JP2002308783A - 皮膚または粘膜疾患予防、治療用医薬組成物 - Google Patents

皮膚または粘膜疾患予防、治療用医薬組成物

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JP2002308783A JP2001115675A JP2001115675A JP2002308783A JP 2002308783 A JP2002308783 A JP 2002308783A JP 2001115675 A JP2001115675 A JP 2001115675A JP 2001115675 A JP2001115675 A JP 2001115675A JP 2002308783 A JP2002308783 A JP 2002308783A
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究 川崎
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 安全でかつ優れた効果を発揮する皮膚または
粘膜疾患予防、治療用医薬組成物の提供。 【解決手段】 哺乳類の細胞外液と同等のモル濃度比の
Naイオン、Kイオン、Caイオン、Mgイオン、Clイオ
ンおよびHCOイオンと、0.07〜0.25モル/
lの濃度の糖類とを含み、溶質のモル濃度の総合計が
0.54モル/lを超えないことを特徴とする皮膚また
は粘膜疾患予防、治療用水性医薬組成物。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、皮膚または粘膜疾
患予防、治療用医薬組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】機能の低下、喪失した組織や、生理活性
の低下した細胞は、塩類と糖類を含有する水溶液を用い
て、糖類を塩類の陽イオンとの共輸送により細胞内に送
り込み、各々の生命体の保持に関わっていた生理的な環
境を擬似的に作り出すことにより賦活化できることが見
出されている(WO00/07465号)。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記のよう
な細胞活性の賦活化を応用して、皮膚または粘膜疾患の
予防、治療に有効な医薬組成物を提供することを目的と
する。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記のよ
うな賦活化について鋭意研究を重ねる間に、賦活化に際
して使用する塩類としてNaイオン、Kイオン、Caイオ
ンおよびMgイオンの陽イオンを生ずる塩類と、Clイオ
ンおよびHCOイオンの陰イオンを生ずる塩類とを用
い、それらの組成モル濃度比率を哺乳類の正常な細胞外
液と同等とし、これに組合せる糖類の濃度を0.07〜
0.25モル/lとし、溶質の合計モル濃度が0.54
モル/lを超えない水溶液が、安全で、かつ優れた皮膚
または粘膜疾患の予防、治療効果を有することを見出
し、本発明を完成するに至った。
【0005】本発明は、かかる本発明者らの新たな知見
に基づくものであり、(1)哺乳類の細胞外液と同等の
モル濃度比のNaイオン、Kイオン、Caイオン、Mgイ
オン、ClイオンおよびHCOイオンと、0.07〜
0.25モル/lの濃度の糖類とを含み、溶質のモル濃
度の総合計が0.54モル/lを超えないことを特徴と
する皮膚または粘膜疾患予防、治療用水性医薬組成物、
(2)Naイオン:Kイオン:Caイオン:Mgイオンの
モル濃度比が0.130〜0.150モル/l:0.0
01〜0.007モル/l:0.002〜0.005モ
ル/l:0.001〜0.003モル/l、Clイオ
ン:HCOイオンのモル濃度比が0.080〜0.1
50モル/l:0.02〜0.04モル/lである上記
(1)記載の医薬組成物、(3)糖類が、グルコース、
ガラクトース、マンノース、フルクトース、キシロー
ス、アラビノース、マルトース、ラクトース、スクロー
ス、トレハロースおよび水溶性オリゴ糖からなる群から
選ばれる少なくとも1種である上記(1)記載の医薬組
成物、(4)ドライスキン、アトピー性皮膚炎、アレル
ギー性鼻炎、アレルギー性結膜炎、老人性疥癬または褥
瘡の改善用外用剤である上記(1)〜(3)いずれか1
項記載の医薬組成物、(5)整腸用の服用剤である上記
(1)〜(3)いずれか1項記載の医薬組成物、(6)
咽頭炎または口内炎の治癒用の服用剤である上記(1)
〜(3)いずれか1項記載の医薬組成物、(7)皮膚表
面の保護、静菌用の医療用入浴剤である上記(1)〜
(3)いずれか1項記載の医薬組成物、(8)白癬菌の
抑制または傷口の保護用の外用剤である上記(1)〜
(3)いずれか1項記載の医薬組成物、および(9)水
溶液である上記(1)〜(8)いずれか1項記載の医薬
組成物を提供するものである。
【0006】
【発明の実施の形態】本発明の医薬組成物は、溶質とし
て塩類および糖類を含有する水性液剤、特に水溶液であ
る。塩類としては、陽イオンとして、Naイオン、Kイ
オン、CaイオンおよびMgイオン、陰イオンとしてCl
イオンおよびHCOイオンの供給源となる医薬上許容
される化合物を適宜混合して使用でき、海水塩、原塩な
ども包含する。これらの塩類は、組成物において、各イ
オンが哺乳類の正常な細胞外液と同等なモル濃度比とな
るように処方される。一般に、Naイオン:Kイオン:
Caイオン:Mgイオンのモル濃度比が0.130〜0.
150モル/l:0.001〜0.007モル/l:
0.002〜0.005モル/l:0.001〜0.0
03モル/l、Clイオン:HCOイオンのモル濃度
比が0.080〜0.150モル/l:0.02〜0.
04モル/lの範囲、代表的には、例えば、Na:K:
Ca:Mgの各イオンのモル濃度比が、0.14モル/
l:0.004モル/l:0.0025モル/l:0.
0015モル/lで、Cl:HCOの各イオンのモル
濃度比が、0.1モル/l:0.027モル/lとなる
ように処方される。モル濃度調整において、例えば、塩
化ナトリウムを0.14モル/l加えた場合は、塩素イ
オンも0.14モル/lとなり、単純な配合ではこの比
率になり得ないが、これをアミノ酸塩、例えば、グルタ
ミン酸ナトリウムに含まれるNaイオン、アスコルビン
酸ナトリウムに含まれるNaイオンまたはグルクロン酸
ナトリウム、フマル酸ナトリウム、ピルビン酸ナトリウ
ム等のNaイオンで不足のNaイオンを補い、これによっ
て溶液全体が上記比率になるように調整する。
【0007】糖類としては、グルコース、ガラクトー
ス、マンノース、フルクトース、キシロース、アラビノ
ースなどの単糖類、マルトース、ラクトース、スクロー
ス、トレハロースなどの二糖類、水溶性のオリゴ糖が挙
げられ、これらは単独でも2種以上を併用してもよい。
糖質は、組成物におけるその合計モル濃度が0.07〜
0.25モル/l、好ましくは、0.10〜0.18モ
ル/lとなるように処方する。ただし、溶質のモルの濃
度の総合計が0.54モル/lを超えないようにするこ
とが必要である。糖類の作用機序は、細胞外液、あるい
は、細胞間液の組成における水の状態を整えること、グ
ルコース、フルクトース、などの細胞質のエネルギーと
なりうる単糖類を供給すること、および、その還元性に
より細胞間液の酸化劣敗を遅らすことにあると考えられ
る。特に、糖類中のグルコースやフルクトースなどの単
糖類の含有比率を上げることで人体組織は水分をより保
持しやすい状態となる。また、糖類はその不斉炭素に基
づく還元作用から、すでに進行を始めた酸化反応を元に
戻す働きをする。さらに、スクロースを糖類添加率の5
0%を超えて配合した場合には、医薬組成物自体の保存
性に有効である。
【0008】本発明の医薬組成物は、所望の成分の混
合、溶解等の自体公知の方法で製造することにより、水
性液剤、好ましくは水溶液の剤形とすることができる。
本発明の医薬組成物の各成分はいずれも極めて安全性の
高いものであり、本発明の医薬組成物はドライスキン、
アトピー性皮膚炎、アレルギー性鼻炎、アレルギー性結
膜炎、老人性疥癬、褥瘡の改善に有効であり、特に、傷
口が露呈している部分、または鼻腔、結膜など、粘膜組
織への直接添加でも沁みない外用液として使用できる。
また、細菌叢(フローラ)の安定効果により、上記のよ
うな皮膚炎と併発する細菌による感染症を予防するた
め、また、口腔内、腸内、など皮膚上皮組織と同一の分
化過程を有する細胞に対して、その表層に共生する細菌
の状態を整える効果、例えば、α乳酸菌の安定したフロ
ーラ生成効果による整腸、咽頭炎、口内炎の治癒のため
の服用液としても使用できる。さらに、皮膚表面の保
護、静菌を目的とする医療用入浴剤、白癬菌の抑制剤、
傷口の保護、および、皮膚表面に棲息するα乳酸菌のフ
ローラを安定させることにより、他の有害菌の繁殖を抑
える外用液としても使用できる。さらにまた、各病状に
対する薬効成分を添加することにより、皮膚、傷口、な
どの弱った部分を保護し、治療効果を増大するための液
剤として使用できる。
【0009】
【実施例】以下に実施例を挙げて本発明をさらに詳しく
説明するが、本発明はこれらに限定されるものではな
い。 実施例1 塩化ナトリウム5.61g/l、塩化カリウム0.30
g/l、乳酸カルシウム0.77g/l、硫酸マグネシ
ウム0.18g/l、炭酸水素ナトリウム2.27g/
l、グルコース10g/l、スクロース5g/l、マル
トース2.5g/l、グルタミン酸ナトリウム2.88
g/lを加えた1kgの水溶液を調製した。この水溶液
のNaイオン:Kイオン:Caイオン:Mgイオンのモル
濃度比は0.14モル/l:0.004モル/l:0.
0025モル/l:0.0015モル/lであり、Cl
イオン:HCOイオンのモル濃度比は0.1モル/
l:0.027モル/lであり、糖類濃度は、0.15
48モル/lであり、溶質のモル濃度の総合計は0.3
028モル/lであった。これをアトピー性皮膚炎を呈
する患者10才に噴霧したところ、翌朝には炎症が収ま
り、就寝中の掻痒感がなくなり、さらに1週間の継続噴
霧により掻破痕が通常の皮膚に回復した。
【0010】実施例2 塩化ナトリウム8.42g/l、塩化カリウム0.45
g/l、乳酸カルシウム1.16g/l、硫酸マグネシ
ウム0.27g/l、炭酸水素ナトリウム3.40g/
l、グルコース10g/l、スクロース5g/l、マル
トース2.5g/l、グルタミン酸ナトリウム4.32
g/lを加えた1kgの水溶液を調製した。この水溶液
のNaイオン:Kイオン:Caイオン:Mgイオンのモル
濃度比は0.14モル/l:0.004モル/l:0.
0025モル/l:0.0015モル/lであり、Cl
イオン:HCOイオンのモル濃度比は0.10モル/
l:0.027モル/lであり、糖類濃度は、0.15
48モル/lであり、溶質のモル濃度の総合計は0.3
768モル/lであった。これを褥瘡を呈する74才の
患者に噴霧したところ、翌日には浸潤部分の皮膚再生が
見られ、5日目には褥瘡が通常の皮膚に近い状態まで回
復した。
【0011】実施例3 塩化ナトリウム11.22g/l、塩化カリウム0.6
0g/l、乳酸カルシウム1.54g/l、硫酸マグネ
シウム0.36g/l、炭酸水素ナトリウム4.54g
/l、グルコース10g/l、スクロース5g/l、マ
ルトース2.5g/l、グルタミン酸ナトリウム5.7
5g/lを加えた1kgの水溶液を調製した。この水溶
液のNaイオン:Kイオン:Caイオン:Mgイオンのモ
ル濃度比は0.14モル/l:0.004モル/l:
0.0025モル/l:0.0015モル/lであり、
Clイオン:HCOイオンのモル濃度比は0.10モ
ル/l:0.027モル/lであり、糖類濃度は、0.
1548モル/lであり、溶質のモル濃度の総合計は
0.4508モル/lであった。これを、ドライスキン
を呈する28才の患者に噴霧したところ、3日目には角
質化した肌が軟化し、保湿性が増し、紅く斑点を呈して
いた部分の炎症が収まった。
【0012】実施例4 塩化ナトリウム8.42g/l、塩化カリウム0.45
g/l、乳酸カルシウム1.16g/l、硫酸マグネシ
ウム0.27g/l、炭酸水素ナトリウム3.40g/
l、グルコース10g/l、スクロース5g/l、マル
トース2.5g/l、グルタミン酸ナトリウム4.32
g/lを加え、さらに、イノシトール0.5g/l、ニ
コチン酸0.48g/l、グリシン0.72g/l、を
添加し、1kgに調整された水溶液を調製した。この水
溶液のNaイオン:Kイオン:Caイオン:Mgイオンの
モル濃度比は0.14モル/l:0.004モル/l:
0.0025モル/l:0.0015モル/lであり、
Clイオン:HCOイオンのモル濃度比は0.10モ
ル/l:0.027モル/lであり、糖類濃度は、0.
1548モル/lであり、溶質のモル濃度の総合計は
0.3931モル/lであった。これを、難治性アトピ
ーの患者34才に噴霧したところ、浸潤部分の改善が見
られ、さらに、継続使用により7日目には、浸潤部分が
再生し、通常の肌に回復した。
【0013】実施例5 塩化ナトリウム5.61g/l、塩化カリウム0.30
g/l、乳酸カルシウム0.77g/l、硫酸マグネシ
ウム0.18g/l、炭酸水素ナトリウム2.27g/
l、グルコース10g/l、スクロース5g/l、マル
トース2.5g/l、グルタミン酸ナトリウム2.88
g/lを加え、さらに、イノシトール0.5g/l、ニ
コチン酸0.48g/l、グリシン0.48g/l、を
添加し、1kgに調整された水溶液を調製した。この水
溶液のNaイオン:Kイオン:Caイオン:Mgイオンの
モル濃度比は0.14モル/l:0.004モル/l:
0.0025モル/l:0.0015モル/lであり、
Clイオン:HCOイオンのモル濃度比は0.1モル
/l:0.0027モル/lであり、糖類濃度は、0.
1548モル/lであり、溶質のモル濃度の総合計は
0.3159モル/lであった。これを、花粉症患者の
鼻腔に噴霧したところ、掻痒感がなくなるとともに、そ
の状態が3〜6時間持続した。さらに、本水溶液に含ま
れるグリシンと等量から2.5倍量のチロシンを添加した
水溶液を点眼、あるいは鼻腔に噴霧すると持続時間が延
長するとともに、人によっては花粉症の症状の顕著な改
善が見られた。また、本水溶液に含まれるグリシンと等
量から2.5倍量のルチンを添加した水溶液を点眼、ある
いは鼻腔に噴霧すると持続時間が延長するとともに、花
粉症の症状の顕著な改善が見られた。
【0014】
【発明の効果】以上記載したごとく、本発明によれば、
安全でかつ優れた効果を発揮する皮膚または粘膜疾患予
防、治療用医薬組成物が提供できる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) A61K 33/10 A61K 33/10 A61P 1/02 A61P 1/02 1/14 1/14 11/02 11/02 11/04 11/04 17/00 17/00 17/02 17/02 17/04 17/04 27/14 27/14 31/04 31/04 Fターム(参考) 4C086 AA01 AA02 EA01 HA02 HA04 HA16 HA24 MA03 MA04 MA63 NA14 ZA33 ZA34 ZA67 ZA73 ZA89 ZB35

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 哺乳類の細胞外液と同等のモル濃度比の
    Naイオン、Kイオン、Caイオン、Mgイオン、Clイオ
    ンおよびHCOイオンと、0.07〜0.25モル/
    lの濃度の糖類とを含み、溶質のモル濃度の総合計が
    0.54モル/lを超えないことを特徴とする皮膚また
    は粘膜疾患予防、治療用水性医薬組成物。
  2. 【請求項2】 Naイオン:Kイオン:Caイオン:Mg
    イオンのモル濃度比が0.130〜0.150モル/
    l:0.001〜0.007モル/l:0.002〜
    0.005モル/l:0.001〜0.003モル/
    l、Clイオン:HCOイオンのモル濃度比が0.0
    80〜0.150モル/l:0.02〜0.04モル/
    lである請求項1記載の医薬組成物。
  3. 【請求項3】 糖類が、グルコース、ガラクトース、マ
    ンノース、フルクトース、キシロース、アラビノース、
    マルトース、ラクトース、スクロース、トレハロースお
    よび水溶性オリゴ糖からなる群から選ばれる少なくとも
    1種である請求項1記載の医薬組成物。
  4. 【請求項4】 ドライスキン、アトピー性皮膚炎、アレ
    ルギー性鼻炎、アレルギー性結膜炎、老人性疥癬または
    褥瘡の改善用外用剤である請求項1〜3いずれか1項記
    載の医薬組成物。
  5. 【請求項5】 整腸用の服用剤である請求項1〜3いず
    れか1項記載の医薬組成物。
  6. 【請求項6】 咽頭炎または口内炎の治癒用の服用剤で
    ある請求項1〜3いずれか1項記載の医薬組成物。
  7. 【請求項7】 皮膚表面の保護、静菌用の医療用入浴剤
    である請求項1〜3いずれか1項記載の医薬組成物。
  8. 【請求項8】 白癬菌の抑制または傷口の保護用の外用
    剤である請求項1〜3いずれか1項記載の医薬組成物。
  9. 【請求項9】 水溶液である請求項1〜8いずれか1項
    記載の医薬組成物。
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