
示すようにそれぞれのインクタンクには、インクタンク
内のインクを記録ヘッドH1001に供給するためのイ
ンク連通口H1907が形成されている。例えばインク
タンク1901Hが記録ヘッドH1001に装着される
と、インクタンクH1901のインク連通口H1907
が記録ヘッドH1001のジョイント部H1520に設
けられたフィルターH1700と圧接され、インクタン
クH1901内のブラックインクがインク連通口H19
07から記録ヘッドH1001のインク流路H1501
を介して第1のプレートH1200を通り第1の記録素
子基板H1100に供給される。
【0073】そして、電気熱変換素子H1103と吐出
口H1107のある発泡室にインクが供給され、電気熱
変換素子H1103に与えられる熱エネルギーによって
被記録媒体である記録用紙に向けて吐出される。
【0074】(インクジェット記録装置の構成)次に、
以上のような記録ヘッドカートリッジが搭載される代表
的なインクジェット記録装置装置の構成について、図3
6に示す模式的平面図を参照して説明する。
【0075】この記録装置には、記録ヘッドカートリッ
ジH1001がキャリッジ102に位置決めして交換可
能に搭載されており、キャリッジ102には、記録ヘッ
ドカートリッジH1001上の外部信号入力端子H13
01を介して各吐出口列の電気熱変換素子H1103に
駆動信号などを伝達するための電気接続部が設けられて
いる。
【0076】キャリッジ102は、主走査方向に延在し
て装置本体に設置されたガイドシャフト103に沿って
往復移動可能に案内支持されている。そして、キャリッ
ジ102は主走査モータ104によりモータプーリ10
5、従動プーリ106およびタイミングベルト107な
どの駆動機構を介して駆動されるとともにその位置およ
び移動が制御される。キャリッジ102には、ホームポ
ジションセンサ130が設けられており、キャリッジ1
02上のホームポジションセンサ130が、所定の位置
に配置されている遮蔽板136の位置を通過した際に、
それを検知し、キャリッジ102がホームポジション位
置にあることを検出可能である。
【0077】用紙やプラスチック薄板などの被記録媒体
108は、給紙モータ135によってギアを介してピッ
クアップローラ131が回転駆動されることによりオー
トシートフィーダ(以後ASF)132から一枚ずつ分
離される。さらに搬送ローラ109が、LFモータ13
4によってギアを介して回転駆動されることによって、
被記録媒体108が記録ヘッドカートリッジH1001
の吐出口面と対向する位置(プリント部)を通して搬送
される。その際、給紙されたかどうかの判定と、給紙時
の頭出しの確定は、ペーパーエンドセンサ133上を被
記録媒体108が通過した時点で行われる。さらに、ペ
ーパーエンドセンサ133は、記録媒体108の後端が
実際どこに有るかを検出し、実際の後端から現在の記録
位置を最終的に割り出すためにも使用される。
【0078】なお、被記録媒体108は、記録部におい
て平坦な記録面を形成するように、その裏面をプラテン
(不図示)により支持されている。キャリッジ102に
搭載された記録ヘッドカートリッジH1001は、その
吐出口面がキャリッジ102から下方へ突出するように
2組の搬送ローラ対(図36では、このうちの1つの搬
送ローラ109のみを示している)の間で被記録媒体1
08と平行になるように保持されている。ヘッドカート
リッジH1001は、各吐出口列の吐出口H1107の
並び方向が、キャリッジの主走査方向に対して交差する
方向になるようにキャリッジ102に搭載されている。
【0079】この記録装置による記録動作は、被記録媒
体108を、ヘッドカートリッジH1001の吐出口面
に対向する所定の位置に搬送した後、キャリッジ102
を主走査方向に移動させつつ、ヘッドカートリッジH1
001からインクを吐出させることによって、被記録媒
体108の所定の位置にインクを着弾させて行われる。
【0080】(インクジェット記録ヘッドの駆動方法)
本実施形態のインクジェット記録ヘッドの駆動方法で
は、駆動電源の容量が小さくで済み、また記録画像にむ
らが生じないように、複数の電気熱変換素子H1103
が一斉に駆動されないように駆動を行っている。すなわ
ち、各電気熱変換素子H1103に複数の駆動ブロック
を割り当て、同じ駆動ブロックに割り当てられた各ノズ
ルを同時に、そして各駆動ブロックの駆動タイミングを
ずらして駆動を行っている。
【0081】このことについて、図37を参照して説明
する。図37(a)は、インクジェット記録ヘッドの、
吐出口H1107と電気熱変換素子H1103とを備え
るノズルの並び(ノズル列500)、図37(b)は各
ノズルの駆動信号300、図37(c)は各ノズルから
吐出された飛翔インク滴100を模式的に示している。
この図では、説明を簡単にするために、ノズル列500
として、32個のノズルが一列に並んだものを示してお
り、図37の上から順に1〜32のノズル番号を付けて
いる。
【0082】図37に示す例では、各ノズルを、上から
順に8個単位で第1セクション〜第4セクションまでの
4つのセクションに分けている。そして、各セクション
内の8個の各ノズルに、8つの駆動ブロックの1つを割
り当てている。この例では、各セクションのノズルに、
上から順に1〜8の駆動ブロックを、すなわち表1に示
すように各駆動ブロックを割り当てている。
【0083】
【表1】
【0084】そして、図37(b)に示すように、第1
駆動ブロックから第8駆動ブロックまでが、各駆動ブロ
ックの周期的なパルス状の駆動信号300によって昇順
に順次駆動され、図37(c)に示すようにインク滴1
00が吐出される。
【0085】また、各ノズルは基本的に同様に作られて
いるが、その配置位置や形成工差などの違いのために、
インクの吐出方向や吐出量などがそれぞれ微妙に異な
る。このような各ノズルの特性の違いは、記録画像に悪
影響を与え、スジやムラなどを生じる要因となる危惧が
ある。そこで、本実施系形態では、このような悪影響を
低減するため、同一のラスタに2つ以上の異なるノズル
からのインク滴を着弾させるマルチパス記録方法を行っ
ている。すなわち、一回の主走査で、ノズル列500の
幅に相当する幅の記録を行った後、被記録媒体108を
一定幅分だけ搬送する副走査を行ってから次ぎの主走査
を行うが、この際、被記録媒体108をノズル列500
の全幅分送るのではなく、数ノズル幅分だけ搬送する。
このようにすることによって、次ぎの主走査では、前の
主走査時にあるラスタに記録を行ったノズルから数ノズ
ルずれたノズルによってそのラスタに記録を行う。
【0086】例えば、図37に示すように32個のノズ
ルを有するインクジェット記録ヘッドで記録を行う場
合、1回の副走査で8ノズル幅分だけ被記録媒体108
を送り、1つのラスタに対して4回の主走査で記録を行
う。
【0087】ところで、インク吐出においては、インク
吐出に起因する圧力の変動が共通液室を介して隣接する
ノズル内のインクを振動させることがある。このような
インクの振動が生じた場合、吐出口H1107に形成さ
れるメニスカスが凸になっている状態でインクを吐出さ
せると吐出量が比較的多くなり、メニスカスが凹になっ
ている状態で吐出させると吐出量が比較的少なくなるた
めに、記録画像に濃淡ムラが生じる危惧がある。このよ
うな吐出量の変化は、同時駆動されるノズルの数が多い
ほど顕著になる。
【0088】そして、前述のように周期的にインク吐出
を行った場合、メニスカス面には、各駆動ブロックの駆
動周期と同様の周期で生じる、各ノズル間で共通の振動
が現れる。図38は、このことを示す実験結果であり、
全てのノズルからインク滴を一定間隔で周期的に吐出さ
せた時の駆動信号と、その時のメニスカス面の振動とを
示している。このように、振動周期が各駆動ブロックの
駆動周期とほぼ同様のメニスカス面の振動が生じると、
各駆動ブロック毎のインク吐出量に差が生じる。すなわ
ち、図38に示す例では、前半に駆動されるブロック
(BLK)1,2,3では、インク吐出時にメニスカス
面が凸になっているために吐出量が比較的多く、後半に
駆動されるBLK6,7では、メニスカス面が凹になっ
ているために吐出量が比較的少ない。
【0089】そこで、前述のように、1回の副走査で、
駆動ブロックと同じ数分だけ、すなわち8ノズル分だけ
被記録媒体108を送ってマルチパス記録を行った場合
には、あるラスタに記録を行うノズルが全て同じ駆動ブ
ロックに属することになるので、前述のような駆動ブロ
ック毎の吐出量の差が重ね合わされて記録画像に大きく
影響し、濃度ムラを生じてしまう危惧がある。そこで、
本発明の実施形態の液体吐出方法では、副走査でのノズ
ル送りを、駆動ブロック数とは異なるノズル数分だけ行
うようにしている。
【0090】このような方法として、まず6ノズル分の
送りと10ノズル分の送りとを交互に行う方法について
説明する。この際の、各ラスタへの、4回の各主走査で
の記録に用いられる駆動ブロックの番号とその平均値
を、8ノズル分づつ均等に送りを行った場合の平均値と
共に表2に示す。また、これら平均値の、各ラスタ毎の
違いを表すグラフを図39に示す。
【0091】
【表2】
【0092】表2および図39に示すように、10ノズ
ル−6ノズル交互送りを行った場合には、各ラスタに用
いられる駆動ブロックの番号平均の変動幅が、均等送り
を行った場合に比べて小さくなる。すなわち、均等送り
での変動は1から8までであるのに対し、10ノズル−
6ノズル交互送りでの変動は2から7までであり、変動
幅が約25%小さくなっている。前述のように各駆動ブ
ロックからのインク吐出量には差があるので、駆動ブロ
ック番号がインク吐出量をほぼ表していると評価するこ
とができ、駆動ブロック番号平均が、4回の主走査での
インク吐出の吐出量の平均量をほぼ示していると考えて
やることができる。実際には、駆動ノズル番号がインク
吐出量に比例するわけではないので、4回の主走査での
吐出量平均の各ラスタ間での変動は図39に示すものよ
りも小さなものとなるが、駆動ブロック番号平均の、各
ラスタ間の変動幅が小さくなるということは、4回の主
走査での吐出量平均が、各ラスタ間で均等化されるとい
うことを示している。すなわち、本実施形態の液体吐出
方法によれば、記録画像の濃度ムラを小さくできる。
【0093】また、記録方法の他の例として、4ノズル
−12ノズル交互送りを行った場合について、各ラスタ
の駆動ブロック番号平均値を表3に、そのグラフを図4
0に示す。
【0094】
【表3】
【0095】4ノズル−12ノズル交互送りを行った場
合の駆動ブロック番号平均値の各ラスタ間の変動は3か
ら6であり、変動幅は、10ノズル−6ノズル交互送り
を行った場合よりさらに約25%、均等送りを行った場
合より約50%小さくなっている。このように、4ノズ
ル−12ノズル交互送りを行った場合のほうが、10ノ
ズル−6ノズル交互送りを行った場合よりもさらに濃度
ムラを小さくできる。
【0096】このように、駆動ブロックの全数を、1つ
のラスタに記録を行う主走査の回数で割った数に対し
て、駆動ブロックの半数を引いたノズル数の送りと、足
したノズル数の送りとを交互に行うようにすることで、
濃度ムラを小さくする作用をより効果的に得られる。こ
のことは、1つのラスタに2回の主走査で記録を行う場
合でも同様である。
【0097】次に、ノズル数が320ノズルのインクジ
ェット記録ヘッドについて、このノズルを16ブロック
×20セクションに割り当てて駆動を行い、1つのラス
タに対して4回の主走査で記録を行う場合について説明
する。
【0098】セクションについては、ノズルをその並び
列の端から16個ずつに分割して1つのセクションと
し、この各セクション内の各ノズルに対して、駆動ブロ
ックを、端から昇順に、表4に示すように割り当てる。
【0099】
【表4】
【0100】なお、表4には、320ノズルのうちのノ
ズル番号32までを記載しており、残りはこの32ノズ
ルと同様の関係が繰り返されるため、表記を省略してい
る。
【0101】そして、76ノズル−84ノズル交互送り
を行った場合について、各ラスタの駆動ブロック番号平
均値を表5に、そのグラフを図41に示す。
【0102】
【表5】
【0103】また、72ノズル−88ノズル交互送りを
行った場合について、各ラスタの駆動ブロック番号平均
値を表6に、そのグラフを図42に示す。
【0104】
【表6】
【0105】表5,6および図41,42から、均等ノ
ズル送りを行う場合に比べて、駆動ブロック数とは異な
るノズル数分の送りを行った場合のほうが、駆動ブロッ
ク番号平均値の変動幅を小さくでき、すなわち記録画像
の濃度むらを小さくできることがわかる。また、前述し
たように、駆動ブロックの全数を、1つのラスタに記録
を行う主走査の回数で割った数に対して、駆動ブロック
の半数を引いたノズル数の送りと、足したノズル数の送
りとを交互に行うようにした、すなわち72ノズル−8
8ノズル交互送りを行った場合に、駆動ブロック番号平
均値の変動幅をより小さくでき、すなわち記録画像の濃
度むらをより小さくできることがわかる。
【0106】次に、各セクション内の各ノズルに対し
て、駆動ブロックを、表7に示すように、分散させて割
り当てた場合について説明する。
【0107】
【表7】
【0108】なお、表7には、320ノズルのうちのノ
ズル番号64までを記載しており、残りはこの32ノズ
ルと同様の関係が繰り返されるため、表記を省略してい
る。
【0109】この場合に76ノズル−84ノズル交互送
りを行った場合について、各ラスタの駆動ブロック番号
平均値を表8に、そのグラフを図43に示す。
【0110】
【表8】
【0111】また、各ノズルに対して駆動ブロックを表
9に示すように割りあて、72ノズル−88ノズル交互
送りを行った場合について、各ラスタの駆動ブロック番
号平均値を表10に、そのグラフを図44に示す。
【0112】
【表9】
【0113】
【表10】
【0114】表8,9および図43,44から、均等ノ
ズル送りを行う場合に比べて、駆動ブロック数とは異な
るノズル数分の送りを行った場合のほうが、駆動ブロッ
ク番号平均値の変動幅を小さくでき、すなわち記録画像
の濃度むらを小さくできることがわかる。また、前述し
たように、駆動ブロックの全数を、1つのラスタに記録
を行う主走査の回数で割った数に対して、駆動ブロック
の半数を引いたノズル数の送りと、足したノズル数の送
りとを交互に行うようにした、すなわち72ノズルー8
8ノズル交互送りを行った場合には、76ノズルー84
ノズル交互送りを行った場合に比べて、駆動ブロック番
号平均値の変動の周期がより高周波数化される。このこ
とは、記録画像の濃度ムラの周期をより高周波数化でき
ることにほぼ対応しており、これにより濃度ムラが目立
たないようにすることができる。
【0115】(インクジェット記録ヘッドのノズルの構
成)次に、インクジェット記録ヘッドのノズルの構成に
ついて説明する。最初に、インク流路の流抵抗の差を無
くすことによって、形成画像の濃度ムラの発生を低減で
きるインクジェット記録ヘッドの構成例を示す参考例を
示す。
【0116】(第1の参考例)図1に、本参考例のイン
クジェット記録ヘッドのノズル部分の模式図を示す。図
1(a)は、吐出口形成部材を外した状態で示した平面
図、図1(b)は、吐出口形成部材の上方から見た平面
図、図1(c)は図1(a)のP−P’線に沿って切断
した断面図を示している。
【0117】このインクジェット記録ヘッドは、インク
供給口56に接続された共通液室54を有している。共
通液室54を挟んでその両側には、インクを発泡させて
吐出させる電気熱変換素子51と、その周りに形成され
た、電気熱変換素子51の中心を中心とする円形の圧力
室55とが複数並んで設けられている。共通液室54と
各圧力室55との間には、それぞれインク流路53が設
けられている。電気熱変換素子51に対向する位置に
は、吐出口52が開口している。
【0118】このインクジェット記録ヘッドでは、隣り
合う吐出口52および電気熱変換素子51の、印字方向
(キャリッジ移動方向)の位置は、各駆動ブロック間の
駆動タイミングのずれ時間の間にキャリッジ102が移
動する距離に相当するオフセット分だけずれている。図
1には、表記を簡潔にするため、各ノズルに4つの駆動
ブロックを割り当てたインクジェット記録ヘッドを示し
ており、吐出口52の、印字方向の配置は、吐出口の並
び方向に4ノズルおきに周期的に変化している。
【0119】そして、駆動ブロックに、駆動されるタイ
ミングが早いものから昇順に番号を付けた場合、図1に
示す例では、右上の吐出口52およびそれから左側に4
の整数倍のノズル数離れた吐出口52に駆動ブロック1
が割り当てられ、その左隣の吐出口52に駆動ブロック
2、さらにその左隣の吐出口52に駆動ブロック3、さ
らにその左隣の吐出口52に駆動ブロック4が割り当て
られている。このような構成にすることで、駆動ブロッ
ク1〜4を昇順に順次駆動し、インクを吐出させて、こ
れらの吐出口52から吐出されたインクを、被記録媒体
上に一列に並んで着弾させることができる。
【0120】このように、吐出口52および電気熱変換
素子51の、印字方向の位置が隣接するノズル間で異な
っているため、隣接するノズルのインク流路53の長さ
が異なっている。本参考例のインクジェット記録ヘッド
は、このようにインク流路53の長さが異なるノズル間
で流抵抗が同じになるように構成されていることを特徴
とする。以下にこのことを、図1(a)に示すインク流
路Aと、インク流路Bを例にとって説明する。
【0121】インク流路Bの長さLBは、インク流路A
の長さLAに比べて長い。そこで、本実施形態では、イ
ンク流路Bの幅WBをインク流路Aの幅WAよりも広く
することで、インク流路Aの流抵抗Raとインク流路B
の流抵抗Rbとが等しくなるように構成している。
【0122】この際、インク流路Aの流抵抗Raとイン
ク流路Bの流抵抗Rbとは以下の(式1)〜(式4)で
求められる
【0123】
【数9】
【0124】
【数10】
【0125】
【数11】
【0126】
【数12】
【0127】但し、ここで x : 共通液室からの距離 Sa(x):距離xの位置のインク流路Aの断面積[μ
2] Sb(x):距離xの位置のインク流路Bの断面積[μ
2] Da(x):距離xの位置のインク流路Aの断面係数 Db(x):距離xの位置のインク流路Bの断面係数 a1(x):距離xの位置のインク流路Aの高さ b1(x):距離xの位置のインク流路Aの幅 a2(x):距離xの位置のインク流路Bの高さ b2(x):距離xの位置のインク流路Bの幅 η :インク粘度[N・Pa・s] である。
【0128】本実施形態のインク流路A,Bは、共通液
室54から電気熱変換素子51の端まで実質的に直方体
形状であるので、直方体近似を行う。すなわち、式1〜
4において、Da(x)およびDb(x)は、 xに関
して定数とみなすことができ、これをそれぞれDa、D
bとする。また、Sa(x)=WA・H、Sb(x)=
WB・Hとなるので、
【0129】
【数13】
【0130】
【数14】
【0131】となる。そこで、
【0132】
【数15】
【0133】とすることにより、Ra=Rbとすること
ができる。
【0134】したがって、インク流路Aの幅WAとイン
ク流路Bの幅WBを式7の関係を満たすように設定する
ことで、インク流路Aとインク流路Bの流抵抗を実質的
に等しくすることができ、2つのインク流路53のリフ
ィル特性を実質的に等しくすることができる。
【0135】このようにして、全てのインク流路53の
流抵抗が等しくなるようにすることで、全てのノズルの
リフィル特性を揃えることができる。そうすることで、
所定の周波数で繰り返しインクを吐出させた際、各イン
ク流路53間でリフィル特性に差があるために、インク
吐出量に差が生じ記録画像に濃度ムラが生じることを抑
止できる。したがって、本発明によれば、濃度ムラのな
い高品位な画像記録を行うことができる。
【0136】なお、このように濃度ムラのない高品位な
画像記録を行えるようにするためには、複数のインク流
路53の流抵抗の差は、10%以内にすることが望まし
い。
【0137】また、本参考例ではインク流路53の幅を
変化させることにより、長さの異なる複数のインク流路
53の流抵抗を揃えているが、流抵抗を変化させるには
インク流路53の断面積を変化させればよいので、イン
ク流路53の高さを変化させて、または幅と高さの両方
を変化させて、またはインク流路53中にリブを設ける
などして流抵抗を揃えるようにしてもよい。
【0138】また、本参考例では、流抵抗の算出を、連
続的な積分を行う式1〜4を用いて算出する方法を示し
たが、インク流路35を、断面形状が変化しない複数の
区画に分けて、それぞれの区画の流抵抗を加算して算出
してもよい。この場合、流抵抗Rの算出式は、式8,9
のようになる。
【0139】
【数16】
【0140】
【数17】
【0141】但し、ここで k :インク流路の分割数 xn :k分割したときの共通液室からn番目の分割
位置までの距離 S(xn):共通液室から距離xnの位置のインク流路断
面積[μm2] D(xn):距離xnの位置のインク流路断面係数 a(xn):距離xnの位置のインク流路高さ b(xn):距離xnの位置のインク流路幅 η :インク粘度[N・Pa・s] また、式1〜4と式8,9とを組み合わせて、すなわち
インク流路53の一部の流抵抗は式1〜4に基づいて算
出し、他の部分の流抵抗は式8,9に基づいて算出し、
両者を加算して流抵抗を求めてもよい。
【0142】(第2の参考例)図2に、本参考例のイン
クジェット記録ヘッドのノズル部分の模式図を示す。図
2(a)は、吐出口形成部材を外した状態で示した平面
図、図2(b)は、吐出口形成部材の上方から見た平面
図、図2(c)は図2(a)のP−P’線に沿って切断
した断面図を示している。同図において第1の参考例と
同様の部分については、同一の符号を付し、説明を省略
する。
【0143】本参考例のインクジェット記録ヘッドで
は、インク流路63が、共通液室54側に、共通液室5
4に向うにしたがって幅が広くなっている部分を有して
いる。本実施形態においても、隣接するインク流路63
の長さが異なっており、式1〜4または式8,9に示す
ように複数のインク流路63の流抵抗を算出して、複数
のインク流路63の流抵抗が同じになるようにインク流
路63の幅、高さを調整している。
【0144】この構成では、インク流路54の幅が広く
なっている部分での流抵抗が、幅が狭くなっている部分
の流抵抗より小さい。このため、幅が広くなっている部
分の流抵抗はインク流路54全体の流抵抗にあまり影響
せず、インク流路54全体の流抵抗は、幅が狭くなって
いる部分の流抵抗によってほぼ決まる。
【0145】ところで、このインクジェット記録ヘッド
では、インク供給口56の上方に位置している部分が共
通液室54になっている。インク供給口56は、異方性
エッチングなどによって形成されるが、その製造のばら
つきのために、インク供給口56の共通液室54に面す
る開口の幅には多少のばらつきが生じ、すなわち共通液
室54の幅に多少のばらつきが生じる場合がある。この
ように共通液室54の幅にばらつきが生じると、インク
流路63の長さが変化する。
【0146】このようにインク流路63の長さが変化す
ると、インク流路63が、幅が広くなっている部分を有
していない場合、インク流路63の流抵抗が大きく変化
し、インクのリフィル特性が変化してしまう。このた
め、所定の周波数で繰り返しインクを吐出させる際、イ
ンク吐出時のリフィル状態が、設計した所望の状態とは
異なってしまい、インク吐出量が増減するなどして記録
品位に悪影響を与えてしまう危惧がある。
【0147】また、長さが短いインク流路Aと長いイン
ク流路Bとで長さが同じだけ変化したとしても、インク
流路Bの長さの変化率よりインク流路Bの長さの変化率
のほうが大きいことになり、インク流路Bの流抵抗の変
化率よりも、インク流路Aの流抵抗の変化率のほうが大
きくなる。このため、インク流路Aとインク流路Bとの
流抵抗が同じになるように設計したとしても、製造上の
ばらつきのために、インク流路Aとインク流路Bとの流
抵抗に差が生じてしまう危惧ある。このように流抵抗に
ノズル間で差が生じると、ノズル間でインク吐出量に差
が生じる問題が再び生じてしまう。
【0148】これに対して、本参考例においては、この
インク流路63の長さの変化は、インク流路63の幅が
広くなっている部分で生じる。このため、インク流路6
3の長さの変化によって、幅が広くなっている部分の流
抵抗が多少変化するが、この変化は、インク流路63全
体の流抵抗にはほとんど影響せず、インクのリフィル特
性はほとんど変化しない。また、複数のインク流路63
の流抵抗の差もほとんど生じることはない。
【0149】このように、本参考例によれば、インク流
路63の共通液室54側に、幅が広くなっている部分を
設けることにより、製造のばらつきにより共通液室54
の幅がずれ、インク流路63の長さが多少ずれても、各
ノズルのインクのリフィル特性がほとんど変化しないよ
うにでき、各ノズル間でのインクのリフィル性のばらつ
きが生じないようにできる。このため、高品位の画像形
成が可能である。
【0150】(第3の参考例)図3に、本参考例のイン
クジェット記録ヘッドのノズル部分の模式図を示す。図
3(a)は、吐出口形成部材を外した状態で示した平面
図、図3(b)は、吐出口形成部材の上方から見た平面
図、図3(c)は図3(a)のP−P’線に沿って切断
した断面図を示している。同図において第1、第2の実
施形態と同様の部分については、同一の符号を付し、説
明を省略する。
【0151】本参考例のインクジェット記録ヘッドで
は、第2の参考例と同様に、インク流路73が、共通液
室54側の部分に、共通液室54に向うにしたがって幅
が広くなっている部分を有している。本参考例では、イ
ンク流路73の幅が狭くなっている部分の幅は、隣り合
うノズル間で同じ、すなわちWA=WBになっており、
この部分の長さL’A,L’Bを変化させることによ
り、長さの異なるインク流路Aとインク流路Bの流抵抗
が同じになるようにしている。
【0152】ところで、インクジェット記録ヘッドで
は、製造のばらつきによりインク流路73の形成幅が設
計した所望の幅から多少ずれてしまうことがある。そこ
で、インク流路Aの幅WAとインク流路Bの幅WBとが
異なる場合には、インク流路73の形成幅のずれがイン
ク流路Aとインク流路Bとで同様に生じたとしても、形
成幅のずれによるインク流路73の幅の変化率に関して
は、幅の広いインク流路73での変化率より、幅の狭い
インク流路73での変化率のほうが大きいことになる。
したがって、インク流路の形成幅のずれによるインク流
抵抗およびリフィル性への影響は、幅の狭いインク流路
73のほうが生じやすい。
【0153】一方、本参考例では、インク流路73の流
抵抗に対する影響が支配的な狭い部分の幅が、全てのノ
ズル間で同じになっている。このため、製造のばらつき
によるインク流路73の形成幅のずれの影響は全てのノ
ズル間で同様に生じ、したがって形成幅のずれのため
に、ノズル間で流抵抗に差が生じることを抑止できる。
【0154】次に、電気熱変換素子のキャビテーション
による損傷を回避する構成を有する、本発明の実施形態
のインクジェット記録ヘッドについて説明する。
【0155】(第1の実施形態)図4に、本実施形態の
インクジェット記録ヘッドのノズル部分の模式図を示
す。図4(a)は、吐出口形成部材を外した状態で示し
た平面図、図4(b)は図4(a)のB−B’線に沿っ
て切断した断面図を示している。同図において第1〜3
の参考例と同様の部分については、同一の符号を付し、
説明を省略する。
【0156】このインクジェット記録ヘッドでは、吐出
口52の中心の鉛直線上に中心が位置するように配置さ
れている電気熱変換素子51と圧力室55とに対し、イ
ンク流路83が、圧力室へのインク供給方向においてそ
の中心線が電気熱変換素子51と圧力室55との中心線
からオフセットした位置に位置するように配置されてい
る。
【0157】本実施形態は、インク流路83をこのよう
に配置することにより、消泡時のインクのリフィルの流
れに、回転する流れ成分を生じさせ、キャビテーション
の影響、特に電気熱変換素子51への影響を低減しよう
とするものである。このことについて、消泡工程を示す
図5を参照して説明する。図5は、ノズルの模式的平面
図であり、消泡工程の各推移状態を図5(a)〜図5
(f)の順に示している。
【0158】図5(a)は、気泡87が最大の大きさに
なる最大発泡時を示しており、この時点から消泡が開始
される。すると、図5(b)に示すように、消泡ととも
に共通液室54からのインクの流れが生じ、気泡87は
インク流路83に張り出した部分が引っ込むように小さ
くなっていく。
【0159】インクの流れが圧力室55に達すると、圧
力室55の中心方向は急に空間が広くなっているため流
速が遅くなる。その結果、インクの流れは圧力室55中
心方向に曲がる。これにより、気泡87は、図5
(c)、図5(d)に示すように、インクの流れ方向
に、インクに押されるようにして小さくなっていく。
【0160】そして、さらに気泡87が小さくなってい
く過程で、気泡87は、インクの流れによって圧力室5
5の、図5の左側に偏った位置に押し流される。この
際、流れてくるインクは、共通液室54から圧力室55
に向う方向、すなわち図5の上方に向う方向の運動量を
有しているので、圧力室55の下方を回り込む流れは小
さい。このため、気泡87は下方に長く延びたようにな
り、消泡の直前には、気泡87は、図5(e)に示すよ
うに上下に長く延びた三日月状の形状になる。そして、
図5(f)に示す最終的な消泡工程は、このように上下
に長い領域で生じる。
【0161】以上のように、本実施形態のインクジェッ
ト記録ヘッドでは、消泡時に圧力室55内のインク流れ
に回転成分が発生するため流体的に不安定で消泡位置が
ゆらぎやすい。また、消泡が上下に長い領域に分散され
て生じるため、キャビテーションの衝撃も連続した領域
内に対して広範囲に分散される。その結果、キャビテー
ションの衝撃は一点に集中せず電気熱変換素子51の受
ける衝撃力を小さくできる。
【0162】図5の消泡位置は電気熱変換素子51に電
力を供給するAl電極(不図示)が電気熱変換素子51
に接続している位置である。この部分はAl電極から電
気熱変換素子51へ向って段差状になっており構造的に
は弱い部分ではあるが、耐久試験ではこの近傍にキャビ
テーションが一点に集中した跡は形成されず上下に長く
浅く亀裂が形成されたのみで耐久性が著しく延びたこと
が確認された。
【0163】本実施形態のインクジェット記録ヘッドに
おいても、隣接するノズル間の駆動タイミングをずらし
ているため、隣接するノズルの吐出口52の、印字方向
の位置はずれており、図6に示すように、インク流路8
3の長さにノズル間で差が生じている。そして、このよ
うに長さが異なるインク流路83間の流抵抗を揃えるた
めに、本実施形態においても、インク流路83の幅や高
さを変化させている。
【0164】この際、インク流路83が圧力室55の中
心線からオフセットして配置されているため、インク流
路83の幅が異なると(例えば図6のWAとWB)、電
気熱変換素子51とインク流路83との位置関係に差が
生じてくる。このため、本実施形態では、電気熱変換素
子51の中心位置までの流抵抗を算出して、この流抵抗
を全てのノズル間で揃えるようにすることが好ましい。
【0165】電気熱変換素子51の中心位置までの流抵
抗は、図7に示すように、インクの主要な流れの中心位
置に沿った中心軸88に沿って、式1〜4に示す積分ま
たは式8.9に示す加算を行うことで求めることができ
る。この際、各点でのインク流路の高さ、幅、面積など
は、中心軸に垂直な断面(例えば図7の断面Aや断面
B)についてのものを用いる。
【0166】このようにして各ノズルの流抵抗を揃える
ことにより、各ノズルのインクのリフィル特性を揃え、
所定の周波数でインクを吐出させる際に、各ノズル間で
インクのリフィル状態が実質的に同様になるようにで
き、濃度ムラのない、良好な画像形成を行うようにでき
る。
【0167】また、このようにインク流路83を、圧力
室55および電気熱変換素子51の中心線に対してオフ
セットさせて配置する場合、図8(a)のノズル全体図
および図8(b)の拡大図に示すように、1つのノズル
列に含まれるノズルの全てについて、電気熱変換素子5
1の中心線に対するインク流路83のオフセット方向を
揃えることが好ましい。
【0168】このことについて、ノズルの平面図を示す
図9を参照して説明する。電気熱変換素子51が形成さ
れた記録素子基板上にインク流路83および圧力室55
を構成する部材をパターニングする際、パターニング用
のマスクがノズル列方向にずれ、インク流路83および
圧力室55が、図9に実線で示す本来の位置からずれ、
破線で示す位置に形成される場合がある。
【0169】このような場合、図9(a)に示すよう
に、電気熱変換素子51に対するインク流路83のオフ
セット方向が異なるノズルがあると、電気熱変換素子5
1とインク流路83との位置関係が、両ノズル間で異な
る方向にずれてしまう。すなわち、図9(a)の左側の
ノズルでは、インク流路83が電気熱変換素子51に近
づく方向にずれるのに対して、右側のノズルでは、イン
ク流路83が電気熱変換素子51から離れる方向にずれ
る。また、このことは、電気熱変換素子51に対向する
位置に配置される吐出口52とインク流路83との位置
関係についても同様である。このため、インク吐出特性
に両ノズル間で差が生じてしまい、記録画像が乱れる危
惧がある。また、両ノズル間で流抵抗を揃えるようにイ
ンク流路の幅や高さを調整したとしても、両ノズル間の
流抵抗に差が生じてしまう危惧がある。
【0170】これに対して、図9(b)に示すように、
電気熱変換素子51に対するインク流路83のオフセッ
ト方向が同じである場合には、インク流路83および圧
力室55の形成位置がずれると、電気熱変換素子51お
よび吐出口52とインク流路83との位置関係のずれが
両ノズルで同様に生じるので、両ノズルのインク吐出特
性は同じ様に変化する。そこで、例えばインクの吐出方
向や吐出量が多少変化したとしても、複数のノズルで同
様の変化が生じるので、記録画像に与える影響は小さ
い。
【0171】このように、電気熱変換素子51に対する
インク流路83のオフセット方向を、1つのノズル列内
の各ノズルで同様にすることで、製造のばらつきによる
記録画像への影響を低減できる。また同様に、ノズル列
が共通液室54を挟んで2列ある場合、2列のノズル列
での電気熱変換素子51に対するインク流路83のオフ
セット方向は、ノズル列に平行な中心軸89(図8
(b)参照)に対して線対称な方向にすることが好まし
い。すなわち、このようにすることで、製造のばらつき
による電気熱変換素子51とインク流路83との位置関
係のずれが両ノズル列間で同様に生じるようにでき、記
録画像に与える影響を低減できる。
【0172】(第2の実施形態)図10は、本発明のイ
ンクジェット記録ヘッドの第2の実施形態におけるノズ
ル部分を示す模式図である。同図(a)は、吐出口形成
部材を透視した状態で示した平面図、同図(b)は同図
(a)のB−B’線に沿って切断した断面図を示してい
る。
【0173】本実施形態のインクジェット記録ヘッド
は、インク流路83が、その中心線が電気熱変換素子5
1の中心線からオフセットした位置に位置するように配
置されているとともに、吐出口52が、その中心が電気
熱変換素子51の中心からインク流路側である共通液室
54に向かう方向にオフセット量Xだけオフセットした
位置に位置するように配置されている。本実施形態のイ
ンクジェット記録ヘッドのその他の構成は、第1の実施
形態に示したインクジェット記録ヘッドと同様であるの
で、詳しい説明は省略する。
【0174】図11は、図10に示したインクジェット
記録ヘッドのノズルからインク液滴が吐出された後の気
泡の消泡工程を同図(a)から(e)の順に示してい
る。図11(a)〜(e)に示す状態は、図5(a)〜
(e)に示す状態にそれぞれ対応している。
【0175】ここで、本実施形態における消泡工程につ
いて説明する前に、比較のために、本実施形態における
ように、吐出口52の中心が電気熱変換素子51の中心
からオフセットして配置されておらず、吐出口52と電
気熱変換素子51の中心が実質的に同じ位置に配置され
ている場合の消泡工程について説明する。
【0176】図45に示した従来例のインクジェット記
録ヘッドでは、インク流路163を形成するインク流路
壁163aから最も離れているインク流路中心線近傍の
インクがインク流路壁163aからの流体摩擦抵抗を受
け難く動きやすい。そのため、消泡過程が始まると極く
短時間でインク流路中心線近傍のインクが圧力室155
内へ向かって流れ、気泡はその中心が圧力室155の奥
側へ凹んだ形となる。その結果、吐出口152と気泡と
の間に残されたインクが消泡時に電気熱変換素子151
の方向へ引き寄せられる際の流れは、圧力室155の奥
側方向への速度ベクトルを持ち、電気熱変換素子151
に垂直に衝突することなく圧力室155の奥側へ流れ込
んでいくことになる。
【0177】これに対して、インク流路の中心線が電気
熱変換素子の中心線からオフセットした位置に位置する
ように配置されているインクジェット記録ヘッドでは、
下記のような現象が生じる場合がある。
【0178】図12は、図11(a)〜(c)に示した
消泡工程に対応する図であり、さらにそれぞれの状態の
ときのノズル断面図を示している。
【0179】図12(a)は最大発泡時の状態を示して
いる。電気熱変換素子151の上に発生した気泡が吐出
口152の方向に大きく膨らみ、インク液滴が吐出口1
52から飛び出している。
【0180】図12(b)は気泡が収縮を開始した状態
を示している。このとき、吐出口152と気泡との間の
インクが収縮する気泡の負圧によって引っ張られ、その
インクの中央部が電気熱変換素子151の方向に向かっ
て凸形状になり始めている。このときのインクの速度ベ
クトルの方向を同図(ii)中に矢印で示している。
【0181】図12(c)は、さらに気泡の収縮が進
み、気泡が電気熱変換素子と同程度の大きさにまで小さ
くなったときの状態を示している。吐出口152と気泡
との間のインクは、電気熱変換素子151へ向かう方向
の速度ベクトルを持ったまま電気熱変換素子151のほ
ぼ中心に衝突する。
【0182】このように、インク流路の中心線が電気熱
変換素子の中心線からオフセットした位置に位置するよ
うに配置されている形状のノズルにおいては、消泡時に
圧力室155内のインクの流れに回転成分が発生するた
め、気泡の収縮の初期の過程ではインク流路中心線近傍
のインクが気泡の中心へ一方向に流れ込むことはなく、
気泡は大きくは凹まない。その結果、気泡がまだ電気熱
変換素子151を覆っている大きさのときに、気泡より
も吐出口152側にあるインクは電気熱変換素子151
に、それに向かってほぼ垂直に落下し、電気熱変換素子
151のほぼ中心に衝突する。この衝突による衝撃は、
キャビテーションによる衝撃ほど大きなののではない
が、このような衝突がインク吐出動作が行われる毎に繰
り返されると、ついにはその衝突位置が損傷して電気熱
変換素子151が破壊される場合がある。この現象によ
って電気熱変換素子151が破壊されるまでの寿命は、
気泡が消滅した際のキャビテーションによって電気熱変
換素子151が破壊される際の寿命よりは長いが、この
現象は電気熱変換素子151の耐久性能をさらに延ばそ
うとするときには障害となる。
【0183】またさらに、下記のような現象も生じる。
まず、図35に示した従来例のインクジェット記録ヘッ
ドでは、上述したように、インク流路163の中心線と
電気熱変換素子151の中心線とが一致しているため、
共通液室154からインク流路163を通って圧力室1
55へ向かうインクの流れが電気熱変換素子151の中
心線に対して線対称に生じる。そのため、電気熱変換素
子151によってインクを加熱することにより発生した
気泡は、電気熱変換素子151上でその中心線に対称に
安定して消泡する。
【0184】その結果、消泡時のキャビテーションによ
る衝撃力によって、インク流路163の中心線上のイン
クのメニスカス面から微小液滴が発生する。この微小液
滴は吐出口152のほぼ中央に多く発生するので、吐出
口152の縁で遮られることなく安定して吐出口152
から吐出する。
【0185】これに対して、インク流路の中心線が電気
熱変換素子の中心線からオフセットした位置に位置する
ように配置されているインクジェット記録ヘッドでは、
下記のような現象が生じる場合がある。
【0186】図13は、インク流路の中心線が電気熱変
換素子の中心線からオフセットした位置に位置するよう
に配置されているインクジェット記録ヘッドのノズルか
らインク液滴が吐出されていく様子を同図(I)から
(III)の順に示している。なお、同図(a)は、吐出
口形成部材を透視した状態で示した平面図、同図(b)
は同図(a)のC−C’線に沿って切断した断面図を示
している。
【0187】図13(I)は、電気熱変換素子151上
に発生した気泡が消泡した直後の状態を示している。主
滴およびそれに続くサテライト滴が、吐出口中心軸に沿
って吐出口152から吐出されている。上述のように、
インク流路183の中心線が電気熱変換素子151と圧
力室155との中心線からオフセットしており、ノズル
形状がインク流路183の中心線に対して非対称になっ
ているため、消泡は同図(a)中の点線で示した消泡領
域で行われる。そして、消泡時の衝撃によって、微小液
滴がその消泡領域の上方に発生する。発生した微小液滴
は発生位置が吐出口152の中心から偏っているため、
図13(II)に示すように吐出口152の縁付近を飛翔
することになる。
【0188】このような非対称ノズルは消泡位置がゆら
ぎ易いため、微小液滴の吐出方向は不安定である。その
ため、図13(III)に示すように吐出口152を通り
抜けて吐出する場合もあるが、多くの場合は吐出口15
2の縁に衝突して吐出口近傍の外面に付着し、インク溜
まりを形成する。
【0189】吐出口近傍の外面にインク溜まりが形成さ
れ、そのインク溜まりがある程度以上の大きさになる
と、吐出口から吐出するインク液滴と干渉してインク液
滴の吐出状態に影響を与える。
【0190】図14は、吐出口近傍の外面にインク溜ま
りが形成されている状態のインクジェット記録ヘッドの
ノズルからインク液滴が吐出されていく様子を、同図
(I)から(III)の順に示している。なお、同図
(a)は、吐出口形成部材を透視した状態で示した平面
図、同図(b)は同図(a)のC−C’線に沿って切断
した断面図を示している。
【0191】図14(I)は、微小液滴が吐出口152
近傍の外面に付着してインク溜まりが形成された状態を
示している。
【0192】図14(II)は吐出口152近傍の外面に
インク溜まりが形成された状態でインク液滴が吐出され
ようとしている状態を示している。吐出口152の近傍
にインク溜まりが形成されていると、インク液滴が吐出
口152から吐出される際にインク溜まりに接触し、表
面張力によってインク溜まりの方に引き寄せられる。す
ると、インク液滴は吐出口中心軸からずれた方向に吐出
されることとなる。
【0193】図14(III)は、その後インク液滴の形
成が終了し、吐出口中心軸からずれた方向に主滴および
サテライト滴が飛翔していく様子を示している。このよ
うに吐出口152の近傍にインク溜まりが形成された状
態で吐出動作が行われると、インク液滴の吐出方向がず
れるだけでなく、吐出速度の低下や吐出量の低下等も同
時に発生し易い。その結果、記録媒体上におけるインク
液滴の着弾位置が本来の位置からずれてしまい、記録画
像に「スジ」や「ムラ」等が発生し、記録画像の品位が
劣化するという問題が発生する場合がある。
【0194】次に、図11に戻って本実施形態のインク
ジェット記録ヘッドにおける消泡工程について説明す
る。
【0195】図11(a)は最大発泡時状態を示してい
る。気泡が吐出方向に大きく膨らみ、インク液滴が吐出
口52から吐出し始めている。
【0196】図11(b)は、その後に気泡が収縮し始
めた状態を示している。吐出口52と気泡との間に残っ
たインクは、気泡消泡時の負圧によって電気熱変換素子
51の方へ引っ張られ、電気熱変換素子51の方向に向
かって凸形状になっている。このとき、吐出口52と気
泡との間のインク(吐出口側インク)の速度ベクトル
は、同図中の矢印で示すように、電気熱変換素子51に
対してほぼ垂直な方向に向いている。
【0197】図11(c)は、その後、気泡の収縮がさ
らに進んだ状態を示している。本実施形態の構成では、
吐出口52が電気熱変換素子51よりも相対的に共通液
室54側に配置されているので、吐出口側インクは、気
泡が収縮する過程で、電気熱変換素子51の中心線に沿
って圧力室55の奥側方向に向く力を受ける。そのた
め、気泡が電気熱変換素子51と同程度の大きさになっ
たときの速度ベクトルは、電気熱変換素子51に対して
垂直ではなく、図11(c)中の矢印で示すように圧力
室55の奥側方向に傾いている。その結果、消泡がさら
に進んで図11(d)に示す状態、さらには図11
(e)に示す状態になっても、消泡工程は、吐出口側イ
ンクが電気熱変換素子51の一部の個所に対して垂直に
集中して衝突することなく終了する。
【0198】また、本実施形態のごとく吐出口52を共
通液室54側にオフセットさせた構成では消泡時に吐出
口側インクの運動方向を圧力室55奥側に傾かせない系
においても下記の状態を作り出せる。すなわち、吐出口
側インクの重心が共通液室54側に近くなるので消泡時
に吐出口側インクが電気熱変換素子51に衝突する位置
が共通液室54側に近づく。そのため、共通液室54側
から流入する液室側インクが上記の吐出口側インクの衝
突位置に到達するタイミングが早まる。その結果、消泡
時に吐出口側インクが電気熱変換素子51に到達する前
に共通液室54側から流入する液室側インクが吐出口側
インクの衝突する位置を覆ってしまい、吐出口側インク
が電気熱変換素子51に衝撃を与えることが無くなり電
気熱変換素子51が損傷を受けることがなくなる。
【0199】この場合の消泡工程を図15(a)〜
(e)、図16(a)〜(e)に示す。
【0200】図15は図5と同様に発泡〜消泡までの気
泡の平面図を示してある。図16(a)〜(e)までの
各図は、この場合の、図11の(a)〜(e)にそれぞ
れ対応する図である。図15の構成ではインク流路18
3の狭部の長さLと幅Wが図10の構成とは異なってい
る。具体的には図10の構成よりもWを狭く、Lを長く
してある。こうすることによって消泡時に共通液室54
から流入してくる液室側インクの流速を速くすることが
でき、消泡時の気泡を図に示すようにより三日月状にで
きる。この状態では図16に示すような状態を作り出せ
る。図16(a)〜(e)は図15に示す消泡過程のK
−K’断面図で、消泡過程での液室側インクと吐出口側
インクの関係がわかりやすいように示してある。図16
(a)、(b)は図11(a)、(b)とほぼ同じ状態
であるが、図16(c)〜(e)までの過程での状態は
図11とは異なる。図16(c)は吐出口側インクが電
気熱変換素子51に到達する前に、液室側インクが、吐
出口側インクが電気熱変換素子51に衝突する位置に到
達している様子を示している。図16(d)は電気熱変
換素子51の上に流入した液室側インクに吐出口側イン
クが接触し合体した状態を示している。図20(e)は
液室側インクと吐出口側インクが合体した後の更に消泡
過程が進んだ状態を示している。このようにして上記構
成においては吐出口側インクが電気熱変換素子51に直
接衝突することを回避できる。
【0201】また、更に本実施形態のごとく消泡時に吐
出口側インクと液室側インクの相互作用を強くした構成
では、そもそも吐出口側インクの運動が不安定になり吐
出口側インクが電気熱変換素子51に衝突する状態の構
成でも衝突位置がランダムになるので、衝突が特定箇所
で毎回起こる場合におけるように損傷が発生するのを防
止できる。
【0202】このように、本実施形態によれば、電気熱
変換素子51は消泡過程で強い衝撃力を受けることがな
くなり、損傷をほとんど受けなくなる。その結果、電気
熱変換素子51の耐久性能を著しく向上させることが可
能になる。
【0203】また、図17は、図10に示したインクジ
ェット記録ヘッドのノズルからインク液滴が吐出されて
いく様子を同図(I)から(III)の順に示している。
なお、同図(a)は、吐出口形成部材を透視した状態で
示した平面図、同図(b)は同図(a)のC−C’線に
沿って切断した断面図を示している。
【0204】図15(I)は、電気熱変換素子51上に
発生した気泡が消泡した直後の状態を示している。主滴
およびそれに続くサテライト滴が、吐出口52中心軸に
沿って吐出口52から吐出されている。
【0205】上述のように、吐出口52の中心が電気熱
変換素子51の中心から共通液室54方向にオフセット
しているので、吐出口52は微小液滴のエネルギー発生
源である消泡領域(同図(a)参照)に対して相対的に
その方向にオフセットした位置に配置されている。した
がって、図13を参照して説明した場合と比較して、吐
出口52の中心と消泡位置との相対的な距離が長くなっ
ている。そのため、消泡時には、メニスカス面はキャビ
テーションの衝撃によって吐出口テーパ部(ノズル)の
壁面の近傍で同図(b)の矢印Aで示すように少し盛り
上がるだけであり、微小液滴がほとんど発生しなくな
る。また、たとえ微小液滴が発生した場合でも、吐出口
52の壁面にはテーパが付けられており、吐出方向前方
に向かうにつれて狭くなっているので、微小液滴は吐出
口テーパ部の壁面に衝突し、吐出口52の外に吐出され
るに至らない。
【0206】このように、本実施形態の記録ヘッドで
は、微小液滴が吐出口52の縁に衝突することがなく、
吐出口52近傍の外面にインク溜まりが形成されない。
そのため、図14を参照して説明した場合のように、イ
ンク液滴が吐出口52から吐出される際にインク溜まり
に接触し、表面張力によってインク溜まりの方に引き寄
せられることがない。したがって、吐出口52から吐出
されたインク液滴は、図17(II)および(III)に示
すように吐出口中心軸に沿って真っ直ぐに安定して飛翔
するので、インク液滴の着弾位置が安定し、記録画像の
品位を高く保つことが可能となる。共通液室54方向へ
の吐出口52のオフセット量に対する印字品位の変化を
下記の表11に示す。同表において「△」は、ヌレよれ
が目立つこと、「○’」は、ヌレよれが少ないこと、
「○」は、品位かなり良であること、「◎」は、非常に
品位が良好であることを示している。
【0207】
【表11】
【0208】表11から、吐出口52の位置をオフセッ
トしない場合はヌレよれが目立つが、吐出口52のオフ
セット量をふやすに従って、ヌレよれが減りオフセット
量3μm〜7μmでは非常に高品位な印字が達成される
ことが分かる。
【0209】電気熱変換素子51中心に対する吐出口5
2中心のオフセット量X(図1参照)が1μmよりも小
さいと、吐出口52と気泡との間のインクに対して圧力
室55の奥側に傾いた速度ベクトルを十分に持たせるこ
とができない。また、液室側インクが到達する前に吐出
口側インクが電気熱変換素子51に衝突してしまいやす
くなる。この場合、吐出口52側のインクの衝突位置も
固定的になり電気熱変換素子51は損傷を受けやすくな
り、その結果、耐久寿命は短くなってしまう。また、吐
出口52の中心と消泡位置との相対的な距離が短くなる
ので、消泡時に発生する微小液滴が吐出口テーパ部の壁
面に衝突せずに吐出口52の外に吐出されてしまう可能
性が高くなる。すると吐出口52の外側の縁にインク溜
まりができやすくなり、液滴の吐出方向がインク溜まり
による影響を受けやすくなる。一方、オフセット量Xが
10μmよりも大きいと、発泡時の吐出圧力の作用方向
が吐出口52中心軸から大きく傾いてしまい、インク液
滴の吐出方向がずれてしまう場合がある。そのため、こ
のオフセット量Xは、1μm≦X≦10μmの範囲であ
ることが好ましい。
【0210】また、更に好ましくはオフセット量Xは3
μmから7μmが良い。
【0211】また、特に本構成に対して、前述した第3
の参考例に示した構成、すなわち長さの異なるインク流
路の流抵抗を支配的に決めている個所の断面積を同一に
し、同部分のインク流れ方向の長さを調節することによ
って流抵抗を略同一にした構成を用いると、気泡消泡時
に圧力室に流入するインクの流速を長さの異なるインク
流路間で実質的に同一にできる。そのため、長さが異な
るインク流路においても消泡時の吐出口側インクと液室
側インクの関係を一定に維持でき、電気熱変換素子の耐
久寿命のインク流路間のバラつきを無くし、耐久寿命を
安定的に高く維持することが可能となる。
【0212】(第3の実施形態)図18は、本発明のイ
ンクジェット記録ヘッドの第3の実施形態におけるノズ
ル部分を示す模式図である。同図(a)は、吐出口形成
部材を透視した状態で示した平面図、同図(b)は同図
(a)のC−C’線に沿って切断した断面図を示してい
る。
【0213】本実施形態のインクジェット記録ヘッド
は、インク流路83が、その中心線が電気熱変換素子5
1の中心線からオフセットした位置に位置するように配
置されているとともに、吐出口52が、その中心が電気
熱変換素子51の中心からインク流路側であるインク流
路83の中心線の方向にオフセット量Yだけオフセット
した位置に位置するように配置されている。本実施形態
のインクジェット記録ヘッドのその他の構成は、第1、
2の実施形態のインクジェット記録ヘッドと同様である
ので、詳しい説明は省略する。
【0214】図19は、図18に示したインクジェット
記録ヘッドのノズルからインク液滴が吐出された後の気
泡の消泡工程を同図(a)から(c)の順に示してい
る。図19(a)〜(c)に示す状態は、図11(b)
〜(d)に示す状態にそれぞれ対応している。
【0215】図19(a)は、最大発泡状態の後に気泡
が収縮し始めた状態を示している。
【0216】この状態では、吐出口52と気泡との間の
インクは気泡の消泡時の負圧によって引っ張られ、電気
熱変換素子51の方向に凸形状になっている。このとき
のインクの速度ベクトルは、図中の矢印で示すように、
電気熱変換素子51に対してほぼ垂直な方向に向いてい
る。
【0217】図19(b)は、その後、気泡の収縮がさ
らに進んだ状態を示している。
【0218】本実施形態の構成では、吐出口52が電気
熱変換素子51よりも相対的にインク流路83の中心線
側に配置されているので、吐出口52と気泡との間の吐
出口側インクは、気泡が収縮する過程で、インク流路8
3中心線から電気熱変換素子51の中心線へ向いた力を
受ける。そのため、気泡が電気熱変換素子51と同程度
の大きさになったときの速度ベクトルは、電気熱変換素
子51に対して垂直ではなく、図19(b)中の矢印で
示すように圧力室55の奥側方向に傾いている。その結
果、消泡がさらに進んで図19(c)の状態になって
も、消泡過程は、吐出口側インクが電気熱変換素子51
の一部の個所に対して垂直に集中して衝突することなく
終了する。
【0219】また、本実施形態のごとく吐出口52をイ
ンク流路83中心線側にオフセットさせた構成では消泡
時に吐出口側インクの運動方向を圧力室55奥側に傾か
せない系においても下記の状態を作り出せる。すなわ
ち、吐出口側インクの重心がインク流路83中心線側に
近くなるので消泡時に吐出口側インクが電気熱変換素子
51に衝突する位置が共通液室54側に近づく。そのた
め、共通液室54側から流入する液室側インクが上記の
吐出口側インクの衝突位置に到達するタイミングが早ま
る。その結果、消泡時に吐出口側インクが電気熱変換素
子51に到達する前に共通液室54側から流入する液室
側インクが吐出口側インクの衝突する位置を覆ってしま
い、吐出口側インクが電気熱変換素子51に衝撃を与え
ることが無くなり電気熱変換素子51が損傷を受けるこ
とがなくなる。
【0220】この場合の消泡過程における吐出口側イン
クと液室側インクの相互作用の状態は、ほぼ図15
(a)〜(e)、図16(a)〜(e)と同様となる。
【0221】また、更に本実施形態のごとく消泡時に吐
出口側インクと液室側インクの相互作用を強くした構成
では、そもそも吐出口側インクの運動が不安定になり吐
出口側インクが電気熱変換素子51に衝突する状態の構
成でも衝突位置がランダムになるので、衝突が特定箇所
で毎回起こる場合におけるように損傷が発生するのを防
止できる。このように、本実施形態によれば、電気熱変
換素子51は消泡過程で強い衝撃力を受けることがなく
なり、損傷をほとんど受けなくなる。その結果、電気熱
変換素子51の耐久性能を著しく向上させることが可能
になる。
【0222】また、図20は、図18に示したインクジ
ェット記録ヘッドのノズルからインク液滴が吐出されて
いく様子を同図(I)から(III)の順に示している。
なお、同図(a)は、吐出口形成部材を透視した状態で
示した平面図、同図(b)は同図(a)のC−C’線に
沿って切断した断面図を示している。
【0223】図20(I)は、電気熱変換素子51上に
発生した気泡が消泡した直後の状態を示している。主滴
およびそれに続くサテライト滴が、吐出口52中心軸に
沿って吐出口52から吐出されている。
【0224】上述のように、吐出口52の中心が電気熱
変換素子51の中心からインク流路83中心側にオフセ
ットしているので、吐出口52は前述の実施例1よりも
微小液滴のエネルギー発生源である消泡領域(同図
(a)参照)に対して相対的に離れる方向にオフセット
した位置に配置されている。したがって、図13を参照
して説明した場合と比較して、吐出口52の中心と消泡
位置との相対的な距離が更に長くなっている。そのた
め、消泡時には、メニスカス面はキャビテーションの衝
撃をほとんど受けなくなり、微小液滴がほとんど発生し
なくなる。また、たとえ微小液滴が発生した場合でも、
吐出口52の壁面にはテーパが付けられており、吐出方
向前方に向かうにつれて狭くなっているので、微小液滴
は吐出口テーパ部の壁面に衝突し、吐出口52の外に吐
出されるに至らない。
【0225】このように、本実施形態のインクジェット
記録ヘッドでは、微小液滴が吐出口52の縁に衝突する
ことがなく、吐出口52近傍の外面にインク溜まりが形
成されない。そのため、図14を参照して説明した場合
のように、インク液滴が吐出口52から吐出される際に
インク溜まりに接触し、表面張力によってインク溜まり
の方に引き寄せられることがない。したがって、吐出口
52から吐出されたインク液滴は、図20(II)および
(III)に示すように吐出口52中心軸に沿って真っ直
ぐに安定して飛翔するので、インク液滴の着弾位置が安
定し、記録画像の品位を高く保つことが可能となる。
電気熱変換素子51中心に対する吐出口52中心のオフ
セット量Y(図3参照)が1μmよりも小さいと、吐出
口52と気泡との間のインクに対して圧力室55の奥側
に傾いた速度ベクトルを十分に持たせることができな
い。その一方で、オフセット量Yが10μmよりも大き
いと、発泡時の吐出圧力の作用方向が吐出口52中心軸
から大きく傾いてしまい、インク液滴の吐出方向に悪影
響を与えてしまう。そのため、このオフセット量Yは、
1μm≦Y≦10μmの範囲であることが好ましい。
【0226】(第4の実施形態)図21は、本発明のイ
ンクジェット記録ヘッドの第4の実施形態におけるノズ
ル部分を示す模式図である。同図(a)は、吐出口形成
部材を透視した状態で示した平面図、同図(b)は同図
(a)のB−B’線に沿って切断した断面図、同図
(c)は同図(a)のC−C’線に沿って切断した断面
図を示している。
【0227】本実施形態のインクジェット記録ヘッド
は、インク流路83が、その中心線が電気熱変換素子5
1の中心線からオフセットした位置に位置するように配
置されていることに加え、吐出口52が、その中心が電
気熱変換素子51の中心から共通液室54に向かう方向
にオフセット量Xだけオフセットした位置に位置するよ
うに配置されているとともに、その中心が電気熱変換素
子51の中心からインク流路83の中心線の方向にオフ
セット量Yだけオフセットした位置に位置するように配
置されている。本実施形態のインクジェット記録ヘッド
のその他の構成は、第1〜3の実施形態に示したインク
ジェット記録ヘッドと同様であるので、詳しい説明は省
略する。
【0228】本実施形態の構成によっても、上述の第2
および第3の実施形態と同様に、吐出口52と気泡との
間のインクが、気泡の消泡時の収縮に伴って電気熱変換
素子51の方向に移動する際に、電気熱変換素子51に
対して垂直ではなく圧力室55の奥側に傾いた速度ベク
トルを持つ。そのため、消泡過程は、インクが電気熱変
換素子51の一部の個所に垂直に集中して衝突すること
なく終了する。
【0229】また、本実施形態のごとく吐出口52を共
通液室54側にオフセットさせた構成では消泡時に吐出
口側インクの運動方向を圧力室奥側に傾かせない系にお
いても下記の状態を作り出せる。すなわち、吐出口側イ
ンクの重心が共通液室54側に近くなるので消泡時に吐
出口側インクが電気熱変換素子51に衝突する位置が共
通液室54側に近づく。そのため、共通液室54側から
流入する液室側インクが上記の吐出口側インクの衝突位
置に到達するタイミングが早まる。その結果、消泡時に
吐出口側インクが電気熱変換素子51に到達する前に共
通液室側から流入する液室側インクが吐出口側インクの
衝突する位置を覆ってしまい、吐出口側インクが電気熱
変換素子51に衝撃を与えることが無くなり電気熱変換
素子51が損傷を受けることがなくなる。
【0230】また、更に本実施形態のごとく消泡時に吐
出口側インクと液室側インクの相互作用を強くした構成
では、そもそも吐出口側インクの運動が不安定になり吐
出口側インクが電気熱変換素子に衝突する状態の構成で
も衝突位置がランダムになるので、衝突が特定箇所で毎
回起こる場合におけるように損傷が発生するのを防止で
きる。
【0231】したがって、電気熱変換素子51は消泡過
程で強い衝撃力を受けることがなくなり、損傷をほとん
ど受けなくなる。その結果、電気熱変換素子51の耐久
性能を著しく向上させることが可能になる。
【0232】また、吐出口52の中心が電気熱変換素子
51の中心から共通液室54方向にオフセットしている
ので、吐出口52は微小液滴のエネルギー発生源である
消泡領域(同図(a)参照)に対して相対的に離れる方
向にオフセットした位置に配置されている。したがっ
て、図13を参照して説明した場合と比較して、吐出口
52の中心と消泡位置との相対的な距離が長くなってい
る。そのため、消泡時には、メニスカス面はキャビテー
ションの衝撃によって吐出口テーパ部(ノズル)の壁面
の近傍で少し盛り上がるだけであり、微小液滴がほとん
ど発生しなくなる。また、たとえ微小液滴が発生した場
合でも、吐出口テーパ部は吐出方向前方に向かうにつれ
て狭くなっているので、微小液滴は吐出口テーパ部の壁
面に衝突し、吐出口52の外に吐出されるに至らない。
【0233】このように、本実施形態のインクジェット
記録ヘッドでは、微小液滴が吐出口52の縁に衝突する
ことがなく、吐出口52近傍の外面にインク溜まりが形
成されない。そのため、図14を参照して説明した場合
のように、インク液滴が吐出口52から吐出される際に
インク溜まりに接触し、表面張力によってインク溜まり
の方に引き寄せられることがない。したがって、吐出口
52から吐出されたインク液滴は吐出口中心軸に沿って
真っ直ぐに安定して飛翔するので、インク液滴の着弾位
置が安定し、記録画像の品位を高く保つことが可能とな
る。
【0234】なお、本実施形態のように吐出口52を2
つの方向にオフセットさせた場合には、電気熱変換素子
51の中心からの吐出口52の中心のオフセット量をZ
とすると、オフセット量ZはZ=√(X2+Y2)と表す
ことができる。したがって、本実施形態におけるオフセ
ット量Zを図10に示す第2の実施形態や図18に示す
第3の実施形態におけるオフセット量と同程度にする場
合には、図21に示す各オフセット量X,Yは、第2の
実施形態または第3の実施形態におけるオフセット量
X,Yよりも小さくなる。したがって、本実施形態は、
第2および第3の実施形態に比べて、電気熱変換素子5
1の中心からの吐出口52の中心のオフセット量X,Y
を相対的に小さく保ちながらも、第2および第3の実施
形態の場合と同じように、吐出口52と気泡とのインク
の速度ベクトルを圧力室55の奥側へ向かわせることが
できるという利点がある。
【0235】(第5の実施形態)図22は、本発明のイ
ンクジェット記録ヘッドの第5の実施形態におけるノズ
ル部分を示す模式図である。同図(a)は、吐出口形成
部材を透視した状態で示した平面図、同図(b)は同図
(a)のB−B’線に沿って切断した断面図を示してい
る。
【0236】本実施形態のインクジェット記録ヘッド
は、インク流路83が、その中心線が電気熱変換素子5
1の中心線からオフセットした位置に位置するように配
置されている。さらに、吐出口52が、その中心が圧力
室55の中心から共通液室54に向かう方向にオフセッ
トした位置に位置するように配置されているとともに、
電気熱変換素子51が、その中心が圧力室55の中心か
ら、圧力室55の奥側に向かう方向にオフセットした位
置に位置するように配置されている。本実施形態での吐
出口52と電気熱変換素子51との相対的な位置関係
は、図10示したものと同じである。本実施形態の特徴
は、電気熱変換素子51の中心を圧力室55の中心に対
してオフセット配置したことにある。その他の構成は、
第2の実施形態のインクジェット記録ヘッドと同様であ
るので、詳しい説明は省略する。
【0237】図10、図18および図21に示した構成
において、圧力室55の中心に対する吐出口52の中心
の位置のオフセット量が過度に大きくなると、圧力室5
5内の流抵抗バランスが崩れてインク液滴の吐出方向が
変化し易くなるという問題や、圧力室55内にデッドペ
ースが増えるために圧力室55内に泡溜まりが発生し易
くなるという問題が発生する。ここで「泡溜まり」と
は、インク中に溶存する気泡が集合することによって形
成された気泡が滞留することをいう。
【0238】これに対し、本実施形態の構成によれば、
圧力室55中心からの吐出口52中心のオフセット量を
小さく保ちつつ、吐出口52中心と電気熱変換素子51
中心とのオフセット量を大きく設定することができる。
そのため、インク液滴の吐出方向の適正な維持と圧力室
55内の泡溜まりの抑制を達成しつつ、電気熱変換素子
51が消泡過程で強い衝撃力を受けて損傷を受けること
をほぼ無くすことができる。
【0239】また、吐出口52の中心が電気熱変換素子
51の中心から共通液室54方向にオフセットしている
ので、吐出口52は微小液滴のエネルギー発生源である
消泡領域に対して相対的に離れる方向にオフセットした
位置に配置されている。したがって、図13を参照して
説明した場合と比較して、吐出口52の中心と消泡位置
との相対的な距離が長くなっている。そのため、消泡時
には、メニスカス面はキャビテーションの衝撃によって
吐出口テーパ部(ノズル)の壁面の近傍で少し盛り上が
るだけであり、微小液滴がほとんど発生しなくなる。ま
た、たとえ微小液滴が発生した場合でも、吐出口テーパ
部は吐出方向前方に向かうにつれて狭くなっているの
で、微小液滴は吐出口テーパ部の壁面に衝突し、吐出口
52の外に吐出されるに至らない。
【0240】このように、本実施形態の記録ヘッドで
は、微小液滴が吐出口52の縁に衝突することがなく、
吐出口52近傍の外面にインク溜まりが形成されない。
そのため、図14を参照して説明した場合のように、イ
ンク液滴が吐出口52から吐出される際にインク溜まり
に接触し、表面張力によってインク溜まりの方に引き寄
せられることがない。したがって、吐出口52から吐出
されたインク液滴は、図17(II)および(III)に示
すように吐出口52中心軸に沿って真っ直ぐに安定して
飛翔するので、インク液滴の着弾位置が安定し、記録画
像の品位を高く保つことが可能となる。
【0241】その結果、記録画像を高品位に保ちながら
電気熱変換素子51の耐久性能を著しく向上させること
が可能になる。
【0242】なお、本実施形態が適用できるのは上記の
ような構成に限られない。例えば、図18や図21に示
した構成においても、電気熱変換素子51の中心を圧力
室55の中心から、電気熱変換素子51の中心から吐出
口52の中心に向かう方向とは反対の方向にオフセット
させることにより、上記と同様の効果を得ることができ
る。
【0243】(第6の実施形態)図23は、本発明のイ
ンクジェット記録ヘッドの第6の実施形態におけるノズ
ル部分を示す模式図である。同図(a)は、吐出口形成
部材を透視した状態で示した平面図、同図(b)は同図
(a)のB−B’線に沿って切断した断面図を示してい
る。
【0244】本実施形態のインクジェット記録ヘッド
は、インク流路83が、その中心線が電気熱変換素子5
1の中心線からオフセットした位置に位置するように配
置されている。さらに、吐出口52が、その中心が圧力
室55の中心から共通液室54に向かう方向にオフセッ
ト量Xだけオフセットした位置に位置するように配置さ
れている。吐出口52は、圧力室55内に向かって断面
積が増えるように、側壁にテーパが付けられている。図
23(a)には、吐出口52の圧力室55に連絡する部
分の縁、すなわち吐出口テーパ下端60を破線で示して
いる。図から明らかなように、本実施形態のインクジェ
ット記録ヘッドでは、圧力室55の、吐出口52が連絡
している面に平行な面内で見て、電気熱変換素子51が
占める領域は、吐出口テーパ下端60に囲まれる領域内
に含まれている。本実施形態のインクジェット記録ヘッ
ドのその他の構成は、第1〜5の実施形態に示したイン
クジェット記録ヘッドと同様であるので、詳しい説明は
省略する。
【0245】次に、図24,25を参照して、このイン
クジェット記録ヘッドにおける消泡工程での、インク、
気泡の状態について説明する。図24,25は消泡工程
を同図(a)から(f)の順に示しており、図24は、
吐出口形成部材を透視した状態で示した平面図、図25
はインク流路83方向に沿って切断した断面図である。
図24の(a)から(f)と、図25の(a)から
(f)はそれぞれ対応するタイミングでの状態を示して
いる。
【0246】図24(a)、図25(a)は、最大発泡
状態を示している。この状態から、消泡が開始され、図
24(b)、図25(b)に示すように、共通液室54
側からインクが流入し始めるとともに、吐出口52と気
泡との間の吐出口側インクが電気熱変換素子51方向に
移動し始める。
【0247】本実施形態においても、吐出口52は、そ
の中心が圧力室55の中心より共通液室54側にオフセ
ットして配置されているため、図25(c)に示すよう
に、吐出口側インクが電気熱変換素子51に到達する前
に、液室側インクが吐出口側インクの衝突する位置を覆
う。このため、吐出口側インクは電気熱変換素子51に
は衝突せず、共通液室側インクに合流する。この際、吐
出口側インクは、吐出口55の中央部では動きやすく、
吐出口55のテーパ壁面に接しているインクは動きにく
い。このため、合流する吐出口側インクによって、イン
クには、吐出口52が連絡している面に平行な面内で見
て、吐出口52の中心から吐出口テーパ下端60に向か
う流れを生じさせようとする力が作用する。このため、
図24,25の(d),(e)に示すように、気泡はイ
ンクに押しやられ、吐出口52が連絡している面に平行
な面内で見て、吐出口52の中心から吐出口テーパ下端
60より、圧力室55の奥側に偏在するようになり、こ
の位置で消泡が生じ、図24(f)、図25(f)に示
す状態になる。
【0248】本実施形態では、吐出口52が連絡してい
る面に平行な面内で見て、吐出口テーパ下端60は、電
気熱変換素子51より外側に位置しており、したがっ
て、消泡は、より確実に電気熱変換素子51の外側で生
じる。このため、本実施形態によれば、電気熱変換素子
51にインク消泡時の衝撃が加わることをより確実に防
止でき、電気熱変換素子51の耐久寿命をさらに延ばす
ことができる。
【0249】(第7の実施形態)図26は、本発明のイ
ンクジェット記録ヘッドの第7の実施形態におけるノズ
ル部分を示す模式図である。同図(a)は、吐出口形成
部材を透視した状態で示した平面図、同図(b)は同図
(a)のB−B’線に沿って切断した断面図を示してい
る。
【0250】本実施形態のインクジェット記録ヘッド
は、吐出口52が、吐出口52の中心の、電気熱変換素
子51の中心からのオフセット方向に長い長方形の形状
を有している点が、第6の実施形態の構成と異なる。そ
の他の構成は、第6の実施形態と同様であり詳しい説明
は省略する。
【0251】本実施形態のインクジェット記録ヘッドで
は、吐出口52が上述のような形状であるため、その壁
面のテーパ角θをあまり大きくしなくても、吐出口テー
パ下端60が、電気熱変換素子51を囲むように構成す
ることができる。このため、吐出口52を形成するのが
容易になる。また、圧力室55の大きさを小さくするこ
とができ、したがって、吐出口52の配列ピッチを小さ
くして、解像度を上げることができる。
【0252】なお、本実施形態において、吐出口52の
オフセット方向の反対方向に見た、吐出口52の、イン
ク吐出面側の開口の縁の端部から電気熱変換素子1の端
部までの距離αは、吐出口52のオフセット方向に直交
する方向に見た、インク吐出口52の、インク吐出面側
の開口の縁の端部から電気熱変換素子1の端部までの距
離βと等しくすることが望ましい。このようにすること
によって、吐出口55のテーパ角θを最小限の大きさで
済ませることができる。
【0253】また、本実施形態では、吐出口52の形状
を長方形とした例を示したが、長円形状や楕円形状とし
てもよい。
【0254】(第8の実施形態)図27は、本発明のイ
ンクジェット記録ヘッドの第8の実施形態におけるノズ
ル部分を示す模式図である。同図(a)は、吐出口形成
部材を透視した状態で示した平面図、同図(b)は同図
(a)のB−B’線に沿って切断した断面図、同図
(c)は同図(a)のC−C’線に沿って切断した断面
図を示している。
【0255】本実施形態のインクジェット記録ヘッド
は、吐出口52が、電気熱変換素子51の配線62が接
続された方向に長い長方形状を有している点が、第6の
実施形態の構成と異なる。その他の構成は、第6の実施
形態と同様であり詳しい説明は省略する。
【0256】この構成によれば、電気熱変換素子51と
配線62の接続部が、吐出口テーパ下端60に囲まれる
領域内に位置するようにすることができる。したがっ
て、接続部にインク消泡時の衝撃がより加わりにくくな
るようにすることができる。接続部は、通常、配線62
と電気熱変換素子51の間に物理的に段差があるため衝
撃に比較的弱い。本実施形態によれば、この衝撃に弱い
部分に衝撃が加わらないようにできるので、この部分の
耐久性を向上させ、インクジェット記録ヘッドの電気的
信頼性を向上させることができる。
【0257】なお、本実施形態においても、吐出口52
の形状は長方形に限られず、長円形状、楕円形状でもよ
いのはもちろんである。
【0258】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
インク流路を、その中心線が電気熱変換素子の中心線か
らオフセットして位置するように配置することで、キャ
ビテーションによる電気熱変換素子への影響を低減でき
る。
【0259】またさらに、インク吐出口の中心が電気熱
変換素子の中心からオフセットされて位置するように配
置することによって、ノズル内の吐出口と気泡との間の
インクが気泡の消泡時に電気熱変換素子に垂直に衝突す
ることを抑え、もって電気熱変換素子が損傷することを
防止して電気熱変換素子の耐久性能をさらに飛躍的に向
上させることができる。
【0260】また、吐出口の断面積が圧力室側に向かう
にしたがって増えるように吐出口壁面にテーパを付け、
吐出口の、圧力室側の接続面に平行な面内で見て、吐出
口の圧力室側の開口の縁に囲まれる領域内に電気熱変換
素子が位置するように構成することによって、ほぼ確実
に電気熱変換素子の外側の領域で消泡が生じるようにす
ることができる。それによって、電気熱変換素子の耐久
性能をさらに飛躍的に向上させることができる。
【0261】また、インク流路の長さが異なる複数のノ
ズルについて、その幅や高さなどを変化させて流抵抗を
揃えることにより、濃度ムラの少ない高品位な画像記録
を行うことができるインクジェット記録ヘッドを提供で
きる。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1の参考例のインクジェット記録ヘッドのノ
ズル部分の模式図であり、図1(a)は、吐出口形成部
材を外した状態で示した平面図、図1(b)は、吐出口
形成部材の上方から見た平面図、図1(c)は図1
(a)のP−P’線に沿って切断した断面図である。
【図2】第2の参考例のインクジェット記録ヘッドのノ
ズル部分の模式図であり、図2(a)は、吐出口形成部
材を外した状態で示した平面図、図2(b)は、吐出口
形成部材の上方から見た平面図、図2(c)は図2
(a)のP−P’線に沿って切断した断面図である。
【図3】第3の参考例のインクジェット記録ヘッドのノ
ズル部分の模式図であり、図3(a)は、吐出口形成部
材を外した状態で示した平面図、図3(b)は、吐出口
形成部材の上方から見た平面図、図3(c)は図3
(a)のP−P’線に沿って切断した断面図である。
【図4】本発明の第1の実施形態のインクジェット記録
ヘッドのノズル部分の模式図であり、図4(a)は、吐
出口形成部材を透視した状態で示した平面図、図4
(b)は図3(a)のB−B’線に沿って切断した断面
図である。
【図5】図4のインクジェット記録ヘッドのノズル部分
の平面図であり、消泡工程を模式的に示している。
【図6】図4のインクジェット記録ヘッドのノズル部分
の模式的平面図であり、複数のノズルの配置を示してい
る。
【図7】図4のインクジェット記録ヘッドのノズル部分
の平面図であり、流抵抗を求める方法を模式的に示して
いる。
【図8】図8(a)は、図4のインクジェット記録ヘッ
ドのノズル部分の全体の平面図、図8(b)は図8
(a)のA部拡大図である。
【図9】図4のインクジェット記録ヘッドのノズル部分
の平面図であり、ノズル形成部材の形成位置にずれが生
じた場合を示している。
【図10】本発明のインクジェット記録ヘッドの第2の
実施形態におけるノズル部分を示す模式図である。
【図11】図10に示したインクジェット記録ヘッドの
ノズルからインク液滴が吐出された後の気泡の消泡工程
を示す図である。
【図12】図11(a)〜(c)に示した消泡工程の各
推移状態を抜粋し、さらにそれぞれの状態のときのノズ
ル断面を示す図である。
【図13】第2の実施例に対する比較例のインクジェッ
ト記録ヘッドの消泡工程を示す図であり、図13(a)
は、吐出口形成部材を透視した状態で示す平面図、図1
3(b)は、図13(a)のC−C’線に沿って切断し
た断面図を示している。
【図14】第2の実施例に対する比較例のインクジェッ
ト記録ヘッドのインク吐出工程を示す図であり、図14
(a)は、吐出口形成部材を透視した状態で示す平面
図、図14(b)は、図14(a)のC−C’線に沿っ
て切断した断面図を示している。
【図15】本発明のインクジェット記録ヘッドの第2の
実施形態の変形例の消泡工程を示す、吐出口形成部材を
透視した状態で示す平面図である。
【図16】図15と同様の消泡工程を示す、図15
(c)のK−K’線に沿って切断した断面図である。
【図17】図15のインクジェット記録ヘッドにおける
インク吐出工程を示す図であり、図17(a)は、吐出
口形成部材を透視した状態で示す平面図、図17(b)
は、図17(a)のC−C’線に沿って切断した断面図
を示している。
【図18】本発明のインクジェット記録ヘッドの第3の
実施形態におけるノズル部分を示す模式図である。
【図19】図18に示したインクジェット記録ヘッドの
ノズルからインク液滴が吐出された後の気泡の消泡工程
を示す図である。
【図20】図18に示したインクジェット記録ヘッドの
インク吐出工程を示す模式図であり、図20(a)は、
吐出口形成部材を透視した状態で示す平面図、図20
(b)は、図20(a)のC−C’線に沿って切断した
断面図を示している。
【図21】本発明のインクジェット記録ヘッドの第4の
実施形態におけるノズル部分を示す模式図である。
【図22】本発明のインクジェット記録ヘッドの第5の
実施形態におけるノズル部分を示す模式図である。
【図23】本発明のインクジェット記録ヘッドの第6の
実施形態におけるノズル部分を示す模式図である。
【図24】図23のインクジェット記録ヘッドの消泡工
程を示す、吐出口形成部材を透視した状態で示す平面図
である。
【図25】図23のインクジェット記録ヘッドの消泡工
程を示す、図24のB−B’線に沿って切断した断面図
である。
【図26】本発明のインクジェット記録ヘッドの第7の
実施形態におけるノズル部分を示す模式図である。
【図27】本発明のインクジェット記録ヘッドの第8の
実施形態におけるノズル部分を示す模式図である。
【図28】図28(a)は本発明のインクジェット記録
ヘッドを搭載可能な、好適な記録ヘッドカートリッジの
斜視図、図28(b)はその分解斜視図である。
【図29】図28に示す記録ヘッドの構成を示す分解斜
視図である。
【図30】図28に示す記録ヘッドをさらに細かく分解
した分解斜視図である。
【図31】図28の記録ヘッドカートリッジの記録素子
基板の構成を示す一部切りかき説明斜視図である。
【図32】図28の記録ヘッドカートリッジの他の記録
素子基板の構成を示す一部切りかき説明斜視図である。
【図33】図28の記録ヘッドカートリッジの要部断面
図である。
【図34】図28の記録ヘッドカートリッジの記録素子
ユニットとインク供給ユニットを組み立てたものを示す
斜視図である。
【図35】図28の記録ヘッドカートリッジの底面側を
示す斜視図である。
【図36】図28の記録ヘッドカートリッジを搭載可能
な、好適なインクジェット記録装置の模式的平面図であ
る。
【図37】ノズル列、各ノズルの駆動信号および各ノズ
ルから吐出されたインク滴を模式的に示す図である。
【図38】全ノズルからインク滴を周期的に吐出させる
駆動信号と、その時のメニスカス面の状態の時間変化を
示す模式図である。
【図39】複数のノズルに複数の駆動ブロックを割り当
て、1つのラスタに対して複数回の主走査で記録を行う
記録方法において、各ラスタへの記録に用いられる駆動
ブロックの平均値を示すグラフである。
【図40】複数のノズルに複数の駆動ブロックを割り当
て、1つのラスタに対して複数回の主走査で記録を行う
他の記録方法において、各ラスタへの記録に用いられる
駆動ブロックの平均値を示すグラフである。
【図41】複数のノズルに複数の駆動ブロックを割り当
て、1つのラスタに対して複数回の主走査で記録を行う
さらに他の記録方法において、各ラスタへの記録に用い
られる駆動ブロックの平均値を示すグラフである。
【図42】複数のノズルに複数の駆動ブロックを割り当
て、1つのラスタに対して複数回の主走査で記録を行う
さらに他の記録方法において、各ラスタへの記録に用い
られる駆動ブロックの平均値を示すグラフである。
【図43】複数のノズルに複数の駆動ブロックを割り当
て、1つのラスタに対して複数回の主走査で記録を行う
さらに他の記録方法において、各ラスタへの記録に用い
られる駆動ブロックの平均値を示すグラフである。
【図44】複数のノズルに複数の駆動ブロックを割り当
て、1つのラスタに対して複数回の主走査で記録を行う
さらに他の記録方法において、各ラスタへの記録に用い
られる駆動ブロックの平均値を示すグラフである。
【図45】従来のインクジェット記録ヘッドのノズル部
分を示す模式図である。
【符号の説明】
51,1001 電気熱変換素子 52,1002 吐出口 53,63,73,83,1003 インク流路 54,1004 共通液室 55,1005 圧力室 56 インク供給口 60 吐出口テーパ下端 62 配線 87 気泡 100 インク滴 102 キャリッジ 103 ガイドシャフト 104 主走査モータ 105 モータプーリ 106 従動プーリ 107 タイミングベルト 108 被記録媒体 109 搬送ローラ 130 ホームポジションセンサ 131 ピックアップローラ 132 オートシートフィーダ 133 ペーパーエンドセンサ 134 LFモータ 135 給紙モータ 136 遮蔽版 300 駆動信号 500 ノズル列 H1000 記録ヘッドカートリッジ H1001 記録ヘッド(インクジェット記録ヘッ
ド) H1002 記録素子ユニット H1003 インク供給ユニット H1100 第1の記録素子基板 H1101 第2の記録素子基板 H1102 インク供給口(供給口) H1103 電気熱変換素子(記録素子) H1104 電極 H1105 バンプ H1106 インク流路壁 H1107 吐出口 H1108 吐出口群 H1110 Si基板 H1200 第1のプレート(第1の支持部材) H1201 インク連通口 H1202 第1の接着層 H1203 第2の接着層 H1300,H1300W 電気配線テープ(可撓性
の配線基板) H1301 外部信号入力端子 H1302 電極リード H1306 第3の接着層 H1309 端子位置決め穴 H1400,H1400A,H1400B,H1400
C 第2のプレート H1500 インク供給部材 H1501 インク流路 H1503 第1の穴 H1509 X突き当て部 H1510 Y突き当て部 H1511 Z突き当て部 H1512 端子固定部 H1515 端子位置決めピン H1520 ジョイント部 H1600 流路形成部材 H1601 装着ガイド H1602 インク連通口 H1700 フィルター H1800 シールゴム H1900 インクタンク H1901 ブラックインクタンク H1902 シアンインクタンク H1903 マゼンタインクタンク H1904 イエローインクタンク H1907 インク連通口 H1910 第2の爪 H2000 タンクホルダー H2300 ジョイントシール部材 H2400 ビス
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 及川 真樹 東京都大田区下丸子3丁目30番2号 キヤ ノン株式会社内 (72)発明者 矢部 賢治 東京都大田区下丸子3丁目30番2号 キヤ ノン株式会社内 (72)発明者 井上 良二 東京都大田区下丸子3丁目30番2号 キヤ ノン株式会社内 Fターム(参考) 2C057 AF65 AG08 AG14 AG29 AG30 AG40 AM19 AN01 AP02 AP25 AP34 AP82 AQ02 BA03 BA13

Claims (32)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 インクを吐出する複数のインク吐出口
    と、該個々のインク吐出口にそれぞれ対応して設けら
    れ、インクを発泡させて吐出させる複数の電気熱変換素
    子と、前記電気熱変換素子を収容し、前記インクを加熱
    して発泡させるための空間を形成する複数の圧力室と、
    該複数の圧力室にインクを供給する共通液室と、前記圧
    力室と共通液室とを連通させる複数のインク流路とを有
    するインクジェット記録ヘッドであって、 前記インク流路は、前記圧力室へのインク供給方向にお
    ける中心線が、同方向における前記電気熱変換素子の中
    心線からオフセットされて位置するように配置されてい
    るインクジェット記録ヘッド。
  2. 【請求項2】 前記圧力室は実質的に円柱形の形状を有
    する、請求項1に記載のインクジェット記録ヘッド。
  3. 【請求項3】 前記インク吐出口の中心が前記電気熱変
    換素子の中心からオフセットされて位置するように配置
    されている、請求項1または2に記載のインクジェット
    記録ヘッド。
  4. 【請求項4】 前記インク吐出口の中心が、前記電気熱
    変換素子の中心から前記インク流路側にオフセットした
    位置に配置されている、請求項3に記載のインクジェッ
    ト記録ヘッド。
  5. 【請求項5】 前記オフセットの量は1〜10μmであ
    る、請求項3または4に記載のインクジェット記録ヘッ
    ド。
  6. 【請求項6】 前記オフセットの量は3〜10μmであ
    る、請求項3から5のいずれか1項に記載のインクジェ
    ット記録ヘッド。
  7. 【請求項7】 前記電気熱変換素子の中心が前記圧力室
    の中心からオフセットされて位置するように配置されて
    いる、請求項3から6のいずれか1項に記載のインクジ
    ェット記録ヘッド。
  8. 【請求項8】 前記圧力室の、前記インク吐出口が連絡
    している面に平行な面内で見て、前記電気熱変換素子が
    占める領域は、前記インク吐出口の、前記圧力室に連絡
    する部分の縁に囲まれる領域内に含まれている、請求項
    1から7のいずれか1項に記載のインクジェット記録ヘ
    ッド。
  9. 【請求項9】 前記インク吐出口は、前記圧力室側に向
    かって断面積が増加するように、側壁にテーパが付けら
    れている、請求項8に記載のインクジェット記録ヘッ
    ド。
  10. 【請求項10】 前記圧力室の、前記インク吐出口が連
    絡している面に平行な面内で見て、前記電気熱変換素子
    の占める領域が、前記インク吐出口の、インク吐出面側
    の開口の縁からはみ出している部分において、前記イン
    ク吐出口の、インク吐出面側の開口の縁から前記電気熱
    変換素子の縁までの距離は、任意の位置で実質的に等し
    い、請求項9に記載のインクジェット記録ヘッド。
  11. 【請求項11】 前記インク吐出口の中心が前記電気熱
    変換素子の中心からオフセットされて位置するように配
    置されており、前記インク吐出口は、前記電気熱変換素
    子からオフセットされている方向に長い形状を有してい
    る、請求項8から10のいずれか1項に記載のインクジ
    ェット記録ヘッド。
  12. 【請求項12】 前記インク供給口は長方形状である、
    請求項11に記載のインクジェット記録ヘッド。
  13. 【請求項13】 前記インク供給口は長円形状である、
    請求項11に記載のインクジェット記録ヘッド。
  14. 【請求項14】 前記インク供給口は楕円形状である、
    請求項11に記載のインクジェット記録ヘッド。
  15. 【請求項15】 前記インク吐出口は、前記電気熱変換
    素子に電力を供給する配線が接続されている方向に長い
    形状を有している、請求項8から10のいずれか1項に
    記載の、インクジェット記録ヘッド。
  16. 【請求項16】 前記インク供給口は長方形状である、
    請求項15に記載のインクジェット記録ヘッド。
  17. 【請求項17】 前記インク供給口は長円形状である、
    請求項15に記載のインクジェット記録ヘッド。
  18. 【請求項18】 前記インク供給口は楕円形状である、
    請求項15に記載のインクジェット記録ヘッド。
  19. 【請求項19】 前記インク流路の、前記電気熱変換素
    子の中心線からのオフセット方向が、一列に並んで配置
    されている複数の前記インク流路について同じ方向であ
    る、請求項1から18のいずれか1項に記載のインクジ
    ェット記録ヘッド。
  20. 【請求項20】 前記インク流路が、前記共通液室を挟
    んで対向するように2列並んで形成されており、前記対
    向するインク流路列に属する前記インク流路の、前記電
    気熱変換素子の中心線からのオフセット方向が、前記対
    向するインク流路列の並び方向と平行な線に関して線対
    称な方向である、請求項1から19のいずれか1項に記
    載のインクジェット記録ヘッド。
  21. 【請求項21】 長さが異なる複数の前記インク流路の
    流抵抗が実質的に等しい、請求項1から20のいずれか
    1項に記載のインクジェット記録ヘッド。
  22. 【請求項22】 複数の前記インク流路の流抵抗の差が
    10%以内である、請求項21に記載のインクジェット
    記録ヘッド。
  23. 【請求項23】 長さが異なる複数の前記インク流路の
    断面積が異なる、請求項21または22に記載のインク
    ジェット記録ヘッド。
  24. 【請求項24】 長さが異なる複数の前記インク流路の
    幅が異なる、請求項23に記載のインクジェット記録ヘ
    ッド。
  25. 【請求項25】 長さが異なる複数の前記インク流路の
    高さが異なる、請求項23に記載のインクジェット記録
    ヘッド。
  26. 【請求項26】 複数のうちの少なくともいずれかの前
    記インク流路内にリブが設けられている、請求項21か
    ら25のいずれか1項に記載のインクジェット記録ヘッ
    ド。
  27. 【請求項27】 前記インク流路の前記共通液室側の領
    域の単位長さ辺りの流抵抗が、前記インク流路の前記吐
    出口側の領域の流抵抗よりも小さい、請求項21から2
    6のいずれか1項に記載のインクジェット記録ヘッド。
  28. 【請求項28】 複数の前記インク吐出口が、印字方向
    にオフセットして配置されている、請求項21から27
    のいずれか1項に記載のインクジェット記録ヘッド。
  29. 【請求項29】 請求項21から28のいずれか1項に
    記載のインクジェット記録ヘッドの製造方法であって、
    前記インク流路の流抵抗Rを、 【数1】 【数2】 但し、ここで x : 前記共通液室からの距離 S(x):距離xの位置の前記インク流路の断面積 D(x):距離xの位置の前記インク流路の断面係数 a(x):距離xの位置の前記インク流路の高さ b(x):距離xの位置の前記インク流路の幅 η :インク粘度 によって求め、得られた流抵抗に基づいて、複数の前記
    インク流路の流抵抗が等しくなるように前記インク流路
    の形状を決める工程を有する、インクジェット記録ヘッ
    ドの製造方法。
  30. 【請求項30】 請求項21から28のいずれか1項に
    記載のインクジェット記録ヘッドの製造方法であって、
    前記インク流路の流抵抗Rを 【数3】 【数4】 但し、ここで k :前記インク流路の分割数 xn :前記インク流路をk分割したときのn番目の
    分割位置までの距離 S(xn):距離xnの位置の前記インク流路の断面積 D(xn):前記共通液室から距離xnの位置の前記イ
    ンク流路の断面係数 a(xn):前記共通液室から距離xnの位置の前記イン
    ク流路の高さ b(xn):前記共通液室から距離xnの位置の前記イン
    ク流路の幅 η :インク粘度 によって求め、得られた流抵抗に基づいて、複数の前記
    インク流路の流抵抗が等しくなるように前記インク流路
    の形状を決める工程を有する、インクジェット記録ヘッ
    ドの製造方法。
  31. 【請求項31】 積分および加算を、インクの主要な流
    れが生じる経路に沿って行い、該経路に垂直な断面でS
    (x)およびS(xn)およびD(x)およびD(x
    n)を求める、請求項29または30に記載の、インク
    ジェット記録ヘッドの製造方法。
  32. 【請求項32】 積分および加算を、前記共通液室から
    前記電気熱変換素子の中心までの前記経路に亘って行
    う、請求項31に記載の、インクジェット記録ヘッドの
    製造方法。
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