JP2002299345A - シリコン単結晶ウェーハ及びその製造方法 - Google Patents

シリコン単結晶ウェーハ及びその製造方法

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(57)【要約】 【課題】 n/n+ウェーハにおいても酸素析出物によ
るゲッタリング能力を持たせることのできるシリコン単
結晶ウェーハ、その製造方法、及びそのシリコン単結晶
ウェーハを用いたエピタキシャルウェーハを提供する。 【解決手段】 チョクラルスキー法により引き上げられ
たシリコン単結晶棒をウェーハに加工して得られたシリ
コン単結晶ウェーハであって、5族元素と3族元素の電
気的活性不純物を2種以上含有し、そのうち少なくとも
3族元素の不純物濃度が1×1018cm-3以上であるよ
うにした。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、チョクラルスキー
法 (CZ法) によってシリコン単結晶を引き上げ、こ
のシリコン単結晶をウェーハに加工して得られる半導体
デバイス用シリコン単結晶ウェーハ(基板)、その製造
方法及びそのシリコン単結晶ウェーハを用いたエピタキ
シャルウェーハに関する。
【0002】
【関連技術】半導体集積回路等のデバイスを作成するた
めのウェーハとしては、主にCZ法によって育成され
た、シリコン単結晶ウェーハが用いられている。このシ
リコン単結晶ウェーハとしてはICやLSIといった電
子デバイスに応じて、p型、n型という電気抵抗率の区
分がある。
【0003】そのためp型ウェーハを得るには3族の元
素、例えばホウ素、アルミニウム、ガリウムを電気的不
純物として添加し、抵抗率を制御する。またn型の場合
には5族の元素、例えば燐、アンチモン、ヒ素を適当に
添加し、その抵抗率を制御している。
【0004】特に最近では、抵抗率が20mΩcm以下
の低抵抗率ウェーハを基板とし、その上に同じ伝導型の
エピタキシャルシリコン層を堆積させて、電気デバイス
の作製を行うことも多い。例えば高濃度ホウ素を添加
し、20mΩcm以下の抵抗率であるp型ウェーハを基
板とし(p+基板)、その基板上にエピタキシャル層と
して10Ωcm程度の抵抗率を得るようホウ素を添加し
たp-層を堆積した構造のp/p+エピエピタキシャルウ
ェーハなどがその一例である。これらは電子デバイスの
特性を鑑みて、構造的に動作効率の良いデバイスを作製
するのに都合が良く、理想的なシリコンウェーハであ
る。
【0005】同様に5族元素不純物添加によるn/n+
ウェーハも存在するが、これはp/p+に比して簡単で
はない。というのは5族元素不純物のうち燐やアンチモ
ンはCZ法に用いる溶融シリコンのるつぼに添加して
も、引き上げ工程において昇華し、低抵抗率のウェーハ
を得るほど高濃度に添加できないからである。その点ヒ
素は高濃度添加可能であるため、n/n+構造を得るた
めによく用いられる。
【0006】一方、シリコンウェーハの特性として、重
要なものにゲッタリング特性がある。ゲッタリングとは
デバイス特性を悪化させる原因となる重金属不純物をデ
バイス動作領域外へ除去する方法の総称であり、例え
ば、シリコンウェーハの表面数十μmをデバイス動作領
域とすれば、その領域より深いウェーハ位置、つまりバ
ルクに不純物金属を捕獲しておけばよい。
【0007】この方法の一つとして、最も頻繁に使用さ
れるのが酸素析出物によるIG法(Internal Getterin
g)である。この方法はCZ法で作製されたシリコンウ
ェーハには不可避的に含まれる過飽和な酸素原子を、デ
バイス動作領域より深いウェーハ位置に析出物として形
成させ、その周りにできた格子の歪みに不純物を捕獲す
る方法である。その際、酸素析出物の密度、サイズ、形
成位置を種々の方法によって制御することが必要であ
る。
【0008】この酸素析出物の形成制御について、電気
抵抗率を支配するために添加した3族元素あるいは5族
元素との関係が明らかになっている。3族元素添加不純
物の代表であるホウ素の場合、p+の抵抗率領域まで添
加すると、酸素析出が促進されることがよく知られてい
る。従ってIGに酸素析出物を利用する場合、初期酸素
濃度が低い結晶であっても効率的に酸素析出物を形成で
きるため、ゲッタリング能力は高まり、大変有利であ
る。
【0009】しかるに5族元素の抵抗率制御用不純物添
加ウェーハの場合、酸素析出は抑制されることが知られ
ている。特にn+ウェーハを得るために添加したヒ素は
大幅に酸素析出を抑制するため、20ppma〔(JE
IDA:日本電子工業振興協会)規格〕のような高酸素
濃度ウェーハを用いても、酸素析出物形成によるゲッタ
リング効果を期待するのは極めて困難な場合がある。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、このような
問題点に鑑みてなされたもので、n/n+ウェーハにお
いても酸素析出物によるゲッタリング能力を持たせるこ
とのできるシリコン単結晶ウェーハ、その製造方法、及
びそのシリコン単結晶ウェーハを用いたエピタキシャル
ウェーハを提供することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するた
め、本発明のシリコン単結晶ウェーハは、チョクラルス
キー法により引き上げられたシリコン単結晶棒をウェー
ハに加工して得られたシリコン単結晶ウェーハであっ
て、5族元素と3族元素の電気的活性不純物を2種以上
含有し、そのうち少なくとも3族元素の不純物濃度が1
×1018cm-3以上であることを特徴とする。
【0012】本発明のシリコン単結晶ウェーハの製造方
法は、チョクラルスキー法により引き上げられたシリコ
ン単結晶棒をウェーハに加工して得られたシリコン単結
晶ウェーハの製造方法であって、単結晶製造の際、5族
元素と3族元素の電気的活性不純物を2種以上混合し、
そのうち少なくとも3族元素の不純物濃度を1×10 18
cm-3以上とすることを特徴とする。
【0013】また、本発明のエピタキシャルウェーハ
は、上記したシリコン単結晶ウェーハを基板とし、その
上にシリコンエピタキシャル層を形成したものである。
【0014】
【発明の実施の形態】以下に本発明の実施の形態を説明
するが、本発明の技術思想から逸脱しない限り、この実
施の形態以外にも種々の変形が可能なことは勿論であ
る。
【0015】本発明においては、チョクラルスキー法に
よりシリコン単結晶を製造する際、5族元素と3族元素
の電気抵抗率制御用不純物の2種以上を同時に添加する
が、この場合シリコン単結晶の抵抗率はこの2種以上の
添加不純物の絶対的な濃度及び混合割合で制御できる。
【0016】これらの元素の添加にあたり、例えばn型
シリコンウェーハを得たい場合、5族元素不純物の単独
添加に比べて、3族元素及び5族元素の同時添加では、
少なからず3族元素の電気抵抗率制御用不純物を添加し
たことになる。そのため、後の工程でゲッタリング効果
を持たせるための酸素析出挙動が3族元素不純物の存在
によって抑制されにくくなる。従って、高ゲッタリング
能力を持ったn/n+エピタキシャルウェーハの作成が
可能となる。
【0017】この際、少なくとも3族元素の不純物濃度
が1×1018cm-3以上のウェーハであれば酸素析出が
促進されるため、そのウェーハがp型でもn型でも効率
的に酸素析出物を形成できるため、ゲッタリング能力を
高めることができる。
【0018】3族元素の不純物濃度が1×1018cm-3
に達しない場合は酸素析出物の形成が充分でなく、本発
明の目的を達成することができない。この3族元素の不
純物濃度が1×1018cm-3以上であれば限界固溶度ま
で特別の上限はないが、2×1019cm-3程度であれば
充分である。
【0019】
【実施例】以下、本発明の実施例を比較例とともに挙げ
て具体的に説明するが、これらの実施例は例示的に示さ
れるもので、本発明はこれらに限定して解釈されるもの
でないことはいうまでもない。
【0020】(実施例1)CZ法により、直径6イン
チ、初期酸素濃度15ppma(JEIDA)、方位<
100>の結晶棒を、通常の引き上げ速度(1.2mm
/min)で引き上げた。その際、ホウ素を1018at
oms/cm3、ヒ素を7×1017atoms/cm3
有するように引き上げた結晶では、電気伝導型がn型で
抵抗率が0.01Ωcmになるように制御された。この
結晶棒を加工して基板ウェーハとし、その表面にn型、
10Ωcmのn-層エピタキシャル成長させた。このエ
ピタキシャル成長は、原料ガスにトリクロルシランを用
い、1130℃で3μm成長させた。
【0021】このエピタキシャルウェーハに800℃、
4hr+1000℃、16hrの酸素析出熱処理を窒素
雰囲気にて施したのち、選択エッチングによって酸素析
出物密度を測定した。
【0022】酸素析出物密度の測定は、アングルポリッ
シュを行い、その面に特開平9−260449号公報に
記載された技術(表面に銅を堆積させた後、アルカリ性
水溶液でエッチングし、光学顕微鏡観察する方法)によ
り行った。
【0023】測定の結果、ホウ素とヒ素を同時添加した
ウェーハでは109cm-3の酸素析出物密度が検出され
た。
【0024】この結果から本発明によるシリコン単結晶
ウェーハでは、抵抗率を同一に制御でき、かつゲッタリ
ング能力の優れたウェーハを作製可能である。特に、3
族元素および5族元素の同時添加を行うことにより、酸
素析出物を形成しにくいn型の場合に効果を発揮するこ
とがわかった。
【0025】(比較例1)ヒ素単独添加による同一抵抗
率、つまり0.01Ωcmのウェーハとした以外は、実
施例1と同様にエピタキシャルウェーハを製造し、その
酸素析出密度を測定した。測定の結果、ヒ素の単独添加
ウェーハでは、検出下限の106cm-3以下の酸素析出
物密度であり、実施例1のウェーハとは酸素析出特性が
格段に異なった。
【0026】(実施例2)ドープするホウ素を1×10
18atoms/cm3、ヒ素を3×1017atoms/
cm3とした以外は実施例1と同一条件でシリコンウェ
ーハ(電気伝導型n-型、10Ωcm)を作製した後、
実施例1と同一条件でエピタキシャル成長および酸素析
出物密度の測定を行った。
【0027】その結果、ホウ素とヒ素を同時添加したウ
ェーハでは1×1018cm-3の酸素析出物密度が検出さ
れた。
【0028】(比較例2)ヒ素単独添加による同一抵抗
率(10Ωcm)のウェーハとした以外は、実施例2と
同様にエピタキシャルウェーハを製造し、その酸素析出
密度を測定した。その結果、ヒ素の単独添加ウェーハの
酸素析出物密度は1×106cm-3以下であった。
【0029】(実施例3)ドープするホウ素を2×10
18 atoms/cm3、ヒ素を6×1017atoms/
cm3とした以外は実施例1と同一条件でシリコンウェ
ーハ(電気伝導型p型、10Ωcm)を作製した後、実
施例1と同一条件でエピタキシャル成長および酸素析出
物密度の測定を行った。
【0030】その結果、ホウ素とヒ素を同時添加したウ
ェーハでは5×1018cm-3の酸素析出物密度が検出さ
れた。
【0031】(比較例3)ホウ素単独添加による同一抵
抗率(10Ωcm)のウェーハとした以外は、実施例3
と同様にエピタキシャルウェーハを製造し、その酸素析
出物密度を測定した。その結果、ホウ素の単独添加ウェ
ーハの酸素析出物密度は1×107cm-3であった。
【0032】なお、本発明は上記実施の形態及び実施例
に限定されるものではない。上記実施の形態及び実施例
は例示であり、本発明の特許請求の範囲に記載された技
術的思想と実質的に同一な構成を有し、かつ同様な作用
効果を奏するものは、いかなるものであっても本発明の
技術的範囲に包含される。
【0033】例えば、本発明において、3族元素および
5族元素の不純物添加を行うに当たり、抵抗率の範囲は
問われていないものであり、p型であるシリコンウェー
ハを作製しても、あるいはn/n-ウェーハを作製して
も本発明の範囲に含まれる。
【0034】
【発明の効果】以上述べたごとく、本発明によれば、従
来困難とされていたn/n+ウェーハにおいても酸素析
出物によるゲッタリング能力を持たせることのできるシ
リコン単結晶ウェーハを得ることができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 4G077 AA02 AB01 BA04 CF10 EB03 EB06 5F053 AA12 FF05 GG01 HH01 KK10 PP03 RR03

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 チョクラルスキー法により引き上げられ
    たシリコン単結晶棒をウェーハに加工して得られたシリ
    コン単結晶ウェーハであって、5族元素と3族元素の電
    気的活性不純物を2種以上含有し、そのうち少なくとも
    3族元素の不純物濃度が1×1018cm-3以上であるこ
    とを特徴とするシリコン単結晶ウェーハ。
  2. 【請求項2】 チョクラルスキー法により引き上げられ
    たシリコン単結晶棒をウェーハに加工して得られたシリ
    コン単結晶ウェーハの製造方法であって、単結晶製造の
    際、5族元素と3族元素の電気的活性不純物を2種以上
    混合し、そのうち少なくとも3族元素の不純物濃度を1
    ×1018cm-3以上とすることを特徴とするシリコン単
    結晶ウェーハの製造方法。
  3. 【請求項3】 請求項1記載のシリコン単結晶ウェーハ
    を基板とし、その表面にエピタキシャル層を形成したこ
    とを特徴とするエピタキシャルウェーハ。
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