JP2002295027A - 建物の傾斜修正方法および傾斜修正部材 - Google Patents

建物の傾斜修正方法および傾斜修正部材

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JP2002295027A
JP2002295027A JP2001095087A JP2001095087A JP2002295027A JP 2002295027 A JP2002295027 A JP 2002295027A JP 2001095087 A JP2001095087 A JP 2001095087A JP 2001095087 A JP2001095087 A JP 2001095087A JP 2002295027 A JP2002295027 A JP 2002295027A
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steel pipe
pipe pile
jack
inclination
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JP2001095087A
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Minao Ishihara
美奈雄 石原
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TOA KIKAI KOJI KK
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 基礎の水平精度を回復して正確に維持するこ
とができ、また、作業に必要とされる空間も少なくて済
み、長期間に亘って基礎の水平精度を保証することので
きる建物の傾斜修正方法および傾斜修正部材を提供する
こと。 【解決手段】 傾斜した建物の基礎1の下方に埋設され
た鋼管杭2と基礎1との間に筒状体8,9からなる傾斜
修正部材7と油圧ジャッキ6とを内外に並列して配置す
る。筒状体9の上端部には油圧ジャッキ6で押し上げら
れる端面10が一体的に固着され、また、筒状体8の下
端部はジャッキアップの段階で既に当て金5に溶接され
ている。従って、油圧ジャッキ6によって基礎1を押し
上げて基礎1の水平を回復させると、このときの鋼管杭
2と基礎1の離間距離に応じて傾斜修正部材7の高さが
自動的に調整される。この状態で筒状体8,9を相互に
溶接して一体化して傾斜修正部材7を高さ変化不能に固
定することにより、基礎1の水平状態を確保し保持す
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、液状化現象や不等
沈下等で傾斜を生じた建物の姿勢を元に戻すための傾斜
修正方法および傾斜修正部材の改良に関する。
【0002】
【従来の技術】傾斜を生じた建物の姿勢を元に戻すため
の傾斜修正方法としては、例えば、特開平10−211
5号公報に開示されるように、傾いた基礎の周辺を掘削
して地中に鋼管杭を打ち込んで仮受台となるブラケット
を取り付け、ブラケットと基礎下との間にパッキンまた
は楔を介装して高さを調整し、基礎下をブラケットに連
結して固定するようにした傾斜修復法が知られている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかし、このような方
法の場合、掘削跡に埋め戻された土砂だけで基礎の水平
状態を保持するのは難しく、基礎の水平精度を正確に維
持することが困難となる欠点がある。しかも、基礎の下
の地盤自体が改良されるわけではないので、経年変化等
によって再び基礎に傾斜が生じる可能性がある。
【0004】また、より大掛かりで確実な傾斜修正方法
として、特許第3046246号公報に示されるよう
に、基礎の下方の地中にスラリーを注入してソイル鋼管
杭を形成し、ソイル鋼管杭の形成過程で作用する反力を
利用して基礎を押し上げるようにした不陸修正方法が提
案されている。
【0005】この方法を適用した場合、地盤の改良と基
礎の傾斜修正を同時に行えるメリットがあるが、基礎の
側方から地中に向けて斜めにスラリーを注入する必要が
あり、また、その作業に必要とされる装置も比較的大型
となるため、狭小地での作業には適さないといった難点
があった。
【0006】
【発明の目的】そこで、本発明の目的は、前記従来技術
の欠点を解消し、基礎の水平精度を回復して正確に維持
することができ、また、作業に必要とされる空間も少な
くて済み、長期間に亘って基礎の水平精度を保証するこ
とのできる建物の傾斜修正方法および傾斜修正部材を提
供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明は、傾斜した建物
の基礎下を掘削して基礎の下方に所定の空間を形成し、
この空間から地中に鋼管杭を埋設して鋼管杭と基礎との
間に傾斜修正部材を介装することで基礎の水平を回復す
る建物の傾斜修正方法であり、前記目的を達成するた
め、特に、前記鋼管杭を埋設した後、前記鋼管杭と基礎
との間に高さ調整可能な傾斜修正部材とジャッキとを並
列して介装し、ジャッキによって基礎を押し上げること
で基礎の水平を回復させると共に、前記傾斜修正部材の
高さを鋼管杭と基礎との間の離間距離に一致させた状態
で傾斜修正部材を高さ変化不能に固定し、鋼管杭と基礎
との間からジャッキを取り除いて傾斜修正部材により基
礎の荷重を支え、前記所定の空間を埋め戻すことを特徴
とした構成を有する。
【0008】このような構成によれば、ジャッキによっ
て基礎を押し上げて基礎の水平を回復させた状態で鋼管
杭と基礎との間の離間距離と傾斜修正部材の高さとが一
致するように傾斜修正部材の高さが調整され、このまま
の状態で傾斜修正部材が高さ変化不能に固定される。そ
の後、鋼管杭と基礎との間からジャッキが取り除かれる
ことになるが、鋼管杭と基礎との間に位置する傾斜修正
部材によって基礎の水平が回復されたままの状態が保持
されるので、ジャッキを取り除いても基礎の水平精度が
損なわれることはない。しかも、傾斜修正部材は地中に
埋設された鋼管杭によって支えられているので、この傾
斜修正部材それ自体が不用意に沈下することはなく、地
盤自体を改良した場合と実質的に同等に、基礎の水平精
度を長期間に亘って保持することが可能となる。また、
基礎の水平状態の回復作業と水平状態の保持は、基礎の
下の地中に埋設された鋼管杭と該鋼管杭上に設置された
ジャッキおよび傾斜修正部材、つまり、鋼管杭の軸線に
沿って配備された部材のみによって達成されるので、基
礎の周辺を大掛かりに掘削したり、基礎の周辺に大規模
な装置を設置したりする必要はなく、狭小地での傾斜修
正作業にも適する。
【0009】前述した傾斜修正部材は、例えば、ジャッ
キの出し入れを許容する開口部を外周面に備えてジャッ
キを内嵌可能に形成された金属製の筒状体を内外に重合
することで構成することができる。
【0010】このような構成を適用した場合、基礎の傾
斜修正作業は、傾斜修正部材にジャッキを内嵌させた状
態、つまり、ジャッキと傾斜修正部材とを内外に並列し
た状態で鋼管杭と基礎との間に介装し、ジャッキによっ
て基礎を押し上げることで基礎の水平を回復させた後、
内外に重合された金属製の筒状体を相互に摺動させて傾
斜修正部材の高さを鋼管杭と基礎との間の離間距離に一
致させた状態で、金属製の筒状体を相互に溶接して高さ
変化不能に固定することによって行われる。そして、最
終的に、ジャッキを縮退させ、金属製の筒状体からなる
傾斜修正部材の開口部からジャッキを取り出し、傾斜修
正部材によって基礎の荷重を支えることになる。ジャッ
キと傾斜修正部材とを内外に並列して鋼管杭と基礎との
間に介装する構成であるため、ジャッキを鋼管杭の中心
軸に沿って設置することが可能となり、鋼管杭の外側に
ブラケットを取り付けてジャッキを設置する従来技術と
は違い、鋼管杭やブラケットに曲げモーメントが作用し
たり撓みが生じたりすることがなく、安定した作業が行
えるようになる。また、金属製の筒状体からなる傾斜修
正部材は、ジャッキの側方にではなく、ジャッキを取り
囲むような状態で設置されるため、鋼管杭と同径の傾斜
修正部材、つまり、鋼管杭と同程度の機械的強度を有す
る傾斜修正部材を使用することが可能であり、基礎の水
平精度を長期間に亘って保持することが可能となる。
【0011】更に、金属製の筒状体を内外に重合して傾
斜修正部材を構成する場合においては、金属製の筒状体
の何れか一方の上端部に基礎と当接する端面を一体的に
形成することが望ましい。
【0012】このような構成を適用した場合、一方の筒
状体の上端面がジャッキと基礎との間に保持されるの
で、ジャッキの突出動作によって基礎と共に一方の筒状
体が押し上げられることになる。つまり、基礎の水平回
復作業と共に傾斜修正部材の高さ調整が同時かつ自動的
に行われることになるので、傾斜修正部材の高さ調整を
手作業で行わなくても済むようになり、高さ調整の作業
効率が向上する。
【0013】また、金属製の筒状体の何れか一方の上端
部に基礎と当接する端面を形成した場合においては、更
に、端面を備えない側の金属製の筒状体の下端部を鋼管
杭と一体に溶接してからジャッキの突出動作を開始する
ことが望ましい。
【0014】このような構成を適用した場合、傾斜修正
部材を構成する一方の筒状体の上端部が基礎に密着する
一方、他方の筒状体の下端部が鋼管杭に固定されるの
で、ジャッキの突出動作、つまり、基礎の水平回復作業
によって、傾斜修正部材の高さ調整が完全な状態で行わ
れるようになり、極めて精度の高い傾斜修正が可能とな
る。
【0015】更に、金属製の筒状体を内外に重合して傾
斜修正部材を構成した場合においては、鋼管杭と基礎と
の間からジャッキを取り除いた後、金属製の筒状体の内
部にモルタールを充填して外周部にストッパーを固着す
ることも可能である。
【0016】モルタールの充填とストッパーの取り付け
により傾斜修正部材の強度が更に増し、より長期間に亘
って基礎の水平精度を保持することができるようにな
る。
【0017】基礎の複数箇所を押し上げて傾斜修正作業
を行う場合は、ジャッキとして油圧ジャッキを採用す
る。そして、基礎の下方の複数箇所に鋼管杭と傾斜修正
部材および油圧ジャッキを設置し、油圧ポンプおよび油
圧分流器により複数の油圧ジャッキの各々に均一の突出
力を付与し、基礎の下方の複数箇所に同一の押し上げ力
を作用させながら基礎を押し上げるようにする。
【0018】油圧分流器を介して油圧ジャッキを駆動す
ることにより、複数の油圧ジャッキの各々に均一の突出
力が付与されるので、基礎の特定箇所に過剰な応力が作
用することがなくなり、基礎の変形や損傷を防止して的
確な傾斜修正作業を行うことができる。
【0019】また、傾斜修正部材の設置基礎となる鋼管
杭の埋設作業は、一端に拡径部を有する短尺の鋼管杭に
よって鋼管杭構成要素を形成し、該鋼管杭構成要素を基
礎の下方の空間に配置して、この鋼管杭構成要素と基礎
との間にジャッキを介装し、該ジャッキを突出させるこ
とにより基礎に作用する荷重の反力を利用して鋼管杭構
成要素を地中に埋設した後、鋼管杭構成要素と基礎との
間からジャッキを取り除いて埋設済みの鋼管杭構成要素
の上に同形状の鋼管杭構成要素を新たに接続し、この新
たに接続した鋼管杭構成要素と基礎との間に再びジャッ
キを介装し、このジャッキを突出させることにより基礎
に作用する荷重の反力を利用して新たに接続した鋼管杭
構成要素を地中に埋設する作業工程を、基礎に作用する
荷重の反力によって新たな鋼管杭構成要素を埋設するこ
とができなくなるまで繰り返し実行することにより達成
することができる。
【0020】このように、短尺の鋼管杭によって鋼管杭
構成要素を形成し、基礎に作用する荷重の反力を利用し
て次々と新たな鋼管杭構成要素を地中に埋設して鋼管杭
を形成する構成を適用することにより、基礎の周辺を大
掛かりに掘削したり、基礎の周辺に大規模な装置を設置
したりしなくても、基礎として十分な強度を有する鋼管
杭を基礎の下に埋設することが可能となる。最終的に、
基礎に作用する荷重の反力によって新たな鋼管杭構成要
素を埋設することができなくなった状況下では、最初に
埋設された鋼管杭構成要素、つまり、鋼管杭の先端が十
分な強度を有する地盤(支持層)に到達していることを
意味し、この状態で、既に鋼管杭の安定性は十分に確保
されている。鋼管杭の埋設作業は基礎に作用する荷重と
ジャッキのみを利用して行われるので、ジャッキ以外の
格別な装置は不要であり、また、短尺の鋼管杭からなる
鋼管杭構成要素を繋ぎ合せて鋼管杭を形成するようにし
ているので、基礎の下方に空間を形成するための掘削作
業は小規模なものでよく、例えば、鋼管杭構成要素の長
さを500mmとした場合、概ね、幅および深さとも8
00mm程度で十分である。しかも、基礎に作用する荷
重で鋼管杭構成要素を地中に埋め込むようにしているた
め、騒音や振動の発生は殆ど皆無であり、建物内で住人
が日常生活を続けながら傾斜修正作業を行うことも可能
である。この静粛性と前述した省スペース効果により、
住宅が密集した地域における建物の傾斜修正作業にも十
分に対応することができる。また、複数の鋼管杭構成要
素によって形成された鋼管杭には、鋼管杭構成要素の長
さに応じて所定ピッチ毎の拡径部が形成されるので、地
盤に対する喰い付きがよく、鋼管杭の軸方向に作用する
強大な力に抗して鋼管杭の陥没を防止することができ
る。
【0021】また、本発明の傾斜修正部材は、建物の基
礎の下方に埋設された鋼管杭と基礎との間に介装されて
基礎の水平を回復させる傾斜修正部材であって、前記目
的を達成するため、特に、鋼管杭と基礎との間に介装し
て基礎を押し上げるジャッキの出し入れを許容する開口
部を外周面に備えてジャッキを内嵌可能に形成された2
以上の金属製の筒状体を内外に重合して構成したことを
特徴とする構成を有する。
【0022】このような構成によれば、ジャッキと傾斜
修正部材とを内外に並列して鋼管杭と基礎との間に介装
した状態で、基礎のジャッキアップ作業を行い、その後
でジャッキを縮退させて傾斜修正部材の開口部から取り
出すことができる。ジャッキと傾斜修正部材とを内外に
並列して鋼管杭と基礎との間に介装する構成であるた
め、ジャッキを鋼管杭の中心軸に沿って設置することが
可能となり、鋼管杭の外側にブラケットを取り付けてジ
ャッキを設置する従来技術とは違い、鋼管杭やブラケッ
トに曲げモーメントが作用したり撓みが生じたりするこ
とがなく、安定したジャッキアップ作業が可能となる。
また、金属製の筒状体からなる傾斜修正部材は、ジャッ
キの側方ではなく、ジャッキを内嵌した状態で設置され
るため、鋼管杭と同径のもの、つまり、鋼管杭と同程度
の機械的強度を有するものを使用することが可能であ
り、基礎の水平精度を長期間に亘って保持することが可
能となる。
【0023】金属製の筒状体を内外に重合して傾斜修正
部材を構成する場合、内外に重合された金属製の筒状体
の何れか一方の上端部に基礎と当接する端面を一体的に
形成することが望ましい。
【0024】このような構成によれば、一方の筒状体の
上端面がジャッキと基礎との間に保持されるので、ジャ
ッキの突出動作によって基礎と共に一方の筒状体が押し
上げられることになる。つまり、基礎の水平回復作業と
共に傾斜修正部材の高さ調整が同時に行われることにな
るので、傾斜修正部材の高さ調整を手作業で行わなくて
も済むようになり、傾斜修正部材の高さ調整の作業効率
が向上する。
【0025】
【発明の実施の形態】以下、本発明の建物の傾斜修正方
法および傾斜修正部材を適用して行われる基礎の傾斜修
正の一例について説明する。
【0026】図1は、傾斜した建物の基礎1の状況と、
基礎1の周辺の掘削状況、および、基礎1の下方の地中
に鋼管杭2を埋設するときの作業状況について簡略化し
て示した斜視図である。
【0027】基礎1は、図1に示されるように、液状化
現象や不等沈下等の理由で図中右側の部分が地面に陥没
して傾いているものとする。
【0028】このような場合、本発明を適用した建物の
傾斜修正方法では、まず、図1に示されるように、陥没
した部分の基礎1に沿って、基礎1の側方から基礎1の
下方に向けて掘削作業を行うことにより、基礎1の下方
から側方にかけて幅W(例えば800mm),深さD
(例えば800mm)の所定の空間3を形成する。但
し、この寸法は鋼管杭構成要素が500mmの場合のも
のである。
【0029】この実施形態では、基礎1の下方の5ヶ所
に鋼管杭2を埋設する場合を例にとって示しているが、
鋼管杭2の設置箇所の数やその位置は地盤の様子や基礎
1の荷重等に応じて決めるべきものであり、その個数や
位置に格別の制限はない。
【0030】次に、基礎1の下方に埋設される1本の鋼
管杭2に着目し、図2〜図9を参照して、その埋設方法
を詳細に説明する。
【0031】まず、地中に掘削された所定の空間3を利
用し、図2に示されるようにして、基礎1の下方に、短
尺の鋼管杭によって形成された鋼管杭構成要素2aを配
置する。鋼管杭構成要素2aは、図2に示されるよう
に、その一端に、他の鋼管杭構成要素を接続するための
拡径部4を備える。この拡径部4は、次の鋼管杭構成要
素を接続するためのソケット式ジョイントとして機能す
るもので、鋼管杭構成要素2aの外径と同等の内径を有
する金属製の環状体を鋼管杭構成要素2aの端部に溶接
することによって形成されている。
【0032】次に、鋼管杭構成要素2aの上端部、つま
り、拡径部4の上に、適当な大きさの当て金5を載置す
る。
【0033】次いで、前述した当て金5と基礎1との
間、つまり、鋼管杭構成要素2aと基礎1との間に図3
に示されるようにして油圧ジャッキ6を介装し、図示し
ない油圧ポンプを作動させることによって油圧ジャッキ
6を突出させる。
【0034】図3では基礎1の下に配置された1つの鋼
管杭構成要素2aと油圧ジャッキ6についてのみ示して
いるが、実際には、前述した5ヶ所の配置場所で同様の
作業が行われることになる。
【0035】このようにして油圧ジャッキ6が突出され
る結果、基礎1に作用する荷重の反力が油圧ジャッキ6
を介して鋼管杭構成要素2aに作用し、この鋼管杭構成
要素2aが、図4に示されるようにして地中に埋没す
る。
【0036】しかし、油圧ジャッキ6をストロークエン
ドまで伸ばしたとしても、鋼管杭構成要素2aの上端部
と基礎1の下面との離間距離は、この鋼管杭構成要素2
aに次の鋼管杭構成要素を接続して更にその上に油圧ジ
ャッキ6を載置するには不十分である。
【0037】そこで、油圧ジャッキ6をストロークエン
ドまで伸ばした段階で一旦この油圧ジャッキ6を縮退さ
せて当て金5と油圧ジャッキ6を取り除き、鋼管杭構成
要素2aの上に図5に示されるような駒15を載置し、
更に、その上に油圧ジャッキ6を載せ、この油圧ジャッ
キ6を突出させることにより、図6に示されるようにし
て、鋼管杭構成要素2aを油圧ジャッキ6本来のストロ
ークを越えて地中に突入させる。
【0038】以下、油圧ジャッキ6をストロークエンド
まで伸ばしてから縮退させて次の駒15を重畳して油圧
ジャッキ6を突出させるといった作業を図7に示される
ようにして繰り返し実行し、最終的に、鋼管杭構成要素
2aの上端部と基礎1の下面との間に、次の鋼管杭構成
要素を接続して油圧ジャッキ6を載置できるだけの間隙
を確保する。
【0039】以上の手続により、まず、第1本目の鋼管
杭構成要素2aが地中に埋め込まれることになる。
【0040】次に、油圧ジャッキ6を縮退させて、油圧
ジャッキ6と駒15を鋼管杭構成要素2aの上から取り
除き、鋼管杭構成要素2aの拡径部4を利用して、図8
に示されるように、鋼管杭構成要素2aの上に拡径部4
を介して同じ形状の鋼管杭構成要素2bを新たに接続し
溶接する。
【0041】そして、再び、図2の場合と同様に、鋼管
杭構成要素2bの上に当て金5を載置し、油圧ジャッキ
6を当て金5と基礎1との間に介装して突出させること
により、この鋼管杭構成要素2bを前記と同様にして地
中に埋設する。
【0042】以下、これと同じ埋設工程、つまり、図2
〜図4および図6〜図8で示した作業工程を繰り返し実
行することにより、次から次へと新たな鋼管杭構成要素
2c,2d,・・・を埋設していく。そして、相当数の
鋼管杭構成要素の埋設が行われ、鋼管杭構成要素を地中
に突入させるのに相当の荷重が必要になってきた段階で
は、拡径部4の上に駒15を載置する代わりに、鋼管杭
構成要素の小径部と同等の外径を有するカラー16を準
備し、図9に示されるようにしてカラー16の下端部を
鋼管杭構成要素の小径部の端部に直に突き合わせ、カラ
ー16の上に当て金5を載置して埋設作業を行うように
する。これは、鋼管杭構成要素の小径部の外周面と拡径
部4の内周面との間に上下方向の剪断力が作用して溶接
部に損傷を生じるのを防止するための措置である。
【0043】そして、最終的に、油圧ジャッキ6を駆動
しても基礎1に作用する荷重の反力で新たな鋼管杭構成
要素を地中に埋設することができなくなった段階、具体
的には、油圧ジャッキ6の突出動作によって鋼管杭構成
要素が地中に沈む代わりに基礎1自体が持ち上がってし
まうような状況に至った段階で、鋼管杭構成要素の継ぎ
足し作業を止めて油圧ジャッキ6を縮退させ、最後に継
ぎ足した鋼管杭構成要素の上から油圧ジャッキ6等を取
り除く。
【0044】最終的な埋設作業が終わったときの状況
は、埋設されている鋼管杭構成要素の数を除き、実質的
に、図2の場合と同様である。この段階で既に地中に埋
設されている鋼管杭構成要素と最後に継ぎ足された鋼管
杭構成要素2a,2b,2c,2d,・・・の各々は全
て溶接によって一体に固着されており、これらの鋼管杭
構成要素2a,2b,2c,2d,・・・によって構成
されるのが1本の鋼管杭2である。
【0045】油圧ジャッキ6の突出動作によって鋼管杭
構成要素が地中に沈む代わりに基礎1自体が持ち上がっ
てしまうという現象は、最初に埋設された鋼管杭構成要
素2a、つまり、鋼管杭2の先端部が、十分な強度を有
する地盤(支持層)に到達しているために生じる現象で
あり、この状態で、既に、鋼管杭2の不動性は十分に確
保されている。
【0046】以上に述べた通り、本実施形態では、短尺
の鋼管杭構成要素2a,2b,2c,2d,・・・を徐
々に継ぎ足しながら地中に埋設して鋼管杭2を形成して
いく方法を採用しているため、基礎1の周辺を大掛かり
に掘削したり、基礎1の周辺に大規模な装置を設置した
りしなくても、十分な強度を備えた鋼管杭2を基礎1の
下に形成することが可能であり、その作業に際して実際
に必要とされる装備は油圧ジャッキ6と油圧ポンプのみ
であって、鋼管杭埋め込み時の騒音や振動の発生も殆ど
皆無である。
【0047】また、鋼管杭2の外周部には鋼管杭構成要
素の長さを基準とする所定のピッチで拡径部4が形成さ
れているので、地盤に対する喰い付きがよく、埋設後の
沈下現象の防止に効果があり、また、鋼管杭2の実質的
な外径が部分的にではあっても拡張されるため、鋼管杭
構成要素の端部内周面側に小径の環状体を固着して接続
用のソケットを構成する場合と比べ、鋼管杭2の長手方
向に作用する荷重に対する耐力を増強させることができ
る。しかも、鋼管杭構成要素同士の溶接作業は拡径部4
の立ち上がり部分によって形成されるコーナー部に対し
て斜め上方から行えばよいので、突き合わせ部分を径方
向外側から溶接する場合に比べて溶接作業が容易であ
り、熟練工でなくても的確な溶接作業を行うことができ
る。
【0048】次に、図10を参照して、本実施形態で採
用した傾斜修正部材7の構造について説明する。図10
(a)は傾斜修正部材7を組み立てた状態で示した斜視
図、図10(b)は傾斜修正部材7の一部を構成する外
側の筒状体8について示した斜視図、また、図10
(c)は傾斜修正部材7の一部を構成する内側の筒状体
9について示した斜視図である。
【0049】図10(a)に示される通り、この実施形
態の傾斜修正部材7は、内外に重合された金属製の筒状
体9,8と、内側に位置する筒状体9の上端部に溶接に
よって実質的に一体に固着された端面10とによって構
成される。外側に位置する筒状体8の内径は内側に位置
する筒状体9の外径よりも僅かに大きく、図10(a)
に示されるようにして傾斜修正部材7を組み立てた状態
で、筒状体9は筒状体8に対して上下方向摺動自在、つ
まり、高さ調整可能である。
【0050】また、筒状体8,9の各々の外周面には前
述した油圧ジャッキ6の出し入れを許容するための開口
部11,12が設けられ、これらの開口部11,12を
重合させるようにして筒状体8,9が内外に組み合わさ
れている。
【0051】内側に位置する筒状体9の内径は油圧ジャ
ッキ6を内嵌できるだけの大きさが必要である。また、
開口部11,12の横幅および上下長さは、傾斜修正部
材7の強度を考慮し、完全に縮退させた油圧ジャッキ6
の出し入れを許容するに足る必要最小限度の大きさとす
る。
【0052】次に、この傾斜修正部材7と油圧ジャッキ
6を用いて行う基礎1の最終的な傾斜修正作業について
図11〜図14を参照して説明する。
【0053】なお、この段階では既に鋼管杭2の埋め込
み作業は完了しており、鋼管杭2の上端部が図2と同様
の状態になっているものとする。但し、ここでは便宜
上、最上部に位置する鋼管杭構成要素、つまり、最後に
継ぎ足された鋼管杭構成要素を2d、また、上から2番
目の鋼管杭構成要素を2cと呼ぶことにする。
【0054】基礎1の最終的な傾斜修正作業に当たり、
まず、最上部に位置する鋼管杭構成要素2dの上に予め
溶接によって固着された当て金5の上に、縮退状態にあ
る油圧ジャッキ6を内嵌した傾斜修正部材7を設置す
る。
【0055】この際、傾斜修正部材7の一部である外側
の筒状体8、つまり、端面10を備えない側の筒状体8
が油圧ジャッキ6の突出動作によって不用意に持ち上が
ることを防止するため、当て金5と筒状体8の下端部と
を密着させて予め溶接しておくことが望ましい。
【0056】油圧ジャッキ6と傾斜修正部材7は内外に
並列して設置されるので、油圧ジャッキ6を鋼管杭2の
中心軸に沿って配備することが可能となり、油圧ジャッ
キ6をオフセットして作業を行う場合に比べ、安定した
ジャッキアップ作業が実現される。また、傾斜修正部材
7は油圧ジャッキ6を取り囲む形で設置されるので、傾
斜修正部材7の外周部の直径および肉厚を鋼管杭2と同
等に形成することができ、鋼管杭2と実質的に同等な機
械的強度を傾斜修正部材7に付与することができる。
【0057】次に、油圧ポンプを作動させることによっ
て油圧ジャッキ6を突出させ、内側の筒状体9と実質的
に一体に形成された端面10を介して基礎1を油圧ジャ
ッキ6で押し上げ、油圧ジャッキ6の突出量を加減する
ことによって基礎1の水平を回復させる。
【0058】このとき、内側の筒状体9の端面10は基
礎1の下面に完全に当接し、また、外側の筒状体8の下
端部は当て金5に溶接されて上下動を禁止されているの
で、油圧ジャッキ6の突出動作に伴って、端面10と一
体の内側の筒状体9が外側の筒状体8に対して上方に摺
動して移動し、外側の筒状体8の下端部から内側の筒状
体9の端面10に至る高さ、つまり、傾斜修正部材7の
全体的な高さは、自動的に、当て金5と基礎1との間の
離間距離、要するに、鋼管杭2と基礎1との間の離間距
離に完全に一致する。つまり、基礎1の水平回復作業と
共に傾斜修正部材7の高さ調整が同時かつ自動的に行わ
れることになる。
【0059】そして、このようにして基礎1の水平が完
全に回復された状態で、図12に示されるようにして、
外側の筒状体8と内側の筒状体9の摺接部、具体的に
は、外側の筒状体8の上端部と内側の筒状体9の外周露
出部の境界を溶接して、傾斜修正部材7を高さ変化不能
に固定する。なお、当て金5は実質的には鋼管杭2の一
部であり、前述した鋼管杭2と基礎1との間の離間距離
は、実質的に、当て金5と基礎1との間の離間距離であ
る。筒状体8の上端部と内側の筒状体9の外周露出部の
溶接作業は、前述した鋼管杭構成要素同士の溶接作業の
場合と同様にコーナー部に対して斜め上方から行えばよ
いので溶接作業が容易である。
【0060】なお、当て金5上に傾斜修正部材7を最初
に設置した段階では外側の筒状体8の下端部と当て金5
の溶接作業を行わずにおいて、基礎1の水平回復作業が
終わったこの段階で改めて筒状体8の下端部と当て金5
の溶接作業を行うようにすることも可能である。しか
し、その場合は、水平回復作業に関わる油圧ジャッキ6
の突出動作に伴う内側の筒状体9の上昇につられて外側
の筒状体8が持ち上げられていないか否かといった確認
作業をこの段階で行うことが必要であり、更に、外側の
筒状体8が持ち上げられていた場合には、これを手で持
って引き下げて当て金5に圧着しながら溶接作業を行わ
なければならなくなるので(筒状体8と当て金5の間に
間隙が生じていると傾斜修正部材7に対する圧縮方向の
機械的な強度に問題が生じる可能性があるため)、作業
上、一定の煩わしさが生じてしまう。
【0061】図11および図12では基礎1の下に配置
された1つの鋼管杭2と傾斜修正部材7および油圧ジャ
ッキ6についてのみ示しているが、実際には、前述した
5ヶ所の配置場所で同様の作業が行われる。駆動源とな
る油圧ポンプと複数の油圧ジャッキ6との間には油圧分
流器が介装されているので、全ての油圧ジャッキ6の出
力は同等の大きさに保持されることになる。
【0062】以上のようにして基礎1の水平回復作業と
傾斜修正部材7および鋼管杭2各部の溶接作業が完了し
た段階で、油圧ジャッキ6を縮退させ、実質的に剛体と
化した傾斜修正部材7によって基礎1の荷重を支え、傾
斜修正部材7を構成する筒状体8,9に形成された開口
部11,12を介して、傾斜修正部材7の内部から油圧
ジャッキ6を取り出す。そして、更に、開口部11,1
2から傾斜修正部材7の内側に溶接トーチを挿入し、図
13に示すようにして、筒状体8,9の摺接部、具体的
には、内側の筒状体9の下端部と外側の筒状体8の内周
露出部の境界に対して可能な限りの溶接作業を施す。
【0063】前述した通り、傾斜修正部材7は内外に重
合された2つの金属製の筒状体9,8によって形成さ
れ、しかも、筒状体9,8は完全に溶接されているの
で、傾斜修正部材7は基礎1の荷重に対して十分な強度
を備えるが、更に、図14に示されるようにして、矩形
状の鉄板13を外側の筒状体8に溶接して開口部11,
12を塞ぎ、筒状体9,8の内部にモルタール14を充
填することによって一層の強度が確保される。更に、筒
状体9と端面10との間にアングル17等で構成される
ストッパーを溶接して強度を向上させるようにしてもよ
い。
【0064】最終的に、掘削作業によって形成された所
定の空間3を埋め戻し、更に、基礎1の下側にコンクリ
ートミルクを加圧して注入し、筒状体9の端面10と基
礎1との間の微小な間隙を埋めて作業を終える。
【0065】
【発明の効果】本発明は、傾斜した建物の基礎の下方に
埋設された鋼管杭と基礎との間に高さ調整可能な傾斜修
正部材とジャッキとを並列して配置し、ジャッキによっ
て基礎を押し上げて基礎の水平を回復させた状態で鋼管
杭と基礎との間の離間距離に合わせて傾斜修正部材の高
さを調整し、その後、この傾斜修正部材を高さ変化不能
な状態に固定して基礎の荷重を支えてからジャッキを取
り除くようにしたので、鋼管杭と基礎との間に位置する
傾斜修正部材の高さを基礎の水平状態に合わせて的確に
調整し保持することができる。しかも、傾斜修正部材は
地中に埋設された鋼管杭によって支えられているので、
この傾斜修正部材それ自体が不用意に沈下することはな
く、地盤自体を改良した場合と実質的に同等に、基礎の
水平精度を長期間に亘って保持することが可能である。
また、基礎の水平状態の回復作業と水平状態の保持は、
基礎の下の地中に埋設された鋼管杭と鋼管杭上に設置さ
れたジャッキおよび傾斜修正部材、要するに、鋼管杭の
軸線に沿って配備された部材のみによって達成されるの
で、基礎の周辺を大掛かりに掘削したり、基礎の周辺に
大規模な装置を設置したりする必要もなく、狭小地での
傾斜修正作業に適する。
【0066】更に、高さ調整のための傾斜修正部材は、
ジャッキの出し入れを許容する開口部を外周面に備えて
ジャッキを内嵌可能に形成した金属製の筒状体を内外に
重合して構成しているので、鋼管杭の中心軸に沿ってジ
ャッキを設置することが可能となり、鋼管杭の外側にブ
ラケットを取り付けてジャッキを設置する従来技術とは
違い、鋼管杭やブラケットに曲げモーメントが作用した
り撓みが生じたりすることがなく、安定したジャッキア
ップ作業を行うことができる。また、高さ調整の終わっ
た傾斜修正部材は、内外に重合された金属製の筒状体を
相互に溶接することで高さ変化不能に固定するようにし
ているので、圧縮方向に対する機械的な強度は十分であ
り、経年変化が生じることもなく、基礎の水平精度を長
期間に亘って保持することができる。しかも、この傾斜
修正部材は、ジャッキを取り囲むようにして外側に配備
されるので、基礎となる鋼管杭と同径のもの、つまり、
鋼管杭と同程度の機械的強度を有するものを使用するこ
とが可能である。
【0067】更に、金属製の筒状体を内外に重合して傾
斜修正部材を構成する場合においては、金属製の筒状体
の何れか一方の上端部に端面を一体的に形成するように
しているので、この一方の筒状体をジャッキアップ動作
と連動して上下させることが可能となり、基礎の水平回
復作業と共に傾斜修正部材の高さ調整を同時かつ自動的
に行うことができるので、傾斜修正部材の高さ調整の作
業効率が向上する。
【0068】しかも、端面を備えない側の金属製の筒状
体の下端部を鋼管杭と一体に溶接してからジャッキアッ
プ作業を開始するようにしているので、鋼管杭と基礎と
の間の離間距離に応じ、傾斜修正部材の完全なる高さ調
整が実施できる。
【0069】更に、傾斜修正部材の内部からジャッキを
取り除いた段階で筒状体の内部にモルタールを充填して
固めたり外周部にアングル等のストッパーを固着するよ
うにしているので、傾斜修正部材の強度が増強され、よ
り長期間に亘って基礎の水平精度を保持することが可能
となる。
【0070】また、基礎の複数箇所を押し上げて傾斜修
正作業を行う場合には、基礎の下方の複数箇所に鋼管杭
と傾斜修正部材および油圧ジャッキを設置し、油圧ポン
プおよび油圧分流器により複数の油圧ジャッキの各々に
均一の突出力を付与して基礎を押し上げるようにしてい
るので、基礎の特定箇所に過剰な応力が作用することが
なく、基礎の変形や損傷を防止して的確な傾斜修正作業
を行うことができる。
【0071】一方、傾斜修正部材の設置基礎となる鋼管
杭の埋設作業においては、短尺の鋼管杭からなる鋼管杭
構成要素を基礎の下方の空間に配置し、この鋼管杭構成
要素と基礎との間にジャッキを介装して基礎に作用する
荷重の反力を利用して鋼管杭構成要素を次々と地中に埋
設する作業を繰り返して鋼管杭を形成するようにしてい
るので、鋼管杭の埋設作業に際しても大規模な掘削作業
は必要なく、特に、騒音や振動の発生が殆ど皆無である
ことから、住宅が密集した地域における建物の傾斜修正
作業にも十分に対応することができ、また、建物内で住
人が日常生活を続けながら傾斜修正作業を行うといった
ことも可能となる。また、複数の鋼管杭構成要素によっ
て形成された鋼管杭には、鋼管杭構成要素の長さに応じ
て所定ピッチ毎の拡径部が形成されるので、地盤に対す
る喰い付きがよく、鋼管杭の軸方向に作用する強大な力
に抗して鋼管杭の陥没を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】傾斜した建物の基礎の状況と、基礎の周辺の掘
削状況、および、基礎の下方の地中に鋼管杭を埋設する
ときの作業状況について簡略化して示した斜視図であ
る。
【図2】鋼管杭を形成する鋼管杭構成要素の埋設作業に
ついて段階を追って示した側面図である。
【図3】鋼管杭を形成する鋼管杭構成要素の埋設作業に
ついて段階を追って示した側面図である。
【図4】鋼管杭を形成する鋼管杭構成要素の埋設作業に
ついて段階を追って示した側面図である。
【図5】鋼管杭を形成する鋼管杭構成要素の埋設作業で
利用する駒の形状について示した斜視図である。
【図6】鋼管杭を形成する鋼管杭構成要素の埋設作業に
ついて段階を追って示した側面図である。
【図7】鋼管杭を形成する鋼管杭構成要素の埋設作業に
ついて段階を追って示した側面図である。
【図8】鋼管杭を形成する鋼管杭構成要素の埋設作業に
ついて段階を追って示した側面図である。
【図9】鋼管杭を形成する鋼管杭構成要素の埋設作業に
ついて段階を追って示した側面図である。
【図10】図10(a)は傾斜修正部材の構造の一例に
ついて示した斜視図、図10(b)はその外側の筒状体
の構造について示した斜視図、図10(c)はその内側
の筒状体の構造について示した斜視図である。
【図11】傾斜修正部材と油圧ジャッキを用いて行う基
礎の最終的な傾斜修正作業について段階を追って示した
側面図である。
【図12】傾斜修正部材と油圧ジャッキを用いて行う基
礎の最終的な傾斜修正作業について段階を追って示した
側面図である。
【図13】傾斜修正部材と油圧ジャッキを用いて行う基
礎の最終的な傾斜修正作業について段階を追って示した
側面図である。
【図14】傾斜修正部材と油圧ジャッキを用いて行う基
礎の最終的な傾斜修正作業について段階を追って示した
側面図である。
【符号の説明】
1 基礎 2 鋼管杭 2a,2b,2c,2d 鋼管杭構成要素 3 所定の空間 4 拡径部 5 当て金 6 油圧ジャッキ 7 傾斜修正部材 8 外側の筒状体 9 内側の筒状体 10 端面 11 開口部 12 開口部 13 鉄板 14 モルタール 15 駒 16 カラー 17 アングル(ストッパー)

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 傾斜した建物の基礎下を掘削して前記基
    礎の下方に所定の空間を形成し、前記空間から地中に鋼
    管杭を埋設して前記鋼管杭と前記基礎との間に傾斜修正
    部材を介装することで前記基礎の水平を回復する建物の
    傾斜修正方法であって、 前記鋼管杭を埋設した後、前記鋼管杭と前記基礎との間
    に高さ調整可能な傾斜修正部材とジャッキとを並列して
    介装し、前記ジャッキによって前記基礎を押し上げるこ
    とで前記基礎の水平を回復させると共に、前記傾斜修正
    部材の高さを前記鋼管杭と前記基礎との間の離間距離に
    一致させた状態で前記傾斜修正部材を高さ変化不能に固
    定し、前記鋼管杭と前記基礎との間から前記ジャッキを
    取り除いて前記傾斜修正部材により前記基礎の荷重を支
    え、前記所定の空間を埋め戻すことを特徴とした建物の
    傾斜修正方法。
  2. 【請求項2】 前記ジャッキの出し入れを許容する開口
    部を外周面に備えて前記ジャッキを内嵌可能に形成され
    た金属製の筒状体を内外に重合して前記傾斜修正部材を
    構成し、この傾斜修正部材に前記ジャッキを内嵌させて
    前記鋼管杭と前記基礎との間に介装し、前記ジャッキに
    よって前記基礎を押し上げることで前記基礎の水平を回
    復させると共に、内外に重合された前記金属製の筒状体
    を相互に摺動させて前記傾斜修正部材の高さを前記鋼管
    杭と前記基礎との間の離間距離に一致させた状態で内外
    に重合された前記金属製の筒状体を相互に溶接して高さ
    変化不能に固定し、前記開口部を介して前記鋼管杭と前
    記基礎との間から前記ジャッキを取り除いて前記傾斜修
    正部材により前記基礎の荷重を支えることを特徴とした
    請求項1記載の建物の傾斜修正方法。
  3. 【請求項3】 内外に重合された前記金属製の筒状体の
    何れか一方の上端部に前記基礎と当接する端面を一体的
    に形成し、この傾斜修正部材に前記ジャッキを内嵌させ
    て前記鋼管杭と前記基礎との間に介装し、前記ジャッキ
    によって前記基礎および前記端面を押し上げることで前
    記基礎の水平を回復すると共に、内外に重合された前記
    金属製の筒状体を相互に摺動させて前記傾斜修正部材の
    高さを前記鋼管杭と前記基礎との間の離間距離に一致さ
    せ、内外に重合された前記金属製の筒状体を相互に溶接
    して高さ変化不能に固定することを特徴とした請求項2
    記載の建物の傾斜修正方法。
  4. 【請求項4】 内外に重合された前記金属製の筒状体の
    何れか一方の上端部に前記基礎と当接する端面を一体的
    に形成し、この傾斜修正部材に前記ジャッキを内嵌させ
    て前記鋼管杭と前記基礎との間に介装し、前記端面を備
    えない側の前記金属製の筒状体の下端部を前記鋼管杭と
    一体に溶接し、その後、前記ジャッキによって前記基礎
    および前記端面を押し上げることで前記基礎の水平を回
    復すると共に、内外に重合された前記金属製の筒状体を
    相互に摺動させて前記傾斜修正部材の高さを前記鋼管杭
    と前記基礎との間の離間距離に完全に一致させ、内外に
    重合された前記金属製の筒状体を相互に溶接して高さ変
    化不能に固定することを特徴とした請求項2記載の建物
    の傾斜修正方法。
  5. 【請求項5】 前記鋼管杭と前記基礎との間から前記ジ
    ャッキを取り除いた後、前記金属製の筒状体の内部にモ
    ルタールを充填して外周部にストッパーを固着すること
    を特徴とした請求項2,請求項3または請求項4記載の
    建物の傾斜修正方法。
  6. 【請求項6】 前記ジャッキとして油圧ジャッキを採用
    すると共に、前記基礎の下方の複数箇所に前記鋼管杭と
    前記傾斜修正部材および前記油圧ジャッキを設置し、油
    圧ポンプおよび油圧分流器により前記複数の油圧ジャッ
    キの各々に均一の突出力を付与し、前記基礎の下方の複
    数箇所に同一の押し上げ力を作用させながら前記基礎を
    押し上げることを特徴とした請求項1,請求項2,請求
    項3,請求項4または請求項5記載の建物の傾斜修正方
    法。
  7. 【請求項7】 一端に拡径部を有する短尺の鋼管杭によ
    って鋼管杭構成要素を形成し、該鋼管杭構成要素を前記
    空間に配置して、この鋼管杭構成要素と前記基礎との間
    にジャッキを介装し、該ジャッキを突出させることによ
    り前記基礎に作用する荷重の反力を利用して前記鋼管杭
    構成要素を地中に埋設した後、 前記鋼管杭構成要素と前記基礎との間から前記ジャッキ
    を取り除いて前記埋設済みの鋼管杭構成要素の上に同形
    状の鋼管杭構成要素を新たに接続し、この新たに接続し
    た鋼管杭構成要素と前記基礎との間に再び前記ジャッキ
    を介装し、このジャッキを突出させることにより前記基
    礎に作用する荷重の反力を利用して前記新たに接続した
    鋼管杭構成要素を地中に埋設する作業工程を、 前記基礎に作用する荷重の反力によって新たな鋼管杭構
    成要素を埋設することができなくなるまで繰り返し実行
    することにより、前記鋼管杭を形成することを特徴とし
    た請求項1,請求項2,請求項3,請求項4,請求項5
    または請求項6記載の建物の傾斜修正方法。
  8. 【請求項8】 建物の基礎の下方に埋設された鋼管杭と
    前記基礎との間に介装されて前記基礎の水平を回復させ
    る傾斜修正部材であって、 前記鋼管杭と前記基礎との間に介装して前記基礎を押し
    上げるジャッキの出し入れを許容する開口部を外周面に
    備えて前記ジャッキを内嵌可能に形成された2以上の金
    属製の筒状体を内外に重合して構成したことを特徴とす
    る傾斜修正部材。
  9. 【請求項9】 内外に重合された前記金属製の筒状体の
    何れか一方の上端部に前記基礎と当接する端面を一体的
    に形成したことを特徴とする請求項8記載の傾斜修正部
    材。
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