JP2002307821A - インクジェット用記録媒体およびその製造方法 - Google Patents

インクジェット用記録媒体およびその製造方法

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JP2002307821A
JP2002307821A JP2001127348A JP2001127348A JP2002307821A JP 2002307821 A JP2002307821 A JP 2002307821A JP 2001127348 A JP2001127348 A JP 2001127348A JP 2001127348 A JP2001127348 A JP 2001127348A JP 2002307821 A JP2002307821 A JP 2002307821A
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absorbing layer
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JP2001127348A
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English (en)
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Hideki Ochiai
英樹 落合
Yasuo Sugishita
康雄 杉下
Akira Naito
晃 内藤
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Toppan Printing Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】印画部の光沢度が未印画部の光沢度と比較して
高いものとなり、得られる画像が、見た目に、オフセッ
ト印刷やグラビア印刷の印刷物に類似した質感を持ち、
またインクジェット用記録媒体そのものが、オフセット
印刷やグラビア印刷の印刷用紙と、見た目の風合いがよ
く似たインクジェット用記録媒体とその製造方法を提供
する。 【解決手段】支持体上に、シリカが主体で多孔質をなす
層数2以上でできた溶媒吸収層、その上に、親水性又は
水溶性樹脂のいずれかを用いた染料定着層が設けてあ
り、好ましくは、支持体の透気度が500秒未満、溶媒
吸収層中の(シリカ):(バインダ及び添加剤)の割合
が10:1〜10:0.5、染料定着層の塗工時の粘度
が5,000mPas以上であることを特徴とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、インクジェット・
プリンティングによって画像や文字などの情報を記録す
る場合、特にインクで画像や文字などが記録された部分
の光沢感に優れ、且つ、色のバランスや発色が良好であ
るいという高画質の画像等を記録するために好適なイン
クジェット用記録媒体とその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、コンピュータ出力用に各種方式の
プリンタが普及している。なかでもインクジェットプリ
ンタは、静粛性、コスト、画像品質が優れ、特にフルカ
ラー画像を高品位で再現でき、他方式にはない優れた性
能を有し、さらなる普及が期待できる。特に近年では、
インク滴の制御と濃淡インクの開発、および染料受像層
の性能向上に伴い、銀塩写真並の画像を得られるまでに
技術が進歩している。
【0003】上記インクジェット記録方式においては、
インクとして水性インクを使用し、記録紙として支持体
上に染料受容層の形成された記録紙を用いるのが一般的
である。
【0004】ここで、記録媒体の一般的な技術例を挙げ
るなら、多孔質シリカをポリビニルアルコールに分散さ
せた受容層にカチオン成分を添加したものを記録媒体と
して設けることにより、物理的な作用によりインクをシ
リカ細孔に吸収させ、かつカチオン成分を添加すること
によりにより染料を化学的に定着させる方法、もしくは
アルミナゾルを用いて、物理的にインクを吸収させなが
らアルミナにより染料を化学的に定着させる方法、もし
くは、カチオン性樹脂を用いて、膨潤によりインクを物
理的に吸収させながらカチオン部により染料を化学的に
定着させる方法等がある。
【0005】しかしながら、このような一般的な記録媒
体においては、銀塩写真をターゲットとして、画質、乾
燥性、耐水性の向上を目的として開発されたものが多
い。その為、これらの特性については満足の出来るもの
が多いが、銀塩写真に類似しているため印画部と未印画
部の光沢度差が小さく、オフセット印刷やグラビア印刷
で表現されるインク着肉部の光沢度上昇が見られない。
【0006】特開昭62−259882号公報では、イ
ンク吸収層が合成非晶質シリカとシラノール基を有する
ポリビニルアルコールを含む第一層の上に合成非晶質シ
リカを主体とする第二層を積層してある。インクジェッ
ト用記録媒体の記載があるが、これはインク吸収速度の
増加に有効であるものの、印字部の光沢度が低いため、
印刷の風合いには程遠い。
【0007】さらには、特開平6−55829号公報で
は、支持体上にシリカ多孔質層を有し、その上にアルミ
ナ水和物を積層する記録媒体が記載されている。これ
は、記録媒体表面の光沢度は高いものの、やはり印画部
と未印画部の光沢度の差が小さく、得られる画像は印刷
物と異なる質感を持つ。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】すなわち、従来の技術
では、銀塩写真に類似した記録媒体の風合いや印画物を
得るには好適である。しかし多量のインクを記録媒体に
速やかに吸収させるため、記録媒体の表面が空隙層を有
する構成としていることから、印字部の光沢度は殆ど上
昇しない。そのためオフセット印刷やグラビア印刷の印
刷物の表現を行うには、印画部と未印画部の光沢度の差
が小さく、満足するべきものではなかった。
【0009】本発明は、このような従来の技術が持つ問
題点に鑑みてなされたものであって、印画部の光沢度が
未印画部の光沢度と比較して高いものとなり、得られる
画像が、見た目に、オフセット印刷やグラビア印刷の印
刷物に類似した質感を持ち、またインクジェット用記録
媒体そのものが、オフセット印刷やグラビア印刷の印刷
用紙と、見た目の風合いがよく似たインクジェット用記
録媒体とその製造方法を提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明は、上記目的を達
成するためになされたものであり、請求項1に示す発明
は、支持体上に、材料としてシリカを主体とし、多孔質
をなす、層数が2以上でできた溶媒吸収層と、その上
に、親水性樹脂か又は水溶性樹脂の少なくともいずれか
を用いてある染料定着層とが設けてあることを特徴とす
るインクジェット用記録媒体である。
【0011】これによると、シリカを主体とする多孔質
層が2回以上の積層を行うことで表面層の空隙率が増加
し、印字の際インクジェットインクの溶媒吸収能力が高
くなる。そのため最表面の樹脂層がインクジェットイン
クによって膨潤、溶解したときの一部を吸収することで
記録された画像の乾燥性が向上する。同時に最表面層
は、印画部の光沢度が未印画部の光沢度と比較して高い
値となり、印刷物に類似した風合いを持つため、好まし
い。尚、溶媒吸収層の層数は2以上であり、塗工可能で
あれば必ずしも上限は無い。但し、溶媒吸収層の層数
は、好ましくは2〜5層(性能が良いインクジェット用
記録媒体を得易い為、及び、製造工程がより短い方が生
産性も高い為)であり、また、より好ましくは2〜3層
(吸収性が特に程よい溶媒吸収層を得易い為)である。
【0012】請求項2に示す発明は、前記支持体の透気
度が0〜500秒であり、前記溶媒吸収層中にあるシリ
カと、該溶媒吸収層中にあるバインダー及び添加剤との
割合が10:1〜10:5の範囲であること、を特徴と
する請求項1に記載のインクジェット用記録媒体であ
る。
【0013】これによると、溶媒吸収層1層目の塗液を
塗工し、乾燥させる過程で分散媒と共に樹脂及び添加剤
の一部が支持体側に移行し、塗膜は空隙率の高いものと
なり印字におけるインク溶媒の吸収が良好に行われるた
めに好ましい。尚、前記支持体の透気度が0秒の場合
は、要するに透気性が無いこと同値である。
【0014】請求項3に示す発明は、前記染料定着層の
塗工時の粘度が、5,000〜100,000mPas
であることを特徴とする請求項1に記載のインクジェッ
ト用記録媒体である。
【0015】これによると、空隙率の高い溶媒吸収層の
上に樹脂層を塗工する際、樹脂溶液が高粘度であるた
め、シリカ多孔質層に吸収され難くいことから、シリカ
多孔質層の空隙を損うことがないため好ましい。
【0016】それから請求項4に示す発明は、支持体上
に、材料としてシリカを主体とする塗工液を2回以上に
分けて塗工することにより、多孔質をなし、層数が2以
上でできた溶媒吸収層を形成し、その上に、親水性樹脂
か又は水溶性樹脂の少なくともいずれかを含む塗工液を
用いて染料定着層を形成することを特徴とするインクジ
ェット用記録媒体の製造方法である。
【0017】これによると、シリカを主体とする多孔質
層が2回以上の積層を行うことで表面層の空隙率が増加
し、印字の際インクジェットインクの溶媒吸収能力が高
くなる。そのため最表面の樹脂層がインクジェットイン
クによって膨潤、溶解したときの一部を吸収することで
記録された画像の乾燥性が向上する。同時に最表面層
は、印画部の光沢度が未印画部の光沢度と比較して高い
値となり、印刷物に類似した風合いを持つため、好まし
い。尚、溶媒吸収層の層数は2以上であり、塗工可能で
あれば必ずしも上限は無い。但し、溶媒吸収層の層数
は、好ましくは2〜5層(性能が良いインクジェット用
記録媒体を得易い為、及び、製造工程がより短い方が生
産性も高い為)であり、また、より好ましくは2〜3層
(吸収性が特に程よい溶媒吸収層を得易い為)である。
【0018】請求項5に示す発明は、前記支持体として
透気度が0〜500秒の材料を使用し、前記溶媒吸収層
の塗工液は、シリカと、該溶媒吸収層用のバインダー材
及び添加剤との割合が10:1〜10:5の範囲にある
ものを使用すること、を特徴とする請求項4に記載のイ
ンクジェット用記録媒体の製造方法である。
【0019】これによると、溶媒吸収層1層目の塗液を
塗工し、乾燥させる過程で分散媒と共に樹脂及び添加剤
の一部が支持体側に移行し、塗膜は空隙率の高いものと
なり印字におけるインク溶媒の吸収が良好に行われるた
めに好ましい。尚、前記支持体の透気度が0秒の場合
は、要するに透気性が無いこと同値である。
【0020】請求項6に示す発明は、前記染料定着層の
塗工液には、粘度が5,000〜100,000mPa
sの範囲にあるものを使用することを特徴とする請求項
4又は5のいずれかに記載のインクジェット用記録媒体
の製造方法である。
【0021】これによると、空隙率の高い溶媒吸収層の
上に樹脂層を塗工する際、樹脂溶液が高粘度であるた
め、シリカ多孔質層に吸収され難くいことから、シリカ
多孔質層の空隙を損うことがないため好ましい。
【0022】
【発明の実施の形態】以下に本発明のインクジェット用
記録媒体について詳細に説明する。一般にオフセット印
刷やグラビア印刷では、専用の印刷用紙の上に画像情報
に基づいてインキをのせ、乾燥や硬化させることにより
画像情報を記録する。その際、印刷インクの一部は用紙
内部に浸透するが、その大部分は用紙の表面に留まるの
が普通であり、この表面に留まったインク皮膜が光沢を
発現する。
【0023】一方、インクジェットによる印刷において
は、インクジェットのインクは、基本的に受容層と呼ば
れる塗布層の内部に浸透することで発色し、かつ乾燥す
る。そのために印画部の光沢を積極的に上昇させること
はない。そこで、インクジェット方式で形成された画像
は、オフセット印刷やグラビア印刷で印刷された画像と
は異なった風合いとなる。
【0024】インクジェットによる印画物が印刷物に類
似した風合いとなるためには、印画部の光沢度が未印画
部の光沢度と比較して高くなる必要がある。また、印字
部の速やか乾燥が必要となることは言うまでもない。
【0025】本発明による記録媒体は、透気度0〜50
0秒の支持体に、近い方から、シリカとバインダ−を含
む添加剤の比が10/1〜10/5で調整され、これを
積層した溶媒吸収層、及び樹脂が主体となる染料定着層
とがこの順に設けてあり、該樹脂層の塗工時の粘度は
5,000〜100,000mPasの範囲となってい
る。
【0026】透気度0〜500秒の支持体上に溶媒吸収
層を塗工、乾燥させる過程で、バインダー及び添加剤の
一部が支持体に浸透し、空隙率の高い塗膜が得られる。
この上にさらに同じ組成の塗液を積層すると、さらに、
一層めの溶媒吸収層の空隙に二層めのバインダー、及び
添加剤が浸透し、より空隙率の高い層が表面側に形成さ
れる。
【0027】支持体の透気度がもし500秒を越える
と、その上に塗工されたバインダーや添加剤の支持体に
たいする浸透は少なくなり、結果として空隙率の増加は
少ないものとなる。その一方で、空隙率が高くなるよ
う、シリカとバインダーや添加剤の比を10/1未満と
した塗液を塗工すると、支持体に対する接着力が低くな
ってしまい十分な強度が得られなくなる。逆に、もし1
0/5を越えるとすると、バインダーや添加剤成分が支
持体、及び積層一層目に吸収されても、未だ吸収されき
れないものの量が多く、空隙率は高くならない。
【0028】また、印刷の風合いを出すための印字にお
けるインク溶媒を十分に吸収させる空隙を確保するに
は、溶媒吸収層の塗布量は10g/m2以上は必要とな
り、これを単独で形成させると塗膜は乾燥過程で皹が入
り記録媒体としては不適当となる。さらに、最表面層を
形成する樹脂を主体とする層は、塗工によって溶媒吸収
層に吸収されること無く積層するために5,000〜1
00,000mPasの塗工粘度が必要となる。粘度
が、もしこれ未満であると溶媒吸収層への浸透が大き
く、インク溶媒を吸収させるための空隙が塞がれてしま
うことになる。
【0029】染料定着層に親水性または水溶性の樹脂を
用いることで、インクジェットによる印画を行った場
合、印画部の光沢度が未印画部の光沢度と比較して高く
なる。尚、その機構については、未だ、必ずしも詳細が
明らかとなるまでには至っていないが、インクがノズル
から吐出され染料定着層に付着する際、インクを受理し
た部分の樹脂が膨潤し、あるいは若干溶解し、表面の平
滑性がより向上するためであるかと、現状では推察して
いる。
【0030】また、親水性または水溶性樹脂を染料定着
層に用いた場合、単に、アルミナゾルやシリカにより形
成されたインク受像層よりも物理的吸収速度が遅くなる
反面、染料がより表面に留まることから、印画部の光沢
度が上がるかとも、現状では推察している。
【0031】しかしながら、もし水溶性もしくは親水性
樹脂のみの単層からなるインク受容層を用いた場合、物
理的吸収速度が遅いため、乾燥性が遅く、また印画部に
タックが生じ、印刷後に印画部をそっと触れただけでイ
ンクが指に付着してしまう。また、アクリル樹脂に吸収
しきれないインク溶媒や添加剤等が支持体に吸収されて
しまい、コックリングが発生する。
【0032】本発明で述べる支持体としては、透気度が
0〜500秒であれば、入手可能な任意の材質の支持体
が適用可能である。例としては、合成紙、上質紙、アー
ト紙、コート紙、キャストコート紙、あるいは板紙、等
の各種の紙類や、またポリエチレンテレフタレート、ポ
リエチレンナフタレート、ポリ塩化ビニル、ポリカーボ
ネート、セロハン、あるいはポリエチレン等の樹脂を用
いた樹脂類を発泡等の処理により空気透過性を持たせた
もの、、前記の紙類とフィルム類とが積層などにより組
合わされたものが適宜使用される。
【0033】また、支持体の表面には、インク受像層の
接着性向上を目的に、コロナ放電処理やポリウレタン樹
脂等によるアンカー層等の公知の易接着処理をしても良
い。尚、支持体の形状などは不問であり、必ずしも紙や
フィルムのように、平たいとか可撓性とかの要件は無
い。
【0034】本発明で述べるシリカは特に限定されず、
ゲル法や、沈殿法で作成された多孔質シリカ及びこれら
を微分散したものや、フュームドシリカ、コロイダルシ
リカでも良い。また、塗膜として空隙を形成することが
できれば、シリカ以外のものも使用可能であり、カオリ
ン、クレーといった粘度鉱物や、酸化チタン、酸化亜
鉛、酸化マグネシウムといった金属酸化物、水酸化マグ
ネシウム、水酸化アルミニウムといった金属水酸化物、
またこれらをカップリング剤等でカチオン化処理したも
の等が挙げられる。特に好ましくは、溶媒吸収層として
ゲル法もしくは沈殿法で作成された、平均粒子径が1〜
20μmの範囲である多孔質シリカが溶媒吸収性の観点
から好ましい。
【0035】これら多孔質シリカに代表される粒子は接
着剤と呼ばれるバインダー樹脂によって塗膜として保持
され、アクリル、ポリビニルブチラール、ポリビニルア
セタール、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリド
ン、ウレタン、ポリエステル及びそれらの変生物、また
澱粉、セルロース、カゼインやゼラチン等の天然物及び
それらの変生物等によって保持される。尚、ポリビニル
アルコールの変性の具体例としては、シラノール変性、
アニオン変性、カチオン変性等々が挙げられる。特に好
ましくは、シリカ多孔質層としての水に対する耐性や塗
膜強度などの理由から、シラノール変性やエチレン単位
を構造内に繰り返しもつものが適用される。
【0036】溶媒吸収層の厚みは、一層目と二層目の合
計が10〜40g/m2程度、好ましくは15〜30g
/m2程度である。厚みが薄すぎるとインク吸収性が低
下し、インク受容層の表面で滲みが発生する、乾燥性が
遅くなる、コックリングが発生する等の悪影響を与える
ため好ましくない。また、厚みが厚すぎると、コスト高
になり、カールが発生したり、印刷用紙の風合いとは異
なってくるために好ましくない。
【0037】また、一層目(A)と二層目(B)の塗布
量の比は、A/B=1/5〜5/1であり、より好まし
くはA/B=2/1〜1/2の範囲である。一層目が少
ないと二層目を積層してもバインダー等の浸透量が少な
く二層目の空隙は大きくならない。また、一層目の塗布
量が多く二層目の塗布量が少ないと、空隙の大きい層が
少なくなり、印字におけるインク溶媒の吸収速度が不足
する。
【0038】本発明で述べる水溶性もしくは親水性樹脂
とは、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステルアク
リル酸誘導体、メタクリル酸誘導体等のアクリル系のモ
ノマーから構成されるポリマーであり、かつ、そのポリ
マーが、水溶性であるもの、もしくは親水性であるもの
を指す。
【0039】アクリル酸エステル、あるいはメタクリル
酸エステルの一般的な例としては、アクリル酸、メタク
リル酸メチル、メタクリル酸エチル、テトラヒドロフル
フリルメタクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリ
レート、N,N−ジメチルアミノエチルアクリレート、
アクリルアミド、メタクリルアミド、ダイアセトンアク
リルアミド等があげられるが、これに規定されるもので
はない。中でもアミド基を有するアクリルモノマーと疎
水性のアクリルモノマーを組み合わせて共重合させて得
られる樹脂は、親水性を持ちながら耐水性も兼ね備えて
いるために良好である。
【0040】また、架橋性成分を官能基として持つアク
リルモノマーを用いて樹脂を合成し、架橋剤と組み合わ
せて利用するのも有効な方法である。特に、ダイアセト
ンアクリルアミドを持つアクリル樹脂にアジピン酸ジヒ
ドラジドを添加して架橋させた樹脂を染料定着層に用い
た場合、染料定着能力や吸収速度は低下せずに耐水性が
向上するために好ましい。
【0041】本発明で述べるカチオン性モノマーとは、
化学式1で示される構造を持つモノマーである。
【0042】
【数1】
【0043】ここで、R1はCn2n+1を、R2〜R4はそ
れぞれCn2n+1を(nは1又は2のいずれか)、R5
n2nを(nは1〜5のいずれかの自然数)、QはO又
はNHのいずれかを、また、Xは1荷のアニオンを、そ
れぞれ示す。尚、R1〜R5は、それぞれ独立して相違す
るnを代入してよい。但し、R2とR4との間では同じn
を代入する方が、製造の容易さなどの観点から好まし
い。
【0044】その導入方法は、3級窒素原子を有するア
クリルモノマーを1成分として共重合させアクリル樹脂
を得た後に、ハロゲン化アルキル、ルイス酸等で4級化
させる方法、また3級窒素原子を有するアクリルモノマ
ーを予めハロゲン化アルキル、ルイス酸等で4級化させ
た後に共重合させる方法、いずれの方法も有効である。
また、ベタイン性モノマーはその構造は特に規定しな
い。
【0045】染料定着層の厚みは、3〜30g/m2
囲であり、好ましくは5〜20g/m2程度である。厚
みが薄すぎると、印画部の光沢度が低下したり、インク
受容層表面の光沢度も低くなり、好ましくない。また、
厚みが厚すぎると、コスト高になり、また乾燥性が低下
し、タックが発生するために好ましくない。
【0046】また、ある特定の印刷用紙の風合いに特に
類似したインクジェット用記録媒体を得るために、シリ
カ多孔質層に顔料を混合させ、色合いを調整しても良
い。使用する顔料に関しては特に制限されないが、溶媒
吸収層の本来の目的を逸脱させない顔料の種類、添加量
を選択する。例えば、イエロー顔料としてはチタンイエ
ロー、マゼンタ顔料としてはベン柄、シアン顔料として
はコバルトブルーが用いられる。
【0047】本発明においては、受容層には必要に応じ
て、架橋剤、染料固着剤、傾向増白剤、界面活性剤、消
泡剤、PH調整剤、防腐剤、紫外線吸収剤、分散剤等の
添加剤を、本発明の目的を防げない範囲で、従来公知の
ものから任意に選択し含有させても良い。
【0048】本発明のインクジェット用記録媒体を作成
するに当たっては、樹脂とシリカ及び添加剤を、分散機
等を用いて分散、混合、または溶解する従来公知の方法
を用いれば良い。
【0049】また、塗工に際しても、公知の方法、例え
ばロールコーター法、フレードコーター法、エアナイフ
コーター法、ゲートロールコーター法、サイズプレスコ
ーター法等により支持体表面に塗布する。その後、熱風
乾燥炉、熱ドラム等を用いて乾燥を行い本発明のインク
ジェット用記録媒体を得る。
【0050】<作用>以上説明したように、本発明のイ
ンクジェット用記録媒体によれば、インクジェット方式
により印刷を行った場合、印画物がオフセット印刷やグ
ラビア印刷の印画物と類似した光沢感を持つために、オ
フセット印刷やグラビア印刷の印刷物と風合いが類似す
るものである。
【0051】
【実施例】以下、実施例および比較例により本発明をさ
らに具体的に説明する。文中、「部」は特に断りのない
限り重量基準であり、また、固形分基準である。
【0052】<アクリル樹脂合成>撹拌機、窒素導入管
および還流冷却管を備えたフラスコ内に、モノマーを
(表2)に示す組成比となるように、合計20グラム導
入し、エタノール10グラム、水30グラムを加えて溶
解させ、油浴上で窒素雰囲気下撹拌した。これに0.1
6グラムのα, α’−アゾビスイソブチロニトリルを添
加することで重合を開始し、60℃の油浴上で8時間程
度加熱撹拌を続け重合反応を行い、無色、粘張なポリマ
ー溶液(固形分20%;粘度8000mPas)を得
た。
【0053】
【表1】
【0054】<実施例−1>溶媒吸収層に用いたインキ
は、以下に示す組成にて調液を行った。 [インキ組成] シリカ:X−37B ((株)トクヤマ製 平均粒子径3.7μm) 10部 ポリビニルアルコール:PVA−117 ((株)クラレ製) 4部 水 86部
【0055】ポリビニルアルコールと水を所定量加え、
加温溶解した後、シリカを所定量加えボールミルで30
分分散し所定の分散液を得た。 [染料定着層]アクリル樹脂合成に基づき合成された
樹脂をそのまま使用した。
【0056】透気度210秒の上質紙上に、溶媒吸収層
を乾燥塗布量が10.0g/m2となるようにメイヤー
バーを用いて塗布し一層目を形成した。この上に一層目
と同じ塗液を乾燥塗布量が10.0g/m2となるよう
にメイヤーバーを用いて塗布し、100℃で5分乾燥さ
せ溶媒吸収層を作成した。その後、染料定着層としてア
クリル樹脂を、乾燥塗布量が10.0g/m2となるよ
うにメイヤーバーを用いて塗布し、100℃5分間乾燥
させ、インクジェット用記録媒体を得た。以下塗布及び
乾燥の方法は実施例−1と同じ。
【0057】 <実施例−2> [溶媒吸収層] シリカ:X−37B((株)トクヤマ製) 10部 シラノール変性ポリビニルアルコール: R−1130((株)クラレ製) 4部 水 86部 上記組生物を溶解分散して所定の分散液を得た。
【0058】[染料定着層]アクリル樹脂合成に基づ
き合成された樹脂をそのまま使用した。これら組生物を
実施例−1と同様にして塗工物を得た。
【0059】 <比較例−1> [溶媒吸収層] シリカ:X−37B ((株)トクヤマ製) 10部 シラノール変性ポリビニルアルコール:R−1130 ((株)クラレ製) 4部 水 86部 上記組生物を溶解分散して所定の分散液を得た。
【0060】[染料定着層]アクリル樹脂合成に基づ
き合成された樹脂をそのまま使用した。これらの塗液を
透気度840秒のキャストコート紙上に塗布した以外は
実施例−1と同様にして、比較例−1の記録媒体を得
た。
【0061】 <比較例−2> [溶媒吸収層] シリカ:X−37B((株)トクヤマ製) 10部 ポリビニルアルコール:PVA−217 ((株)クラレ製) 4部 水 86部 上記組生物を溶解分散して所定の分散液を得た。
【0062】 [染料定着層] アクリル樹脂合成に基づき合成された樹脂 50部 水 20部 を加え、粘度を3000mPasに調整した以外は、実
施例−1と同様にして比較例−2の記録媒体を得た。
【0063】 上記組生物を溶解分散して所定の分散液を得た。
【0064】[染料定着層]アクリル樹脂合成に基づ
き合成された樹脂をそのまま使用した。溶媒吸収層の一
層めの乾燥塗布量を19.0g/m2とし、二層目を
1.0g/m2とした以外は、実施例−1と同様にし
て、比較例−3の記録媒体を得た。
【0065】 <比較例−4> [溶媒吸収層] シリカ:X−37B ((株)トクヤマ製) 10部 シラノール変性ポリビニルアルコール:R−1130 ((株)クラレ製) 4部 水 86部 上記組生物を溶解分散して所定の分散液を得た。
【0066】[染料定着層]アクリル樹脂合成に基づ
き合成された樹脂をそのまま使用した。溶媒吸収層の一
層めの乾燥塗布量を1.0g/m2とし、二層目を1
0.0g/m2とした以外は、実施例−1と同様にし
て、比較例−3の記録媒体を得た。
【0067】 <比較例−5> [溶媒吸収層] シリカ:X−37B((株)トクヤマ製) 10部 シラノール変性ポリビニルアルコール:R−1130 ((株)クラレ製) 10部 水 90部 上記組生物を溶解分散して所定の分散液を得た。
【0068】[染料定着層]アクリル樹脂合成に基づ
き合成された樹脂をそのまま使用した。これら組生物の
内、染料定着層の樹脂を乾燥塗布量30g/m2とした
以外は、実施例−1と同様にして比較例−5の記録媒体
を得た。
【0069】<評価>得られたインクジェット用記録媒
体に対し、キヤノン製インクジェットプリンター(製品
名;BJC−850J)を用いて、イエロー、マゼン
タ、シアンを100%づつ重ねてブラックのべた印画を
行い、評価画像を形成させた。
【0070】上記の通り得られたインクジェット用記録
媒体について、インク受像層の印画部のコックリング、
タック、及び印画部光沢感の視覚評価を行った。結果を
(表2)に示す。
【0071】
【表2】
【0072】〔印画部コックリング〕印画部を目視し、
その光沢感を観察した。 ○;印画部のコックリングが殆ど認められない。 △;印画部において、若干のコックリングが認めれる
が、実用上問題無し。 ×;印画部において、はっきりコックリングが確認さ
れ、実用上問題あり。
【0073】〔印画部タック〕印画1分後、印画部に指
を押し当てタック性を確認した。 ○;指に対する粘着感が全く感じられない。 △;指に粘着感を感じるが受像紙が持ち上がる事はな
く、実用上問題無し。 ×;指に粘着感を感じると同時に受像紙が持ち上がり、
実用上問題あり。
【0074】〔印画部光沢感〕印画部を目視して、その
光沢感を観察し、オフセットやグラビア等の印刷による
印刷物の感じと比較した。 ○;印刷物に類似する。(未印画部と印画部で光沢感が
上昇) △;印刷物の風合い有り。(未印画部と印画部で光沢感
が若干上昇) ×;印刷物の風合いはない。(未印画部と印画部で光沢
感が変化しない)
【0075】
【発明の効果】以上のように、本発明によれば、印画部
の光沢度が未印画部の光沢度と比較して高いものとな
り、得られる画像が、見た目に、オフセット印刷やグラ
ビア印刷の印刷物に類似した質感を持ち、またインクジ
ェット用記録媒体そのものが、オフセット印刷やグラビ
ア印刷の印刷用紙と、見た目の風合いがよく似たインク
ジェット用記録媒体とその製造方法を提供することが出
来た。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るインクジェット用記録媒体の一実
施例を、模式的に縦断面図で示す説明図。
【符号の説明】
1・・・インクジェット用記録媒体 2・・・インク受像層 3・・・支持体 4・・・溶媒吸収層 5・・・染料定着層
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 2C056 EA04 FC06 2H086 BA01 BA16 BA33 BA35 BA60 BA61 BA62

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】支持体上に、材料としてシリカを主体と
    し、多孔質をなす、層数が2以上でできた溶媒吸収層
    と、 その上に、親水性樹脂か又は水溶性樹脂の少なくともい
    ずれかを用いてある染料定着層とが設けてあることを特
    徴とするインクジェット用記録媒体。
  2. 【請求項2】前記支持体の透気度が0〜500秒であ
    り、 前記溶媒吸収層中にあるシリカと、該溶媒吸収層中にあ
    るバインダー及び添加剤との割合が10:1〜10:5
    の範囲であることを特徴とする請求項1に記載のインク
    ジェット用記録媒体。
  3. 【請求項3】前記染料定着層の塗工時の粘度が、5,0
    00〜100,000mPasの範囲にあることを特徴
    とする請求項1に記載のインクジェット用記録媒体。
  4. 【請求項4】支持体上に、材料としてシリカを主体とす
    る塗工液を2回以上に分けて塗工することにより、多孔
    質をなし、層数が2以上でできた溶媒吸収層を形成し、 その上に、親水性樹脂か又は水溶性樹脂の少なくともい
    ずれかを含む塗工液を用いて染料定着層を形成すること
    を特徴とするインクジェット用記録媒体の製造方法。
  5. 【請求項5】前記支持体として透気度が0〜500秒の
    材料を使用し、 前記溶媒吸収層の塗工液は、シリカと、該溶媒吸収層用
    のバインダー材及び添加剤との割合が10:1〜10:
    5の範囲にあるものを使用すること、を特徴とする請求
    項4に記載のインクジェット用記録媒体。
  6. 【請求項6】前記染料定着層の塗工液には、粘度が5,
    000〜100,000mPasの範囲にあるものを使
    用することを特徴とする請求項4又は5のいずれかに記
    載のインクジェット用記録媒体の製造方法。
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