JP2002316773A - 線状体巻付け用ボビン及びそれを使った光学装置及び光学装置の製造方法 - Google Patents

線状体巻付け用ボビン及びそれを使った光学装置及び光学装置の製造方法

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JP2002316773A
JP2002316773A JP2002034904A JP2002034904A JP2002316773A JP 2002316773 A JP2002316773 A JP 2002316773A JP 2002034904 A JP2002034904 A JP 2002034904A JP 2002034904 A JP2002034904 A JP 2002034904A JP 2002316773 A JP2002316773 A JP 2002316773A
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JP
Japan
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bobbin
winding
linear body
spacer
flange
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JP2002034904A
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English (en)
Inventor
Keiichiro Fukuda
啓一郎 福田
Takashi Fujii
隆志 藤井
Taku Yamazaki
卓 山崎
Kohei Kobayashi
宏平 小林
Toshimi Suzuki
俊美 鈴木
Kazuhiro Okamoto
和弘 岡本
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Sumitomo Electric Industries Ltd
Original Assignee
Sumitomo Electric Industries Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 巻付けられる線状体の伝送特性を悪化させず
に巻付けることが出来、かつ巻付け状態を緩める作業が
容易な線状体巻付け用ボビン及びそれを用いた光学装置
を作る。 【解決手段】 円筒状の胴部1とその両端にそれぞれ設
けた鍔部2、2’とを有する線状体巻付け用ボビンであ
って、線状体4を巻付けた後においても取外し可能でか
つ巻付けられた線状体4に接する側の面がテーパ面3a
となったスペーサ3を、ボビンの胴部1の上又は鍔部2
の内面に具える。それに線状体4を巻付けた後、鍔部
2’と共にスペーサ3を引抜き、鍔部2’の後には別の
鍔部2”を取付けて、ボビンを揺することによってスペ
ーサがあった空隙部に線状体の一部を移動させ、巻き状
態を緩める。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ファイバ増幅器に
使用されるエルビウムドープファイバ、光ファイバ伝送
路の分散補償に使用される分散補償ファイバ等の線状体
の巻付けに適した線状体巻付け用ボビン及びそれに光フ
ァイバを巻付けてなる光学装置、及び線状体巻き付け用
ボビンを用いた光学装置の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】光ファイバ、絶縁電線等の線状体は、通
常線状体巻付け用ボビンに巻付けて保管、搬送等が行な
われている。また、ファイバ増幅器に使用されるエルビ
ウムドープファイバや、光ファイバ伝送路の分散補償に
使用される分散補償ファイバは、その長さ及び曲げ許容
半径に適した線状体巻付け用ボビンに巻付けられた状態
で光学装置として使用されている。また、これらに使用
する線状体巻付け用ボビンは、リール、ドラム、スプー
ル、巻枠等の名称で呼ばれることもある。
【0003】線状体巻付け用ボビンに光ファイバを巻付
けて放置すると、環境温度の変化等を受けて線状体巻付
け用ボビンの熱膨張係数と線状体の熱膨張係数の差によ
って、光ファイバに大きな張力が加わった状態となるこ
とがある。また、巻付け時の張力が大きいと、環境温度
変化を受けなくても巻付けた時点で光ファイバに大きな
張力が加わっていることがある。光ファイバに大きな張
力が加わると光ファイバの伝送損失、偏波依存損失、偏
波モード分散等が変化するので、光学装置としての特性
が変化したり、線状体巻付け用ボビンの光ファイバを巻
付けた状態で検査する場合の検査特性が変化したりし
て、問題を生じる。
【0004】これらの問題を解決する方法として、線状
体巻付け用ボビンにスペーサを配設して、線状体巻付け
後にそのスペーサを除去することによって空隙を作り、
その空隙を利用して光ファイバの巻付け状態を緩めて、
光ファイバに加わった張力を解消する方法が知られてい
る(特開平10−268141号公報、特開平10−2
68142号公報)。
【0005】特開平10−268141号公報に記載さ
れた方法は、図3に示す方法である。図3(A)は、線
状体巻付け用ボビンに線状体を巻付けた状態を示す断面
図、図3(B)はスペーサを外して線状体の巻付け状態
を緩めた状態を示す断面図である。図3において、11
は胴部、12は第一鍔部、12’は第二鍔部、12”は
第三鍔部、13は円盤状スペーサ、14は線状体、15
はビス孔、16はビスである。なお、符号の説明の用語
は、本発明で使用している用語に合わせている。
【0006】この図3に示す線状体巻付け用ボビンは、
胴部11の片方の端に第一鍔部12を固定し、胴部11
の他方の端に第二鍔部12’を固定し、更に胴部11の
上を滑って移動する可動型の第三鍔部12”を配置し
て、第二鍔部12’と第三鍔部12”との間に円盤状ス
ペーサ13を配置したものである。なお、第三鍔部1
2”は、ビス孔15に通したビス16によって胴部11
上を滑られて移動させることが出来るようになってい
る。この線状体巻付け用ボビンを使って、その胴部11
上に線状体14を巻付けた後、第二鍔部12’と第三鍔
部12”との間にある円盤状スペーサ13を除去し、ビ
ス16を操作して第三鍔部12”を第二鍔部12’側に
引き寄せる。これによって、第三鍔部12”と巻付けら
れた線状体14との間には空隙が出来るので、線状体1
4の巻付け状態を緩めることが出来る。
【0007】特開平10−268142号公報に記載さ
れた方法は、図4に示す方法である。図4(A)は、線
状体巻付け用ボビンに線状体を巻付けた状態を示す斜視
図、図4(B)は棒状スペーサを外して線状体の巻付け
状態を緩めた状態を示す斜視図である。図4において、
17は胴部、18は鍔部、19はスペーサ挿入孔、14
は線状体、20は棒状スペーサ、21は線状体である。
なお、符号の説明の用語は、本発明で使用している用語
に合わせている。
【0008】この図4に示す線状体巻付け用ボビンは、
胴部17の両方の端にそれぞれ鍔部18を固定し、胴部
17と平行に胴部17の外側に4本の棒状スペーサ20
を配置したものである。なお、4本の棒状スペーサ20
は胴部17の円周方向に等間隔で配置され、スペーサ挿
入孔19に差込まれている。この線状体巻付け用ボビン
を使って、胴部17及び棒状スペーサ20の上に線状体
21を巻付ける。線状体21の巻付け後、4本の棒状ス
ペーサ20を引抜くことによって、棒状スペーサ20が
あった個所と胴部17の表面との間に空隙が出来るの
で、線状体21の巻付け状態を緩めることが出来る。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】先に説明した図3に示
す線状体巻付け用ボビンの場合は、巻付けられる線状体
の長さが長い場合であっても線状体の巻付け状態を緩め
ることが出来るが、第一鍔部12と第三鍔部12”とは
平行状態であり、かつ胴部11の表面は円筒状であるた
め、線状体14を胴部11の上に巻付けた段階では線状
体14は完全に整列して俵積状態で巻付けられているた
め、比較的固い巻き状態になっている。また、第三鍔部
12”を移動させて空隙を作っても、第三鍔部12”の
線状体14との接触面の形状は変化していないので、線
状体14の巻付け状態を崩して緩く巻付けられた状態に
し難いという問題がある。
【0010】また、図4に示す線状体巻付け用ボビンの
場合は、線状体21が胴部17と棒状スペーサ20の上
に渡って巻付けられることになるが、棒状スペーサ20
の外径は胴部17の外径に比べてかなり小さいため、線
状体21は棒状スペーサ20の上を越える時に曲率半径
の小さい曲げを受けることになる。このように胴部17
の線状体21との接触面が平滑でないと、線状体21が
光ファイバである場合には、その伝送特性を悪化させる
恐れがある。
【0011】本発明は、以上説明した従来技術の問題点
を解消し、巻付けられる線状体の伝送特性を悪化させず
に巻付けてかつ巻付け状態を緩める作業を行い易い線状
体巻付け用ボビン及びそれを使った光学装置を提供する
ものである。
【0012】
【課題を解決するための手段】本発明の線状体巻付け用
ボビンは、円筒状の胴部とその両端にそれぞれ設けた鍔
部とを有する線状体巻付け用ボビンであって、線状体を
巻付けた後においても胴部または鍔部の少なくとも一部
の形状が変化できるようになっている。この線状体巻付
け用ボビンの胴部に光ファイバ等の線状体を巻付けた
後、胴部または鍔部の少なくとも一部の形状を変化させ
ると、線状体と接触面との間に空隙が生じ、線条体の巻
き状態が緩められる。また胴部の線状体との接触面は、
変化の前後において平滑になっているので、線状体が光
ファイバの場合であっても光ファイバの伝送特性を損な
うことはない。
【0013】また、線状体を巻付けた後においても取外
し可能でかつ巻付けられた線状体に接する側の面がテー
パ面となったスペーサを、ボビンの胴部の上または鍔部
の内面に具えた場合には、スペーサの線状体と接する側
の面がテーパ面となっているため、巻付けた時に完全な
俵積の整列状態とはならず、少し崩れて既に緩く巻付け
られた状態となる。そのため、スペーサを除去して空隙
を作りボビンを揺すって線状体の巻き状態を緩める場合
も線状体の巻き状態が緩み易い。また、線状体と接する
側のスペーサの面はテーパ面であるため、線状体が光フ
ァイバのように繊細なものであっても光ファイバの表面
に傷を付けることなくスペーサを引抜くことが出来る。
【0014】また、一方の鍔部には胴部を固定し、他方
の鍔部には胴部の胴径よりも内径が大きくかつ外径が該
鍔部から離れるに従って小さくなった外周面がテーパ面
である略円筒状のスペーサを固定し、前記胴部の上に前
記スペーサを重ねて嵌め込んだ構造となっている。これ
によって、前記2つの鍔部を平行状態にして胴部の上に
スペーサを配置した線状体巻付け用ボビンを用いて、そ
れに線状体を巻付けた後、スペーサを固定した側の鍔部
を外すことによって同時に前記スペーサを除去する。除
去されたスペーサ付き鍔部の後に別に用意した鍔部を配
置し、該鍔部を胴部の端に固定すれば、スペーサがあっ
たところはスペーサの除去によって空隙となるので、巻
付けられた線状体の巻付け状態を緩めることが出来る。
【0015】この場合、線状体はスペーサのテーパ面の
上に巻付けられるため、巻付け時点で整列状態が崩れて
緩く巻かれた状態になる。従って、スペーサ除去後、ボ
ビンを揺するだけで容易に線状体の巻付け状態を緩める
ことが出来る。また、スペーサの外周面に沿って線状体
を巻付けるので、線状体に曲率半径の小さい曲げを与え
ることはなく、線状体が光ファイバの場合であっても光
ファイバの伝送特性を損なうことはない。
【0016】また、鍔部の一方の内面に沿って円盤状の
スペーサを配置し、そのスペーサを半径方向に沿って2
つに分割が可能で、かつスペーサの円盤の半径方向外側
に向かって円盤の厚さを厚くしてスペーサの線状体と接
する側の面をテーパ面とした線状体巻付け用ボビンとす
れば、スペーサのテーパ面によって出来る内側の円錐形
部分には線状体が直接巻付けられず空隙となる。そし
て、巻付けられた線状体がその空隙に押し込まれるた
め、線状体を巻付ける段階で既に緩く巻付けられる。そ
れゆえ、スペーサを除去した後における線状体の巻付け
状態の緩め作業も容易である。また、線状体を巻付けた
後スペーサを2つに分離して引抜く時も、スペーサの線
状体と接する面はテーパ面であるので、線状体を傷付け
ることなく容易にスペーサを引抜くことが出来る。
【0017】また、胴部を複数に分割した構造とし、そ
の少なくとも一つが径方向に移動することによって、胴
部に巻き付けられた線状体の巻き状態を緩めることがで
きる。線状体は分割された胴面との接触面に沿って動か
されるので、局所的な変形は伴わず、線状体が光ファイ
バの場合であっても光ファイバの伝送特性を損なうこと
はない。
【0018】特に、円筒形の胴部の横断面形状が、楕円
形に変形する場合は、線状体が長手方向にわたってなだ
らかな楕円状になるので、局所的な曲げ歪が加えられに
くく好ましい。
【0019】また、少なくとも片方の鍔部が、胴部から
取り外し可能となっていることにより、光ファイバの巻
きを緩めた後、光ファイバ束をボビンから取り外し、束
の状態でケースに収納し、光学装置として用いることが
できる。
【0020】また、本発明の線状体巻付け用ボビンを使
って光ファイバを巻付け、胴部または鍔部の少なくとも
一部の形状を変化させ、光ファイバの巻付け状態を緩め
れば、光ファイバに大きな張力が加わったり、光ファイ
バ同士が互いに大きな応力を与え合うことがないので、
伝送特性の安定したファイバ増幅器用のコイルあるいは
光伝送路分散補償用のコイル等の光学装置を作ることが
出来る。
【0021】
【発明の実施の形態】図1は、本発明にかかる線状体巻
付け用ボビンの実施形態を示す図であって、図1(A)
は線状体巻付け用ボビンの軸心を通る平面における断面
図、図1(B)はその鍔部を離した時の分解断面図、図
1(C)は線状体巻付け用ボビンの斜視図、図1(D)
は線状体を巻付ける場合の説明断面図である。図1にお
いて、1は胴部、2は胴部を固定する側の鍔部、2’は
スペーサを固定する側の鍔部、2”は鍔部2’の代替用
の鍔部、3はスペーサ、3aはテーパ面、4は線状体、
αはテーパ面の傾斜角である。
【0022】この線状体巻付け用ボビンは、円筒状の胴
部1の一端に固定した円盤状の鍔部2を有する部材と、
略円筒状のスペーサ3の一端に固定した円盤状の鍔部
2’を有する部材とを使って組立てる。組立て方法は図
1(B)に示すようにスペーサ3の中心孔に胴部1を通
して固定し、図1(A)及び図1(C)に示す線状体巻
付け用ボビンを組立てる。なお、スペーサ3の中心孔の
内径は胴部1の外径よりもわずかに大きくして中心孔の
中に胴部1が挿通出来るようにし、スペーサ3の外周面
の外径は鍔部2’から離れるに従って小さくして傾斜角
αを持たせ、外周面をテーパ面3aとする。
【0023】この図1に示す線状体巻付け用ボビンを使
って線状体を巻付ける場合は、図1(D)に示す通り、
まず胴部1の上に被さったスペーサ3の上に線状体4を
巻付ける。この時、スペーサ3の外周面はテーパ面3a
となっており、傾斜しているので、線状体4は完全な整
列巻きとならず、幾分隙間が出来た状態で比較的緩く巻
付けられる。
【0024】線状体4を巻付けた後、図1(D)の左側
及び中央の図に示す通り、スペーサ3を固定した側の鍔
部2’を取り外してスペーサ3を胴部1と線状体4との
間から引抜く。スペーサ3の線状体4と接する外周面は
テーパ面3aとなっているので、スペーサ3の除去に当
たって線状体4を傷付けることもなく容易に行うことが
出来る。続いて、鍔部2’の後に別に用意した円盤状の
鍔部2”を配置し、胴部1の一端と鍔部2”とを固定す
る。そうすると、胴部1と巻付けられた線状体4との間
のスペーサがあった部分が空隙となるので、線状体4を
巻付けたボビンを揺すって線状体4をその空隙部に一部
移動させ、線状体4の巻付け状態を緩めることが出来
る。
【0025】なお、線状体として外径250μm程度の
ファイバ増幅器用のエルビウムドープファイバを使用
し、図1に示す線状体巻付け用ボビンに約30m程度の
線状体を巻付ける場合は、鍔径が約50mm、胴径が約
40mm、胴幅が約4.5mm、スペーサのテーパ面3
aの傾斜角αが約10度、スペーサの厚さの最大部分及
び最小部分がそれぞれ約2mm、約1mmの線状体巻付
け用ボビンを使用することが出来る。
【0026】図2(A)は、本発明にかかる線状体巻付
け用ボビンの別の実施形態を示す軸心を通る面における
断面図である。また、図2(B)(C)は、図2(A)
の線状体巻付け用ボビンに使用するスペーサの斜視図と
断面図である。図2において、4は線状体、5は胴部、
6、6’は鍔部、7はスペーサ、7aはテーパ面、7b
は分割個所、7cは固定部材、βはテーパ面の傾斜角で
ある。
【0027】この図2(A)に示す線状体巻付け用ボビ
ンは、円筒状の胴部5の両端にそれぞれ円盤状の鍔部
6、6’を固定し、一方の鍔部6’の内面に沿って孔の
開いた円盤状のスペーサ7を挿抜可能に配置したもので
ある。なお、スペーサ7の厚さは半径方向外側に行くに
従って厚くなっており、鍔部6’に接しない側の面(線
状体4と接する側の面)は傾斜角βを有するテーパ面7
aとなっている。また、スペーサ7は分割個所7bにて
2つに分割することが可能であって、スペーサ7を分割
することによって、胴部5の上にそれを嵌めたり胴部の
上から外したりすることが出来る。なお、分割個所7b
を閉じたときには固定部材7cにて分割個所7bが離れ
ないように固定することが出来る。
【0028】この図2(A)に示す線状体巻付け用ボビ
ンを使って線状体を巻付ける場合は、スペーサ7の厚さ
が半径方向外側に行くに従って厚くなって、線状体4と
接する側の面はテーパ面7aとなっているので、そのテ
ーパ面によって出来る内側の円錐部分には線状体を直接
巻付けることが出来ず空隙となる。そして、線状体4を
胴部5の上に巻付けると、巻付けられた線状体4がその
空隙部分に押し込まれるので、線状体の巻付け状態は巻
付けた段階で既に幾分緩い状態となる。
【0029】そして、線状体4の巻付けが終わった線状
体巻付け用ボビンからスペーサ7を引抜き、スペーサ7
のあった部分を空隙とし、そのボビンを揺することによ
って線状体4を空隙部に一部移動させて線状体4の巻付
け状態を更に緩める。なお、スペーサ7の線状体4と接
する側の面は傾斜を有するテーパ面7aとなっているの
で、線状体に傷を与えることなく容易にスペーサ7を引
抜くことが出来る。また、スペーサ7の外周部分が鍔部
6’よりも外側に出っ張るようにしておくか、スペーサ
7の外周部分に手指で掴める突起部分を付けておくと、
手指でその出っ張り部分または突起部分を掴んで引張る
だけで容易にスペーサを引抜くことが出来る。
【0030】なお、線状体として外径250μm程度の
ファイバ増幅器用のエルビウムドープファイバを使用
し、図2(A)に示す線状体巻付け用ボビンに約30m
程度の線状体を巻付ける場合は、鍔径が約50mm、胴
径が約40mm、胴幅が約4.5mm、スペーサのテー
パ面7aの傾斜角βが約10度、スペーサの厚さの最大
部分及び最小部分がそれぞれ約3mm、約2mmの線状
体巻付け用ボビンを使用することが出来る。
【0031】図5(A)は、本発明の別の実施形態を示
す線状体巻き付け用ボビンの斜視図である。胴部21は
4つに分割されており、分割された各部は径方向に全て
が移動可能となっている。鍔部22はビスで固定され取
り外し可能となっている。
【0032】図5(B)(C)(D)は、軸心と直交す
る面における断面図である。線状体を巻き付ける時は図
5(A)の状態にあり、線条体は円状に巻かれる。その
後図5(C)に示したように、4分割された胴部21の
相対する2つが近づく方向に動き、他の2つは遠ざかる
方向に動くようになっている。したがって胴部21に巻
かれた線状体の束の横断面形状は円状から楕円状に変形
する。また、4つの胴部21は、相対する2つがそれぞ
れ交互に近づいたり、遠ざかったりする動きをすること
ができるので、図5(C)の状態と(D)の状態を交互
に繰り返すことができ、容易に線状体4の巻き状態を緩
めることができる。胴部の分割数は2分割以上であれば
良く、4分割には限らない。
【0033】なお、線状体として外径250μm程度の
分散補償ファイバを使用し、図5に示す線状体巻付け用
ボビンに約100m程度の線状体を巻付ける場合は、鍔
径が約300mm、胴径が60mm〜250mmの範囲
で可動し、胴幅が約25mmの線状体巻付け用ボビンを
使用することが出来る。
【0034】また、これら図1、図2、図5に示す線状
体巻付け用ボビンの大きさは、巻付けられる線状体の種
類、長さ、外径、許容曲げ半径等によって、種々のもの
がある。本発明の線状体巻付け用ボビンは、巻付けられ
た線状体に接するスペーサを引抜くという作業が伴うの
で、線状体が繊細な光ファイバの場合は、長尺の光ファ
イバを巻付ける比較的大きいボビンよりも、比較的短い
例えば数十mのエルビウムドープファイバを巻付ける鍔
径が50mm程度の比較的小さいボビンに適している。
また、鍔部、胴部、スペーサの材質もアルミニウム等の
軽量金属、ポリプロピレン、ポリフェニレンスルフィド
等の成形樹脂、等で製造することが出来る。また、本発
明の線状体巻付け用ボビンには、光ファイバ以外の絶縁
電線その他の線状体も巻付けて使用することが出来る。
【0035】また、光ファイバは、ボビンに巻き付けた
状態で巻き状態を緩めて、ケース内に収納し、光学装置
として使用しても良い。また、巻き状態を緩め、鍔部を
取り外して、光ファイバの束としてボビンから取り外し
た後、光ファイバ束をケースに収納して光学装置として
用いても良い。この場合、光ファイバ束を収納したケー
ス内に光ファイバより柔らかいゲル状の樹脂を充填する
と、運搬時の振動、衝撃あるいは温度変化時の光ファイ
バ束の伝送損失の変化を防止することができ、効果的で
ある。光ファイバとして、エルビウムドープファイバあ
るいは分散シフトファイバを用いれば、ファイバ増幅器
用のコイルあるいは光伝送路分散補償用のコイル等の光
学装置を作ることが出来る。
【0036】図6は、本発明の線状体巻き付け用ボビン
を用いて巻き取られた光ファイバの巻きを緩めた後、光
ファイバ束をボビンから取り外しケースに収納した光学
装置の一実施例を示す模式図である。31は光ファイバ
束、32はケース、33はゲル状コンパウンド、34は
融着接続部、35は光コネクタ、36は外装ケースであ
る。ボビンから取りはずされた光ファイバ束31は、ケ
ース32に収納された後、シリコン樹脂からなるゲル状
コンパウンド33が充填される。光ファイバ束31は分
散補償ファイバのように側圧の影響を受けやすいファイ
バであっても、ボビンから巻きが緩められた状態で容易
に取り外され、ケース32内に収納されるので、伝送損
失が増大を防止することができる。
【0037】
【発明の効果】本発明の線状体巻付け用ボビンは、円筒
状の胴部とその両端にそれぞれ設けた鍔部とを有する線
状体巻付け用ボビンであって、線状体を巻付けた後にお
いても胴部または鍔部の少なくとも一部の形状が変化
し、線条体の巻き状態を緩めることができるようになっ
ている。この線状体巻付け用ボビンの胴部に光ファイバ
等の線状体を巻付けた後、胴部または鍔部の少なくとも
一部の形状を変化させると、線状体との接触面に空隙が
生じるので、容易に線状体の巻き状態を緩めることがで
きる。また線状体が光ファイバの場合であっても、胴部
の線状体との接触面は、変化の前後において平滑になっ
ているので、光ファイバの伝送特性を損なうことはな
い。
【0038】また、本発明の線状体巻付け用ボビンを使
って光ファイバを巻付け、スペーサを除去して光ファイ
バの巻付け状態を緩めた状態で収納ケースに収納し光学
装置とすれば、環境温度等が変化しても、光ファイバに
大きな張力が加わったり、光ファイバ同士が互いに大き
な応力を与え合うことがないので、伝送特性の安定した
光学装置を作ることが出来る。また、鍔部は取り外し可
能となっているので、巻きを緩めた後容易に光ファイバ
束をボビンから抜き取ることができ、光ファイバ束の状
態でケースに収納することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明にかかる線状体巻付け用ボビンの実施形
態を示す図であって、(A)は線状体巻付け用ボビンの
軸心を通る平面における断面図、(B)はその鍔部を離
した時の分解断面図、(C)は線状体巻付け用ボビンの
斜視図、(D)は線状体を巻付ける場合の説明断面図で
ある。
【図2】(A)は本発明にかかる線状体巻付け用ボビン
の別の実施形態を示す軸心を通る平面における断面図で
ある。また、(B)(C)は線状体巻付け用ボビンに使
用するスペーサの斜視図と断面図である。
【図3】(A)は従来技術による線状体巻付け用ボビン
に線状体を巻付けた状態を示す断面図、(B)はスペー
サを外して線状体の巻付け状態を緩めた状態を示す断面
図である。
【図4】(A)は従来技術による線状体巻付け用ボビン
に線状体を巻付けた状態を示す斜視図、(B)は棒状ス
ペーサを外して線状体の巻付け状態を緩めた状態を示す
斜視図である。
【図5】(A)は本発明にかかる線状体巻付け用ボビン
の別の実施形態を示す斜視図である。また、(B)
(C)(D)は線状体巻き付け用ボビンの軸心と直交す
る面における断面図である。
【図6】本発明の線状体巻き付け用ボビンを用いて製造
した光学装置の一実施例を示す模式図である。
【符号の説明】
1:胴部 2:胴部を固定する側の鍔部 2’:スペーサを固定する側の鍔部 2”:鍔部2’の代替用の鍔部 3:スペーサ 3a:テーパ面 4:線状体 5:胴部 6、6’:鍔部 7:スペーサ 7a:テーパ面 7b:分割個所 7c:固定部材 α、β:テーパ面の傾斜角 21:胴部 22:鍔部 31:光ファイバ束 32:ケース 33:ゲル状コンパウンド 34:融着接続部 35:光コネクタ 36:外装ケース
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 山崎 卓 神奈川県横浜市栄区田谷町1番地 住友電 気工業株式会社横浜製作所内 (72)発明者 小林 宏平 神奈川県横浜市栄区田谷町1番地 住友電 気工業株式会社横浜製作所内 (72)発明者 鈴木 俊美 神奈川県横浜市栄区田谷町1番地 住友電 気工業株式会社横浜製作所内 (72)発明者 岡本 和弘 神奈川県横浜市栄区田谷町1番地 住友電 気工業株式会社横浜製作所内 Fターム(参考) 2H036 MA11 QA00 QA31 RA24 2H038 CA35 3F058 AA08 AB03 AC14 BB19 CA04 DA05 DB06 JA05 JA18

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 円筒状の平滑な巻付け面を有する胴部と
    その両端にそれぞれ設けた円盤状の鍔部とを有する線状
    体巻き付け用ボビンであって、前記胴部または前記鍔部
    の少なくとも一部の形状が変化することによって、前記
    線状体の巻き状態を緩める手段を有することを特徴とす
    る線状体巻き付け用ボビン。
  2. 【請求項2】 前記胴部または前記鍔部は、線状体を巻
    付けた後においても取外し可能でかつ巻付けられた線状
    体が接する側の面がテーパ面となったスペーサを、前記
    ボビンの前記胴部の上または前記鍔部の内面に具えてい
    ることを特徴とする請求項1記載の線状体巻付け用ボビ
    ン。
  3. 【請求項3】 前記鍔部の一方には前記胴部が固定され
    ており、前記鍔部の他方には前記胴部の胴径よりも内径
    が大きくかつ外径が該鍔部から離れるに従って小さくな
    った外周面がテーパ面である略円筒状のスペーサが固定
    されており、前記胴部の上に前記スペーサを重ねて嵌め
    込むことによって、前記2つの鍔部を平行状態にして胴
    部の上にスペーサを配置しそれらの両端にそれぞれ鍔部
    を設けた線状体巻付け用ボビンを組立てることが出来、
    かつ該線状体巻付け用ボビンのスペーサ上に線状体を巻
    付けた後に、前記他方の鍔部を外すことによって同時に
    前記スペーサの除去が可能であって、除去されたスペー
    サ付き鍔部の後に別に用意した鍔部を配置し、該鍔部を
    前記胴部の端に固定することが可能であることを特徴と
    する請求項2に記載の線状体巻付け用ボビン。
  4. 【請求項4】 前記スペーサは、前記鍔部の一方におけ
    る内面に沿って取外し可能に配置され、内側に孔を有す
    る円盤状の形状をしており、前記スペーサは前記内側の
    孔の径が前記胴部の胴径よりも大きい円盤状の板であっ
    て、半径方向に沿って2つに分割が可能で、かつ該スペ
    ーサは円盤の半径方向外側に行くに従って円盤の厚さを
    厚くすることによって該スペーサの線状体と接する側の
    面はテーパ面となっていることを特徴とする請求項2に
    記載の線状体巻付け用ボビン。
  5. 【請求項5】 前記円筒状の胴部が複数に分割されてお
    り、そのうちの少なくとも一つが径方向に移動可能であ
    ることを特徴とする請求項1記載の線状体巻き付け用ボ
    ビン。
  6. 【請求項6】 複数に分割された前記円筒状の胴部は、
    分割された胴部の各部が径方向に移動することによって
    その横断面が楕円状になることを特徴とする請求項5記
    載の線状体巻き付け用ボビン。
  7. 【請求項7】 前記円筒状の胴部の両端に取り付けられ
    た鍔部の少なくとも片方が取り外し可能であることを特
    徴とする請求項1から6記載の線状体巻付け用ボビン。
  8. 【請求項8】 請求項1から6のいずれかに記載の線状
    体巻付け用ボビンと、前記線状体巻付け用ボビンの胴部
    に巻き付けられた光ファイバを有することを特徴とする
    光学装置。
  9. 【請求項9】 請求項1から6のいずれかに記載の線状
    体巻付け用ボビンを使って、前記線状体巻付け用ボビン
    の胴部に光ファイバを巻付け、その後前記胴部または前
    記鍔部の少なくとも一部の形状を変化させて光ファイバ
    の巻き状態を緩め、前記ボビンから取り出した光ファイ
    バ束を、収納ケースに収納することを特徴とする光学装
    置の製造方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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US7899296B2 (en) 2007-06-21 2011-03-01 Fujitsu Limited Optical fiber reel
WO2014178347A1 (ja) * 2013-05-02 2014-11-06 三菱レイヨン株式会社 プラスチック光ファイバ及びその製造方法、並びにセンサ及びプラスチック光ファイバ巻取用ボビン

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WO2014178347A1 (ja) * 2013-05-02 2014-11-06 三菱レイヨン株式会社 プラスチック光ファイバ及びその製造方法、並びにセンサ及びプラスチック光ファイバ巻取用ボビン

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