JP2002305312A - 光起電力素子 - Google Patents

光起電力素子

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JP2002305312A
JP2002305312A JP2001109303A JP2001109303A JP2002305312A JP 2002305312 A JP2002305312 A JP 2002305312A JP 2001109303 A JP2001109303 A JP 2001109303A JP 2001109303 A JP2001109303 A JP 2001109303A JP 2002305312 A JP2002305312 A JP 2002305312A
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type semiconductor
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silicon
thin film
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Takaharu Kondo
隆治 近藤
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Abstract

(57)【要約】 【課題】産業的に実用レべルにある成膜速度で、さらに
ステブラー―ロンスキー(Staebler−Wron
ski)効果による光劣化現象に対して、光照射時に光
電変換効率の自己回復能を有する光起電力素子を提供す
ることを目的としている。 【解決手段】 一組のpin接合からなる半導体層を含
んだ光起電力素子に、継続して光照射を行なった際に、
光電変換効率の自己回復能を有することを特徴とした光
起電力素子。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、継続して光照射を行っ
た際に光変換効率の自己回復機能を有する光起電力素子
に関する。
【0002】
【従来の技術】結晶性を示すシリコン薄膜の形成方法と
しては、従来からキャスト法などの液相から成長させる
方法が行われてきたが、高温処理が必要であり、量産性
・低コスト化に向けての課題があった。
【0003】キャスト法以外の結晶性を示すシリコン薄
膜の形成方法としては、特開平5−136062号公報
に記載のアモルファスシリコン形成後に水素プラズマ処
理を行い、これを繰り返すことにより多結晶シリコン膜
を形成する方法が開示されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】アモルファスシリコン
を主成分とした光起電力素子には、任意の基板上への、
低温、連続成膜が可能であるという優れた特性がある一
方で、光電変換効率が相対的に小さいことや、ステブラ
ー―ロンスキー(Staebler−Wronski)
効果による光劣化現象に代表される構造敏感性などの問
題点が存在する。
【0005】上記の優れた特性を生かしながら問題点を
解決するための手段として、近年、薄膜多結晶シリコン
が注目されている。
【0006】一般的に結晶性を示すシリコン薄膜を用い
た光起電力素子では、結晶粒界におけるシリコンのダン
グリングボンド等の影響、結晶粒界近傍に生じるひず
み、結晶自体の不完全性などによってキャリアの走行性
が妨げられ、光起電力素子としての光電特性に悪影響を
与えることが知られている。特に高速成膜時には、バル
ク自体の結晶性の低下、結晶粒界における構造の歪みに
起因するアモルファス化などがおこり、それによりアモ
ルファスと同様な光劣化現象を示すことがあるという問
題点があった。
【0007】上記の影響を軽減するための対策として、
成膜速度を低下させたり、シリコン膜の形成と水素雰囲
気でのアニールを繰り返しながら膜形成を行うなどの工
夫を要していたが、これらの処理は、成膜時間を長くし
コストを高める要因となっていた。
【0008】そこで、本発明は上記した課題を解決し、
産業的実用レベルにある成膜速度で、さらにステラー−
ロンスキー(Staebler−Aronski)効果
による光劣化現象に対して、光照射時に光電変換効率の
自己回復機能を有する光起電力素子を提供することを目
的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明は、一組のpin
接合からなる半導体層を含んだ光起電力素子に、継続し
て光照射を行った際に、光電変換効率の自己回復能を有
することを特徴とする光起電力素子である。
【0010】本発明は、一組のpin接合からなる半導
体層を含んだ光起電力素子において、
【0011】前記pin接合のi型層半導体層が、結晶
成分に起因するラマン散乱強度がアモルファス成分に起
因するラマン散乱強度の3倍以上であるシリコン系薄膜
を含むこと特徴とする光起電力素子である。
【0012】本発明は、少なくとも一組のpin接合か
らなる半導体層を含んだ光起電力素子において、少なく
とも一つのpin接合が、結晶成分に起因するラマン散
乱強度がアモルファス成分に起因するラマン散乱強度の
3倍以上であるシリコン系薄膜を含むこと特徴とする光
起電力素子である。
【0013】本発明の光起電力素子は、継続して光照射
を行った際に、光電変換効率の自己回復機能を有してい
る。
【0014】前記自己回復能は、前記光起電力素子を5
0℃に保持しながら継続してAM1.5、100mW/
cm2の光を照射したときに、光の照射を開始してから
1000時間以降の光電変換効率が増加傾向にあること
であることが好ましい。
【0015】結晶成分に起因するラマン散乱強度がアモ
ルファス成分に起因するラマン散乱強度の3倍以上であ
るシリコン系薄膜を含むことが好ましい。
【0016】前記i型半導体層が、高周波プラズマCV
D法を用いて1.0nm/秒以上の成膜速度で形成され
た領域を含むことが好ましい。
【0017】前記i型半導体層は、エックス線又は電子
線回折による(220)の回折強度の割合が全回折強度
に対して50%以上であるシリコン系薄膜を含むことが
好ましい。
【0018】前記i型半導体層が、1.0×1018at
oms/cm3以上5.0×1020atoms/cm3
下のフッ素原子を含むシリコン系薄膜を含むことが好ま
しい。1.0×1018atoms/cm3未満では自己
回復能の効果が小さく、5.0×1020atoms/c
3を超えるとSiネットワークを乱したり、バルク中
へも取り込まれることによる結晶性の低下、伝導度の低
下を引き起こしてしまう。
【0019】より好ましくは、3.0×1018atom
s/cm3以上1.0×1020atoms/cm3以下の
範囲であり、さらに好ましいのは5.0×1018ato
ms/cm3以上5.0×1019atoms/cm3以下
の範囲である。
【0020】前記フッ素原子は、結晶粒界に選択的に存
在していることが好ましい。
【0021】
【発明の実施の形態】前述した課題を解決するために鋭
電研究を重ねた結果、本発明者は一組のpin接合から
なる半導体層を含んだ光起電力素子に、継続して光照射
を行なった際に、光電変換効率の自己回復能を有するこ
とを特徴とした光起電力素子、あるいは、少なくとも一
組のpin接合からなる半導体層を含んだ光起電力素子
において、少なくとも一つのpin接合が、継続して光
照射を行なった際に、光電変換効率の自己回復能を有す
ることを特徴としたpin接合からなることを特徴とし
た光起電力素子においては、実使用条件下で光電変換効
率が漸減していくことを防ぐことができる。
【0022】またi型半導体層を、結晶度が高く結晶性
が良好で(220)方向に配向したシリコン系薄膜を含
む構成にすることで、良好な光電変換効率をもち、密着
性、耐環境性に優れた光起電力素子を形成させることが
可能になる。また、前記i型半導体層が1.0×1018
atoms/cm3以上5.0×1020atoms/c
3以下のフッ素原子を含むシリコン系薄膜を含む構成
にすることで、光電変換効率の自己回復能の効果を高め
ることができる。
【0023】高周波を用いたプラズマCVD法により結
晶相を含むシリコン系薄膜を形成する方法は、固相反応
と比較してプロセス時間が短く、プロセス温度も低くす
ることが可能なため低コスト化に有利である。特に、p
in接合を有する光起電力素子において、膜厚の大きな
i型半導体層に適用することで、この効果は大きく発揮
される。具体的には、周波数が10MHz〜10GHz
の高周波を用いたCVD法で形成する方法は、特に好ま
しいものである。
【0024】ここで、結晶相を含むシリコン系薄膜をi
型半導体層に採用した場合には、バルク層においては、
アモルファスの場合に問題になるステブラー―ロンスキ
ー(Staebler−Wronski)効果による光
劣化現象を抑制することができるというメリットがあ
る。
【0025】一方、結晶粒界が多数キャリア、少数キャ
リア双方に影響を与えて性能を劣化させることが知られ
ている。結晶粒界の影響を抑制するためには、i型半導
体層内の結晶粒径を大きくして結晶粒界密度を低下させ
ることが有効な手段の一つであると考えられる。
【0026】結晶粒径を大きくするための要素として、
結晶の配向性を高めることがあげられる。ランダムな結
晶方位で膜の堆積が進行した場合には、成長の過程でそ
れぞれの結晶粒が衝突しあい相対的に結晶粒の大きさが
小さくなると考えられるが、特定の方位に配向させ成長
の方向性をそろえることで、結晶粒同士のランダムな衝
突を抑制することができ、その結果結晶粒径をより大き
くすることが可能であると考えられる。ダイヤモンド構
造をとる結晶性シリコンにおいては、(220)面は、
面内の原子密度が最も高く、成長最表面内のシリコン原
子は、4本の結合手のうち3本を他のシリコン原子と共
有結合で結合されている構造のため、この面を成長面と
した場合に、密着性及び耐候性の良好なシリコン系薄膜
を形成することができるもの考えられ、好ましいもので
ある。
【0027】ASTMカードから、無配向の結晶性シリ
コンでは、低角測から11反射分の回折強度の総和に対
する(220)面の回折強度の割合は約23%であり、
(220)面の回折強度の割合が23%を上回る構造
は、この面方向に配向性を有することになる。特に(2
20)面の回折強度の割合が50%以上の構造において
は、上記の効果がより促進され特に好ましいものであ
る。(220)面を選択的に成長面とするための手段と
しては、膜を堆積する過程において、同時にエッチング
も行う方法が好ましいものの一例としてあげられる。
【0028】原料ガスにフッ化ケイ素及び水素を含んだ
原料ガスを用いた高周波プラズマCVD法では、プラズ
マ内にSiFnm(0≦n、m≦4)、HF、F、Hな
どの種々の活性種が形成される。これらの活性種の機能
の詳細は不明であるが、シリコン系薄膜の堆積に寄与す
る活性種に加えて、エッチングに寄与する活性種もある
点が特徴であり、これにより、膜表面の相対的に結合力
の弱いSi−Si結合をエッチングしながら膜の堆積が
進むことで、強い結合力で成長する(220)面を選択
的に成長面とすることが可能になると考えられる。ま
た、エッチングの過程では、結合が切断されることに伴
ないラジカルが形成され、これにより構造緩和が促進さ
れるため、より低温のプロセス温度下での良質なシリコ
ン系薄膜の形成が可能になると考えられる。
【0029】また、ステブラー―ロンスキー効果による
光劣化現象の抑制、及び結晶粒界密度の低下の点を鑑み
て、本発明者が鋭意検討を重ねた結果、結晶成分に起因
するラマン散乱強度(典型的な例として520cm-1
近)が、アモルファスに起因するラマン散乱強度(典型
的な例として480cm-1付近)の3倍以上であること
は本発明者が初めて知見した事項である。
【0030】結晶相が形成される過程は、結晶化するこ
とによる自由エネルギーの変化と、表面積をつくるため
の自由エネルギーの変化の兼ね合いによって決まる臨界
半径より大きな核の形成がまず起こり、さらに、結晶核
が形成された後は、表面積エネルギーの著しい増加を伴
なう新しい結晶核の発生よりも、既存の結晶核のまわり
に結晶が成長するほうがエネルギー的に有利である場合
には、結晶核が成長する形で結晶化が進行していくもの
と考えられる。
【0031】特定の面方位に優先的に配向した場合に
は、上記のように結晶粒界密度が小さく、結晶性の優れ
た薄膜の形成がより可能になると考えられるが、それぞ
れの結晶粒の配向軸まわりの配置は核形成時に、特別な
束縛を受けずに決まるものと考えられるため、結晶粒同
士が接する程度に成長した際には、粒界近傍の領域に、
構造の不整合が生じることが考えられる。
【0032】ここで、成膜速度が小さいときには原子の
再配置などにより結晶粒同士の位置の整合性が高められ
ることも考えられるが、成膜速度が大きいときには、粒
界の領域に構造の歪みが導入されたまま、膜成長が進ん
でしまうと考えられる。このように歪みが導入された領
域には相対的に弱い結合が多数存在するため、光照射な
どによりエネルギーが外部がら導入された際に、バルク
自体は結晶相が支配的なため影響は受けないと考えられ
るのに対して、結晶粒界近傍では、弱い結合が切断され
たり、荷電状態の変化などが起こることが考えられる。
この結果、これをi型半導体層として用いた光起電力素
子は、光電変換効率が低下する現象が起こることが考え
られる。ここで、シリコン系薄膜中に粒界の構造の歪み
を緩和させるための手段を用いると、光電変換効率の低
下を抑え、さらには光電変換の自己回復を示すことが可
能になると考えられる。
【0033】ここで、シリコン系薄膜中にフッ素原子を
含有させることにより、粒界の構造の歪みを緩和させる
ことが可能になると思われる。この場合に、光起電力素
子の表面から光が照射されると、熱とフッ素原子との相
互作用により結晶粒界近傍の原子の再配列が進むなどし
て構造歪みが緩和されたり、表面側から主に粒界を通っ
て浸透してくると考えられる水分とフッ素が反応して生
じる生成物が、未結合手をもつシリコン原子と結合した
り、荷電状態の変化を起こすなどして、光電変換効率が
自己回復するのではないかと考えられる。ここで、前記
フッ素原子が結晶粒界近傍に含有されていると、粒界近
傍の領域の不整合を緩和させる効果がより有効に働くた
めに、好ましいものである。
【0034】本発明者が鋭意研究を進めた結果、シリコ
ン系薄膜中に1.0×1018atoms/cm3以上
5.0×1020atoms/cm3以下のフッ素原子を
含む場合には、1.0nm/秒以上の速い成膜速度で形
成した場合でも、これをi型半導体層に用いた光起電力
素子においても光電変換効率の自己回復が起こることを
見出した。ここで自己回復能は、結晶粒界の構造歪みの
様子によって、光照射開始直後から光電変換効率が上昇
する場合もあれば、構造緩和の過程で一旦光電変換効率
が低下してから回復する場合もある。
【0035】一旦光電変換効率が低下してから回復する
場合は、光起電力素子を50℃に保持しながら継続して
AM1.5、100mW/cm2の光を照射したとき
に、光の照射を開始してから1000時間以降には光電
変換効率が増加傾向を示しているものが好ましい。ここ
で、過剰なフッ素の存在は、Siネットワークを乱した
り、バルク中へも取り込まれることによる結晶性の低
下、伝導度の低下を引き起こすために好ましいものでは
ない。
【0036】次に本発明の光起電力素子の構成要素につ
いて説明する。
【0037】図1は本発明の光起電力素子の一例を示す
模式的な断面図である。図中101は基板、102は半
導体層、103は第二の透明導電層、104は集電電極
である。また、101−1は基体、101−2は金属
層、101−3は第一の透明導電層である。これらは基
板101の構成部材である。
【0038】(基体)基体101−1としては、金属、
樹脂、ガラス、セラミックス、半導体バルク等からなる
板状部材やシート状部材が好適に用いられる。その表面
には微細な凸凹を有していてもよい。透明基体を用いて
基体側から光が入射する構成としてもよい。また、基体
を長尺の形状とすることによってロール・ツー・ロール
法を用いた連続成膜を行うことができる。特にステンレ
ス、ポリイミド等の可撓性を有する材料は基体101−
1の材料として好適である。
【0039】(金属層)金属層101−2は電極として
の役割と、基体101−1にまで到達した光を反射して
半導体層102で再利用させる反射層としての役割とを
有する。その材料としては、Al、Cu、Ag、Au、
CuMg、AlSi等を好適に用いることができる。そ
の形成方法としては、蒸着、スパッタ、電析、印刷等の
方法が好適である。金属層101−2は、その表面に凸
凹を有することが好ましい。それにより反射光の半導体
層102内での光路長を伸ばし、短絡電流を増大させる
ことができる。基体101−1が導電性を有する場合に
は金属層101−2は形成しなくてもよい。
【0040】(第一の透明導電層)第一の透明導電層1
01−3は、入射光及び反射光の乱反射を増大し、半導
体層102内での光路長を伸ばす役割を有する。また、
金属層101−2の元素が半導体層102へ拡散あるい
はマイグレーションを起こし、光起電力素子がシャント
することを防止する役割を有する。さらに、適度な抵抗
をもつことにより、半導体層のピンホール等の欠陥によ
るショートを防止する役割を有する。
【0041】さらに、第一の透明導電層101−3は、
金属層101−2と同様にその表面に凸凹を有している
ことが望ましい。第一の透明導電層101−3は、Zn
O、ITO等の導電性酸化物からなることが好ましく、
蒸着、スパッタ、CVD、電析等の方法を用いて形成さ
れることが好ましい。これらの導電性酸化物に導電率を
変化させる物質を添加してもよい。
【0042】また、酸化亜鉛層の形成方法としては、ス
パッタ、電析等の方法を用いて形成されることが好まし
い。
【0043】スパッタ法によって酸化亜鉛膜を形成する
条件は、方法やガスの種類と流量、内圧、投入電力、成
膜速度、基板温度等が大きく影響を及ぼす。例えばDC
マグネトロンスパッタ法で、酸化亜鉛ターゲットを用い
て酸化亜鉛膜を形成する場合には、ガスの種類としては
Ar、Ne、Kr、Xe、Hg、O2などがあげられ、
流量は、装置の大きさと排気速度によって異なるが、例
えば成膜空間の容積が20リットルの場合、1sccm
から100sccmが望ましい。
【0044】また、成膜時の内圧は1×10-4Torr
から0.1Torrが望ましい。投入電力は、ターゲッ
トの大きさにもよるが、直径15cmの場合、10Wか
ら100KWが望ましい。また基板温度は、成膜速度に
よって好適な範囲が異なるが、1μm/hで成膜する場
合は、70℃から450℃であることが望ましい。
【0045】また電析法によって酸化亜鉛膜を形成する
条件は、耐腐食性容器内に、硝酸イオン、亜鉛イオンを
含んだ水溶液を用いるのが好ましい。硝酸イオン、亜鉛
イオンの濃度は、0.001mol/lから1.0mo
l/lの範囲にあるのが望ましく、0.01mol/l
から0.5mol/lの範囲にあるのがより望ましく、
0.1mol/lから0.25mol/lの範囲にある
のがさらに望ましい。硝酸イオン、亜鉛イオンの供給源
としては特に限定するものではなく、両方のイオンの供
給源である硝酸亜鉛でもよいし、硝酸イオンの供給源で
ある硝酸アンモニウムなどの水溶性の硝酸塩と、亜鉛イ
オンの供給源である硫酸亜鉛などの亜鉛塩の混合物であ
ってもよい。さらに、これらの水溶液に、異常成長を抑
制したり密着性を向上させるために、炭水化物を加える
ことも好ましいものである。炭水化物の種類は特に限定
されるものではないが、グルコース(ブドウ糖)、フル
クトース(果糖)などの単糖類、マルトース(麦芽
糖)、サッカロース(ショ糖)などの二糖類、デキスト
リン、デンプンなどの多糖類などや、これらを混合した
ものを用いることができる。
【0046】水溶液中の炭水化物の量は、炭水化物の種
類にもよるが概ね、0.001g/lから300g/l
の範囲にあるのが望ましく、0.005g/lから10
0g/lの範囲にあるのがより望ましく、0.01g/
lから60g/lの範囲にあることがさらに望ましい。
電析法により酸化亜鉛膜を堆積する場合には、前記の水
溶液中に酸化亜鉛膜を堆積する基体を陰極にし、亜鉛、
白金、炭素などを陽極とするのが好ましい。このとき負
荷抵抗を通して流れる電流密度は、10mA/dmから
10A/dmであることが好ましい。
【0047】(基板)以上の方法により、基体101−
1上に必要に応じて、金属層101−2、第一の透明導
電層101−3を積層して基板101を形成する。ま
た、素子の集積化を容易にするために、基板101に中
間層として絶縁層を設けてもよい。
【0048】(半導体層)半導体層102の主たる材料
としては、アモルファス相あるいは結晶相、さらにはこ
れらの混相系のSiが用いられる。Siに代えて、Si
とC又はGeとの合金を用いても構わない。半導体層を
p型半導体層とするにはIII属元素、n型半導体層と
するにはV属元素を含有する。p型層及びn型層び電気
特性としては、活性化エネルギーが0.2eV以下のも
のが好ましく、0.1eV以下のものが最適である。ま
た比抵抗としては100Ωcm以下が好ましく、1Ωc
m以下が最適である。
【0049】スタックセル(pin接合を複数有する光
起電力素子)の場合、光入射側に近いpin接合のi型
半導体層はバンドギャップが広く、遠いpin接合にな
るに随いバンドギャップが狭くなるのが好ましい。ま
た、i層内部ではその膜厚方向の中心よりもp層寄りに
バンドギャップの極小値があるのが好ましい。
【0050】光入射側のドープ層(p型層もしくはn型
層)は光吸収の少ない結晶性の半導体か、又はバンドギ
ャップの広い半導体が適している。pin接合を2組積
層したスタックセルの例としては、i型半導体層の組み
合わせとして、光入射側から(アモルファス半導体層、
結晶相を含む半導体層)、(結晶相を含む半導体層、結
晶相を含む半導体層)となるものがあげられ、また、p
in接合を3組積層した光起電力素子の例としてはi型
半導体層の組み合わせとして、光入射側から(アモルフ
ァス半導体層、アモルファス半導体層、結晶相を含む半
導体層、(アモルファス、結晶相を含む半導体層、結晶
相を含む半導体層)、(結晶相を含む半導体層、結晶相
を含む半導体層)となるものがあげられる。
【0051】i型半導体層としては光(630nm)の
吸収係数(α)が5000-1以上、ソーラーシミュレー
ター(AM1.5、100mW/cm2)による擬似太
陽光照射化の光伝導度(σρ)が10×10-5S/cm
以上、導度(σρ)が10×10-6S/cm以下、コン
スタントフォトカレントメソッド(CPM)によるバッ
クエナジーが55meV以下であるのが好ましい。i型
半導体層としては、わずかにp型、n型になっているも
のでも使用できる。
【0052】発明の構成要素である半導体層102につ
いてさらに説明を加えると、図3は本発明の光起電力素
子の一例として、一組のpin接合をもつ半導体層10
2を示す模式的な断面図である。図中102−1は第一
の導電型を示す半導体層であり、さらに結晶相を含むi
型半導体層102−2、第二の導電型を示す半導体層1
02−3を積層する。pin接合を複数持つ半導体層に
おいては、そのなかのうちの少なくとも一つが前記の構
成であることが好ましい。また光入射側の導電型は、p
型半導体層でもn型半導体層でも構わない。
【0053】(半導体層の形成方法)本発明のシリコン
系薄膜、及び上述の半導体層102を形成するには、高
周波プラズマCVD法が適している。以下、高周波プラ
ズマCVD法によって半導体層102を形成する手順の
好適な例を示す。 (1)減圧状態にできる半導体形成用真空容器内を所定
の堆積圧力に減圧する。 (2)堆積室内に原料ガス、希釈ガス等の材料ガスを導
入し、堆積室内を真空ポンプによって排気しつつ、堆積
室内を所定の堆積圧力に設定する。 (3)基板101をヒーターによって所定の温度に設定
する。 (4)高周波電源によって発振された高周波を前記堆積
室に導入する。前記堆積室への導入方法は、高周波を導
波管によって導き、アルミナセラミックスなどの誘電体
窓を介して堆積室内に導入したり、高周波を同軸ケーブ
ルによって導き、金属電極を介して堆積室内に導入した
りする方法がある。 (5)堆積室内にプラズマを生起させて原料ガスを分解
し、堆積室内に配置された基板101上に堆積膜を形成
する。この手順を必要に応じて複数回繰り返して半導体
102を形成する。
【0054】半導体層102の形成条件としては、堆積
室内の基板温度は100〜450℃、圧力は0.5mT
orr〜10Torr、本発明のシリコン系薄膜を形成
する時は50mTorr以上、高周波パワー密度は0.
001〜1W/cm3(投入電力/堆積室体積)が好適
な条件としてあげられる。
【0055】半導体層102の形成に適した原料ガスと
しては、SiH4、Si26、SiH2Cl2、SiC
4、Si2Cl6等のシリコン原子を含有したガス化し
うる化合物、及びフッ素を含有させるための原料ガスと
しては、SiF4、Si26、SiH22のフッ化シリ
コンがあげられる。
【0056】常温で気化しているものはガスボンべを用
い、液化しているものは不活性ガスによるバブリングを
行なって使用する。合金系にする場合にはさらに、Ge
4やCH4などのようにGeやCを含有したガス化しう
る化合物を原料ガスに添加することが望ましい。原料ガ
スは、希釈ガスで希釈して堆積室内に導入することが望
ましい。希釈ガスとしては、H2やHeなどがあげられ
る。半導体層をp型層とするためのドーパントガスとし
てはB26、BF3等が用いられる。また、半導体層を
n型層とするためのドーパントガスとしては、PH3
PF3等が用いられる。
【0057】結晶相の薄膜や、SiC等の光吸収が少な
いかバンドギャップの広い層を堆積する場合には、原料
ガスに対する希釈ガスの割合を増やし、比較的高いパワ
ー密度の高周波を導入するのが好ましい。
【0058】(第二の透明導電層)第二の透明導電層1
03は、光入射側の電極であるとともに、その膜厚を適
当に設定することにより反射防止膜の役割をかねること
ができる。第二の透明導電層103は、半導体層102
の吸収可能な波長領域において高い透過率を有すること
と、抵抗率が低いことが要求される。好ましくは550
nmにおける透過率が80%以上、より好ましくは85
%以上であることが望ましい。抵抗率は5×10-3Ωc
m以下、より好ましくは1×10-3 Ωcm以下である
ことが好ましい。
【0059】第二の透明導電層103の材料としては、
ITO、ZnO、In23等を好適に用いることができ
る。その形成方法としては、蒸着、CVD、スプレー、
スピンオン、浸漬などの方法が好適である。これらの材
料に導電率を変化させる物質を添加してもよい。
【0060】(集電電極)集電電極104は集電効率を
向上するために透明電極103上に設けられる。その形
成方法として、マスクを用いてスパッタによって電極パ
ターンの金属を形成する方法や、導電性ペーストあるい
は半田ペーストを印刷する方法、金属線を導電性ペース
トで固着する方法などが好適である。
【0061】なお、必要に応じて光起電力素子の両面に
保護層を形成することがある。同時に光起電力素子の裏
面(光入射側と反射側)などに鋼板等の補教材を併用し
てもよい。
【0062】
【実施例】以下の実施例では、光起電力素子として太陽
電池を例に挙げて本発明を具体的にするが、これらの実
施例は本発明の内容を何ら限定するものではない。
【0063】(実施例1)図2に示した堆積膜形成装置
201を用い、以下の手順で図4に示したpin型光起
電力素子を形成した。図4は本発明のシリコン系薄膜を
有する光起電力素子の一例粗示す模式的な断面図であ
る。図中、図1と同様の部材には同じ符号を付して説明
を省略する。この光起電力素子の半導体層は、アモルフ
ァスn型半導体層102−1Aと結晶相を含むi型半導
体層102−2と微結晶p型半導体層102−3Aとか
らなっている。すなわち、この光起電力素子はいわゆる
pin型シングルセル光起電力素子である。
【0064】図2は、本発明のシリコン系薄膜及び光起
電力素子を製造する堆積膜形成装置の一例を示す模式的
な断面図である。図2に示す堆積膜形成装置201は、
基板送り出し容器202、半導体形成用真空容器211
〜216、基板巻き取り容器203が、ガスゲート22
1〜227を介して結合することによって構成されてい
る。この堆積膜形成装置201には、各容器及び各ガス
ゲートを貫いて帯状の導電性基板204がセットされ
る。帯状の導電性基板204は、基板送り出し容器20
2に設置されたボビンから巻き出され、基板巻き取り容
器203で別のボビンに巻き取られる。
【0065】半導体形成用真空容器211〜216は、
それぞれ堆積室を有しており、該放電室内の高周波導入
部241〜246に高周波電源251〜256から高周
波電力を印加することによってグロー放電を生起させ、
それによって原料ガスを分解し導電性基板204上に半
導体層を堆積させる。また、各半導体形成用真空容器2
11〜216には、原料ガスや希釈ガスを導入するため
のガス導入管231〜236が接続されている。
【0066】図2に示した堆積膜形成装置201は、半
導体形成用真空容器を6個具備しているが、以下の実施
例においては、すべての半導体形成用真空容器でグロー
放電を生起させる必要はなく、製造する光起電力素子の
層構成にあわせて各容器でのグロー放電の有無を選択す
ることができる。また、各半導体形成用真空容器には、
各堆積室内での導電性基板204と放電空間との接触面
積を調整するための、不図示の成膜領域調整板が設けら
れており、これを調整することによって各容器で形成さ
れる各半導体膜の膜厚を調整することができるようにな
っている。
【0067】まず、ステンレス(SUS430BA)か
らなる帯状の基体(幅40cm、長さ200m、厚さ
0.125mm)を十分に脱脂、洗浄し、不図示の連続
スパッタリング装置に装着し、Ag電極をターゲットと
して、厚さ100nmのAg薄膜をスパッタ蒸着させ
た。さらにZnOターゲットを用いて、厚さ1.2μm
のZnO薄膜をAg薄膜の上にスパッタ蒸着し、帯状の
導電性基板204を形成した。
【0068】次に基板送り出し容器202に、導電性基
板204を巻いたボビンを装着し、導電性基板204を
搬入側のガスゲート、半導体形成用真空容器211、2
12、213、214、215、216、搬出側のガス
ゲートを介し、基板巻き取り容器203まで通し、帯状
の導電性基板204がたるまないように張力調整を行っ
た。そして、基板送り出し容器202、半導体形成用真
空容器211、212、213、214、215、21
6、基板巻き取り容器203を不図示の真空ポンプから
なる真空排気系により、5×10-6Torr以下まで充
分に真空排気した。
【0069】次に、真空排気系を作動させつつ、半導体
形成用真空容器211〜213へガス導入管231〜2
33から原料ガス及び希釈ガスを供給した。
【0070】また、半導体形成用真空容器211〜21
3以外の半導体形成用真空容器にはガス導入管から20
0sccmのH2ガスを供給し、同時に不図示の各ゲー
トガス供給管から、各ガスゲートにゲートガスとして5
00sccmのH2ガスを供給した。この状態で真空排
気系の排気能力を調整して、半導体形成用真空容器21
1〜213内の圧力を所望の圧力に調整した。形成条件
は表1に示す通りである。
【0071】半導体形成用真空容器211〜213内の
圧力が安定したところで、基板送り出し容器202から
基板巻き取リ容器203の方向に、導電性基板204の
移動を開始した。
【0072】次に、半導体形成用真空容器211〜21
3内の高周波導入部241〜243に高周波電源251
〜253より高周波を導入し、半導体形成用真空容器2
11〜213内の堆積室内にグロー放電を生起し、導電
性基板204上に、アモルファスn型半導体層(膜厚3
0nm)、結晶相を含むi型半導体層(膜厚1.5μ
m)、微結晶p型半導体層(膜厚10nm)を形成し光
起電力素子を形成した。なお、一部の領域は、i型半導
体層のサンプルとして、結晶相を含むi型半導体層(膜
厚1.5μm)のみを形成して切り出した(実施例1−
1)。ここで、半導体形成用真空容器211には周波数
13.56MHz、パワー密度5mW/cm3の高周波
電力を高周波導入部241から、半導体形成用真空容器
212には周波数2.45GHz、パワー密度50mW
/cm3の高周波電力を高周波導入部242から、半導
体形成用真空容器213には周波数13.56MHz、
パワー密度30mW/cm3の高周波電力を高周波導入
部243から導入した。次に不図示の連続モジュール化
装置を用いて、形成した帯状の光起電力素子を36cm
×22cmの太陽電池モジュールに加工した(実施例1
−2)。
【0073】次に表2に示す形成条件で、実施例1と同
様に、半導体形成用真空容器211〜213内の高周波
導入部241〜243に高周波電源251〜253より
高周波を導入し、半導体形成用真空容器211〜213
内の堆積室内にグロー放電を生起し、導電性基板204
上に、アモルファスn型半導体層(膜厚30nm)、ア
モルファスi型半導体層(膜厚0.5μm)、微結晶p
型半導体層(膜厚10nm)を形成し光起電力素子を形
成した。
【0074】なお、一部の領域は、i型半導体層のサン
プルとして、アモルファスi型半導体層(膜厚0.5μ
m)のみを形成して切り出した(比較例1−1)。
【0075】ここで、半導体形成用真空容器211には
周波数13.56MHz、パワー密度5mW/cm3
高周波電力を高周波導入部241から、半導体形成用真
空容器212には周波数13.56MHz、パワー密度
5mW/cm3の高周波電力を高周波導入部242か
ら、半導体形成用真空容器213には周波数13.56
MHz、パワー密度30mW/cm3の高周波電力を高
周波導入部243から導入した。
【0076】次に不図示の連続モジュール化装置を用い
て、形成した帯状の光起電力素子を36cm×22cm
の太陽電池モジュールに加工した(比較例1−2)。
【0077】実施例1−1、比較例1−1で作成したi
型半導体層のラマン散乱スペクトルを測定し、520c
-1付近(結晶成分に起因)と480cm-1付近(アモ
ルファスに起因)のラマン強度比を調べた。
【0078】また、実施例1−1、比較例1−1で作成
したi型半導体層をエックス線回折装置により回折ピー
クを測定し、全回折強度に対する(220)の回折強度
の割合を調べ、さらにi型半導体層中のフッ素濃度をS
lMS測定より求めた。比較例1−1のi型半導体層で
は、結晶成分に起因するラマン散乱強度、エックス線回
折によるシリコンの回折ピーク、及びi型半導体層中の
フッ素濃度はすべて検出下限未満であった。実施例1−
1の測定結果を表3に示す。
【0079】次に、実施例1−2、比較例1−2の太陽
電池モジュールの初期光電変換効率を測定し、その後そ
れぞれの太陽電池モジュールを50℃に保持した状態
で、適宜光電変換効率を測定しながら、AM1.5、1
00mW/cm2の擬似太陽光を連続照射した。その結
果、比較例1−2の太陽電池モジュールの光電変換効率
は光照射開始後500時間まで低下したのちに飽和し
て、光照射開始後1000時間の時点で光電変換効率が
上昇傾向を見せることはなかったが、実施例1−2の太
陽電池モジュールの光電変換効率は、光照射開始後上昇
を開始し、光照射開始後1000時間の時点でも上昇傾
向が継続していた。
【0080】また実施例1−2の太陽電池モジュール
を,碁盤目テープ法(切り傷の隙間間隔1mm、ます目
の数100)を用いて導電性基板と半導体層との間の密
着性を調べた。またあらかじめ初期光電変換効率を測定
しておいた太陽電池モジュールを、温度85℃、湿度8
5%の暗所に設置し30分保持、その後70分かけて温
度−20℃まで下げ30分保持、再び70分かけて温度
85℃m湿度85%まで戻す、このサイクルを100回
繰り返した後に再度光電変換効率を測定し、温湿度試験
による光電変換効率の変化を調べた。その結果、碁盤目
テープ法では、切り傷の交点と正方形の一目一目に剥れ
は認められず、また、温湿度試験の前後で光電変換効率
に変化はなかった。
【0081】以上のことより、本発明の光起電力素子
は、優れた特長を持つことがわかる。
【0082】(実施例2)図2に示した堆積膜形成装置
201を用い、図4に示したpin型光起電力素子を形
成した。図4は本発明のシリコン系薄膜を有する光起電
力素子の一例粗示す模式的な断面図である。図中、図1
と同様の部材には同じ符号を付して説明を省略する。こ
の光起電力素子の半導体層は、アモルファスn型半導体
層102−1と結晶相を含むi型半導体層102−2と
微結晶p型半導体層102−3とからなっている。すな
わち、この光起電力素子はいわゆるpin型シングルセ
ル光起電力素子である。
【0083】実施例1と同様に、帯状の導電性基板20
4を作成し、堆積膜形成装置201に装着し、基板送り
出し容器202、半導体形成用真空容器211、21
2、213、214、215、216、基板巻き取り容
器203を不図示の真空ポンプからなる真空排気系によ
り、5×10-6Torr以下まで充分に真空排気した。
【0084】次に、真空排気系を作動させつつ、半導体
形成用真空容器211〜213へガス導入管231〜2
33から原料ガス及び希釈ガスを供給した。
【0085】また、半導体形成用真空容器211〜21
3以外の半導体形成用真空容器にはガス導入管から20
0sccmのH2ガスを供給し、同時に不図示の各ゲー
トガス供給管から、各ガスゲートにゲートガスとして5
00sccmのH2ガスを供給した。この状態で真空排
気系の排気能力を調整して、半導体形成用真空容器21
1〜213内の圧力を所望の圧力に調整した。形成条件
は表4に示す通りである。
【0086】半導体形成用真空容器211〜213内の
圧力が安定したところで、基板送り出し容器202から
基板巻き取り容器203の方向に、導電性基板204の
移動を開始した。
【0087】次に、半導体形成用真空容器211〜21
3内の高周波導入部241〜243に高周波電源251
〜253より高周波を導入し、半導体形成用真空容器2
11〜213内の堆積室内にグロー放電を生起し、導電
性基板204上に、導電性基板204上にアモルファス
n型半導体層(膜厚30nm)、結晶相を含むi型半導
体層(膜厚1.5μm)、微結晶p型半導体層(膜厚1
0nm)を形成し光起電力素子を形成した。なお、一部
の領域は、i型半導体層のサンプルとして、結晶相を含
むi型半導体層(膜厚1.5μm)のみを形成して切り
出した(実施例2−1)。
【0088】ここで、半導体形成用真空容器211には
周波数13.56MHz、パワー密度5mW/cm3
高周波電力を高周波導入部241から、半導体形成用真
空容器212には周波数60MHz、パワー密度30m
W/cm3の高周波電力を高周波導入部242から、半
導体形成用真空容器213には周波数13.56MH
z、パワー密度30mW/cm3の高周波電力を高周波
導入部243から導入した。
【0089】次に不図示の連続モジュール化装置を用い
て、形成した帯状の光起電力素子を36cm×22cm
の太陽電池モジュールに加工した(実施例2−2)。
【0090】実施例2−1で作成したi型半導体層のラ
マン散乱スペクトルを測定し、520cm-1付近(結晶
成分に起因)と480cm-1付近(アモルファスに起
因)のラマン強度比を調べた。また実施例2−1で作成
したi型半導体層をエックス線回折装置により回折ピー
クを測定し、全回折強度に対する(220)の回折強度
の割合を調べ、さらにi型半導体層中のフッ素濃度をS
lMS測定より求めた。測定結果を表5に示す。
【0091】次に、実施例2−1の太陽電池モジュール
の初期光電変換効率を測定し、その後太陽電池モジュー
ルを50℃に保持した状態で、適宜光電変換効率を測定
しながら、AM1.5、100mW/cm2の擬似太陽
光を連続照射した。その結果、実施例1−2の太陽電池
モジュールの光電変換効率は、光照射開始後100時間
は低下し、初期の光電変換効率を1としたときの光照射
開始後100時間後の光電変換効率は0.95となった
が、その後光電変換効率は上昇し、光照射開始後100
0時間の時点でも上昇傾向を見せていた。
【0092】また、実施例2−2の太陽電池モジュール
を、碁盤目テープ法(切り傷の隙間間隔1mm、ます目
の数100)を用いて導電性基板と半導体層との間の密
着性を調べた。またあらかじめ初期光電変換効率を測定
しておいた太陽電池モジュールを、温度85℃、湿度8
5%の暗所に設置し30分保持、その後70分かけて温
度−20℃まで下げ30分保持、再び70分かけて温度
85℃m湿度85%まで戻す、このサイクルを100回
繰り返した後に再度光電変換効率を測定し、温湿度試験
による光電変換効率の変化を調べた。その結果、碁盤目
テープ法では、切り傷の交点と正方形の一目一目に剥れ
は認められず、また、温湿度試験の前後で光電変換効率
に変化はなかった。
【0093】以上のことより、本発明の光起電力素子
は、優れた特長を持つことがわかる。 (実施例3)図2に示した堆積膜形成装置201を用
い、以下の手順で図5に示した光起電力素子を形成し
た。図5は本発明のシリコン系薄膜を有する光起電力素
子の一例粗示す模式的な断面図である。図中、図1と同
様の部材には同じ符号を付して説明を省略する。この光
起電力素子の半導体層は、アモルファスn型半導体層1
02−1Aと、結晶相を含むi型半導体層102−2と
微結晶p型半導体層102−3A、アモルファスn型半
導体層102−4と、アモルファスi型半導体層102
−5と微結晶p型半導体層102−6、とからなってい
る。すなわち、この光起電力素子はいわゆるpinpi
n型ダブルセル光起電力素子である。
【0094】実施例1と同様に、帯状の導電性基板20
4を作成し、堆積膜形成装置201に装着し、基板送り
出し容器202、半導体形成用真空容器211、21
2、213、214、215、216、基板巻き取り容
器203を不図示の真空ポンプからなる真空排気系によ
り、5×10-6Torr以下まで充分に真空排気した。
【0095】次に、真空排気系を作動させつつ、半導体
形成用真空容器211〜216へガス導入管231〜2
36から原料ガス及び希釈ガスを供給した。
【0096】また、不図示の各ゲートガス供給管から、
各ガスゲートにゲートガスとして500sccmのH2
ガスを供給した。この状態で真空排気系の排気能力を調
整して、半導体形成用真空容器211〜216内の圧力
を所望の圧力に調整した。形成条件はボトムセル、トッ
プセルとも表6に示す通りに行なった。
【0097】半導体形成用真空容器211〜216内の
圧力が安定したところで、基板送り出し容器202から
基板巻き取り容器203の方向に、導電性基板204の
移動を開始した。
【0098】次に、半導体形成用真空容器211〜21
6内の高周波導入部241〜246に高周波電源251
〜256より高周波を導入し、半導体形成用真空容器2
11〜216内の堆積室内にグロー放電を生起し、導電
性基板204上に、導電性基板204上にアモルファス
n型半導体層(膜厚30nm)、結晶相を含むi型半導
体層(膜厚2.0μm)、微結晶p型半導体層(膜厚1
0nm)を形成してボトムセルを作成し、さらにアモル
ファスn型半導体層(膜厚30nm)、アモルファスi
型半導体層(膜厚0.5μm)、微結晶p型半導体層
(膜厚10nm)を形成してトップセルを作成してダブ
ルセルの光起電力素子を形成した。
【0099】ここで、半導体形成用真空容器211、2
14には周波数13.56MHz、パワー密度5mW/
cm3の高周波電力を高周波導入部241、244か
ら、半導体形成用真空容器212には周波数2.45G
Hz、パワー密度50mW/cm3の高周波電力を高周
波導入部242から、半導体形成用真空容器213、2
16には周波数13.56MHz、パワー密度30mW
/cm3の高周波電力を高周波導入部243、246か
ら、半導体形成用真空容器215には周波数13.56
MHz、パワー密度5mW/cm3の高周波電力を高周
波導入部245から導入した。
【0100】次に不図示の連続モジュール化装置を用い
て、形成した帯状の光起電力素子を36cm×22cm
の太陽電池モジュールに加工した(実施例3)。
【0101】次に、実施例3の太陽電池モジュールの初
期光電変換効率を測定し、その後太陽電池モジュールを
50℃に保持した状態で、適宜光電変換効率を測定しな
がら、AM1.5、100mW/cm2の擬似太陽光を
連続照射した。その結果、実施例3の太陽電池モジュー
ルの光電変換効率は、光照射開始後200時間は低下
し、初期の光電変換効率を1としたときの光照射開始後
200時間後の光電変換効率は0.90となったが、そ
の後光電変換効率は上昇し、光照射開始後1000時間
の時点でも上昇傾向を見せていた。
【0102】また、実施例3の太陽電池モジュールは、
実施例1−2の太陽電池モジュールと比べて1.2倍の
光電変換効率を示し、また、実施例3の太場電池モジュ
ールは、密着性、温湿度試験や光劣化試験に対する耐久
性に優れており、以上のことより本発明の光起電力素子
を含む太陽電池モジュールは、優れた特長を持つことが
分かる。
【0103】
【発明の効果】本発明によれば、pin接合が、継続し
て光照射を行なった際に、光電変換効率の自己回復能を
有しており、実使用条件下で光電変換効率が漸滅してい
くことを防ぐことができる。
【0104】
【表1】
【0105】
【表2】
【0106】
【表3】
【0107】
【表4】
【0108】
【表5】
【0109】
【表6】
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の光起電力素子の一例を示す模式的な断
面図
【図2】本発明のシリコン系薄膜及び光起電力素子を製
造する堆積膜形成装置の一例を示す模式的な断面図
【図3】本発明の半導体層の一例を示す模式的な断面図
【図4】本発明のシリコン系薄膜を含む光起電力素子の
一例を示す模式的な断面図
【図5】本発明のシリコン系薄膜を含む光起電力素子の
一例を示す模式的な断面図
【符号の説明】
101:基板 101−1:基体 101−2:金属層 101−3:透明導電層 102:半導体層 102−1:第一の導電型を示す半導体層 102−1A:アモルファスn型半導体層 102−2:結晶相を含むi型半導体層 102−3:第二の導電型を示す半導体層 102−3A:微結晶p型半導体層 102−4:アモルファスn型半導体層 102−5:アモルファスi型半導体層 102−6:微結晶p型半導体層 103:透明電極 104:集電電極 201:堆積膜形成装置 202:基板送り出し容器 203:基板巻き取り容器 204:導電性基板 211〜216:半導体形成用真空容器 221〜227:ガスゲート 231〜236:ガス導入管 241〜246:高周波導入部 251〜256:高周波電源

Claims (11)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 一組のpin接合からなる半導体層を含
    んだ光起電力素子に、継続して光照射を行った際に、光
    電変換効率の自己回復能を有することを特徴とする光起
    電力素子。
  2. 【請求項2】 前記pin接合のi型半導体層が、1.
    0×1018atoms/cm3以上5.0×1020at
    oms/cm3以下のフッ素原子を含むシリコン系薄膜
    を含むことを特徴とする請求項1に記載の光起電力素
    子。
  3. 【請求項3】 前記フッ素原子は、結晶粒界に選択的に
    存在していることを特徴とした請求項2記載に光起電力
    素子。
  4. 【請求項4】 前記pin接合のi型半導体層が、結晶
    成分に起因するラマン散乱強度がアモルファス成分に起
    因するラマン散乱強度の3倍以上であることを特徴とす
    る請求項1ないし3のいずれか1項に記載の光起電力素
    子。
  5. 【請求項5】 前記pin接合のi型半導体層が、高周
    波プラズマCVD法を用いて1.0nm/秒以上の成膜
    速度で形成された領域を含むことを特徴とした請求項1
    ないし4のいずれか1項に記載の光起電力素子。
  6. 【請求項6】 前記pin接合のi型半導体層は、エッ
    クス線又は電子線回折による(220)の回折強度の割
    合が全回折強度に対して50%以上であるシリコン系薄
    膜を含むことを特徴とした請求項1ないし5のいずれか
    1に記載の光起電力素子。
  7. 【請求項7】 一組のpin接合からなる半導体層を含
    んだ光起電力素子において、前記pin接合のi型層半
    導体層が、結晶成分に起因するラマン散乱強度がアモル
    ファス成分に起因するラマン散乱強度の3倍以上である
    シリコン系薄膜を含むこと特徴とする光起電力素子。
  8. 【請求項8】 前記i型半導体層が、高周波プラズマC
    VD法を用いて1.0nm/秒以上の成膜速度で形成さ
    れた領域を含むことを特徴とした請求項7に記載の光起
    電力素子。
  9. 【請求項9】 前記i型半導体層は、エックス線又は電
    子線回折による(220)の回折強度の割合が全回折強
    度に対して50%以上であるシリコン系薄膜を含むこと
    を特徴とした請求項7または8に記載の光起電力素子。
  10. 【請求項10】 前記i型半導体層が、1.0×1018
    atoms/cm3以上5.0×1020atoms/c
    3以下のフッ素原子を含むシリコン系薄膜を含むこと
    を特徴とした請求項7ないし9のいずれか1項に記載の
    光起電力素子。
  11. 【請求項11】 前記フッ素原子は、結晶粒界に選択的
    に存在していることを特徴とした請求項10記載に光起
    電力素子。
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