JP4343482B2 - シリコン系膜の形成方法、シリコン系膜及び光起電力素子 - Google Patents

シリコン系膜の形成方法、シリコン系膜及び光起電力素子 Download PDF

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Description

【0001】
【産業上の利用分野】
本発明はシリコン系薄膜の形成方法、pin接合を一組以上堆積して形成される太陽電池、センサー等の光起電力素子に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
結晶性を示すシリコン薄膜の形成方法としては、従来からキャスト法などの液相から成長させる方法が行われてきたが、高温処理が必要であり、量産性・低コスト化に向けての課題があった。
【0003】
キャスト法以外の結晶性を示すシリコン薄膜の形成方法としては、特開平5−136062号公報に記載のアモルファスシリコン形成後に水素プラズマ処理を行い、これを繰り返すことにより多結晶シリコン膜を形成する方法が開示されている。
【0004】
一般的に結晶性を示すシリコン薄膜を用いた光起電力素子では、結晶粒界におけるシリコンのダングリングボンド等の影響、結晶粒界近傍に生じるひずみ、結晶自体の不完全性などによってキャリアの走行性が妨げられ、光起電力素子としての光電特性に悪影響を与えることが知られている。
【0005】
上記の影響を軽減するための対策として、結晶化度及び結晶性の向上や、結晶粒径を増大させ結晶粒界密度を低下させることが有効であると考えられる。前記のことを実現するための手段として、成膜速度を低下させたり、シリコン膜の形成と水素雰囲気でのアニールを繰り返しながら膜形成を行うなどの工夫を要していたが、これらの処理は、成膜時間を長くしコストを高める要因となっていた。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は上記課題を解決し、産業的に実用レベルにある成膜速度、大面積でも均一性が高く、光電特性の優れたシリコン薄膜の形成方法と、それによって形成されたシリコン系薄膜を用いた、優れた特性、密着性及び耐環境性をもつ光起電力素子を提供することを目的としている。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明は、プラズマCVD法によるシリコン系膜の形成方法であって、
その内部の少なくとも一部がシリコンを含む固体により覆われた真空容器の内部に、ハロゲン化シリコン及び水素を含む原料ガスを導入し、
真空容器内部の空間にプラズマを生起させ、
真空容器の内部に備えられた基板の上に、シリコン系膜を形成するシリコン系膜の形成方法である。
【0008】
また、本発明は、上述の形成方法により形成されたシリコン系膜である。
【0009】
また、本発明は、基板上に少なくとも一組のpin接合からなる半導体層を含んだ光起電力素子であって、
少なくとも一つのi型半導体層が、上述の形成方法により形成されたシリコン系膜である光起電力素子である。
ここで、シリコンを含む固体は、真空容器内のプラズマ生成空間を囲む領域に形成された被膜であって、真空容器より抵抗率の高い被膜であることが好ましい。
被膜は、次の方法により形成されることが好ましい。
「真空容器内に原料ガスを導入する前に、シリコン含有ガスを主成分とするガスを導入し、
真空容器内部の空間にプラズマを生起させ、
プラズマCVD法により被膜を形成させる。」
【0010】
シリコン系膜は、Scherrer半径が10nm以上の結晶粒径の微結晶を含むことが好ましい。
【0011】
真空容器よりも抵抗率の高い被膜をあらかじめ形成してからシリコン系薄膜を形成したときのシリコン系膜の成膜速度が、被膜を形成せずにシリコン系膜を形成したときのシリコン系膜の成膜速度の3倍以上であることが好ましい。
【0012】
真空容器よりも抵抗率の高い被膜をあらかじめ形成してからシリコン系薄膜を形成したときのシリコン系薄膜の成膜速度を、1.0nm/秒以上とすることが好ましい。
【0013】
被膜の抵抗率が、シリコン系膜の抵抗率よりも高いことが好ましい。
【0014】
真空容器よりも抵抗率の高い被膜が、シリコンであることが好ましい。
【0015】
シリコン含有ガスを主成分とするガスが、ハロゲン化シリコンガスを含まないことが好ましい。
【0016】
ハロゲン化シリコンが、フッ素原子、塩素原子の少なくとも一つを含むことが好ましい。
【0017】
シリコン系膜の結晶成分に起因するラマン散乱強度が、アモルファス成分に起因するラマン散乱強度の3倍以上であることが好ましい。
【0018】
シリコン系膜のエックス線又は電子線回折による(220)の回折強度の割合が、全回折強度に対して50%以上であることが好ましい。
【0019】
シリコン系薄膜を形成するときの、真空容器内の圧力が、50mTorr(6.7Pa)以上であることが好ましい。
【0020】
また、本発明において前記シリコンを含む固体は、少なくとも表面がシリコンからなる部材であることが好ましい。
【0021】
前記部材が、板状シリコン、シリコン粒、表面の少なくとも一部にシリコン膜を被覆した固体のうちの少なくとも一つから選ばれたものであることが好ましい。
【0022】
前記基板と、前記真空容器内に設けられた高周波導入部が相対した位置関係にあることが好ましい。
【0023】
前記部材が、前記高周波導入部上に載置されていることが好ましい。
【0024】
前記ハロゲン化シリコンがフッ素原子、塩素原子の少なくとも一つを含むことが好ましい。
【0025】
前記シリコン系膜が、Scherrer半径が20nm以上の結晶粒径の微結晶を含むことが好ましい。
【0026】
前記シリコン系膜の結晶成分に起因するラマン散乱強度が、アモルファス成分に起因するラマン散乱強度の3倍以上であることが好ましい。
【0027】
前記シリコン系膜のエックス線又は電子線回折による(220)の回折強度の割合が、全回折強度に対して70%以上であることが好ましい。
【0028】
【発明の実施の形態】
(第1の実施形態)
前述した課題を解決するために鋭意研究を重ねた結果本発明者は、
「その内部の少なくとも一部がシリコンを含む固体により覆われた真空容器の内部に、ハロゲン化シリコン及び水素を含む原料ガスを導入し、
真空容器内部の空間にプラズマを生起させ、
真空容器の内部に備えられた基板の上に、シリコン系膜を形成すること」により、
さらに好ましくは、「シリコンを含む固体は、真空容器内のプラズマ生成空間を囲む領域に形成された被膜であって、真空容器より抵抗率の高い被膜であること」により、
さらに好ましくは、「真空容器内に原料ガスを導入する前に、シリコン含有ガスを主成分とするガスを導入し、
真空容器内部の空間にプラズマを生起させ、
プラズマCVD法により被膜を形成させること」により、
さらに好ましくは、「シリコン系膜は、Scherrer半径が10nm以上の結晶粒径の微結晶を含むこと」により、
結晶化度及び結晶性のすぐれた、下地層との密着性も良好なシリコン系薄膜を、高速で成膜することが可能であり、前記シリコン系薄膜を基板上に少なくとも一組のpin接合からなる半導体層を含んだ光起電力素子の少なくとも一つのi型半導体層の少なくとも一部に用いることにより、良好な光電変換効率をもち、密着性、耐環境性に優れた光起電力素子を、低コストで形成することが可能になったことを見出した。
【0029】
上記の構成にすることにより、以下の作用がある。
【0030】
高周波を用いたプラズマCVD法により結晶相を含むシリコン系薄膜を形成する方法は、固相反応と比較してプロセス時間が短く、プロセス温度も低くすることが可能なため低コスト化に有利である。特に、pin接合を有する光起電力素子において、膜厚の大きなi型半導体層に適用することで、この効果は大きく発揮される。具体的には、周波数が10MHz〜10GHzの高周波を用いたCVD法で形成する方法は、特に好ましいものである。
【0031】
pin接合を有する光起電力素子においては、実質的に光吸収層として機能するi型半導体層を結晶相を含むi型半導体層とした場合には、アモルファスの場合に問題になるステブラー―ロンスキー(Staebler−Wronski)効果による光劣化現象を抑制することができるメリットがある。
【0032】
一方で、結晶相を含むシリコン系薄膜をi型半導体層に採用した場合の問題点として、結晶粒界が多数キャリア、少数キャリア双方に影響を与えて性能を劣化させることが知られている。結晶粒界の影響を抑制するためには、i型半導体層内の結晶粒径を大きくして結晶粒界密度を低下させることが有効な手段の一つであると考えられる。特に、キャリアの走行方向に結晶粒径が大きい形状であることが好ましく、キャリアの走行方向を面法線としたときのScherrer半径が10nm以上であることが好ましい。なお、Sherrer半径とはエックス線の波長をλ(nm)、回折線幅をβ(rad)、回折角をθ(°)としたときに、D=0.9×λ/(β×cosθ)で定義される任意の格子面の垂直方向の結晶の大きさのことである。
【0033】
結晶粒径を大きくするための要素としては、結晶の配向性を高めることがあげられる。ランダムな結晶方位で膜の堆積が進行した場合には、成長の過程でそれぞれの結晶粒が衝突しあい相対的に結晶粒の大きさが小さくなると考えられるが、特定の方位に配向させ成長の方向性をそろえることで、結晶粒同士のランダムな衝突を抑制することができ、その結果結晶粒径をより大きくすることが可能であると考えられる。また、ダイヤモンド構造をとる結晶性シリコンにおいては、(220)面は、面内の原子密度が最も高く、成長最表面内のシリコン原子は、4本の結合手のうち3本を他のシリコン原子と共有結合で結合されている構造のため、この面を成長面とした場合に、密着性及び耐候性の良好なシリコン系薄膜を形成することができるものと考えられ、好ましいものである。ASTMカードから、無配向の結晶性シリコンでは、低角測から11反射分の回折強度の総和に対する(220)面の回折強度の割合は約23%であり、(220)面の回折強度の割合が23%を上回る構造は、この面方向に配向性を有することになる。
【0034】
ここで、原料ガスにハロゲン化シリコン及び水素を含んだ原料ガスを用いた高周波プラズマCVD法では、プラズマ内に種々の活性種が形成される。ハロゲン原子をXとした場合、プラズマ内の活性種の種類としては、SiX(0≦n、m≦4)、HX、X、Hなどの原子、ラジカル、イオン、分子があげられる。この系には、シリコン系薄膜の堆積に寄与する活性種に加えて、エッチングに寄与する活性種も含まれており、このため、膜表面の相対的に結合力の弱いSi−Si結合をエッチングしながら膜の堆積が進むことで、アモルファスの領域の少ない結晶化度の大きなシリコン系薄膜の形成が可能になる。
【0035】
また、上述のように(220)面は強い結合力で成長していくために、エッチング作用を効果的に行なうことにより、結晶相でも、特に(220)面を選択的に成長面とする結晶相を形成することが可能であると考えられる。また、エッチングの過程では、結合が切断されることに伴いラジカルが形成され、構造緩和が促進されるため、より低温のプロセス温度下での良質なシリコン系薄膜の形成が可能になり、低コスト化に有利であると考えられる。
【0036】
ステブラー―ロンスキー(Staebler−Wronski)効果による光劣化現象の抑制、及び結晶粒界密度の低下の点を鑑みて、本発明者が鋭意検討を重ねた結果、結晶成分に起因するラマン散乱強度(典型的な例として520cm−1付近)が、アモルファスに起因するラマン散乱強度(典型的な例として480cm−1付近)の3倍以上であることが好ましく、さらに(220)面の回折強度の割合が全回折強度の50%以上である構造においては上記の効果がより促進され特に好ましいものであることを見出した。
【0037】
原料ガスにハロゲン化シリコン及び水素を含んだ原料ガスを用いた高周波プラズマCVD法では、前述のとおり、堆積とエッチングという相反する反応を伴なっており、そのため高速成膜で実現するためには、プラズマプロセスの制御が重要な技術課題となる。ハロゲン化シリコンに水素を加えることによって、SiXH、SiXHなどの、堆積に寄与すると思われる水素を含むハロゲン化シラン系活性種を形成することができると考えられるが、これらの活性種を形成するためには、SiXと水素ラジカルの活発な反応過程が必要となると考えられる。また水素ラジカルは堆積膜中の過剰なX原子の脱離を促進、成長面近傍を拡散することによる構造緩和を促進させることにより、結晶性を高める作用があると考えられる。以上のことから、高品質な結晶相を高速堆積において実現するためには、基板近傍に多くの水素ラジカルが存在することが重要であると考えられる。
【0038】
成膜を行なうための真空容器は、ステンレスなど金属材料を接地した状態で使用するのが一般的である。前記真空容器内のプラズマ生成空間を囲んでいる領域に、前記真空容器よりも抵抗率の高い被膜をあらかじめ形成してからハロゲン化シリコン及び水素を含んだ原料ガスを用いた高周波プラズマCVD法でプラズマを生起させた場合には、低抵抗である金属材料がプラズマを囲む状態でハロゲン化シリコン及び水素を含んだ原料ガスを用いた高周波プラズマCVD法でプラズマを生起させた場合に対して、プラズマを囲む領域が高抵抗であるために電子が堆積する比率が相対的に大きくなり、真空容器近傍に相対的に大きな電界をもつシースが形成されると思われる。
【0039】
後者の場合には、前述のようなシースを伴うプラズマポテンシャルを形成する結果、真空容器近傍の水素イオンなどの陽イオンの存在密度が増し、さらにシース領域において運動エネルギーが加速されるため、真空容器近傍の活性種どうしの反応がより活発になり、その結果真空容器近傍の水素ラジカルの密度も相対的に増大するものと考えられる。真空容器内の水素ラジカル量を増やす手段としては、原料ガス中の水素量を増加させる方法もあるが、前記真空容器よりも抵抗率の高い被膜をあらかじめ形成してからハロゲン化シリコン及び水素を含んだ原料ガスを用いた高周波プラズマCVD法でプラズマを生起させた場合には、シース領域近傍に集中して水素プラズマ密度を高めることができるので、原料ガス中の水素量を増加させる方法では得られる効果をはるかに上回る効果を得ることが可能になる。
【0040】
このような水素ラジカル密度の高いプラズマ分布をもった雰囲気下に前記基板を導入することにより、特に、基板導入位置が真空容器の内壁近傍である場合には、前記基板上に、高品質なシリコン系薄膜の結晶相を高速堆積で形成することが可能になると考えられる。特に堆積速度の向上の効果は顕著であり、金属材料がプラズマ生成空間を囲んでいる状態では堆積反応よりもエッチング反応が優先的なプラズマ状態になるためにシリコン系薄膜が堆積しない成膜条件、あるいは堆積速度の非常に遅い成膜条件であっても、前記真空容器内のプラズマ生成空間を囲んでいる領域に、前記真空容器よりも抵抗率の高い被膜をあらかじめ形成してからプラズマを生起させた場合には、十分な堆積速度(1.0nm/秒以上)の堆積速度でシリコン系薄膜の形成が可能になる場合もあり、金属材料がプラズマ生成空間を囲んでいる条件下では実現できなかったシリコン系薄膜の形成が可能になる。
【0041】
ここで、前記被膜としては、シリコン系薄膜の形成時の被膜からの脱ガスの影響を考えると、堆積膜と同質であるシリコンであることが好ましいものである。被膜の形成方法は、シリコン系薄膜の形成と同様に高周波プラズマCVD法で行なうことができる。被膜形成用ガスには、SiH、Si、SiFなどのシリコン含有ガスを主成分とし、堆積効果の大きな条件で被膜形成を行なうことが好ましいものである。ここで、シリコン含有ガスに、HやHeなどの希釈ガスを加えてもかまわない。前記皮膜形成ガスがハロゲン化シリコンガスを含まない場合には、高速成膜で前記被膜の形成が行なえるために、好ましいものである。
【0042】
基板近傍の水素プラズマ密度を高める効果を増大させるために、前記被膜は、前記真空容器よりも抵抗率が高いと同時に、前記シリコン系薄膜よりも抵抗率が高い方がより好ましいものである。前記被膜を、前記シリコン系薄膜よりも抵抗率が高い被膜とするためには、前記被膜をアモルファス相にする方法、結晶相とアモルファス相との混合相にする方法、前記シリコン系薄膜よりも結晶化度の低い結晶相とする方法や、被膜形成用ガスに微量の酸素を加える方法などが好ましいものである。前記被膜をアモルファス相にするため、結晶相とアモルファス相との混合相にするため、あるいは前記シリコン系薄膜よりも結晶化度の低い結晶相とするためには、被膜形成用ガスが、SiH、Siなどのシラン系ガスを含む場合には、希釈ガスの流量を少なくする方法などがあげられる。
【0043】
さらに、被膜の形成を前記シリコン系薄膜の形成より低い温度で行なうことも効果的である。ただし、真空容器内のプラズマ生成空間を囲んでいる領域に、良好な密着性をもった被膜を形成するためには、真空容器内のプラズマ生成空間を囲んでいる領域をある程度加熱することが好ましい。具体的には真空容器内のプラズマ生成空間を囲んでいる領域の温度を50℃以上400℃以下の範囲で、かつシリコン系薄膜形成時の基板温度より低い温度にするのが好ましいものである。また、ダングリングボンドを補償したり、構造緩和を促進することによって、真空容器内のプラズマ生成空間を囲んでいる領域に、良好な密着性をもった被膜を形成できることが可能になるという観点から、被膜中には、適度に水素が含有されていることが好ましい。被膜中の水素含有量としては、5〜40原子%が好ましい範囲である。
【0044】
さらに、前記被膜を形成することによる別の効果として、被膜を形成することにより、堆積反応をより促進させる一種の触媒効果が働くのではないかと考えられる。この効果の詳細は不明であるが、前記被膜を形成することにより、被膜に吸着した未反応の分子やラジカル内の結合力が低下し、その効果が連鎖することによって堆積反応の活性化エネルギーが低下するのではないかと考えられる。
【0045】
高速成膜を行なうためには、投入電力を増加して、原料ガスの分解効率を高めることが効果的であるが、投入電力の増加は同時に過剰なイオンの発生をもたらすことが考えられる。イオンはシース領域において静電引力によって加速されるため、過剰なイオンは、堆積膜にイオン衝撃として結晶格子を歪ませたり、膜中にボイドを作る要因となるなどの高品質のシリコン系薄膜の形成のための障害となり、下地層との密着性や、耐環境性を低下させるという悪影響を及ぼすことなどが考えられる。ここで、圧力の高い条件下でプラズマを生起させると、プラズマ中のイオンは、他のイオン、活性種などとの衝突機会が増加することによって、基板へのイオン衝撃が低下し、同時に、水素ラジカルによる基板表面近傍の反応が活発になると考えられる。本発明者が鋭意検討を重ねた結果、良好な配向性と結晶化度を持つ高品質なシリコン系薄膜を高速で形成するためには、特にイオンダメージの低減の効果などを鑑みると、圧力に関しては50mTorr(6.7Pa)以上、より好ましくは750mTorr(100Pa)以上であることが好ましいことを見出した。
【0046】
次に本発明の光起電力素子の構成要素について説明する。
【0047】
図1は本発明の光起電力素子の一例を示す模式的な断面図である。図中101は基板、102は半導体層、103は第二の透明導電層、104は集電電極である。また、101−1は基体、101−2は金属層、101−3は第一の透明導電層である。これらは基板101の構成部材である。
【0048】
(基体)
基体101−1としては、金属、樹脂、ガラス、セラミックス、半導体バルク等からなる板状部材やシート状部材が好適に用いられる。その表面には微細な凸凹を有していてもよい。透明基体を用いて基体側から光が入射する構成としてもよい。また、基体を長尺の形状とすることによってロール・ツー・ロール法を用いた連続成膜を行うことができる。特にステンレス、ポリイミド等の可撓性を有する材料は基体101−1の材料として好適である。
【0049】
(金属層)
金属層101−2は電極としての役割と、基体101−1にまで到達した光を反射して半導体層102で再利用させる反射層としての役割とを有する。その材料としては,Al、Cu、Ag、Au、CuMg、AlSi等を好適に用いることができる。その形成方法としては、蒸着、スパッタ、電析、印刷等の方法が好適である。金属層101−2は、その表面に凸凹を有することが好ましい。それにより反射光の半導体層102内での光路長を伸ばし、短絡電流を増大させることができる。基体101−1が導電性を有する場合には金属層101−2は形成しなくてもよい。
【0050】
(第一の透明導電層)
第一の透明導電層101−3は、入射光及び反射光の乱反射を増大し、半導体層102内での光路長を伸ばす役割を有する。また、金属層101−2の元素が半導体層102へ拡散あるいはマイグレーションを起こし、光起電力素子がシャントすることを防止する役割を有する。さらに、適度な抵抗をもつことにより、半導体層のピンホール等の欠陥によるショートを防止する役割を有する。さらに、第一の透明導電層101−3は、金属層101−2と同様にその表面に凸凹を有していることが望ましい。第一の透明導電層101−3は、ZnO、ITO等の導電性酸化物からなることが好ましく、蒸着、スパッタ、CVD、電析等の方法を用いて形成されることが好ましい。これらの導電性酸化物に導電率を変化させる物質を添加してもよい。
【0051】
また、酸化亜鉛層の形成方法としては、スパッタ、電析等の方法を用いて形成されることが好ましい。
【0052】
スパッタ法によって酸化亜鉛膜を形成する条件は、方法やガスの種類と流量、内圧、投入電力、成膜速度、基板温度等が大きく影響を及ぼす。例えばDCマグネトロンスパッタ法で、酸化亜鉛ターゲットを用いて酸化亜鉛膜を形成する場合には、ガスの種類としてはAr、Ne、Kr、Xe、Hg、Oなどがあげられ、流量は、装置の大きさと排気速度によって異なるが、例えば成膜空間の容積が20リットルの場合、1sccmから100sccmが望ましい。また成膜時の内圧は1×10−4Torr(133×10−4Pa)から0.1Torr(13Pa)が望ましい。投入電力は、ターゲットの大きさにもよるが、直径15cmの場合、10Wから100KWが望ましい。また基板温度は、成膜速度によって好適な範囲が異なるが、1μm/hで成膜する場合は、70℃から450℃であることが望ましい。
【0053】
また、電析法によって酸化亜鉛膜を形成する条件は、耐腐食性容器内に、硝酸イオン、亜鉛イオンを含んだ水溶液を用いるのが好ましい。硝酸イオン、亜鉛イオンの濃度は、0.001mol/lから1.0mol/lの範囲にあるのが望ましく、0.01mol/lから0.5mol/lの範囲にあるのがより望ましく、0.1mol/lから0.25mol/lの範囲にあるのがさらに望ましい。硝酸イオン、亜鉛イオンの供給源としては特に限定するものではなく、両方のイオンの供給源である硝酸亜鉛でもよいし、硝酸イオンの供給源である硝酸アンモニウムなどの水溶性の硝酸塩と、亜鉛イオンの供給源である硫酸亜鉛などの亜鉛塩の混合物であってもよい。
【0054】
さらに、これらの水溶液に、異常成長を抑制したり密着性を向上させるために、炭水化物を加えることも好ましいものである。炭水化物の種類は特に限定されるものではないが、グルコース(ブドウ糖)、フルクトース(果糖)などの単糖類、マルトース(麦芽糖)、サッカロース(ショ糖)などの二糖類、デキストリン、デンプンなどの多糖類などや、これらを混合したものを用いることができる。水溶液中の炭水化物の量は、炭水化物の種類にもよるが概ね、0.001g/lから300g/lの範囲にあるのが望ましく、0.005g/lから100g/lの範囲にあるのがより望ましく、0.01g/lから60g/lの範囲にあることがさらに望ましい。
【0055】
電析法により酸化亜鉛膜を堆積する場合には、前記の水溶液中に酸化亜鉛膜を堆積する基体を陰極にし、亜鉛、白金、炭素などを陽極とするのが好ましい。このとき負荷抵抗を通して流れる電流密度は、10mA/dmから10A/dmであることが好ましい。
【0056】
(基板)
以上の方法により、基体101−1上に必要に応じて、金属層101−2、第一の透明導電層101−3を積層して基板101を形成する。また、素子の集積化を容易にするために、基板101に中間層として絶縁層を設けてもよい。
【0057】
(半導体層)
本発明のシリコン系薄膜及び半導体層102の主たる材料としては、アモルファス相あるいは結晶相、さらにはこれらの混相系のSiが用いられる。Siに代えて、SiとC又はGeとの合金を用いても構わない。半導体層102には同時に、水素及び/又はハロゲン原子が含有される。その好ましい含有量は0.1〜40原子%である。さらに半導体層102は、酸素、窒素などを含有してもよい。
【0058】
半導体層をp型半導体層とするにはIII属元素、n型半導体層とするにはV属元素を含有する。p型層及びn型層の電気特性としては、活性化エネルギーが0.2eV以下のものが好ましく、0.1eV以下のものが最適である。また比抵抗としては100Ωcm以下が好ましく、1Ωcm以下が最適である。スタックセル(pin接合を複数有する光起電力素子)の場合、光入射側に近いpin接合のi型半導体層はバンドギャップが広く、遠いpin接合になるに随いバンドギャップが狭くなるのが好ましい。また、i層内部ではその膜厚方向の中心よりもp層寄りにバンドギャップの極小値があるのが好ましい。
【0059】
光入射側のドープ層(p型層もしくはn型層)は光吸収の少ない結晶性の半導体か、Xはバンドギャップの広い半導体が適している。pin接合を2組積層したスタックセルの例としては、i型シリコン系半導体層の組み合わせとして、光入射側から(アモルファス半導体層、結晶相を含む半導体層)、(結晶相を含む半導体層、結晶相を含む半導体層)となるものがあげられる。また、
【0060】
pin接合を3組積層した光起電力素子の例としてはi型シリコン系半導体層の組み合わせとして、光入射側から(アモルファス半導体層、アモルファス半導体層、結晶相を含む半導体層)、(アモルファス半導体層、結晶相を含む半導体層、結晶相を含む半導体層)、(結晶相を含む半導体層、結晶相を含む半導体層、結晶相を含む半導体層)となるものがあげられる。
i型半導体層としては光(630nm)の吸収係数(α)が5000cm−1以上、ソーラーシミュレーター(AM1.5、100mW/cm)による擬似太陽光照射化の光伝導度(σp)が10×10−5S/cm以上、暗伝導度(σd)が10×10−6S/cm以下、コンスタントフォトカレントメソッド(CPM)によるアーバックエナジーが55meV以下であるのが好ましい。i型半導体層としては、わずかにp型、n型になっているものでも使用することができる。
【0061】
本発明の構成要素である半導体層102についてさらに説明を加えると、図3は本発明の光起電力素子の一例として、一組のpin接合をもつ半導体層102を示す模式的な断面図である。図中102−1は第一の導電型を示し結晶相を含む半導体層であり、さらに、本発明のシリコン系薄膜からなる結晶相を含むi型半導体層102−2、第二の導電型を示す非単結晶半導体層102−3を積層する。pin接合を複数持つ半導体層においては、そのなかのうちの少なくとも一つが前記の構成であることが好ましい。また、本発明のシリコン系薄膜からなる結晶相を含むi型半導体層102−2と導電型を示す半導体層との間に、非晶質層を挟んだ構造をとってもかまわない。
【0062】
(半導体層の形成方法)
本発明のシリコン系薄膜及び半導体層102を形成するには、高周波プラズマCVD法が適している。以下、高周波プラズマCVD法によって半導体層102を形成する手順の好適な例を示す。
(1)減圧状態にできる半導体形成用真空容器内を所定の堆積圧力に減圧する。
(2)堆積室内に原料ガス、希釈ガス等の材料ガスを導入し、堆積室内を真空ポンプによって排気しつつ、堆積室内を所定の堆積圧力に設定する。
(3)基板101をヒーターによって所定の温度に設定する。
(4)高周波電源によって発振された高周波を前記堆積室に導入する。前記堆積室への導入方法は、高周波を導波管によって導き、アルミナセラミックスなどの誘電体窓を介して堆積室内に導入したり、高周波を同軸ケーブルによって導き、金属電極を介して堆積室内に導入したりする方法がある。
(5)堆積室内にプラズマを生起させて原料ガスを分解し、堆積室内に配置された基板101上に堆積膜を形成する。この手順を必要に応じて複数回繰り返して半導体層102を形成する。
【0063】
本発明のシリコン系薄膜及び半導体層102の形成条件としては、堆積室内の基板温度は100〜450℃圧力は0.5mTorr(67mPa)〜10Torr(1.3×10Pa)、高周波パワー密度は0.001〜1W/cm(投入電力/堆積室体積)が好適な条件としてあげられる。
【0064】
本発明のシリコン系薄膜及び半導体層102の形成に適した原料ガスとしては、SiH、Si等のシリコン原子を含有したガス化しうる化合物、SiF、Si、SiH、SiHCl、SiCl、SiC1等のハロゲン化シリコンがあげられる。常温で気化しているものはガスボンべを用い、液化しているものは不活性ガスによるバブリングを行なって使用する。合金系にする場合にはさらに、GeHやCHなどのようにGeやCを含有したガス化しうる化合物を原料ガスにて添加することが望ましい。
【0065】
原料ガスは、希釈ガスで希釈して堆積室内に導入することが望ましい。希釈ガスとしては、HやHeなどがあげられる。さらに窒素、酸素等を含有したガス化しうる化合物を原料ガス乃至希釈ガスとして添加してもよい。半導体層をp型層とするためのドーパントガスとしてはB、BF等が用いられる。また、半導体層をn型層とするためのドーパントガスとしては、PH、PF等が用いられる。結晶相の薄膜や、SiC等の光吸収が少ないかバンドギャップの広い層を堆積する場合には、原料ガスに対する希釈ガスの割合を増やし、比較的高いパワー密度の高周波を導入するのが好ましい。
【0066】
また、本発明のシリコン系薄膜を形成する際には、半導体形成用真空容器内のプラズマ生成空間を囲んでいる領域に、前記真空容器よりも抵抗率の高い被膜をあらかじめ形成してから行なう。被膜の形成方法としては、半導体層102と同様に高周波プラズマCVD法が適している。半導体形成用真空容器近傍に、大きな電界をもつシースを形成するためには、前記被膜の膜厚は1μm以上あることが好ましい。
【0067】
被膜の形成に適した被膜形成用ガスとしては、堆積効果の大きなSiH、Si、SiFなどのシリコン含有ガスを主成分とし、HやHeなどの希釈ガスが加わったものが好ましいものである。被膜は上述の通りアモルファス相であっても、結晶相であっても、結晶相とアモルファス相との混合相であってもかまわない。
【0068】
(第二の透明導電層)
第二の透明導電層103は、光入射側の電極であるとともに、その膜厚を適当に設定することにより反射防止膜の役割をかねることができる。第二の透明導電層103は、半導体層102の吸収可能な波長領域において高い透過率を有することと、抵抗率が低いことが要求される。好ましくは550nmにおける透過率が80%以上、より好ましくは85%以上であることが望ましい。抵抗率は5×10−3Ωcm以下、より好ましくは1×10−3Ωcm以下であることが好ましい。
【0069】
第二の透明導電層103の材料としては、ITO、ZnO、In等を好適に用いることができる。その形成方法としては、蒸着、CVD、スプレー、スピンオン、浸漬などの方法が好適である。これらの材料に導電率を変化させる物質を添加してもよい。
【0070】
(集電電極)
集電電極104は集電効率を向上するために透明電極103上に設けられる。その形成方法として、マスクを用いてスパッタによって電極パターンの金属を形成する方法や、導電性ペーストあるいは半田ペーストを印刷する方法、金属線を導電性ペーストで固着する方法などが好適である。
【0071】
なお、必要に応じて光起電力素子の両面に保護層を形成することがある。同時に光起電力素子の表面(光入射側と反射側)などに鋼板等の補強材を併用してもよい。
【0072】
(第2の実施形態)
前述した課題を解決するために鋭意研究を重ねた結果本発明者は、
「その内部の少なくとも一部がシリコンを含む固体により覆われた真空容器の内部に、ハロゲン化シリコン及び水素を含む原料ガスを導入し、
真空容器内部の空間にプラズマを生起させ、
真空容器の内部に備えられた基板の上に、シリコン系膜を形成すること」により、
さらに好ましくは、「シリコンを含む固体は、少なくとも表面がシリコンからなる部材であること」により、
さらに好ましくは、「この部材が、板状シリコン、シリコン粒、表面の少なくとも一部にシリコン膜を被覆した固体のうちの少なくとも一つから選ばれたものであること」により、
結晶化度及び結晶性がすぐれ、下地層との密着性も良好なシリコン系薄膜を、高速で成膜することが可能であり、特に大面積のシリコン系薄膜を形成する際にも均一なシリコン系薄膜の形成が可能であり、前記シリコン系薄膜を基板上に少なくとも一組のpin接合からなる半導体層を含んだ光起電力素子の少なくとも一つのi型半導体層の少なくとも一部に用いることにより、良好な光電変換効率をもち、密着性、耐環境性に優れた光起電力素子を、低コストで形成することが可能になったことを見出した。
【0073】
上記の構成にすることにより、以下の作用がある。
【0074】
高周波を用いたプラズマCVD法により結晶相を含むシリコン系薄膜を形成する方法は、固相反応と比較してプロセス時間が短く、プロセス温度も低くすることが可能なため低コスト化に有利である。特に、pin接合を有する光起電力素子において、膜厚の大きなi型半導体層に適用することで、この効果は大きく発揮される。具体的には、周波数が10MHz〜10GHzの高周波を用いたCVD法で形成する方法は、特に好ましいものである。
【0075】
pin接合を有する光起電力素子においては、実質的に光吸収層として機能するi型半導体層を結晶相を含むi型半導体層とした場合には、アモルファスの場合に問題になるステブラー−ロンスキー(Staebler−Wronski)効果による光劣化現象を抑制することができるメリットがある。
【0076】
一方で、結晶相を含むシリコン系薄膜をi型半導体層に採用した場合の問題点として、結晶粒界が多数キャリア、少数キャリア双方に影響を与えて性能を劣化させることが知られている。結晶粒界の影響を抑制するためには、i型半導体層内の結晶粒径を大きくして結晶粒界密度を低下させることが有効な手段の一つであると考えられる。特に、キャリアの走行方向に結晶粒径が大きい形状であることが好ましく、キャリアの走行方向を面法線としたときのScherrer半径が20nm以上であることが好ましい。
【0077】
結晶粒径を大きくするための要素としては、結晶の配向性を高めることがあげられる。ランダムな結晶方位で膜の堆積が進行した場合には、成長の過程でそれぞれの結晶粒が衝突しあい相対的に結晶粒の大きさが小さくなると考えられるが、特定の方位に配向させ成長の方向性をそろえることで、結晶粒同士のランダムな衝突を抑制することができ、その結果結晶粒径をより大きくすることが可能であると考えられる。
また、ダイヤモンド構造をとる結晶性シリコンにおいては、(220)面は、面内の原子密度が最も高く、成長最表面内のシリコン原子は、4本の結合手のうち3本を他のシリコン原子と共有結合で結合されている構造のため、この面を成長面とした場合に、密着性及び耐候性の良好なシリコン系薄膜を形成することができるもの考えられ好ましいものである。ASTMカードから、無配向の結晶性シリコンでは,低角測から11反射分の回折強度の総和に対する(220)面の回折強度の割合は約23%であり、(220)面の回折強度の割合が23%を上回る構造は、この面方向に配向性を有することになる。
【0078】
ここで、原料ガスにハロゲン化シリコン及び水素を含んだ原料ガスを用いた高周波プラズマCVD法では.プラズマ内に種々の活性種が形成される。ハロゲン原子をXとした場合、プラズマ内の活性種の種類としては、SiX(0≦n、m≦4)、HX、X、Hなどの原子、ラジカル、イオン、分子があげられる。この系には、シリコン系薄膜の堆積に寄与する活性種に加えて、エッチングに寄与する活性種も含まれており、このため、膜表面の相対的に結合力の弱いSi−Si結合をエッチングしながら膜の堆積が進むことで、アモルファスの領域の少ない結晶化度の大きなシリコン系薄膜の形成が可能になる。
また、上述のように(220)面は強い結合力で成長していくために、エッチング作用を効果的に行なうことにより、結晶相でも、特に(220)面を選択的に成長面とする結晶相を形成することが可能であると考えられる。また、エッチングの過程では、結合が切断されることに伴ないラジカルが形成され、構造緩和が促進されるため、より低温のプロセス温度下での良質なシリコン系薄膜の形成が可能になり、低コスト化に有利であると考えられる。
【0079】
ステブラー―ロンスキー(Staebler−Wronski)効果による光劣化現象の抑制、及ぴ結晶粒界密度の低下の点を鑑みて、本発明者が鋭意検討を重ねた結果、結晶成分に起因するラマン散乱強度(典型的な例として520cm−1付近)が、アモルファスに起因するラマン散乱強度(典型的な例として480cm−1付近)の3倍以上であることが好ましく、さらに(220)面の回折強度の割合が全回折強度の70%以上である構造においては上記の効果がより促進され特に好ましいものであることを見出した。
【0080】
原料ガスにハロゲン化シリコン及び水素を含んだ原料ガスを用いた高周波プラズマCVD法では、前述のとおり、堆積とエッチングという相反する反応を伴なっており、そのため高速成膜を実現するためには、プラズマプロセスの制御が重要な技術課題となる。ハロゲン化シリコンに水素を加えることによって、SiXH、SiXHなどの、堆積に寄与すると思われる水素を含むハロゲン化シラン系活性種を形成することができると考えられるが、これらの活性種を形成するためには、SiXと水素ラジカルの活発な反応過程が必要となると考えられる。また水素ラジカルは堆積膜中の過剰なX原子の脱離を促進、成長面近傍を拡散することによる構造緩和を促進させることにより、結晶性を高める作用があると考えられる。以上のことから、高品質な結晶相を高速堆積において実現するためには、基板近傍に多くの水素ラジカルが存在することが重要であると考えられる。
【0081】
成膜を行なうための真空容器は、ステンレスなど金属材料を接地した状態で使用するのが一般的であるが、前記真空容器内の容器壁の領域に、少なくとも表面がシリコンからなる部材を導入することにより、真空容器材料よりも抵抗率の高い領域がプラズマと接触することになり、ここには電子が堆積する比率が相対的に大きくなり、その結果、真空容器近傍に相対的に大きな電界をもつシースが形成されると思われる。
このようなシースを伴うプラズマポテンシャルを形成する結果、真空容器近傍の水素イオンの存在密度が増し、真空容器近傍の活性種同士の反応がより活発になり、その結果真空容器近傍の水素ラジカルの密度も相対的に増大するものと考えられる。真空容器内の水素ラジカル量を増やす手段としては、原料ガス中の水素量を増加させる方法もあるが、前記真空容器内の容器壁の領域に、少なくとも表面がシリコンからなる部材を導入した場合には、部分的に水素プラズマ密度を高めることができるので、原料ガス中の水素量を増加させる方法では得られる効果をはるかに上回る効果を得ることが可能になる。
【0082】
このような水素ラジカル密度の高いプラズマ分布をもった雰囲気中、特に基板導入位置が前記少なくとも表面がシリコンからなる部材近傍である場合には、前記基板上に、高品質なシリコン系薄膜の結晶相を高速堆積で形成することが可能になると考えられる。特に堆積速度の向上の効果は顕著である。
【0083】
また、上述のように、原料ガスにハロゲン化シリコン及び水素を含んだ原料ガスを用いた高周波プラズマCVD法では、前述のとおり、堆積とエッチングという相反する反応を伴っており、どちらの反応が優先されるかは、圧力、成膜領域近傍のハロゲン化シリコンと水素の存在比、高周波導入部と基板間距離、温度などのシリコン系薄膜形成パラメータの対して比較的敏感な反応系である。そのため、特に大面積の基板上にシリコン系薄膜を形成する場合などには、上記のパラメータの場所依存性により、エッチング反応がより優先される領域ができ、場合によっては、堆積が起こらずに基板表面をエッチングしてしまう領域が形成されることも起こりうる。基板表面に堆積が起こらずにエッチングが起きてしまう場合には、基板表面に含まれる原子が雰囲気中に拡散され、堆積が起こる領域に取り込まれることにより、堆積が起こった領域の膜質を悪化させる要因ともなる。ここで、前記真空容器内に、少なくとも表面がシリコンからなる部材を導入することにより、エッチング反応がより優先される領域の前記部材自身をエッチングするようにすることで、前記領域近傍の雰囲気中のSi原子密度を上昇させることができ、基板表面のエッチングを防ぐことができ、また前記部材が導入されない場合と比べて、より均質なプラズマ状態を形成することが実現できる。その結果大面積にわたって均質なシリコン系薄膜の形成が可能になると考えられる。このような均質なプラズマ状態で形成されたシリコン系薄膜においては、下地層との密着性や、耐候性もより優れたものである。
【0084】
ここで、前記少なくとも表面がシリコンからなる部材は、前記真空容器内の内容壁に接するように配置されてもよいし、プラズマ空間内に、前記少なくとも表面がシリコンからなる部材がプラズマ中に完全に浴するように配置されていても構わない。
【0085】
すなわち、図12に示すように、表面がシリコンからなる部材を配置することが好ましい方法としてあげられる。図12は、真空容器内に表面がシリコンからなる棒状部材を配置した装置の断面を示した模式図である。図中には、表面がシリコンからなる部材が、真空容器内の内容壁に接して配置されたもの、プラズマ中に完全に浴するように配置されたもの及び、基板近傍に配置されたものが示されている。
【0086】
特に前記基板と、前記真空容器内に設けられた高周波導入部が相対した位置関係にある場合には、少なくとも表面がシリコンからなる部材を、図13に示すように、前記高周波導入部上に載置することによって、Si原子が効率よく雰囲気中に導入することが可能になる。また、高周波導入部上に、少なくとも表面がシリコンからなる部材を載置することにより、高周波導入部にかかる自己バイアスがより負側になるため、基板に対しての不必要な陽イオンのダメージを抑制する効果も加わるために、より良好な結晶性をもつシリコン系薄膜の形成が可能になり好ましいものである。
【0087】
ここで、特公平5−12850号公報、特開平4−329627号公報では、半導体層を形成する前に、反応炉内壁または基板ホルダーに予め半導体層を積層しておく技術が開示されているが、これらは一つの反応炉にてpin接合などを有する半導体装置の作成を行なっている際に、特にi層形成時に、前工程で形成された半導体中または残留ガス中のpまたはn型の不純物や、もしくは反応炉内壁に付着した酸素、アルカリ金属などの不純物が、新たに形成される半導体中に取り込まれることを防ぐことを目的としたものであり、前記の目的のためには効果的なものであるが、本発明の堆積とエッチングという相反する反応のバランスを制御するための制御材として、とくに大面積に均一かつ均質なシリコン系薄膜を形成するためには十分なものではなかった。堆積とエッチングという相反する反応のバランスを制御し、大面積に均一かつ均質なシリコン系薄膜を形成するためには、内壁の表面をシリコン層とするのではなく、内壁とは別部材として前記表面がシリコンからなる部材を導入することが重要なポイントとなる。
【0088】
前記少なくとも表面がシリコンからなる部材としては、比較的広い面積を有するものとしては、単結晶ウエハ、多結晶ウエハ、シリコン粒を溶融固化して形成したシリコン板などの板状シリコン、小さい面積を有するものとしてはシリコン粒、任意の形状をしたものとしては、金属あるいは誘電体などの表面にシリコン膜を被膜したものなどがあげられる。また、これらを組み合わせて用いたものであっても構わない。表面がシリコンからなる部材は一つに限らず二つ以上導入してもよい。前記部材としてシリコン粒は、単独で用いる方法、他の部材の隙間を埋めるように用いる方法などがあげられる。配置位置としては、高周波導入部上に配置する方法などが好ましいものである。
【0089】
前記金属あるいは誘電体などの表面に被膜するシリコン膜の形成方法としては、高周波プラズマCVD法で行なうことができる。シリコン膜形成用ガスには、SiH、Si、SiFなどのシリコン含有ガスを主成分とし、堆積効果の大きな条件で被膜形成を行なうことが好ましいものである。ここで、シリコン含有ガスに、HやHeなどの希釈ガスを加えてもかまわない。
【0090】
さらに、前記少なくとも表面がシリコンからなる部材による別の効果として、堆積反応をより促進させる一種の触媒効果が働くのではないかと考えられる。この効果の詳細は不明であるが、前記部材に吸着した未反応の分子やラジカル内の結合力が低下し、その効果が連鎖することによって堆積反応の活性化エネルギーが低下するのではないかと考えられる。
【0091】
次に本発明の光起電力素子の構成要素について説明する。
【0092】
図6は本発明の光起電力素子の一例を示す模式的な断面図である。図中1101は基板、1102は半導体層、1103は第二の透明導電層、1104は集電電極である。また、1101−1は基体、1101−2は金属層、1101−3は第一の透明導電層である。これらは基板1101の構成部材である。
【0093】
(基体)
基体1101−1としては、金属、樹脂、ガラス、セラミックス、半導体バルク等からなる板状部材やシート状部材が好適に用いられる。その表面には微細な凸凹を有していてもよい。透明基体を用いて基体側から光が入射する構成としてもよい。また、基体を長尺の形状とすることによってロール・ツー・ロール法を用いた連続成膜を行うことができる。特にステンレス、ポリイミド等の可撓性を有する材料は基体1101−1の材料として好適である。
【0094】
(金属層)
金属層1101−2は電極としての役割と、基体1101−1にまで到達した光を反射して半導体層1102で再利用させる反射層としての役割とを有する。その材料としては、Al、Cu、Ag、Au、CuMg、AlSi等を好適に用いることができる。その形成方法としては、蒸着、スパッタ、電析、印刷等の方法が好適である。金属層1101−2は、その表面に凸凹を有することが好ましい。それにより反射光の半導体層1102内での光路長を伸ばし、短絡電流を増大させることができる。基体1101−1が導電性を有する場合には金属層1101−2は形成しなくてもよい。
【0095】
(第一の透明導電層)
第一の透明導電層1101−3は、入射光及び反射光の乱反射を増大し、半導体層1102内での光路長を伸ばす役割を有する。また、金属層1101−2の元素が半導体層1102へ拡散あるいはマイグレーションを起こし、光起電力素子がシャントすることを防止する役割を有する。さらに、適度な抵抗をもつことにより、半導体層のピンホール等の欠陥によるショートを防止する役割を有する。さらに、第一の透明導電層1101−3は、金属層1101−2と同様にその表面に凸凹を有していることが望ましい。第一の透明導電層1101−3は、ZnO、ITO等の導電性酸化物からなることが好ましく、蒸着、スパッタ、CVD、電析等の方法を用いて形成されることが好ましい。これらの導電性酸化物に導電率を変化させる物質を添加してもよい。
【0096】
また、酸化亜鉛層の形成方法としては、スパッタ、電析等の方法を用いて形成されることが好ましい。
【0097】
スパッタ法によって酸化亜鉛膜を形成する条件は、方法やガスの種類と流量、内圧、投入電力、成膜速度、基板温度等が大きく影響を及ぼす。例えばDCマグネトロンスパッタ法で、酸化亜鉛ターゲットを用いて酸化亜鉛膜を形成する場合には、ガスの種類としてはAr、Ne、Kr、Xe、Hg、Oなどがあげられ、流量は、装置の大きさと排気速度によって異なるが、例えば成膜空間の容積が20リットルの場合、1sccmから100sccmが望ましい。また成膜時の内圧は1×10−4Torr(133×10−4Pa)から0.1Torr(13Pa)が望ましい。投入電力は、ターゲットの大きさにもよるが、直径15cmの場合、10Wから100KWが望ましい。また基板温度は、成膜速度によって好適な範囲が異なるが、1μm/hで成膜する場合は、70℃から450℃であることが望ましい。
【0098】
また電析法によって酸化亜鉛膜を形成する条件は、耐腐食性容器内に、硝酸イオン、亜鉛イオンを含んだ水溶液を用いるのが好ましい。硝酸イオン、亜鉛イオンの濃度は、0.001mol/lから1.0mol/lの範囲にあるのが望ましく、0.01mol/lから0.5mol/lの範囲にあるのがより望ましく、0.1mol/lから0.25mol/lの範囲にあるのがさらに望ましい。硝酸イオン、亜鉛イオンの供給源としては特に限定するものではなく、両方のイオンの供給源である硝酸亜鉛でもよいし、硝酸イオンの供給源である硝酸アンモニウムなどの水溶性の硝酸塩と、亜鉛イオンの供給源である硫酸亜鉛などの亜鉛塩の混合物であってもよい。
【0099】
さらに、これらの水溶液に、異常成長を抑制したり密着性を向上させるために、炭水化物を加えることも好ましいものである。炭水化物の種類は特に限定されるものではないが、グルコース(フドウ糖)、フルクトース(果糖)などの単糖類、マルトース(麦芽糖)、サッカロース(ショ糖)などの二糖類、デキストリン、デンプンなどの多糖類などや、これらを混合したものを用いることができる。水溶液中の炭水化物の量は、炭水化物の種類にもよるが概ね、0.001g/lから300g/lの範囲にあるのが望ましく、0.005g/lから100g/lの範囲にあるのがより望ましく、0.01g/lから60g/lの範囲にあることがさらに望ましい。電析法により酸化亜鉛膜を堆積する場合には、前記の水溶液中に酸化亜鉛膜を堆積する基体を陰極にし、亜鉛、白金、炭素などを陽極とするのが好ましい。このとき負荷抵抗を通して流れる電流密度は、10mA/dmから10A/dmであることが好ましい。
【0100】
(基板)
以上の方法により、基体1101−1上に必要に応じて、金属層1101−2、第一の透明導電層1101−3を積層して基板1101を形成する。また、素子の集積化を容易にするために、基板1101に中間層として絶縁層を設けてもよい。
【0101】
(半導体層)
本発明のシリコン系薄膜及び半導体層1102の主たる材料としては、アモルファス相あるいは結晶相、さらにはこれらの混相系のSiが用いられる。Siに代えて、SiとC又はGeとの合金を用いても構わない。半導体層1102には同時に、水素及び/又はハロゲン原子が含有される。その好ましい含有量は0.1〜40原子%である。さらに半導体層1102は、酸素、窒素などを含有してもよい。半導体層をp型半導体層とするにはIII属元素、n型半導体層とするにはV属元素を含有する。p型層及びn型層び電気特性としては、活性化エネルギーが0.2eV以下のものが好ましく、0.1eV以下のものが最適である。
【0102】
また、比抵抗としてはて100Ωcm以下が好ましく、1Ωcm以下が最適である。スタックセル(pin接合を複数有する光起電力素子)の場合、光入射側に近いpin接合のi型半導体層はバンドギャップが広く、遠いpin接合になるに随いバンドギャップが狭くなるのが好ましい。また、i層内部ではその膜厚方向の中心よりもp層寄りにバンドギャップの極小値があるのが好ましい。光入射側のドープ層(p型層もしくはn型層)は光吸収の少ない結晶性の半導体か、又はバンドギャップの広い半導体が適している。pin接合を2組積層したスタックセルの例としては、i型シリコン系半導体層の組み合わせとして、光入射側から(アモルファス半導体層、結晶相を含む半導体層)、(結晶相を含む半導体層、結晶相を含む半導体層)となるものがあげられる。また、pin接合を3組積層した光起電力素子の例としてはi型シリコン系半導体層の組み合わせとして、光入射側から(アモルファス半導体層、アモルファス半導体層、結晶相を含む半導体層)、(アモルファス半導体層、結晶相を含む半導体層、結晶相を含む半導体層)、(結晶相を含む半導体層、結晶相を含む半導体層、結晶相を含む半導体層)となるものがあげられる。i型半導体層としては光(630nm)の吸収係数(α)が5000cm−1以上、ソーラーシミュレーター(AM1.5、100mW/cm)による擬似太陽光照射化の光伝導度(σp)が10×10−5S/cm以上、暗伝導度(σd)が10×10−6S/cm以下、コンスタントフォトカレントメソッド(CPM)によるアーパックエナジーが55meV以下であるのが好ましい。i型半導体層としては、わずかにp型、n型になっているものでも使用することができる。
【0103】
本発明の構成要素である半導体層1102についてさらに説明を加えると、図8は本発明の光起電力素子の一例として、一組のpin接合をもつ半導体層1102を示す模式的な断面図である。図中1102−1は第一の導電型を示し結晶相を含む半導体層であり、さらに、本発明のシリコン系薄膜からなる結晶相を含むi型半導体層1102−2、第二の導電型を示す非単結晶半導体層1102−3を積層する。pin接合を複数持つ半導体層においては、そのなかのうちの少なくとも一つが前記の構成であることが好ましい。
【0104】
(半導体層の形成方法)
本発明のシリコン系薄膜及び半導体層1102を形成するには、高周波プラズマCVD法が適している。以下、高周波プラズマCVD法によって半導体層1102を形成する手順の好適な例を示す。
(1)減圧状態にできる半導体形成用真空容器内を所定の堆積圧力に減圧する。
(2)堆積室内に原料ガス、希釈ガス等の材料ガスを導入し、堆積室内を真空ポンプによって排気しつつ、堆積室内を所定の堆積圧力に設定する。
(3)基板1101をヒーターによって所定の温度に設定する。
(4)高周波電源によって発振された高周波を前記堆積室に導入する。前記堆積室への導入方法は、高周波を導波管によって導き、アルミナセラミックスなどの誘電体窓を介して堆積室内に導入したり、高周波を同軸ケーブルによって導き、金属電極を介して堆積室内に導入したりする方法がある。
(5)堆積室内にプラズマを生起させて原料ガスを分解し、堆積室内に配置された基板1101上に堆積膜を形成する。この手順を必要に応じて複数回繰り返して半導体層1102を形成する。
【0105】
本発明のシリコン系薄膜及び半導体層1102の形成条件としては、堆積室内の基板温度は100〜450℃、圧力は0.067Pa(0.5mTorr)〜1.5×10Pa(113Torr)、高周波パワー密度は0.001〜1W/cm(投入電力/堆積室体積)が好適な条件としてあげられる。
【0106】
本発明のシリコン系薄膜及び半導体層1102の形成に適した原料ガスとしては、SiH、Si等のシリコン原子を含有したガス化しうる化合物、SiF、Si、SiH、SiHCl、SiCl、SiCl等のハロゲン化シリコンがあげられる。常温で気化しているものはガスボンベを用い、液化しているものは不活性ガスによるバブリングを行なって使用する。
【0107】
合金糸にする場合にはさらに、GeHやCHなどのようにGeやCを含有したガス化しうる化合物を原料ガスに添加することが望ましい。原料ガスは、希釈ガスで希釈して堆積室内に導入することが望ましい。希釈ガスとしては、HやHeなどがあげられる。さらに窒素、酸素等を含有したガス化しうる化合物を原料ガス乃至希釈ガスとして添加してもよい。半導体層をp型層とするためのドーパントガスとしてはB、BF等が用いられる。また、半導体層をn型層とするためのドーパントガスとしては、PH、PF等が用いられる。結晶相の薄膜や、SiC等の光吸収が少ないかバンドギャップの広い層を堆積する場合には、原料ガスに対する希釈ガスの割合を増やし、比較的高いパワー密度の高周波を導入するのが好ましい。
【0108】
また、本発明のシリコン系薄膜を形成する際には、前記真空容器内に、少なくとも表面がシリコンからなる部材を導入して行なう。前記少なくとも表面がシリコンからなる部材としては、比較的広い面積を有するものとしては、単結晶ウエハ、多結晶ウエハ、シリコン粒を溶融固化して形成したシリコン板などの板状シリコン、小さい面積を有するものとしてはシリコン粒、任意の形状をしたものとしては、金属あるいは誘電体などの表面にシリコン膜を被膜したものなどがあげられる。また、これらを組み合わせて用いたものであっても構わない。
【0109】
ここで、シリコン粒を溶融固化して形成したシリコン板などの板状シリコンの形成方法としては、シリコン粒を溝を設けた鋳型に投入し、シリコンの融点以上に一定時間保持した後温度を下げて固化させる方法などがあげられる。鋳型の材料としては、加工の容易性や加工の点からカーボングラファイトを用いることが好ましいが、固化したシリコンを離型させる材料を塗布でき、なおかつ融点がシリコンの融点よりも高いシリコンカーバイト、窒化シリコン、窒化ホウ素も好適なものである。
また、鋳型は、横方向あるいは縦方向に板状に溝をつけたものであって、このような溝が一つの鋳型の中に複数個あってもよい。また、横方向の溝に対しては垂直方向に、縦方向の溝に対しては水平方向にそれぞれ非対称に形成したり、放射板をつけたりなどすることで、固化時の熱の流れを制御することで金属級シリコンに含まれる不純物をシート表面片側に偏析させることも可能である。また窒化シリコンは、溶融したシリコンに対して反応を起こさず、かつ接触角が大きいために、鋳型の内部に塗布することによって、鋳型からシリコンを剥離することを助ける剥離剤として好適に用いることができる。
必要に応じて酸化シリコンなどを添加することも好ましいものである。鋳型内への剥離剤の皮膜の方法としては、粉末状の窒化シリコンを分散させた有機溶剤あるいはシラノール溶液を鋳型内にスプレーし、400℃以上の熱処理をする方法などがあげられる。板状シリコンの表面部分の純度を高めたい場合には、溶解/再析出の工程を含めると効果的である。溶解/再析出としては、板状シリコン表面を金属溶媒に溶解したあと、前記金属溶媒中のシリコンを前記板状シリコン表面に析出させる方法などがあげられる。偏析効果により大部分の不純物を除去することができるため、前記板状シリコンは、より純度の高いシリコン層とすることが可能であり、表面層の純度の高い板状シリコンを形成することができる。融点が相対的に低いこと、前記板状シリコン表面層を充分に溶解することができるという理由から、前記金属溶媒としては、インジウム、ガリウム、または錫の中から選ばれることが特に好ましいものである。
【0110】
また、金属あるいは誘電体などの表面にシリコン膜を形成する方法としては、半導体層1102と同様に高周波プラズマCVD法が適している。前記シリコン膜の膜厚は1μm以上あることが好ましい。被膜の形成に適した被膜形成用ガスとしては、堆積効果の大きなSiH、Si、SiFなどのシリコン含有ガスを主成分とし、HやHeなどの希釈ガスが加わったものが好ましいものである。被膜は上述の通りアモルファス相であっても、結晶相であっても、結晶相とアモルファス相との混合相であってもかまわない。
【0111】
(第二の透明導電層)
第二の透明導電層1103は、光入射側の電極であるとともに、その膜厚を適当に設定することにより反射防止膜の役割をかねることができる。第二の透明導電層1103は、半導体層1102の吸収可能な波長領域において高い透過率を有することと、抵抗率が低いことが要求される。好ましくは550nmにおける透過率が80%以上、より好ましくは85%以上であることが望ましい。抵抗率は5×10−3Ωcm以下、より好ましくは1×10−3Ωcm以下であることが好ましい。第二の透明導電層1103の材料としては、IT0、ZnO、In等を好適に用いることができる。その形成方法としては、蒸着、CVD、スプレー、スピンオン、浸漬などの方法が好適である。これらの材料に導電率を変化させる物質を添加してもよい。
【0112】
(集電電極)
集電電極1104は集電効率を向上するために透明電極1103上に設けられる。その形成方法として、マスクを用いてスパッタによって電極パターンの金属を形成する方法や、導電性ペーストあるいは半田ペーストを印刷する方法、金属線を導電性ペーストで固着する方法などが好適である。
【0113】
なお、必要に応じて光起電力素子の両面に保護層を形成することがある。同時に光起電力素子の表面(光入射側と反射側)などに鋼板等の補強材を併用してもよい。
【0114】
【実施例】
以下の実施例では、光起電力素子として太陽電池を例に挙げて本発明を具体的にするが、これらの実施例は本発明の内容を何ら限定するものではない。
【0115】
(実施例1)
図2に示した堆積膜形成装置201を用い、以下の手順でシリコン系薄膜を形成した。
【0116】
図2は、本発明のシリコン系薄膜及び光起電力素子を製造する堆積膜形成装置の一例を示す模式的な断面図である。図2に示す堆積膜形成装置201は、基板送り出し容器202、半導体形成用真空容器211〜216、基板巻き取り容器203が、ガスゲート221〜227を介して結合することによって構成されている。この堆積膜形成装置201には、各容器及び各ガスゲートを貫いて帯状の導電性基板204がセットされる。帯状の導電性基板204は、基板送り出し容器202に設置されたボビンから巻き出され、基板巻き取り容器203で別のボビンに巻き取られる。
【0117】
半導体形成用真空容器211〜216は、それぞれ堆積室を有しており、該放電室内の高周波導入部241〜246に高周波電源251〜256から高周波電力を印加することによってグロー放電を生起させ、それによって原料ガスを分解し導電性基板204上に半導体層を堆積させる。また、各半導体形成用真空容器211〜216には、原料ガスや希釈ガスを導入するためのガス導入管231〜236が接続されている。
【0118】
図2に示した堆積膜形成装置201は、半導体形成用真空容器を6個具備しているが、以下の実施例においては、すべての半導体形成用真空容器でグロー放電を生起させる必要はなく、製造する光起電力素子の層構成にあわせて各容器でのグロー放電の有無を選択することができる。また、各半導体形成用真空容器には、各堆積室内での導電性基板204と放電空間との接触面積を調整するための、不図示の成膜領域調整板が設けられており、これを調整することによって各容器で形成される各半導体膜の膜厚を調整することができるようになっている。
【0119】
まず、ステンレス(SUS430BA)からなる帯状の基体(幅40cm、長さ200m、厚さ0.125mm)を十分に脱脂、洗浄し、不図示の連続スパッタリング装置に装着し、Ag電極をターゲットとして、厚さ100nmのAg薄膜をスパッタ蒸着させた。さらにZnOターゲットを用いて、厚さ1.2μmのZnO薄膜をAg薄膜の上にスパッタ蒸着し、帯状の導電性基板204を形成した。
【0120】
次に基板送り出し容器202に、導電性基板204を巻いたボビンを装着し、導電性基板204を搬入側のガスゲート、半導体形成用真空容器211、212、213、214、215、216、搬出側のガスゲートを介し、基板巻き取り容器203まで通し、帯状の導電性基板204がたるまないように張力調整を行った。そして、基板送り出し容器202、半導体形成用真空容器211、212、213、214、215、216、基板巻き取り容器203を不図示の真空ポンプからなる真空排気系により、5×10−6Torr(6.7×10−4Pa)以下まで充分に真空排気した。
【0121】
次に、真空排気系を作動させつつ、半導体形成用真空容器212へガス導入管232から被膜形成用ガスとしてSiH=30sccm、H=500sccmを供給した。
【0122】
また、半導体形成用真空容器212以外の半導体形成用真空容器にはガス導入管から200sccmのHガスを供給し、同時に不図示の各ゲートガス供給管から、各ガスゲートにゲートガスとして500sccmのHガスを供給した。この状態で真空排気系の排気能力を調整して、半導体形成用真空容器212内の圧力を200mTorr(27Pa)に調整した。
【0123】
半導体形成用真空容器212内の圧力が安定したところで、半導体形成容器212内の高周波導入部242に高周波電源252より周波数60MHz、パワー密度100mW/cmの高周波電力を導入し、半導体形成用真空容器内のプラズマ生成空間を囲んでいる領域を150℃に保持して、半導体形成用真空容器212内の堆積室内にグロー放電を生起し、半導体形成用真空容器内のプラズマ生成空間を囲んでいる領域に、アモルファスシリコンからなる被膜を形成した。被膜の厚さは、高周波導入部242から最も遠い部分(最も被膜の薄い部分)で2μmになるように形成した。
【0124】
被膜の形成が終了後、高周波、被膜形成用ガスの導入を停止した。その後、半導体形成用真空容器212へガス導入管232から原料ガスを供給した。被膜形成時と同様に、半導体形成用真空容器212以外の半導体形成用真空容器にはガス導入管から200sccmのHガスを供給し、同時に不図示の各ゲートガス供給管から、各ガスゲートにゲートガスとして500sccmのHガスを供給した。この状態で真空排気系の排気能力を調整して、半導体形成用真空容器212内の圧力を所望の圧力に調整した。形成条件は表1に示す通りである。
【0125】
半導体形成用真空容器212内の圧力が安定したところで、基板送り出し容器202から基板巻き取り容器203の方向に、導電性基板204の移動を開始した。
次に、半導体形成用真空容器212内の高周波導入部242に高周波電源252より高周波を導入し、半導体形成用真空容器212内の堆積室内にグロー放電を生起し、導電性基板204上に、シリコン系薄膜を形成した(実施例1)。ここで、半導体形成用真空容器212には周波数60MHz、パワー密度400mW/cmの高周波電力を高周波導入部242から導入した。
【0126】
次に、半導体形成用真空容器212内のプラズマと接する領域を、ホーニングすることによって堆積された薄膜を除去した後に、被膜を形成しない以外は実施例1と同様の方法で、半導体形成用真空容器212内の堆積室内にグロー放電を生起し、実施例1と同様の時間保持した(比較例1)。
【0127】
実施例1の基板上には1.5μmのシリコン系薄膜が形成されたが、比較例1の基板上には、シリコン系薄膜は形成されていなかった。また、実施例1で作成したシリコン系薄膜をエックス線回折装置によりCuKα線を用いて回折ピークを測定し、全回折強度に対する(220)の回折強度の割合を調べ、さらに(220)反射の回折ピークの半値幅よりScherrer半径を求めた。その結果、全回折強度に対する(220)の回折強度の割合は90%であり、Scherrer半径は40nmであった。また実施例1で作成したシリコン系薄膜のラマン散乱スペクトルを測定し、520cm−1付近(結晶成分に起因)と480cm−1付近(アモルファスに起因)のラマン強度比を調べた結果、結晶成分に起因するラマン散乱強度は、アモルファス成分に起因するラマン散乱強度の20倍であった。
【0128】
以上のことから、実施例1の条件下では、比較例1の条件下では堆積できなかったシリコン系薄膜の堆積が可能になり、さらに実施例1で形成されたシリコン系薄膜は(220)面の配向性、結晶粒径、結晶性に優れており、本発明のシリコン系薄膜の形成方法は優れた特徴をもつことがわかる。
【0129】
(実施例2)
図2に示した堆積膜形成装置201を用い、以下の手順でシリコン系薄膜を形成した。
【0130】
実施例1と同様に、帯状の導電性基板204を作成し、堆積膜形成装置201に装着し、基板送り出し容器202、半導体形成用真空容器211、212、213、214、215、216、基板巻き取り容器203を不図示の真空ポンプからなる真空排気系により、5×10−6Torr(6.7×10−4Pa)以下まで充分に真空排気した。
【0131】
次に、真空排気系を作動させつつ、半導体形成用真空容器212へガス導入管232から被膜形成用ガスとしてSiH=30sccm、H=500sccmを供給した。
【0132】
また、半導体形成用真空容器212以外の半導体形成用真空容器にはガス導入管から200sccmのHガスを供給し、同時に不図示の各ゲートガス供給管から、各ガスゲートにゲートガスとして500sccmのHガスを供給した。この状態で真空排気系の排気能力を調整して、半導体形成用真空容器212内の圧力を200mTorr(27Pa)に調整した。
【0133】
半導体形成用真空容器212内の圧力が安定したところで、半導体形成容器212内の高周波導入部242に高周波電源252より周波数60MHz、パワー密度100mW/cmの高周波電力を導入し、半導体形成用真空容器内のプラズマ生成空間を囲んでいる領域を150℃に保持して、半導体形成用真空容器212内の堆積室内にグロー放電を生起し、半導体形成用真空容器内のプラズマ生成空間を囲んでいる領域に、アモルファスシリコンからなる被膜を形成した。被膜の厚さは、高周波導入部242から最も遠い部分(最も被膜の薄い部分)で2μmになるように形成した。
【0134】
被膜の形成が終了後、高周波、被膜形成用ガスの導入を停止した。その後、半導体形成用真空容器212へガス導入管232から原料ガスを供給した。被膜形成時と同様に、半導体形成用真空容器212以外の半導体形成用真空容器にはガス導入管から200sccmのHガスを供給し、同時に不図示の各ゲートガス供給管から、各ガスゲートにゲートガスとして500sccmのHガスを供給した。この状態で真空排気系の排気能力を調整して、半導体形成用真空容器212内の圧力を所望の圧力に調整した。形成条件は表2に示す通りである。
【0135】
半導体形成用真空容器212内の圧力が安定したところで、基板送り出し容器202から基板巻き取り容器203の方向に、導電性基板204の移動を開始した。
【0136】
次に、半導体形成用真空容器212内の高周波導入部242に高周波電源252より高周波を導入し、半導体形成用真空容器212内の堆積室内にグロー放電を生起し、導電性基板204上に、シリコン系薄膜を形成した(実施例2)。ここで、半導体形成用真空容器212には周波数60MHz、パワー密度300mW/cmの高周波電力を高周波導入部242から導入した。
【0137】
次に、半導体形成用真空容器212内のプラズマと接する領域を、ホーニングすることによって堆積された薄膜を除去した後に、被膜を形成しない以外は実施例1と同様の方法で、半導体形成用真空容器212内の堆積室内にグロー放電を生起し、実施例1と同様の時間保持した(比較例2)。
【0138】
実施例2の基板上には2.0μmのシリコン系薄膜が、比較例2の基板上には0.3μmシリコン系薄膜が形成されていた。また、実施例2と比較例2で作成したシリコン系薄膜をエックス線回折装置によりCuKα線を用いて回折ピークを測定し、全回折強度に対する(220)の回折強度の割合を調べ、さらに(220)反射の回折ピークの半値幅よりScherrer半径を求めた。また、実施例2と比較例2で作成したシリコン系薄膜のラマン散乱スペクトルを測定し、520cm−1付近(結晶成分に起因)と480cm−1付近(アモルファスに起因)のラマン強度比を調べた。以上の結果を表3に示す。
【0139】
以上のことから、実施例2の条件下では、比較例2の条件下よりも高速でシリコン系薄膜の堆積が可能になり、さらに実施例2で形成されたシリコン系薄膜は(220)面の配向性、結晶粒径、結晶性に優れており、本発明のシリコン系薄膜の形成方法は優れた特徴をもつことがわかる。
【0140】
(実施例3)
図2に示した堆積膜形成装置201を用い、以下の手順で図4に示したpin型光起電力素子を形成した。図4は本発明のシリコン系薄膜を有する光起電力素子の一例を示す模式的な断面図である。図中、図1と同様の部材には同じ符号を付して説明を省略する。この光起電力素子の半導体層は、アモルファスn型半導体層102−1Aと結晶相を含むi型半導体層102−2と微結晶p型半導体層102−3Aとからなっている。すなわち、この光起電力素子はいわゆるpin型シングルセル光起電力素子である。
【0141】
実施例1と同様に、帯状の導電性基板204を作成し、堆積膜形成装置201に装着し、基板送り出し容器202、半導体形成用真空容器211、212、213、214、215、216、基板巻き取り容器203を不図示の真空ポンプからなる真空排気系により、5×10−6Torr(6.7×10−4Pa)以下まで充分に真空排気した。
【0142】
次に、真空排気系を作動させつつ、半導体形成用真空容器212へガス導入管232から被膜形成用ガスとしてSiH=30sccm、H=500sccmを供給した。
【0143】
また、半導体形成用真空容器212以外の半導体形成用真空容器にはガス導入管から200sccmのHガスを供給し、同時に不図示の各ゲートガス供給管から、各ガスゲートにゲートガスとして500sccmのHガスを供給した。この状態で真空排気系の排気能力を調整して、半導体形成用真空容器212内の圧力を200mTorr(27Pa)に調整した。
【0144】
半導体形成用真空容器212内の圧力が安定したところで、半導体形成容器212内の高周波導入部242に高周波電源252より周波数60MHz、パワー密度100mW/cmの高周波電力を導入し、半導体形成用真空容器内のプラズマ生成空間を囲んでいる領域を150℃に保持して、半導体形成用真空容器212内の堆積室内にグロー放電を生起し、半導体形成用真空容器内のプラズマ生成空間を囲んでいる領域に、アモルファスシリコンからなる被膜を形成した。被膜の厚さは、高周波導入部242から最も遠い部分(最も被膜の薄い部分)で2μmになるように形成した。
【0145】
次に、真空排気系を作動させつつ、半導体形成用真空容器211〜213へガス導入管231〜233から原料ガス及び希釈ガスを供給した。
また、半導体形成用真空容器211〜213以外の半導体形成用真空容器にはガス導入管から200sccmのHガスを供給し、同時に不図示の各ゲートガス供給管から、各ガスゲートにゲートガスとして500sccmのHガスを供給した。この状態で真空排気系の排気能力を調整して、半導体形成用真空容器211〜213内の圧力を所望の圧力に調整した。形成条件は表4に示す通りである。
【0146】
半導体形成用真空容器211〜213内の圧力が安定したところで、基板送リ出し容器202から基板巻き取り容器203の方向に、導電性基板204の移動を開始した。
【0147】
次に、半導体形成用真空容器211〜213内の高周波導入部241〜243に高周波電源251〜253より高周波を導入し、半導体形成用真空容器211〜213内の堆積室内にグロ―放電を生起し、導電性基板204上に、アモルファスn型半導体層(膜厚30nm)、結晶相を含むi型半導体層(膜厚1.5μm)、微結晶p型半導体層(膜厚10nm)を形成し光起電力素子を形成した。ここで、半導体形成用真空容器211には周波数13.56MHz、パワー密度5mW/cmの高周波電力を高周波導入部241から、半導体形成用真空容器212には周波数60MHz、パワー密度300mW/cmの高周波電力を高周波導入部242から、半導体形成用真空容器213には周波数13.56MHz、パワー密度30mW/cmの高周波電力を高周波導入部243から導入した。次に不図示の連続モジュール化装置を用いて、形成した帯状の光起電力素子を36cm×22cmの太陽電池モジュールに加工した(実施例3)。
【0148】
次に、半導体形成用真空容器212内のプラズマと接する領域を、ホーニングすることによって堆積された薄膜を除去した後に、被膜を形成しない以外は実施例3と同様の方法で、pin型シングルセル光起電力素子を作成し、実施例3と同様の方法で太陽電池モジュールに加工した(比較例3)。このとき、比較例3でのi型半導体層形成時には、実施例3でのi型半導体層形成時よりも堆積速度が遅いため、開口長を広げて同一の膜厚になるように調整した。
【0149】
実施例3及び比較例3で作成した太陽電池モジュールの光電変換効率をソーラーシミュレーター(AM1.5、100mW/cm)を用いて測定した。実施例3の太陽電池モジュールの光電変換効率を1に規格化したときの、比較例3で作成した太陽電池モジュールの光電変換効率の値は0.85となった。
【0150】
また碁盤目テープ法(切り傷の隙間間隔1mm、ます目の数100)を用いて導電性基板と半導体層との間の密着性を調べた。またあらかじめ初期光電変換効率を測定しておいた太陽電池モジュールを、温度85℃、湿度85%の暗所に設置し30分保持、その後70分かけて温度−20℃まで下げ30分保持、再び70分かけて温度85℃m湿度85%まで戻す、このサイクルを100回繰り返した後に再度光電変換効率を測定し、温湿度試験による光電変換効率の変化を調べた。また、あらかじめ初期光電変換効率を測定しておいた太陽電池モジュールを5O℃に保持した状態で、AM1.5、100mW/cmの擬似太陽光を500時間照射した後に、再度光電変換効率を測定し、光劣化試験による光電変換効率の変化を調べた。これらの結果を表5に示す。
【0151】
以上のことより、本発明の光起電力素子を含む太陽電池モジュールは、優れた特長を持つことがわかる。
【0152】
(実施例4)
図2に示した堆積膜形成装置201を用い、以下の手順で図5に示した光起電力素子を形成した。図5は本発明のシリコン系薄膜を有する光起電力素子の一例を示す模式的な断面図である。図中、図1と同様の部材には同じ符号を付して説明を省略する。この光起電力素子の半導体層は、アモルファスn型半導体層102−1Aと、結晶相を含むi型半導体層102−2と微結晶p型半導体層102−3A、アモルファスn型半導体層102−4と、アモルファスi型半導体層102−5と微結晶p型半導体層102−6、とからなっている。すなわち、この光起電力素子はいわゆるpinpin型ダブルセル光起電力素子である。
【0153】
実施例1と同様に、帯状の導電性基板204を作成し、堆積膜形成装置201に装着し、基板送り出し容器202、半導体形成用真空容器211、212、213、214、215、216、基板巻き取り容器203を不図示の真空ポンプからなる真空排気系により、5×10−6Torr(6.7×10−4Pa)以下まで充分に真空排気した。
【0154】
次に、真空排気系を作動させつつ、半導体形成用真空容器212へガス導入管232から被膜形成用ガスとしてSiH=30sccm、H=500sccmを供給した。
【0155】
また、半導体形成用真空容器212以外の半導体形成用真空容器にはガス導入管から200sccmのHガスを供給し、同時に不図示の各ゲートガス供給管から、各ガスゲートにゲートガスとして500sccmのHガスを供給した。この状態で真空排気系の排気能力を調整して、半導体形成用真空容器212内の圧力を200mTorr(27Pa)に調整した。
【0156】
半導体形成用真空容器212内の圧力が安定したところで、半導体形成容器212内の高周波導入部242に高周波電源252より周波数60MHz、パワー密度100mW/cmの高周波電力を導入し、半導体形成用真空容器内のプラズマ生成空間を囲んでいる領域を150℃に保持して、半導体形成用真空容器212内の堆積室内にグロー放電を生起し、半導体形成用真空容器内のプラズマ生成空間を囲んでいる領域に、アモルファスシリコンからなる被膜を形成した。被膜の厚さは、高周波導入部242から最も遠い部分(最も被膜の薄い部分)で2μmになるように形成した。
【0157】
次に、真空排気系を作動させつつ、半導体形成用真空容器211〜216へガス導入管231〜236から原料ガス及び希釈ガスを供給した。
【0158】
また、不図示の各ゲートガス供給管から、各ガスゲートにゲートガスとして500sccmのHガスを供給した。この状態で真空排気系の排気能力を調整して、半導体形成用真空容器211〜216内の圧力を所望の圧力に調整した。形成条件はボトムセル、トップセルとも表6に示す通りに行なった。
【0159】
半導体形成用真空容器211〜216内の圧力が安定したところで、基板送り出し容器202から基板巻き取り容器203の方向に、導電性基板204の移動を開始した。
【0160】
次に、半導体形成用真空容器211〜216内の高周波導入部241〜246に高周波電源251〜256より高周波を導入し、半導体形成用真空容器211〜216内の堆積室内にグロー放電を生起し、導電性基板204上に、導電性基板204上にアモルファスn型半導体層(膜厚30nm)、結晶相を含むi型半導体層(膜厚2.0μm)、微結晶p型半導体層(膜厚10nm)を形成してボトムセルを作成し、さらにアモルファスn型半導体層(膜厚30nm)、アモルファスi型半導体層(膜厚0.5μm)、微結晶p型半導体層(膜厚10nm)を形成してトップセルを作成してダブルセルの光起電力素子を形成した。ここで、半導体形成用真空容器211、214には周波数13.56MHz、パワー密度5mW/cmの高周波電力を高周波導入部241、244から、半導体形成用真空容器212には周波数60MHz、パワー密度300mW/cmの高周波電力を高周波導入部242から、半導体形成用真空容器213、216には周波数13.56MHz、パワー密度30mW/cmの高周波電力を高周波導入部243、246から、半導体形成用真空容器215には周波数13.56MHz、パワー密度5mW/cmの高周波電力を高周波導入部245から導入した。次に不図示の連続モジュール化装置を用いて、形成した帯状の光起電力素子を36cm×22cmの太陽電池モジュールに加工した(実施例4)。
【0161】
次に、実施例4の太陽電池モジュールの初期光電変換効率を測定し、その後太陽電池モジュールを50℃に保持した状態で、適宜光電変換効率を測定しながら、AM1.5、100mW/cmの擬似太陽光を連続照射した。その結果、実施例4の太陽電池モジュールは、実施例3の太陽電池モジュールと比べて1.2倍の光電変換効率を示し、また、実施例4の太陽電池モジュールは、密着性、温湿度試験や光劣化試験に対する耐久性に優れており、以上のことより本発明の光起電力素子を含む太陽電池モジュールは、優れた特長を持つことが分かる。
【0162】
(実施例5)
図2に示した堆積膜形成装置201を用い、以下の手順でシリコン系薄膜を形成した。
【0163】
実施例1と同様に、帯状の導電性基板204を作成し、堆積膜形成装置201に装着し、基板送り出し容器202、半導体形成用真空容器211、212、213、214、215、216、基板巻き取り容器203を不図示の真空ポンプからなる真空排気系により、5×10−6Torr(6.7×10−4Pa)以下まで充分に真空排気した。
【0164】
次に、真空排気系を作動させつつ、半導体形成用真空容器212へガス導入管232から被膜形成用ガスとしてSiH=30sccm、H=500sccmを供給した。
【0165】
また、半導体形成用真空容器212以外の半導体形成用真空容器にはガス導入管から200sccmのHガスを供給し、同時に不図示の各ゲートガス供給管から、各ガスゲートにゲートガスとして500sccmのHガスを供給した。この状態で真空排気系の排気能力を調整して、半導体形成用真空容器212内の圧力を200mTorr(27Pa)に調整した。
【0166】
半導体形成用真空容器212内の圧力が安定したところで、半導体形成容器212内の高周波導入部242に高周波電源252より周波数2.45GHz、パワー密度100mW/cmの高周波電力を導入し、半導体形成用真空容器内のプラズマ生成空間を囲んでいる領域を150℃に保持して、半導体形成用真空容器212内の堆積室内にグロー放電を生起し、半導体形成用真空容器内のプラズマ生成空間を囲んでいる領域に、アモルファスシリコンからなる被膜を形成した。被膜の厚さは、高周波導入部242から最も遠い部分(最も被膜の薄い部分)で2μmになるように形成した。
【0167】
被膜の形成が終了後、高周波、被膜形成用ガスの導入を停止した。その後、半導体形成用真空容器212へガス導入管232から原料ガスを供給した。被膜形成時と同様に、半導体形成用真空容器212以外の半導体形成用真空容器にはガス導入管から20OsccmのHガスを供給し、同時に不図示の各ゲートガス供給管から、各ガスゲートにゲートガスとして500sccmのHガスを供給した。この状態で真空排気系の排気能力を調整して、半導体形成用真空容器212内の圧力を所望の圧力(実施例5−1の圧力である30mTorr(4Pa))に調整した。形成条件は表7に示す通りである。
【0168】
半導体形成用真空容器212内の圧力が安定したところで、基板送り出し容器202から基板巻き取り容器203の方向に、導電性基板204の移動を開始した。
【0169】
次に、半導体形成用真空容器212内の高周波導入部242に高周波電源252より高周波を導入し、半導体形成用真空容器212内の堆積室内にグロー放電を生起し、導電性基板204上に、シリコン系薄膜を形成した(実施例5−1)。ここで、半導体形成用真空容器212には周波数60MHz、パワー密度500mW/cmの高周波電力を高周波導入部242から導入した。同様に、圧力を表7のように変化させながらシリコン系薄膜を形成した(実施例5−2、5−3、5−4)。
【0170】
実施例5−1、5−2、5−3、5−4で作成したシリコン系薄膜をエックス線回折装置によりCuKα線を用いて回折ピークを測定し、全回折強度に対する(220)の回折強度の割合を調べ、さらに(220)反射の回折ピークの半値幅よりScherrer半径を求めた。ラマン散乱スペクトルを測定し、520cm−1付近(結晶成分に起因)と480cm−1付近(アモルファスに起因)のラマン強度比を調べた。以上の結果を表8に示す。
【0171】
実施例5−1、5−2、5−3、5−4で作成したシリコン系薄膜は、配向性、結晶粒径、結晶性に優れていたが、とくに50mTorr(6.7Pa)以上の圧力で形成したシリコン系薄膜は(220)の回折強度の割合が大きく、結晶性が良好であり、750mTorr(100Pa)以上ではさらに結晶粒軽が大きかった。
【0172】
(実施例6)
図7に示した堆積膜形成装置201を用い、以下の手順でシリコン系薄膜を形成した。
【0173】
図7は、本発明のシリコン系薄膜及び光起電力素子を製造する堆積膜形成装置の一例を示す模式的な断面図である。図7に示す堆積膜形成装置201は、基板送り出し容器202、半導体形成用真空容器211〜216、基板巻き取り容器203が、ガスゲート221〜227を介して結合することによって構成されている。この堆積膜形成装置201には、各容器及び各ガスゲートを貫いて帯状の導電性基板204がセットされる。帯状の導電性基板204は、基板送り出し容器202に設置されたボビンから巻き出され、基板巻き取り容器203で別のボビンに巻き取られる。
【0174】
半導体形成用真空容器211〜216は、それぞれ堆積室を有しており、該放電室内の高周波導入部241〜246に高周波電源251〜256から高周波電力を印加することによってグロー放電を生起させ、それによって原料ガスを分解し導電性基板204上に半導体層を堆積させる。また、各半導体形成用真空容器211〜216には、原料ガスや希釈ガスを導入するためのガス導入管231〜236が接続されている。
【0175】
図7に示した堆積膜形成装置201は、半導体形成用真空容器を6個具備しているが、以下の実施例においては、すべての半導体形成用真空容器でグロー放電を生起させる必要はなく、製造する光起電力素子の層構成にあわせて各容器でのグロー放電の有無を選択することができる。また、各半導体形成用真空容器には、各堆積室内での導電性基板204と放電空間との接触面積を調整するための、不図示の成膜領域調整板が設けられており、これを調整することによって各容器で形成される各半導体膜の膜厚を調整することができるようになっている。
【0176】
まず、ステンレス(SUS430BA)からなる帯状の基体(幅40cm、長さ200m、厚さ0.125mm)を十分に脱脂、洗浄し、不図示の連続スパッタリング装置に装着し、Ag電極をターゲットとして、厚さ100nmのAg薄膜をスパッタ蒸着させた。さらにZnOターゲットを用いて、厚さ1.2μmのZnO薄膜をAg薄膜の上にスパッタ蒸着し、帯状の導電性基板204を形成した。
【0177】
次に基板送り出し容器202に、導電性基板204を巻いたボビンを装着し、導電性基板204を搬入側のガスゲート、半導体形成用真空容器211、212、213、214、215、216、搬出側のガスゲートを介し、基板巻き取り容器203まで通し、帯状の導電性基板204がたるまないように張力調整を行った。このとき半導体形成容器212内の堆積室底面に(100)の配向面を持った、ノンドープの単結晶シリコンウエハを載置させた。そして、基板送り出し容器202、半導体形成用真空容器211、212、213、214、215、216、基板巻き取り容器203を不図示の真空ポンプからなる真空排気系により、6.7×10−4Pa(5×10−6Torr)以下まで充分に真空排気した。
【0178】
次に、真空排気系を作動させつつ、半導体形成用真空容器212へガス導入管232から原料ガスを供給した。ここで半導体形成用真空容器212以外の半導体形成用真空容器にはガス導入管から200cm/min(normal)のHガスを供給し、同時に不図示の各ゲートガス供給管から、各ガスゲートにゲートガスとして500cm/min(normal)のHガスを供給した。この状態で真空排気系の排気能力を調整して、半導体形成用真空容器212内の圧力を所望の圧力に調整した。形成条件は表9に示す通りである。
【0179】
半導体形成用真空容器212内の圧力が安定したところで、基板送り出し容器202から基板巻き取り容器203の方向に、導電性基板204の移動を開始した。
【0180】
次に、半導体形成用真空容器212内の高周波導入部242に高周波電源252より高周波を導入し、半導体形成用真空容器212内の堆積室内にグロー放電を生起し、導電性基板204上に、シリコン系薄膜を形成した(実施例6)。ここで、半導体形成用真空容器212には周波数60MHz、パワー密度500mW/cmの高周波電力を高周波導入部242から導入した。
【0181】
次に、半導体形成容器212内の堆積室底面に単結晶シリコンウエハを載置させなかったこと以外は実施例6と同様の方法で、半導体形成用真空容器212内の堆積室内にグロー放電を生起し、実施例6と同様の時間保持した(比較例4)。
実施例6の基板上には1.5μmのシリコン系薄膜が形成されたが、比較例4の基板上には、シリコン系薄膜は形成されていなかった。また、実施例6で作成したシリコン系薄膜をエックス線回折装置によりCuKα線を用いて回折ピークを測定し、全回折強度に対する(220)の回折強度の割合を調べ、さらに(220)反射の回折ピークの半値幅よりScherrer半径を求めた。その結果、全回折強度に対する(220)の回折強度の割合は90%であり、Scherrer半径は45nmであった。また実施例6で作成したシリコン系薄膜のラマン散乱スペクトルを測定し、520cm−1付近(結晶成分に起因)と480cm−1付近(アモルファスに起因)のラマン強度比を調べた結果、結晶成分に起因するラマン散乱強度は、アモルファス成分に起因するラマン散乱強度の15倍であった。
【0182】
以上のことから、実施例6の条件下では、比較例4の条件下では堆積できなかったシリコン系薄膜の堆積が可能になり、さらに実施例6で形成されたシリコン系薄膜は配向性、結晶粒径、結晶性に優れており、本発明のシリコン系薄膜の形成方法は優れた特徴をもつことがわかる。
【0183】
(実施例7)
図7に示した堆積膜形成装置201を用い、以下の手順でシリコン系薄膜を形成した。
【0184】
実施例6と同様に、帯状の導電性基板204を作成し、堆積膜形成装置201に装着し、基板送り出し容器202、半導体形成用真空容器211、212、213、214、215、216、基板巻き取り容器203を不図示の真空ポンプからなる真空排気系により、6.7×10−4Pa(5×10−6Torr)以下まで充分に真空排気した。このとき半導体形成容器212内の堆積室底面に直径20mmのアルミニウム製の棒に高周波プラズマCVD法によりアモルファスシリコンを2μm堆積させものを、その長手方向が帯状の導電性基板の搬送方向に垂直なるようにして載置した。
【0185】
ここで、アルミニウム製の棒に堆積したアモルファスシリコンは、事前に半導体形成用真空容器215内で形成したものを半導体形成容器212内に載置したものである。前記アモルファスシリコンの形成は、半導体形成用真空容器215へガス導入管235からSiH=30sccm、H=500sccmを供給し、半導体形成用真空容器215内の圧力を25Paとし、半導体形成容器215内の高周波導入部245に高周波電源255より周波数2.45GHz、パワー密度100mW/cmの高周波電力を導入し、アルミニウム製の棒の温度を150℃に保持して、半導体形成用真空容器215内の堆積室内にグロー放電を生起して行なったものである。
【0186】
次に、真空排気系を作動させつつ、半導体形成用真空容器212へガス導入管232から原料ガスを供給した。ここで半導体形成用真空容器212以外の半導体形成用真空容器にはガス導入管から200cm/min(normal)のHガスを供給し、同時に不図示の各ゲートガス供給管から、各ガスゲートにゲートガスとして500cm/min(normal)のHガスを供給した。この状態で真空排気系の排気能力を調整して、半導体形成用真空容器212内の圧力を所望の圧力に調整した。形成条件は表10に示す通りである。
【0187】
半導体形成用真空容器212内の圧力が安定したところで、基板送り出し容器202から基板巻き取り容器203の方向に、導電性基板204の移動を開始した。
次に、半導体形成用真空容器212内の高周波導入部242に高周波電源252より高周波を導入し、半導体形成用真空容器212内の堆積室内にグロー放電を生起し、導電性基板204上に、シリコン系薄膜を形成した(実施例7)。ここで、半導体形成用真空容器212には周波数100MHz、パワー密度400mW/cmの高周波電力を高周波導入部242から導入した。
【0188】
次に、半導体形成容器212内の堆積室底面に直径20mmのアルミニウム製の棒にアモルファスシリコンを2μm堆積させもの載置させなかったこと以外は実施例7と同様の方法で、半導体形成用真空容器212内の堆積室内にグロー放電を生起し、実施例7と同様の時間保持した(比較例5)。
【0189】
実施例7の基板上には1.5μmのシリコン系薄膜が形成されたが、比較例5の基板上には、シリコン系薄膜は形成されていなかった。また、実施例7で作成したシリコン系薄膜をエックス線回折装置によりCuKα線を用いて回折ピークを測定し、全回折強度に対する(220)の回折強度の割合を調べ、さらに(220)反射の回折ピークの半値幅よりScherrer半径を求めた。その結果、全回折強度に対する(220)の回折強度の割合は85%であり、Scherrer半径は40nmであった。また実施例6で作成したシリコン系薄膜のラマン散乱スぺクトルを測定し、520cm−1付近(結晶成分に起因)と480cm−1付近(アモルファスに起因)のラマン強度比を調べた結果、結晶成分に起因するラマン散乱強度は、アモルファス成分に起因するラマン散乱強度の14倍であった。
【0190】
以上のことから、実施例7の条件下では、比較例5の条件下では堆積できなかったシリコン系薄膜の堆積が可能になり、さらに実施例6で形成されたシリコン系薄膜は配向性、結晶粒径、結晶性に優れており、本発明のシリコン系薄膜の形成方法は優れた特徴をもつことがわかる。
【0191】
(実施例8)
図7に示した堆積膜形成装置201を用い、以下の手順でシリコン系薄膜を形成した。
【0192】
実施例6と同様に、帯状の導電性基板204を作成し、堆積膜形成装置201に装着し、基板送り出し容器202、半導体形成用真空容器211、212、213、214、215、216、基板巻き取り容器203を不図示の真空ポンプからなる真空排気系により、6.7×10−4Pa(5×10−6Torr)以下まで充分に真空排気した。このとき半導体形成容器212内の堆積室内の高周波導入部242上に、シリコン粒を溶融固化して形成したシリコン板を載置した。
【0193】
ここで、前記シリコン板の形成は図11に示すように以下の方法で行なった。
【0194】
120℃に加熱した塩酸/過酸化水素水混合溶液に、粉末状の金属級シリコン602(純度98%)を通して不純物を浸出させたあと、洗浄、乾燥してから図11(a)に示すようにカーボングラファイト製の鋳型601の溝に充填した。このとき鋳型601の溝の内面には、あらかじめSi粉末を分散させたシラノール溶液を塗布し、400℃の熱処理をして剥離用被膜を形成しておいた。
【0195】
電気炉に鋳型を投入し、シリコンの融点よりも高い一定温度である1500℃に保持した。20分経過したところで、−10℃/minの降温速度で除冷して固化させることによりシート状のシリコン板603を形成した。
【0196】
作成したシリコン板603を、図11(d)に示すようなカーボンボート605内に載置した。次に錫からなる金属溶媒606をシリコン板603上に接触させて電気炉内に入れた。電気炉内を1050℃に保持し、シリコン板603の表面層を、錫溶媒中に溶解させた。シリコンが錫溶媒中に充分飽和したところで、電気炉を制御して温度を−5℃/minの速度で下げ、溶媒中のシリコンをシリコン板603上に再析出させ、析出層604を形成した。1時間析出させたあと、ボート605をスライドさせて錫溶媒を取り除いた。形成したシリコン板603は、無配向の結晶性のシリコン板であった。
【0197】
次に、真空排気系を作動させつつ、半導体形成用真空容器212へガス導入管232から原料ガスを供給した。ここで半導体形成用真空容器212以外の半導体形成用真空容器にはガス導入管から200cm/min(normal)のHガスを供給し、同時に不図示の各ゲートガス供給管から、各ガスゲートにゲートガスとして500cm/min(normal)のHガスを供給した。この状態で真空排気系の排気能力を調整して、半導体形成用真空容器212内の圧力を所望の圧力に調整した。形成条件は表11に示す通りである。
【0198】
半導体形成用真空容器212内の圧力が安定したところで、基板送り出し容器202から基板巻き取り容器203の方向に、導電性基板204の移動を開始した。
【0199】
次に、半導体形成用真空容器212内の高周波導入部242に高周波電源252より高周波を導入し、半導体形成用真空容器212内の堆積室内にグロー放電を生起し、導電性基板204上に、シリコン系薄膜を形成した(実施例8)。ここで、半導体形成用真空容器212には周波数100MHz、パワー密度400mW/cmの高周波電力を高周波導入部242から導入した。
【0200】
次に、半導体形成容器212内の堆積室底面にシリコン粒を溶融固化して形成したシリコン板を載置させなかったこと以外は実施例8と同様の方法で、半導体形成用真空容器212内の堆積室内にグロー放電を生起し、実施例8と同様の時間保持した。
【0201】
(比較例6)
実施例8の基板上にはほぼ全面に均一に2.0μmのシリコン系薄膜が、比較例6の基板上には0.2〜1.0μmの範囲の不均一な膜厚のシリコン系薄膜が形成されていた。また、実施例8と比較例6(膜厚が1.0μmの領域)で作成したシリコン系薄膜をエックス線回折装置によりCuKα線を用いて回折ピークを測定し、全回折強度に対する(220)の回折強度の割合を調べ、さらに(220)反射の回折ピークの半値幅よりScherrer半径を求めた。また、実施例8と比較例6で作成したシリコン系薄膜のラマン散乱スペクトルを測定し、520cm−1付近(結晶成分に起因)と480cm−1付近(アモルファスに起因)のラマン強度比を調べた。以上の結果を表12に示す。
【0202】
以上のことから、実施例8の条件下では、比較例6の条件下よりも高速でかつ均一な膜厚でシリコン系薄膜の堆積が可能になり、さらに実施例8で形成されたシリコン系薄膜は配向性、結晶粒径、結晶性に優れており、本発明のシリコン系薄膜の形成方法は優れた特徴をもつことがわかる。
【0203】
(実施例9)
図7に示した堆積膜形成装置201を用い、以下の手順で図9に示したpin型光起電力素子を形成した。図9は本発明のシリコン系薄膜を有する光起電力素子の一例粗示す模式的な断面図である。図中、図6と同様の部材には同じ符号を付して説明を省略する。この光起電力素子の半導体層は、アモルファスn型半導体層1102−1Aと結晶相を含むi型半導体層1102−2と微結晶p型半導体層1102−3Aとからなっている。すなわち、この光起電力素子はいわゆるpin型シングルセル光起電力素子である。
【0204】
実施例6と同様に、帯状の導電性基板204を作成し、堆積膜形成装置201に装着し、基板送り出し容器202、半導体形成用真空容器211、212、213、214、215、216、基板巻き取り容器203を不図示の真空ポンプからなる真空排気系により、6.7×10−4Pa(5×10−6Torr)以下まで充分に真空排気した。このとき半導体形成容器212内の堆積室底面に単結晶シリコンウエハを載置させた。
【0205】
次に、真空排気系を作動させつつ、半導体形成用真空容器211〜213へガス導入管231〜233から原料ガス及び希釈ガスを供給した。
【0206】
また、半導体形成用真空容器211〜213以外の半導体形成用真空容器にはガス導入管から200sccmのHガスを供給し、同時に不図示の各ゲートガス供給管から、各ガスゲートにゲートガスとして500sccmのHガスを供給した。この状態で真空排気系の排気能力を調整して、半導体形成用真空容器211〜213内の圧力を所望の圧力に調整した。形成条件は表13に示す通りである。
【0207】
半導体形成用真空容器211〜213内の圧力が安定したところで、基板送り出し容器202から基板巻き取り容器203の方向に、導電性基板204の移動を開始した。
【0208】
次に、半導体形成用真空容器211〜213内の高周波導入部241〜243に高周波電源251〜253より高周波を導入し、半導体形成用真空容器211〜213内の堆積室内にグロー放電を生起し、導電性基板204上に、アモルファスn型半導体層(膜厚30nm)、結晶相を含むi型半導体層(膜厚1.5μm)、微結晶p型半導体層(膜厚10nm)を形成し光起電力素子を形成した。
【0209】
ここで、半導体形成用真空容器211には周波数13.56MHz、パワー密度5mW/cmの高周波電力を高周波導入部241から、半導体形成用真空容器212には周波数60MHz、パワー密度500mW/cmの高周波電力を高周波導入部242から、半導体形成用真空容器213には周波数13.56MHz、パワー密度30mW/cmの高周波電力を高周波導入部243から導入した。次に不図示の連続モジュール化装置を用いて、形成した帯状の光起電力素子を36cm×22cmの太陽電池モジュールに加工した(実施例9)。
【0210】
次に、半導体形成容器212内の堆積室底面に単結晶シリコンウエハを載置させなかったこと以外は実施例9と同様の方法で、pin型シングルセル光起電力素子を作成し、実施例9と同様の方法で太陽電池モジュールに加工した(比較例7)。このとき、比較例7でのi型半導体層形成時には、実施例9でのi型半導体層形成時よりも堆積速度が遅いため、開口長を広げて同一の膜厚になるように調整した。
【0211】
実施例9及び比較例7で作成した太陽電池モジュールの光電変換効率をソーラーシミュレーター(AM1.5、100mW/cm)を用いて測定した。実施例9の太陽電池モジュールの光電変換効率を1に規格化したときの、比較例7で作成した太陽電池モジュールの光電変換効率の値は0.88となった。
また碁盤目テープ法(切り傷の隙間間隔1mm、ます目の数100)を用いて導電性基板と半導体層との間の密着性を調べた。またあらかじめ初期光電変換効率を測定しておいた太陽電池モジュールを、温度85℃、湿度85%の暗所に設置し30分保持、その後70分かけて温度−20℃まで下げ30分保持、再び70分かけて温度85℃m湿度85%まで戻す、このサイクルを100回繰り返した後に再度光電変換効率を測定し、温湿度試験による光電変換効率の変化を調べた。また、あらかじめ初期光電変換効率を測定しておいた太陽電池モジュールを50℃に保持した状態で、AM1.5、100mW/cmの擬似太陽光を500時間照射した後に、再度光電変換効率を測定し、光劣化試験による光電変換効率の変化を調べた。これらの結果を表14に示す。
【0212】
以上のことより、本発明の光起電力素子を含む太陽電池モジュールは、優れた特長をもつことがわかる。
【0213】
(実施例10)
図7に示した堆積膜形成装置201を用い、以下の手順で図10に示した光起電力素子を形成した。図10は本発明のシリコン系薄膜を有する光起電力素子の一例粗示す模式的な断面図である。図中、図6と同様の部材には同じ符号を付して説明を省略する。この光起電力素子の半導体層は、アモルファスn型半導体層1102−1Aと、結晶相を含むi型半導体層1102−2と微結晶p型半導体層1102−3A、アモルファスn型半導体層1102−4と、アモルファスi型半導体層1102−5と微結晶p型半導体層1102−6、とからなっている。すなわち、この光起電力素子はいわゆるpinpin型ダブルセル光起電力素子である。
【0214】
実施例6と同様に、帯状の導電性基板204を作成し、堆積膜形成装置201に装着し、基板送り出し容器202、半導体形成用真空容器211、212、213、214、215、216、基板巻き取り容器203を不図示の真空ポンプからなる真空排気系により、6.7×10−4Pa(5×10−6Torr)以下まで充分に真空排気した。
【0215】
次に、真空排気系を作動させつつ、半導体形成用真空容器211〜216へガス導入管231〜236から原料ガス及び希釈ガスを供給した。
【0216】
また、不図示の各ゲートガス供給管から、各ガスゲートにゲートガスとして500sccmのHガスを供給した。この状態で真空排気系の排気能力を調整して、半導体形成用真空容器211〜216内の圧力を所望の圧力に調整した。形成条件はボトムセル、トップセルとも表15に示す通りに行なった。
半導体形成用真空容器211〜216内の圧力が安定したところで、基板送り出し容器202から基板巻き取り容器203の方向に、導電性基板204の移動を開始した。
【0217】
次に、半導体形成用真空容器211〜216内の高周波導入部241〜246に高周波電源251〜256より高周波を導入し、半導体形成用真空容器211〜216内の堆積室内にグロー放電を生起し、導電性基板204上に、導電性基板204上にアモルファスn型半導体層(膜厚30nm)、結晶相を含むi型半導体層(膜厚2.0μm)、微結晶p型半導体層(膜厚10nm)を形成してボトムセルを作成し、さらにアモルファスn型半導体層(膜厚30nm)、アモルファスi型半導体層(膜厚0.5μm)、微結晶p型半導体層(膜厚10nm)を形成してトップセルを作成してダブルセルの光起電力素子を形成した。
【0218】
ここで、半導体形成用真空容器211、214には周波数13.56MHz、パワー密度5mW/cmの高周波電力を高周波導入部241、244から、半導体形成用真空容器212には周波数60MHz、パワー密度500mW/cmの高周波電力を高周波導入部242から、半導体形成用真空容器213、216には周波数13.56MHz、パワー密度30mW/cmの高周波電力を高周波導入部243、246から、半導体形成用真空容器215には周波数13.56MHz、パワー密度5mW/cmの高周波電力を高周波導入部245から導入した。次に不図示の連続モジュール化装置を用いて、形成した帯状の光起電力素子を36cm×22cmの太陽電池モジュールに加工した(実施例10)。
【0219】
次に、実施例10の太陽電池モジュールの初期光電変換効率を測定し、その後太陽電池モジュールを50℃に保持した状態で、適宜光電変換効率を測定しながら、AM1.5、100mW/cmの擬似太陽光を連続照射した。その結果、実施例10の太陽電池モジュールは、実施例9の太陽電池モジュールと比べて1.2倍の光電変換効率を示し、また、実施例10の太陽電池モジュールは、密着性、温湿度試験や光劣化試験に対する耐久性に優れており、以上のことより本発明の光起電力素子を含む太陽電池モジュールは、優れた特長を持つことが分かる。
【0220】
【発明の効果】
本発明者は、「その内部の少なくとも一部がシリコンを含む固体により覆われた真空容器の内部に、ハロゲン化シリコン及び水素を含む原料ガスを導入し、
真空容器内部の空間にプラズマを生起させ、
真空容器の内部に備えられた基板の上に、シリコン系膜を形成すること」により、
さらに好ましくは、「シリコンを含む固体は、真空容器内のプラズマ生成空間を囲む領域に形成された被膜であって、真空容器より抵抗率の高い被膜であること」により、
さらに好ましくは、「真空容器内に原料ガスを導入する前に、シリコン含有ガスを主成分とするガスを導入し、
真空容器内部の空間にプラズマを生起させ、
プラズマCVD法により被膜を形成させること」により、
さらに好ましくは、「シリコン系膜は、Scherrer半径が10nm以上の結晶粒径の微結晶を含むこと」により、結晶化度及び結晶性のすぐれた、下地層との密着性も良好なシリコン系薄膜を、高速で成膜することが可能であり、前記シリコン系薄膜を基板上に少なくとも一組のpin接合からなる半導体層を含んだ光起電力素子の少なくとも一つのi型半導体層の少なくとも一部に用いることにより、良好な光電変換効率をもち、密着性、耐環境性に優れた光起電力素子を、低コストで形成することが可能になったことを見出した。
【0221】
さらに、本発明者は、「その内部の少なくとも一部がシリコンを含む固体により覆われた真空容器の内部に、ハロゲン化シリコン及び水素を含む原料ガスを導入し、
真空容器内部の空間にプラズマを生起させ、
真空容器の内部に備えられた基板の上に、シリコン系膜を形成すること」により、
さらに好ましくは、「シリコンを含む固体は、少なくとも表面がシリコンからなる部材であること」により、
さらに好ましくは、「この部材が、板状シリコン、シリコン粒、表面の少なくとも一部にシリコン膜を被覆した固体のうちの少なくとも一つから選ばれたものであること」により、結晶化度及び結晶性がすぐれ、下地層との密着性も良好なシリコン系薄膜を、高速で成膜することが可能であり、特に大面積のシリコン系薄膜を形成する際にも均一なシリコン系薄膜の形成が可能であり、前記シリコン系薄膜を基板上に少なくとも一組のpin接合からなる半導体層を含んだ光起電力素子の少なくとも一つのi型半導体層の少なくとも一部に用いることにより、良好な光電変換効率をもち、密着性、耐環境性に優れた光起電力素子を、低コストで形成することが可能になったことを見出した。
【表1】
Figure 0004343482
【表2】
Figure 0004343482
【表3】
Figure 0004343482
【表4】
Figure 0004343482
【表5】
Figure 0004343482
初期光電変換効率、碁盤目テープによる生存碁盤目数は実施例3の値を1に規格化した値。
【表6】
Figure 0004343482
【表7】
Figure 0004343482
【表8】
Figure 0004343482
全回折強度に対する(220)の回折強度の割合、(220)のScherrer半径、ラマン強度比は、実施例5−1の値を1に規格化した値。
【表9】
Figure 0004343482
【表10】
Figure 0004343482
【表11】
Figure 0004343482
【表12】
Figure 0004343482
全回折強度に対する(220)の回折強度の割合、(220)のScherrer半径、ラマン強度比は、実施例8の値を1に規格化した値。
【表13】
Figure 0004343482
【表14】
Figure 0004343482
初期光電変換効率、碁盤目テープによる生存碁盤目数は実施例9の値を1に規格化した値。
【表15】
Figure 0004343482

【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の光起電力素子の一例を示す模式的な断面図
【図2】本発明のシリコン系薄膜及び光起電力素子を製造する堆積膜形成装置の一例を示す模式的な断面図
【図3】本発明の半導体層の一例を示す模式的な断面図
【図4】本発明のシリコン系薄膜を含む光起電力素子の一例を示す模式的な断面図
【図5】本発明のシリコン系薄膜を含む光起電力素子の一例を示す模式的な断面図
【図6】本発明の光起電力素子の一例を示す模式的な断面図
【図7】本発明のシリコン系薄膜及び光起電力素子を製造する堆積膜形成装置の一例を示す模式的な断面図
【図8】本発明の半導体層の一例を示す模式的な断面図
【図9】本発明のシリコン系薄膜を含む光起電力素子の一例を示す模式的な断面図
【図10】本発明のシリコン系薄膜を含む光起電力素子の一例を示す模式的な断面図
【図11】シリコン板の形成方法の一例を示す模式的な断面図
【図12】真空容器内に表面がシリコンからなる棒状部材を配置した装置の断面を示した模式図である。
【図13】表面がシリコンからなる部材を、前記高周波導入部上に載置した一例を示す模式図である。
【符号の説明】
101 基板
101−1 基体
101−2 金属層
101−3 透明導電層
102 半導体層
102−1 第一の導電型を示す半導体層
102−1A アモルファスn型半導体層
102−2 結晶相を含むi型半導体層
102−3 第二の導電型を示す半導体層
102−3A 微結晶p型半導体層
102−4 アモルファスn型半導体層
102−5 アモルファスi型半導体層
102−6 微結晶p型半導体層
103 透明電極
104 集電電極
201 堆積膜形成装置
202 基板送り出し容器
203 基板巻き取り容器
204 導電性基板
211〜216 半導体形成用真空容器
221〜227 ガスゲート
231〜236 ガス導入管
241〜246 高周波導入部
251〜256 高周波電源
601 鋳型
602 金属級シリコン
603 シリコン板
604 析出層
605 ボート
606 金属溶媒
1101 基板
1101−1 基体
1101−2 金属層
1101−3 透明導電層
1102 半導体層
1102−1 第一の導電型を示す半導体層
1102−1A アモルファスn型半導体層
1102−2 結晶相を含むi型半導体層
1102−3 第二の導電型を示す半導体層
1102−3A 微結晶p型半導体層
1102−4 アモルファスn型半導体層
1102−5 アモルファスi型半導体層
1102−6 微結晶p型半導体層
1103 透明電極
1104 集電電極

Claims (17)

  1. 真空容器の内部にハロゲン化シリコン及び水素を含む原料ガスを導入し、
    前記真空容器内部の空間にプラズマを生起させ、
    前記真空容器の内部に備えられた基板の上に、シリコン系膜を形成するプラズマCVD法によるシリコン系薄膜の形成方法であって、
    前記真空容器内部の少なくとも一部が、前記真空容器の抵抗率よりも高く、かつ、前記シリコン系膜の抵抗率よりも高いシリコンを含む被膜により覆われた状態で前記シリコン系薄膜の形成を行い、
    前記プラズマは、前記前記真空容器内部が前記被膜により覆われていない状態ではエッチング反応が優先的なプラズマであることを特徴とするシリコン系膜の形成方法。
  2. 前記被膜は、
    前記真空容器内に前記原料ガスを導入する前に、シリコン含有ガスを主成分とするガスを導入し、
    前記真空容器内部の空間にプラズマを生起させ、プラズマCVD法により形成されることを特徴とする請求項1に記載のシリコン系膜の形成方法。
  3. 前記シリコン系膜は、Scherrer半径が10nm以上の結晶粒径の微結晶を含むことを特徴とする請求項1に記載のシリコン系膜の形成方法。
  4. 前記真空容器よりも抵抗率の高い被膜をあらかじめ形成してからシリコン系薄膜を形成したときの前記シリコン系膜の成膜速度が、前記被膜を形成せずにシリコン系膜を形成したときの前記シリコン系膜の成膜速度の3倍以上であることを特徴とする請求項1に記載のシリコン系膜の形成方法。
  5. 前記真空容器よりも抵抗率の高い被膜が、シリコンであることを特徴とする請求項1に記載のシリコン系膜の形成方法。
  6. 前記シリコン含有ガスを主成分とするガスが、ハロゲン化シリコンガスを含まないことを特徴とする請求項2に記載のシリコン系膜の形成方法。
  7. 前記ハロゲン化シリコンが、フッ素原子、塩素原子の少なくとも一つを含むことを特徴とする請求項1に記載のシリコン系膜の形成方法。
  8. 前記シリコン系膜の結晶成分に起因するラマン散乱強度が、アモルファス成分に起因するラマン散乱強度の3倍以上であることを特徴とする請求項1に記載のシリコン系膜の形成方法。
  9. 前記シリコン系膜のエックス線又は電子線回折による(220)の回折強度の割合が、全回折強度に対して50%以上であることを特徴とする請求項1に記載のシリコン系膜の形成方法。
  10. 前記シリコン系薄膜を形成するときの、前記真空容器内の圧力が、50mTorr以上であることを特徴とする請求項1に記載のシリコン系膜の形成方法。
  11. 真空容器の内部にハロゲン化シリコン及び水素を含む原料ガスを導入し、
    前記真空容器内部の空間にプラズマを生起させ、
    前記真空容器の内部に備えられた基板の上に、シリコン系膜を形成するプラズマCVD法によるシリコン系薄膜の形成方法であって、
    前記真空容器内部において、板状シリコンの存在下で、前記シリコン形膜の形成を行い、
    前記プラズマは、前記真空容器内部に前記板状シリコンが存在しない状態ではエッチング反応が優先的なプラズマであることを特徴とするシリコン系膜の形成方法。
  12. 前記基板と、前記真空容器内に設けられた高周波導入部が相対した位置関係にあることを特徴とする請求項11に記載のシリコン系膜の形成方法。
  13. 前記部材が、前記高周波導入部に接して載置されていることを特徴とする請求項11に記載のシリコン系膜の形成方法。
  14. 前記ハロゲン化シリコンがフッ素原子、塩素原子の少なくとも一つを含むことを特徴とする請求項11に記載のシリコン系膜の形成方法。
  15. 前記シリコン系膜が、Scherrer半径が20nm以上の結晶粒径の微結晶を含むことを特徴とする請求項11に記載のシリコン系膜の形成方法。
  16. 前記シリコン系膜の結晶成分に起因するラマン散乱強度が、アモルファス成分に起因するラマン散乱強度の3倍以上であることを特徴とする請求項11に記載のシリコン系膜の形成方法。
  17. 前記シリコン系膜のエックス線又は電子線回折による(220)の回折強度の割合が、全回折強度に対して70%以上であることを特徴とする請求項11に記載のシリコン系膜の形成方法。
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