JP2002282986A - 塑性加工部材の製造方法 - Google Patents

塑性加工部材の製造方法

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JP2002282986A
JP2002282986A JP2001092202A JP2001092202A JP2002282986A JP 2002282986 A JP2002282986 A JP 2002282986A JP 2001092202 A JP2001092202 A JP 2001092202A JP 2001092202 A JP2001092202 A JP 2001092202A JP 2002282986 A JP2002282986 A JP 2002282986A
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forging
forged
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Kazuo Sakamoto
和夫 坂本
Yasuo Uosaki
靖夫 魚崎
Nobuo Sakate
宣夫 坂手
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Mazda Motor Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 鋳造により成形された塑性加工用素材を部分
的に塑性加工する場合でも、塑性加工を付与しない部分
におけるブリスターの発生や機械的性質の低下が抑止さ
れるような塑性加工部材の製造方法を提供する。 【解決手段】 塑性加工型12の塑性加工用素材13の
塑性加工部分13aに対応する部位のみを塑性加工に必
要な所定温度に加熱した状態で塑性加工用素材13の部
分的な塑性加工を行う。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、鋳造により成形さ
れた塑性加工用素材を塑性加工型により部分的に塑性加
工して塑性加工部材を製造する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】強度等の機械的性質が高い金属部材を成
形する方法として塑性加工法がある。
【0003】かかる塑性加工法のうち鍛造法は、据え込
みしたビレットを2〜3回荒鍛造することにより最終形
状に近い鍛造用素材(プリフォーム)を成形し、その鍛
造用素材を300〜400℃程度に予熱した後、それを
同じく300〜400℃に予熱した鍛造金型にセットし
て塑性加工を行うものである。また、鍛錬効果による強
度特性の向上、安価な材料の使用、据え込み及び荒鍛造
工程の廃止、材料歩留まりの向上を図ることができるも
のとして鋳造鍛造法がある。この鋳造鍛造法は、鋳造法
により最終形状に近い鍛造用素材(プリフォーム)を成
形し、その鍛造用素材を上記と同様に予熱した後、それ
を上記と同様に予熱した鍛造金型にセットして全体又は
必要部分のみに強鍛造による塑性加工を行うものであ
る。
【0004】ところで、鋳造鍛造法では、鍛造用素材が
鋳造により成形されるために内部欠陥を多く内包し、鍛
造用素材が予熱されるとその内部欠陥が膨脹し、それが
表面にブリスターとなって現れて外観を損ねたり、破壊
の起点となって機械的性質を低下させることとなる。但
し、かかる膨脹した内部欠陥は、鍛造により潰されてし
まえば消失するので、鍛造用素材の全体を鍛造するよう
な場合には何ら問題を生じない。しかしながら、鍛造用
素材を部分的に鍛造するような場合、その鍛造部分の内
部欠陥は潰されることとなるが、非鍛造部分の内部欠陥
は依然として残るため、その部分でブリスターによる外
観不良及び低い機械的性質がそのまま維持されてしまう
という問題がある。また、非鍛造部分が予熱のために又
は鍛造時に加熱されると、その部分の結晶粒が粗大化し
てそれによっても機械的性質の低下を招くという問題も
ある。さらに、非鍛造部分が加熱されると、その部分で
晶出物が固溶して軟化するという問題もある。
【0005】特開平6−322410号公報には、炭素
の粉体又は炭素を含む鉄の粉体と、鉄、ニッケル等の単
体の粉体とを成形焼成することによって得られた焼結部
品の部分的な強度特性の改善を図る方法として、強度を
必要とする部分のみに誘導加熱等の比較的急速に加熱で
きる熱源を用いて加熱した後、その加熱部分を所定の型
を用いて加圧して塑性変形させると同時に焼き入れし、
高硬度高密度化させるというものが開示されている。し
かしながら、この方法は、加工対象が焼結部品であり、
また、強度を必要とする部分を直接加熱した後に塑性変
形させるものであるため、この方法を鋳造により成形さ
れた鍛造用素材に適用しても、強度を必要とする部分以
外の部分も実質的に加熱され、ブリスターの発生や機械
的性質の低下を抑止することは困難である。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、かかる点に
鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、
鋳造により成形された塑性加工用素材を部分的に塑性加
工しても、非塑性加工部分におけるブリスターの発生や
機械的性質の低下が抑止されるような塑性加工部材の製
造方法を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明は、鋳造により成
形された塑性加工用素材を部分的に塑性加工する際、塑
性加工型の塑性加工用素材の部分塑性加工部位に対応す
る部分のみを所定温度に加熱した状態で塑性加工を行う
ようにしたものである。
【0008】具体的には、本発明は、鋳造により成形さ
れた塑性加工用素材を塑性加工型により部分的に塑性加
工する塑性加工部材の製造方法を前提とし、その塑性加
工用素材の部分的な塑性加工を、塑性加工型の塑性加工
用素材の塑性加工部分に対応する部位のみを塑性加工に
必要な所定温度に加熱した状態で行うことを特徴とす
る。
【0009】上記のようにすれば、塑性加工型の塑性加
工用素材の塑性加工部分に対応する部位のみが所定温度
に加熱され、塑性加工用素材自体は予熱されないので、
塑性加工用素材に内包される内部欠陥の予熱による膨脹
が防止され、製造される塑性加工部材の非塑性加工部分
において、膨脹した内部欠陥に起因するブリスターの発
生による外観不良、膨脹した内部欠陥が破壊起点となる
ことによる強度等の機械的性質の低下、及び結晶粒の粗
大化による機械的性質の低下、並びに晶出物の固溶によ
る軟化のいずれもが抑止されることとなる。
【0010】ここで、塑性加工に必要な所定温度は、塑
性加工時の限界据え込み率が60%以上となる温度以上
で、塑性加工用素材が部分的に溶融し始める温度未満の
温度である。塑性加工時の限界据え込み率が60%以上
となる温度以上であることを要するのは、この温度より
低いと塑性加工時に塑性加工用素材に部分的な割れが発
生しやすくなるからであり、塑性加工用素材が部分的に
溶融し始める温度未満であることを要するのは、この温
度以上だと部分溶融部のみが変形するようになるからで
ある。なお、限界据え込み率とは、塑性加工用素材の塑
性加工前の寸法をH1、その塑性加工用素材を塑性加工
して割れが発生した際の寸法をH2としたとき、(H1
−H2)/H1(%)で算出されるものである。
【0011】塑性加工用素材の鋳造成形方法としては、
材料金属が完全に溶融した状態で鋳造成形する完全溶融
成形法によってもよいが、好ましくは、材料金属の固相
と液相とが混在した状態で鋳造成形する半溶融成形法に
よるのがよい。塑性加工用素材が内包する内部欠陥は鋳
造過程におけるエアの巻き込みにより生成するものであ
るが、半溶融成形法は、完全溶融成形法よりも粘度の高
い溶湯が層流又は層流に近い流動挙動を示して鋳造成形
が行われるためにかかるエアの巻き込みがより少なく、
内部欠陥のより少ない塑性加工用素材を得ることができ
るからである。
【0012】この場合、半溶融成形法により鋳造成形さ
れた塑性加工用素材のミクロ組織は、液相が固化した液
相固化部のマトリックスに半溶融時に固相状態であった
固相部が散在して多数形成されたものとなる。そして、
塑性加工用素材の塑性加工部分が塑性加工されると、そ
の部分のミクロ組織は塑性加工方向に圧縮される一方、
その塑性加工方向に垂直な方向に伸張される。このと
き、固相部の塑性加工方向の長さに対するその塑性加工
方向に垂直な方向の長さの比であるアスペクト比が1.
5以上となるように、塑性加工用素材の部分的な塑性加
工を行うようにするのがよい。このようにすれば、後に
実施例で明らかとするように、塑性加工部分における強
度等の機械的性質の向上を図ることができ、塑性加工部
材の塑性加工部分の高い機械的性質が確保されることと
なる。より好ましくは、このアスペクト比が3.0以上
となるように塑性加工用素材の塑性加工を行うのがよ
く、これによって塑性加工部分の高い機械的性質を安定
して得ることができる。
【0013】また、塑性加工は、特に限定されるもので
はないが、例えば鍛造を挙げることができる。鍛造は、
顕著な材料的流動を伴い、また、塑性加工部分を圧縮す
ることにより確実にブリスターの発生を防止する塑性加
工である。
【0014】さらに、塑性加工後の非塑性加工部に共晶
組織が残存することが望ましい。つまり、塑性加工後の
非塑性加工部に共晶組織が残存するように、塑性加工後
に熱処理を施さない、又は熱処理を施すとしてもブリス
ターが発生しないような条件のものとすることが望まし
い。このようにすれば、塑性加工部材に依然として内包
される内部欠陥の膨脹が防止され、ブリスターの発生防
止及び機械的性質低下防止が維持されることとなる。
【0015】そして、塑性加工用素材の金属材料として
は、特に限定されるものではなく、例えば、Al合金や
Mg合金等の軽金属合金を挙げることができる。
【0016】Mg合金の場合、鋳造加工性及び製造され
る塑性加工部材の延性を確保するためにはAlを2〜7
質量%含有したものであることが望ましい。すなわち、
Alの含有量が2質量%より少ないと、溶湯の流動性
(湯流れ性)が低く鋳造加工性が悪いものとなってしま
う。また、Alの含有量が7質量%より多いと、塑性加
工により製造される塑性加工部材が延性に乏しいものと
なってしまう。
【0017】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
塑性加工型の塑性加工用素材の塑性加工部分に対応する
部位のみが所定温度に加熱され、塑性加工用素材自体は
予熱されないので、塑性加工用素材に内包される内部欠
陥の予熱による膨脹が防止され、製造される塑性加工部
材の非塑性加工部分において、膨脹した内部欠陥に起因
するブリスターの発生による外観不良、膨脹した内部欠
陥が破壊起点となることによる強度等の機械的性質の低
下、及び結晶粒の粗大化による機械的性質の低下、並び
に晶出物の固溶による軟化のいずれもが防止されること
となる。
【0018】
【発明の実施の形態】以下。本発明の実施形態に係るM
g合金からなる鍛造部材の製造方法について説明する。
【0019】(鋳造工程−射出成形工程) <射出成形装置>図1は、本実施形態に係るMg合金製
の鍛造用素材(塑性加工用素材)を鋳造成形するための
射出成形装置1を示す。
【0020】この射出成形装置1は、本体部2と、本体
部2に回転可能に支持されたスクリュー3と、本体部2
の背部に配置されたスクリュー3を回転駆動するための
回転駆動部4と、スクリュー3を囲うようにして本体部
2に固定されたシリンダ5と、シリンダ5の外周に長手
方向に所定ピッチで間隔をおいて配設されたヒータ6
と、軽金属合金原料が投入され貯えられるホッパ7と、
ホッパ7内の原料を計量して射出成形装置1内に供給す
るフィーダ8と、シリンダ5の先端に装着された金型9
とを備えている。
【0021】本体部2には、スクリュー3をシリンダ5
内の長手方向に前進させる射出機構が設けられている。
この射出機構は、前方に送られる軽合金溶湯の圧力によ
り後退するスクリュー3の後退距離が予め設定されたも
のとなった際に、それを検知してスクリュー3の回転及
び後退動作を停止させ、所定のタイミングでスクリュー
3を前進させて溶湯を射出するように構成されている。
スクリュー3の前進速度は制御可能とされており、金型
9のキャビティ12への溶湯の流入速度が制御されるよ
うになっている。
【0022】シリンダ5には、先端部にノズル10が設
けられており、シリンダ5内で攪拌・混練された溶湯が
このノズル10を通してキャビティ12に射出されるよ
うになっている。このキャビティ12への溶湯の射出
は、シリンダ5前方部に所定量の溶湯が溜まったときに
行われるので、それまでの間は、溶湯のノズル10から
の流出を防止する必要がある。そこで、溶湯をシリンダ
5前方部に溜めている間は、溶湯が凝固して形成される
コールドプラグによりノズル10を塞ぎ、溶湯を射出す
る際は、溶湯の射出と共にそれが容易に金型9側に押し
出されて外れるようにノズル10の温度制御がなされて
いる。
【0023】シリンダ5の外周に設けられたヒータ6
は、シリンダ5が長手方向に沿って前方に行くほど高温
となるように、複数のゾーンに分割されて温度制御が行
われ、軽合金原料がスクリュー3によってシリンダ5内
を前方に搬送されながら昇温し、シリンダ5前方部にお
いて融点未満の半溶融状態、又は融点乃至融点直上の溶
融状態の溶湯となるように制御されている。
【0024】ホッパ7、フィーダ8及びシリンダ5並び
にこれらを連結する通路には、軽合金の酸化を防止する
ために不活性ガス(例えばArガス)が充填されてい
る。
【0025】金型9は、ノズル10から射出された溶湯
を導くランナー部11を有している。そのランナー部1
1は、シリンダ5のノズル10から真っ直ぐに延びた
後、垂直に立ち上がるL字状に形成されており、その角
部にはノズル10から外れたコールドプラグを受けるた
めのプラグ受け部11aが設けられている。また、金型
9は、ランナー部11と連通したキャビティ12と、キ
ャビティ12とランナー部11との境界をなすゲート部
13と、キャビティ12のゲート部13から離間した位
置に設けられ、溶湯により置換されたキャビティ12内
のガスを収容するためのオーバーフロー部14とを備え
ている。
【0026】<射出成形方法>次に、Alを2〜7質量
%含有するMg合金の射出成形方法について説明する。
【0027】まず、チップ状のMg合金(2〜7質量%
のAlを含有)を原料として射出成形装置1のホッパ7
に投入する。投入されたMg合金チップは、フィーダ8
で所定量が計量されて射出成形装置1内に供給される。
【0028】次いで、Mg合金チップは、スクリュー3
の回転によって加熱状態のシリンダ5内に送給されると
共に、シリンダ5内部でスクリュー3の回転により十分
に攪拌・混練されながら所定温度に加熱される。これに
よって、Mg合金チップは、融点未満又は融点乃至融点
直上の半溶融状態の、すなわち、固相と液相とが混在し
たMg合金溶湯となる。
【0029】このようにして得られたMg合金溶湯は、
スクリュー3によって前方に押し出されてシリンダ5前
方部に溜められると共に、溜まった溶湯の圧力によりス
クリュー3が後退する。このとき、シリンダ5に設けら
れたプラグの温度を下げ、溶湯の一部が凝固して形成さ
れたコールドプラグによってプラグが塞がれるようにし
て、溶湯がプラグを通ってシリンダ5外に流出するのを
防ぐ。
【0030】スクリュー3が予め設定された距離だけ後
退すると、本体部2の射出機構がそれを検知してスクリ
ュー3の回転及び後退動作を停止させる。このとき、シ
リンダ5前方部にはワンショット分の溶湯が溜まった状
態となる。
【0031】そして、射出機構によってスクリュー3を
前進させて溶湯に圧力を作用させることにより、コール
ドプラグを金型9側に押し出して外し、ノズル10から
射出された溶湯をキャビティ12に流入させる。なお、
外れたコールドプラグはランナー部11のプラグ受け部
11aに保持されることとなる。
【0032】最後に、溶湯が凝固した後、金型9を開
き、鋳造成形された射出成形材、すなわち、鍛造用素材
(塑性加工用素材)を取り出す。この鍛造用素材は、半
溶融のMg合金溶湯が固化したものであり、液相が固化
した液相固化部のマトリックスに半溶融時に固相状態で
あった固相部が多数散在したミクロ組織を有する。
【0033】(鍛造工程) <鍛造金型>図2は、本実施形態に係るMg合金製の鍛
造部材(塑性加工部材)を鍛造成形するための鍛造金型
(塑性加工型)を示す。
【0034】鍛造金型12は、板状の鍛造用素材の中央
部分のみを厚さ方向に圧縮して鍛造する非閉塞鍛造加工
用のものであり、鍛造用素材を支持するための支持金型
12aと、支持金型12aの上面に対峙して上下移動可
能に設けられたパンチ金型12bとからなる。
【0035】<鍛造方法>次に、鍛造用素材の鍛造方法
について説明する。
【0036】まず、鍛造金型12の支持金型12a及び
パンチ金型12bを所定温度(300〜400℃)に予
熱する。射出成形により得られた鍛造用素材の予熱は行
わない。
【0037】そして、鍛造用素材13の鍛造する部分1
3aを支持金型12a上に載せ、続いて、支持金型12
aの上方に位置していたパンチ金型12bを下方移動さ
せて鍛造用素材13の上面に圧接させることにより鍛造
用素材13の部分的な鍛造を行う。このとき、鍛造部分
13aは鍛造金型12の熱により昇温することとなる
が、非鍛造部分13b,13bはほとんど昇温すること
なく鍛造が完了する。また、鍛造部分13aは、固相部
が鍛造による鍛造方向(図2におけるY方向)に圧縮さ
れる一方、その方向に垂直な方向(図2におけるX方向
及びZ方向)に伸張される。鍛造は、この固相部の鍛造
方向の長さに対するこれに垂直な方向の長さの比である
アスペクト比が1.5以上(好ましくは3.0以上)と
なるように行う。このように、鍛造部分13aの固相部
の形態が変化することは、鍛造加工率を34%としたと
き(図2中の(h1−h2)/h1=0.34)の鍛造
後の図2における鍛造部分13aのA部及び非鍛造部分
13bのB部のそれぞれの表面のミクロ組織を示す図3
(a)及び(b)からも確認することができる。つま
り、図3(a)に示す鍛造部分13aのA部では、固相
部がX方向に配向したような形態であるのに対し、図3
(b)に示す非鍛造部分13bのB部では、固相部にそ
のような配向性が見られず等方的である。
【0038】次いで、パンチ金型12bを上方移動させ
て鍛造用素材13を部分的に鍛造してできた鍛造部材1
3を取り出す。これ以降、この鍛造部材13にはT6処
理等の熱処理を一切施さず、非鍛造部分13bに共晶組
織が残存した状態でそのまま製品として実用に供する。
【0039】以上のようにして製造することができる鍛
造素材としては、例えば、自動車のステアリングホイー
ル、シートフレーム、インストルメントパネル等を挙げ
ることができる。
【0040】(作用・効果)上記のような鍛造部材の製
造方法によれば、鍛造金型12のみが所定温度に加熱さ
れ、鍛造用素材13自体は予熱されないので、鍛造用素
材13に内包される内部欠陥の予熱による膨脹が防止さ
れ、製造される鍛造部材13の非鍛造部分13bにおい
て、膨脹した内部欠陥に起因するブリスターの発生によ
る外観不良、膨脹した内部欠陥が破壊起点となることに
よる強度等の機械的性質の低下、及び結晶粒の粗大化に
よる機械的性質の低下、並びに晶出物の固溶による軟化
のいずれもを抑止することができる。
【0041】また、鍛造用素材13は、比較的粘度の高
い溶湯により成形が行われる半溶融成形法により鋳造成
形されるので、完全溶融成形法により鋳造成形されるも
のに比べてエアの巻き込みによる内部欠陥を少なくする
ことができる。
【0042】さらに、アスペクト比が1.5以上(好ま
しくは3.0以上)となるように鍛造用素材13の鍛造
を行うようにしているので、鍛造部分13aにおける強
度等の機械的性質の向上を図ることができ、鍛造部材1
3の鍛造部分13aの高い機械的性質を確保することが
できる。
【0043】そして、鍛造により塑性加工が行われる
が、鍛造の圧縮により鍛造部分13aでのブリスターの
発生を確実に防止することができる。
【0044】また、鍛造後、何らの熱処理も施さずに鍛
造部材13を実用に供するようにしているので、鍛造部
材13に依然として内包される内部欠陥の膨脹が防止さ
れ、ブリスターの発生防止及び機械的性質低下防止を維
持することができる。
【0045】さらに、材料金属としてAlを2〜7質量
%含有したMg合金が用いられているので、鋳造加工性
及び製造される鍛造部材13の延性を確保することがで
きる。
【0046】(その他の実施形態)上記実施形態では、
鍛造用素材を射出成形法により鋳造成形したが、特にこ
れに限定されるものではなく、ダイキャスト法により鋳
造成形するようにしてもよい。
【0047】また、上記実施形態では、鍛造用素材を半
溶融成形法により鋳造成形したが、特にこれに限定され
るものではなく、完全溶融成形法により鋳造成形するよ
うにしてもよい。
【0048】また、上記実施形態では、鍛造部材13に
熱処理を一切施さないようにしたが、特にこれに限定さ
れるものではなく、鍛造後に、歪み取りの焼き鈍しや人
工時効等を目的としたブリスターの発生しない温度での
熱処理を施すようにしてもよい。
【0049】
【実施例】(試験評価1) <試験評価方法>半溶融射出成形法により、表1に組成
を示す合金Aで金属板状の鍛造用素材数枚を鋳造成形し
た。このとき、成形した鍛造用素材の固相率が30%と
なるように溶湯の温度制御を行い、固相率は成形した鍛
造用素材のミクロ組織を画像解析することにより確認し
た。また、固相率とは、鍛造用素材全体のうちで固相部
が占める体積比率をいい、成形された鍛造用素材の表面
のミクロ組織を観察することにより、観察領域全体に対
する固相部分の面積比率、すなわち体積比率として数値
的に求めることができるものである。
【0050】また、完全溶融ダイキャスト成形法によ
り、表1に組成を示す合金Bで金属板状の鍛造用素材数
枚を鋳造成形した。
【0051】半溶融成形法により成形した合金Aの鍛造
用素材及び完全溶融成形法により成形した合金Bの鍛造
用素材のそれぞれについて、鍛造しない鍛造用素材その
ものと、鍛造加工率を3水準変量し図2に示すような鍛
造金型により部分的に鍛造を付与した鍛造部材とからな
る4つの試験片を準備した。
【0052】そして、鍛造用素材を半溶融成形法で成形
したもの(合金A)の試験片については、鍛造部分の固
相部のアスペクト比を計測した。
【0053】続いて、鍛造用素材を半溶融成形法で成形
したもの(合金A)及び鍛造用素材を完全溶融成形法で
成形したもの(合金B)の各4つの試験片について引張
試験を実施し、0.2%耐力、引張強度及び破断伸びを
計測した。
【0054】
【表1】
【0055】<試験評価結果>図4は、鍛造加工率と
0.2%耐力との関係を示す。図5は、鍛造加工率と引
張強度との関係を示す。図6は、鍛造加工率と破断伸び
との関係を示す。
【0056】これらの図によれば、鍛造用素材を半溶融
成形法で成形したもの(合金A)及び完全溶融成形法で
成形したもの(合金B)のいずれも、鍛造加工率が高く
なるに従って0.2%耐力、引張強度及び破断伸びのい
ずれもが向上するのが分かる。これは、鍛造加工率が高
まることにより内部欠陥が潰されて消失し、それによっ
て強度特性の向上が図られると共に、延性が高いという
合金A及び合金Bが元来有する特性がそのまま発現する
ようになるためであると考えられる。
【0057】また、同一の鍛造加工率では、鍛造用素材
を半溶融成形法で成形したもの(合金A)の方が完全溶
融成形法で成形したもの(合金B)よりも、0.2%耐
力、引張強度及び破断伸びのいずれもが高いことが分か
る。これは、半溶融成形法で成形した鍛造用素材では、
鋳造欠陥等の内部欠陥量が完全溶融成形法で成形したも
のよりも少なくて高品質であるためと考えられる。な
お、合金Aと合金Bとの材料組成の相違は微差であり、
それによる機械的性質の相違は少ないと考えられる。
【0058】図7は、鍛造用素材を半溶融成形法で成形
したもの(合金A)の固相部のアスペクト比と0.2%
耐力との関係を示す。図8は、その固相部のアスペクト
比と引張強度との関係を示す。図9は、その固相部のア
スペクト比と破断伸びとの関係を示す。
【0059】これらの図によれば、アスペクト比1.5
までは、アスペクト比の増加に伴い0.2%耐力、引張
強度及び破断伸びのいずれもが大幅に向上するのが分か
る。また、その後、その向上効果は、若干緩やかにな
り、アスペクト比3.0以上で安定してそれらの機械的
性質を示すようになることが分かる。従って、アスペク
ト比1.5以上(好ましくは3.0以上)となるように
鍛造を行うことにより、優れた機械的性質を有する鍛造
部材を得ることができる。ここで、図4〜6及び図7〜
9より、アスペクト比1.5は鍛造加工率で約20%
に、アスペクト比3.0は鍛造加工率で約40%にそれ
ぞれ対応しているのを確認することができる。
【0060】(試験評価2) <試験評価方法>半溶融射出成形法により、表1に組成
を示す合金Cで金属板状の鍛造用素材数枚を鋳造成形し
た。このとき、成形した鍛造用素材の固相率が20%と
なるように溶湯の温度制御を行い、固相率は成形した鍛
造用素材の表面のミクロ組織を画像解析することにより
確認した。また、同様にして、半溶融射出成形法によ
り、表1に組成を示す合金Dで金属板状の鍛造用素材数
枚を鋳造成形した。このとき、成形した鍛造用素材の固
相率が10%となるように溶湯の温度制御を行い、固相
率の確認は合金Cの場合と同様の方法で行った。
【0061】合金Cの鍛造用素材及び合金Dの鍛造用素
材のそれぞれについて、鍛造しない鍛造用素材そのもの
と、鍛造加工率を3水準変量し図2に示すような鍛造金
型により部分的に鍛造した鍛造部材とからなる4つの試
験片を準備した。
【0062】そして、合金C及び合金Dの各4つの試験
片について引張試験を実施し、0.2%耐力、引張強度
及び破断伸びを計測した。
【0063】<試験評価結果>図10は、鍛造加工率と
0.2%耐力との関係を示す。図11は、鍛造加工率と
引張強度との関係を示す。図12は、鍛造加工率と破断
伸びとの関係を示す。
【0064】これらの図によれば、合金C及び合金Dは
いずれも、鍛造加工率が高くなるに従って0.2%耐力
及び引張強度は向上するものの、破断伸びは低下するの
が分かる。これは、鍛造加工率が高まることにより内部
欠陥が潰されて消失し、それによって強度特性の向上が
図られるのに対し、合金C及び合金DはAl含有量が多
く、熱間鍛造中にMg−Al化合物が多量に晶出するた
め延性が低下するためであると考えられる。
【0065】図6に示すように、試験評価1における合
金A及び合金Bでは鍛造加工率が高くなるに従って破断
伸びが向上している。試験評価2で使用した合金C及び
合金Dは、Alの含有量の点で合金A及び合金Bと大き
く異なっており、破断伸びの特性の違いはこれに起因し
ているものと考えられる。従って、合金A〜DのAlの
含有量を勘案すると、延性が要求される部品(部分)に
本発明の鍛造方法を適用する場合、Mg合金のAlの含
有量を7質量%以下とする必要がある。また、鍛造用素
材を成形する鋳造工程において、最低限の鋳造加工性
(湯流れ性)を確保するためには、Alの含有量を2質
量%以上とする必要がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態の射出成形装置の部分断面図
である。
【図2】本発明の実施形態の鍛造金型の構成を示す説明
図である。
【図3】鍛造部分及び非鍛造部分それぞれの表面のミク
ロ組織を示す顕微鏡写真である。
【図4】試験評価1における鍛造加工率と0.2%耐力
との関係を示すグラフ図である。
【図5】試験評価1における鍛造加工率と引張強度との
関係を示すグラフ図である。
【図6】試験評価1における鍛造加工率と破断伸びとの
関係を示すグラフ図である。
【図7】試験評価1における固相部のアスペクト比と鍛
造加工率と0.2%耐力との関係を示すグラフ図であ
る。
【図8】試験評価1における固相部のアスペクト比と鍛
造加工率と引張強度との関係を示すグラフ図である。
【図9】試験評価1における固相部の鍛造加工率と破断
伸びとの関係を示すグラフ図である。
【図10】試験評価2の鍛造加工率と0.2%耐力との
関係を示すグラフ図である。
【図11】試験評価2の鍛造加工率と引張強度との関係
を示すグラフ図である。
【図12】試験評価2の鍛造加工率と破断伸びとの関係
を示すグラフ図である。
【符号の説明】
1 射出成形装置 2 本体部 3 スクリュー 4 回転駆動部 5 シリンダ 6 ヒータ 7 ホッパ 8 フィーダ 9 金型 10 ノズル 11 ランナー部 11a プラグ受け部 12 鍛造金型 12a 支持金型 12b パンチ金型 13 鍛造用素材(鍛造部材) 13a 鍛造部分 13b 非鍛造部分
フロントページの続き (72)発明者 坂手 宣夫 広島県安芸郡府中町新地3番1号 マツダ 株式会社内 Fターム(参考) 4E087 AA01 BA03 BA24 CA11 CA32 CB02 DB12 EA11 EC01

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 鋳造により成形された塑性加工用素材を
    塑性加工型により部分的に塑性加工する塑性加工部材の
    製造方法であって、 上記塑性加工用素材の部分的な塑性加工を、上記塑性加
    工型の該塑性加工用素材の塑性加工部分に対応する部位
    のみを該塑性加工に必要な所定温度に加熱した状態で行
    うことを特徴とする塑性加工部材の製造方法。
  2. 【請求項2】 上記塑性加工用素材を、材料金属の固相
    と液相とが混在した状態で成形を行う半溶融成形法で鋳
    造成形することを特徴とする請求項1に記載の塑性加工
    部材の製造方法。
  3. 【請求項3】 上記塑性加工用素材の部分的な塑性加工
    を、上記半溶融成形法により液相固化部に散在して形成
    される固相部の塑性加工方向の長さに対する該塑性加工
    方向に垂直な方向の長さの比であるアスペクト比が1.
    5以上となるように行うことを特徴とする請求項2に記
    載の塑性加工部材の製造方法。
  4. 【請求項4】 上記塑性加工用素材の部分的な塑性加工
    を、上記アスペクト比が3.0以上となるように行うこ
    とを特徴とする請求項3に記載の塑性加工部材の製造方
    法。
  5. 【請求項5】 上記塑性加工は鍛造であることを特徴と
    する請求項1に記載の塑性加工部材の製造方法。
  6. 【請求項6】 上記塑性加工後の非塑性加工部に共晶組
    織が残存することを特徴とする請求項1に記載の塑性加
    工部材の製造方法。
  7. 【請求項7】 上記塑性加工用素材はAlを2〜7質量
    %含有したMg合金により形成されていることを特徴と
    する請求項1に記載の塑性加工部材の製造方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2018126791A (ja) * 2014-10-10 2018-08-16 ソウル エンジニアリング カンパニー リミテッド ランスノズル

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