JP2002285347A - 冷間加工用リン酸亜鉛処理剤、並びに、鋼線又は鋼材の処理方法及び鋼線又は鋼材 - Google Patents

冷間加工用リン酸亜鉛処理剤、並びに、鋼線又は鋼材の処理方法及び鋼線又は鋼材

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JP2002285347A
JP2002285347A JP2001091073A JP2001091073A JP2002285347A JP 2002285347 A JP2002285347 A JP 2002285347A JP 2001091073 A JP2001091073 A JP 2001091073A JP 2001091073 A JP2001091073 A JP 2001091073A JP 2002285347 A JP2002285347 A JP 2002285347A
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steel
zinc phosphate
steel wire
treatment
ions
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JP2001091073A
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Masaki Hosomi
正樹 細見
Masahiro Jo
昌博 條
Kimio Kimura
公雄 記村
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Nippon Paint Co Ltd
Original Assignee
Nippon Paint Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 冷間加工に用いられる鋼線又は鋼材をリン酸
亜鉛処理剤で処理し、その後潤滑処理する場合におい
て、潤滑性及び加工性に優れた皮膜を形成することがで
き、かつ、加工時において金型に潤滑皮膜がカス状に残
存することを抑制することができる冷間加工用リン酸亜
鉛処理剤を提供する。 【解決手段】 リン酸イオン5〜120g/l、亜鉛イ
オン3〜70g/l、硝酸イオン5〜120g/l及び
コバルトイオン0.05〜0.4g/lを含むことを特
徴とする冷間加工用リン酸亜鉛処理剤。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、冷間加工用リン酸
亜鉛処理剤、並びに、上記冷間加工用リン酸亜鉛処理剤
で鋼線又は鋼材を処理する工程を含む処理方法、及び、
上記処理方法により処理されてなる鋼線又は鋼材に関す
る。
【0002】
【従来の技術】ボルトやナット等の加工工具は、一般的
に、材料となる鋼線や鋼材の表面に付着している酸化皮
膜や油分を除去するための酸洗処理、酸洗後水洗処理、
後工程である化成処理における化成皮膜の形成を良好に
行うための表面調整処理、耐磨耗性を向上させるリン酸
亜鉛化成処理、化成後水洗処理、中和処理、及び、潤滑
性や加工性を向上させるための潤滑処理という一連の処
理工程が行われた後、冷間加工することにより製造され
ている。
【0003】このうち、潤滑処理の下地皮膜として良好
な性能を有するリン酸亜鉛化成処理液としては、特公昭
60−20463号公報に、カルシウムイオン0.1〜
0.35%、亜鉛イオン0.1〜1.5%、リン酸イオ
ン0.5〜3.0%、硝酸イオン3.0〜5.0%、及
び、ニッケル、銅、コバルトの1種又は2種以上のイオ
ンを0.01〜0.2%で、かつ、亜鉛イオンに対する
カルシウムイオンの比が0.1〜1.0、リン酸イオン
に対する硝酸イオンの比が1.0〜5.0であるリン酸
塩皮膜化成処理液で処理する冷間加工処理方法が開示さ
れている。
【0004】上記の冷間加工された加工工具について
は、近年、省エネルギー、工程の省力化等のために、1
工程当たりの加工度が次第に高くなってきており、更
に、被加工材の形状の複雑化、材質の高級化等のため
に、加工が非常に苛酷になってきているため、従来のリ
ン酸塩皮膜化成処理を行った場合には、潤滑性が不充分
であるため、焼付きや成形不良を起こしていた。更に、
潤滑性の向上を目的として、潤滑皮膜の量のみを向上さ
せた場合には、加工時において金型に潤滑皮膜がカス状
に残存して、これが蓄積するため、金型自体の形が変形
する結果、成型異常となることが起こっていた。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、冷間
加工に用いられる鋼線又は鋼材をリン酸亜鉛処理剤で処
理し、その後潤滑処理する場合において、潤滑性及び加
工性に優れた皮膜を形成することができ、かつ、加工時
において金型に潤滑皮膜がカス状に残存することを抑制
することができる冷間加工用リン酸亜鉛処理剤を提供す
ることにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、鋼線又は
鋼材をリン酸亜鉛処理剤で処理し、その後、潤滑剤とし
てステアリン酸ナトリウムを用いて潤滑処理した場合に
は、鋼線又は鋼材は、リン酸亜鉛処理剤中のリン酸によ
りエッチングされながらリン酸亜鉛皮膜が形成され、そ
して、後工程でその上にステアリン酸ナトリウムの皮膜
が形成され、その境界面では、リン酸亜鉛とステアリン
酸ナトリウムとが反応して、ステアリン酸亜鉛からなる
金属石鹸の皮膜が形成されるが、得られる鋼線又は鋼材
の潤滑性及び加工性を向上させるためには、上記金属石
鹸の量を増加させることが重要である。そして、特定量
のリン酸イオン、亜鉛イオン及び硝酸イオンを含むリン
酸亜鉛処理剤に、コバルトイオンを特定量で添加した場
合に、上記効果を達成することができ、しかも、潤滑剤
としてステアリン酸ナトリウム以外のものを用いた場合
であっても、得られる鋼線又は鋼材の潤滑性及び加工性
が向上することを見いだし、本発明を完成した。
【0007】即ち、本発明は、リン酸イオン5〜120
g/l、亜鉛イオン3〜70g/l、硝酸イオン5〜1
20g/l及びコバルトイオン0.05〜0.4g/l
を含むことを特徴とする冷間加工用リン酸亜鉛処理剤で
ある。上記コバルトイオンは、亜鉛イオンに対して、質
量基準で、0.0007〜0.13の割合で配合される
ことが好ましい。更に、亜硝酸、塩素酸、ニトロベンゼ
ンスルホン酸及びこれらの塩並びにヒドロキシルアミン
からなる群より選択される少なくとも1つ、及び/又
は、フッ素化合物、ニッケル化合物及び銅化合物からな
る群より選択される少なくとも1つを含むものであるこ
とが好ましい。
【0008】本発明はまた、上記冷間加工用リン酸亜鉛
処理剤で、鋼線又は鋼材を処理する工程を含むことを特
徴とする鋼線又は鋼材の処理方法である。本発明は更
に、上記の鋼線又は鋼材の処理方法により処理されてな
る鋼線又は鋼材でもある。以下、本発明を詳述する。
【0009】本発明の冷間加工用リン酸亜鉛処理剤は、
リン酸イオン5〜120g/lを含むものである。5g
/l未満であると、潤滑剤の下地として必要な皮膜が生
成しにくく、120g/lを超えても、それ以上の効果
は望めず、経済的に不利である。好ましくは、10〜5
0g/lである。上記リン酸イオンの供給源は、リン
酸、リン酸亜鉛、リン酸ナトリウム、リン酸ニッケル等
を挙げることができる。
【0010】上記冷間加工用リン酸亜鉛処理剤は、亜鉛
イオン3〜70g/lを含むものである。3g/l未満
では、リン酸亜鉛皮膜の生成が不充分であり、70g/
lを超えると、その後に潤滑剤としてステアリン酸ナト
リウムを用いて潤滑処理した場合に、金属石鹸の皮膜量
が減少するため加工性に劣り、また、スラッジが多くな
る。好ましくは、5〜30g/lである。上記亜鉛イオ
ンの供給源は、酸化亜鉛、炭酸亜鉛、硝酸亜鉛、リン酸
亜鉛等の亜鉛化合物を挙げることができる。
【0011】上記冷間加工用リン酸亜鉛処理剤は、硝酸
イオン5〜120g/lを含むものである。硝酸イオン
は、皮膜化成促進剤として機能する。5g/l未満であ
ると、鋼材表面のエッチングが少なくなり、充分な化成
皮膜ができない。120g/lを超えると、生成する化
成皮膜結晶粒子が粗大になり、強加工に適さない。好ま
しくは、10〜50g/lである。上記硝酸イオンの供
給源としては、硝酸、硝酸ナトリウム、硝酸アンモニウ
ム、硝酸亜鉛、硝酸コバルト、硝酸ニッケル等を挙げる
ことができる。
【0012】本発明の冷間加工用リン酸亜鉛処理剤は、
コバルトイオン0.05〜0.4g/lを含むものであ
る。コバルトイオンを添加することによって、その後に
潤滑処理されて得られる鋼線又は鋼材の潤滑性が格段に
向上し、冷間加工時における加工性に優れる。また、潤
滑処理においてステアリン酸ナトリウム等を潤滑剤とし
て使用した場合に金属石鹸の生成量が増加する。0.0
5g/l未満では、効果が得られず、0.4g/lを超
えると、かえって加工性が低下する。好ましくは、0.
1〜0.35g/lであり、より好ましくは、0.15
〜0.3g/lである。上記コバルトイオンの供給源と
しては、硝酸コバルト、硫酸コバルト等を挙げることが
できる。
【0013】上記冷間加工用リン酸亜鉛処理剤は、更
に、亜硝酸、塩素酸、ニトロベンゼンスルホン酸及びこ
れらの塩並びにヒドロキシルアミンからなる群より選択
される少なくとも1つを含むものであることが好まし
い。これらは、皮膜化成促進剤として機能する。
【0014】上記亜硝酸、塩素酸、ニトロベンゼンスル
ホン酸及びこれらの塩並びにヒドロキシルアミンからな
る群より選択される少なくとも1つは、亜硝酸イオン、
塩素酸イオン、ニトロベンゼンスルホン酸イオン及びヒ
ドロキシルアミンの合計量として、0.01〜3g/l
であることが好ましく、より好ましくは0.05〜2g
/lである。
【0015】上記亜硝酸、塩素酸、ニトロベンゼンスル
ホン酸及びこれらの塩としては、亜硝酸ナトリウム、亜
硝酸カリウム、亜硝酸アンモニウム;塩素酸ナトリウ
ム、塩素酸カリウム、塩素酸アンモニウム;m−ニトロ
ベンゼンスルホン酸ナトリウム、m−ニトロベンゼンス
ルホン酸カリウム等を用いることができる。
【0016】本発明の冷間加工用リン酸亜鉛処理剤は、
更に、フッ素化合物、ニッケル化合物及び銅化合物から
なる群より選択される少なくとも1つを含むものである
ことが好ましい。上記フッ素化合物を添加することによ
って、化成処理における均一なエッチングを促進するこ
とができる。上記ニッケル化合物は、リン酸亜鉛皮膜を
緻密に生成することができるため、加工性を向上させる
ことができる。上記銅化合物も、リン酸亜鉛皮膜を均一
に生成させ、加工性を更に向上することができる。
【0017】上記フッ素化合物、ニッケル化合物及び銅
化合物からなる群より選択される少なくとも1つの配合
量は、一般的には、それぞれフッ素イオン0.1〜3g
/l、好ましくは0.1〜2g/l、ニッケルイオン
0.05〜2g/l、好ましくは0.05〜1g/l、
及び、銅イオン0.005〜0.02g/l、好ましく
は0.005〜0.01g/lである。
【0018】上記フッ素化合物、ニッケル化合物及び銅
化合物としては、フッ化水素酸、フッ化カリウム、フッ
化ナトリウム、ヘキサフルオロ珪酸(H2 SiF6 )、
テトラフルオロホウ酸(HBF4 )、ジルコニウムフッ
化水素酸(H2 ZrF6 )、ジルコニウムフッ化カリウ
ム、ジルコニウムフッ化ナトリウム、ジルコニウムフッ
化アンモニウム;硝酸ニッケル、炭酸ニッケル、塩化ニ
ッケル、リン酸ニッケル、水酸化ニッケル;硝酸銅、炭
酸銅等を挙げることができる。
【0019】本発明のリン酸亜鉛処理剤は、冷間加工用
鋼線又は鋼材を処理するために好適に使用することがで
きる。このような処理方法も本発明の1つである。即
ち、本発明の鋼線又は鋼材の処理方法は、上記冷間加工
用リン酸亜鉛処理剤で、鋼線又は鋼材を処理する工程を
含むものである。
【0020】本発明の鋼線又は鋼材の処理方法は、処理
温度50〜90℃において、1〜15分間、上記のリン
酸亜鉛処理剤で鋼線又は鋼材を浸漬処理することが好ま
しい。50℃未満であったり、1分間未満であると、リ
ン酸亜鉛皮膜量が少ない場合がある。90℃を超える
と、リン酸亜鉛処理剤の劣化が速く、長期にわたり繰り
返し使用できない場合がある。また、15分間を超えて
も、形成されるリン酸亜鉛皮膜の皮膜量が変わらない。
上記処理は、70〜85℃で、2〜10分間行うことが
より好ましい。
【0021】本発明の鋼線又は鋼材の処理方法により形
成されるリン酸亜鉛皮膜の皮膜量としては、加工度や使
用される用途に応じて選択することができるが、一般的
には、加工度の高い鋼線又は鋼材の場合には10g/m
2 以上、加工度の低い鋼線又は鋼材の場合には5〜10
g/m2 以上であることが好ましい。これらを下回る
と、加工性に劣る場合がある。
【0022】本発明の処理方法が適用される対象が鋼線
の場合、予め、表面に付着している酸化皮膜や油分を除
去するための酸洗処理が行われたものであることが好ま
しい。上記酸洗処理は、従来公知の方法に従って行うこ
とができるが、1〜15%程度の塩酸、リン酸、硫酸等
の処理剤を用いて、室温〜50℃程度で1〜15分間程
度浸漬処理することが好ましい。
【0023】表面に汚れ、油分が付着している場合は、
脱脂処理が行われたものであることが好ましい。脱脂処
理の後には、必要に応じて酸洗処理を行うことも可能で
ある。上記脱脂処理は、従来公知の方法に従って行うこ
とができるが、アルカリ脱脂洗浄液、無リン・無窒素脱
脂洗浄液等の脱脂剤により、通常40〜80℃において
1〜15分間程度の浸漬処理が好ましい。
【0024】上記酸洗処理や脱脂処理を行った後は、処
理剤を洗い流すために、1段階又はそれ以上で、浸漬処
理又はスプレー処理により水洗処理が行われる。
【0025】その後、化成処理における化成皮膜の形成
を良好に行うために、表面調整処理を行うことができ
る。上記表面調整処理に使用される表面調整処理剤とし
ては、例えば特開平9−249978号公報等に記載の
ものが挙げられる。即ち、質量基準で、チタンイオン1
〜50ppm、リン酸イオン50〜1000ppm、ト
リポリリン酸イオン50〜400ppm及び炭酸イオン
20〜1500ppmを含み、(トリポリリン酸イオン
の質量)/(チタンイオンの質量)の値が10〜100
であり、pH8.5〜10.0である表面調整処理剤を
好適に使用することができる。上記表面調整処理は、通
常、室温〜50℃程度において数十秒〜2分程度の浸漬
処理が行われることが好ましい。
【0026】上記の後、本発明のリン酸亜鉛処理剤によ
る処理が行われる。その後、2段又はそれ以上による化
成後水洗処理が行われた後、所望により、硼酸塩、亜硝
酸塩等を主成分とする中和剤による中和処理が行われ
る。
【0027】上記鋼線又は鋼材は、次いで、潤滑性や加
工性を向上させるために、潤滑処理が行われる。上記潤
滑処理に用いられる潤滑剤としては、加工度及び用いら
れる用途に応じて選択することができるが、反応石鹸、
石灰石鹸、潤滑油、粉末潤滑剤、水溶性潤滑剤等を挙げ
ることができる。上記潤滑処理は、反応石鹸を用いる場
合、1〜10質量%程度の濃度において、60〜90
℃、好ましくは70〜85℃で、1〜15分、好ましく
は2〜10分程度行うことができる。
【0028】上記潤滑処理の後は、公知の方法に従っ
て、必要に応じて乾燥され、その後、伸線等の冷間加工
される。
【0029】本発明の鋼線又は鋼材の処理方法において
は、特定量のリン酸イオン、亜鉛イオン及び硝酸イオン
を含むリン酸亜鉛処理剤に、更にコバルトイオンを0.
05〜0.4g/lの割合で含むものを用いて、鋼線又
は鋼材を処理するものであるので、その後にステアリン
酸ナトリウム等の潤滑剤で潤滑処理した場合において、
ステアリン酸亜鉛からなる金属石鹸の量を増加すること
ができるため、潤滑性を向上することができ、冷間加工
した場合の加工性に優れる。また、ステアリン酸ナトリ
ウム以外の潤滑剤を用いた場合においても、得られる鋼
線又は鋼材の潤滑性及び加工性を向上することができ
る。
【0030】上記のようにして処理されてなる鋼線又は
鋼材もまた、本発明の1つである。本発明の鋼線又は鋼
材の処理方法によって処理された鋼線又は鋼材は、特
に、潤滑性及び加工性に優れるものであるため、例え
ば、ボルトやナット、自動車部品等の冷間加工されるも
のに好適に使用することができる。
【0031】
【実施例】以下に実施例を掲げて本発明を更に詳しく説
明するが、本発明はこれら実施例のみに限定されるもの
ではない。 実施例1 (1)リン酸亜鉛処理剤 容器に水を張り、50〜60℃に加熱し、サーフドロウ
30(日本ペイント社製リン酸亜鉛処理剤)を加え、充
分攪拌した(濃度:9質量%)。攪拌しながら、80〜
85℃に加熱し、処理直前に、トーナー30H(日本ペ
イント社製促進剤;主成分は亜硝酸ナトリウム)を添加
した(濃度:0.014質量%)。また、テストピース
作製直前に、少量のスチールウールを添加して、浴の熟
成を行った。
【0032】リン酸亜鉛処理剤の配合は、以下のとおり
とした。 亜鉛イオン:12g/l リン酸イオン:18g/l 硝酸イオン:15g/l Niイオン:15ppm 全酸度:30〜33ポイント 酸比(全酸度/遊離酸度):5〜6 促進剤:2〜3ポイント
【0033】このリン酸亜鉛処理剤に、更に、下記の各
種金属イオンを添加した。 添加金属イオン:Ni(硝酸ニッケルを添加)、Ca
(硝酸カルシウムを添加)、Fe(硝酸第2鉄を添
加)、Cu(塩基性炭酸銅を添加)、Co(硝酸コバル
トを添加)、Mn(硝酸マンガンを添加)、Sn(酸化
第2錫を添加) 添加量:Cu以外は金属換算で150ppm、Cuは1
0ppm
【0034】リン酸亜鉛処理方法は、以下のとおりとし
た。 温度:80〜82℃ 浸漬時間:5分
【0035】(2)反応石鹸 容器に水を張り、80〜90℃に加熱し、攪拌しなが
ら、サーフリューベ33(日本ペイント社製反応石鹸;
主成分は、ステアリン酸ナトリウム)を少量ずつ加えて
溶解した(濃度5質量%)。処理液及び処理方法は下記
のとおりである。 油分濃度:1.5〜3.0ml 温度:80〜83℃ 浸漬時間:4分
【0036】(3)ポンプ油 ポンプ油:高真空ポンプ油、ネオバックMR−200
(松村石油研究所社製) 温度:室温 浸漬時間:1分
【0037】(4)テストピース作製 テストピースとして冷延鋼鈑(SPCC、板厚0.8m
m)を用いて、以下の工程で処理した。 脱脂:サーフクリーナー53(日本ペイント社製)、2
%、50℃、5分 水洗:室温、20秒間、スプレー処理 リン酸亜鉛処理:上記の方法に従って行った。 水洗:室温、20秒間、スプレー処理 反応石鹸処理:上記の方法に従って行った。 乾燥:100℃、5分間
【0038】作製したテストピースを、以下のようにし
て測定及び評価を行った。結果を表1に示した。 (5)測定及び評価方法 1.皮膜質量 反応石鹸処理を行う前であってリン酸亜鉛処理及びその
後の水洗を行ったテストピースについて、予め乾燥質量
(w1)を測定し、次いで、75℃の5%クロム酸に1
5分間浸漬して皮膜を剥離し、水洗、乾燥後、再び質量
(w2)を測定した。皮膜剥離前後の質量差(w1−w
2)をテストピース表面積で除したものを、皮膜質量と
した。 2.エッチング量 テストピースを脱脂又は酸洗後、水洗、乾燥し、前もっ
て質量(w0)を測定した。リン酸亜鉛処理し、上記1
の皮膜質量測定法と同じ方法で、皮膜剥離後の質量(w
2)を測定した。質量差(w0−w2)をテストピース
表面積で除したものを、エッチング量とした。 3.エッチング量−皮膜質量比(Et/Co) 両者の比をとった。この比率が高くなると、スラッジの
発生量が増加するため、金属添加なしと同等以下を合格
とした。
【0039】4.湯溶石鹸量(未反応石鹸量) 反応石鹸で処理し、乾燥したテストピースを、80℃の
湯に10分間浸漬して未反応石鹸を剥離した。剥離前後
の質量差(w3−w4)をテストピース表面積で除した
ものを、未反応石鹸量とした。この量が多いと、加工時
のカスが増大し、成型異常となるため、金属添加なしと
同等以下を合格とした。 5.金属石鹸量 上記5において未反応石鹸を剥離したテストピースを、
80℃の5%サーフクリーナー53に10分間浸漬して
反応石鹸を剥離した。剥離前後の質量差(w4−w5)
をテストピース表面積で除したものを、反応石鹸量とし
た。この量が多いと、潤滑性の向上につながるので、金
属添加なしと同等以上を合格とした。
【0040】6.バウデン−レーベン試験 反応石鹸処理し、乾燥したテストピースを、バウデン−
レーベン試験機にて摩擦係数が0.2になるまでの摺動
回数を測定した。試験条件は次の通りである。 荷重:2Kgf、ボール径:3mm、ボール材:SUJ
2 また、上記反応石鹸処理の代わりに、上記(3)に従っ
てポンプ油塗布したテストピースを用いて同様に測定し
た。これらの回数が多いほど潤滑性は良好であるので、
金属添加なしと同等以上を合格とした。
【0041】
【表1】
【0042】実施例2 添加金属としてコバルトを用い、コバルト添加量を5
0、150、300、500ppmと変えたこと、及
び、下記条件を採用したこと以外は、実施例1と同様に
して測定及び評価を行った。テストピースとしては、実
施例1で使用した冷延鋼鈑(SPCC、板厚0.8m
m)のほかに、鋼線(S45C、線径5.5mm)も使
用した。
【0043】鋼線は、以下の工程で処理した。 酸洗:10%塩酸、室温、10分 水洗:室温、20秒間、スプレー処理 リン酸亜鉛処理:上記の方法に従って行った。 水洗:室温、20秒間、スプレー処理 反応石鹸処理又はポンプ油塗布:上記の方法に従って行
った。 乾燥:100℃、5分間
【0044】バウデン−レーベン試験における鋼線の試
験条件は以下のとおりとした。 荷重:10Kgf、圧着子径:5mm、圧着子材:SU
J2
【0045】リン酸亜鉛皮膜結晶サイズの測定は下記に
従って行った。反応石鹸処理又はポンプ油塗布を行う前
であってリン酸亜鉛処理及びその後の水洗を行ったテス
トピースについて、電子顕微鏡で観察した(倍率は20
0倍)。金属イオンを添加しないサーフドロウ30でリ
ン酸亜鉛処理した場合の皮膜の結晶サイズと比較した。
金属添加なしと同等のものを合格とした。表2における
単位は金属無添加の結晶サイズを1とした場合の結晶サ
イズである。結果を表2に示した。
【0046】
【表2】
【0047】上記表1より、金属イオンとしてコバルト
を添加したものは、リン酸亜鉛皮膜量は金属を添加しな
いものと同等であり、エッチング量が減少したので、エ
ッチング量−皮膜質量比が低くなり、スラッジの発生量
が減少すると思われる。また、金属石鹸量が増加し、バ
ウデン−レーベン試験結果が良好であり、潤滑性が大き
く向上した。また、上記表2より、コバルトイオンを5
0〜300ppm添加した場合に、潤滑性が大きく向上
したが、500ppm添加したものは、添加しないもの
よりもかえって低下した。一方、その他の金属イオンを
添加したものは、コバルトほど潤滑性が向上しなかっ
た。また、カルシウムを添加したものは、エッチング量
−皮膜質量比が金属を添加しないものよりも高かったの
で、スラッジの発生量が増加し、産業廃棄物量の増加、
廃棄コストの上昇につながるものと考えられる。
【0048】
【発明の効果】本発明の冷間加工用リン酸亜鉛処理剤
は、リン酸イオン5〜120g/l、亜鉛イオン3〜7
0g/l、硝酸イオン5〜120g/l及びコバルトイ
オン0.05〜0.4g/lを含むものであるので、そ
の後の潤滑処理されて得られる鋼線又は鋼材の潤滑性が
格段に向上し、冷間加工時における加工性に優れる。更
に、リン酸亜鉛処理時におけるスラッジの発生量を減少
させ、産業廃棄物量や廃棄コストを減少させることがで
きる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 記村 公雄 大阪府寝屋川市池田中町19番17号 日本ペ イント株式会社内 Fターム(参考) 4K026 AA02 AA22 AA24 BA04 BB04 CA26 CA32 DA03 DA06 DA13 EA07

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 リン酸イオン5〜120g/l、亜鉛イ
    オン3〜70g/l、硝酸イオン5〜120g/l及び
    コバルトイオン0.05〜0.4g/lを含むことを特
    徴とする冷間加工用リン酸亜鉛処理剤。
  2. 【請求項2】 更に、亜硝酸、塩素酸、ニトロベンゼン
    スルホン酸及びこれらの塩並びにヒドロキシルアミンか
    らなる群より選択される少なくとも1つを含むものであ
    る請求項1記載の冷間加工用リン酸亜鉛処理剤。
  3. 【請求項3】 更に、フッ素化合物、ニッケル化合物及
    び銅化合物からなる群より選択される少なくとも1つを
    含むものである請求項1又は2記載の冷間加工用リン酸
    亜鉛処理剤。
  4. 【請求項4】 コバルトイオン/亜鉛イオンの質量比
    は、0.0007〜0.13である請求項1、2又は3
    記載の冷間加工用リン酸亜鉛処理剤。
  5. 【請求項5】 請求項1、2、3又は4記載の冷間加工
    用リン酸亜鉛処理剤で、鋼線又は鋼材を処理する工程を
    含むことを特徴とする鋼線又は鋼材の処理方法。
  6. 【請求項6】 請求項5記載の鋼線又は鋼材の処理方法
    により処理されてなる鋼線又は鋼材。
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