JP2002285375A - 3価クロムめっき浴 - Google Patents

3価クロムめっき浴

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JP2002285375A
JP2002285375A JP2001091717A JP2001091717A JP2002285375A JP 2002285375 A JP2002285375 A JP 2002285375A JP 2001091717 A JP2001091717 A JP 2001091717A JP 2001091717 A JP2001091717 A JP 2001091717A JP 2002285375 A JP2002285375 A JP 2002285375A
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plating
plating bath
chromium
chromium plating
trivalent chromium
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JP2001091717A
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Yoichi Mori
陽一 毛利
Teruyuki Doke
照幸 道家
Mitsumasa Okumura
実津昌 奥村
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CHUNICHI CRAFT KK
Original Assignee
CHUNICHI CRAFT KK
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 目的は、使用性が良好で工業製品のクロムめ
っきにも使用可能な3価クロムめっき浴を提供すること
である。 【解決手段】 めっき浴中に、3価クロム塩(塩化クロ
ム)と、有機化合物系の第1錯化剤(ギ酸カリウム)
と、有機化合物系の第2錯化剤(乳酸)と、緩衝剤(ほ
う酸)と、電導塩(塩化カリウム)と、腐食抑制剤(臭
化カリウム)と、表面調整剤(ポリエチレングリコール
400)と、硬化剤(塩化ストロンチウム)とを含有す
る3価クロムめっき浴によって、上記の課題が解決され
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、3価クロムめっき
浴に関するものである。
【0002】
【従来の技術】クロムめっき技術としては、現在のとこ
ろ6価クロムめっき浴を用いたものが主流である。この
6価クロムめっきは、0.1μm〜0.3μmの厚みで良好な
耐食性を示すことに加え、変色し難いことから、ニッケ
ルめっき上に施した装飾用めっきとして使用されてい
る。また、クロムめっきの厚さを数μm以上として、素
材上に直接に施すと、ビッカース硬度Hv750以上の値が
得られるので、耐摩耗性、耐潤滑性などに優れた工業用
めっきとして、さまざまな分野に広く貢献している。と
ころが、上記のような有用性とは裏腹に、6価クロムに
は有毒性があることから、厳しい大気排出規制と廃水規
制が課せられている。また、諸外国では、6価クロムの
使用を制限する動きがあり、我が国においても近い将来
には、6価クロムの使用量を減少させていくことが環境
の点からも好ましいと考えられている。
【0003】そこで、6価クロムめっき浴の代替物とし
て、3価クロムを使用した3価クロムめっき浴を用いる
研究開発が進んでおり複数の技術が開示されている。3
価クロムめっき浴の従来技術としては、例えば、特公昭
62−29514、特公平3−44155、特公平3−
17911、特開平9−95793等がある。また、め
っき厚の薄い装飾用クロムめっきについては、3価クロ
ムめっき浴が実用化されている(例えば、アレクラ3000
(アルブライトアンドウイルソン社)、トリクロライト
(ユージライト社)、エンバイロクロム(カニング社)
等)。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記の
技術による3価クロムめっきでは、クロムめっきの膜
厚を1μm以上として工業用に耐え得るものを提供する
ことができない、耐食性に劣るために、めっき後の後
処理が必要である、硬度が低い(Hv750以下)ために
使用領域が限られてしまう、めっき浴の安定性に乏し
い等の欠点があった。本発明は、上記した事情に鑑みて
なされたものであり、その目的は、使用性が良好で、工
業製品のクロムめっきにも使用可能な3価クロムめっき
浴を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段、発明の作用、および発明
の効果】本発明者らは、鋭意検討の結果、次に示す構成
の3価クロムめっき浴を開発し、本発明を完成するに至
った。本発明の3価クロムめっき浴は、(A)3価クロ
ムイオン、(B)有機化合物系の第1錯化剤、(C)緩
衝剤、および(D)電導塩を含有する(上記(A)〜
(D)の成分を「基本構成0」と言う。)。この基本構
成0からなる3価クロムめっき浴を用いることにより、
クロムめっきを析出させることが可能である。
【0006】しかしながら、基本構成0のクロムめっき
浴では、調整後にしばらくの時間を経過すると、浴中に
沈殿を生じることがある。このような沈殿の発生を防ぐ
ために、基本構成0のクロムめっき浴に、更に(E)有
機化合物系の第2錯化剤を含有することが好ましい(基
本構成0に(E)の成分を加えた構成を「基本構成1」
と言う。)。この基本構成1のクロムめっき浴では、浴
中の沈殿の発生を防止することが可能である。
【0007】また、一般にクロムイオンを含む溶液は腐
食性が大きいので、被めっき物(クロムめっきを施され
る物)において、めっきを施さない無めっき部が腐食す
ることがある。このため、めっき浴中には、(F)腐食
抑制剤を含有することが好ましい。また、クロムめっき
表面のざらつくを押さえて整面化させるために、めっき
浴には、更に(G)表面調整剤を含有することが好まし
い。また、従来の3価クロムめっき浴で作製されたクロ
ムめっきでは、Hv750以下の硬度しか得られなかっ
た。そこで、めっき浴には、更に(H)硬化剤を含有す
ることが好ましい。また、本発明の3価クロムめっき浴
として、上記基本構成0のクロムめっき浴に、(H)硬
化剤を含有した構成(以下、「基本構成2」と言う。)
のクロムめっき浴によって、硬化度が向上したクロムめ
っきを析出させることができる。
【0008】上記の発明において、「(A)3価クロム
イオン」は、例えば3価クロムを含有する塩として添加
することができる。その場合には、例えば塩化クロム、
硫酸クロム、スルファミン酸クロムなどの化合物を用い
ることができ、このうち好ましくは塩化クロムを用い
る。また、めっき浴中の3価クロムイオンの濃度として
は、好ましくは約0.3M(本明細書中において、
「M」はモル濃度を意味し、溶液1リットル中に含まれ
る溶質の量を物質量で示したものである。)〜約1Mで
あり、更に好ましくは約0.5M〜約0.8Mである。
【0009】「(B)有機化合物系の第1錯化剤」とし
ては、モノカルボン酸および/またはその塩類(以下、
「モノカルボン酸類」と言う。例えば、ギ酸および/ま
たはその塩類(例えば、ギ酸カリウムなど)、酢酸およ
び/またはその塩類(例えば、酢酸カリウムなど)、プ
ロピオン酸および/またはその塩類、乳酸および/また
はその塩類、ピルビン酸および/またはその塩類などが
含まれる。)、ジカルボン酸および/またはその塩類
(例えば、マロン酸および/またはその塩類、リンゴ酸
および/またはその塩類、イタコン酸および/またはそ
の塩類、シュウ酸および/またはその塩類、酒石酸およ
び/またはその塩類、マレイン酸および/またはその塩
類、オキサロ酢酸および/またはその塩類、2―オキソ
グルタル酸および/またはその塩類、コハク酸および/
またはその塩類、フマル酸および/またはその塩類など
が含まれる。)等が含まれる。これらのうち、ギ酸カリ
ウム、酢酸カリウム、プロピオン酸、乳酸、リンゴ酸か
らなるグループのうちの一つを選択することが好まし
く、更にモノカルボン酸類から選択することが好まし
い。第1錯化剤の濃度としては、約0.2M〜約1Mが
好ましく、更に約0.45M〜約0.7Mが好ましい。
また、具体的には、第1錯化剤としてギ酸カリウムを選
択した場合には、その濃度は、約20g/l〜約80g
/lが好ましく、更に約40g/l〜約60g/lが好
ましい。
【0010】「(C)緩衝剤」としては、例えば、ほう
酸を用いることができる。この場合にめっき浴のpHを
約2.5〜約4の間とすることが好ましい。また、ほう
酸を用いた場合には、その濃度は、約20g/l〜約6
0g/lが好ましく、更に約40g/l〜約50g/l
が好ましい。
【0011】「(D)電導塩」としては、例えば、塩化
ナトリウム、塩化アンモニウム、塩化カリウムなどを用
いることができる。電導塩の濃度としては、約1M〜約
2.5Mが好ましく、更に約1.5M〜約1.8Mが好
ましい。また、電導塩としては、塩化カリウムを用いる
ことが好ましく、その場合の濃度は、約80g/l〜約
180g/lが好ましく、更に約120g/l〜約13
0g/lが好ましい。
【0012】「(E)有機化合物系の第2錯化剤」と
は、上記(B)第1錯化剤として例示した成分のうちの
一つから選択された錯化剤であり、かつ第1錯化剤とは
別種のものを意味する。また、第1錯化剤と第2錯化剤
との組合せとしては、第1錯化剤としてモノカルボン酸
類を選択し、第2錯化剤としてヒドロキシカルボン酸類
(乳酸などのヒドロキシカルボン酸および/またはその
塩類のことを意味する)を選択することが好ましい。そ
のようなものの一例として、ギ酸カリウムとマロン酸
(および/またはその塩類)、ギ酸カリウムと乳酸(お
よび/またはその塩類)という組合せを示すことができ
る。
【0013】第2錯化剤の濃度としては、約0.1M〜
約0.5Mが好ましく、更に約0.2M〜約0.4Mが
好ましい。また、第2錯化剤として乳酸を選択した場合
には、その濃度は、約10ml/l〜約45ml/lが
好ましく、約20ml/l〜約35ml/lが更に好ま
しい。
【0014】「(F)腐食抑制剤」としては、ハロゲン
化合物(例えば、ヨウ化カリウム、ヨウ化ナトリウム、
臭化カリウム、臭化ナトリウム、臭化アンモニウムなど
を含む。)を用いることが好ましく、更に臭化カリウム
または/および臭化アンモニウムを用いることが好まし
い。腐食抑制剤の濃度は、約25mM〜約250mMが
好ましく、更に約80mMであることが好ましい。ま
た、具体的に、腐食抑制剤として臭化カリウムを選択し
た場合には、その濃度は、約3g/l〜約30g/lで
あることが好ましく、更に約10g/lであることが好
ましい。
【0015】「(G)表面調整剤」としては、ノニオン
系の界面活性剤を用いることが好ましく、ポリエチレン
グリコールを用いることが更に好ましく、更に好ましく
はポリエチレングリコール200〜600を用いるとよ
い。表面調整剤として、ポリエチレングリコールを用い
た場合には、その濃度範囲は、1ml/l〜10ml/
lが好ましく、約5ml/lであることが更に好まし
い。
【0016】「(H)硬化剤」としては、ストロンチウ
ム塩が好ましく、更に好ましくは塩化ストロンチウムで
ある。ストロンチウム塩を用いた場合には、その濃度範
囲は、1g/l〜10g/lが好ましく、更に好ましく
は3g/l〜5g/lである。
【0017】なお、本発明は、3価クロムめっき浴の調
整品として実施することはもちろん、適当な液体成分に
分けておき、数種類のボトルをめっきする者が混合調整
するようにして実施することもできる。また、液体とす
る前の固体または粉末状態で譲渡、貸し渡し、輸入等を
行うこともできる。本発明の3価クロムめっき浴によれ
ば、クロムめっきの膜厚が1μm以上で、耐食性に優
れ、かつビッカース硬度Hv800以上の工業用クロム
めっきに好適なクロムめっきを被めっき物の表面に析出
させることが可能となる。また、めっき浴中に沈殿物が
発生することが少ないので、安定性に優れ、使用性の良
好な3価クロムめっき浴を提供できる。
【0018】
【発明の実施の形態】次に、本発明の具体的な実施例を
示すが、本発明の技術的範囲は、各実施例によって限定
されるものではなく、その要旨を変更することなく様々
に変形して実施することができる。その他、本発明の技
術的範囲は、均等の範囲にまで及ぶものである。 <クロムめっきの全工程>被めっき物の表面にクロムめ
っきを施す工程の一例を示す。まず、被めっき物の表面
を必要に応じて、サンドペーパー・スコッチブライト等
の研磨用部材を用いて研磨し、錆・酸化物等を除去する
(前研磨工程)。次に、被めっき物をアセトン洗浄して
脱脂処理を行う(第1脱脂工程)。水洗処理した後に、
当業界において一般に使用されている脱脂液により、被
めっき物の脱脂処理を行う(第2脱脂工程)。このと
き、電解脱脂を行うことが好ましい。
【0019】水洗処理した後に、当業界において一般に
使用されている活性液により、被めっき物においてめっ
きを施す部位の表面を活性化する(活性化工程)。この
とき、浸漬法により活性化することが好ましい。次に水
洗処理した後に、被めっき物のクロムめっき処理を行う
(めっき処理工程)。めっき処理においては、めっき浴
の温度範囲は、20℃〜40℃で行うことが好ましく、
更に好ましくは、25℃〜35℃である。また、めっき
浴のpH範囲は、約1.5〜約3.0で行うことが好ま
しく、更に好ましくは、約2.0である。また、めっき
浴の電流密度の範囲は、約3A/dm2〜約9A/dm2
で行うことが好ましく、更に好ましくは、約5A/dm
2〜約7A/dm2である。なお、めっき処理工程後に必
要であれば、被めっき物のめっき表面を研磨する(後研
磨工程)。
【0020】<3価クロムめっき浴の評価>本発明者ら
は、様々な種類の3価クロムめっき浴の評価を行った。
数百回に及ぶ試行の結果、特に有用であった3価クロム
めっき浴の組成とクロムめっきの性質とを次に示す。
【0021】<実施例1>めっき浴の組成は、塩化クロ
ム 180g/l、グリシン 75g/l、塩化アンモ
ニウム 50g/l、ほう酸 30g/lとした。めっ
き条件としては、温度30℃、pH3.0、電流密度6
A/dm2であった。なお、pH調整には水酸化カリウ
ムを使用した。上記の条件によってめっき操作を行った
ところ、クロムめっきを析出させることができた。しか
しながら、そのクロムめっきは、良好とは言い難く、黒
い部分が多かった。
【0022】<実施例2>錯化剤として、実施例1のグ
リシンに代えてギ酸カリウムを用いた。めっき浴の組成
は、塩化クロム 180g/l、ギ酸カリウム 90g
/l、塩化アンモニウム 70g/l、ほう酸 20g
/lとした。めっき条件としては、温度30℃、pH
2.5、電流密度10A/dm2であった。析出したク
ロムめっきは、実施例1のクロムめっきに比べると大幅
に良好となった。この結果により、錯化剤として、有機
化合物系の錯化剤を用いることとした。なお、ギ酸カリ
ウムに代えて、酢酸カリウム、プロピオン酸、乳酸、リ
ンゴ酸、クエン酸などを用いた(データには示さな
い。)。その結果、有機化合物系の錯化剤のうちでも、
モノカルボン酸類を用いると良好なクロムめっきが析出
することが判明した。
【0023】<実施例3>めっき浴の組成は、塩化クロ
ム 110g/l、ギ酸カリウム 90g/l、塩化ア
ンモニウム 80g/l、ほう酸 40g/lとした。
めっき条件は、実施例2と同様とした。析出したクロム
めっきは、実施例2のクロムめっきに比べると白みを帯
びてきており、さらに良好となった。
【0024】<実施例4>めっき浴の組成は、塩化クロ
ム 110g/l、ギ酸カリウム 90g/l、塩化ア
ンモニウム 80g/l、ほう酸 40g/l、臭化カ
リウム 10g/lとした。めっき条件は、実施例2と
同様とした。実施例1〜実施例3では、被めっき物にお
いて、無めっき部の腐食が激しかったため、腐食防止剤
として臭化カリウムを添加した。この臭化カリウムの添
加によって、無めっき部の腐食は大幅に改善された。な
お、データとしては示さないが、他に、ヨウ化カリウ
ム、ヨウ化ナトリウム、臭化ナトリウムなどのハロゲン
化合物の試験を行った。その結果、全てのハロゲン化合
物に腐食防止効果が認められたが、好ましい化合物は、
臭化カリウムまたは臭化アンモニウムであった。なお、
表1には、実施例1〜実施例4の条件と結果とをまとめ
て示した。
【0025】
【表1】
【0026】ところで、上記実施例1〜実施例4のめっ
き浴では、調整後に数日を経過すると、めっき浴中に沈
殿が発生することがあった。このため、沈殿防止のため
の成分を評価する試験を行った。 <実施例5>めっき浴の組成は、塩化クロム 110g
/l、ギ酸カリウム 90g/l、塩化ナトリウム 1
20g/l、ほう酸 40g/l、臭化カリウム 10
g/lとした。めっき条件は、実施例2と同様とした。
実施例1〜実施例4で電導塩として添加していた塩化ア
ンモニウムの代わりに塩化ナトリウムを用いた。その結
果、クロムめっきの膜厚の上限値が向上した。しかしな
がら、調整後に数日を経過すると浴中に沈殿が発生する
点については、十分な改善が見られなかった。なお、電
導塩として、塩化カリウムを用いた試験を行ったが(デ
ータは示さない)、同様にクロムめっきを行えることが
判明した。
【0027】<実施例6>めっき浴の組成は、塩化クロ
ム 110g/l、ギ酸カリウム 35g/l、マロン
酸 40g/l、塩化カリウム 120g/l、ほう酸
40g/l、臭化カリウム 10g/lとした。めっ
き条件としては、温度30℃、pH2.0、電流密度6
A/dm2であった。浴中の沈殿発生を防止するため
に、錯化剤として、マロン酸を添加した。こうして、2
種類の錯化剤を添加した結果、クロムめっきを実施可能
であり、かつ沈殿の発生を防止できる3価クロムめっき
浴を提供することができた。
【0028】<実施例7>めっき浴の組成は、塩化クロ
ム 110g/l、ギ酸カリウム 45g/l、マロン
酸 20g/l、塩化カリウム 120g/l、ほう酸
40g/l、臭化カリウム 10g/lとした。めっ
き条件は、実施例6と同様とした。実施例6では、クロ
ムめっきの析出速度とクロムめっきの密着とについて、
さらに改良を要する点が見られたため、第1錯化剤と第
2錯化剤との比率を変更した。その結果、実施例6に比
べて、めっきの析出速度を向上させることができた。
【0029】<実施例8>めっき浴の組成は、塩化クロ
ム 110g/l、ギ酸カリウム 45g/l、乳酸
30ml/l、塩化カリウム 120g/l、ほう酸
40g/l、臭化カリウム 10g/lとした。めっき
条件は、実施例6と同様とした。実施例7のマロン酸を
乳酸に変更した。その結果、実施例7に比べて、クロム
めっきの析出速度とめっきの密着性との両方において、
より良好なデータが得られた。なお、表2には、実施例
5〜実施例8の条件と結果とをまとめたものを示した。
【0030】
【表2】
【0031】次に、クロムめっきの表面の整面化およ
び、クロムめっきの硬度を向上させるために、表面調整
剤および硬化剤の検討を行った。 <実施例9>めっき浴の組成は、塩化クロム 110g
/l、ギ酸カリウム 45g/l、乳酸 30ml/
l、塩化カリウム 120g/l、ほう酸 40g/
l、臭化カリウム 10g/l、硫酸アミノアセトニト
リル 0.1g/lとした。めっき条件は、実施例6と
同様とした。クロムめっきの表面を整面化するために、
表面調整剤として硫酸アミノアセトニトリルを添加し
た。クロムめっきは良好に析出されたものの、十分な整
面効果は見られなかった。
【0032】<実施例10>めっき浴の組成は、塩化ク
ロム 110g/l、ギ酸カリウム 45g/l、乳酸
30ml/l、塩化カリウム 120g/l、ほう酸
40g/l、臭化カリウム 10g/l、ポリエチレ
ングリコール400 5ml/lとした。めっき条件
は、実施例6と同様とした。表面調整剤としてノニオン
系界面活性剤を添加した。その結果、クロムめっきに対
して、良好な整面効果が認められた。なお、各種のポリ
エチレングリコールを添加した実験を行ったところ、ポ
リエチレングリコール類の全般に整面効果が認められ
た。その中でも、ポリエチレングリコール200〜60
0を用いることが好ましいことが判った(データは示さ
ない)。また、データとしては示さないが、この他に、
カチオン系、アニオン系、フッ素系の各界面活性剤を添
加したが、十分な整面効果は見られなかった。
【0033】<実施例11>めっき浴の組成は、塩化ク
ロム 110g/l、ギ酸カリウム 45g/l、乳酸
30ml/l、塩化カリウム 120g/l、ほう酸
40g/l、臭化カリウム 10g/l、モリブデン
酸ナトリウム 3g/lとした。めっき条件は、実施例
6と同様とした。析出したクロムめっきの硬度を向上さ
せるために、硬化剤として無機系添加物であるモリブデ
ン酸ナトリウムを添加した。その結果、十分な硬度上昇
効果は見られなかった。
【0034】<実施例12>めっき浴の組成は、塩化ク
ロム 110g/l、ギ酸カリウム 45g/l、乳酸
30ml/l、塩化カリウム 120g/l、ほう酸
40g/l、臭化カリウム 10g/l、ポリエチレ
ングリコール400 5ml/l、塩化ストロンチウム
3g/lとした。めっき条件は、実施例6と同様とし
た。硬化剤として、塩化ストロンチウムを選択した。そ
の結果、クロムめっきの硬度が向上し、ビッカース硬度
Hv800以上のめっき皮膜を得ることができた。な
お、塩化ストロンチウムの添加濃度範囲としては、1g
/l〜10g/lでめっき被膜の硬度を向上させられる
ことが分かった(データは示さない)。また、表3に
は、実施例9〜実施例12の条件と結果とをまとめたも
のを示した。
【0035】
【表3】
【0036】<3価クロムめっき浴の調整>次に、実施
例12に記載の3価クロムめっき浴の調整方法につい
て、その一例を示す。まず、(1)ほう酸を温水で完全
に溶解させた。次に、(2)その溶液中に塩化クロムを
添加・溶解させた。次に、(3)その溶液中に塩化カリ
ウムを添加・溶解させた。次に、(4)その溶液中にギ
酸カリウムを添加・溶解させた。次に、(5)その溶液
中に乳酸を添加・溶解させた。次に、(6)その溶液中
に臭化カリウムを添加・溶解させた。次に、(7)その
溶液中に塩化ストロンチウムを添加・溶解させた。次
に、(8)その溶液中にポリエチレングリコール400
を添加した。次に、(9)水酸化カリウムでpHを2.
0に調整し、(10)30℃で一晩放置して平衡状態と
した。更に、(11)正電で空電解を行った(3V、1
〜2時間)後、(12)再度水酸化カリウムでpHを
2.0に調整した。
【0037】<錯化剤濃度とめっき速度の関係について
>本発明者らは前記のように、数百に及ぶ試行を行った
(上記の実施例1〜実施例12はその一部であり、質的
な変化が見られたものを選択して示したものであ
る。)。その結果、めっき速度に関与する錯化剤として
は、主としてギ酸カリウムの濃度であり、この化合物の
濃度に従ってめっき速度が変化することが判明した。ま
た、乳酸の濃度変化は、めっき速度の変化に対して大き
な寄与は見られず、むしろ多すぎるとめっき速度は減少
する傾向を示した。
【0038】以下には、錯化剤濃度と析出するクロムめ
っき速度との関係を数式および図にて示す。 C=A+B……(但し、式中Cは、錯化剤の総濃度
(g/l)であり、今回の試行では、60≦C≦80と
した。式中Aは、ギ酸カリウムの濃度(g/l)であ
り、今回の試行では、40≦A≦60とした。また、式
中Bは、乳酸の濃度(ml/l)であり、今回の試行で
は、15≦B≦35とした。)とした。錯化剤濃度とめ
っき速度との関係式は、電流密度が6A/dm2のとき
には、V=(0.16A−B/25)x2.28……
(但し、式中Vは、めっきの析出速度(μm/h)であ
る。)となった。
【0039】また、電流密度の変化を考慮すると、V=
(0.16A−B/25)x0.37D……(但し、
式中Dは、電流密度(A/dm2)であり、今回の試行
では、4≦D≦8とした。)となった。以上の関係式
〜に基づいて、ギ酸カリウム濃度とクロムめっきの析
出速度との関係をグラフとして図1に示した。
【図面の簡単な説明】
【図1】ギ酸カリウムの濃度とクロムめっきの析出速度
との関係を示すグラフである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 奥村 実津昌 愛知県春日井市御幸町1丁目3番地の21 中日クラフト株式会社内 Fターム(参考) 4K023 AA01 AA11 BA03 BA06 BA08 BA15 CA09 CB03 CB07 CB11 DA02 DA06 DA07

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 (A)3価クロムイオンと、(B)有機
    化合物系の第1錯化剤と、(C)緩衝剤と、(D)電導
    塩と、(E)有機化合物系の第2錯化剤とを含有するこ
    とを特徴とする3価クロムめっき浴。
  2. 【請求項2】 請求項1に記載のものにおいて、更に
    (F)腐食抑制剤を含有することを特徴とする3価クロ
    ムめっき浴。
  3. 【請求項3】 請求項1または請求項2のいずれかに記
    載のものにおいて、更に(G)表面調整剤を含有するこ
    とを特徴とする3価クロムめっき浴。
  4. 【請求項4】 請求項1〜請求項3のいずれかに記載の
    ものにおいて、更に(H)硬化剤を含有することを特徴
    とする3価クロムめっき浴。
  5. 【請求項5】 (A)3価クロムイオンと、(B)有機
    化合物系の第1錯化剤と、(C)緩衝剤と、(D)電導
    塩と、(H)硬化剤とを含有することを特徴とする3価
    クロムめっき浴。
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