JP2002314198A - 半導体レーザ - Google Patents

半導体レーザ

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JP2002314198A
JP2002314198A JP2001115174A JP2001115174A JP2002314198A JP 2002314198 A JP2002314198 A JP 2002314198A JP 2001115174 A JP2001115174 A JP 2001115174A JP 2001115174 A JP2001115174 A JP 2001115174A JP 2002314198 A JP2002314198 A JP 2002314198A
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light emitting
nitride semiconductor
semiconductor laser
semiconductor layer
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Shiro Uchida
史朗 内田
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Sony Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 簡易な構成で高出力を達成することが可能な
III−V族窒化物半導体層からなるマルチビームの半
導体発光素子を提供する。 【解決手段】 基板1の上にバッファ層2、種結晶層3
が形成され、その上に帯状の成長抑止層4A,開口部4
Bが所定の間隔で交互に設けられている。更にその上に
は、横方向成長技術により開口部4Bから成長させたG
aNの窒化物半導体層5が形成されている。窒化物半導
体層5には、横方向成長領域を含む低欠陥部分と、開口
部4Bの上部と会合部Mに発生する貫通転位D1 ,D2
を含んだ高欠陥領域とが存在する。これらは、成長抑止
層4Aの間隔に従って周期的に形成されている。このう
ち低欠陥部分の上に発光部20が所定の間隔で周期的に
形成され、高欠陥部分を除去したところへn側電極14
が形成されている。この発光部20は、p側電極13を
マスクとしたエッチングにより一度に形成される。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、窒化物系III−
V族化合物よりなる半導体レーザに係り、特に、複数の
発光部を有する半導体レーザに関する。
【0002】
【従来の技術】GaN,AlGaN混晶あるいはGaI
nN混晶などに代表される窒化物系III−V族化合物
は、そのいずれもが直接遷移型の半導体である。しか
も、この系においては、バンドギャップは室温で1.9
eV〜6.2eVと広範にわたり、これに対応して紫外
域から可視全域に対する発光が得られることから、半導
体レーザ(Laser Diode;LD)の材料として注目されて
いる。
【0003】この半導体レーザは、基板上に気相成長法
を用いて積層された窒化物系III−V族化合物半導体
層により発光部が構成されている。その場合の基板に
は、通常、窒化物系III−V族化合物とは異なる材質
のものが用いられており、主にサファイア(α−Al2
3 )基板が使用されている。しかし、サファイアと窒
化物系III−V族化合物とは格子定数や熱膨張係数の
差が大きく、窒化物系III−V族化合物層には基板と
の歪みを緩和するために転位などの格子欠陥が発生す
る。実際、欠陥密度は1010〜1011cm-2と非常に高
いものとなり、欠陥部分は、電子と正孔とが再結合して
も発光しない非発光中心あるいは電流リーク箇所となる
ことから、素子の特性を損なう要因となっていた。
【0004】こうした結晶欠陥を低減させる方法とし
て、近年、横方向成長により結晶層を形成する技術が注
目されている。その例として、下地となる窒化物半導体
層の上に開口部を有するマスクを形成し、開口部から表
出する窒化物半導体層を基礎として窒化物半導体を成長
させる方法が挙げられる。その際に成長条件を選べば、
開口部から上方に成長する縦方向成長に比べて、開口部
からマスクに沿って水平方向に成長する横方向成長のほ
うが速度が速くなり、結晶は主に横方向に成長する。そ
して最終的には、横方向成長した結晶同士が会合し、1
つの層が形成される。このようにして形成された層にお
いては、開口部の真上にあたる領域および会合部では基
礎となる層からの転位が層内を貫通するように伝播する
ものの、横方向成長領域では転位も横方向に屈曲するた
めに上層部へ伝播することは少ない。よって、その上に
成長させる窒化物半導体層に伝播する転位が少なくな
り、全体として低欠陥の半導体層を積層することができ
る。
【0005】その他、サファイア基板上に窒化物系II
I−V族化合物からなる凸状の結晶部を設け、結晶部を
基礎としてその間の離間部に結晶を成長させる技術が提
案されている。この場合も横方向成長が支配的であるよ
うに成長条件を設定して、結晶部の側面側から積層方向
とは異なる方向に成長させることにより前述の方法と同
様な横方向成長領域が形成される。
【0006】こうして形成される窒化物半導体層では、
横方向成長領域の欠陥密度を104〜106 cm-2にま
で低減させ、その上面付近を実質的に無転位とすること
も可能である。そこで、これらの技術によって得られる
良質な窒化物系III−V族化合物結晶を用いて発光素
子の特性を向上させることが望まれているが、そのよう
な場合であっても、横方向成長領域以外の領域に生じる
貫通転位が素子特性の劣化を招いていた。
【0007】以上のような欠陥に由来する問題は、サフ
ァイア基板などに代えてGaN等の窒化物系III−V
族化合物基板を使用することにより軽減されると考えら
れ、近年になって検討が進んでいる。窒化物系III−
V族化合物よりなる基板は、例えば、サファイアなどよ
りなる成長用基体の上に成長させた後、成長用基体から
分離することにより製造される。この窒化物系III−
V族化合物基板を用いるようにすれば、上述の問題を解
決出来ると共に、サファイア基板に比して優れた熱伝導
性を得ることができ、素子駆動時に効率よく熱を放散す
ることができるという利点がある。また、不純物を添加
して導電性を付与することで基板の裏面に電極を設ける
ことが可能となり、素子サイズが縮小される等の利点を
持つ。但し、欠陥密度が106 cm-2台以下であるよう
な、充分に結晶性が良好である窒化物系III−V族化
合物基板は未だ開発されておらず、この種の基板を用い
る場合においてもやはり横方向成長技術を利用して結晶
欠陥を低減させることが必要となっている。
【0008】なお、基板表面の結晶性を均一にするため
に、これらの技術では、通常、複数設けられる種結晶や
マスクは数μm単位の周期構造となっており、転位もそ
れに伴って周期的に生じている。そのため、基板上面の
転位の少ない領域を選択することは可能であり、半導体
レーザ等の発光素子(厳密には発光領域を含むストライ
プ部分)をこのような低欠陥領域上に形成することがで
きた。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、高出力
のレーザを作製するにあたり、高出力化のために発光部
を例えばストライプ幅が10μm程度もあるワイドスト
ライプに設計する場合には、マスクの開口部や結晶部の
上部に存在する貫通転位を完全に避けて発光部を形成す
ることは実質上困難であった。そのため、転位に起因す
る非発光再結合などによる素子特性の劣化、とりわけ発
光出力の低下を招く結果となり、ワイドストライプレー
ザにより100mW以上の高出力を得ることは困難であ
った。
【0010】なお、1つの基板上に複数の発光部を作り
付けたマルチビームレーザは、従来よりプリンタ用途な
どに開発されてきているが、他に抜きんでて優れた特徴
を有する(反面、良質の結晶を得ることが難しい)窒化
物系III−V族化合物がマルチビームレーザに用いら
れることはほとんどなく、また、窒化物系III−V族
化合物のマルチビームレーザであって、例えば100m
W以上であるような高出力レーザが得られることもなか
った。
【0011】本発明はかかる問題点に鑑みてなされたも
ので、その目的は、簡易な構成で高出力を達成すること
が可能な窒化物系III−V族化合物からなるマルチビ
ームの半導体レーザを提供することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】本発明による半導体レー
ザは、窒化物系III−V族化合物よりなり、結晶部と
離間部とを有する種結晶部と、この種結晶部を基に形成
された低欠陥領域、および、種結晶部の離間部に対応す
る領域に形成された会合部を含む窒化物半導体層と、各
々、前記窒化物半導体層の低欠陥領域に対応して電流注
入領域を有する複数の発光部とを備えている。
【0013】本発明による半導体レーザでは、全ての発
光部が窒化物半導体層の低欠陥領域の上部に設けられる
ので、個々の発光部は欠陥の影響を避けて材料の本来的
な発光出力で発光する。
【0014】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態につい
て、図面を参照して詳細に説明する。
【0015】[第1の実施の形態]図1は本発明の第1
の実施の形態に係る半導体レーザの構成を表したもので
あり、図2は図1の部分拡大図である。この半導体レー
ザは、窒化物半導体層5の上に発光部20が複数設けら
れた構造をしている。ここで、基板1は、例えばサファ
イアからなり、そのc面上にバッファ層2が設けられて
いる。バッファ層2は、種結晶層3を成長させる際の核
となるものであり、例えば、厚みが0.01μm〜2.
0μmの不純物を添加しないundope−GaNからなる。
【0016】種結晶層3は、窒化物系III−V族化合
物からなっている。ここでいう窒化物系III−V族化
合物とは、ガリウム(Ga),アルミニウム(Al),
ホウ素(B)あるいはインジウム(In)等のIII族
元素群のうちの少なくとも1種とV族元素のうちの少な
くとも窒素(N)とを含むものであり、具体的には、厚
みが2μmのundope−GaNからなり、図2に細線で示
したように積層方向に延びる貫通転位が108 〜109
cm-2ほど生じている。種結晶層3の上には、帯状に延
びる複数の成長抑止層4Aが設けられ、互いに隣接する
成長抑止層4Aの間が開口部4Bとなっている。この成
長抑止層4Aの厚みは例えば300μmであり、成長抑
止層4Aおよび開口部4Bのそれぞれの幅は、例えば8
μmおよび4μmとすることができる。ここでは、成長
抑止層4Aおよび開口部4Bは、幅方向に対し所定の間
隔で周期的に設けられている。また、成長抑止層4A
は、例えば、二酸化ケイ素(SiO2 , 窒化ケイ素
(Si3 4 , 酸化アルミニウム(Al2 3 )など
の誘電体材料、または,タングステン(W)モリブデン
(Mo)などの高融点金属により構成されている。な
お、ここでは、開口部4Bから表出する種結晶層3が本
発明の「結晶部」に対応し、成長抑止層4Aおよびその
上方の領域が本発明の「離間部」に対応している。
【0017】更にその上には、開口部4Bから表出する
種結晶層3を基礎として成長抑止層4Aの上に成長させ
ることにより、窒化物半導体層5が形成されている。窒
化物半導体層5もまた窒化物系III−V族化合物、例
えば、厚みが10μmのundope−GaNにより構成さ
れ、図2のように、種結晶層3を基礎として開口部4B
から縦方向(層厚み方向)L1 と横方向(層面に平行方
向)L2 とに成長したものである。この窒化物半導体層
5のうち、丁度成長抑止層4Aの真上中央付近には、隣
り合う開口部4Bより横方向成長した結晶同士が会合す
る会合部Mが存在する。なお、種結晶層3の貫通転位は
成長抑止層4Aによって伝播が阻止され、開口部4Bか
ら窒化物半導体層5に伝播された転位については、更に
その上層部にまで達する貫通転位D1 と、成長方向(横
方向L2 )に湾曲するものとが存在する。
【0018】従って、窒化物半導体層5の上面に伝わる
主な転位は、開口部4Bの上部に伝播する貫通転位D1
と、会合部Mに沿った貫通転位D2 である。これら貫通
転位D1 ,D2 は、ここでは成長抑止層4Aおよび開口
部4Bと同様の周期で生じている。また、横方向成長領
域を含むこれら以外の部分では、転位密度は104 〜1
6 cm-2程度となっている。
【0019】窒化物半導体層5の上には、n側コンタク
ト層6,n型クラッド層7,第1のガイド層8,活性層
9,第2のガイド層10,p型クラッド層11およびp
側コンタクト層12が順次積層されており、発光部20
が構成されている。発光部20は、窒化物半導体層5の
貫通転位D1 ,D2 の周辺を避け、その横方向成長領域
を含む低欠陥領域の上面に形成されており、ここでは、
成長抑止層4A,開口部4B(つまりは貫通転位D1
2 )の周期に従って周期的に並んでいる。
【0020】n側コンタクト層6は、例えば、厚みが4
μmであり、ケイ素(Si)などのn型不純物を添加し
たn型GaNにより構成されている。n型クラッド層7
は、例えば、厚みが0.8μmであり、ケイ素(Si)
などのn型不純物を添加したn型AlGaN混晶により
構成されている。第1のガイド層8は、例えば、厚みが
0.1μmのn型GaNにより構成されている。
【0021】活性層9は、例えば、不純物を添加しない
undope−GaInN混晶により構成され、井戸の厚みが
3nm、バリア層の厚みが10nmの多重量子井戸構造
となっている。ここでは、活性層9の全体が電流注入領
域となっており、電流の注入により発光する。
【0022】更に、第2のガイド層10は、例えば、厚
みが0.1μmであり、マグネシウム(Mg)などのp
型不純物を添加したp型GaNにより構成されている。
p型クラッド層11は、例えば、厚みが0.5μmであ
り、マグネシウム(Mg)などのp型不純物を添加した
p型AlGaN混晶により構成されている。p側コンタ
クト層12は、例えば、厚みが0.1μmのp型GaN
により構成されている。
【0023】更に、発光部20の上、すなわちp側コン
タクト層12の直上には、p側電極13が全面に形成さ
れている。このp側電極13は、p側コンタクト層12
と電気的に接続されており、その平面形状が発光部20
と一致している。このようなp側電極13は、例えば、
p側コンタクト層12の側よりパラジウム(Pd),白
金(Pt),金(Au)が順次積層された構造を有して
いる。なお、p側電極13の材料としては、その他にも
例えば、ニッケル(Ni),タングステン(W),チタ
ン(Ti)などが挙げられ、Ni/PtやPd/Ptな
どの上記パラジウム(Pd),白金(Pt)と併せた以
上の材料のうちから少なくとも2つを組み合わせて用い
ることも可能である。
【0024】一方、隣り合う発光部20の間には、例え
ば帯状のn側電極14がn側コンタクト層6の上に設け
られている。n側電極14は、例えば、n側コンタクト
層6の側から順にチタン(Ti),アルミニウム(A
l)が積層された構造あるいはTi/Pt/Auの積層
構造を有しており、n側コンタクト層6と電気的に接続
されている。ここでは、このn側電極14もまた発光部
20やp側電極13と同様に幅方向に対して周期的に設
けられている。
【0025】更に、隣り合う発光部20の対向面すなわ
ち発光部20の側面から、n側コンタクト層6の上のn
側電極14が付設されていない領域にかけては、絶縁層
15により覆われている。絶縁層15としては、例えば
二酸化ケイ素(SiO2 ,窒化ケイ素(SiN),
酸化ジルコニウム(ZrO2 )や4酸化ジルコニウム
(ZrO4 )などの絶縁膜を用いることができる。
【0026】このような構成の半導体レーザは次のよう
にして製造することができる。なお、以下で参照する各
工程図には、1つの半導体レーザの一部を代表として示
している。
【0027】まず、図3(A)に示したように、複数の
半導体レーザ形成領域を有すると共に、例えばサファイ
アよりなる厚さ400μmの基板1を用意し、MOCV
D法により、基板1のc面にundope−GaNよりなるバ
ッファ層2を形成する。その際、例えば、基板1の温度
は520℃と低くし、非晶質に近い結晶層を成長させ
る。また、原料にはトリメチルガリウム((CH3 3
Ga)とアンモニア(NH3 )を用いる。
【0028】次に、バッファ層2の上に、例えばMOC
VD法により同様にしてundope−GaNよりなる種結晶
層3を形成する。但し、基板1の温度は例えばバッファ
層2を成長させる場合よりも高温の1020℃とし、結
晶層を成長させる。なお、この種結晶層3には図2にお
いて細線で示したように高密度の貫通転位が存在してい
る。
【0029】続いて、図3(B)に示したように、種結
晶層3の上に、帯状に延長された複数の開口部4Bと成
長抑止層4Aとをそれぞれ形成する。ここでは、これら
は幅方向に対して所定の間隔で設けられる。具体的に
は、まず、例えばCVD(Chemical Vapor Deposition
)法により基板1の温度を300℃として二酸化ケイ
素層を形成し、その上に図示しないレジスト膜を塗布形
成してフォトリソグラフィにより複数の平行な帯状のマ
スクパターンを形成し、更にこれをマスクとしてエッチ
ングを行い、二酸化ケイ素層を除去する。残された二酸
化ケイ素層が成長抑止層4Aであり、それ以外の除去部
分が開口部4Bに相当する。
【0030】次に、図3(C)に示したように、成長抑
止層4の上に、例えばMOCVD法によりundope−Ga
Nよりなる窒化物半導体層5を成長させる。このとき、
初めは各開口部4Bにおいてその幅方向の断面が三角形
となるような選択成長が行なわれる。これらの結晶領域
には、種結晶層3からの貫通転位が伝播している。更に
成長が進むと、横方向成長の方が縦方向成長より速度が
速いために、各開口部4Bにおける結晶は幅方向の断面
が台形状となり、横方向成長によって次第に両脇のマス
ク部4Aの上部を覆ってゆく。横方向には貫通転位は伝
播しないので、マスク部4Aの上部に貫通転位はほとん
ど存在しない。また同時に、開口部4Bを通過してきた
転位は、そのまま上層部に伝播する貫通転位D1 がある
ものの、横方向に屈曲してゆく。そして遂には、隣り合
う開口部4Bから横方向に成長した結晶がマスク部4A
の真上中央付近にて会合し、会合部Mが形成されると共
に、この会合部Mに向かって収束した転位が窒化物半導
体層5を貫く貫通転位D2となる。このようにして会合
した結晶を十分に成長させると、上部が平坦面となり、
窒化物半導体層5が1つの層として形成される(図2参
照)。
【0031】従って、窒化物半導体層5では、各開口部
4Bの上部および各会合部Mに層上面にまで達するよう
な貫通転位D1 ,D2 が周期的に生じると共に、これら
以外のマスク部4Aの上部にあたる領域、すなわち横方
向成長領域は、転位が少なく欠陥密度が非常に低い低欠
陥領域となる。
【0032】次に、図4に示したように、窒化物半導体
層5の上に、例えば、n型GaNよりなるn側コンタク
ト層6,n型AlGaNよりなるn型クラッド層7,n
型GaNよりなる第1のガイド層8,undope−GaIn
Nよりなる活性層9,p型GaNよりなる第2のガイド
層10,p型AlGaNよりなるp型クラッド層11お
よびp型GaNよりなるp側コンタクト層12を例えば
MOCVD法を用いて順次成長させる。
【0033】なお、その際には、例えば、基板1の温度
は800〜1000℃とし、アルミニウムの原料として
はトリメチルアルミニウム((CH3 3 Al)、ガリ
ウムの原料としてはトリメチルガリウム、インジウムの
原料としてはトリメチルインジウム((CH3 3
n)および窒素の原料ガスとしてはアンモニアガスをそ
れぞれ用いる。また、n型不純物としてケイ素を添加す
る場合には、ケイ素の原料ガスとしてモノシランガス
(SiH4 )を用い、p型不純物としてマグネシウムを
添加する場合には、マグネシウムの原料としてビス=メ
チルシクロペンタジエニルマグネシウム((CH3 5
4 2 Mg)あるいはビス=シクロペンタジエニルマ
グネシウム((C5 5 2 Mg)をそれぞれ用いる。
【0034】これにより、n側コンタクト層6〜p側コ
ンタクト層12の各層には、開口部4Bからの貫通転位
1 および会合部Mからの貫通転位D2 が伝播し、その
部位は周期的に形成された高欠陥領域となる一方、それ
以外の部位では良好な結晶性が得られる。
【0035】次に、図5に示したように、p側コンタク
ト層12の上に、帯状に延長された複数のp側電極13
を例えばフォトリソグラフィ技術およびエッチング技術
を用いて所定の位置に形成する。p側電極13は次に説
明するストライプ形成の際のマスクとしても機能するも
のであり、ここでは、各p側電極13が、窒化物半導体
層5における開口部4B,会合部Mの上部にあたる高欠
陥領域を避け、窒化物半導体層5において比較的低欠陥
である領域の上部に位置するように所定の間隔で周期的
に設けられる。
【0036】次に、図6に示したように、このp側電極
13をマスクとして、例えばRIE(Reactive Ion Etc
hing;反応性イオンエッチング)などのドライエッチン
グを行い、p側コンタクト層12,p型クラッド層1
1,第2のガイド層10,活性層9,第1のガイド層8
およびn型クラッド層7を順次選択的に除去し、n側コ
ンタクト層6を露出させる。これにより、平面形状がp
側電極と一致するストライプ状の発光部20が、所定の
間隔で周期的に形成される。従って、この発光部20は
p側電極13と同じく低欠陥領域に形成され、逆に、こ
のときエッチング除去される部分は、開口部4B,会合
部Mの上部にあたる高欠陥領域となる。
【0037】次に、図7に示したように、各発光部20
の両側面および露出した各n側コンタクト層6の上に、
例えば蒸着法により二酸化ケイ素からなる絶縁層15を
形成する。更に、n側コンタクト層6の上の絶縁層15
に開口を設け、そこに帯状に延長された複数のn側電極
14を所定の間隔で周期的に形成する。具体的には、絶
縁層15の所定位置を開口し、例えば真空蒸着法により
チタン(Ti),アルミニウム(Al)および金(A
u)を順次蒸着して形成する。
【0038】そののち、基板1を例えば80μm程度の
厚さとなるように研削する。更に、基板1をp側電極1
3の長さ方向と垂直に所定の幅で劈開し、その劈開面に
図示しない反射鏡膜を形成する。
【0039】なお、このような複数の発光部20を有す
る半導体レーザでは、一般に、個々の発光部上部に設け
られた電極とリード線との接続不良を防止するため、半
導体レーザはそれぞれの電極用に配線が設けられた配線
基板の上に固定される。例えば、特開平5−33568
5号公報に開示された技術によれば、図17のように、
配線基板100の上の電極配線101に対して発光部の
上部側の電極113および発光部の基底部側の電極11
4が接続される。発光部の基底部側の電極114は複数
の発光部の両端の計2カ所に設けられており、2つの電
極が全ての発光部と導通するようになっている。本実施
の形態においても、n側電極14をそれぞれの発光部2
0の共通電極として用いて、図1のような半導体レーザ
を例えば配線基板100のような基板上に設置し配線を
施すことが可能である。
【0040】しかしながら、ここでは、個々の発光部2
0に対して1つずつn側電極14を設けるようにしてい
る。n側電極14を共通電極とすれば、それぞれの発光
部におけるp側電極13と共通電極との距離がそれぞれ
異なることとなり、より電極から遠い発光部では電極間
の電圧あるいは抵抗が増大し、素子の動作特性に影響が
でるためである。従って、配線基板には、n側電極14
に対してもそれぞれに電極配線を設ける方が、より好ま
しい。
【0041】この半導体レーザでは、p側電極13とn
側電極14の間に所定の電圧が印加されると、活性層9
に電流が注入され、電子−正孔再結合により発光が起こ
る。ここでは、p側電極13と発光部20の平面形状が
一致しているために、活性層9の全部がp側電極13か
ら電流が注入される電流注入領域となっている。また、
発光部20は窒化物半導体層5の低欠陥領域に形成され
ているので、欠陥部分にレーザ光が吸収されることによ
る劣化が起こりにくく、駆動中の動作電流の増大が抑え
られ、素子の寿命が長くなると共に発光出力が向上す
る。
【0042】このように本実施の形態に係る半導体レー
ザによれば、種結晶層3の上に開口部4Bを有する成長
抑止層4Aを設け、開口部4Bから表出する種結晶層3
を基礎として横方向成長により窒化物半導体層5を形成
し、なおかつ、窒化物半導体層5における転位および欠
陥の少ない低欠陥領域の上に発光部20を設けるように
したので、発光部20内部の各層についても貫通転位の
密度が低く、低欠陥となっている。同時に、多数の貫通
転位D1 ,D2 が存在し、高欠陥領域となっている開口
部4B,会合部M付近は、発光部20の形成によって削
除される。よって、貫通転位などに起因する非発光再結
合の割合を小さくすることができ、発光効率を向上させ
出力を増大させることができる。また、活性層9に代表
される発光部20の各窒化物半導体層は、欠陥に起因す
る劣化が起こりにくく、長寿命化を図ることができる。
【0043】また、本実施の形態では、成長抑止層4A
および開口部4Bの間隔に周期性をもたせることによ
り、窒化物半導体層5に生じる貫通転位D1 ,D2 の位
置を制御し、予め決められる周期間隔で発光部20を形
成するようにしたので、複数の発光部20を、一度に簡
便な方法で精度良く窒化物半導体層5の所望の領域上に
形成することができる。
【0044】更に、p側電極13を直接p側コンタクト
層12の直上に設けるようにしたので、コンタクト抵抗
を低減することができる。また、p側電極13をマスク
として発光部20のストライプを形成するようにしたの
で、このような半導体レーザを簡易な構造とすることが
でき、簡便な方法で製造することができる。
【0045】また、共通電極を設けず、個々の発光部2
0に対してn側電極14を設けるようにしたので、全て
の発光部20を同時に動作させることができ、発光部2
0の各々から所望の特性を得ることができる。
【0046】[第2の実施の形態]図8は第2の実施の
形態に係る半導体レーザの構成を表したものであり、図
9は図8の部分拡大図である。この半導体レーザは、基
板31の上に設けられる種結晶部33から窒化物半導体
層35が成長すること、および、この窒化物半導体層3
5がn側コンタクト層として機能することを除いては、
第1の実施の形態と同様である。従って、第1の実施の
形態と同一の構成要素には同一の符号を付し、その説明
を省略する。
【0047】基板31は、例えばサファイアからなり、
そのc面からなる上面に所定の間隔でエッチング等によ
り掘り込まれる凹部31Bを有している。基板31の凹
部31B以外の上面には、例えばストライプ状に結晶部
33Aが設けられ、隣接する結晶部33Aの間は離間部
33Bとなっている。
【0048】結晶部33Aは、窒化物半導体層35を成
長させる際の核となるものであり、例えば、厚みが2μ
mの不純物を添加しないundope−GaNからなる。これ
ら結晶部33Aおよび離間部33Bのそれぞれの幅は、
例えば、2μm〜4μmおよび10μm〜20μmであ
り、ここでは、これらが交互に周期的に設けられるよう
になっている。なお、結晶部33Aには、図9に細線で
示すように、積層方向に延びる貫通転位D1 が生じてお
り、その転位密度は非常に高い。
【0049】更にその上には、窒化物半導体層35が設
けられている。窒化物半導体層35は、例えば、厚みが
4μmのn型不純物としてケイ素(Si)を添加したn
型GaNにより構成される。なお、図9のように、窒化
物半導体層35は結晶部33Aを基礎として縦方向(層
厚み方向)L1 と横方向(層面に平行方向)L2 とに成
長したものであり、離間部33Bの丁度中央付近には、
隣り合う結晶部33Aから横方向成長した結晶同士が会
合する会合部Mが存在する。ここでは、凹部31Bによ
り窒化物半導体層35が基板31との間に隙間を生じる
ようになっており、両者が接触して窒化物半導体層35
に転位が生じることが防止されている。このとき、結晶
部33Aの貫通転位D1 は、上面の縦方向成長領域には
伝播するが、横方向成長領域に伝わることはない。一
方、横方向成長領域では、会合部Mに沿って貫通転位D
2 が生じる。従って、窒化物半導体層35において、そ
の上面にまで伝播される主要な転位はこれら貫通転位D
1 ,D2 であり、これらの周辺部以外の領域は、転位の
密度が104 〜106 cm-2程度と低く、欠陥が少ない
低欠陥領域となっている。なお、ここでは、貫通転位D
1 ,D2 もまた結晶部33Aおよび離間部33Bと同様
の周期で生成している。
【0050】このような窒化物半導体層35の上には、
n側コンタクト層6,n型クラッド層7,第1のガイド
層8,活性層9,第2のガイド層10,p型クラッド層
11およびp側コンタクト層12が第1の実施の形態と
同様に順次積層され、発光部20が構成されている。ま
た、隣り合う発光部20の間には、n側電極14がn側
コンタクト層6の上に設けられており、更に、隣り合う
発光部20の対向面からn側コンタクト層6の上のn側
電極14が付設されていない領域にかけて絶縁層15が
設けられている。
【0051】次に、このような半導体レーザの作製方法
を図8,図9および図10〜図15を参照しながら説明
する。
【0052】まず、図10(A)に示したように、複数
の半導体レーザ形成領域を有すると共に例えばサファイ
アよりなる厚さ400μmの基板31を用意し、基板3
1のc面上に、例えばMOCVD法により不純物を添加
しないundope−GaNの結晶を2μm程度の厚みに成長
させ、後述する種結晶部33(図11参照)を形成する
ための種結晶層用成長層33aを形成する。なお、MO
CVDは、常圧雰囲気中,減圧雰囲気中または加圧雰囲
気中のいずれの雰囲気中においても行うことが可能であ
るが、良質の結晶を得るには、加圧雰囲気中において行
うことが好ましい。
【0053】次いで、図10(B)に示したように、例
えば、CVD法により二酸化ケイ素(SiO2 )よりな
る絶縁膜34を形成する。なお、この絶縁膜34は、窒
化ケイ素(Si3 4 )などにより形成することもで
き、窒化ケイ素膜と二酸化ケイ素膜との積層構造として
もよい。
【0054】そののち、図10(C)に示したように、
絶縁膜34を部分的に除去し、例えば帯状に延長される
所定形状を選択的に形成する。具体的には、まず絶縁膜
34の上にストライプ状のフォトレジスト膜を成膜し、
更に、このフォトレジスト膜をマスクとして例えばRI
Eにより絶縁膜34を部分的に除去したのちに、フォト
レジスト膜を除去する。
【0055】次に、図11(A)に示したように、絶縁
膜34をマスクとして、例えば塩素ガス(Cl2 )をエ
ッチングガスとしたRIEを行って、種結晶層用成長層
33aの絶縁膜34に覆われていない部分を除去する。
これにより、種結晶層用成長層33aは、所定の間隔で
結晶部33Aと離間部33Bとが交互に並ぶ種結晶部3
3となる。
【0056】続いて、絶縁膜34をマスクとして例えば
RIEを行い、更に、基板31の絶縁膜34に覆われて
いない部分を除去する。具体的には、例えば、エッチン
グガスに塩素ガスを用い、基板温度0℃,圧力0.5P
aの条件で行う。これにより、基板31の上面に凹部3
1Bが離間部33Bと連続するように形成される。な
お、この基板31に対するエッチング工程は、種結晶層
用成長層33aのエッチングと連続的に行ってもよく、
別工程として行うこともまた可能である。
【0057】この凹部31Bの深さは100nm以上で
あることが好ましい。後述する窒化物半導体層35(図
12参照)は、結晶部33Aからの横方向成長が真横で
はなく、若干基板31側に進行し、基板31と接触する
可能性がある。また、凹部31Bが設けられていない場
合には、窒化物半導体層35は基板31と接触するよう
に成長するが、その場合に横方向成長した結晶同士が会
合せず、実質的に平坦な面が得られない虞がある。以上
を回避し、窒化物半導体層35と基板31との接触を効
果的に防止するためには、凹部31Bの深さを充分にと
る必要があるからである。
【0058】次に、図11(B)に示したように、例え
ば、エッチング剤としてフッ化水素(HF)を含む水溶
液を用いたエッチングを行って絶縁膜13を除去する。
【0059】次に、図12に示したように、例えばMO
CVD法を用いてn型不純物としてケイ素(Si)を添
加したn型GaNの結晶を4μm程度成長させることに
より、窒化物半導体層35を形成する。このとき、Ga
Nの結晶成長は、結晶部33Aの上面および離間部33
Bに面する側壁面からそれぞれ縦方向(層厚み方向)L
1 と横方向(層面に平行方向)L2 とに進行する(図
9)。その際に、縦方向L1 では結晶部33Aの有する
貫通転位D1 が伝播される。一方、横方向L2 では、貫
通転位D1 は横方向に屈曲してゆき、ほとんど存在しな
い。従って、離間部33Bにあたる領域に形成される横
方向成長領域は、貫通転位の密度が低く、低欠陥領域と
なる。
【0060】ここで、結晶の横方向成長の速度は縦方向
成長の速度よりも速く設定される。そのため、離間部3
3Bにあたる領域は、それぞれの結晶部33Aを基礎と
して成長する結晶で覆われてゆき、遂には、隣り合う結
晶同士が離間部33Bのほぼ中央付近で会合して会合部
Mが形成されると共に、この会合部Mに向かって収束し
た転位が窒化物半導体層35を貫く貫通転位D2 とな
る。このようにして会合した結晶を十分に成長させる
と、上部が平坦面となり、窒化物半導体層35が1つの
層として形成される。本実施の形態では、基板31に凹
部31Bを設けているので、既に述べたように、横方向
に成長した結晶が基板31に接触して欠陥が発生するこ
とが防止される。また、貫通転位D1 ,D2 は、結果的
に結晶部33Aおよび離間部33Bと同様の周期を有す
るように形成される。
【0061】次に、図13に示したように、窒化物半導
体層35の上に、第1の実施の形態と同様にして、n型
クラッド層7,第1のガイド層8,活性層9,第2のガ
イド層10,p型クラッド層11およびp側コンタクト
層12を順次成長させ、p側コンタクト層12の上の所
定の位置にp側電極13を形成する。このとき、p側電
極13は、例えばストライプ形状であり、窒化物半導体
層35において結晶部33Aの上に生じる貫通転位D1
および会合部Mに生じる貫通転位D2 の上部を避け、窒
化物半導体層35の低欠陥領域の上部に位置するように
所定の間隔で周期的に形成される。
【0062】その後は図14に示したように、第1の実
施の形態と同様にp側電極13をマスクとしたドライエ
ッチングにより、p側コンタクト層12,p型クラッド
層11,第2のガイド層10,活性層9,第1のガイド
層8およびn型クラッド層7を順次選択的に除去すると
共に窒化物半導体層35を露出させる。これにより、p
側電極13と一致する平面形状の発光部20が複数形成
される。従って、この発光部20では、活性層9の全面
がp側電極13から電流が注入される電流注入領域とな
る。なお、発光部20はp側電極13と同様に所定の間
隔で周期的に低欠陥領域に形成されるので、エッチング
除去される部分は窒化物半導体層35における貫通転位
1 ,D2 の上部にあたる高欠陥領域となっている。
【0063】続いて、図15に示したように、第1の実
施の形態と同様の方法により発光部20の両側面および
露出した窒化物半導体層35の上に絶縁層15を形成
し、窒化物半導体層35の上に、帯状に延長された複数
のn側電極14を所定の間隔で形成する。
【0064】そののち、基板31を例えば80μm程度
の厚さとなるように研削する。更に、基板31をp側電
極13の長さ方向と垂直に所定の幅で劈開し、その劈開
面に図示しない反射鏡膜を形成する。
【0065】なお、このようにして作製される半導体レ
ーザも、第1の実施の形態と同様にp側電極13および
n側電極14が発光部20毎に独立して配線されるよう
に配線基板上で電極配線を施すことができ、n側電極1
4については図16のように共通電極を設けるようにす
ることもまた可能である。
【0066】この半導体レーザでは、窒化物半導体層3
5のうち、結晶部33Aの上部および会合部Mにのみ貫
通転位D1 ,D2 が周期的に存在し、それ以外の領域は
貫通転位の密度が低く欠陥が少ない低欠陥領域となって
いる。発光部20は、この低欠陥領域に所定の間隔で周
期的に形成されており、同時に、欠陥密度の高い結晶部
33Aの上部付近および会合部M付近は、発光部20の
形成時に削除されている。よって、発光部20の電流注
入領域では非発光再結合の割合が減少し、発光効率が向
上して、素子の出力が増大する。また、電圧の印加によ
る劣化が起こりにくく、素子の寿命が長くなる。
【0067】このように、本実施の形態に係る半導体レ
ーザにおいても第1の実施の形態と同様の効果を得るこ
とができる。
【0068】[第3の実施の形態]図16は第3の実施
の形態に係る半導体レーザの構成を表している。この半
導体レーザは、第1の実施の形態に係る半導体レーザに
おいて窒化物半導体層5の下層部分が成長抑止層4Aと
共に除去され、かつ、窒化物半導体層5をコンタクト層
とする構造をしている。また、上記の実施の形態ではn
側電極14はコンタクト層6の上に設けられるが、本実
施の形態では、n側電極44が窒化物半導体層45の裏
面に設けられている。これ以外の第1の実施の形態と同
一の構成要素には同一の符号を付して、ここでは説明を
省略する。
【0069】窒化物半導体層45は、窒化物半導体層5
と同様の方法で成長させた窒化物系III−V族化合物
からなる半導体層である。従って、この半導体レーザを
製造する場合も、まず、第1の実施の形態に説明した要
領で基板1の上にバッファ層2、種結晶層3を成長さ
せ、開口部4Bを有する成長抑止層4Aを形成し、その
上に窒化物半導体層5を十分な厚みに成長させる。その
後、窒化物半導体層5を成長抑止層4Aを含む下層部分
において基板31から分離することによって、窒化物半
導体層45が得られる。
【0070】この窒化物半導体層45においても、開口
部4B,会合部Mに層上面にまで達するような貫通転位
1 ,D2 が周期的に生じており、横方向成長領域を含
んだそれ以外の領域は、転位および欠陥が少ない低欠陥
領域となっている。そこで、この低欠陥領域の上に発光
部20を形成する。ここでもまた、p側電極13をマス
クとして発光部20を形成することができる。但し、n
側電極44については、共通電極として窒化物半導体層
45の裏側全面に形成される。
【0071】この場合、2つの電極間距離はいずれの発
光部20においても等しくなり、発光部20によって電
圧が変動することを防止できる。また、電極配線に関し
ては、n側電極44には直にボンディングするなどして
簡単に配線を施すことができる。よって、配線基板には
p側電極13に対して配線するだけでよい。
【0072】従って、本実施の形態によれば、第1の実
施の形態と同じ効果の他、より小型のレーザが得られ、
配線が簡易にできるという効果が得られる。なお、この
半導体レーザは、第2の実施の形態に説明した方法で窒
化物半導体35を形成し、その下層部分を結晶部33A
と共に除去して得られる層を窒化物半導体層45として
製造することもできる。この場合には、凹部31Bを含
む面で窒化物半導体層35を基板31から分離すると、
比較的容易に基板31を除去することができる。また、
先に発光部20まで形成してから窒化物半導体層5(あ
るいは窒化物半導体層35)の基板1(あるいは基板3
1)側部分を分離除去する方法で製造することも可能で
ある。
【0073】以上、実施の形態を挙げて本発明を説明し
たが、本発明は上記実施の形態に限定されるものではな
く、種々変形可能である。例えば、上記の実施の形態で
は、発光部20は活性層9の上下にp型とn型の半導体
層がそれぞれ積層された単純な構造としたが、本発明は
発光部の構造に関係なく適用することができる。例え
ば、p側コンタクト層およびp型クラッド層の上部を幅
の狭いリッジ構造としたり、また、p型ガイド層の上面
に電流狭窄層を設けた内部ストライプ構造としたりして
もよく、このような利得導波型構造だけでなく屈折率導
波型の構造あるいは双方を兼ね備えるような構造として
もよい。
【0074】また、上記各実施の形態における半導体レ
ーザの発光部20は、発光部の一構成例であって、例え
ば、ガイド層8および10を備えていなくてもよく、第
2の実施の形態に係る半導体レーザにおいて基板31と
種結晶部33との間に非晶質に近い窒化物系III−V
族化合物結晶よりなるバッファ層を備えるようにしても
よい。また、第2の実施の形態においては、窒化物半導
体層35をn側コンタクト層としてレーザを構成するよ
うにしたが、窒化物半導体層35の上に別途n側コンタ
クト層を設けるようにしてもよい。
【0075】また、上記第2の実施の形態では、絶縁膜
34を除去した後に窒化物半導体層35を形成するよう
にしたが、種結晶部33(結晶部33A)の上の絶縁膜
34を除去せずに窒化物半導体層35を形成するように
してもよい。その場合、絶縁膜34により貫通転位D1
が遮断されて種結晶層12からの貫通転位D1 の伝播が
防止される。従って、窒化物半導体層35には会合に起
因する貫通転位D2 を除き結晶欠陥がほとんど存在せ
ず、その上側に優れた結晶性を有する窒化物系III−
V族化合物を得ることが可能となる。但し、窒化物半導
体層35を成長させる際に絶縁膜34の構成材料が不純
物として混入すると、半導体レーザの特性を劣化させる
虞もあるので、製造方法は適宜選択することが好まし
い。
【0076】更に、上記各実施の形態では、MOCVD
法により窒化物系III−V族化合物半導体を形成する
場合について説明したが、半導体層の成長方法は任意で
あり、その他にも、例えばMBE(Molecular Beam Epi
taxy;分子線エピタキシー)法やMOVPE(Metal Or
ganic Vapor Phase Epitaxy;有機金属気相成長)法、H
VPE(ハイドライド気相成長)法などの気相成長法に
より形成することができる。
【0077】上記各実施の形態では、種結晶層3,結晶
部33Aをはじめ、コンタクト層,ガイド層をGaNに
より形成し、クラッド層をAlGaN混晶により形成
し、活性層をInGaN混晶により形成するようにした
が、これらの層をIII族元素のうちの少なくとも1種
と窒素とを含む他の窒化物系III−V族化合物半導体
により形成するようにしてもよい。
【0078】加えて、上記第1および第2の実施の形態
では、サファイアからなる基板1,31を用いるように
したが、これに限らずどのような材質の基板を用いても
よい。例えば、Si,SiC,GaN,GaAs,Mg
Al2 3 ,LiGaO2 等を基板とすることができ
る。このうちGaN基板は、サファイア等の成長用基体
の上にハイドライド気相成長法あるいはハライド気相成
長法により成長させた後、成長用基体と分離することに
より得ることができ、上記第3の実施の形態における窒
化物半導体層45として用いることができる。
【0079】
【発明の効果】以上説明したように本発明の半導体発光
素子によれば、種結晶部を基に形成された低欠陥領域、
および、離間部に対応する領域に形成された会合部を含
む窒化物半導体層と、各々、窒化物半導体層の低欠陥領
域に対応して電流注入領域を有する複数の発光部とを備
えるようにしたので、個々の発光部における転位や欠陥
が低減し、結晶性を向上させることができる。従って、
素子の発光効率を改善し、高出力化を図ることができ
る。
【0080】特に、請求項4に記載の半導体発光素子に
よれば、発光部の上部には第1の伝導型の電極が設けら
れ、発光部は前記第1の伝導型の電極と平面形状が同一
であるようにしたので、複数の発光部を第1の伝導型の
電極をマスクとしたエッチングなどの簡易な方法で一度
に精度良く得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係る半導体レーザ
の構成を表す図である。
【図2】図1の部分拡大図である。
【図3】図1の半導体レーザの製造方法を説明するため
の断面図である。
【図4】図3に続く製造工程を説明するための断面図で
ある。
【図5】図4に続く製造工程を説明するための断面図で
ある。
【図6】図5に続く製造工程を説明するための断面図で
ある。
【図7】図6に続く製造工程を説明するための断面図で
ある。
【図8】本発明の第2の実施の形態に係る半導体レーザ
の構成を表す図である。
【図9】図8の部分拡大図である。
【図10】図8の半導体レーザの製造方法を説明するた
めの断面図である。
【図11】図10に続く製造工程を説明するための断面
図である。
【図12】図11に続く製造工程を説明するための断面
図である。
【図13】図12に続く製造工程を説明するための断面
図である。
【図14】図13に続く製造工程を説明するための断面
図である。
【図15】図14に続く製造工程を説明するための断面
図である。
【図16】本発明の第3の実施の形態に係る半導体レー
ザの構成を表す図である。
【図17】従来の半導体レーザの電極配線を説明するた
めの図である。
【符号の説明】
1,31…基板、2…バッファ層、3…種結晶層、4A
…成長抑止層、4B…開口部、31B…凹部、33a…
種結晶層用成長層、33…種結晶部、33A…結晶部、
33B…離間部、34…絶縁膜、5,35,45…窒化
物半導体層、6…n側コンタクト層、7…n型クラッド
層、8…第1のガイド層、9…活性層、10…第2のガ
イド層、11…p型クラッド層、12…p側コンタクト
層、13…p側電極、14,44…n側電極、15…絶
縁層、D1 ,D2 …貫通転位、M…会合部

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 窒化物系III−V族化合物よりなり、
    結晶部と離間部とを有する種結晶部と、 前記種結晶部を基に形成された低欠陥領域、および、前
    記離間部に対応する領域に形成された会合部を含む窒化
    物半導体層と、 各々、前記窒化物半導体層の低欠陥領域に対応して電流
    注入領域を有する複数の発光部とを備えたことを特徴と
    する半導体レーザ。
  2. 【請求項2】 前記発光部は、前記結晶部と前記会合部
    の間の領域に対応して電流注入領域を有していることを
    特徴とする請求項1に記載の半導体レーザ。
  3. 【請求項3】 前記発光部は、前記会合部同士の間の領
    域に対応して電流注入領域を有していることを特徴とす
    る請求項1に記載の半導体レーザ。
  4. 【請求項4】 前記発光部の上に第1の伝導型の電極が
    設けられ、前記発光部と前記第1の伝導型の電極とは平
    面形状が一致していることを特徴とする請求項1に記載
    の半導体レーザ。
  5. 【請求項5】 前記発光部の上に第1の伝導型の電極が
    設けられると共に、前記隣り合う発光部の間に第2の伝
    導型の電極が設けられていることを特徴とする請求項1
    に記載の半導体レーザ。
  6. 【請求項6】 前記第1の伝導型の電極と前記第2の伝
    導型の電極とは同一の周期間隔で並んでいることを特徴
    とする請求項5に記載の半導体レーザ。
  7. 【請求項7】 前記種結晶部は、GaNまたはAlx
    1-x N(xは0≦x≦1)からなることを特徴とする
    請求項1に記載の半導体レーザ。
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