JP2002283820A - ストラット型サスペンション装置 - Google Patents

ストラット型サスペンション装置

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俊夫 小見
Yukihiro Sugimoto
幸大 杉本
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 常に偏心量が０のストラット型サスペンショ
ン装置を提供し、走行直進性の向上を図る。 【解決手段】 車体１に取付けたインシュレータ３に上
端を支持するストラット７と、車体下面にベアリング４
を介して設置された上側座５と、前記ストラット７に固
定された下側座８を有し、上側座５と下側座８との間に
ストラット７を取巻いて圧縮コイルばね６を配置し、ス
トラット７を介して車体を支持してなるキングピン軸９
まわりに転舵可能なストラット型サスペンション装置に
おいて、キングピン軸９とベアリング中心軸とが概ね一
致するようにベアリング４を傾けて配置し、キングピン
軸９まわりに回転モーメントを発生させないことを特徴
とするストラット型サスペンション装置である。

Description

【発明の詳細な説明】
【０００１】
【発明の属する技術分野】本発明は、自動車用のストラ
ット型サスペンション装置に関し、特に走行直進性を向
上させる構造に関する。
【０００２】
【従来の技術】従来のストラット型サスペンション装置
は、図３に示すように車体１に、弾性ゴム２を内部に保
持したインシュレータ３を設け、該インシュレータ３内
の弾性ゴム２にストラット７の上端を保持し、また、イ
ンシュレータ３の下面にはベアリング４を介して上側座
５を設置し、ストラット７には下側座８を固定して、こ
れら上側座５と下側座８との間に圧縮コイルばね６を保
持してなる。この場合、ベアリング中心軸はストラット
軸に一致させてある。９はキングピン軸線である。
【０００３】実公昭６１−９３３０５号公報には、スト
ラット型サスペンション装置の改良が示されており、上
側座又は下側座に自動調心ベアリングを取り付け、ばね
が変位したときに発生するばねのねじれを解放するよう
にしている。
【０００４】又、特開平９−３００９３２号公報には、
右側、左側のサスペンション装置で回転モーメントを逆
向きに発生させ、その効果の一つとして走行直進安定性
の低下を回避する提案が示されている。
【０００５】
【発明が解決しようとする課題】従来のストラット型サ
スペンション装置の作用説明図を図４に示す。この場
合、ベアリングはストラット軸１２（二点鎖線）に直交
するように配置されており、上側座５はストラット軸１
２（＝ベアリング軸１３）を中心に回転し、下側座はキ
ングピン軸９（一点鎖線）のまわりに回転する。上側座
５と下側座８がそれぞれ個別の回転軸をもつ為、一般に
はキングピンまわりのモーメントが発生し、走行直進性
が損なわれる。
【０００６】図５は図４の上側座における仮想面を表し
ている。Ｘ，Ｙ座標の原点はストラット軸１２を中心に
とり、車体の前方方向をＸ、幅方向をＹとし、荷重作用
線が上側座または下側座と交差する点を荷重作用点１５
とする。ここでばね荷重作用点を一定とし、Ｘ方向に変
化させた場合のキングピン軸まわりの回転角θと、ばね
に蓄えられたひずみエネルギーとの関係を調べてみる。
【０００７】図６はベアリング軸とストラット軸とが一
致している従来型の回転角θとひずみエネルギーの関係
を示している。図からわかるように荷重作用点のＹ軸か
らの偏心量をパラメータにすると、回転角θによってば
ねのひずみエネルギーが変化することが分かる。従って
上下両座ともひずみエネルギーの小さくなる方向に回転
を起こすことになる。例えば偏心量が−１０．３ｍｍの
場合は、回転角θが負の方向に、偏心量が１８ｍｍの場
合は、回転角θが正の方向に回転を起こす、これが結果
としてキングピンまわりの回転モーメントとして現れ
る。
【０００８】又、図６から分かるようにＸ方向偏心量の
正負によって発生する回転モーメントの方向が変わる。
従って偏心量が０の場合には、回転してもひずみエネル
ギーは一定であり回転モーメントは発生しない。
【０００９】本発明の課題はこの偏心量が変化してもば
ねのひずみエネルギーがキングピン軸まわりの角度θに
よらず一定であるようなストラット型サスペンション装
置を目指すものである。
【００１０】
【課題を解決するための手段】本発明は、車体に取付け
たインシュレータに上端を支持するストラットと、車体
下面にベアリングを介して設置された上側座と、前記ス
トラットに固定された下側座を有し、上側座と下側座と
の間にストラットを取巻いて圧縮コイルばねを配置し、
ストラットを介して車体を支持してなるキングピン軸ま
わりに転舵可能なストラット型サスペンション装置にお
いて、キングピン軸とベアリング中心軸とが概ね一致す
るようにベアリングを傾けて配置し、キングピン軸まわ
りに回転モーメントを発生させないことを特徴とするス
トラット型サスペンション装置である。
【００１１】
【発明の実施の形態】本発明の実施例を図１によって説
明する。図３と同一名称部分は同一符号を付して説明す
る。
【００１２】車体１、弾性ゴム２、インシュレータ３、
圧縮コイルばね６、ストラット７、上側座５、下側座８
の関係は、図３の従来例と同じである。ただ上側座５と
取付けるベアリング４はインシュレータ３の下部に角度
調整部材１０および１１を用いて、角度を設けて取付
け、ベアリング４の中心線をキングピン軸９と概ね一致
するようにする。
【００１３】上側座と下側座ともキングピン軸まわりに
回転する。上側座と下側座を同時に回転させた場合、上
側座と下側座の相対的な距離と角度の変動しないのでコ
イルばねのひずみエネルギーに変化はない。
【００１４】このように構成したことにより、キングピ
ン軸まわりの角度とばねのひずみエネルギーの関係は図
２に示すとおりとなる。図２に示すようにＸ方向偏心量
に拘わらず、ばねのひずみエネルギーは、図６における
Ｘ方向偏心量０ｍｍのときと同じように一定となり、回
転モーメントは発生せず、走行直進安定性が得られる。
【００１５】
【発明の効果】本発明は、従来構造と大きな変更なし
で、１個のサスペンション装置でキングピン軸まわりの
角度とばねのひずみエネルギーの関係は常に一定とな
り、走行直進安定性が増す。かかる効果を奏する構造は
従来の構成に、ベアリングの角度を角度調整材を用いて
調整し、キングピン軸とベアリング中心線とを概ね一致
させることによって容易に実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【図１】本発明の実施の一例の構成図である。
【図２】本発明のキングピン軸まわりの角度とばねのひ
ずみエネルギーの関係を示すグラフである。
【図３】従来例の構成図である。
【図４】従来例の作用の説明図である。
【図５】機能を説明するための座標、角度の基準を上側
座位置で示した図である。
【図６】従来例におけるキングピン軸まわりの角度とば
ねのひずみエネルギーの関係を示すグラフである。
【符号の説明】
１ 車体 ２ 弾性体 ３ インシュレータ ４ ベアリング ５ 上側座 ６ 圧縮コイルばね ７ ストラット ８ 下側座 ９ キングピン １０ 角度調整材 １１ 角度調整材
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Ｆターム(参考） 3D001 AA14 BA02 DA09

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項１】 車体に取付けたインシュレータに上端を
    支持するストラットと、車体下面にベアリングを介して
    設置された上側座と、前記ストラットに固定された下側
    座を有し、上側座と下側座との間にストラットを取巻い
    て圧縮コイルばねを配置し、ストラットを介して車体を
    支持してなるキングピン軸まわりに転舵可能なストラッ
    ト型サスペンション装置において、キングピン軸とベア
    リング中心軸とが概ね一致するようにベアリングを傾け
    て配置し、キングピン軸まわりに回転モーメントを発生
    させないことを特徴とするストラット型サスペンション
    装置。
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