JP2002315548A - 栄養飲料またはゼリー - Google Patents
栄養飲料またはゼリーInfo
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Abstract
く、(b)調製および投与もしくは摂取が簡単で、
(c)浸透圧の点で腸管を刺激せず、(d)易消化性、
易吸収性であまり消化管の負担とならず、(e)透明
で、低粘度でさらっとしていて摂取しやすく、かつ
(f)脂肪臭がなくて、食味がよい栄養飲料またはゼリ
ーを提供することを目的とする。 【解決手段】 (a)糖、(b)タンパク質、ペプチド
またはアミノ酸、および(c)電解質を含有し、脂肪を
実質的に含有せず、かつアミノ酸スコアが90〜100
であり、NPC/N値が50〜180であることを特徴
とする栄養飲料またはゼリー。
Description
取により、効率的にエネルギーとタンパク質と電解質の
補給ができる栄養飲料またはゼリーに関する。
に対する静脈栄養管理、特にTPN法が著しく進展した
が、一方で該静脈栄養管理においてはカテーテル合併
症、代謝性合併症またはbacterial translocationなど
が報告され、栄養管理全般に対する見直しとともに、よ
り生理的な経口・経腸栄養法の意義が再認識されるよう
になった。 従来から用いられている経口・経腸栄養剤は、自然食品
流動食、半消化態栄養剤または成分栄養剤に大別され
る。自然食品流動食は、天然食品を素材として調製され
たものであり自然食品に近いが、一般に浸透圧が高い、
流動性が悪い、残査が多いなどの欠点があり、また調製
に手間がかかることもある。半消化態栄養剤は、全ての
栄養素がバランスよく配合されており、低残査である
が、ほとんどの製品は脂肪を含有していることから脂肪
吸収障害の患者においては下痢の発生など合併症の一因
となるといった問題点がある。成分栄養剤は、消化を必
要とせず、ほとんど全ての成分が上部消化管で吸収され
残査を残さないといった特性に加えて、脂肪量が少なく
高カロリー投与が可能なことから消化器病外科の術前術
後管理には欠かせないものとなっている。しかし、味は
決して好ましくなく、また使用時に調製が必要であると
いった問題点がある。このように、既存の経口・経腸栄
養剤は、嗜好面からみると、粘性が高く、脂肪臭があ
り、かかる経口・経腸栄養剤の摂取を嫌がる患者もいる
といった問題点があった。
学的に価値が高く、(b)調製および投与もしくは摂取
が簡単で、(c)浸透圧の点で腸管を刺激せず、(d)
易消化性、易吸収性であまり消化管の負担とならず、
(e)透明で、低粘度でさらっとしていて摂取しやす
く、かつ(f)脂肪臭がなくて、食味がよい栄養飲料ま
たはゼリーを提供することを目的とする。
を達成すべく鋭意検討した結果、(a)タンパク質、ペ
プチドまたはアミノ酸を含有させ、アミノ酸スコアを9
0〜100程度に調製し、さらに(b)糖を含有させ、
NPC/N値を50〜180程度に調製することによ
り、栄養学的に価値の高い飲料またはゼリーが得られる
ことを知見した。また、脂肪を実質的に含有しないこと
により、既存の経口・経腸栄養剤のほとんどが有する独
特のにおい(脂肪臭)がなく、かつ脂肪が原因となる下
痢の発生を回避できる飲料またはゼリーが得られること
も知見した。さらに、飲料の熱量を0.2〜0.8kc
al/mL程度にすることにより、低粘度でさらっとし
ていて摂取しやすい栄養飲料またはゼリーの作製にも成
功した。本発明者らは、さらに検討を重ねて本発明を完
成した。
(b)タンパク質、ペプチドまたはアミノ酸、および
(c)電解質を含有し、脂肪を実質的に含有せず、かつ
アミノ酸スコアが90〜100であり、NPC/N値が
50〜180であることを特徴とする栄養飲料またはゼ
リー、(2)透明で、低粘度でさらっとしていて摂取し
やすく、かつ脂肪臭がなくて、食味がよい前記(1)に
記載の栄養飲料またはゼリー、(3)浸透圧が200〜
440mOsm/Lであることを特徴とする前記(1)
または(2)に記載の栄養飲料またはゼリー、(4)1
mLあたりのカロリーが0.2〜0.8kcalである
ことを特徴とする前記(1)〜(3)に記載の栄養飲料
またはゼリー、
/またはコラーゲンペプチドを用いることを特徴とする
前記(1)〜(4)に記載の栄養飲料またはゼリー、
(6)さらに、アミノ酸として、メチオニン、ヒスチジ
ン、イソロイシンおよびトリプトファンを含有すること
を特徴とする前記(5)に記載の栄養飲料またはゼリ
ー、(7)さらに、ビタミンB1および/または食物繊
維を含有することを特徴とする前記(1)〜(6)に記
載の栄養飲料またはゼリー、(8)アミノ酸スコアが1
00で、かつNPC/N値が50〜155である脂肪を
含まない栄養飲料またはゼリー、
養飲料またはゼリー、 糖質:80〜130g/L タンパク質および/またはペプチド:10〜20g/L 食物繊維:5〜15g/L Na:30〜40mEq/L K:15〜25mEq/L Mg:1〜10mEq/L Cl:30〜40mEq/L Ca:0〜10mEq/L P:1〜10mmol/L ビタミンB1:0.8〜1.4mg/L
栄養飲料またはゼリー、 デキストリン:80〜130g/L コラーゲンおよび/またはコラーゲンペプチド:10〜
20g/L メチオニン:140〜170mg/L ヒスチジン:190〜215mg/L トリプトファン:80〜100mg/L イソロイシン:0〜30mg/L 難消化性デキストリン:8〜12g/L Na:30〜40mEq/L K:15〜25mEq/L Mg:1〜10mEq/L Cl:30〜40mEq/L Ca:0〜10mEq/L P:1〜10mmol/L ビタミンB1:0.8〜1.4mg/L (11)カート缶に充填されている前記(1)〜(1
0)のいずれかに記載の栄養飲料、に関する。
(b)タンパク質、ペプチドまたはアミノ酸、および
(c)電解質を含有し、脂肪を実質的に含有せず、かつ
アミノ酸スコアが90〜100であり、NPC/N値が
100〜180であることを特徴とする栄養飲料または
ゼリー、(13)透明で、低粘度でさらっとしていて摂
取しやすく、かつ脂肪臭がなくて、食味がよい前記(1
2)に記載の栄養飲料またはゼリー、(14)浸透圧が
200〜440mOsm/Lであることを特徴とする前
記(12)または(13)に記載の栄養飲料またはゼリ
ー、(15)1mLあたりのカロリーが0.2〜0.8
kcalであることを特徴とする前記(12)〜(1
4)に記載の栄養飲料またはゼリー、
チドをタンパク源として用いることを特徴とする前記
(12)〜(15)に記載の栄養飲料またはゼリー、
(17)さらに、アミノ酸として、メチオニン、ヒスチ
ジンおよびトリプトファンを含有することを特徴とする
前記(16)に記載の栄養飲料またはゼリー、(18)
さらに、ビタミンB1および/または食物繊維を含有す
ることを特徴とする前記(12)〜(17)に記載の栄
養飲料またはゼリー、(19)アミノ酸スコアが100
で、かつNPC/N値が120〜155である脂肪を含
まない栄養飲料またはゼリー、
栄養飲料またはゼリー、 糖質:80〜130g/L タンパク質:10〜20g/L 食物繊維:5〜15g/L Na:30〜40mEq/L K:15〜25mEq/L Mg:1〜10mEq/L Cl:30〜40mEq/L Ca:0〜10mEq/L P:1〜10mmol/L ビタミンB1:0.8〜1.4mg/L
栄養飲料またはゼリー、 デキストリン:80〜130g/L コラーゲン:10〜20g/L メチオニン:140〜170mg/L ヒスチジン:190〜215mg/L トリプトファン:80〜100mg/L 難消化性デキストリン:8〜12g/L Na:30〜40mEq/L K:15〜25mEq/L Mg:1〜10mEq/L Cl:30〜40mEq/L Ca:0〜10mEq/L P:1〜10mmol/L ビタミンB1:0.8〜1.4mg/L (22)カート缶に充填された前記(12)〜(21)
のいずれかに記載の栄養飲料、に関する。
ーに含有されている糖としては、単糖類、二糖類、オリ
ゴ糖類または多糖類のいずれを用いてもよい。具体的に
は、例えば、単糖類としては、ブドウ糖、果糖もしくは
ガラクトース、糖アルコール、マンニトール、キシリト
ール、イノシトールまたはソルビトールなどが挙げられ
る。二糖類としては、例えば、ショ糖、乳糖、麦芽糖ま
たはトレハロースなどが挙げられる。オリゴ糖類として
は、3〜6単位程度の上記単糖類の重合体が挙げられ
る。多糖類としては、例えば、分子量約1,500〜1
00,000のデキストリンまたはヒドロキシエチル澱
粉などが挙げられる。これらは、単独で用いてもよい
し、2種以上を混合して用いてもよい。本発明において
は、中でもデキストリンもしくはトレハロースまたはこ
れらの混合物を用いるのが好ましい。本発明に係る栄養
飲料またはゼリーにおける糖質の含有量としては特に限
定されないが、80〜130g/L程度が好ましい。
タンパク源が含有されていることが特徴であって、タン
パク源としては、タンパク質、ペプチドまたはアミノ酸
が挙げられる。本発明に係る栄養飲料またはゼリーに含
有されているタンパク質としては特に限定されず、例え
ばカゼインもしくは乳清などの動物性タンパクまたは大
豆タンパクなどの植物性タンパクなどを単独で用いても
よいし、2種以上を混合して用いてもよい。本発明にお
いては、タンパク質がコラーゲンである栄養飲料または
ゼリーが好ましい態様として挙げられる。本発明に係る
栄養飲料またはゼリーには、上記タンパク質の部分加水
分解物が含有されていてもよい。該タンパク質の部分加
水分解物としては、例えば、約2〜10個のアミノ酸か
らなるオリゴペプチド、約10〜100個のアミノ酸か
らなるポリペプチド、約100個以上のアミノ酸からな
るマクロペプチドなどのペプチドが挙げられる。本発明
においては、ポリペプチドの1種であるコラーゲンペプ
チドを用いるのが好ましい。すなわち、ペプチドがコラ
ーゲンペプチドである栄養飲料またはゼリーが好ましい
態様として挙げられる。
アミノ酸を含有させてもよい。アミノ酸としては、必須
アミノ酸または非必須アミノ酸などの各種アミノ酸が挙
げられる。アミノ酸としては、具体的には、例えば、イ
ソロイシン、ロイシン、バリン、リジン、メチオニン、
フェニルアラニン、トレオニン、トリプトファン、アル
ギニン、ヒスチジン、グリシン、アラニン、プロリン、
アスパラギン酸、セリン、チロシン、グルタミン酸、シ
ステイン、タウリンまたはカルニチンなどが挙げられ
る。これらのアミノ酸は、必ずしも遊離アミノ酸の形で
含有されている必要はなく、無機酸塩(例えば、L−リ
ジン塩酸塩等)、有機酸塩(例えば、L−リジン酢酸
塩、L−リジンリンゴ酸塩等)、生体内で加水分解可能
なエステル体(例えば、L−チロシンメチルエステル、
L−メチオニンメチルエステル、L−メチオニンエチル
エステル等)、N−置換体(例えば、N−アセチル−L
−トリプトファン、N−アセチル−L−システイン、N
−アセチル−L−プロリン等)などの形で含有されてい
てもよい。
ミノ酸スコアが90〜100程度であることが好まし
く、より好ましくは100であることが好適である。こ
こで、アミノ酸スコアは、アミノ酸組成に基づくタンパ
ク質等の栄養価を表し、アミノ酸スコアが高いほど摂取
したタンパク質等が効率よく体内で利用される。アミノ
酸スコアは、1985年(FAO/WHO)の成人のア
ミノ酸評点パターンに基づき、公知の式(例えば、改訂
日本食品アミノ酸組成表 昭和61年 大蔵省印刷局
発行 213〜217頁)から容易に算出される。
チドおよびアミノ酸を組み合わせて用いてもよい。特
に、タンパク質またはペプチドのみではアミノ酸スコア
が低い場合、必須アミノ酸をさらに含有させるのが好ま
しい。例えば、本発明に係る栄養飲料またはゼリーの好
ましい態様として、タンパク質としてコラーゲン、およ
び/またはペプチドとしてコラーゲンペプチドを含有
し、さらに必須アミノ酸であるメチオニン、ヒスチジ
ン、イソロイシンおよびトリプトファンが含有されてい
る栄養飲料またはゼリーが挙げられる。本発明に係る栄
養飲料またはゼリーにおけるタンパク質の含有量として
は特に限定されないが、10〜20g/Lが好ましい。
本発明におけるより好ましい態様としては、コラーゲン
および/またはコラーゲンペプチドが10〜20g/
L、メチオニンが140〜170mg/L、ヒスチジン
が190〜215mg/L、イソロイシンが0〜30m
g/L、トリプトファンが80〜100mg/L程度含
有されている栄養飲料またはゼリーが挙げられる。
解質を含有していることが好ましい。電解質として、生
体の機能や体液の電解質バランスを維持する上で必要と
される各種無機成分を含有していることが好ましい。こ
のような無機成分としては、具体的には、例えば、ナト
リウム、カリウム、カルシウム、マグネシウム、亜鉛、
鉄、銅、マンガン、ヨウ素またはリン等が挙げられる。
これらは、無機電解質成分として含有されていても良い
し、有機電解質成分として含有されていてもよい。無機
電解質成分としては、例えば、塩化物、硫酸化物、炭酸
化物、リン酸化物などのアルカリ金属またはアルカリ土
類金属の塩類が挙げられる。また、有機電解質成分とし
ては、有機酸、例えばクエン酸、乳酸、アミノ酸(例え
ば、グルタミン酸、アスパラギン酸など)、アルギン
酸、リンゴ酸またはグルコン酸と、無機塩基、例えばア
ルカリ金属またはアルカリ土類金属との塩類が挙げられ
る。本発明に係る栄養飲料またはゼリーにおける電解質
の含有量としては特に限定されないが、例えば、Naが
30〜40mEq/L、Kが15〜25mEq/L、M
gが1〜10mEq/L、Clが30〜40mEq/
L、Caが0〜10mEq/L、Pが1〜10mmol
/L程度含まれていることが、電解質の補給という点、
ならびに栄養飲料またはゼリーの安定性および緩衝性の
点から好ましい。
らにビタミンB1類を含有していることが好ましい。ビ
タミンB1は解糖系の補酵素であるから、本発明に係る
栄養飲料またはゼリーにビタミンB1を含有させること
により、糖代謝を円滑に行わせ、栄養飲料またはゼリー
に含有されている糖を効率よくエネルギーに替えること
ができるという利点がある。ビタミンB1類として、ビ
タミンB1の誘導体であっていわゆる活性型ビタミン
(例えば、ビタミンB1硝酸塩またはフルスルチアミン
など)を使用してもよい。ビタミンB1類の含有量とし
ては0.8〜1.4mg/L程度が好ましい。
らに食物繊維を含有していることが好ましい。本発明に
係る栄養飲料またはゼリーに食物繊維を含有させること
により、腸内細菌叢の改善、腸粘膜萎縮の抑制、便性状
の改善を図ることができる。本発明に係る栄養飲料また
はゼリーは易消化性および易吸収性であまり消化管の負
担とならないことが特徴であるが、このような難消化性
の食物繊維を含有させることにより、術後における普通
食への切替えをスムーズに行わせることができるという
利点がある。該食物繊維としては特に限定されないが、
具体的には、例えば、難消化性デキストリン、ポリデキ
ストロース等の水溶性食物繊維、セルロース等の不溶性
食物繊維のうちから一種以上を用いるのが好ましい。該
食物繊維の含有量としては、1〜20g/L程度、好ま
しくは5〜15g/L程度、より好ましくは8〜12g
/L程度である。
肪を実質的に含有していないことが特徴である。したが
って、脂肪性下痢は発生せず、高脂血症等により脂肪摂
取が制限されている患者に対しても投与または摂取させ
ることができるという利点がある。また、脂肪を実質的
に含有していない本発明に係る栄養飲料またはゼリー
は、広範囲腸切除例の初期治療にも有用である。また、
脂肪を実質的に含有していないことから、脂肪臭がなく
て食味がよい。既存の経口栄養剤のほとんどは脂肪を含
み、独特の脂肪臭とあいまって服用することができない
かまたは服用することを拒否する患者も多数いるのが現
状である。したがって、本発明の上記特徴は患者の嗜好
に応じて経口栄養剤を選択することができるようになる
など経口栄養剤の選択の幅が広がり有用である。
は、所望により上記成分以外にも各種の栄養素、ビタミ
ン類、合成香料もしくは天然香料等の香料、着色料、酸
化防止剤、チーズやチョコレート等の風味物質または合
成甘味料等を添加配合してもよい。また、本発明にかか
る栄養飲料またはゼリーを果汁飲料もしくはゼリーまた
は野菜飲料もしくはゼリー等とするため、天然果汁や果
肉等を添加してもよい。上記添加物は、単独で用いても
よいし、任意の2種以上を組み合わせて用いてもよい。
上記添加物の配合割合は特に限定されるものではない
が、例えば本発明にかかる栄養飲料またはゼリー100
重量部に対して0〜20重量部程度の範囲から選択する
ことができる。
にゲル化剤として、寒天、ゼラチン、カラギナン、ジェ
ランガム、キサンタンガム、ローカストビーンガム、ペ
クチン、アルギン酸ナトリウム、アルギン酸カリウム、
その他通常使用し得る増粘多糖類の一種以上を用いるこ
とができる。好ましくは、寒天、カラギナン、キサンタ
ンガム、ローカストビーンガムのうち1種以上を用い
る。これらゲル化剤の配合割合は、本発明にかかる栄養
ゼリー100重量部に対して約2重量部程度以下の割合
が好ましい。
しい態様として、下記成分を含む栄養飲料またはゼリー
が挙げられる。すなわち、(a)糖質:80〜130g
/L、(b)タンパク質および/またはペプチド:10
〜20g/L、(c)食物繊維:5〜15g/L、
(d)Na:30〜40mEq/L(e)K:15〜2
5mEq/L、(f)Mg:1〜10mEq/L、
(g)Cl:30〜40mEq/L、(h)Ca:0〜
10mEq/L、(i)P:1〜10mmol/L、
(j)ビタミンB1:0.8〜1.4mg/Lを含む栄
養飲料またはゼリーである。
好ましい態様として、下記成分を含む栄養飲料またはゼ
リーが挙げられる。すなわち、(a)デキストリン:8
0〜130g/L、(b)コラーゲンおよび/またはコ
ラーゲンペプチド:10〜20g/L、(c)メチオニ
ン:140〜170mg/L、(d)ヒスチジン:19
0〜215mg/L、(e)イソロイシン:0〜30m
g/L、(f)トリプトファン:80〜100mg/
L、(g)難消化性デキストリン:8〜12g/L、
(h)Na:30〜40mEq/L、(i)K:15〜
25mEq/L、(j)Mg:1〜10mEq/L、
(k)Cl:30〜40mEq/L、(l)Ca:0〜
10mEq/L、(m)P:1〜10mmol/L、
(n)ビタミンB1:0.8〜1.4mg/Lを含む栄
養飲料またはゼリーである。
ては、NPC/N値が50〜180程度であることが好
ましく、より好ましくは50〜155程度である。糖質
の窒素節約作用によりタンパク質を効率よく利用できる
ようにするために、NPC/N値はかかる範囲が好まし
い。ここで、NPC/N値は、非タンパク質熱量/窒素
量のことであり、次式により算出される。 〔数式1〕 NPC/N値=タンパク質以外の成分の総カロリー(k
cal)/含有窒素量(g)
においては、その浸透圧が好ましくは200〜440m
Osm/L程度、より好ましくは250〜350mOs
m/L程度、さらに好ましくは250〜320mOsm
/L程度である。この範囲の浸透圧は体液の浸透圧に近
く、本発明にかかる栄養飲料またはゼリーが吸収されや
すいからである。また、あまり浸透圧が高いと栄養飲料
またはゼリーを摂取または投与したときに下痢の発生が
問題となるため、上記範囲が好ましい。
mLあたりのカロリーが0.2〜0.8kcalである
ことも好ましい。市販の濃厚流動栄養食は1kcal/
mL以上であるが、1mLあたりのカロリーをその程度
高くすると粘度が上がり、また浸透圧が上昇し、下痢発
生の可能性が高い。また、かかる濃厚流動栄養食は、粘
度が高いため、特に高齢者や乳幼児にとっては摂取しに
くい。しかし、本発明に係る栄養飲料またはゼリーのよ
うに、1mLあたりのカロリーを0.2〜0.8kca
lにすると、浸透圧の上昇に伴う下痢の発生を回避で
き、また低粘度でさらっとしていて摂取しやすい。より
具体的には、栄養飲料の場合、粘度が5mPa・s以下
のものが好ましい。
多いことから「摂取しやすい」ということは経口栄養剤
にとって重要である。さらに、本発明に係る栄養飲料ま
たはゼリーのように1mLあたりのカロリーが濃厚流動
栄養食より低くても有用性および利用価値は十分にあ
る。例えば、術後TPNから経腸栄養剤または経口食へ
の移行時においては、低濃度栄養剤から徐々に濃度を上
げていく必要があるため、TPNや静脈栄養から経腸栄
養や経口食へのつなぎとして本発明に係る栄養飲料また
はゼリーは使用できる。特に、従来はTPNから経腸栄
養剤に移行する時に、一般の経腸栄養剤を水で希釈して
いたが、その場合、低電解質となり、低Na血漿などを
引き起こすこともあった。しかし、本発明に係る栄養飲
料を投与することによりそのような問題点は解決でき
る。また、一般に高齢者では生理機能が低下しているの
で、本発明に係る栄養飲料またはゼリーのように低濃度
の方が順応し易いという利点もある。
製方法は特に制限されるものではなく、全ての成分を同
時に混合してもよく、またいずれかの成分を別個に混合
して調製された混合物に他の成分または他の成分の混合
物を添加混合して調製してもよい。上記各成分の混合操
作は、常温下に実施することもでき、また若干の加温下
に実施することもできる。このように、本発明にかかる
栄養飲料またはゼリーは、上記成分全てが予め製品(飲
料またはゼリー)に含まれているため用時調製の必要が
ないという利点を有するが、所望によっては用時調製し
ても支障はない。
ては、その包装形態は特に問わず、自体公知の形態をと
ってよいが、ベッドサイドで摂取し易い形態とするのが
好ましい。具体的には、例えば栄養飲料の場合、取り扱
いがしやすく、リサイクル可能なカート缶の包装形態が
好適である。
口投与または摂取できるため、一部の高齢者または新生
児・乳児などの注射が不可能な患者、即ち静脈血管が確
保できない患者に対しても投与等ができるという利点が
ある。また、注射を嫌がる患者に対して本発明に係る栄
養飲料またはゼリーを経口投与することにより、注射を
避けることができ、コンプライアンスの向上を図ること
もできる。
記のような特徴から、経口摂取不十分で軽度の低タンパ
ク血漿または軽度の低栄養状態にある患者に投与しまた
は摂取させることが好ましい。本発明に係る栄養飲料ま
たはゼリーの使用の態様として、具体的には、術後TP
N施行時から経口栄養への移行時にTPNと併用するた
めの栄養補助剤として使用するという態様を好ましい例
として挙げることができる。また、術後早期の短期栄養
管理、腸内清浄化を要する疾患の短期栄養管理、または
消化不全症候群・膵疾患での短期栄養管理の目的に使用
するという態様も挙げられる。さらに、本発明に係る栄
養飲料またはゼリーは、このようにいわゆる病人に対し
て適用するだけでなく、日常の生活において水分補給な
らびにタンパク補助食品としても摂取できる。
水800mLに溶解し、撹拌後さらに蒸留水を加え全量
を1Lとした。該溶液を130℃で5秒間滅菌し、93
℃まで冷却後カート缶に充填し、本発明に係る栄養飲料
を得た。かかる栄養飲料の浸透圧は300mOsm、N
PC/N値は124、アミノ酸スコアは100であっ
た。
いて、実施例1と同様にして本発明に係る栄養飲料を製
造した。かかる栄養飲料の浸透圧は315mOsm、N
PC/N値は151、アミノ酸スコアは100であっ
た。
下記表のとおりとなる。
寒天3.0gを、蒸留水800mLに溶解し攪拌後さら
に蒸留水を加え全量を1Lとした。該溶液を80℃で5
分間かけ粉末寒天を溶かした後チアバックに充填し95
℃で33分滅菌して本発明にかかる栄養ゼリーを得た。
(以下、「OS−2」という)を用いて以下の試験を行
った。比較例として、タンパク質を全く含まない輸液で
あるソリタT3G(商品名扶桑薬品株式会社製)および
糖・電解質・アミノ酸輸液であるアミノフリード(商品
名 株式会社大塚製薬工場製)を用いた。これら被検液
の組成を比較すると下記表のようになる。
ネシウム、Caはカルシウム、Znは亜鉛、Pはリン、
Clは塩素を表す。)
性ラット(13週齢、日本エスエルシー株式会社より購
入)を使用した。ラットは、温度21.6〜22.9
℃、湿度41.9〜61.4%、照明時間12時間/日
(7:00〜19:00)に設定した飼育室で、固形飼
料(F−2、船橋農場製)を自由に摂餌させ、水は水道
水を自由に摂水させて飼育した。動物は入荷後3日以上
経過し、一般状態の良好なものを使用した。
アミノフリード群として上記ラット10頭を、OS−2
群として上記ラット10頭を用いた。urethane(キシダ
化学製)1.0g/kgを皮下注射(s.c.)にて投
与し麻酔した。また、ソリタT3G群およびアミノフリ
ード群については、ソリタT3Gまたはアミノフリード
の持続注入用に大腿静脈内にカテーテルを挿入留置し
た。一方、OS−2群についてはOS−2の持続注入用
に胃内にカテーテルを挿入留置した。5日間は市販固形
飼料(F−2、船橋農場製)および水を自由摂取させ
た。その後、7日間はタンパク質含有量が3重量%の低
タンパク固形試料を1日19gの割合で与えた。その
後、絶水絶食させ、ソリタT3G群およびアミノフリー
ド群については、ソリタT3Gまたはアミノフリードを
大腿静脈内に10mL/kg/hrの速度で、5日間連
続投与した。また、OS−2群については、絶水絶食さ
せ、OS−2を胃内に10mL/kg/hrの速度で、
5日間連続投与した。
検液投与期間中、1日ごとに体重、尿量、尿中窒素量お
よび尿量電解質量を測定した。以下に、その結果を示
す。 (1)体重について 被検液投与期間中の体重の変化を図1に示す。被検液投
与による体重の変化は、ソリタT3G群で67gの減少
(変動率:−16.9%)、アミノフリード群で31g
の減少(変動率:−7.8%)、OS−2群で15gの
減少(変動率:−3.7%)であった。ここで、変動率
は次式により算出される。 〔数式2〕 変動率(%)={体重の増加量(g)/投与前の体重
(g)}×100
161mg/kg/dayと負の値を示したのに対し、
アミノフリード群で269±119mg/kg/da
y、OS−2群で135±106mg/kg/dayと
正の値を示した。ここで、数値は平均値±標準偏差を表
す。また、窒素出納は次式により算出される。 〔数式3〕 窒素出納(mg/kg/day)=投与窒素量(mg/kg/day)−尿
中窒素量(mg/kg/day) また、投与期間中のタンパク利用率は、OS−2群で7
8.0%であり、アミノフリード群の62.3%と比べ
有意に高値を示した。ここで、タンパク利用率は、次式
により算出される。 〔数式4〕 タンパク利用率(%)={投与窒素量−(尿中窒素量−
ソリタT3G群の尿中窒素量)}×100/投与窒素量 (数式中、窒素量の単位は、mg/kg/dayであ
る。)
群はソリタT3G群およびアミノフリード群に比較し有
意に少なく、水分出納は有意に多かった。なお、水分出
納は次式により算出される。 〔数式5〕 水分出納(ml/kg/day)=投与量(ml/kg/day)−尿量
(ml/kg/day)
T3G群との比較でp<0.01でありソリタT3G群
と有意差があることを示し、#はアミノフリード群との
比較でp<0.01でありアミノフリード群と有意差が
あることを示す。)
納において負の値を示した。一方、アミノフリード群
は、全ての電解質出納において正の値を示した。OS−
2群は、全ての電解質出納において正の値を示し、アミ
ノフリード群に比較し有意に多かった。なお、電解質出
納は次式により算出される。 〔数式6〕 電解質出納(mmol/kg/day)=投与電解質量(mmol/kg/day)
−尿中の電解質量(mmol/kg/day)
T3G群との比較でp<0.01でありソリタT3G群
と有意差があることを示し、#はアミノフリード群との
比較でp<0.01でありアミノフリード群と有意差が
あることを示す。)
投与によって、糖・電解質・アミノ酸輸液の静脈内投与
とほぼ同様の効果が得られることがわかった。
いては、アミノ酸スコアおよびNPC/N値が適切に調
製されているので、栄養飲料またはゼリーに含まれるタ
ンパク質が効率よく吸収され、かつ吸収されたタンパク
質が体内で効率よく利用される。本発明に係る栄養飲料
またはゼリーにおいては、脂肪を実質的に含有していな
いので、脂肪性下痢の発生を抑えることができるととも
に、脂肪の含有による独特のにおい(脂肪臭)がなく摂
取しやすい。したがって、患者は嗜好に応じて経口・経
腸栄養剤を選択することができるようになる。これによ
り、経口栄養剤の投与が行いやすくなり、その結果、術
後普通食への移行がスムーズに行えるようになる。
含有しているので、本発明に係る栄養飲料またはゼリー
の摂取によりエネルギーの補給ができる。好ましくはビ
タミンB1をさらに含有させることにより糖代謝を効率
よく行わせることができるため、上記エネルギー補給が
より効率的に行われる。また、本発明に係る栄養飲料ま
たはゼリーは電解質を含有しているので、電解質の補給
ができるとともに、栄養飲料においては浸透圧を体液と
ほぼ等張に調製することができるので浸透圧が高いこと
による下痢の発生も抑えることもできる。さらに、本発
明に係る栄養飲料またはゼリーは1mLあたりのカロリ
ーが0.2〜0.8kcalであるため、粘性が低くさ
らりとして摂取しやすい。
化を示す。図中、塗りつぶしのひし形はソリタT3G群
の体重変化を表し、白抜きの四角はアミノフリード群の
体重変化を表し、塗りつぶしの丸はOS−2群の体重変
化を表す。また、*はソリタT3G群との比較において
p<0.05であり、**はp<0.01であることを
示す。
Claims (11)
- 【請求項1】 (a)糖、(b)タンパク質、ペプチド
またはアミノ酸、および(c)電解質を含有し、脂肪を
実質的に含有せず、かつアミノ酸スコアが90〜100
であり、NPC/N値が50〜180であることを特徴
とする栄養飲料またはゼリー。 - 【請求項2】 透明で、低粘度でさらっとしていて摂取
しやすく、かつ脂肪臭がなくて、食味がよい請求項1に
記載の栄養飲料またはゼリー。 - 【請求項3】 浸透圧が200〜440mOsm/Lで
あることを特徴とする請求項1または2に記載の栄養飲
料またはゼリー。 - 【請求項4】 1mLあたりのカロリーが0.2〜0.
8kcalであることを特徴とする請求項1〜3に記載
の栄養飲料またはゼリー。 - 【請求項5】 タンパク源としてコラーゲンおよび/ま
たはコラーゲンペプチドを用いることを特徴とする請求
項1〜4に記載の栄養飲料またはゼリー。 - 【請求項6】 さらに、アミノ酸として、メチオニン、
ヒスチジン、イソロイシンおよびトリプトファンを含有
することを特徴とする請求項5に記載の栄養飲料または
ゼリー。 - 【請求項7】 さらに、ビタミンB1および/または食
物繊維を含有することを特徴とする請求項1〜6に記載
の栄養飲料またはゼリー。 - 【請求項8】 アミノ酸スコアが100で、かつNPC
/N値が50〜155である脂肪を含まない栄養飲料ま
たはゼリー。 - 【請求項9】 下記成分を含むことを特徴とする栄養飲
料またはゼリー。 糖質:80〜130g/L タンパク質および/またはペプチド:10〜20g/L 食物繊維:5〜15g/L Na:30〜40mEq/L K:15〜25mEq/L Mg:1〜10mEq/L Cl:30〜40mEq/L Ca:0〜10mEq/L P:1〜10mmol/L ビタミンB1:0.8〜1.4mg/L - 【請求項10】 下記成分を含むことを特徴とする栄養
飲料またはゼリー。 デキストリン:80〜130g/L コラーゲンおよび/またはコラーゲンペプチド:10〜
20g/L メチオニン:140〜170mg/L ヒスチジン:190〜215mg/L トリプトファン:80〜100mg/L イソロイシン:0〜30mg/L 難消化性デキストリン:8〜12g/L Na:30〜40mEq/L K:15〜25mEq/L Mg:1〜10mEq/L Cl:30〜40mEq/L Ca:0〜10mEq/L P:1〜10mmol/L ビタミンB1:0.8〜1.4mg/L - 【請求項11】 カート缶に充填されている請求項1〜
10のいずれかに記載の栄養飲料。
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