JP2002293243A - 木製台車及び台車スタッキング用スペーサ - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 荷物類を搬送する木製台車を小さなスペース
内で多くの木製台車を上下に積重ね（スタッキング）収
容することを可能にして、収容時のスペース効率を高
め、かつ安定したスタッキング状態を達成する。 【解決手段】 全方位方向に移動できるキャスタ３０を
下面４隅に備えた木製天板２０の下面に、スペーサ幕板
４０、あるいはスペーサレッグ６０等のスタッキング用
スペーサ設けることにより、スタッキング用スペーサの
スペーサ機能を生かして、縦横交互に木製台車１０（１
００）を上下に積み上げ、キャスター３０を浮かせた状
態でスタッキングを可能とする。また、スペーサ幕板４
０の天板当接面に滑止め用ラバー体４４を貼付するか、
あるいはスペーサレッグ６０の差込み片６３を木製天板
２０の貫通丸孔２３内に差し込むことにより、スタッキ
ング状態時における上下の木製台車間でのずれ込みを防
止する。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】この発明は、引越し時などに
荷物類を搬送する為に使用する木製台車及び台車スタッ
キング用スペーサに係り、特に、複数の台車をスタッキ
ング収容でき、台車の保管スペースが少なくて済み、か
つ上下の台車がずれることがなく、安全かつ確実に保
管、収容できる木製台車及び台車スタッキング用スペー
サに関する。

【０００２】

【従来の技術】引越し時には、家具等、大型の荷物類を
安全かつ迅速に搬送できるように、これらの荷物類は梱
包した後に台車上に載置して搬送されるのが一般的であ
る。特に、専用の引越し業者では、壁や階段の手すり等
を傷付けることがないように台車が使用されており、こ
のような用途に使われる木製台車の一例が図１７に示さ
れている。同図において、１は木製台車、２は木製天
板、３はキャスタ、４は持運び用開口である。

【０００３】この木製台車１は、荷物類を載置する長方
形状の木製天板２の下面４隅に移動用のキャスタ３が取
り付けられており、荷物類を搬送しない非使用時に木製
台車１を簡単に持ち運びできるように、中央に持運び用
開口４が設けられている。

【０００４】そして、引越し業者等では、業務の性格
上、こういった木製台車１を数多く保有しているが、木
製台車１は、キャスタ３があるため、保管する際はこの
キャスタ３が障害となり、複数個の木製台車１をスタッ
キング状態で保管することができず、壁に立て掛けて保
管しているのが実状である。

【０００５】

【発明が解決しようとする課題】このように、従来の木
製台車１は、キャスタ３があるため、スタッキング状態
で保管することが困難であり、天地を逆にして２台の木
製台車１を保管しても、スペース効率が悪く、実際に
は、壁に立て掛けて保管するため、保管スペースを多く
とられ、かつ取り出して使用する際にも不便であった。

【０００６】この発明は、このような事情を鑑みてなさ
れたものであり、本発明の第１の目的は、積み重ねて保
管することが可能で、しかも、上下の台車にずれが生じ
ることがなく、多数の台車を安定した状態でスタッキン
グ収容でき、スペース効率に優れるとともに、取り出し
も容易に行なうことができ、使い勝手に優れた木製台車
を提供することにある。

【０００７】更に、本発明の第２の目的は、従来の汎用
台車に適用して、汎用台車のスタッキングを可能とする
ことにより、優れた収容スペース性能を付与する台車ス
タッキング用スペーサを提供することにある。

【０００８】本発明のさらに他の目的乃至作用効果につ
いては、以下の明細書の記載に基づいて当業者であれば
容易に理解されるであろう。

【０００９】

【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、本願の請求項１に記載の発明は、搬送荷物類を載置
する長方形状の木製天板の下面４隅に移動用のキャスタ
が設けられるとともに、木製天板の下面両側にダボ付き
幕板からなるスタッキング用スペーサが取り付けられる
ことにより木製台車が構成され、該木製台車を縦横交互
にスタッキングした際、上記スタッキング用スペーサに
よりキャスタを浮かせた状態でスタッキングできるよう
にしたことを特徴とする。

【００１０】ここで、ダボ付き幕板を取り付ける木製天
板の下面両側とは、左右両側、あるいは前後両側いずれ
でも良い。

【００１１】そして、請求項１に記載の発明によれば、
木製台車を収容スペース内に収容する際に、縦横交互に
スタッキングすることにより多くの木製台車を保管する
ことが可能であり、しかも、幕板がスペーサとなるため
にキャスタが浮いた状態となり、安定した状態で保管さ
れる。

【００１２】更に、スペーサ幕板は取付縁部にダボが一
体形成されているため、このダボを木製天板の取付丸孔
内に嵌着することにより、木製天板の所定箇所に簡単に
取り付けることができる。

【００１３】この出願の請求項２に記載の発明は、ダボ
付き幕板の下縁には、滑止め用ラバー体が貼付されてい
ることを特徴とする。

【００１４】そして、請求項２に記載の発明によれば、
複数の木製台車を縦横交互にスタッキングした際に、上
段の木製台車のダボ付き幕板の下縁に貼付された滑止め
用ラバー体が下段の木製台車の木製天板の表面と当接
し、滑止め用ラバー体の摩擦抵抗により上下の台車間で
のずれが抑えられる。

【００１５】更に、滑止め用ラバー体として、弾性体を
使用すれば、スタッキング作業時、木製天板の表面が傷
付くことがないとともに、ダボ付き幕板の高さ寸法のバ
ラツキ等を滑止め用ラバー体の弾性作用により吸収で
き、常に適正なスタッキング姿勢を維持できる。

【００１６】この出願の請求項３に記載の発明は、搬送
荷物類を載置する長方形状の木製天板の下面４隅に移動
用のキャスタが設けられるとともに、この木製天板の縦
横等間距離にある４箇所に貫通丸孔が開設され、スペー
サレッグの一方端に設けた嵌着片を上記貫通丸孔内に嵌
着することにより、木製天板下面の４箇所にスペーサレ
ッグを取り付けて木製台車が構成され、木製台車を縦横
交互にスタッキングする際、スペーサレッグの他方端の
差込み片を下段の木製天板の貫通丸孔内に差し込むこと
により、キャスタを浮かせた状態で、かつ上下の木製台
車のずれを防止しながら複数の木製台車をスタッキング
可能としたことを特徴とする。

【００１７】そして、請求項３に記載の発明によれば、
木製台車を収容スペース内に収容する際に、縦横交互に
スタッキングすることにより、スペーサレッグ下端の差
込み片が木製天板の貫通丸孔内に着脱可能に差し込ま
れ、より多くの木製台車をスタッキングして保管するこ
とが可能である。しかも、スペーサレッグがスペーサと
なるためにキャスタが浮いた状態となり安定な状態で保
管される。

【００１８】更に、レッグの差込み片が下方の木製天板
の取付丸孔内に差し込まれているため、外部からの衝撃
が加わっても、木製台車がずれ込んだりすることがな
く、また、この差込み片により木製天板同士の位置決め
を簡単かつ正確に行なうことが可能であり、常に適正な
スタッキング姿勢が得られる。

【００１９】次いで、この出願の請求項４に記載の発明
は、木製天板の下面に取り付けられる台車スタッキング
用としてのスペーサ幕板であって、木製天板に設けられ
た取付丸孔に対応するダボを取付縁部に一体に設けたこ
とを特徴とする。

【００２０】そして、請求項４に記載の発明によれば、
従前の木製台車の木製天板にキリ加工等により取付丸孔
を施し、この取付丸孔内にダボ付き幕板のダボを嵌着す
ることにより、簡単にスペーサ幕板を取り付けることが
できるため、汎用の木製台車に対して優れた収容スペー
ス性を簡単に付与できる。

【００２１】この出願の請求項５に記載の発明は、木製
天板の下面に取り付けられる台車スタッキング用として
のスペーサレッグであって、レッグ本体の一方側端面に
木製天板に開設されている貫通丸孔内に嵌着固定する嵌
着片を設け、他方側端面に台車スタッキング時、下段の
木製天板の貫通丸孔内に着脱自在に差し込むための差込
み片を一体に設けたことを特徴とする。

【００２２】そして、請求項５に記載の発明によれば、
汎用の木製台車の天板の４箇所に縦横方向等間隔に貫通
丸孔を開設し、スペーサレッグの一方端に形成した嵌着
片を貫通丸孔内に嵌着固定するだけで、汎用の木製台車
に対して、収容スペース性能に優れた木製台車としての
機能を簡単に付与できる。また、スペーサレッグの他方
端に設けた小径の差込み片によれば、スタッキング作業
時のガイド性や適正なスタッキング姿勢を維持する機能
も付与できる。

【００２３】

【発明の実施の形態】以下、本発明に係る木製台車及び
それに使用する台車スタッキング用スペーサの好適な実
施の形態について、添付図面を参照しながら詳細に説明
する。

【００２４】図１乃至図１２は本発明に係る木製台車の
第１実施形態を示すものである。図１は第１実施形態に
よる木製台車を表面側から見た斜視図であり、同図にお
いて、１０は木製台車、２０は木製天板、２１は持運び
用開口、３０はキャスタ、４０はスペーサ幕板である。

【００２５】図２は第１実施形態による木製台車を裏面
側から見た斜視図であり、同図において、１０は木製台
車、２０は木製天板、２１は持運び用開口、３０はキャ
スタ、３１はブラケット、３１ａはボルト、３２はロー
ラ、３３は軸受け体、４０はスペーサ幕板である。

【００２６】図３は第１実施形態による木製台車におけ
るスペーサ幕板と木製天板との取付構造を示す説明図で
あり、同図において、１０は木製台車、２０は木製天
板、２１は持運び用開口、２２は取付丸孔、３０はキャ
スタ、４０はスペーサ幕板、４１は切欠き、４２は縁
部、４３はダボである。

【００２７】図４は第１実施形態による木製台車の側面
図であり、同図において、１０は木製台車、２０は木製
天板、２２は取付丸孔、３０はキャスタ、４０はスペー
サ幕板、４１は切欠き、４２は縁部、４３はダボであ
る。

【００２８】図５は第１実施形態による木製台車のスタ
ッキング状態を示す側面図であり、同図において、１０
は木製台車、２０は木製天板、３０はキャスタ、４０は
スペーサ幕板である。

【００２９】図６は第１実施形態による木製台車の壁面
への係止状態を示す説明図であり、同図において、１０
は木製台車、２０は木製天板、３０はキャスタ、４０は
スペーサ幕板、５０は壁面、５１は係止部である。

【００３０】図７は第１実施形態による木製台車の変形
例を裏面側から見た斜視図であり、同図において、１０
は木製台車、２０は木製天板、３０はキャスタ、４０は
スペーサ幕板である。

【００３１】図８は第１実施形態による木製台車の別の
変形例を示す側面図であり、同図において、１０は木製
台車、２０は木製天板、３０はキャスタ、４０はスペー
サ幕板、４１は切欠き、４２は縁部、４３はダボ、４４
は滑止め用ラバー体である。

【００３２】図９は第１実施形態による木製台車の更に
別の変形例を示す裏面側から見た斜視図であり、同図に
おいて、１０は木製台車、２０は木製天板、３０はキャ
スタ、４０はスペーサ幕板である。

【００３３】図１０は、図９に示す木製台車におけるス
ペーサ幕板の配置を示す説明図であり、同図において、
１０は木製台車、２０は木製天板、３０はキャスタ、４
０はスペーサ幕板である。

【００３４】図１１は、図９に示す木製台車のスタッキ
ング状態を示す側面図であり、同図において、１０は木
製台車、２０は木製天板、３０はキャスタ、４０はスペ
ーサ幕板である。

【００３５】図１２は、図９に示す木製台車の使用形態
を示す説明図であり、同図において、１０は木製台車、
２０は木製天板、３０はキャスタ、４０はスペーサ幕
板、５２はスロープ、５３はコーナー部を示す。

【００３６】また、図１３乃至図１６は本発明に係る木
製台車の第２実施形態を示すものである。図１３は第２
実施形態による木製台車を裏面側から見た斜視図であ
り、同図において、１００は木製台車、２０は木製天
板、２１は持運び用開口、２３は貫通丸孔、３０はキャ
スタ、６０はスペーサレッグ、６１はレッグ本体、６２
は嵌着片、６３は差込み片である。

【００３７】図１４は第２実施形態による木製台車を裏
面側から見た平面図であり、同図において、１００は木
製台車、２０は木製天板、２１は持運び用開口、３０は
キャスタ、６０はスペーサレッグである。

【００３８】図１５は第２実施形態による木製台車にお
けるスペーサレッグと木製天板との取付構造を示す側面
図であり、同図において、１００は木製台車、２０は木
製天板、２３は貫通丸孔、３０はキャスタ、６０はスペ
ーサレッグ、６１はレッグ本体、６２は嵌着片、６３は
差込み片である。

【００３９】図１６は第２実施形態による木製台車のス
タッキング状態を示す側面図であり、同図において、１
００は木製台車、２０は木製天板、２３は貫通丸孔、３
０はキャスタ、６０はスペーサレッグ、６１はレッグ本
体、６２は嵌着片、６３は差込み片である。

【００４０】図１乃至図８に基づいて、本発明の第１実
施形態について説明する。図１及び図２に示された木製
台車１０は主に引越し業者等が家具等の荷物類を搬送す
る際に使用するのに適しており、荷物類を載置するため
の長方形状の木製天板２０と、木製天板２０の下面４隅
に全方位方向に移動できるように設けられたキャスタ３
０と、木製天板２０の下面の長辺に沿って取り付けられ
たスペーサ幕板４０がとからなる。

【００４１】本発明に係る木製台車１０は、このスペー
サ幕板４０のスペーサ機能を利用して、少ないスペース
で上下に安定したスタッキング状態を確保するというも
のである。そのため、木製天板２０を縦横交互にスタッ
キングする際にキャスタ３０が干渉しないように、木製
天板２０の長辺におけるキャスタ３０間の距離Ａが木製
天板２０の短辺寸法Ｂよりも大であることが前提条件と
なる。

【００４２】尚、木製天板２０の略中央には、持ち運び
が簡単に行なえるように円形状の持運び用開口２１が形
成されており、同木製天板２０の下面４隅にはキャスタ
３０が取り付けられている。キャスタ３０はの構造は、
正方形状のブラケット３１がボルト３１ａにより木製天
板２０の下面４隅部に固定され、ローラ３２を軸受けす
る軸受け体３３がこのブラケット３１に回動自在に支持
されているというものであり、この構造により、ローラ
３２は全方位方向に自在に移動できるようになってい
る。

【００４３】ところで、本発明に係る木製台車１０の特
徴は、長方形状の木製天板２０の下面に、スペーサ幕板
４０が取り付けられていることであり、このスペーサ幕
板４０は、図３に示すように、木製の長尺プレートで長
手方向両端末にキャスタ３０との干渉を避けるための切
欠き４１が形成されている。また、木製天板２０に開設
した取付丸孔２２に対応して、スペーサ幕板４０の縁部
４２に沿って複数箇所にダボ４３が設けられている。
尚、木製のスペーサ幕板に替えて、樹脂材料を使用し、
射出成形により所望形状に成形しても良い。

【００４４】そして、木製天板２０の取付丸孔２２内に
このダボ４３を嵌着固定しても所望の取付強度が得られ
るが、更に接着剤を介してスペーサ幕板４０の取付強度
を強化するのが望ましい。

【００４５】次に、木製天板２０の下面にスペーサ幕板
４０を取り付けた状態を図４に示す。ここで、図５で示
すスタッキング状態を考慮した場合、木製天板２０の厚
み寸法ｄ、スペーサ幕板４０の高さ寸法ｈ１、及び、キ
ャスタ３０の高さ寸法ｈ２の間で、ｈ１×２+ｄ＞ｈ２
の関係が成立すること、即ち、スペーサ幕板４０の高さ
の２倍寸法と木製天板２０の厚み寸法の総和がキャスタ
３０の高さ寸法より大であることが必須となる。

【００４６】従って、本発明に係る木製台車１０を保管
スペース内に収容する際に縦横交互にスタッキングした
場合、図５に示されるように、木製天板２０の上面にそ
の上段にある木製台車１０のスペーサ幕板４０の下縁が
当接し、キャスタ３０が浮いた状態でスタッキングされ
る。ここで、木製台車１０は複数段上下に積み重ねて収
容することが可能であるため、複数の木製台車１０を収
容する際にも収容スペースが少なくて済み、収容スペー
ス効率を高めることができる。

【００４７】このように、スペーサ幕板４０のスペーサ
機能により、引越し業者は、木製台車１０を少ない収容
スペースで効率良く保管収容することができ、また、木
製台車１０の使用時の取り出しも容易に行なえる。

【００４８】更に、従前の木製台車にスペーサ幕板４０
をユーザーサイド等で適用することもできる。その場合
には、木製天板に適宜キリ加工等で取付丸孔２２を開設
し、スペーサ幕板４０のダボ４３を嵌着固定することに
より、簡単に組み立てることができ、スペーサ幕板４０
を使用することで、汎用台車に優れた保管、収容性能を
簡単に付与できる。

【００４９】次に、図６は、本発明に係る木製台車１０
を壁面５０の係止部５１に係止した状態を示すものであ
る。本発明に係る木製台車１０においては、スペーサ幕
板４０をフックとして機能させることにより、壁面５０
に対して係止状態で保持することができ、木製台車１０
の収容形態のバリエーションを高めることができる。

【００５０】更に、本発明に使用するスペーサ幕板４０
は、上述のスペーサ機能、及び、フック機能に加えて、
補強機能も備えている。例えば、図７に示すように、長
方形状の木製天板２０の下面にその長手方向に沿って両
サイドと中央の３列にスペーサ幕板４０を固定すること
により、木製天板２０の反り変形等を抑え、長期に亘り
木製天板２０のフラット状態を維持することができる。
特に、中央に固定したスペーサ幕板４０により図５に示
すスタッキング状態での木製台車１０の変形を有効に抑
えることができる。

【００５１】図８は本発明に係るスペーサ幕板４０の改
良例を示すもので、このスペーサ幕板４０の下縁には、
滑止め用ラバー体４４が貼付されている。この滑止め用
ラバー体４４としては、天然ゴム又はＳＢＲ、ＮＢＲ等
の合成ゴム、あるいはポリウレタンフォーム等の軟質樹
脂発泡体等から適宜選択しても良く、摩擦抵抗が大で、
しかも弾性に優れた材質のものが適している。

【００５２】同図に示された木製台車に１０おいては、
スペーサ幕板４０の下縁に滑止め用ラバー体４４が貼付
されているため、複数の木製台車１０を上下方向に沿っ
て縦横交互にスタッキングした際にスタッキング状態の
木製台車１０に外部から応力が加わっても、上下の台車
１０間でずれ等が生じることがなく、常に適正なスタッ
キング姿勢を維持できる。

【００５３】また、同図に示されたスペーサ幕板４０に
よれば、下縁に貼付された滑止め用ラバー体４４の緩衝
作用により、木製天板２０の表面が傷付くことがなく、
スタッキング作業における木製台車１０の保護が図れ
る。更に、滑止め用ラバー体４４によれば、スペーサ幕
板４０の左右間の高さ寸法のバラツキや、長手方向に沿
っての高さ寸法のバラツキがあっても、このバラツキを
吸収できるため、スタッキング時、常に木製天板２０を
水平状に維持でき、理想的なスタッキング状態を確保す
ることができる。

【００５４】図９乃至図１２は、木製天板２０の下面に
取り付けるスペーサ幕板４０の取付方向、幅方向に沿っ
て取り付けたものである。本実施形態による木製台車１
０は、図９に示されるように、スペーサ幕板４０の取付
位置が木製天板２０の下面前後側にそれぞれ幅方向に沿
って取り付けられるものであり、取付構造自体は図１乃
至図８に示す構造と同一であるため、詳細な説明は省略
する。

【００５５】ここで、図１０に示すように、木製天板２
０の幅寸法Ｂに対して、前後のスペーサ幕板４０の相間
距離Ｌを小さく設定することが後述するスタッキング姿
勢を良好に維持する上で必須となる。

【００５６】従って、図９に示す木製台車１０を上下に
積み上げていけば、図１１に示すように、図中斜線で示
すスペーサ幕板４０により、木製台車１０を安定した状
態でスタッキングできる。

【００５７】そして、木製天板２０の下面前後側にそれ
ぞれ幅方向に沿って延びるようにスペーサ幕板４０を配
置すれば、フラットなフロア面を搬送するときはもちろ
ん、スロープ５２を搬送する場合でも、円滑な搬送処理
が行なえる。

【００５８】図１乃至図８に示す木製台車１０では、ス
ペーサ幕板４０がスロープ５２のコーナー部５３と干渉
するため、円滑な搬送動作が得られない。しかしなが
ら、図９乃至図１２に示される変形例によれば、木製天
板２０の前後側の両側に幅方向に沿ってスペーサ幕板４
０を配置してあり、スペーサ幕板４０が木製天板２０の
長手方向中央部分に位置しないため、コーナー部５３と
干渉することがない。このため、コーナー部５３を含む
スロープ５２や搬送フロア面に段差や凸部が設けられて
いても、干渉することがなく、木製台車１０を円滑に搬
送することができる。

【００５９】次に、図１３乃至図１６は、本発明に係る
木製台車の第２実施形態を示すものであり、この実施形
態における木製台車１００は、荷物類を載置する木製天
板２０及び木製天板２０の下面４隅に取り付けられるキ
ャスタ３０の構成については、第１実施形態と同一であ
るため説明を省略する。第１実施形態の木製台車１０と
の違いは、第１実施形態のスペーサ幕板４０に替えて、
木製天板２０の４箇所に取り付けられるスペーサレッグ
６０が使用されていることであり、これが構成上の特徴
である。

【００６０】図１３，図１４に示されるように、木製天
板２０には、スペーサレッグ６０を取り付けるために４
箇所に貫通丸孔２３が開設されており、この貫通丸孔２
３は、縦横方向における貫通丸孔２３間の距離ａが等し
くなるように開設されている。また、スペーサレッグ６
０は、大径の木製円筒状のレッグ本体６１の一方側端面
にレッグ本体６１よりも小径でかつ短寸の円筒体からな
る嵌着片６２が一体形成されており、他方側端面には嵌
着片６２の径よりもやや小径でより短寸の円筒体からな
る差込み片６３が一体に形成されている。

【００６１】そして、スペーサレッグ６０の嵌着片６２
を木製天板２０の貫通丸孔２３内に嵌着固定することに
より、木製天板２０の下面４箇所にスペーサレッグ６０
が取り付けられて、木製台車１００が製作される。

【００６２】尚、図１５に示された、木製天板２０の厚
み（即ち貫通丸孔２３の長さ）ｄと、キャスタ３０の高
さｈ２と、レッグ本体６１の長さｈ３との数値関係とし
ては、ｈ３×２＋ｄ＞ｈ２の関係が成立するようになさ
れており、これを元にレッグ本体６１の寸法が設定され
る。すなわち、レッグ本体６１の長さ寸法の２倍寸法と
木製天板２０の厚み寸法の総和がキャスタ３０の高さ寸
法よりも大であることがキャスタ３０が浮いた状態でス
タッキングが可能となる条件である。

【００６３】更に、木製天板２０の貫通丸孔２３の径
と、スペーサレッグ６０の嵌着片６２の径をほぼ同一に
することにより、嵌着片６２は貫通丸孔２３に強固に取
り付けられるが、嵌着片６２よりも径の小さい差込み片
６３は下段の木製天板２０の貫通丸孔２３から容易に取
り外すことができる。尚、嵌着片６２の高さｈ４と差込
み片６３の高さｈ５の総和は、木製天板２０の厚みｄを
越えないように設定されている。

【００６４】従って、木製天板２０の貫通丸孔２３にス
ペーサレッグ６０の嵌着片６２を木製天板２０の下面側
から嵌着固定して製作した木製台車１００を縦横方向交
互に複数段スタッキングする場合には、図１５に示すよ
うに、木製天板２０の上面側から貫通丸孔２３内にスペ
ーサレッグ６０の差込み片６３を挿入していけば、図１
６に示すように、キャスタ３０を浮かせた状態で多くの
木製台車１００を上下にスタッキングすることができ
る。

【００６５】そして、このスタッキング状態において
は、スペーサレッグ６０が同一軸線Ｐ上に位置し、上下
の木製台車１００が相互にずれ込むことがなく、常に適
正なスタッキング姿勢を得ることができるとともに、ス
タッキング作業において、貫通丸孔２３内に差込み片６
３を挿入する際、差込み片６３のガイド作用により、ス
タッキング作業も効率良く行なうことができる。

【００６６】更に、スペーサレッグ６０における差込み
片６３の先端面に丸みをもたせれば、木製台車１００を
縦横方向に多段にスタッキングする際、スペーサレッグ
６０の差込み片６３を木製天板２０の貫通丸孔２３内に
容易に差し込むことができ、また、木製台車１００の取
り出しについても容易に行なうことができ、作業性及び
使い勝手を高めることができるという利点がある。

【００６７】また、この第２実施形態における木製台車
１００についても、第１実施形態の木製台車１０と同様
に、汎用の木製台車に貫通丸孔２３とスペーサレッグ６
０を設けることで容易に製作することができる。

【００６８】

【発明の効果】以上説明した通り、本発明によれば、木
製天板の下面にスペーサ幕板、あるいはスペーサレッグ
等の台車スタッキング用スペーサが取り付けられている
ことにより、木製台車を縦横方向に交互にスタッキング
した場合、スタッキング用スペーサによりキャスタが浮
いた状態となるため、木製台車を多数上下にスタッキン
グすることができ、少ないスペース内に多くの木製台車
を安全に収容保管することができ、収容スペース効率に
優れるという効果を有する。

【００６９】また、スタッキング用スペーサとして、ス
ペーサ幕板を使用すれば、スペーサ幕板のスペーサ機能
の他に、フック機能、補強機能が得られるため、木製台
車を壁面の係止部に引掛け保持することができ、保管形
態のバリエーションを高めることができるとともに、補
強機能により、長期使用によっても反り変形等が生じる
ことがなく、木製天板のフラット状態を長期に亘り維持
できるという効果を有する。

【００７０】更に、スタッキング用スペーサとして、ス
ペーサレッグを使用した場合、木製台車のスペース効率
に優れるとともに、スタッキング作業におけるガイド機
能が得られ、木製台車のスタッキング作業が円滑に行な
えるとともに、多数の木製台車をスタッキングした状態
において、上下の木製台車同士が凹凸部により、着脱自
在ではあるが嵌合しているため、木製台車が外部からの
衝撃によりずれ込んだりすることがなく、安定したスタ
ッキング姿勢を長期に亘り維持できるという効果を有す
る。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の第１実施形態による木製台車を表面側
から見た斜視図である。

【図２】図１に示す木製台車を裏面側から見た斜視図で
ある。

【図３】図１に示す木製台車におけるスペーサ幕板と木
製天板との取付構造を示す説明図である。

【図４】図１に示す木製台車の側面図である。

【図５】図１に示す木製台車のスタッキング状態を示す
説明図である。

【図６】図１に示す木製台車の壁面への係止状態を示す
説明図である。

【図７】図１に示す木製台車の変形例を裏面側から見た
斜視図である。

【図８】図１に示す木製台車の別の変形例を示す側面図
である。

【図９】図１に示す木製台車の変形例を裏面側から見た
斜視図である。

【図１０】図９に示す木製台車におけるスペーサ幕板の
取付位置を示す裏面側から見た平面図である。

【図１１】図９に示す木製台車のスタッキング状態を示
す側面図である。

【図１２】図９に示す木製台車のスロープ上を搬送する
状態を示す説明図である。

【図１３】本発明の第２実施形態による木製台車を裏面
側から見た斜視図である。

【図１４】図１３に示す木製台車を裏面側から見た平面
図である。

【図１５】図１３に示す木製台車におけるスペーサレッ
グと木製天板との取付構造を示す側面図

【図１６】図１３に示す木製台車のスタッキング状態を
示す側面図である。

【図１７】従来の木製台車を示す斜視図である。

【符号の説明】

１０、１００ 木製台車 ２０ 木製天板 ２１ 持運び用開口 ２２ 取付丸孔 ２３ 貫通丸孔 ３０ キャスタ ３１ ブラケット ３１ａ ボルト ３２ ローラ ３３ 軸受け体 ４０ スペーサ幕板 ４１ 切欠き ４２ 縁部 ４３ ダボ ４４ 滑止め用ラバー体 ５０ 壁面 ５１ 係止部 ５２ スロープ ５３ コーナー部 ６０ スペーサレッグ ６１ レッグ本体 ６２ 嵌着片 ６３ 差込み片 Ａ 木製天板の長辺におけるキャスタ間の距離 Ｂ 木製天板の短辺寸法 Ｌ スペーサ幕板間の相間距離 ｄ 木製天板の厚み ｈ１ スペーサ幕板の高さ ｈ２ キャスタの高さ ｈ３ スペーサレッグにおけるレッグ本体の長さ ｈ４ 嵌着片の長さ ｈ５ 差込み片の長さ

Claims (5)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 搬送荷物類を載置する長方形状の木製天
   板の下面４隅に移動用のキャスタが設けられるととも
   に、木製天板の下面両側にダボ付き幕板からなるスタッ
   キング用スペーサが取り付けられることにより木製台車
   が構成され、該木製台車を縦横交互にスタッキングした
   際、上記スタッキング用スペーサによりキャスタを浮か
   せた状態でスタッキングできるようにしたことを特徴と
   する木製台車。
2. 【請求項２】 ダボ付き幕板の下縁には、滑止め用ラバ
   ー体が貼付されていることを特徴とする請求項１に記載
   の木製台車。
3. 【請求項３】 搬送荷物類を載置する長方形状の木製天
   板の下面４隅に移動用のキャスタが設けられるととも
   に、この木製天板の縦横等間距離にある４箇所に貫通丸
   孔が開設され、スペーサレッグの一方端に設けた嵌着片
   を上記貫通丸孔内に嵌着することにより、木製天板下面
   の４箇所にスペーサレッグを取り付けて木製台車が構成
   され、木製台車を縦横交互にスタッキングする際、スペ
   ーサレッグの他方端の差込み片を下段の木製天板の貫通
   丸孔内に差し込むことにより、キャスタを浮かせた状態
   で、かつ上下の木製台車のずれを防止しながら複数の木
   製台車をスタッキング可能としたことを特徴とする木製
   台車。
4. 【請求項４】 木製天板の下面に取り付けられる台車ス
   タッキング用としてのスペーサ幕板であって、木製天板
   に設けられた取付丸孔に対応するダボを取付縁部に一体
   に設けたことを特徴とするスペーサ幕板。
5. 【請求項５】 木製天板の下面に取り付けられる台車ス
   タッキング用としてのスペーサレッグであって、レッグ
   本体の一方側端面に木製天板に開設されている貫通丸孔
   内に嵌着固定する嵌着片を設け、他方側端面に台車スタ
   ッキング時、下段の木製天板の貫通丸孔内に着脱自在に
   差し込むための差込み片を一体に設けたことを特徴とす
   るスペーサレッグ。