JP2002317242A - 溶接熱影響部靭性の優れた低温用溶接構造用高張力鋼 - Google Patents
溶接熱影響部靭性の優れた低温用溶接構造用高張力鋼Info
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Abstract
優れた溶接構造用高張力鋼を提供する。 【解決手段】 質量%で、C:0.04〜0.12%、
Si:0.01〜0.5%、Mn:0.5〜2.0%、
S:0.001〜0.01%、Ti:0.005〜0.
02%、sol.Al:0.015〜0.05%、C
a:0.001〜0.004%、N:0.001〜0.
005%、O:0.001〜0.007%、必要に応じ
てCu≦0.5%、Ni≦1.0%、Cr≦0.5%、
Mo≦0.5%、V≦0.1%、Nb≦0.03%、
B:0.0003〜0.003%の一種または二種以上
を含有し、且つ,P値:0.10〜0.40を満足し、
残部実質的に鉄及び不可避不純物とする。 但し、P=([Ca]−0.4[O])/[S] [Ca]、[O],[S]は、鋼中含有量(mass%)とす
る。
Description
舶、橋梁および建築等の大型溶接鋼構造物に用いられる
高張力鋼で、特に入熱が60kJ/cm程度の大入熱溶
接熱影響部における低温(−40℃以下)靭性に優れた
ものに関する。
り、施工費を低減させる観点から溶接作業の工数削減、
能率向上が可能となる大入熱溶接が適用されるようにな
ってきた。
アーク溶接を高張力鋼に適用した場合、溶接熱影響部の
靭性劣化が問題となり、その原因として、1.オーステ
ナイト結晶粒の粗大化、2.上部ベイナイトの生成、
3.島状マルテンサイの生成が挙げられている。
なTiNを析出させ、γ結晶粒の粗大化を抑制し、溶接
熱影響部靭性を確保する技術が開示されている。しか
し、TiNは1400℃を超えると大部分が母材に固溶
するため、BOND部の結晶粒は粗大化し、靭性の劣化
が避けられない。
化物粒子を粒内フェライトの核生成サイトとし、特開平
5−287374号公報には、Ca酸化物、Caオキシ
サルファイドを粒内アシキュラーフェライトの核生成サ
イトとし、溶接部の組織を微細化して靭性を改善するこ
とが記載されている。
は、Ti−Al−Ca酸化物を核とし、TiNやMnS
を析出させ、γ結晶粒の粗大化を抑制するとともに粒内
フェライトの生成を促進し、溶接熱影響部靭性を改善す
ることが記載されている。
素量をSiで調整した後、Ti,Al,Caの順で脱酸
することを特徴としている。
公報による方法では、Ca酸化物を安定に確保するた
め、Oを0.0040%以下とし、強脱酸元素のAlを
0.007%以下の微少量に制御しなければならない。
適度に残存するようAl量を調整しなければならず、実
機に適用した場合は、Alを含有させることはできな
い。
に微細な酸化物を鋼中に均一分散させるには、その脱酸
方法や各種元素の添加手順を厳密に制御する必要があ
り、実操業上、負担が大きい。
溶接材料では、溶接金属部の靭性劣化の生じることがあ
る。
法では、Ti−Al−Ca酸化物やTiN,MnSを効
果的に多数を均一微細に分散させるため、Siによる予
備脱酸で溶存酸素濃度を20〜80ppmとした溶鋼に
Tiを添加して脱酸処理し、その後適量のAlやCaを
短時間のうちに添加しなければならず、実操業上、困難
なことが多い。
20℃程度に過ぎない。
鑑みなされたもので、入熱60kJ/cm以上の大入熱
溶接溶接部のBOND部で優れた低温靭性(−50℃で
のシャルピー吸収エネルギーが50J以上)を有する高
張力鋼を提供することを目的とする。
kJ/cm以上による溶接継手部のBOND部の組織に
ついて詳細に検討し、Caを添加し、鋼中O量、S量を
制御することで粒内フェライト形成が促進されること、
またその場合、良好な低温靭性の得られることを知見し
た。
てなされたものであり、すなわち、本発明は、 1. 質量%で、C:0.04〜0.12%、Si:
0.01〜0.5%、Mn:0.5〜2.0%、S:
0.001〜0.01%、Ti:0.005〜0.02
%、sol.Al:0.015〜0.05%、Ca:
0.001〜0.004%、N:0.001〜0.00
5%、O:0.001〜0.007%を含有し、且つ,
P値:0.10〜0.40を満足する残部実質的に鉄及
び不可避不純物よりなる溶接熱影響部の靭性に優れた低
温用溶接構造用高張力鋼。
る。
0.5%、Ni≦1.0%、Cr≦0.5%、Mo≦
0.5%、V≦0.1%、Nb≦0.03%、B:0.
0003〜0.003%の一種または二種以上を含有す
ることを特徴とする1記載の溶接熱影響部の靭性に優れ
た低温用溶接構造用高張力鋼。
由について詳細に説明する。
を得るため、0.04%以上添加する。一方、0.12
%を超えて多量に添加すると、溶接熱影響部部に島状マ
ルテンサイトが生成しやすくなり、靭性が低下し、また
溶接性も劣化するため、0.04〜0.12%(0.0
4%以上、0.12%以下)とする。
必要なため添加する。0.01%未満ではその効果が不
十分で、0.01%以上添加する。一方、0.5%を超
えて添加すると島状マルテンサイトが生成し、溶接熱影
響部靭性が劣化するため、0.01〜0.5%とする。
はその効果が不十分で、0.5%以上添加する。一方、
2.0%を超えて添加すると焼入れ性を増大させ、溶接
性、溶接熱影響部靭性が劣化するため、0.5〜2.0
%とする。
となるCaSを生成させるため必要である。その効果を
得るため、0.001%以上とする。一方、0.01%
を超えると、母材および溶接部の靭性が劣化し、また、
溶接部の割れ感受性も劣化させるため、0.001〜
0.01%とする。
に、フェライトの核生成を促進するTiNを生成させる
ため添加する。その効果を得るため、0.005%以上
添加する。一方、0.02%を超えると、母材および溶
接熱影響部の靭性を劣化させる粗大なTiCが析出する
ため、0.005〜0.02%とする。
介在物を生成させるため、添加する。その効果を得るた
め、0.015%以上添加する。一方、0.05%以上
添加すると介在物が粗大となり、靭性が低下するため、
0.015〜0.05%とする。
TiNやCaSを析出させ、粒内フェライトを析出させ
る効果があり、本願発明では重要な元素である。0.0
01%未満ではその効果が十分得られず、一方、0.0
04%を超えて添加すると、大型介在物やクラスターが
生成し、鋼の清浄度が劣化するため、0.001〜0.
004%とする。尚、Caによる鋼中介在物の複合化に
よりS,O濃度が制御されるが、Tiとの複合添加が詳
細な理由は不明であるが有効であった。
化を抑制すると共に、フェライトの核生成となり、粒内
フェライトを析出させるため、0.001%以上とす
る。一方、0.005%を超えると固溶Nが多くなり、
母材、溶接部の靭性を劣化させるため、0.001〜
0.005%とする。
靭性を改善する。その効果を得るため、0.001%以
上とする。一方、0.007%を超えると鋼中Oが過剰
となり、母材靭性が劣化するため、0.001〜0.0
07%とする。
[O],[S]は、鋼中含有量(mass%))として表さ
れ、Ca,P,Oが複合化された介在物を核とする粒内
フェライトの形成傾向を示す。
複合割合およびそれに伴う析出物形態変化により増減
し、P値が0.1未満では、アルミナが増加し、フェラ
イトの形成が促進されず、一方、0.4を超えると介在
物は粗大化し、靭性が低下するため、0.10〜0.4
0とする。
の強度特性を向上させるため更にCu,Ni,Cr,M
o,V,Nb,Bの一種又は二種以上を含有することが
できる。
硬化により母材や溶接熱影響部の靭性を劣化させるた
め、0.5%以下とする。
原価を上昇させるため、1.0%以下とする。
ると共に、溶接熱影響部の靭性を劣化させるため、Cr
≦0.5%、Mo≦0.5%、V≦0.1%、Nb≦
0.03%とする。
ートの成長を抑制するとともに、BNとして固溶Nを固
定し、溶接熱影響部の靭性劣化を防止する。しかし、過
剰な添加は固溶Bを増加させ、溶接性を損ね、溶接熱影
響部の焼入れ性を向上し、靭性を劣化させるため、0.
0003〜0.003%とする。
ない範囲で、微量元素を含有することが可能である。
により製造することが可能で特にその製造方法が限定さ
れるものではない。上記成分系の鋼を転炉、電気炉など
で溶製し、連続鋳造または造塊分塊法によりスラブとす
る。析出物を微細に分散させるため、冷却速度の速い連
続鋳造法が好ましいが、スラブ加熱以降、製品までの工
程は、所望する母材の特性によって、制御圧延、制御冷
却、焼入れ焼戻しなど処理が可能で特に規定しない。
とし、1150〜1250℃に加熱後、熱間圧延し、加
速冷却を行い、板厚20mmの鋼板とした。
接の溶接熱影響部の靭性を調査した。溶接は、入熱60
kJ/cmのエレクトロガスアーク溶接で行い、溶接部
のシャルピー衝撃試験(切欠き位置:BOND部、HA
Z1mm:BOND部+1mm)を板厚1/4から採取
した。また、溶接BOND部の再現熱サイクル試験を最
高加熱温度1400℃、800〜500℃の冷却時間8
0sec(板厚20mm,溶接入熱60kJ/cmに相
当)で行った。
試験結果を示す。本発明鋼のNo.1〜11は、母材強
度が引張強さ:500N/mm2以上,母材靭性が−5
0℃で200J以上であり、再現熱サイクル試験による
溶接BOND部靭性では−50℃で、85J以上が得ら
れている。
組成、またはP値の何れかが本発明範囲外で、母材特
性、溶接熱影響部の特性の何れか、または両者が劣って
いる。
2は、母材特性(強度、靭性)は、本発明鋼と同等であ
るが、再現熱サイクル試験による溶接BOND部靭性が
−50℃で40J未満と劣っている。
が、本発明の上限値を超えているため、母材靭性、再現
熱サイクル試験による溶接BOND部靭性に劣ってい
る。
あり、再現熱サイクル試験による溶接BOND部靭性は
本発明鋼と同等であるが、母材の引張り強さが500N
/mm2未満と劣っている。
で、再現熱サイクル試験による溶接BOND部靭性に劣
っている。
温での大入熱溶接部靭性に優れた溶接構造用高張力鋼が
得られ、産業上極めて有用である。
Claims (2)
- 【請求項1】 質量%で、C:0.04〜0.12%、
Si:0.01〜0.5%、Mn:0.5〜2.0%、
S:0.001〜0.01%、Ti:0.005〜0.
02%、sol.Al:0.015〜0.05%、C
a:0.001〜0.004%、N:0.001〜0.
005%、O:0.001〜0.007%を含有し、且
つ,P値:0.10〜0.40を満足する残部実質的に
鉄及び不可避不純物よりなる溶接熱影響部の靭性に優れ
た低温用溶接構造用高張力鋼。 但し、P=([Ca]−0.4[O])/[S] [Ca]、[O],[S]は、鋼中含有量(mass%)とす
る。 - 【請求項2】 更に鋼成分として質量%で、Cu≦0.
5%、Ni≦1.0%、Cr≦0.5%、Mo≦0.5
%、V≦0.1%、Nb≦0.03%、B:0.000
3〜0.003%の一種または二種以上を含有すること
を特徴とする請求項1記載の溶接熱影響部の靭性に優れ
た低温用溶接構造用高張力鋼。
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