JP2002292799A - プラスチックカード積層体 - Google Patents

プラスチックカード積層体

Info

Publication number
JP2002292799A
JP2002292799A JP2001095243A JP2001095243A JP2002292799A JP 2002292799 A JP2002292799 A JP 2002292799A JP 2001095243 A JP2001095243 A JP 2001095243A JP 2001095243 A JP2001095243 A JP 2001095243A JP 2002292799 A JP2002292799 A JP 2002292799A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
resin
component
weight
rubber
sheet
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2001095243A
Other languages
English (en)
Inventor
Yoshikazu Niide
義和 新出
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Teijin Ltd
Original Assignee
Teijin Chemicals Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Teijin Chemicals Ltd filed Critical Teijin Chemicals Ltd
Priority to JP2001095243A priority Critical patent/JP2002292799A/ja
Publication of JP2002292799A publication Critical patent/JP2002292799A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【課題】耐熱性に優れ、且つエンボス加工性、耐衝撃強
度、及び機械的特性に優れ、燃焼時に有害なガスを発生
しないプラスチックカード積層体を提供する。 【解決手段】外層を構成するシート(オーバーシート)
が下記条件1および2を満足し、内層を構成するシート
(コアシート)が下記条件3を満足し、且つ該積層体が
各層のシートを熱融着により形成される。1シートの樹
脂組成物は、ASTM D−648に従って測定した荷
重たわみ温度が60℃以上であり、2シートの厚みは
0.005〜0.1mmであり、かつ3コアシートを形
成する樹脂組成物は、(i)ASTM D−638に従
って測定した引張降伏強度が35〜55MPa、(i
i)ASTM D−790に従って測定した曲げ弾性率
が3,000〜6,300MPa、(iii)曲げ弾性
率/引張降伏強度の比が60以上、(iv)ASTM
D−648に従って測定した荷重たわみ温度が100℃
以上である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は磁気カード、クレジ
ットカード、およびICカード等各種カードに利用でき
る、耐熱性に優れ、且つエンボス加工性、耐衝撃強度、
及び機械的特性に優れ、燃焼時に有害なガスを発生しな
いプラスチックカード積層体(以下カード積層体と略称
することがある)に関する。
【0002】
【従来の技術】キャッシュカード、クレジットカード、
会員カード、及びICカード等の一般的なカードは、オ
ーバーシート、コアシートからなる積層体を使用し製造
されるものが多く、また、特に日本においてはエンボス
加工により個人名や登録番号等が浮き出し文字として表
示されているものが多い。この種のプラスチックカード
積層体にはエンボス加工が容易なポリ塩化ビニル樹脂
(PVC)の積層体が用いられている。
【0003】しかし、PVCは燃焼時に有害な塩素ガス
を発生する為環境的に問題があり、またPVCは熱変形
温度が50〜80℃と低く、特に車内で放置されるなど
高温に曝される環境下での使用に不安がある。更には、
PVCは機械強度が弱く、衝撃及び曲げに対する割れや
クラックの問題があり、ICカード等の精密な部分を含
むカードに対しては十分なものとはいえず、この様な背
景で、PVCから他のプラスチックへの切り替えが望ま
れている。
【0004】これまでに、耐熱及び強度に優れるポリカ
ーボネート樹脂、ABS樹脂及びポリカーボネート/A
BSアロイ樹脂等からなる積層体が検討されている。
【0005】特開平9−141785号公報にはポリカ
ーボネート/ABSアロイのコアシートと全光線透過率
80%以上のオーバーシートからなる積層シートから製
造するカードが開示されているが、かかる公報に提案さ
れたカードではエンボス加工時に反り(エンボスソリ)
や割れ等を生じ、エンボス加工した文字の高さ(エンボ
スハイツ)も低いという問題点があった。エンボスソリ
が大きいとカードを読み取り機械で処理する際に不具合
が生じたり、ICモジュールが十分に保持できず脱落し
たり、またカード自体の質感の低下を招き好ましくな
い。またエンボスハイツが十分にならない場合は文字が
不鮮明であったり、長期の使用により不鮮明となりやす
いため好ましくない。
【0006】特開平9−175062号公報にはエンボ
ス可能なカード(積層体)として、カード(積層体)の
引張強度を58.8MPa以上、破壊伸びを40%以下
とするプラスチックカード(積層体)が開示されている
が、エンボスソリ、エンボスハイツに問題が有り、エン
ボス加工性は不充分である。
【0007】また、特開平11−1607号公報、特開
2000−44779号公報、特開2000−2265
26号公報等にもエンボス加工性に優れるカード基材
(積層体ではない)が開示されているが、これらについ
ても耐熱性およびエンボス特性の両方を満足するものは
得られていない。
【0008】このように、PVCからの他のプラスチッ
クへの切り替えが望まれているにもかかわらず、耐熱性
に優れ、且つエンボス加工性、耐衝撃性、及び機械的特
性の優れるカード積層体が無く、PVC積層体が使用さ
れ続けているのが現状である。
【0009】また、この様な背景に対して、本出願人
は、エンボス加工性および耐熱性に優れたカード基材を
発明し、特開2000−025369号公報および特開
2000−080263号公報において開示している。
特に後者においてはエンボス加工性において引張降伏強
度、曲げ弾性率、および曲げ弾性率/引張降伏強度の比
が特定の範囲であることが極めて重要であることを見出
し、良好なエンボス加工性のカードが得られることを開
示している。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】本発明の課題は、磁気
カード、クレジットカード、およびICカード等各種プ
ラスチックカードに利用できる耐熱性に優れ、且つエン
ボス加工性、耐衝撃強度、及び機械的特性が良好で、更
に燃焼時に有害なガスを発生しないカード積層体を提供
するものである。
【0011】本発明者は、オーバーシートとコアシート
からなるカード積層体の場合、カード基材が有する良好
なエンボス加工性および耐熱性を有効に発揮するために
は、オーバーシートとコアシートの構成及び接着方法が
重要であることを見出した。本発明はかかる観点より更
に検討を進めた結果、至ったものである。
【0012】
【課題を解決するための手段】本発明は、2枚以上のシ
ートを積層してなるプラスチックカード積層体であっ
て、外層を構成するシート(オーバーシート)が下記条
件(1)および(2)を満足し、内層を構成するシート
(コアシート)が下記条件(3)を満足し、且つ該積層
体が各層のシートを熱融着することにより形成されたこ
とを特徴とするプラスチックカード積層体にかかるもの
である。 (1)オーバーシートの樹脂組成物は、ASTM D−
648に従って測定した1.82MPa荷重下における
荷重たわみ温度が60℃以上であり、 (2)オーバーシートの厚みは0.005〜0.1mm
であり、かつ (3)コアシートを形成する樹脂組成物は、(i)AS
TM D−638に従って測定した引張降伏強度が35
〜55MPa、(ii)ASTM D−790に従って
測定した曲げ弾性率が3,000〜6,300MPa、
(iii)曲げ弾性率/引張降伏強度の比が60以上、
(iv)ASTM D−648に従って測定した1.8
2MPa荷重下における荷重たわみ温度が100℃以上
である。
【0013】本発明は好適には、上記コアシートが更に
下記条件(4)を満足するプラスチックカード積層体に
係るものである。 (4)コアシートを形成する樹脂組成物は、芳香族ポリ
カーボネート樹脂(A成分)20〜99重量%、スチレ
ン系樹脂および芳香族ポリエステル樹脂から選択させる
少なくとも1種の熱可塑性樹脂(B成分)1〜80重量
%、およびゴム状弾性体(C成分)0〜30重量%の合
計が100重量%である樹脂組成物100重量部当り、
平均粒子径0.5〜50μmの粒状充填材、平均粒子径
0.5〜50μmの板状充填材、及び平均繊維径が0.
5〜20μmの繊維状充填材から選択される少なくとも
1種の無機充填材(D成分)5〜40重量部を含んでな
るポリカーボネート樹脂組成物。
【0014】更に本発明は好適には、オーバーシート
が、芳香族ポリカーボネート樹脂、芳香族ポリエステル
樹脂、透明ABS樹脂、AS樹脂、及びポリアルキル
(メタ)アクリレート樹脂から選択される少なくとも1
種の熱可塑性樹脂であるプラスチックカード積層体に係
るものであり、更に好適には、オーバーシートが、テレ
フタル酸単位を主とする芳香族ジカルボン酸単位と、エ
チレングリコール単位および1,4−シクロヘキサンジ
メタノール単位を主とするジオール単位からなる芳香族
ポリエステルであるプラスチックカード積層体に係るも
のである。
【0015】本発明は好適には、上記D成分が平均粒子
径0.5〜10μmのタルク、マイカまたはその混合物
からなるプラスチックカード積層体に係るものである。
【0016】本発明は好適には、上記C成分がポリオル
ガノシロキサンゴム成分とポリアルキル(メタ)アクリ
レートゴム成分とが分離できない様に相互に絡み合った
構造を有する複合ゴムに、芳香族ビニル、シアン化ビニ
ル、アクリル酸エステル、及びメタクリル酸エステルか
ら選択される1種または2種以上がグラフト重合されて
なる複合ゴム系グラフト共重合体であって、かかる複合
ゴムがC成分中40〜70重量%であり、更に該C成分
がA成分、B成分及びC成分からなる樹脂組成物100
重量%中2〜25重量%であるプラスチックカード積層
体に係るものである。
【0017】更に本発明は好適には、コアシートを形成
する樹脂組成物が、更にカルボキシル基及び/またはカ
ルボン酸無水物基を含有するオレフィン系ワックス(E
成分)をA成分、B成分、および任意にC成分の合計1
00重量部に対し、0.02〜5重量部含有するプラス
チックカード積層体に係るものである。
【0018】次に本発明の詳細について説明する。
【0019】本発明のプラスチックカード積層体(以下
単に“カード積層体”とする)は、2枚以上のシートを
積層してなる積層体であり、外層を構成するオーバーシ
ートおよび内層を構成するコアシートからなるものであ
る。更に該カード積層体は各層のシートを熱融着するこ
とにより形成されるものである。かかる熱融着により、
オーバーシートの積層されたカード積層体においても、
コアシートの有するエンボス加工性を最大限有効に発揮
することが可能となる。
【0020】カード積層体の層構成としては、(i)オ
ーバーシートおよびコアシートの2層のみからなる積層
体(かかる構成を“オーバー/コア”のように表記す
る)、(ii)オーバー/コア/オーバーの3層からな
る積層体、(iii)オーバー/コア/コア/オーバー
の4層からなる積層体、(iv)オーバー/3層以上の
コア積層体/オーバーの5層以上からなる積層体などが
代表的に挙げられ、更に上記それぞれの場合にオーバー
シートが2層以上積層した積層体などを挙げることがで
きる。
【0021】最も代表的で好ましい層構成としては、上
記(iii)の4層からなる積層体を挙げることができ
る。これはコアシートのそれぞれの片面に印刷加工を
行いそれを張り合わせることで両面印刷製品が簡便に得
られること、非接触のICカードにおいてコアシート
間にICモジュールや受信コイルを挟み込むことで容易
に該カードが得られることなどによる。
【0022】本発明のカード積層体には、磁気記録部
分、光記録部分、バーコード、ホログラムなどの情報の
読み取りおよび記録が可能な部分を1種または2種以上
組み合わせて設けることができる。またICモジュール
を積載することもできる。
【0023】後述する本発明のコアシートは、寸法精度
や熱膨張の点でも有利な特性を有するため、特にICモ
ジュールを有するカードであって、車内などの高温に暴
露される部分で保管されるカードにおいて好適である。
ICモジュールおよびそれに付属する他の部品は、従来
公知の各種の方法でカード積層体内に固定することがで
きる。かかる方法としては、カード積層体を製造後座刳
り加工してはめ込み、接着剤などで固定する方法、コア
シートを打ち抜きICモジュールをはめ込んで接着剤な
どで固定し、オーバーシートで覆う方法、および上記の
とおりコアシート間に挟み込み熱融着する方法などであ
る。コアシート間に挟み込む方法は打ち抜きや接着など
の余計な固定を必要とせず、更に本発明の好ましい態様
におけるコアシートが温和な条件においても良好な熱融
着性を有することから、好適な方法であるといえる。
【0024】本発明の各層を構成するシートは、従来公
知の方法によりシート化したものが使用でき、例えばオ
ーバーシートまたはコアシートを構成する熱可塑性樹脂
組成物のペレットなどをTダイにより押出成形すること
によりシート化することができる。またシート化の方法
としてカレンダー成形法、インフレーション成形法およ
びキャスティング法なども挙げることができる。更にシ
ートは未延伸のもの、延伸加工したもののいずれも使用
できる。
【0025】得られたコアシートおよびオーバーシート
からカード積層体とする方法としては、連続製造される
シートを連続して熱融着処理して積層体とし、その後裁
断などしてカード積層体とする方法、およびある程度の
大きさに裁断後バッチ方式で熱融着して積層体し、その
後裁断などしてカード積層体とする方法などが挙げられ
る。
【0026】シートの熱融着方法としては、オーバーシ
ートの材質により異なるが100〜180℃、1.5〜
3.0MPa荷重の条件で5〜20分程度熱融着(プレ
スラミネート)する方法等があげられる。積層するシー
トの間の一部に、ウレタン系、エポキシ系、アクリル
系、ビニル系、アミド系等のホットメルト系接着剤を塗
布してもよい。
【0027】カード積層体の構成としては、カード積層
体全体として0.6〜1mmの厚みであり、後述するよ
うにオーバーシートの厚み(片面分)が0.1mm以下
である。上述したようにコアシートは2層を貼りあわせ
たものが適切であり、この場合同じ厚みのものを2層あ
わせることが好ましいが、厚みの異なる層の積層体も適
用できる。
【0028】本発明で使用するオーバーシートは、
(1)オーバーシートの樹脂組成物は、ASTM D−
648に従って測定した1.82MPa荷重下における
荷重たわみ温度(以下“HDT”と称する)が60℃以
上であることを満足するものである。該HDTは好まし
くは60〜150℃、より好ましくは60〜100℃で
ある。かかる特性は、カード積層体の耐熱性と熱融着性
の両立を図る上で重要である。
【0029】更に本発明で使用するオーバーシートは、
(2)オーバーシートの厚みは0.005〜0.1mm
であることを満足するものである。該厚みは好ましくは
0.005〜0.07mm、より好ましくは0.015
〜0.07mm、更に好ましくは0.03〜0.06m
mである。0.005mm未満ではオーバーシートとし
ての保護機能が十分発揮されず、0.1mmを超えると
良好なエンボス加工性が得られない。
【0030】更に本発明のオーバーシートは光透過性を
有することが必要であり、具体的には好ましくはJIS
K7105にしたがって測定された全光線透過率が8
0%以上、より好ましくは85%以上であることが挙げ
られる。オーバーシートは無色透明および有色で透明の
いずれも選択できる。かかる透明性に優れたオーバーシ
ートにより、印刷絵柄の色調および美観を損なうことな
く、長期の使用に耐えるカード積層体が得られる。印刷
は通常コアシートに施し、透明なオーバーシートを積層
するのが一般的であるが、オーバーシート上に印刷層、
磁気情報層、および光情報層などを有するものであって
もよい。
【0031】オーバーシートに使用できる透明な熱可塑
性樹脂としては、芳香族ポリカーボネート樹脂、芳香族
ポリエステル樹脂、透明ゴム強化スチレン系樹脂(透明
ABS樹脂、透明HIPS樹脂など)、AS樹脂(アク
リロニトリル−スチレン共重合体樹脂)、ポリアルキル
(メタ)クリレート樹脂、酢酸セルロース、ナイロン、
エチレン−酢酸ビニル共重合体鹸化物、ポリプロピレ
ン、ポリビニルブチラール、MS樹脂(メチルメタクリ
レート−スチレン共重合体樹脂)、環状ポリオレフィン
樹脂、ポリ(4−メチルペンテン−1)樹脂、非晶性ポ
リアリレート樹脂もしくはそれらからなるポリマーアロ
イ樹脂が挙げられる。
【0032】中でも、芳香族ポリカーボネート樹脂、芳
香族ポリエステル樹脂、透明ABS樹脂、AS樹脂、ポ
リアルキル(メタ)クリレート樹脂が好ましく使用でき
る。
【0033】より好ましくは、芳香族ポリカーボネート
樹脂、透明ABS樹脂、ポリエチレンテレフタレート、
及びテレフタル酸単位を主とする芳香族ジカルボン酸単
位とエチレングリコール単位および1,4−シクロヘキ
サンジメタノール単位を主とするジオール単位からなる
共重合芳香族ポリエステル樹脂である。
【0034】更に好ましくは、テレフタル酸単位を主と
する芳香族ジカルボン酸単位とエチレングリコール単位
および1,4−シクロヘキサンジメタノール単位を主と
するジオール単位からなる共重合芳香族ポリエステルで
ある。該共重合芳香族ポリエステル樹脂において好まし
くはジオール単位中1,4−シクロヘキサンジメタノー
ル単位が30〜90モル%であり、より好ましくは30
〜80モル%、更に好ましくは40〜70モル%であ
る。かかる共重合芳香族ポリエステル樹脂は、伸び特性
に優れて、本発明のカード積層体においてより良好なエ
ンボス加工性を達成する。一方良好な熱融着性も併せ持
つ。更に光沢に優れ、摩擦抵抗も低いため、オーバーシ
ートに要求される保護機能および印刷絵柄の色調を高め
る効果にも優れる。尚、各種樹脂の詳細については後述
する。
【0035】本発明のコアシートは、(3)コアシート
を形成する樹脂組成物は、(i)ASTM D−638
に従って測定した引張降伏強度が35〜55MPa、
(ii)ASTM D−790に従って測定した曲げ弾
性率が3,000〜6,300MPa、(iii)曲げ
弾性率/引張降伏強度の比が60以上、および(iv)
ASTM D−648に従って測定した1.82MPa
荷重下における荷重たわみ温度が100℃以上の条件を
満足するものである。かかる条件は、良好なエンボス加
工性および耐熱性を有するカード積層体の達成に必要で
ある。それぞれの条件について説明する。
【0036】上記(i)においてASTM D−638
に従って測定した引張降伏強度が35MPa未満では、
カード積層体が変形しやすくなり実用上好ましくない。
かかる引張降伏強度が55MPaを超えるとエンボスハ
イツが不十分となりやすい。かかる引張降伏強度は44
〜54MPaが好ましく、45〜50MPaがより好ま
しい。
【0037】上記(ii)において、ASTM D−7
90に従って測定した曲げ弾性率が3,000未満では
エンボスソリが大きくなりやすく、6,300MPaを
超えるとエンボス加工時に割れまたはクラックを生じる
場合がある。かかる曲げ弾性率は3,400〜4,50
0MPaが好ましく、3,500〜4,200MPaが
より好ましい。
【0038】上記(iii)の曲げ弾性率/引張降伏強
度の比は、エンボスソリ、エンボスハイツの両立のため
重要な特性値である。かかる比が60未満の場合にこれ
らの両立を図ることが困難となる場合が多い。更にかか
る比は70以上が好ましく、70〜90の範囲がより好
ましい。
【0039】上記(iv)のASTM D−648に従
って測定した1.82MPa荷重下における荷重たわみ
温度が100℃未満の場合には、カード積層体の耐熱性
が不足し、車内放置などの高温暴露された場合に変形な
どが生ずる場合がある。かかる荷重たわみ温度は100
〜130℃の範囲が好ましく、100〜125℃の範囲
がより好ましく、105〜120℃の範囲が更に好まし
い。これらの範囲は良好な耐熱性と共に、カード積層体
製造時の良好な熱融着性を達成することができる。
【0040】本発明においてコアシートを形成する樹脂
組成物は、上記条件を満足するものであれば、特に限定
されないが、好ましくは芳香族ポリカーボネート樹脂と
他の熱可塑性樹脂および無機充填剤からなる樹脂組成物
であり、より好ましくは芳香族ポリカーボネート樹脂
(A成分)20〜99重量%、スチレン系樹脂および芳
香族ポリエステル樹脂から選択させる少なくとも1種の
熱可塑性樹脂(B成分)1〜80重量%、およびゴム状
弾性体(C成分)0〜30重量%の合計が100重量%
である樹脂組成物100重量部当り、平均粒子径0.5
〜50μmの粒状充填材、平均粒子径0.5〜50μm
の板状充填材、及び平均繊維径が0.5〜20μmの繊
維状充填材から選択される少なくとも1種の無機充填材
(D成分)5〜40重量部を含んでなるポリカーボネー
ト樹脂組成物(組成物I)である。
【0041】上記A成分の芳香族ポリカーボネート樹脂
としては、特に二価フェノールとして2,2−ビス(4
−ヒドロキシフェニル)プロパン[ビスフェノールA]
からなるものが好適である。A成分の粘度平均分子量
は、10,000〜50,000、好ましくは13,0
00〜30,000である。また上記組成物Iにおいて
は押出の際に生じるバラス効果が小さいものであること
がシートの押出製造が安定するため好ましい。したがっ
て、組成物IにおいてA成分の芳香族ポリカーボネート
樹脂はその分子量が13,000〜24,000がより
好ましく、14,000〜23,000が更に好まし
く、14,000〜20,000が特に好ましい。また
同様の理由で重合度が上記範囲外の芳香族ポリカーボネ
ート樹脂に10以下程度のカーボネートオリゴマーを含
めることで押出加工時のバラス効果を低下させることも
可能である。尚、芳香族ポリカーボネート樹脂の詳細に
ついては後述する。
【0042】本発明の組成物IにおけるB成分であるス
チレン系樹脂および芳香族ポリエステル樹脂から選択さ
れる少なくとも1種の樹脂は、A成分の引張降伏強度を
最適な範囲まで低下させることができ、またシートを成
形するに必要な溶融特性が得られる。更にカード積層体
の製造においては良好な熱融着性と、オーバーシートと
の良好な密着性を達成する。
【0043】かかるB成分のスチレン系樹脂としては、
具体的には、例えば、ポリスチレン樹脂、HIPS樹
脂、MS樹脂、ABS樹脂、AS樹脂、AES樹脂、A
SA樹脂、MBS樹脂、MABS樹脂、MAS樹脂、お
よびSMA樹脂などのスチレン系樹脂などを挙げること
ができる(ここでMS樹脂はメチルメタクリートとスチ
レンから主としてなる共重合体樹脂、AES樹脂はアク
リロニトリル、エチレン−プロピレンゴム、およびスチ
レンから主としてなる共重合体樹脂、ASA樹脂はアク
リロニトリル、スチレン、およびアクリルゴムから主と
してなる共重合体樹脂、MABS樹脂はメチルメタクリ
レート、アクリロニトリル、ブタジエン、およびスチレ
ンから主としてなる共重合体樹脂、MAS樹脂はメチル
メタクリレート、アクリルゴム、およびスチレンから主
としてなる共重合体樹脂、SMA樹脂はスチレンと無水
マレイン酸(MA)から主としてなる共重合体樹脂を指
す。)。尚、スチレン系樹脂の詳細については後述す
る。
【0044】上記B成分の芳香族ポリエステル樹脂とし
ては、例えばポリエチレンテレフタレート樹脂(PE
T)、ポリプロピレンテレフタレート樹脂、ポリブチレ
ンテレフタレート樹脂(PBT)、ポリヘキシレンテレ
フタレート樹脂、ポリエチレンナフタレート樹脂(PE
N)、ポリブチレンナフタレート樹脂(PBN)、ポリ
エチレン−1,2−ビス(フェノキシ)エタン−4,
4’−ジカルボキシレート樹脂などの他、テレフタル酸
とエチレングリコールおよび1,4−シクロヘキサンジ
メタノールとの共重合体樹脂(PCT)、ポリエチレン
イソフタレート/テレフタレート樹脂、ポリブチレンテ
レフタレート/イソフタレート樹脂などの共重合ポリエ
ステルが挙げられる。尚、芳香族ポリエステル樹脂の詳
細については後述する。より好ましくは、PET、PB
T、およびPCTを挙げることができる。
【0045】これらの中でもB成分としては、AS樹脂
およびABS樹脂を好ましい態様として挙げることがで
きる。かかる樹脂はエンボスソリおよびエンボスハイツ
をより良好に両立できる。更にAS樹脂は耐候性に優
れ、車内用に放置されることが多いカードの場合にはよ
り好適である。
【0046】本発明は上記組成物Iにおいてゴム状弾性
体を含むことができ、含んでいることがより好適であ
る。かかるゴム状弾性体は、およびコアシートに要求さ
れる各種の特性を満足することと靭性を向上させること
との制御を容易にすることができる。C成分の詳細につ
いては後述するが、ポリオルガノシロキサンゴム成分と
ポリアルキル(メタ)アクリレートゴム成分とが分離で
きない様に相互に絡み合った構造を有する複合ゴムに、
芳香族ビニル、シアン化ビニル、アクリル酸エステル、
及びメタクリル酸エステルから選択される1種または2
種以上がグラフト重合されてなる複合ゴム系グラフト共
重合体が好ましく、かかる複合ゴム系グラフト共重合体
中、複合ゴムが40〜70重量%含有するものがより好
ましい。かかる複合ゴム系グラフト共重合体の具体例と
しては、例えば三菱レーヨン(株)製「メタブレンS−
2001」や「メタブレンSRK−200」(いずれも
商品名)などを挙げることができる。
【0047】更に上記組成物IにおけるD成分である平
均粒子径0.5〜50μmの粒状充填材、平均粒子径
0.5〜50μmの板状充填材、及び平均繊維径が0.
5〜20μmの繊維状充填材から選択される少なくとも
1種の無機充填材は、カード積層体のエンボス加工性を
改良するのに必要な成分である。かかる無機充填材によ
りエンボス加工性が改良される理由は明確ではないが次
のように予想される。すなわち、かかる無機充填材の存
在により組成物Iの成分を溶融混練する際、A成分とB
成分により強いせん断力を与え、A成分とB成分の分散
はより細かくなる。これによりエンボス加工のような大
きな歪みを生ずる変形においても、剥離などを生ずるこ
となくかかる変形に追従できるようになる。他の理由と
しては剛性が向上することによりエンボス加工時に付加
される力に耐えることできるようになると予想される。
【0048】平均粒子径0.5〜50μmの板状または
粒状の充填剤としては、タルク、マイカ、ガラスフレー
ク、ガラスビーズ、炭酸カルシウム、酸化チタンなどを
挙げることができる。平均繊維径が0.5〜20μmの
繊維状充填剤としては、ガラス繊維、炭素繊維、ワラス
トナイト、各種ウイスカーなどを挙げることができる。
尚、繊維状充填剤とは繊維径(D)に対する長さ(L)
の比L/Dが3以上の充填材を指す。
【0049】板状または粒状の無機充填材において平均
粒子径が0.5μm未満の場合や、繊維状充填材におい
て平均繊維径が0.5μm未満では通常充填剤の補強効
果が小さいためにエンボスソリが大きくなる場合があ
る。平均粒子径が50μmを超えたり、平均繊維径が2
0μmを超える場合にはエンボス時の割れが生じる場合
がある。
【0050】これらの中で板状充填材がカード積層体自
体の反りを低減でき、かつ引張降伏強度および曲げ弾性
率のバランスを本発明の条件に合致しやすく、その制御
も容易であるため好ましく使用できる。更にその中でも
平均粒子径0.5〜10μmのタルク、マイカまたはそ
の混合物が好適である。
【0051】更に本発明においてはコアシートを形成す
る樹脂組成物が、無機充填材とマトリックス樹脂との密
着性を阻害する成分(以下単に“密着性阻害成分”と称
する)を含んでなるものが好適である。かかる密着性阻
害成分は曲げ弾性率を低下させることなく効果的に引張
降伏強度を低下させることが可能となり、本発明のコア
シートを形成する樹脂組成物に必要とされる特性を満足
しやすくなる。
【0052】かかる密着性阻害成分としては、具体的に
は、(i)マトリックス樹脂と親和性の低い化合物を無
機充填材の表面に直接被覆する方法、および(ii)マ
トリックス樹脂と親和性の低い構造および無機充填材の
表面と反応可能な官能基のいずれも有する化合物をマト
リックス樹脂と無機充填材と共に溶融混練する方法によ
り、マトリックス樹脂と無機充填材との間の密着性を阻
害するものである。
【0053】マトリックス樹脂と親和性の低い化合物と
しては各種の滑剤を代表的に挙げることができる。同様
にマトリックス樹脂との親和性の低い構造としてもかか
る滑剤の構造が好適である。すなわち上記(ii)の化
合物としては各種の官能基を有する滑剤を挙げることが
できる。
【0054】滑剤としては例えば、鉱物油、合成油、高
級脂肪酸エステル、高級脂肪酸アミド、ポリオルガノシ
ロキサン(シリコーンオイル、シリコーンゴムなど)、
オレフィン系ワックス(パラフィンワックス、ポリオレ
フィンワックスなど)、ポリアルキレングリコール、フ
ッ素化脂肪酸エステル、トリフルオロクロロエチレン、
ポリヘキサフルオロプロピレングリコールなどのフッ素
オイルなどが挙げられる。
【0055】密着性阻害成分の詳細については後述する
が、好ましい態様としてはカルボキシル基および/また
はカルボン酸無水物基を含有するオレフィン系ワックス
(E成分)を挙げることができる。α−オレフィンと無
水マレイン酸との共重合体が更に好ましい。
【0056】また、一般的にコアシート用樹脂組成物に
は白色度と遮光性を付与する為に酸化チタンが添加され
ており、本発明のコアシート用樹脂組成物においても、
D成分以外に、平均粒子径0.5μm未満の酸化チタン
を必要量添加することが好ましい。かかる酸化チタンと
しては各種のものが使用できる。
【0057】次に組成物Iにおける各成分の割合につい
て説明する。組成物Iにおいては、芳香族ポリカーボネ
ート樹脂(A成分)20〜99重量%、スチレン系樹脂
および芳香族ポリエステル樹脂から選択させる少なくと
も1種の熱可塑性樹脂(B成分)1〜80重量%、およ
びゴム状弾性体(C成分)0〜30重量%の合計が10
0重量%である樹脂組成物100重量部当り、平均粒子
径0.5〜50μmの粒状充填材、平均粒子径0.5〜
50μmの板状充填材、及び平均繊維径が0.5〜20
μmの繊維状充填材から選択される少なくとも1種の無
機充填材(D成分)5〜40重量部である。
【0058】更に上記においてA成分は30〜90重量
%が好ましく、40〜80重量%がより好ましく、50
〜70重量%が更に好ましい。
【0059】上記においてB成分は10〜70重量%が
好ましく、20〜60重量%がより好ましく、20〜4
0重量%が更に好ましい。
【0060】上記においてC成分は0〜20重量%が好
ましく、10〜20重量%がより好ましい。
【0061】上記においてD成分は、A成分〜C成分の
合計100重量%からなる樹脂組成物100重量部に対
して、10〜40重量部が好ましく、10〜30重量部
がより好ましく、10〜20重量部が更に好ましい。
【0062】また上記のE成分は、A成分〜C成分の合
計100重量%からなる樹脂組成物100重量部に対し
て、0.02〜5重量部が好ましく、0.05〜2重量
部がより好ましく、0.1〜1重量部が更に好ましい。
【0063】また酸化チタンは、通常組成物I100重
量%中、5〜15重量%であることが好ましい。
【0064】上記A成分が20重量%未満かつB成分が
80重量%を超える場合には耐熱性が不足する場合があ
る。A成分が99重量%を超えるかB成分が1重量%未
満の場合には、引張降伏強度が高くなりエンボス加工性
が不十分となる場合がある。C成分が30重量%を超え
る場合にはエンボス加工性が不十分となる場合がある。
更にD成分が5重量部未満の場合には曲げ弾性率が所定
の条件を満足できず良好なエンボス加工性を得られない
場合がある。またD成分が40重量部を超えるとエンボ
ス加工時に割れが生じる場合がある。
【0065】本発明により得られるカード積層体は、良
好な耐熱性と共に良好なエンボス加工性を有するもので
ある。より具体的には、以下の特性を満足するものであ
る。
【0066】すなわち、第1に、後述する実施例にお
けるエンボスソリの評価方法において、該エンボスソリ
が2mm以下、好ましくは1.5mm以下、より好まし
くは1.3mm以下であり、第2に、後述する実施例
におけるエンボスハイツの評価方法において、該エンボ
スハイツが0.45mm以上、好ましくは0.5mm以
上であり、第3に、後述する実施例におけるカード積
層体の耐熱性の評価方法において、該エンボスソリが2
mm以下、好ましくは1.5mm以下であるカード積層
体が本発明により提供される。
【0067】かかるカード積層体はエンボス加工性の施
される各種のクレジットカード、プリペイドカード、ス
マートカード、テレホンカード、各種証明用カード(身
分証明書、免許証、保険証など)、ETC用カード、お
よび旅客用定期券などの各種のカードに使用できるもの
である。
【0068】更にその情報識別方法から、磁気カード、
光カード、ホログラムカード、ICカード(接触式およ
び非接触式のいずれも含む)などの各種カードに使用で
きるものである。
【0069】殊に本発明のカード積層体は、その優れた
耐熱性およびエンボス加工性から、クレジットカードや
各種証明用カードとして使用の、および車内において使
用されるETCカードとしての使用に好適である。
【0070】次に本発明に使用される樹脂などの各成分
の詳細について説明する。
【0071】本発明に使用される芳香族ポリカーボネー
ト樹脂とは、二価フェノールとカーボネート前駆体とを
反応させて得られるものである。反応の方法としては界
面重縮合法、溶融エステル交換法、カーボネートプレポ
リマーの固相エステル交換法、および環状カーボネート
化合物の開環重合法などを挙げることができる。尚、本
発明において芳香族ポリカーボネート樹脂は、オーバー
シートにも使用でき、またコアシートの樹脂組成物とし
て好適な態様である組成物IのA成分として使用され
る。
【0072】二価フェノールの代表的な例としては、
2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン(通
称ビスフェノールA)、2,2−ビス{(4−ヒドロキ
シ−3−メチル)フェニル}プロパン、2,2−ビス
(4−ヒドロキシフェニル)ブタン、2,2−ビス(4
−ヒドロキシフェニル)−3−メチルブタン、9,9−
ビス{(4−ヒドロキシ−3−メチル)フェニル}フル
オレン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−
3,3−ジメチルブタン、2,2−ビス(4−ヒドロキ
シフェニル)−4−メチルペンタン、1,1−ビス(4
−ヒドロキシフェニル)−3,3,5−トリメチルシク
ロヘキサンおよびα,α’−ビス(4−ヒドロキシフェ
ニル)−m−ジイソプロピルベンゼンなどを挙げること
ができる。特に、ビスフェノールAの単独重合体が好ま
しい。
【0073】カーボネート前駆体としてはカルボニルハ
ライド、カーボネートエステルまたはハロホルメートな
どが使用され、具体的にはホスゲン、ジフェニルカーボ
ネートまたは二価フェノールのジハロホルメートなどが
挙げられる。
【0074】上記二価フェノールとカーボネート前駆体
を界面重縮合法または溶融エステル交換法によって反応
させて芳香族ポリカーボネート樹脂を製造するに当って
は、必要に応じて触媒、末端停止剤、二価フェノールの
酸化を防止するための酸化防止剤などを使用してもよ
い。また芳香族ポリカーボネート樹脂は三官能以上の多
官能性芳香族化合物を共重合した分岐ポリカーボネート
樹脂であっても、芳香族または脂肪族の二官能性カルボ
ン酸を共重合したポリエステルカーボネート樹脂、ポリ
オルガノシロキサンを共重合したポリカーボネート−オ
ルガノシロキサン共重合体であってもよい。また、得ら
れた芳香族ポリカーボネート樹脂の2種以上を混合した
混合物であってもよい。三官能以上の多官能性芳香族化
合物としては、1,1,1−トリス(4−ヒドロキシフ
ェニル)エタン、1,1,1−トリス(3,5−ジメチ
ル−4−ヒドロキシフェニル)エタンなどが使用でき
る。
【0075】かかる分岐ポリカーボネート樹脂を生ずる
多官能性芳香族化合物の割合は、好ましくは0.005
〜0.5モル%、特に好ましくは0.01〜0.3モル
%である。また特に溶融エステル交換法の場合、副反応
として分岐構造が生ずる場合があるが、かかる分岐構造
量についても同様である。尚、かかる割合については 1
H−NMR測定により算出することが可能である。分岐
ポリカーボネート樹脂はその溶融粘弾性から特にオーバ
ーシートへの適用が好ましい。
【0076】界面重縮合法による反応では通常末端停止
剤が使用される。かかる末端停止剤として単官能フェノ
ール類を使用することができる。単官能フェノール類の
具体例としては、例えばフェノール、p−tert−ブ
チルフェノール、p−クミルフェノールおよびイソオク
チルフェノールが挙げられる。また、末端停止剤は単独
でまたは2種以上混合して使用してもよい。
【0077】溶融エステル交換法による反応ではフェノ
ール性の末端基を減少するために、重縮反応の後期ある
いは終了後に、例えば2−クロロフェニルフェニルカー
ボネート、2−メトキシカルボニルフェニルフェニルカ
ーボネートおよび2−エトキシカルボニルフェニルフェ
ニルカーボネートなどの化合物を加えることができる。
【0078】さらに溶融エステル交換法では触媒の活性
を中和する失活剤を用いることが好ましい。かかる失活
剤の量としては、残存する触媒1モルに対して0.5〜
50モルの割合で用いるのが好ましい。
【0079】芳香族ポリカーボネート樹脂の分子量は粘
度平均分子量で表して10,000〜50,000であ
り、13,000〜30,000が好ましい。より好適
には、オーバーシートとして使用する場合には20,0
00〜30,000がより好ましい。コアシートの組成
物IにおけるA成分では、13,000〜24,000
がより好ましく、14,000〜23,000が更に好
ましく、14,000〜20,000が特に好ましい。
これらはいずれもシート化の加工安定性と強度の両立が
図れることがその理由である。
【0080】また、芳香族ポリカーボネート樹脂の2種
以上を混合しても差し支えない。この場合粘度平均分子
量が上記範囲外であるポリカーボネート樹脂とを混合す
ることも当然に可能である。
【0081】本発明でいう粘度平均分子量はまず次式に
て算出される比粘度を塩化メチレン100mlにポリカ
ーボネート樹脂0.7gを20℃で溶解した溶液からオ
ストワルド粘度計を用いて求め、 比粘度(ηSP)=(t−t0)/t0 [t0は塩化メチレンの落下秒数、tは試料溶液の落下
秒数] 求められた比粘度を次式にて挿入して粘度平均分子量M
を求める。 ηSP/c=[η]+0.45×[η]2c(但し[η]
は極限粘度) [η]=1.23×10-40.83 c=0.7
【0082】本発明のコアシートを形成する樹脂組成物
において、他の熱可塑性樹脂としては、ポリエチレン樹
脂、ポリプロピレン樹脂、およびポリ−4−メチルペン
テン−1、および環状ポリオレフィン樹脂などのポリオ
レフィン樹脂、ポリスチレン樹脂、HIPS樹脂、MS
樹脂、ABS樹脂、AS樹脂、AES樹脂、ASA樹
脂、MBS樹脂、MABS樹脂、MAS樹脂、水添ポリ
スチレン樹脂、およびSMA樹脂などのスチレン系樹
脂、ポリメチルメタクリレートなどのアクリル樹脂、並
びにスチレン系熱可塑性エラストマー、オレフィン系熱
可塑性エラストマーなど各種の熱可塑性エラストマーを
挙げることができる。
【0083】更にポリフェニレンエーテル樹脂、ポリア
セタール樹脂、ポリアルキレンテレフタレート樹脂、脂
肪族ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリアリレー
ト樹脂(非晶性ポリアリレート、液晶性ポリアリレー
ト)、ポリエーテルエーテルケトン樹脂、ポリエーテル
イミド樹脂、ポリサルフォン樹脂、ポリエーテルサルフ
ォン樹脂、およびポリフェニレンサルファイド樹脂など
を挙げることができる。
【0084】本発明のスチレン系樹脂は、芳香族ビニル
化合物の重合体または共重合体、またこれと必要に応じ
てこれらと共重合可能な他のビニル単量体およびゴム質
重合体より選ばれる1種以上を共重合して得られる重合
体をいう。
【0085】芳香族ビニル化合物としては、スチレン、
α−メチルスチレン、o−メチルスチレン、p−メチル
スチレン、ビニルキシレン、エチルスチレン、ジメチル
スチレン、p−tert−ブチルスチレン、ビニルナフ
タレン、メトキシスチレン、モノブロムスチレン、ジブ
ロムスチレン、フルオロスチレン、トリブロムスチレン
などが挙げられ、特にスチレンが好ましい。これらは単
独または2種以上用いることができる。
【0086】芳香族ビニル化合物と共重合可能な他のビ
ニル単量体としては、シアン化ビニル化合物および(メ
タ)アクリル酸エステル化合物を好ましく挙げることが
できる。
【0087】シアン化ビニル化合物としては、アクリロ
ニトリル、メタクリロニトリルなどが挙げられ、特にア
クリロニトリルが好ましい。これらは単独または2種以
上用いることができる。
【0088】(メタ)アクリル酸エステル化合物として
は、具体的にはメチル(メタ)アクリレート、エチル
(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレー
ト、イソプロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メ
タ)アクリレート、アミル(メタ)アクリレート、ヘキ
シル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレ
ート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、シク
ロヘキシル(メタ)アクリレート、ドデシル(メタ)ア
クリレート、オクタデシル(メタ)アクリレート、フェ
ニル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレ
ートなどを挙げることができる。これらは単独または2
種以上用いることができる。尚(メタ)アクリレートの
表記はメタクリレートおよびアクリレートのいずれをも
含むことを示し、(メタ)アクリル酸エステルの表記は
メタクリル酸エステルおよびアクリル酸エステルのいず
れをも含むことを示す。
【0089】特にスチレン系樹脂において好適なシアン
化ビニル化合物としてはアクリロニトリルが挙げられ、
特に好適な(メタ)アクリル酸エステル化合物としては
メチルメタクリレートを挙げることができる。
【0090】シアン化ビニル化合物および(メタ)アク
リル酸エステル化合物以外の芳香族ビニル化合物と共重
合可能な他のビニル単量体としてはグリシジルメタクリ
レートなどのエポキシ基含有メタクリル酸エステル、マ
レイミド、N−メチルマレイミド、N−フェニルマレイ
ミドなどのマレイミド系単量体、アクリル酸、メタクリ
ル酸、マレイン酸、無水マレイン酸、フタル酸、イタコ
ン酸などのα,β−不飽和カルボン酸およびその無水物
が挙げられる。
【0091】上記芳香族ビニル化合物と共重合可能なゴ
ム質重合体とは、ガラス転移温度が10℃以下、好まし
くは−10℃以下、より好ましくは−30℃以下のゴム
成分を主成分とする重合体をいう。かかるゴム質重合体
としては、ポリブタジエン、ポリイソプレン、ジエン系
共重合体(例えば、スチレン・ブタジエンのランダム共
重合体およびブロック共重合体、アクリロニトリル・ブ
タジエン共重合体、並びにアクリル酸アルキルエステル
またはメタクリル酸アルキルエステルおよびブタジエン
の共重合体など)、エチレンとα−オレフィンとの共重
合体(例えば、エチレン・プロピレンランダム共重合体
およびブロック共重合体、エチレン・ブテンのランダム
共重合体およびブロック共重合体など)、エチレンと不
飽和カルボン酸エステルとの共重合体(例えばエチレン
・メタクリレート共重合体、およびエチレン・ブチルア
クリレート共重合体など)、エチレンと脂肪族ビニルと
の共重合体(例えば、エチレン・酢酸ビニル共重合体な
ど)、エチレンとプロピレンと非共役ジエンターポリマ
ー(例えば、エチレン・プロピレン・ヘキサジエン共重
合体など)、アクリル系ゴム(例えば、ポリブチルアク
リレート、ポリ(2−エチルヘキシルアクリレート)、
およびブチルアクリレートと2−エチルヘキシルアクリ
レートとの共重合体など)、並びにシリコーン系ゴム
(例えば、ポリオルガノシロキサンゴム、ポリオルガノ
シロキサンゴム成分とポリアルキル(メタ)アクリレー
トゴム成分とからなるIPN型ゴム;すなわち2つのゴ
ム成分が分離できないように相互に絡み合った構造を有
しているゴム、およびポリオルガノシロキサンゴム成分
とポリイソブチレンゴム成分からなるIPN型ゴムな
ど)が挙げられる。
【0092】かかるゴム強化されたスチレン系樹脂にお
いては、そのゴム成分の含有量は40重量%未満であ
る。
【0093】上記スチレン系樹脂として具体的には、例
えば、ポリスチレン樹脂、HIPS樹脂、MS樹脂、A
BS樹脂、AS樹脂、AES樹脂、ASA樹脂、MBS
樹脂、MABS樹脂、MAS樹脂、およびSMA樹脂な
どを挙げることができる。
【0094】上記スチレン系樹脂は塊状重合、懸濁重
合、乳化重合のいずれの方法で製造されたものでもよい
が、より好ましくは乳化重合により製造されたものであ
る。尚、上記の乳化重合として、ソープフリー重合、
(多段)シード重合、二段階膨潤法などより製造された
ものでもよい。
【0095】本発明においてコアシートの樹脂組成物に
おける他の熱可塑性樹脂として使用されるABS樹脂、
殊に組成物IのB成分として使用されるABS樹脂につ
いて以下に説明する。
【0096】コアシートに使用されるABS樹脂におい
ては、ゴム粒子の平均粒子径(重量平均粒子径)は0.
1〜5.0μmが好ましく、より好ましくは0.2〜
3.0μm、更に好ましくは0.3〜0.9μmであ
る。かかるゴム粒子径の分布は単一の分布であるものお
よび2山以上の複数の山を有するもののいずれもが使用
可能であり、更にそのモルフォロジーにおいてもゴム粒
子が単一の相をなすものであっても、ゴム粒子の周りに
オクルード相を含有することによりサラミ構造を有する
ものであってもよい。
【0097】またコアシートに使用されるABS樹脂
は、該樹脂の重合の際に発生するポリブタジエン成分に
グラフトされないAS成分(フリーのAS成分)を含有
するものであってもよい。かかるフリーAS成分の分子
量は、GPC測定(ゲルパーミエーションクロマトグラ
フィー測定)により算出された重量平均分子量(Mw)
で表わして10,000〜500,000が好ましく、
50,000〜200,000がより好ましく、更に7
0,000〜150,000が好ましい。なお、ここで
示す重量平均分子量は、標準ポリスチレン樹脂による較
正直線を使用したGPC測定によりポリスチレン換算の
値として算出されたものである。
【0098】またコアシートに使用されるABS樹脂
は、そのグラフト率が20〜200%が好ましく、30
〜100%がより好ましく、50〜90%が更に好まし
い。更にアクリロニトリル成分とスチレン成分との比率
(アクリロニトリル成分/スチレン成分(重量比))が
10/90〜30/70が好ましい。
【0099】コアシートに使用されるABS樹脂は乳化
重合法や塊状重合法により製造されたいずれのABS樹
脂も使用できるが、好ましくは塊状重合法によるもので
ある。かかるABS樹脂は極めて不純物が少なく熱劣化
や長期の環境劣化に対する耐性に優れるためである。
【0100】一方でオーバーシートには、透明ABS樹
脂などの透明ゴム強化スチレン系樹脂を使用することが
できる。透明ゴム強化スチレン系樹脂としては、具体的
には透明ABS樹脂や透明HIPS樹脂と称される樹脂
を好適に挙げることができる。
【0101】透明ABS樹脂と称される樹脂は、メチル
メタクリレートで変性され、特定のゴム粒径およびその
割合によって透明性を達成したものである。かかる透明
ABS樹脂は、メチルメタクリレートモノマーをアクリ
ロニトリルやスチレンと共に共重合したもの、および高
ゴム含量のABS共重合体を、MAS共重合体(メチル
メタクリレート−アクリロニトリル−スチレン共重合
体)に均一に溶融混合したものなどを挙げることができ
る。
【0102】透明HIPS樹脂と称される樹脂は、ゴム
質重合体の存在下で、スチレン、メチルメタクリレー
ト、およびブチルアクリレートを共重合した4元共重合
体などを挙げることができる。かかる樹脂は例えば特開
昭52−124095号公報や特開平6−16744号
公報などに開示された樹脂が使用できる。
【0103】これらの透明ゴム強化スチレン系樹脂にお
いては、ゴム粒子の平均粒子径(重量平均粒子径)は
0.1〜0.5μmが好ましく、より好ましくは0.1
〜0.4μm、更に好ましくは0.15〜0.4μmで
ある。かかるゴム粒子のモルフォロジーにおいてはオニ
オン構造を有するものが好ましい。
【0104】また透明ゴム強化スチレン系樹脂のフリー
の共重合成分の分子量は、GPC測定により算出された
重量平均分子量(Mw)で表わして50,000〜20
0,000が好ましく、80,000〜200,000
がより好ましく、更に120,000〜150,000
が好ましい。なお、ここで示す重量平均分子量は、標準
ポリスチレン樹脂による較正直線を使用したGPC測定
によりポリスチレン換算の値として算出されたものであ
る。
【0105】またそのグラフト率は、20〜60重量%
が好ましく、30〜50重量%がより好ましい。
【0106】本発明のAS樹脂としては、そのアクリロ
ニトリル成分とスチレン成分との比率(アクリロニトリ
ル成分/スチレン成分(重量比))が20/80〜30
/70を好ましく挙げることができる。かかる範囲にお
いてはポリカーボネート樹脂との相溶性や密着性に優れ
る。またその分子量は、GPC測定により算出された重
量平均分子量(Mw)で表わして10,000〜50
0,000が好ましく、50,000〜200,000
がより好ましい(標準ポリスチレン換算)。
【0107】本発明の芳香族ポリエステル樹脂は、芳香
族ジカルボン酸とジオール、またはそのエステル誘導体
とを主成分とする縮合反応により得られる重合体ないし
は共重合体である。
【0108】芳香族ジカルボン酸成分としては、テレフ
タル酸、イソフタル酸、1,5−ナフタレンジカルボン
酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、2,5−アント
ラセンジカルボン酸、ビス安息香酸、2,6−アントラ
センジカルボン酸、4,4−ビフェニルエーテルジカル
ボン酸、4,4’−ビフェニルスルホンジカルボン酸
1,2−ビス(フェノキシ)エタン−4,4’−ジカル
ボン酸などを挙げることができる。更に共重合可能なジ
カルボン酸としてアジピン酸、ドデカン二酸、1,4−
シクロヘキサンジカルボン酸などの脂肪族ジカルボン酸
および脂環族ジカルボン酸を挙げることができる。これ
ら共重合可能なジカルボン酸は単独でも、2種類以上混
合しても用いることができる。これらの中でも特にテレ
フタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸が好ましく
使用できる。
【0109】また本発明の芳香族ポリエステル樹脂のジ
オール成分としては、エチレングリコール、1,4−ブ
タンジオール、1,3−プロパンジオール、2,2’−
ジメチル−1,3−プロパンジオール、1,4−シクロ
ヘキサンジメタノールなどを挙げることができる。さら
に分子量400〜6,000のポリエチレングリコール
を共重合してもよい。これらジオール成分は単独でも、
2種類以上を混合しても用いることができる。
【0110】具体的な芳香族ポリエステル樹脂として
は、既に述べたとおりである。また本発明に使用される
芳香族ポリエステル樹脂の末端基構造は特に限定される
ものではなく、末端基における水酸基とカルボキシル基
の割合がほぼ同量の場合以外に、一方の割合が多い場合
であってもよい。カルボキシル基の割合が少ないものが
より好適である。
【0111】本発明の芳香族ポリエステル樹脂の製造方
法については、常法に従い、チタン、ゲルマニウム、ア
ンチモンなどを含有する重縮合触媒の存在下に、加熱し
ながらジカルボン酸成分と前記ジオール成分とを重合さ
せ、副生する水または低級アルコールを系外に排出する
ことにより行われる。また本発明では、従来公知の重縮
合の前段階であるエステル交換反応において使用され
る、マンガン、亜鉛、カルシウム、マグネシウムなどの
化合物を併せて使用でき、およびエステル交換反応終了
後にリン酸または亜リン酸の化合物などにより、かかる
触媒を失活させて重縮合することも可能である。
【0112】芳香族ポリエステルの製造方法は、バッチ
式、連続重合式のいずれの方法をとることも可能であ
る。またその重合方法としては、溶融重縮合によりプレ
ポリマーを製造し、かかるプレポリマーの固体を固相重
合して高分子量化する方法が好適に挙げられる。
【0113】本発明の芳香族ポリエステル樹脂の分子量
については特に制限されないが、o−クロロフェノール
を溶媒として35℃で測定した固有粘度が0.5〜1.
5であるのが好ましく、特に好ましくは0.6〜1.2
である。
【0114】本発明のポリアルキル(メタ)アクリレー
ト樹脂とは、(メタ)アクリル酸エステル化合物の重合
体または共重合体をいう。(メタ)アクリル酸エステル
化合物の具体例は上述したとおりである。ポリアルキル
(メタ)アクリレート樹脂として好ましくはポリメチル
メタクリレート樹脂を挙げることができる。本発明のポ
リメチルメタクリレート樹脂は、メチルメタクリレート
を主成分とする重合体または共重合体をいう。共重合体
の共重合成分としては、前述した(メタ)アクリル酸エ
ステル化合物が挙げられる。ポリメチルメタクリレート
樹脂中メチルメタクリレートの組成割合としては、全重
合体成分100重量%中、80重量%以上であり、85
重量%以上が好ましく、90重量%以上が更に好まし
い。共重合成分としてはメチルアクリレートが好適であ
る。ポリメチルメタクリレート樹脂の重合方法としては
溶液重合、塊状重合、乳化重合などの各種ラジカル重合
の他、アニオン重合やグループトランスファー重合など
の各種重合法が使用できる。更にそれらにおいてリビン
グ重合を行い得られた、分子量分布の狭い樹脂なども使
用できる。かかるポリメチルメタクリレート樹脂はMB
S共重合体などを含むものであってもよい。
【0115】本発明の組成物IにおけるC成分のゴム状
弾性体は、ガラス転移温度が10℃以下、好ましくは−
10℃以下、より好ましくは−30℃以下のゴム成分を
40重量%以上含有するものである。例えば、かかるゴ
ム成分に、芳香族ビニル、シアン化ビニル、アクリル酸
エステル、メタクリル酸エステル、およびこれらと共重
合可能なビニル化合物から選択されたモノマーの1種ま
たは2種以上が共重合されたグラフト共重合体を挙げる
ことができる。一方架橋構造を有しない熱可塑性エラス
トマーとして知られている各種、例えばポリウレタンエ
ラストマー、ポリエステルエラストマー、スチレン−エ
チレンプロピレン−スチレンエラストマー、ポリエーテ
ルアミドエラストマー等を使用することも可能である。
【0116】ここでいうガラス転移温度が10℃以下の
ゴム成分としては、ブタジエンゴム、ブタジエン−アク
リル複合ゴム、アクリルゴム、アクリル-シリコーン複
合ゴム、イソブチレン−シリコーン複合ゴム、イソプレ
ンゴム、スチレン−ブタジエンゴム、クロロプレンゴ
ム、エチレン−プロピレンゴム、ニトリルゴム、エチレ
ン−アクリルゴム、シリコーンゴム、エピクロロヒドリ
ンゴム、フッ素ゴムおよびこれらの不飽和結合部分に水
素が添加されたものを挙げることができる。
【0117】中でもガラス転移温度が−10℃以下のゴ
ム成分を含有するゴム状弾性体が好ましく、特にブタジ
エンゴム、ブタジエン−アクリル複合ゴム、アクリルゴ
ム、アクリル-シリコーン複合ゴムを使用したゴム状弾
性体が好ましい。ここで複合ゴムとは、2種以上のゴム
成分が共重合または分離できないよう相互に絡み合った
IPN構造をとるように重合したゴムをいう。
【0118】かかるゴム状弾性体は市販されており容易
に入手することが可能である。例えばガラス転移温度が
10℃以下のゴム成分として、ブタジエンゴム、アクリ
ルゴムまたはブタジエン−アクリル複合ゴムを主体とす
るものとしては、鐘淵化学工業(株)のカネエースBシ
リーズ、三菱レーヨン(株)のメタブレンCシリーズW
シリーズ、呉羽化学工業(株)のEXLシリーズ、HI
Aシリーズ、BTAシリーズ、KCAシリーズ、宇部サ
イコン(株)製のUCLモディファイヤーレジンシリー
ズなどが挙げられ、ガラス転移温度が10℃以下のゴム
成分としてアクリル−シリコーン複合ゴムを主体とする
ものとしては三菱レーヨン(株)よりメタブレンS−2
001あるいはSRK−200という商品名で市販され
ているものが挙げられる。
【0119】本発明において好適なタルクとしては、平
均粒径が5μm以下のものを挙げることができる。更に
好ましくは平均粒径が3μm以下である。下限としては
0.5μmを挙げることができる。したがって好ましく
は平均粒径が0.5〜3μmのタルクを挙げることがで
きる。ここでタルクの平均粒径は、液相沈降法の1つで
あるX線透過法で測定されたD50(粒子径分布のメジ
アン径)をいう。かかる測定を行う装置の具体例として
はマイクロメリティックス社製Sedigraph51
00などを挙げることができる。
【0120】タルクは造粒された形態で使用されること
が好ましい。造粒方法としては、バインダーを使用する
場合と、実質的に使用しない場合がある。バインダーを
使用しないものがより好適である。バインダーを使用し
ない場合の造粒方法としては、脱気圧縮の方法(例えば
真空状態で脱気しながらブリケッティングマシーンなど
でローラー圧縮する方法など)、および転動造粒や凝集
造粒の方法などが挙げられる。
【0121】密着性阻害成分における高級脂肪酸エステ
ルとしては、グリセリン脂肪酸エステル、ソルビタン脂
肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、プロピ
レングリコール脂肪酸エステル、エチレングリコール脂
肪酸エステル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステルなど
を挙げることができ、中でもポリグリセリン脂肪酸エス
テルが好ましい。
【0122】滑剤においてはオレフィン系ワックスまた
はポリオルガノシロキサンが好ましい。オレフィン系ワ
ックスにおいては、ポリオレフィンワックスが好まし
く、特にポリエチレンワックスおよび/または1−アル
ケン重合体(α−オレフィンの重合体を含む)の使用が
好ましい。また分子量、分岐度などは特に制限されるも
のではないが、分子量としては重量平均分子量で500
〜20,000が好ましく、より好ましくは1,000
〜15,000である。ポリエチレンワックスとしては
現在一般に広く知られているものが使用でき、エチレン
を高温高圧下で重合したもの、ポリエチレンを熱分解し
たもの、ポリエチレン重合物より低分子量成分を分離精
製したものなどが挙げられる。ポリオレフィン系ワック
スは各種の官能基で変性されているものでもよい。ポリ
オルガノシロキサンにおいては、シリコーンオイルが好
ましい。
【0123】密着性阻害成分として作用する、官能基を
有する滑剤において、かかる官能基としては、例えばカ
ルボキシル基、カルボン酸無水物基、エポキシ基、オキ
サゾリン基、イソシアネート基、エステル基、アミノ
基、アルコキシシリル基などを挙げることができる。組
成物Iにおける芳香族ポリカーボネート樹脂との反応性
などから、官能基としてはカルボキシル基、カルボン酸
無水物基、エポキシ基、およびオキサゾリン基から選ば
れる少なくとも1種が好ましく、より好ましくはカルボ
キシル基、およびカルボン酸無水物基から選ばれる少な
くとも1種の官能基である。
【0124】本発明の密着性阻害成分として特に好適な
ものの1つは、カルボキシル基、およびカルボン酸無水
物基から選択された少なくとも1種の官能基を有するポ
リオレフィンワックスである。官能基を導入は従来公知
の方法により行うことができる。好ましい方法として
は、エチレン、プロピレン、炭素数4以上の1−アルケ
ン(α−オレフィンを含む)等を重合または共重合する
際に、マレイン酸、好ましくは無水マレイン酸を共重合
する方法が挙げられる。かかる方法は不必要な熱負荷が
なく、またかかる官能基の量の制御が容易である点でよ
り好ましい。本発明において特に好ましい密着性阻害成
分は、α−オレフィンと無水マレイン酸との共重合体で
ある。かかる共重合体は、常法に従いラジカル触媒の存
在下に、溶融重合あるいはバルク重合法で製造すること
ができる。ここでα−オレフィンとしてはその炭素数が
平均値として10〜60のものを好ましく挙げることが
できる。α−オレフィンとしてより好ましくはその炭素
数が平均値として16〜60、更に好ましくは25〜5
5のものを挙げることができる。
【0125】本発明の密着性阻害成分において、カルボ
キシル基およびカルボン酸無水物基の量としては、カル
ボキシル基およびカルボン酸無水物基から選択される少
なくとも1種の官能基を有する滑剤1g当り0.05〜
10meq/gの範囲が好ましく、より好ましくは0.
1〜6meq/gであり、更に好ましくは0.5〜4m
eq/gである。尚、ここで1eq(1当量)とは、カ
ルボキシル基の場合はカルボキシル基が1モル分存在す
ることをいい、カルボン酸無水物基の場合には、カルボ
ン酸無水物基が0.5モル分存在することをいう。他の
官能基の場合もカルボキシル基と同程度含まれているこ
とが好ましい。
【0126】本発明のオーバーシートおよびコアシート
を形成する樹脂中には、各種の添加剤を含めることがで
きる。添加剤としては熱安定剤、酸化防止剤、紫外線吸
収剤、帯電防止剤などが挙げられる。特にコアシートに
おいてシートの押出加工時の熱安定性を高めるために、
熱安定剤を含むことが好ましい。
【0127】熱安定剤としては例えば各種ホスファイト
化合物、ホスホナイト化合物、およびホスフェート化合
物などを好ましく挙げることができる。
【0128】ホスファイト化合物としては、トリス(ジ
エチルフェニル)ホスファイト、トリス(ジ−iso−
プロピルフェニル)ホスファイト、トリス(ジ−n−ブ
チルフェニル)ホスファイト、トリス(2,4−ジ−t
ert−ブチルフェニル)ホスファイト、トリス(2,
6−ジ−tert−ブチルフェニル)ホスファイト、ト
リス(2,6−ジ−tert−ブチルフェニル)ホスフ
ァイト、ジステアリルペンタエリスリトールジホスファ
イト、ビス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)
ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,6−
ジ−tert−ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエ
リスリトールジホスファイト、フェニルビスフェノール
Aペンタエリスリトールジホスファイト、ジシクロヘキ
シルペンタエリスリトールジホスファイトなどが挙げら
れる。
【0129】更に他のホスファイト化合物としては二価
フェノール類と反応し環状構造を有するものも使用でき
る。例えば、2,2’−メチレンビス(4,6−ジ−t
ert−ブチルフェニル)(2,4−ジ−tert−ブ
チルフェニル)ホスファイト、2,2’−メチレンビス
(4,6−ジ−tert−ブチルフェニル)(2−te
rt−ブチル−4−メチルフェニル)ホスファイト、
2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−tert−
ブチルフェニル)(2−tert−ブチル−4−メチル
フェニル)ホスファイト、2,2’−エチリデンビス
(4−メチル−6−tert−ブチルフェニル)(2−
tert−ブチル−4−メチルフェニル)ホスファイト
などを挙げることができる。
【0130】ホスフェート化合物としては、トリブチル
ホスフェート、トリメチルホスフェート、トリクレジル
ホスフェート、トリフェニルホスフェート、トリクロル
フェニルホスフェート、トリエチルホスフェート、ジフ
ェニルクレジルホスフェート、ジフェニルモノオルソキ
セニルホスフェート、トリブトキシエチルホスフェー
ト、ジブチルホスフェート、ジオクチルホスフェート、
ジイソプロピルホスフェートなどを挙げることができ、
好ましくはトリフェニルホスフェート、トリメチルホス
フェートである。
【0131】ホスホナイト化合物としては、テトラキス
(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)−4,4’
−ビフェニレンジホスホナイト、テトラキス(2,4−
ジ−tert−ブチルフェニル)−4,3’−ビフェニ
レンジホスホナイト、テトラキス(2,4−ジ−ter
t−ブチルフェニル)−3,3’−ビフェニレンジホス
ホナイト、テトラキス(2,6−ジ−tert−ブチル
フェニル)−4,4’−ビフェニレンジホスホナイト、
テトラキス(2,6−ジ−tert−ブチルフェニル)
−4,3’−ビフェニレンジホスホナイト、テトラキス
(2,6−ジ−tert−ブチルフェニル)−3,3’
−ビフェニレンジホスホナイト、ビス(2,4−ジ−t
ert−ブチルフェニル)−4−フェニル−フェニルホ
スホナイト、ビス(2,4−ジ−tert−ブチルフェ
ニル)−3−フェニル−フェニルホスホナイト、ビス
(2,6−ジ−n−ブチルフェニル)−3−フェニル−
フェニルホスホナイト、ビス(2,6−ジ−tert−
ブチルフェニル)−4−フェニル−フェニルホスホナイ
ト、ビス(2,6−ジ−tert−ブチルフェニル)−
3−フェニル−フェニルホスホナイト等があげられ、テ
トラキス(ジ−tert−ブチルフェニル)−ビフェニ
レンジホスホナイト、ビス(ジ−tert−ブチルフェ
ニル)−フェニル−フェニルホスホナイトが好ましく、
テトラキス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)
−ビフェニレンジホスホナイト、ビス(2,4−ジ−t
ert−ブチルフェニル)−フェニル−フェニルホスホ
ナイトがより好ましい。かかるホスホナイト化合物は上
記アルキル基が2以上置換したアリール基を有するホス
ファイト化合物との併用可能であり好ましい。
【0132】リン化合物からなる安定剤としては、ホス
ファイト化合物またはホスホナイト化合物が好ましい。
またこれらとホスフェート化合物との併用も好ましい。
【0133】上記の中でもコアシートに好適な組成物I
においては、下記式(1)の構造を有するホスファイト
化合物を含むことが好ましく、更にかかるホスファイト
化合物とアルキルホスフェートとを組み合わせて使用す
ることが好ましい。アルキルホスフェートとしては特に
トリメチルホスフェートが好適である。
【0134】
【化1】
【0135】[式中R1、R2はそれぞれ水素、炭素数1
〜20のアルキル基、炭素数6〜20のアリール基ない
しアルキルアリール基、炭素数7〜30のアラルキル
基、炭素数4〜20のシクロアルキル基、炭素数15〜
25の2−(4−オキシフェニル)プロピル置換アリー
ル基を示す。尚、シクロアルキル基およびアリール基
は、アルキル基で置換されていないもの、またはアルキ
ル基で置換されているもののいずれも選択できる。]
【0136】上記リン化合物からなる安定剤の組成割合
としては、本発明の樹脂組成物100重量%中、0.0
01〜2重量%が好ましく、より好ましくは0.005
〜1重量%、更に好ましくは0.01〜1重量%、特に
好ましくは0.01〜0.5重量%である。
【0137】酸化防止剤としては、フェノール系酸化防
止剤、イオウ系酸化防止剤などを挙げることができる。
フェノール系酸化防止剤としては種々のものを使用する
ことができる。
【0138】フェノール系酸化防止剤の具体例として
は、例えばn−オクタデシル−β−(4’−ヒドロキシ
−3’,5’−ジ−tert−ブチルフェル)プロピオ
ネート、2−tert−ブチル−6−(3’−tert
−ブチル−5’−メチル−2’−ヒドロキシベンジル)
−4−メチルフェニルアクリレート、3,9−ビス{2
−[3−(3−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−5
−メチルフェニル)プロピオニルオキシ]−1,1,−
ジメチルエチル}−2,4,8,10−テトラオキサス
ピロ[5,5]ウンデカン、およびテトラキス[メチレ
ン−3−(3’,5’−ジ−tert−ブチル−4−ヒ
ドロキシフェニル)プロピオネート]メタンなどを好ま
しく挙げることができ、n−オクタデシル−β−(4’
−ヒドロキシ−3’,5’−ジ−tert−ブチルフェ
ル)プロピオネートをより好ましく挙げることができ
る。
【0139】本発明のイオウ系酸化防止剤の具体例とし
ては、ジラウリル−3,3’−チオジプロピオン酸エス
テル、ジトリデシル−3,3’−チオジプロピオン酸エ
ステル、ジミリスチル−3,3’−チオジプロピオン酸
エステル、ジステアリル−3,3’−チオジプロピオン
酸エステル、ラウリルステアリル−3,3’−チオジプ
ロピオン酸エステル、ペンタエリスリトールテトラ(β
−ラウリルチオプロピオネート)エステル、ビス[2−
メチル−4−(3−ラウリルチオプロピオニルオキシ)
−5−tert−ブチルフェニル]スルフィド、オクタ
デシルジスルフィド、メルカプトベンズイミダゾール、
2−メルカプト−6−メチルベンズイミダゾール、1,
1’−チオビス(2−ナフトール)などを挙げることが
できる。より好ましくは、ペンタエリスリトールテトラ
(β−ラウリルチオプロピオネート)エステルを挙げる
ことができる。
【0140】また紫外線吸収剤などを含むこともでき
る。紫外線吸収剤としては、例えば2−ヒドロキシ−4
−n−ドデシルオキシベンゾフェノン、2,2’−ジヒ
ドロキシ−4,4’−ジメトキシベンゾフェノン、ビス
(5−ベンゾイル−4−ヒドロキシ−2−メトキシフェ
ニル)メタンなどに代表されるベンゾフェノン系紫外線
吸収剤を挙げることができる。
【0141】また紫外線吸収剤としては例えば2−
(2’−ヒドロキシ−5’−メチルフェニル)ベンゾト
リアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−5’−tert
−オクチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’
−ヒドロキシ−3’,5’−ジ−tert−ブチルフェ
ニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−
3’,5’−ジ−tert−アミルフェニル)ベンゾト
リアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’−ドデシル
−5’−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−
(2’−ヒドロキシ−3’,5’−ビス(α,α’−ジ
メチルベンジル)フェニルベンゾトリアゾール、2−
[2’−ヒドロキシ−3’−(3”,4”,5”,6”
−テトラフタルイミドメチル)−5’−メチルフェニ
ル]ベンゾトリアゾール、2,2’メチレンビス[4−
(1,1,3,3−テトラメチルブチル)−6−(2H
−ベンゾトリアゾール−2−イル)フェノール]、メチ
ル−3−[3−tert−ブチル−5−(2H−ベンゾ
トリアゾール−2−イル)−4−ヒドロキシフェニルプ
ロピオネート−ポリエチレングリコールとの縮合物に代
表されるベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤を挙げるこ
とができる。
【0142】更に紫外線吸収剤としては例えば、2−
(4,6−ジフェニル−1,3,5−トリアジン−2−
イル)−5−ヘキシルオキシフェノール、2−(4,6
−ビス(2,4−ジメチルフェニル)−1,3,5−ト
リアジン−2−イル)−5−ヘキシルオキシフェノール
などのヒドロキシフェニルトリアジン系化合物を挙げる
ことができる。
【0143】またビス(2,2,6,6−テトラメチル
−4−ピペリジル)セバケート、ビス(1,2,2,
6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)セバケート、
テトラキス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペ
リジル)−1,2,3,4−ブタンテトラカルボキシレ
ート、テトラキス(1,2,2,6,6−ペンタメチル
−4−ピペリジル)−1,2,3,4−ブタンテトラカ
ルボキシレート、ポリ{[6−(1,1,3,3−テト
ラメチルブチル)アミノ−1,3,5−トリアジン−
2,4−ジイル][(2,2,6,6−テトラメチルピ
ペリジル)イミノ]ヘキサメチレン[(2,2,6,6
−テトラメチルピペリジル)イミノ]}、ポリメチルプ
ロピル3−オキシ−[4−(2,2,6,6−テトラメ
チル)ピペリジニル]シロキサンなどに代表されるヒン
ダードアミン系の光安定剤も含むことができる。
【0144】フェノール系酸化防止剤、またはイオウ系
酸化防止剤の組成割合はそれぞれ本発明の樹脂組成物1
00重量%中、0.001〜2重量%が好ましく、より
好ましくは0.005〜1重量%、更に好ましくは0.
01〜1重量%、特に好ましくは0.01〜0.5重量
%である。
【0145】また紫外線吸収剤、光安定剤の組成割合
は、それぞれ本発明の樹脂組成物100重量%中、0.
001〜2重量%が好ましく、より好ましくは0.00
5〜1重量%、更に好ましくは0.01〜1重量%、特
に好ましくは0.01〜0.5重量%である。
【0146】本発明の樹脂組成物は離型剤を含むもので
あってよい。離型剤としては、例えば、飽和脂肪酸エス
テル、不飽和脂肪酸エステル、ポリオレフィン系ワック
ス、フッ素化合物(ポリフルオロアルキルエーテルに代
表されるフッ素オイルなど)、パラフィンワックス、蜜
蝋などを挙げることができる。
【0147】離型剤は本発明の樹脂組成物100重量%
中、0.001〜2重量%が好ましく、より好ましくは
0.005〜1重量%、更に好ましくは0.01〜1重
量%、特に好ましくは0.01〜0.5重量%である。
【0148】本発明では、特にオーバーシートにおいて
帯電防止性が必要とされる場合がある。その理由の1つ
はほこりの付着防止にある。その他の理由には静電気に
よりICなどの損傷を防止することにある。
【0149】本発明の帯電防止剤としては、例えばポリ
エーテルエステルアミド、グリセリンモノステアレー
ト、ドデシルベンゼンスルホン酸アンモニウム塩、ドデ
シルベンゼンスルホン酸ホスホニウム塩、アルキルスル
ホン酸ナトリウム塩、無水マレイン酸モノグリセライ
ド、無水マレイン酸ジグリセライドなどが挙げられる。
【0150】その他本発明の樹脂組成物には各種の着色
剤を含むことができる。着色剤としては無機顔料や有機
顔料を使用することができる。また顔料としてはマイカ
の表面に酸化チタンや酸化鉄などをコートしたもの、ア
ルミニウムフレーク、ガラスフレークの表面に金属コー
トをしたもの、マイカやガラスフレークの表面に屈折率
の異なる複数の層をコートし見る角度により色味の変化
するものなどに代表されるメタリック顔料を含むことも
できる。
【0151】本発明のオーバーシートまたはコアシート
を形成する樹脂組成物を製造するには、任意の方法が採
用される。例えば樹脂組成物中の各成分をそれぞれV型
ブレンダー、ヘンシェルミキサー、メカノケミカル装
置、押出混合機などの予備混合手段を用いて充分に混合
した後、場合により押出造粒器やブリケッティングマシ
ーンなどにより造粒を行い、その後ベント式二軸ルーダ
ーに代表される溶融混練機で溶融混練、およびペレタイ
ザー等の機器によりペレット化する方法が挙げられる。
【0152】他に、各成分をそれぞれ独立にベント式二
軸ルーダーに代表される溶融混練機に供給する方法や、
各成分のうち一部を予備混合した後、残りの成分と独立
に溶融混練機に供給する方法なども挙げられる。特に繊
維状の無機充填材は溶融混練時の繊維の折れを防止する
目的から、押出機途中から溶融状態の樹脂中に供給する
方法が好ましい。
【0153】尚、配合する成分に液状のものがある場合
には、溶融混練機への供給にいわゆる液注装置、または
液添装置を使用することができる。
【0154】
【発明の実施の形態】[実施例1〜18、比較例1〜7
及び参考例1]以下に実施例をあげて本発明を更に詳細
に説明する。
【0155】オーバーシートとして、表1および表2に
示す透明熱可塑性樹脂を、90〜120℃で6時間乾燥
した後、スクリュー径40mmのシート押出機[テクノ
ベル(株)製SZW40−30FPLG]を使用し、厚
み0.05mmのシートを得た。
【0156】コアシートとして、表1および表2に示す
各成分を表記載の配合割合にてV型ブレンダーで混合し
た後、スクリュー径30mmのベント式二軸押出機[神
戸製鋼(株)製KTX−30]によりシリンダー温度2
70℃でペレット化し、このペレットを100〜120
℃で6時間乾燥した後、スクリュー径40mmのシート
押出機[テクノベル(株)製SZW40−30FPL
G]を使用し、厚み0.34mmのシートを得た。
【0157】上記方法で得たオーバーシート及びコアシ
ートを、表1および表2に示した組み合わせでオーバー
シート(0.05mm)/コアシート1(0.34m
m)/コアシート2(0.34mm)/オーバーシート
2(0.05mm)の構成にて、オーバーシートの材質
により異なるが100〜180℃、1.5〜3.0MP
a荷重の条件で5〜20分程度熱融着し積層シートと
し、カードサイズ(85.5mm×54.0mm×厚み
0.78mm)に打ち抜き加工を行いカード積層体を得
た。得られたカード積層体は下記の(1)、(2)およ
び(6)の評価に使用した。また、オーバーシートおよ
びコアシートに使用した樹脂又は樹脂組成物について下
記の(3)、(4)および(5)の評価を行った。
【0158】比較例1は、オーバーシート(0.15m
m)/コアシート1(0.24mm)/コアシート2
(0.24mm)/オーバーシート2(0.15mm)
の構成にて同様にカード積層体を得たものである。また
比較例2は、シートの積層を熱融着ではなく、一般の接
着剤を使用し行った以外は実施例と同じ手順でカード積
層体を得たものである。また、参考例1はコアシートに
白色PVC、オーバーシートに透明PVCを配した市販
のPVCのカードを使用しエンボス加工性および耐熱性
の評価を行った。
【0159】評価は下記の方法によった。 (1)エンボス加工性 エンボス加工は(株)クスダ製小型電動エンボッサーK
E−7000ES(文字はJISX9001準拠)を用
いて行った。エンボス時のソリは、カード100枚に対
してカードに「123456789012345678
9」という特定の数字の列を図1に示す位置に1列エン
ボス加工を行った。その中からランダムに抽出した10
枚についてエンボスソリを測定しその平均値を算出し
た。測定はカードを水平な台に乗せエンボス文字の無い
部分のうち台から最も離れた点の高さをエンボスソリと
して(株)ミツトヨ製ハイトゲージ(No.570−2
23)を用いて測定した。この場合エンボスソリは2m
m以下が好ましい。エンボスハイツは、カードに数字の
“1“をエンボスし、エンボス文字の高さを(株)ミツ
トヨ製マイクロゲージ(No.293−111)にて測
定した。ここの場合エンボスハイツは0.45mm以上
が好ましい。また、エンボスソリの測定に使用した10
0枚のエンボス加工後のカードについて、割れ・クラッ
クの有無を目視にて観察した。
【0160】(2)カード積層体の耐熱性 上記(1)の評価で使用したエンボス加工後のカード基
材を、115℃の熱風型オーブン中で24時間処理後、
室温にて放置冷却した後、カードを水平な台に乗せ、エ
ンボス文字の無い部分のうち台から最も離れた点の高さ
をエンボスソリとして(株)ミツトヨ製ハイトゲージ
(No.570−223)を用いてエンボスソリを再度
測定した。かかる場合に1.5mm未満のエンボスソリ
であるものは◎、1.5〜2mmであるものは○、2m
mより大きい場合は×とした。
【0161】(3)荷重たわみ温度 ASTM D−648に従い、オーバーシートおよびコ
アシートに使用した樹脂または樹脂組成物の1.82M
Pa荷重下における荷重たわみ温度を測定した。
【0162】(4)引張強度 ASTM D−638に従い、コアシートに使用した樹
脂組成物の引張降伏強度を測定した。
【0163】(5)曲げ弾性率 ASTM D−790に従い、コアシートに使用した樹
脂組成物の曲げ試験を曲げ弾性率を測定した。
【0164】(6)充填材の平均粒子径 成形により得られたカード基材サンプルを電気炉にて5
00℃で3時間燃焼させ灰分を得た。得られた灰分を日
本電子(株)製JSM−6100型でタルク入りサンプ
ルについては4,000倍にて電子顕微鏡画像を異なる
箇所で撮り、この画像を(株)ピアス製PIAS−II
Iシステムにより画像解析することにより平均粒径を算
出した。画像解析は電子顕微鏡画像を2値化処理した
後、原画像との比較によりフィラー同士が重なったもの
や着色剤などの不適切な画像を除去した後、それぞれの
画像上のドット数から画像上の充填材個々の面積を算出
した。これを繰り返し測定総数を200個とした後、測
定総面積を算出し、更に面積の小さなものから面積を積
算しこれが総面積の50%となる部分を挟む2つ充填材
の面積の平均値を50%面積として算出した。この平方
根を平均粒子径として算出した。ガラスミルドファイバ
ーについては1,000倍で観察された画面から繊維径
に相当する2点間の距離を200個測り、その数平均値
として算出した。
【0165】なお、表1〜表2に記載の各成分を示す記
号は下記の通りである。 (オーバーシート) PC:ビスフェノールAとホスゲンより製造される粘度
平均分子量23,700の直鎖状芳香族ポリカーボネー
ト樹脂(帝人化成(株)製「パンライトL−125
0」、荷重たわみ温度133℃)のシート押し出しによ
って得られた全光線透過率90%の厚さ0.05mmの
シート、および0.15mmのシート(比較例用) ABS:透明ABS樹脂(ダイセル化学工業(株)製
「セビアン−VT150」、荷重たわみ温度86℃)を
シート押出しによって得られた全光線透過率85%の厚
さ0.05mmのシート(但し比較例1のもののみ0.
15mmのシートとした) AS:アクリロニトリル−スチレン共重体(三井化学
(株)製「ライタック980PC」、荷重たわみ温度9
2℃)をシート押し出しによって得られた全光線透過率
88%の厚さ0.05mmのシート PET:ポリエチレンテレフタレート(帝人(株)製
「TR−8580」、固有粘度0.8、荷重たわみ温度
65℃)のシート押し出しによって得られた全光線透過
率88%の厚さ0.05mmのシート CPET:ジオール成分中50モル%が1,4−シクロ
ヘキサンジメタノール単位である共重合ポリエステル
(イーストマン ケミカル ジャパン(株)製「EAS
TAR PCTG 5445」、荷重たわみ温度65
℃)のシート押し出しによって得られた全光線透過率9
0%の厚さ0.05mmのシート PVC:市販の透明PVCシート(比較例用)。
【0166】(コアシート) (A成分) PC−1:ビスフェノールAとホスゲンより製造される
粘度平均分子量22,500の直鎖状芳香族ポリカーボ
ネート樹脂(帝人化成(株)製「パンライトL−122
5」) PC−2:ビスフェノールAとホスゲンより製造される
粘度平均分子量19,500の直鎖状芳香族ポリカーボ
ネート樹脂(帝人化成(株)製「パンライトL−122
5L」) PC−3:ビスフェノールAとホスゲンより製造される
粘度平均分子量15,500の直鎖状芳香族ポリカーボ
ネート樹脂(帝人化成(株)製「パンライトL−122
5LL」)
【0167】(B成分) ABS:ABS樹脂(三井化学(株)製「サンタックU
T−61」) AS:アクリロニトリル−スチレン共重体(三井化学
(株)製「ライタック980PC」) PET:ポリエチレンテレフタレート(帝人(株)製
「TR−8580」、固有粘度0.8)
【0168】(C成分) ゴム状弾性体:ポリオルガノシリコンゴム成分とポリア
ルキル(メタ)アクリレートゴム成分とが分離できない
様に相互に絡み合った構造を有している複合ゴムにメチ
ルメチルメタクリレートがグラフト重合されてなる複合
ゴム系グラフト共重合体(三菱レイヨン(株)製「S−
2001」)
【0169】(D成分) タルク:タルク(林化成工業(株)製「Upn H−S
T0.8」、測定された平均粒子径:3μm) MF:ガラスミルドファイバー(日東紡(株)製「PF
E−301」、測定された平均繊維径:9μm)
【0170】(E成分) オレフィン系ワックス:α−オレフィンと無水マレイン
酸との共重合によるオレフィン系ワックス(ダイヤカル
ナ−PA30M;三菱化学(株)製(無水マレイン酸含
有量=10重量%))
【0171】(その他) 安定剤1:リン系安定剤(TMP、大八化学工業(株)
製) 安定剤2:リン系安定剤(アデカスタブPEP−8、旭
電化工業(株)製) 酸化チタン:Tioxide R−TC30(タイオキ
サイドジャパン(株)製、平均粒子径:0.2μm)
【0172】
【表1】
【0173】
【表2】
【0174】この表から明らかなように、本発明の組成
物から得られたカード積層体は115℃以上の耐熱性を
有し、現行汎用されているPVC製カードよりも良好な
エンボスソリ及びエンボスハイツを達成し、エンボス加
工性が極めて良好であることがわかる。
【0175】一方比較例1に示されるようにオーバーシ
ートが0.1mmより厚い場合では、実施例と同じ材質
のコアシートを使用した場合でも、オーバーシートの影
響でエンボス加工性および耐熱性が低下し好ましくな
い。また、比較例2に示されるようにシートの積層を、
熱融着以外の方法で行った場合においても、エンボス加
工性が低下し好ましくない。
【0176】また比較例3〜5に示されるように、コア
シート用樹脂組成物に特定の無機充填材が配合されない
場合は、エンボスソリが大幅に劣ることがわかる。更に
比較例6及び7よりそれらが特定量より多い場合や、曲
げ弾性率/引張り強度の比が60以上を満たさない場合
には、エンボスハイツとエンボスソリの高いレベルでの
両立はできない。また比較例3に示されるように、荷重
たわみ温度の条件を満足しない場合には、カード基材の
耐熱性が十分でなく、熱負荷により変形を生じることが
わかる。
【0177】尚、実施例1及び2の比較から、酸変性の
オレフィン系ワックスを添加した場合にはエンボス加工
性もより良好であると共に、成形時の熱安定性もより良
好でカード積層体の作成条件の幅が広く、より製作が容
易であることがわかる。
【0178】また実施例11の構成において、コアシー
ト間にICモジュール(厚み200μm)を挟みこみプ
レス温度130℃、圧力1MPaの条件で熱融着したと
ころ、表面の外観および平坦性に優れ、反りのないカー
ド積層体が得られた。
【0179】
【発明の効果】本発明のプラスチックカード積層体は、
耐熱性に優れ、且つエンボス加工性、耐衝撃強度、及び
機械的特性に優れ、更に燃焼時に有害なガスを発生せ
ず、磁気カード、クレジットカード、およびICカード
等各種カードとして最適である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例において使用した、JISX9
001に準拠したカード積層体(長さ85.5mm×幅
54.0mm×厚み0.80mm)にエンボスした位置
を示す正面図である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C08L 25/04 C08L 25/04 51/04 51/04 67/02 67/02 69/00 69/00 101/00 101/00 Fターム(参考) 2C005 HA10 HA17 HA21 HB20 JA01 JA08 JA11 KA03 LA03 MA07 MA11 MA19 MB10 NB13 PA04 QC12 RA04 4F100 AA01B AA21 AC05B AC10B AJ11B AK12A AK12B AK12C AK25B AK27A AK27C AK41A AK41B AK41C AK43A AK43C AK45A AK45B AK45C AK74A AK74C AL01A AL01C AL04B AL05A AL05B AL05C AL08B AL09B AN02B BA03 BA06 BA10A BA10C CA05 DE01B DE02B DE03B GB71 JA20A JA20B JA20C JJ03 JK01 JK02B JK07B JK10 JK20A JK20B JK20C JL00 JL01 YY00A YY00B YY00C 4J002 BB204 BC03X BC04X BC06X BN12X BN14X BN15X BN16X BN23Y CF03X CF05X CF06X CF08X CG00W DA017 DE136 DE236 DJ007 DJ046 DJ056 DL006 DL007 FA047 FA067 FD016 FD017 GC00 GF00

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 2枚以上のシートを積層してなるプラス
    チックカード積層体であって、外層を構成するシート
    (オーバーシート)が下記条件(1)および(2)を満
    足し、内層を構成するシート(コアシート)が下記条件
    (3)を満足し、且つ該積層体が各層のシートを熱融着
    することにより形成されたことを特徴とするプラスチッ
    クカード積層体。 (1)オーバーシートの樹脂組成物は、ASTM D−
    648に従って測定した1.82MPa荷重下における
    荷重たわみ温度が60℃以上であり、 (2)オーバーシートの厚みは0.005〜0.1mm
    であり、かつ (3)コアシートを形成する樹脂組成物は、(i)AS
    TM D−638に従って測定した引張降伏強度が35
    〜55MPa、(ii)ASTM D−790に従って
    測定した曲げ弾性率が3,000〜6,300MPa、
    (iii)曲げ弾性率/引張降伏強度の比が60以上、
    (iv)ASTM D−648に従って測定した1.8
    2MPa荷重下における荷重たわみ温度が100℃以上
    である。
  2. 【請求項2】 上記コアシートが更に下記条件(4)を
    満足する請求項1に記載のプラスチックカード積層体。 (4)コアシートを形成する樹脂組成物は、芳香族ポリ
    カーボネート樹脂(A成分)20〜99重量%、スチレ
    ン系樹脂および芳香族ポリエステル樹脂から選択させる
    少なくとも1種の熱可塑性樹脂(B成分)1〜80重量
    %、およびゴム状弾性体(C成分)0〜30重量%の合
    計が100重量%である樹脂組成物100重量部当り、
    平均粒子径0.5〜50μmの粒状充填材、平均粒子径
    0.5〜50μmの板状充填材、及び平均繊維径が0.
    5〜20μmの繊維状充填材から選択される少なくとも
    1種の無機充填材(D成分)5〜40重量部を含んでな
    るポリカーボネート樹脂組成物。
  3. 【請求項3】 オーバーシートが、芳香族ポリカーボネ
    ート樹脂、芳香族ポリエステル樹脂、透明ABS樹脂、
    AS樹脂、及びポリアルキル(メタ)アクリレート樹脂
    から選択される少なくとも1種の熱可塑性樹脂である請
    求項1または2のいずれかに記載のプラスチックカード
    積層体。
  4. 【請求項4】 オーバーシートが、テレフタル酸単位を
    主とする芳香族ジカルボン酸単位と、エチレングリコー
    ル単位および1,4−シクロヘキサンジメタノール単位
    を主とするジオール単位からなる共重合芳香族ポリエス
    テルである請求項1または2のいずれかに記載のプラス
    チックカード積層体。
  5. 【請求項5】 D成分が平均粒子径0.5〜10μmの
    タルク、マイカまたはその混合物からなる請求項2〜4
    のいずれか1項に記載のプラスチックカード積層体。
  6. 【請求項6】 C成分がポリオルガノシロキサンゴム成
    分とポリアルキル(メタ)アクリレートゴム成分とが分
    離できない様に相互に絡み合った構造を有する複合ゴム
    に、芳香族ビニル、シアン化ビニル、アクリル酸エステ
    ル、及びメタクリル酸エステルから選択される1種また
    は2種以上がグラフト重合されてなる複合ゴム系グラフ
    ト共重合体であって、かかる複合ゴムがC成分中40〜
    70重量%であり、更に該C成分がA成分、B成分及び
    C成分からなる樹脂組成物100重量%中2〜25重量
    %である請求項2〜5のいずれか1項に記載のプラスチ
    ックカード積層体。
  7. 【請求項7】 コアシートを形成する樹脂組成物が、更
    にカルボキシル基及び/またはカルボン酸無水物基を含
    有するオレフィン系ワックス(E成分)をA成分、B成
    分、および任意にC成分の合計100重量部に対し、
    0.02〜5重量部含有する請求項2〜6のいずれか1
    項に記載のプラスチックカード積層体。
JP2001095243A 2001-03-29 2001-03-29 プラスチックカード積層体 Pending JP2002292799A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2001095243A JP2002292799A (ja) 2001-03-29 2001-03-29 プラスチックカード積層体

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2001095243A JP2002292799A (ja) 2001-03-29 2001-03-29 プラスチックカード積層体

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2002292799A true JP2002292799A (ja) 2002-10-09

Family

ID=18949318

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2001095243A Pending JP2002292799A (ja) 2001-03-29 2001-03-29 プラスチックカード積層体

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2002292799A (ja)

Cited By (11)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2004175823A (ja) * 2002-11-25 2004-06-24 Takiron Co Ltd 熱可塑性樹脂成形品
JP2006187875A (ja) * 2004-12-28 2006-07-20 Daicel Polymer Ltd レーザー溶着用樹脂組成物及び成形体
JP2008046196A (ja) * 2006-08-11 2008-02-28 Sumitomo Chemical Co Ltd レンズ形状賦型用積層フィルム及びレンズフィルム
JP2009262557A (ja) * 2008-03-31 2009-11-12 Sumitomo Bakelite Co Ltd カード用コアシートおよびカード基材
JP2011500376A (ja) * 2007-10-31 2011-01-06 ブンデスドルクレイ ゲーエムベーハー ポリカーボネート多層ポリマー構造体を作製する方法
KR101436008B1 (ko) * 2012-08-21 2014-09-16 (주)하이컨셉카드랩 금속 프레임을 갖는 플라스틱 카드 및 그 제조 방법
JP2015148339A (ja) * 2008-11-07 2015-08-20 サン−ゴバン パフォーマンス プラスティックス コーポレイション 大直径熱可塑性シール
WO2016068629A1 (ko) * 2014-10-31 2016-05-06 에스케이케미칼주식회사 다층 플라스틱 카드
US10093069B2 (en) 2012-05-23 2018-10-09 Saint-Gobain Performance Plastics Corporation Method of forming large diameter thermoplastic seal
JP2019524970A (ja) * 2016-08-24 2019-09-05 コベストロ、ドイチュラント、アクチエンゲゼルシャフトCovestro Deutschland Ag タルクを含むポリカーボネート組成物
WO2021215233A1 (ja) * 2020-04-21 2021-10-28 オイレス工業株式会社 摺動部材用樹脂組成物及び摺動部材

Citations (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2000025369A (ja) * 1998-07-08 2000-01-25 Teijin Chem Ltd プラスチックカード基材
JP2000080263A (ja) * 1998-07-08 2000-03-21 Teijin Chem Ltd プラスチックカード基材
JP2001081209A (ja) * 1999-09-09 2001-03-27 Sumitomo Bakelite Co Ltd ポリエステル系樹脂シート
JP2001080251A (ja) * 1999-09-10 2001-03-27 Mitsubishi Plastics Ind Ltd カード用シートおよびこれを用いて製造されたカード

Patent Citations (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2000025369A (ja) * 1998-07-08 2000-01-25 Teijin Chem Ltd プラスチックカード基材
JP2000080263A (ja) * 1998-07-08 2000-03-21 Teijin Chem Ltd プラスチックカード基材
JP2001081209A (ja) * 1999-09-09 2001-03-27 Sumitomo Bakelite Co Ltd ポリエステル系樹脂シート
JP2001080251A (ja) * 1999-09-10 2001-03-27 Mitsubishi Plastics Ind Ltd カード用シートおよびこれを用いて製造されたカード

Cited By (20)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2004175823A (ja) * 2002-11-25 2004-06-24 Takiron Co Ltd 熱可塑性樹脂成形品
JP2006187875A (ja) * 2004-12-28 2006-07-20 Daicel Polymer Ltd レーザー溶着用樹脂組成物及び成形体
JP4685439B2 (ja) * 2004-12-28 2011-05-18 ダイセルポリマー株式会社 レーザー溶着用樹脂組成物及び成形体
JP2008046196A (ja) * 2006-08-11 2008-02-28 Sumitomo Chemical Co Ltd レンズ形状賦型用積層フィルム及びレンズフィルム
JP2011500376A (ja) * 2007-10-31 2011-01-06 ブンデスドルクレイ ゲーエムベーハー ポリカーボネート多層ポリマー構造体を作製する方法
TWI453122B (zh) * 2007-10-31 2014-09-21 Bundesdruckerei Gmbh 製造聚碳酸酯多層結構之方法
JP2009262557A (ja) * 2008-03-31 2009-11-12 Sumitomo Bakelite Co Ltd カード用コアシートおよびカード基材
US9702462B2 (en) 2008-11-07 2017-07-11 Saint-Gobain Performance Plastics Corporation Large diameter thermoplastic seal
JP2015148339A (ja) * 2008-11-07 2015-08-20 サン−ゴバン パフォーマンス プラスティックス コーポレイション 大直径熱可塑性シール
US10093069B2 (en) 2012-05-23 2018-10-09 Saint-Gobain Performance Plastics Corporation Method of forming large diameter thermoplastic seal
KR101436008B1 (ko) * 2012-08-21 2014-09-16 (주)하이컨셉카드랩 금속 프레임을 갖는 플라스틱 카드 및 그 제조 방법
KR20160051042A (ko) * 2014-10-31 2016-05-11 에스케이케미칼주식회사 다층 플라스틱 카드
CN107107647A (zh) * 2014-10-31 2017-08-29 Sk化学株式会社 多层塑料卡
WO2016068629A1 (ko) * 2014-10-31 2016-05-06 에스케이케미칼주식회사 다층 플라스틱 카드
CN107107647B (zh) * 2014-10-31 2019-09-06 Sk化学株式会社 多层塑料卡
KR102210477B1 (ko) * 2014-10-31 2021-01-29 에스케이케미칼 주식회사 다층 플라스틱 카드
JP2019524970A (ja) * 2016-08-24 2019-09-05 コベストロ、ドイチュラント、アクチエンゲゼルシャフトCovestro Deutschland Ag タルクを含むポリカーボネート組成物
JP7104692B2 (ja) 2016-08-24 2022-07-21 コベストロ、ドイチュラント、アクチエンゲゼルシャフト タルクを含むポリカーボネート組成物
US11795323B2 (en) 2016-08-24 2023-10-24 Covestro Deutschland Ag Polycarbonate composition comprising talc
WO2021215233A1 (ja) * 2020-04-21 2021-10-28 オイレス工業株式会社 摺動部材用樹脂組成物及び摺動部材

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP4378130B2 (ja) 芳香族ポリカーボネート樹脂組成物
US6780917B2 (en) Aromatic polycarbonate resin composition
JP5424563B2 (ja) 樹脂組成物の製造方法
JP5111458B2 (ja) 芳香族ポリカーボネート樹脂組成物の真珠光沢を低減させる方法
JP2003213144A (ja) 難燃性熱可塑性樹脂組成物
JP2001049072A (ja) 熱可塑性樹脂組成物
EP1529808B1 (en) Resin sheet
US11180652B2 (en) Thermoplastic resin composition and molded product using same
JP2008255214A (ja) 芳香族ポリカーボネート樹脂組成物
JP2002292799A (ja) プラスチックカード積層体
JP2001164105A (ja) ガラス強化難燃性ポリカーボネート樹脂組成物
JPH0872204A (ja) 複合成形体及びその製造方法
JP2017132913A (ja) 抗菌性ポリカーボネート樹脂組成物
JP2002326331A (ja) 車輌外装材に適する合成樹脂成形品およびインサート成形用シート状成形体
JP3420094B2 (ja) プラスチックカード基材
JP2002265769A (ja) 芳香族ポリカーボネート樹脂組成物
JP2003128905A (ja) 熱可塑性樹脂組成物
JP2002105295A (ja) 熱可塑性樹脂組成物
JP5111456B2 (ja) 芳香族ポリカーボネート樹脂組成物をoa機器若しくは家電製品の外装材に使用する方法
JP3899178B2 (ja) 難燃性樹脂組成物
JP6950234B2 (ja) ポリカーボネート樹脂組成物、その製造方法、成形体
JP2003253111A (ja) 樹脂組成物、積層成形品、およびリサイクル方法
WO2023228804A1 (ja) 樹脂組成物、フィルム、カード、及びパスポート
JP3623607B2 (ja) ポリカーボネート樹脂組成物
JP5111457B2 (ja) 芳香族ポリカーボネート樹脂組成物の製造方法

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20080128

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20100716

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20100727

A02 Decision of refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02

Effective date: 20101207