JP3307882B2 - マグネシウム含有金属の低電気抵抗性皮膜処理物及びその表面処理方法 - Google Patents

マグネシウム含有金属の低電気抵抗性皮膜処理物及びその表面処理方法

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JP3307882B2
JP3307882B2 JP26556698A JP26556698A JP3307882B2 JP 3307882 B2 JP3307882 B2 JP 3307882B2 JP 26556698 A JP26556698 A JP 26556698A JP 26556698 A JP26556698 A JP 26556698A JP 3307882 B2 JP3307882 B2 JP 3307882B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、マグネシウム含有
金属表面に、裸耐蝕性、防錆性、塗膜密着性及び塗膜耐
蝕性で、かつ低電気抵抗性の皮膜を有する処理物及びそ
の処理方法に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、携帯電話器、ノートパソコン、ビ
テオカメラ等がめざましく普及してきたが、その普及に
伴い、その電磁波による通信障害や人体への影響が問題
視されている。この問題に対しては、その筺体の構成材
について一定の電磁波シールド性の対策が求められてい
る。また、これらの筺体の形成材としては、プラスチッ
ク材製のものに代わり、軽さや物理的強度、さらにはリ
サイクル性の観点から、マグネシウム合金材製のものが
多く使用されるに至っている。
【0003】このマグネシウム合金材は、腐食性が激し
いという欠点がある。このため、水酸化アルカリ溶液に
よる前処理後にクロム系溶液による化成処理を施す方法
や、無電解ニッケルメッキ等により、マグネシウム合金
の表面に皮膜を形成させることが一般的に行われてい
る。しかし、クロム系溶液の使用は地球環境にとって有
害性が大きく、ノンクロム系の化成処理剤による処理方
法の開発が望まれるところである。
【0004】また、マグネシウム合金表面処理用のノン
クロム系の化成処理剤による処理方法としては、従来、
マグネシウム合金の表面に、高温の水酸化ナトリウム溶
液を接触させる方法(特開昭61−90776号公
報)、ピロリン酸塩溶液及び水酸化アルカリ溶液で処理
する方法(特開平6−116740号公報)、酸性PH
下で、リン酸、マンガンイオン及びアミン化合物を含む
水性液を接触させる方法(特開平7−126858号公
報)、リン酸、カルシウムイオンあるいはアルミニウム
イオン及びアミン化合物を含む水性液を酸性PH値下で
接触させる方法(特開平8−176842号公報)など
が開発されている。しかし、これら従来のノンクロム系
の化成処理剤によるいずれの処理方法によっても、形成
皮膜の裸耐蝕性について十分なものが得られない。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】このため、本発明者ら
は、マグネシウム合金表面処理用のノンクロム系の化成
処理剤につき、鋭意研究した結果、カルシウムイオン、
マンガンイオン及びリン酸イオンを含み、さらに酸化促
進剤を含有する水性液剤によれば、その化成処理によっ
てマグネシウム合金表面に得られる化成皮膜は、裸耐蝕
性、防錆性、塗装密着性及び塗装耐蝕性のいずれについ
ても優れたものが得られる、との知見を得た。
【0006】しかし、上記した新規開発に係る化成処理
溶液を、水酸化アルカリ溶液による前処理後の化成処理
工程に使用する前記した従来の処理方法にそのまま適用
する場合、マグネシウム合金表面では皮膜の形成により
電気抵抗率が106 Ω・cmを超える電気絶縁物の値と
なる。このように高い電気抵抗率の皮膜を有するマグネ
シウム合金が携帯電話器等の筺体の構成材などとして利
用されるとき、その生じる電磁波に対し十分なシールド
性能を保持させることができない。
【0007】そこで、本発明では、マグネシウム含有金
属材に対し、一定の裸耐蝕性、防錆性、塗膜密着性及び
塗膜耐蝕性を保持すると共に、電磁波シールド性を有効
に保持する低電気抵抗率を有する化成皮膜を形成でき
る、ノンクロム系化成処理溶液による表面処理物及びそ
の処理方法の提供を目的とした。
【0008】
【課題を解決するための手段】上記した目的を達成する
ため、本発明は、マグネシウム含有金属の低電気抵抗性
皮膜処理物につき、次の組成とした。即ち、マグネシウ
ム含有金属表面の化成処理皮膜が、1乃至500mg/
2 のカルシウム、1乃至500mg/m2 のマンガン
及び1乃至1000mg/m2 のリンを含み、かつ電気
抵抗率が0.1Ω・cm以下であることを特徴とする。
【0009】マグネシウム含有金属材表面に上記した所
定量のカルシウム、マンガン及びリンを含むように化成
皮膜が形成されることにより、一定の裸耐蝕性、防錆
性、塗膜密着性及び塗膜耐蝕性を保持するものとして得
られる。特に、カルシウム及びリンは化成皮膜の裸耐蝕
性の向上、またマンガンは塗膜密着性の向上に寄与する
ものと考えられる。また、マグネシウム含有金属表面の
電気抵抗率が0.1Ω・cm以下であることによって、
その構成材について有効な電磁波シールド性を保持させ
ることができる。
【0010】つまり、この電磁波シールド性は、入射電
磁波が、マグネシウム含有金属材表面の化成皮膜におけ
る低電気抵抗率性により吸収され、この吸収された電磁
波エネルギーは熱に変化して消耗される原理に基づくも
のであると考えられる。
【0011】また、本発明において、マグネシウム含有
金属としては、Mg−Al−Zn合金、Mg−Zn合
金、Mg−Al−Mn合金等のマグネシウム合金のほ
か、マグネシウム自体をも含む。また、マグネシウム含
有金属材としては、この金属材自体のほか、そのダイカ
スト製品材をも含む。
【0012】次に、上記した組成乃至性能を保持する本
発明に係る低電気抵抗性皮膜のマグネシウム含有金属表
面の処理方法は、次のとおりである。
【0013】先ず、本発明に係る第一の処理方法は、マ
グネシウム含有金属材に対して、酸又は/及び弱アルカ
リ溶液によるエッチング処理後に、高アルカリ溶液によ
る処理を行い、しかる後にカルシウムイオン、マンガン
イオン及びリン酸イオンを含み、さらに酸化促進剤を含
有する化成処理剤溶液による化成処理を行う工程を含む
ことを特徴とする。
【0014】この本発明に係る処理方法において、酸溶
液とは、リン酸や酸性フッ化アンモニウム、硝酸、硫酸
等の水溶液、また、弱アルカリ溶液とは、ピロリン酸ナ
トリウム等の水溶液を挙げることができる。また、高ア
ルカリ溶液とは、水酸化ナトリウムの水溶液等を挙げる
ことができる。
【0015】この処理方法では、次のような作用が生じ
るものと考えられる。先ず、酸及び/又は弱アルカリ溶
液中でのエッチング作用によって、マグネシウム含有金
属材に含まれるマグネシウムやアルミニウムや亜鉛等が
酸あるいは弱アルカリと化学反応して溶出する。この
際、例えば、過剰に生成した粉末状のリン酸マグネシウ
ム、リン酸アルミニウム、リン酸亜鉛、その他マグネシ
ウムの溶出成分等がスマットとして付着状態となる。次
いで、このマグネシウム含有金属材表面のスマットは、
その大部分が高アルカリ溶液中で溶解除去されるが、そ
の一部は残留する。この際、この残留スマットの一部は
溶解して水酸化マグネシウムとなり、これがマグネシウ
ム含有金属材表面に不導態化膜を形成すると共に、残留
スマットの成分であるリン酸マグネシウムやリン酸アル
ミニウム等が混在した化成皮膜がマグネシウム含有金属
材表面に形成されることになる。これらのリン酸マグネ
シウムやリン酸アルミニウム等は非常に小さいものであ
り、これらの存在がマグネシウム含有金属材表面の低電
気抵抗率性を保持させているものと考えられる。
【0016】従って、この処理方法において、酸あるい
は弱アルカリ溶液によるエッチング処理工程では、上記
した作用に適う処方で実行することが必要となる。この
エッチング処理における好ましい処方は、例えば、リン
酸溶液について、0.5〜10重量%の濃度のリン酸水
溶液とし、常温下に10秒間〜10分間の浸漬処理を行
うことである。このリン酸の濃度が0.5重量%未満で
あったり、又は処理時間が10秒未満であるとエッチン
グ処理が不完全となる。このエッチング処理が不完全で
あると、スマットの発生が足りず、表面抵抗の小さい皮
膜が得られず、また形成皮膜についての裸耐蝕性や塗膜
密着性等について不良の原因となる。また、このリン酸
の濃度が10重量%を超えたり、又は処理時間が10分
を超えると、形成皮膜が不均一となり、また皮膜形成後
に過剰に残留し、形成皮膜についての裸耐蝕性、塗膜密
着性等について不良の原因となる。
【0017】また、ピロリン酸ナトリウム溶液について
は、0.5〜10重量%の垂溶液濃度で、50〜60℃
の温度条件下で、1〜5分間浸漬することである。この
ピロリン酸ナトリウム濃度が0.5重量%未満であった
り、又は処理時間が1分未満であると、エッチングが不
完全となり、形成皮膜について裸耐蝕性や塗膜密着性の
不良の原因となったり、また前記した残留付着物量が不
十分となる。このため、表面抵抗の低い皮膜をえること
ができない。また、ピロリン酸ナトリウム濃度が10重
量%を超えたり、又は処理時間が10分を超えると、形
成皮膜が不均一となる。
【0018】また、高アルカリ溶液による処理において
は、脱脂処理のほか、前工程における酸を中和し除去す
る作用を発揮する。この作用に適う高アルカリ溶液は、
例えば、水酸化ナトリウム水溶液の場合、1〜10重量
%で、この溶液を50〜60℃の加温条件下に1〜5分
間浸漬処理を行うことが好ましい。このアルカリの濃度
が1重量%未満であったり、処理時間が1分未満である
と、不働態化膜の生成が十分でなく、また皮膜に過剰の
スマットが残留し、形成皮膜の裸耐蝕性が不十分とな
る。また、このアルカリの濃度が10重量%を超えた
り、処理時間が5分を超えると、残留スマットの量が少
なくなり、処理後のマグネシウム含有金属材表面につい
て十分な電気抵抗の低下が不十分となる。
【0019】次に、本発明に係る第二の処理方法は、マ
グネシウム含有金属材に対して、酸又は/及び弱アルカ
リ溶液によるエッチング処理後に、フッ化物溶液による
処理を行い、しかる後にカルシウムイオン、マンガンイ
オン及びリン酸イオンを含み、さらに酸化促進剤を含有
する化成処理剤溶液による化成処理を行う工程を含むこ
とを特徴とする。
【0020】この第二の処理方法における作用は、酸又
は弱アルカリ溶液において、マグネシウム含有金属材か
ら主としてマグネシウムが溶出し、その過剰成分が表面
にスマット状に再付着する。この付着物の大部分は、次
工程のフッ化物溶液中で溶解除去されるが、その一部は
残留する。これが第一の処理方法の場合と同様にマグネ
シウム含有金属材表面の電気抵抗の低下に寄与すること
になると考えられる。
【0021】このような作用に適う好ましい処方は、酸
又は弱アルカリ溶液については、前記した第一の処理方
法と同じである。
【0022】また、フッ酸溶液及び酸性フッ化アンモニ
ウム等のフッ化物溶液について好ましい処方は、いずれ
についても、1〜10重量%の水溶液濃度で、常温条件
下、1〜10分間浸漬することである。このフッ酸ある
いは酸性フッ化アンモニウム濃度が1重量%未満であっ
たり、処理時間が1分未満であると、エツチング処理が
不完全となる。またフッ酸あるいは酸性フッ化アルミニ
ウム濃度が10重量%を超えたり、又は処理時間が10
分を超えると、形成皮膜が不均一となり、また残留付着
物の量が少なくなり、マグネシウム含有金属材表面の電
気抵抗の低下が不十分となる。
【0023】また、上記した第一及び第二の各処理方法
における、酸又は弱アルカリ浴液によるエッチング処理
工程は、処理対象材がマグネシウム合金ダイカストのよ
うに、その表面にある種の離型剤を伴うような場合で
も、次工程の化成処理工程で裸耐蝕性等について優れた
化成皮膜を得ることを可能とする。
【0024】次に、上記した本発明に係る各処理方法に
おける化成処理は、前記したようにカルシウムイオン、
マンガンイオン及びリン酸イオンを含み、さらに酸化促
進剤を含有する水性液剤を化成処理液剤とし、この化成
処理液剤の浴液にマグネシウム含有金属材を浸漬するこ
とにより実行できる。
【0025】この化成処理液剤について、カルシウムイ
オンは、硝酸カルシウム、亜硝酸カルシウム、チオ硫酸
カルシウム、リン酸二水素カルシウムなどの一種又は二
種以上の配合によることができる。また、マンガンイオ
ンは、炭酸マンガン、硝酸マンガン、リン酸水素マンガ
ン、重リン酸マンガン、ホウフッ化マンガンなどの一種
又は二種以上の配合によることができる。また、リン酸
イオンは、オルソリン酸、縮合リン酸、亜リン酸、次亜
リン酸などの一種又は二種以上の配合によることができ
る。
【0026】この化成処理液剤の各成分の好ましい配合
量は次のとおりである。即ち、カルシウムイオンが1〜
20重量%、マンガンイオンが1〜4重量%及びリン酸
イオンが20重量%以上、並びに酸化促進剤が0.02
〜2重量%の割合で配合することである。これらの各成
分について、上記した範囲の配合量であるとき、マグネ
シウム含有金属材の表面に裸耐蝕性や塗膜密着性等につ
いて良好な化成皮膜を安定的かつ経済的に、しかも、低
電気抵抗率性を保持する状態で形成することができる。
【0027】なお、カルシウムイオンが不足する場合、
裸耐蝕性や塗膜密着性等が低下し、またマンガンイオン
やリン酸イオンが不足する場合には、特に、塗膜密着性
の低下に加えて、酸化促進剤からの塩素イオンによる白
錆が発生する原因となる。
【0028】また、酸化促進剤としては、塩素酸ナトリ
ウム、次亜塩素酸ナトリウム等を挙げることができる。
この酸化促進剤は、化成処理時に、前記した各成分イオ
ンとの反応性を高め、裸耐蝕性等が良好な化成皮膜を得
ることができる。また、この酸化促進剤の好ましい配合
量は、上記の性能の化成皮膜を安定的に得るために、
0.02〜2.0重量%の範囲の割合である。
【0029】また、この化成処理液剤からなる化成処理
浴液は、PH1.0〜3.0に調整されていることが好
ましい。このPH値が1.0未満であると、化成処理時
においてエッチング量が過大となって、マグネシウム含
有金属材の寸法精度上の問題が生じると共に、裸耐蝕性
の低下をきたす。また、このPH値が3.0を超える
と、化成皮膜の裸耐蝕性等の性能の低下をきたすからで
ある。
【0030】また、この化成処理浴液は、30〜75℃
の範囲の温度に維持されれていることが好ましい。この
浴液温度が、30℃未満であると、化成皮膜の形成に長
時間を要し、化成皮膜の裸耐蝕性等について不良の原因
となったりする。この温度が75℃を超えると、化成皮
膜の裸耐蝕性等の性能が低下する。
【0031】また、この化成処理浴液による化成処理の
ための時間は、この浴液温度と相関関係にある。即ち、
浴液温度が50℃未満である場合、3〜20分間浸漬す
ること、また浴液温度が50℃以上の場合、0.5〜1
0分間浸漬する条件であることが好ましい。この浴液温
度が50℃未満で、浸漬時間が短いと、化成皮膜の形成
量が不十分となる。また浴液温度が50℃以上で、浸漬
時間が長いと、形成皮膜の再溶出が生じて裸耐蝕性等の
性能の低下をきた、またスマットを皮膜が覆ってしま
い、表面抵抗が高くなることがある。
【0032】本発明は、上述したような処理過程を含む
処理方法であり、上記した各処理工程後にはそれぞれ水
洗工程を含ませることが好ましく、また、化成処理に続
けては、さらに、一般的方法に従い、水洗後に、乾燥処
理をし、さらに塗装処理を施すことができる。この塗装
処理には、エポキシ樹脂材を電着塗装や吹き付け塗装の
方法により下塗りし、さらにこれにメラミン樹脂等によ
り上塗りすることによるができる。
【0033】
【実施例】(実施例1)処理対象としてのチクソモール
ド法によるマグネシウム合金材(JISH5303MD
ID(ASTM AZ91D)、2×60×100m
m、日本製鋼(株)調製品)に対して、前処理として、
表1に示す実施番号1〜12の処理浴液による表面調整
1、水洗、表面調整2、水洗、表面調整3及び水洗の各
工程を浸漬法により、表2に示す処理条件下で順にそれ
ぞれ行った。
【0034】
【表1】
【0035】
【表2】
【0036】なお、水酸化ナトリウム浴液については、
アニオン界面活性剤を0.5重量%配合した。また、そ
の他の浴液についてはそれぞれ非イオン界面活性剤を
0.2重量%配合した。
【0037】次いで、上記した前処理後に表3に示す成
分配合の化成処理浴液により化成処理を施こした。ま
た、この化成処理は、処理対象に対して、70℃の浴液
温度下で、2分間、5分間あるいは8分間浸漬すること
により行った。
【0038】
【表3】
【0039】さらに、水洗、脱イオン水洗の後、80
℃、10分間の水切り乾燥を行い、その後、カチオン電
着塗装法によりエポキシ系樹脂塗膜を20μm厚で形成
した。
【0040】このような処理工程による実施番号1〜5
の処理を2回繰り返し、その平均値として、マグネシウ
ム合金材表面の皮膜特性を表4及び表5に示した。
【0041】
【表4】
【0042】
【表5】
【0043】なお、元素付着量は、蛍光X線による定量
方法によった。また、電気抵抗率は、(株)ダイアイン
ストルメント製のロレスターMP(4端子4探針方式)
で測定した。また、塗膜耐蝕性は、常法に従い、表面に
クロスカットを設け、これを試料としてJISZ237
1に従った塩水噴霧試験(SST)を720時間行い、
塗膜の剥離幅を調べたものである。また、塗膜密着性
は、JISK5400に従い、試料表面に碁盤目模様を
描いて100個の部分に区分し、テープアップ後の格子
残存数を計数し、次の基準により判断した。つまり、そ
の残存数が100のとき○、それ以外のとき×とした。
【0044】表4に示した結果によれば、実施番号1〜
4の処理工程による場合にはいずれも形成皮膜がカルシ
ウム、マンガン及びリンを所定量以上含有するものによ
ってなることが分かる。
【0045】また、表5に示した皮膜性能についての結
果から、実施番号1〜5の処理工程によれば、いずれの
場合でも、電磁波シールド性に適う0.1Ω・cm以下
の低電気抵抗率性を保持すること、及び形成皮膜の塗膜
耐蝕性についても一定基準を保持していることが分か
る。また、実施番号3〜5の処理工程による場合、化成
処理時間の延長は、塗膜耐蝕性をより向上させることに
なるが、電気抵抗値を急激に高めることになることも分
かる。従って、これらの処理工程では、化成処理時間を
5分間以内とする必要がある。
【0046】また、実施番号6〜11の処理工程による
場合の皮膜特性については、比較例として、表6に示し
た。
【0047】
【表6】
【0048】この表6に示した結果から、アルカリ溶液
による前処理のみによる場合(実施番号7)を含めて、
これらの処理工程による場合には、マグネシウム合金表
面の電気抵抗率は0.1Ω・cmをはるかに超える電気
絶縁物の値となってしまうことが分かる。また、特に、
実施番号6及び11の処理工程の場合のように、SST
(720時間)についての塗膜耐蝕性の低下も確認され
る。
【0049】(実施例2)処理対象としてのモールドカ
スト法によるマグネシウム合金材(JISH5303M
DID(ASTM AZ91D)、日本マグネシウム協
会頒布品)に対して、前処理として、表7に示す実施番
号13〜25の処理浴液による表面調整1、水洗、表面
調整2、水洗、表面調整3及び水洗の各工程を浸漬法に
より表8に示す条件下で順にそれぞれ行った。
【0050】
【表7】
【0051】
【表8】
【0052】なお、水酸化ナトリウム浴液については、
アニオン界面活性剤を0.5重量%配合した。また、そ
の他の浴液についてはそれぞれ非イオン界面活性剤を
0.2重量%配合した。
【0053】次いで、上記の前処理後に、表3に示す成
分配合の化成処理浴液により化成処理を施した。また、
この化成処理は、処理対象に対して、70℃の浴液温度
下で、2分間、5分間あるいは8分間浸漬することによ
り行った。その後、さらに、水洗、脱イオン水洗の後、
80℃、10分間の水切り乾燥を行い、その後に、アク
リル樹脂塗装により、20〜30μm厚の樹脂塗膜を形
成した。
【0054】このような処理工程による実施番号13〜
16の処理を2回繰り返し、その平均値をマグネシウム
合金材表面の皮膜特性として表9及び表10に示した。
【0055】
【表9】
【0056】
【表10】
【0057】なお、元素含有量の測定法、電気抵抗率の
測定法、塗膜耐蝕性の測定法及び塗膜密着性の測定法に
ついては、実施例1と同じである。
【0058】表9に示した結果によれば、実施番号13
〜16の処理工程による場合にはいずれも、形成皮膜が
カルシウム、マンガン及びリンを所定量維持用含有する
ものによってなることが分かる。
【0059】また、表10に示した皮膜性能についての
結果から、実施番号13〜16の処理工程によれば、い
ずれの場合でも、電磁波シールド性に適う0.1Ω・c
m以下の低抵抗率性を保持すること、及び形成皮膜の塗
層耐蝕性にいても一定基準を保持していることが分か
る。また、実施番号15及び16の処理工程による場
合、実施例1の場合と同様に、化成処理時間がマグネシ
ウム合金材表面の電気抵抗と塗膜耐蝕性とに相関してい
ることが分かる。
【0060】また、実施番号17〜25の処理工程によ
る場合の皮膜特性については、比較例として、表11及
び表12に示した。
【0061】
【表11】
【0062】
【表12】
【0063】この表11及び表12に示した結果から、
アルカリ溶液による前処理のみの場合(実施番号17)
を含めて、これらの処理工程による場合には、マグネシ
ウム合金材表面の電気抵抗率が0.1Ω・cmをはるか
に超える電気絶縁物の値となってしまうことが分かる。
また、特に、実施番号17及び24の処理工程の場合の
ように、SST(720時間)についての塗膜耐蝕性の
低下も確認される。
【0064】(試験例)実施例1の場合と同一のマグネ
シウム合金材を処理対象とし、前処理として、水酸化ナ
トリウム浴液による脱脂処理を濃度4重量%、液温55
℃、処理時間5分の条件で行い、水洗後、表13に示す
成分配合の化成処理浴液中に浸漬し、70℃、5分の条
件で処理した。その後は、水洗、脱イオン水洗、水切り
乾燥し、さらに、カチオン電着塗装法によりエポキシ系
樹脂塗膜を20μ厚で形成した。
【0065】
【表13】
【0066】このような処理工程による試験番号1及び
2の処理によるマグネシウム合金材表面の皮膜特性を表
14に示した。
【0067】
【表14】
【0068】表14に示した結果から、化成皮膜の組成
元素としてカルシウムとマンガンのいずれかが含まれな
い場合には、形成皮膜について、ブリスターが発生した
り、また塗膜密着性について、良好なものが得られない
ことが分かる。
【0069】
【発明の効果】上述したように本発明は構成されるか
ら、次のような効果が発揮される。先ず、本発明の処理
物によれば、マグネシウム含有金属材について裸耐蝕
性、防錆性、塗膜密着性及び塗膜耐蝕性に優れた形成皮
膜の処理物を低電気抵抗のものとして提供するものであ
るから、これが携帯電話器やパソコン等の筺体構成材で
ある場合、軽量で物理的強度が大きく、しかも電磁波シ
ールド性に優れたものとして利用できる。
【0070】また、本発明に係る処理方法は、従来一般
の前処理のための処理浴液を用いるものであり、上記し
たマグネシウム金属含有材の処理物を極めて容易にかつ
経済的に得ることができる。

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】マグネシウム含有金属表面の処理皮膜が、
    1乃至500mg/m2 のカルシウム、1乃至500m
    g/m2 のマンガン及び1乃至1000mg/m2 のリ
    ンを含み、かつ電気抵抗率が0.1Ω・cm以下である
    ことを特徴とするマグネシウム含有金属の低電気抵抗性
    皮膜処理物。
  2. 【請求項2】マグネシウム含有金属材に対して、酸又は
    /及び弱アルカリ溶液によるエッチング処理後に、高ア
    ルカリ溶液による処理を行い、しかる後にカルシウムイ
    オン、マンガンイオン及びリン酸イオンを含み、さらに
    酸化促進剤を含有する化成処理剤溶液による化成処理を
    行う工程を含むことを特徴とする低電気抵抗性皮膜を有
    するマグネシウム含有金属表面の処理方法。
  3. 【請求項3】マグネシウム含有金属材に対して、酸又は
    /及び弱アルカリ溶液によるエッチング処理後に、フッ
    化物溶液による処理を行い、しかる後にカルシウムイオ
    ン、マンガンイオン及びリン酸イオンを含み、さらに酸
    促進剤を含有する化成処理剤溶液による化成処理を行
    う工程を含むことを特徴とする低電気抵抗性皮膜を有す
    るマグネシウム含有金属表面の処理方法。
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