JP2002306937A - セルロース誘導体中空糸膜 - Google Patents

セルロース誘導体中空糸膜

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JP2002306937A JP2001113063A JP2001113063A JP2002306937A JP 2002306937 A JP2002306937 A JP 2002306937A JP 2001113063 A JP2001113063 A JP 2001113063A JP 2001113063 A JP2001113063 A JP 2001113063A JP 2002306937 A JP2002306937 A JP 2002306937A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 機械的強度が高く、生分解しにくく、透過流
束が高いセルロース誘導体中空糸膜を得る。 【解決手段】 セルロース誘導体を膜材料とする中空糸
膜であり、膜厚が50〜500μmで、内外表面の少な
くとも一方に0.001〜0.05μmの平均孔径をも
つ緻密な膜表面を有し、膜内部に平均孔径が0.5〜7
μmである空孔を有する三次元網目状多孔質構造からな
り、膜内部の三次元網目状多孔質構造の孔径分布におい
て極大値が少なくとも1つ存在し、その極大値が8μm
以上である、膜材料の70質量%以上が酢酸プロピオン
酸セルロース又は酢酸酪酸セルロースであるセルロース
誘導体中空糸膜。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、特に河川、湖沼等
の天然水域の水処理用として適したセルロース誘導体中
空糸膜に関する。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】酢酸セ
ルロース膜は、古くから海水淡水化用の非対称逆浸透膜
や血液透析膜として利用されており、これらの用途に向
けた中空糸膜タイプの酢酸セルロース膜が開発されてい
る(例えば、特開昭54−88881号公報、特開昭6
1−185305号公報、特開昭60−29763号公
報、特開昭63−17922号公報、特開平5−228
208号公報、特開平6−343842号公報)。ま
た、酢酸セルロース膜の生体適合性や透水性を改善する
ために、酢酸セルロース膜以外のセルロース誘導体又は
セルロースエステル膜も検討されている。例えば、特開
昭57−133211号公報、特開昭60−43442
号公報、特開昭60−5202号公報、特開昭62−2
90468号公報、特開平1−20245号公報、特開
平2−12611号公報、特開平2−211228号公
報、特開平6−277473号公報、特開平6−311
44号公報等には、酢酸プロピオン酸セルロースを対象
としたセルロース誘導体膜が開示されている。
【0003】しかし、これらの先行技術には、高い透水
流束と高い強度を併せもつ中空糸膜について具体的に記
載されたものはない。更に、これらの先行技術に開示さ
れた膜は透析用膜やパーベイパレーション膜で、しかも
孔径の小さな膜又は非多孔膜であり、水処理用途に用い
る高分画性能をもつ膜とは異なる。
【0004】水処理用途に用いられる酢酸セルロース中
空糸膜は、例えば、特開平6−343842号公報、特
開平8−108053号公報に開示されているが、これ
らの酢酸セルロース中空糸膜を河川水、地下水、湖沼
水、海水等の天然水の浄化に用いた場合、原水中の微生
物によって膜が生分解することが問題となる。そこで、
酢酸セルロース中空糸膜を用いた天然水の浄化において
は、通常、次亜塩素酸ナトリウムによる殺菌が常時又は
間欠的に行われ、膜の生分解が阻止されている。しか
し、次亜塩素酸ナトリウムが天然水中のフミン質と結合
すると、発癌性のトリハロメタン等の消毒副生物を生じ
るという問題が生じる。
【0005】本発明は、上記のような酢酸セルロース膜
のもつ生分解を受けやすいという問題を解決し、天然水
の浄化に適用した場合にも次亜塩素酸ナトリウム水溶液
等による殺菌処理を全く行わないか又は回数を大幅に減
少させても生物劣化することなく、高い透水速度を維持
し、かつ機械的強度に優れたセルロース誘導体中空糸膜
を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者は、先に膜材料
の70質量%以上が酢酸プロピオン酸セルロース又は酢
酸酪酸セルロースであるセルロース誘導体中空糸膜に係
わる発明を出願している。(PCT/JP00/030
56)このセルロース誘導体中空糸膜は、高い透過流束
と膜強度を有している点で優れているものであるが、透
過流束に関しては酢酸セルロース中空糸膜と比べると劣
っているため、この点で更なる改善の余地がある。よっ
て、本発明者は、膜強度を高く維持したまま、酢酸セル
ロース中空糸膜と同程度以上の透過流束を発揮できるも
のを得るべく研究をした結果、本発明を完成したもので
ある。
【0007】本発明は、解決手段として、セルロース誘
導体を膜材料とする中空糸膜であり、膜厚が50〜50
0μmで、内外表面の少なくとも一方に0.001〜
0.05μmの平均孔径をもつ緻密な膜表面を有し、膜
内部に平均孔径が0.5〜7μmである空孔を有する三
次元網目状多孔質構造からなり、膜内部の三次元網目状
多孔質構造の孔径分布において極大値が少なくとも1つ
存在し、その極大値が8μm以上である、膜材料の70
質量%以上が酢酸プロピオン酸セルロース又は酢酸酪酸
セルロースであるセルロース誘導体中空糸膜を提供す
る。
【0008】
【発明の実施の形態】本発明のセルロース誘導体中空糸
膜(以下、単に「中空糸膜」と称する)は、機械的強度
と透水性をバランスよく付与するため、膜厚が50〜5
00μm、好ましくは100〜400μmである。
【0009】本発明の中空糸膜は、内外表面の少なくと
も一方に0.001〜0.05μm、好ましくは0.0
05〜0.03μmの平均孔径をもつ緻密な膜表面を有
している。前記平均孔径の範囲は、分画分子量に換算す
ると1万〜50万、好ましくは7万〜30万に相当す
る。なお、本発明の中空糸膜は、内表面、外表面又は内
外表面が前記した緻密な膜表面であるが、これらの中で
も内外表面が緻密な膜表面であるものが好ましい。
【0010】本発明の中空糸膜は、膜内部が平均孔径
0.5〜7μm、好ましくは2〜6μm、より好ましく
は4〜6μmの空孔を有する三次元網目状多孔質構造か
らなるものである。この「三次元網目状多孔質構造」
は、中空糸膜に機械的強度と伸度を付与するように作用
するもので、膜表面の緻密層の孔径よりも大きな平均孔
径の空孔を有するものであるが、孔径が10μm以上も
の巨大空孔を複数個含むものではなく、孔径が10μm
以上もの巨大空孔を含まないものが望ましい。
【0011】なお、膜内部の平均孔径は、膜断面の電子
顕微鏡写真(5000倍)を膜内表面から膜外表面にわ
たり等間隔に10箇所撮影し、各箇所の写真上の5μm
四方内に見られる孔の径を平均化し、この平均値を10
箇所の撮影部に対して平均化したものである。
【0012】また、膜内部の三次元網目状多孔質構造の
孔径分布においては極大値が少なくとも1つ存在し、そ
の極大値(最大孔径)は8μm以上、好ましくは8〜2
0μm、より好ましくは8〜10μmである。この極大
値を示す空孔は、中空糸膜の内表面からの距離が50〜
200μmの範囲に存在することが好ましく、60〜1
50μmの範囲に存在することがより好ましく、75〜
125の範囲に存在することが更に好ましい。膜内部の
全空孔容積に対する孔径8μm以上の空孔容積の割合
は、好ましくは1〜50%、より好ましくは1〜30
%、更に好ましくは5〜20%である。
【0013】本発明の中空糸膜は、セルロース誘導体を
膜材料とするものであるが、膜材料の70質量%以上、
好ましくは80質量%以上が酢酸プロピオン酸セルロー
ス又は酢酸酪酸セルロースであり、更に好ましくは10
0質量%が酢酸プロピオン酸セルロース又は酢酸酪酸セ
ルロースである。酢酸プロピオン酸セルロース又は酢酸
酪酸セルロースの含有量が70質量%以上であると、生
分解しにくくなり、他のセルロース誘導体等と混合した
場合でも相溶性が良く、膜の機械的強度の低下を防止で
きる。
【0014】酢酸プロピオン酸セルロースにおける酢酸
エステル基及びプロピオン酸エステル基の置換度と、酢
酸酪酸セルロースにおける酢酸エステル基及び酪酸エス
テル基の置換度は特に制限されないが、好ましくは1.
5〜2.9、より好ましくは2.0〜2.8である。ま
た、酢酸エステル基とプロピオン酸エステル基の置換基
又は酢酸エステル基と酪酸エステル基の比率は特に制限
されない。更に、酢酸プロピオン酸セルロース及び酢酸
酪酸セルロースの数平均分子量は、紡糸性が良いため、
好ましくは1万〜50万、より好ましくは5万〜20万
である。
【0015】本発明の中空糸膜において、酢酸プロピオ
ン酸セルロース又は酢酸酪酸セルロースと他のセルロー
ス誘導体との混合物を膜材料として用いる場合、他のセ
ルロース誘導体としては、二酢酸セルロース、三酢酸セ
ルロース、ブチル酸セルロース等のセルロースエステル
化合物、メチルセルロース、エチルセルロース等のセル
ロースエーテル化合物が挙げられ、更に、ポリスルホン
系ポリマー、ポリアクリロニトリル系ポリマー、ポリア
ミド系ポリマー、ポリビニルピロリドン、ポリビニルホ
ルマール等を併用することができる。
【0016】本発明の中空糸膜は、長期にわたり耐久性
を維持するため、引張破断点強度が好ましくは3MPa
以上、より好ましくは4MPa以上で、かつ引張破断点
伸度が好ましくは15%以上、より好ましくは20%以
上である。
【0017】本発明の中空糸膜は、膜間差圧100kP
a、温度25℃における純水の透過速度が、好ましくは
400L/(m・h)以上、より好ましくは500L
/(m・h)以上のものである。なお、ここで「純
水」とは、電気抵抗が0.2μS/cm以下になるよう
にイオン交換した水を、分画分子量3万の膜で濾過した
水をいう。
【0018】本発明のセルロース誘導体中空糸膜は、例
えば、湿式相転換法又は乾湿式相転換法を適用して製造
することができる。
【0019】これらの方法で用いる紡糸原液は、上記し
たように、膜材料として70質量%以上の酢酸プロピオ
ン酸セルロース又は酢酸酪酸セルロースを含むセルロー
ス誘導体を溶剤に溶解して得る。
【0020】この溶剤は水と混合できるものであればよ
く、アセトン、ジオキサン、酢酸、ジメチルスルホキシ
ド、ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリド
ン、ジメチルホルムアミド等が挙げられる。これらの中
でも、透水流束を高くするためには、100℃以上で紡
糸ができる高沸点溶剤、例えば、ジメチルスルホキシ
ド、ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリド
ンが好ましく、所定の三次元網目状多孔質構造を形成
し、機械的強度を高くするため、ジメチルスルホキシド
が好ましい。
【0021】また、これらの溶剤以外にエチレングリコ
ール、ポリエチレングリコール等の非溶剤、塩化リチウ
ム、塩化カルシウム、塩化マグネシウム、硝酸リチウ
ム、硝酸バリウム、硝酸マグネシウム、酢酸リチウム、
酢酸マグネシウム等の金属化合物を添加できる。
【0022】紡糸原液中のセルロース誘導体の濃度は、
好ましくは15〜35質量%、より好ましくは20〜3
0質量%である。
【0023】内部凝固液は、濃度20〜40質量%、好
ましくは20〜30質量%の極性有機溶媒水溶液を用
い、この極性有機溶剤水溶液としてはジメチルスルホキ
シド水溶液、ジメチルホルムアミド水溶液が好ましい。
このように極性有機溶媒水溶液、好ましくはジメチルス
ルホキシド水溶液、ジメチルホルムアミド水溶液を内部
凝固液として用いることによって、上記した特定構造の
中空糸膜を得ることができる。
【0024】凝固浴は、内部凝固液と同様のものでよい
が、その他にもセルロース誘導体の非溶剤である水、エ
チレングリコール、ポリエチレングリコール又はこれら
の非溶剤と上記した有機溶剤との混合物を用いることが
できる。
【0025】内部凝固液及び凝固浴の温度は、好ましく
は30〜90℃、より好ましくは30〜70℃である。
30℃以上であると膜表面の緻密層の厚みを適度にする
ことができるので高い透水流束が得られ、90℃以下で
あると内部凝固液及び凝固浴の沸騰が生じないので、製
造操作が円滑に行える。
【0026】紡糸原液のノズル吐出部の温度は、好まし
くは30〜130℃、より好ましくは50〜100℃、
更に好ましくは50〜75℃である。乾湿式紡糸の場
合、ノズル吐出部と凝固浴表面との距離は、吐出後の中
空糸膜が0.2秒以上空気中に留まることができるよう
に、好ましくは1〜50cm、より好ましくは5〜30
cmの範囲で設定する。
【0027】本発明の中空糸膜は、特に河川水、地下
水、湖沼水、海水等の天然水の浄化用に適しているが、
それら以外にも、工場、家庭等の各種排水の処理にも適
用することができる。
【0028】
【実施例】以下、実施例により本発明を更に詳しく説明
するが、本発明はこれらにより限定されるものではな
い。なお、以下における各測定は、下記の方法により行
った。 (1)純水透過流束 有効長50cmの中空糸膜に、25℃の純水で100k
Paの水圧を内側からかけ、単位時間当たりに透過した
純水の量を測定し、その透水流束を内表面積基準の膜面
積で割って求めた。 (2)引張破断点強度、伸度 有効長5cmの中空糸膜試験片を、テンシロンを用いて
クロスヘッド速度10mm/分で引っ張り、破断点にお
ける強度及び伸度を測定した。強度は、中空糸膜断面積
で割って求めた。 (3)分画分子量 分子量の異なる各種蛋白質を標準溶質とし、膜に対する
それぞれの排除率を測定して、分子量と排除率の関係を
グラフにプロットし、得られた分子量排除率曲線より、
排除率90%に相当する分子量を求めた。 (4)生分解性 中空糸膜を流水状態の揖保川河川水に浸漬させ、経日的
に中空糸膜をサンプリングし、その引張破断点強度を測
定し、前記強度が初期強度の90%に低下するまでの日
数を求めた。
【0029】実施例1 酢酸プロピオン酸セルロース(置換度2.68、数平均
分子量75000、酢酸エステル基含有率2.5%、プ
ロピオン酸エステル基含有率61.2%)22質量%、
ジメチルスルホキシド77質量%、塩化リチウム1質量
%の紡糸原液を、二重管型ノズルの外管から吐出すると
共に、内管から濃度30質量%のジメチルスルホキシド
水溶液(55℃)を内部凝固液として吐出した。吐出部
における紡糸原液の温度は55℃であった。吐出した紡
糸原液は、0.5秒間空気中を通過させた後、凝固浴
(50℃の温水)中で凝固させ、更に洗浄浴(50℃の
温水)中で十分に溶剤を除去して、膜厚が約250μm
の中空糸膜を得た。
【0030】図1に、得られた中空糸膜の断面構造を示
す。図1(a)は、中空糸膜の内表面とその近傍部分を
含む断面の走査型電子顕微鏡写真(5000倍)であ
り、図1(b)は、膜内部(膜内表面から約60〜85
μmの範囲)の断面の走査型電子顕微鏡写真(5000
倍)である。図1から明らかなとおり、中空糸膜は内表
面に緻密な構造を有する三次元網目状多孔質構造のもの
であった。図2に、得られた中空糸膜の内表面からの距
離と空孔径の関係を示す。図2から明らかなとおり、膜
内部の空孔径は、2〜10μm程度の範囲に分布してお
り、極大値は10μmを超える程度であった。実施例1
で得られた中空糸膜の構造上の各数値及び試験結果を表
1に示す。
【0031】実施例2 内部凝固液として濃度30質量%のジメチルホルムアミ
ド水溶液を用いた以外は実施例1と同様にして、膜厚が
約250μmの中空糸膜を得た。実施例2で得られた中
空糸膜の構造上の各数値及び試験結果を表1に示す。
【0032】実施例3 酢酸酪酸セルロース(置換度2.69、数平均分子量7
5000、酢酸基含有率13.5%、酪酸基含有率3
7.0%)20質量%、ジメチルスルホキシド79質量
%、塩化リチウム1質量%の紡糸原液を、二重管型ノズ
ルの外管から吐出すると共に、内管から濃度20質量%
のジメチルスルホキシド水溶液(55℃)を内部凝固液
として吐出した。吐出部における紡糸原液の温度は55
℃であった。吐出した紡糸原液は、0.5秒間空気中を
通過させた後、凝固浴(50℃の温水)中で凝固させ、
更に洗浄浴(50℃の温水)中で十分に溶剤を除去し
て、膜厚が約250μmの中空糸膜を得た。実施例3で
得られた中空糸膜の構造上の各数値及び試験結果を表1
に示す。
【0033】実施例4 酢酸プロピオン酸セルロース(置換度2.68、数平均
分子量75000、酢酸エステル基含有率2.5%、プ
ロピオン酸エステル基含有率61.2%)と三酢酸セル
ロース(酢化度60.8%、重合度150、ダイセル化
学工業(株)製)を重量比9:1で混合した混合物20
質量%、ジメチルスルホキシド79質量%、塩化リチウ
ム1質量%の紡糸原液を、二重管型ノズルの外管から吐
出すると共に、内管から濃度20質量%のジメチルスル
ホキシド水溶液(75℃)を内部凝固液として吐出し
た。吐出部における紡糸原液の温度は90℃であった。
吐出した紡糸原液は、0.5秒間空気中を通過させた
後、凝固浴(70℃の温水)中で凝固させ、更に洗浄浴
(50℃の温水)中で十分に溶剤を除去して、膜厚が約
250μmの中空糸膜を得た。実施例4で得られた中空
糸膜の構造上の各数値及び試験結果を表1に示す。
【0034】比較例1 実施例1と同じ紡糸原液を二重管型ノズルの外管から吐
出すると共に、内管から純水(55℃)を内部凝固液と
して吐出した。吐出部における紡糸原液の温度は55℃
であった。吐出した紡糸原液は、0.5秒間空気中を通
過させた後、凝固浴(50℃の温水)中で凝固させ、更
に洗浄浴(50℃の温水)中で十分に溶剤を除去して、
膜厚が約250μmの中空糸膜を得た。
【0035】図2に、得られた中空糸膜の内表面からの
距離と空孔径の関係を示す。図2から明らかなとおり、
膜内部の空孔径は、2〜7μm程度の範囲に分布してお
り、極大値は7μmを下回っていた。比較例1で得られ
た中空糸膜の構造上の各数値及び試験結果を表1に示
す。
【0036】比較例2 三酢酸セルロース(酢化度60.8%、重合度150、
ダイセル化学工業(株)製)20質量%、ジメチルスル
ホキシド79質量%及び塩化リチウム1質量%の紡糸原
液を用いた以外は実施例4と同様にして、中空糸膜を得
た。この中空糸膜の断面は、三次元網目状多孔質構造内
に空孔径約150μmの巨大空孔が複数個存在してい
た。
【0037】比較例3 内部凝固液として純水に替えて濃度10質量%のジメチ
ルスルホキシド水溶液(55℃)を用いた以外は比較例
1と同様にして、膜厚が約250μmの中空糸膜を得
た。
【0038】比較例4 実施例4と組成は同じで、質量比(酢酸プロピオン酸セ
ルロース:三酢酸セルロース=1:9)が実施例4と異
なる紡糸原液を二重管型ノズルの外管から吐出すると共
に、内管から濃度30質量%のジメチルスルホキシド水
溶液(75℃)を内部凝固液として吐出した。吐出部に
おける紡糸原液の温度は90℃であった。吐出した紡糸
原液は、0.5秒間空気中を通過させた後、凝固浴(7
0℃の温水)中で凝固させ、更に洗浄浴(50℃の温
水)中で十分に溶剤を除去して、膜厚が約250μmの
中空糸膜を得た。
【0039】
【表1】
【0040】試験例1 実施例1と比較例2で得られた中空糸膜を用い、揖保川
河川水を用いた濾過試験を行った。濾過は、有効膜面積
0.14m2、温度9〜37℃で、膜間差圧10〜50
kPaで行い、0.5時間ごとに60秒間、逆圧洗浄を
行った。但し、図3に示すとおり、濾過水に有効塩素濃
度が1mg/Lになるように次亜塩素酸ナトリウムを添
加したもので逆圧洗浄を行った。図3に、透過流束の経
日変化を示す。
【0041】図3から明らかなとおり、実施例1の中空
糸膜は、比較例2の酢酸セルロース膜と比べても同等の
透過流束を示した。
【0042】
【発明の効果】本発明のセルロース誘導体中空糸膜は、
機械的強度が高く、生分解もしにくいので、次亜塩素酸
ナトリウム等の殺菌剤による洗浄が全く不要になるか又
は大幅に減少させた場合でも、酢酸セルロース膜と同等
の高い透水性能を維持することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 図1(a)は、実施例1で得られた中空糸膜
内表面を含む断面の5000倍の走査型電子顕微鏡写真
であり、図1(b)は、実施例1で得られた中空糸膜内
部の5000倍の走査型電子顕微鏡写真である。
【図2】 実施例1と比較例1で得られた中空糸膜の膜
内部の空孔分布を示す図である。
【図3】 実施例1と比較例2で得られた中空糸膜を用
いた濾過試験における、透過流束の経日変化を示す図で
ある、
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 4D006 GA02 KA41 KC03 KC13 KD24 LA06 MA01 MA22 MA31 MB02 MB16 MC17 MC17X MC18 NA04 NA17 NA18 NA74 PA01 PB04 PB59 PC51 PC54 4L035 AA10 BB04 BB13 BB15 BB17 DD03 DD14 EE08 EE20 FF01 HH01 HH10

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 セルロース誘導体を膜材料とする中空糸
    膜であり、膜厚が50〜500μmで、内外表面の少な
    くとも一方に0.001〜0.05μmの平均孔径をも
    つ緻密な膜表面を有し、膜内部に平均孔径が0.5〜7
    μmである空孔を有する三次元網目状多孔質構造からな
    り、膜内部の三次元網目状多孔質構造の孔径分布におい
    て極大値が少なくとも1つ存在し、その極大値が8μm
    以上である、膜材料の70質量%以上が酢酸プロピオン
    酸セルロース又は酢酸酪酸セルロースであるセルロース
    誘導体中空糸膜。
  2. 【請求項2】 膜内部に存在する空孔の平均孔径が2〜
    6μmである請求項1記載のセルロース誘導体中空糸
    膜。
  3. 【請求項3】 膜内部に存在する空孔の極大値が8〜2
    0μmである請求項1又は2記載のセルロース誘導体中
    空糸膜。
  4. 【請求項4】中空糸膜の内表面からの距離が50〜20
    0μmの範囲に極大値を示す空孔が存在する請求項1、
    2又は3記載のセルロース誘導体中空糸膜。
  5. 【請求項5】中空糸膜の内表面からの距離が60〜15
    0μmの範囲に極大値を示す空孔が存在する請求項1、
    2又は3記載のセルロース誘導体中空糸膜。
  6. 【請求項6】 膜内部の全空孔容積に対する孔径8μm
    以上の空孔容積の割合が1〜50%である請求項1〜5
    のいずれか1記載のセルロース誘導体中空糸膜。
  7. 【請求項7】 中空糸膜の引張破断点強度が3MPa以
    上で、かつ破断点伸度が15%以上である請求項1〜6
    のいずれか1記載のセルロース誘導体中空糸膜。
  8. 【請求項8】 膜間差圧100kPa、温度25℃にお
    ける純水の透過流束が400L/(m・h)以上であ
    る請求項1〜7いずれか1記載のセルロース誘導体中空
    糸膜。
  9. 【請求項9】 天然水の処理用である請求項1〜8のい
    ずれか1記載のセルロース誘導体中空糸膜。
  10. 【請求項10】 請求項1〜9のいずれか1記載のセル
    ロース誘導体中空糸膜の製造法であり、内部凝固液とし
    て濃度20〜40質量%の極性有機溶媒水溶液を用いて
    紡糸するセルロース誘導体中空糸膜の製造法。
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