JP4631231B2 - 車両用マグネシウム合金製ホイール及びその製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、タイヤを保持するリム部と車体部材に支持されるディスク部とを備え、マグネシウム合金素材に塑性加工を施して形成される車両用のマグネシウム合金製ホイール及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、自動車等の車両用のホイールとして、例えば特開平7−224344号公報に示されるように、マグネシウム(以下、適宜、その元素記号Mgで表示する。)合金を素材に用いたものは公知である。
ある程度以上の高強度を要する部材である車両用ホイールをMg合金を素材として製造する場合、鋳造法や射出成形法などの造形または成形プロセスのみを用いたのでは、得られる強度が低いため部材の肉厚を大きく設定する必要があり、Mg合金の軽量性を十分に活かすことはできない。一方、通常の鍛造法を適用した場合には、Mg合金製の鋳造ビレットから最終形状の鍛造品を得るまでに複数ステップの鍛造工程を経る必要があり、また、材料歩留まりも低くなるので、非常にコスト高になる。
【0003】
そこで、鋳造法や射出成形法に比してより高強度のMg合金部材を効率良く製造できる方法として、鍛造加工に先立って鋳造法によりその鍛造加工に適した素材(鍛造用素材)を成形し、この素材を所定の鍛造型にセットして鍛造加工を行うようにした、所謂、鋳造鍛造法が知られている。
この鋳造鍛造法によれば、鋳造(素材)段階で鍛造加工による完成品(鍛造部材)の形状に比較的近似した半製品形状に成形することができる。これにより、鍛造工程を仕上鍛造の1工程のみに簡略化することが可能になり、また、複雑な形状の部材でも鍛造できるようになる。更に、鍛造性の余り良くない材料でも支障無く鍛造加工を行えるように素材の組織を調整することも可能になる。
【0004】
尚、この鋳造鍛造法における鍛造用素材の成形を、鋳造法の代わりに射出成形法で行うこともできる。この射出成形法は、鋳造法に比して短いサイクルタイムで効率良く成形品(Mg合金材)を製造することが可能で、また、例えばダイキャスト法などの鋳造法に比べた場合、作業環境面では比較的クリーン(清浄)で安全性もより高く、また、品質面においても、引け巣などの欠陥が少なく、かつ高精度で均質な軽金属成形品を得ることができるプロセスとして知られている。
【0005】
また、この射出成形法において、Mg合金等の軽金属溶湯を(基本的にはその融点未満の)半溶融状態にして射出ノズルから成形キャビティ内に射出充填するようにした、所謂、半溶融射出成形法が知られている。
このように半溶融状態の金属溶湯を用いた場合、溶湯温度(以下、完全に溶融した状態ではなく半溶融状態のものであっても「溶湯」と称する。)が低いので、所謂「バリ」が出にくくなり高速および/または高圧での射出にも適しており、生産性の向上を図る上で有利となる。更に、金属溶湯を半溶融状態として成形キャビティに充填することにより、完全に溶解した液相部分中に未溶解の固相部分が混在した溶湯がそのまま充填されるので、層流に近い状態で充填されるようになり、ガスの巻き込みが比較的少なくて済み、比較的均質な組織が得られる。これにより、得られた部材全体としての機械的特性を高めることが可能になる。
【0006】
ところで、通常、車両用ホイールは、タイヤを保持するリム部と車体部材に支持されるディスク部とを主要部として構成されており、かかる車両用ホイールとしては、その製作工程により、ホイール全体を一体物として形成する所謂1ピースホイールと、複数の部分(例えば、上記リム部とディスク部)に分割して各部をそれぞれ別工程で製造しておき、これら部分を接合して1つのホイールとして一体化させて完成品を得る複数ピースの(換言すれば分割構造の)ホイールとに大別されるが、上述のMg合金を素材に用いた車両用ホイールの場合には、従来、所謂1ピースホイールとして製造されている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、1ピースホイールの場合、ディスク部の形状サイズだけでなく、リム部の形状サイズも一定で変更することはできない。従って、例えば、タイヤ幅のみが異なり他の部分の形状サイズが同一である車輪に適用する場合でも、リム幅が異なるために、ホイール製造用の金型等は全く別物として用意する必要があり、車種変更に対応するには多大の費用を要することになる。このことは、リム部のディスク部に対するオフセット量のみが異なる場合でも同様である。
【0008】
また、Mg合金製ホイールを1ピースホイールとした場合、リム部とディスク部とは、当然、同材質のMg合金で形成されることになる。しかしながら、このリム部とディスク部とでは、使用上求められる強度特性および製造上求められる塑性加工特性がそれぞれ異なっている。
すなわち、ディスク部の場合には、車体部材(通常、車体のサスペンション装置など)に連結支持され、一定以上の負荷能力が求められる高強度部分であるので、その使用上の観点から高強度が求められる。一方、その製造上の観点からは、塑性加工量は比較的少なくて済み、特に上述の鋳造鍛造法を前提とした場合には、余り高い塑性加工性が求められることはない。
これに対して、リム部の場合には、その外周部にタイヤを保持するだけであるので、使用上の観点から余り高い強度特性を求められることはないが、場合によっては塑性加工として加工度がかなり高い所謂スピニング加工が適用されるなど、塑性加工量はディスク部に比べてかなり多くなるので、製造上の観点から高い塑性加工性が求められることになる。
【0009】
このため、1ピースホイールとして製造されていた従来では、最も塑性加工量が多いリム部に合せて、その塑性加工性を確保できるように材料選定が行われている。Mg合金の場合、一般に、塑性加工性と強度特性とは二律背反する関係にあるので、このように選定された材料では、ディスク部にとって強度特性が十分ではなく、それだけ肉厚を大きく設定する必要があり、ホイール全体としては十分な軽量化を達成することは困難であった。
尚、Mg合金の鋳造ビレットを鍛造後リム部にスピニング加工を施した従来の1ピースホイールについて、ディスク部およびリム部の金属組織の一例を示す顕微鏡写真(倍率:約380倍)を図13及び図14に示す。この例は、後述する表1の合金Eを材料に用いたもので、加工度の高いリム部の方がより緻密な組織になっていることが分かる。
【0010】
また、Mg合金製ホイールの製造に前述の鋳造鍛造法を適用することを考えた場合、この鋳造鍛造法における鋳造若しくは射出成形工程(鍛造用素材成形工程)において、溶湯充填時などにエアを含むガスが巻き込まれる場合があり、かかるガスが巻き込まれて内在した状態で凝固すると鋳造若しくは射出成形品内部にガス欠陥として残存することになる。特に、この鍛造用素材成形工程に例えば射出成形等の高速・高圧充填が可能な成形プロセスを用いた場合には、上記のようなガス欠陥がより生じ易く、問題が一層顕著なものとなる。
周知のように、Мg合金等の軽金属製の鍛造等による塑性加工製品には、通常、その機械的性質を改善してより強度を高めるための熱処理として、溶体化処理の後に時効硬化処理を施す所謂T6処理が行われるが、鋳造鍛造法で得られた塑性加工製品について、鋳造若しくは射出成形段階で(つまり、鍛造用素材の段階で)上記のようなガス欠陥を内包したものに鍛造等の塑性加工を施した場合には、その後のT6処理において、比較的高温で加熱保持される溶体化処理段階で、内部に存在しているガスの膨張による膨れ(所謂、ブリスタ)が生じ、このブリスタが塑性加工による最終加工品にそのまま不具合として表れるので、その機械的特性が損なわれT6処理による強度向上の効果が十分に得られず、更に、見映えも損なわれるのでこれを除去するための加工が必要とされる、などの問題があった。
【0011】
この発明は、上記技術的課題に鑑みてなされたもので、ディスク部とリム部の各々について、それぞれ好適な塑性加工特性および強度特性を備えたMg合金製車両用ホイール及びその製造方法を提供すること、更には、その製造に鋳造鍛造法を適用した場合でも最終加工品(塑性加工品)に熱処理によるブリスタが発生することを確実に防止できるようにすることを、基本的な目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】
本願発明者等は、上記の技術的課題に対処するために鋭意研究開発を重ねる中で、Mg合金の場合、その強度および塑性加工性とアルミニウム(以下、適宜、その元素記号Alで表示する。)含有量との間に相関性があり、その強度(例えば、引張強度および耐力)はAl含有量と正の相関関係があり、一方、塑性加工性(例えば、伸び及び限界据え込み率)はAl含有量と負の相関関係があることを見出した。
【0013】
そこで、本願請求項1の発明に係るMg合金製車両用ホイールは、タイヤを保持するリム部と車体部材に支持されるディスク部とを備え、Mg合金素材に塑性加工を施して形成される車両用のMg合金製ホイールであって、上記ディスク部のAl含有量が6〜8質量%に設定され、上記リム部のAl含有量は2質量%以上で且つ上記ディスク部のAl含有量未満に設定されていることを特徴としたものである。
【0015】
ここに、上記ディスク部のAl含有量を6〜8質量%としたのは、Al含有量が6質量%未満では、Т6処理等の熱処理を施しても所要の機械的性質を得ることが一般に難しいためであり、一方、Al含有量が8質量%を越えると、一般に塑性加工時に割れが発生し易くなるからである。
また、上記リム部のAl含有量の下限値を2質量%としたのは、Al含有量が2質量%を下回ると、所要の耐食性を得ることが一般に難しいからである。
【0016】
また、本願請求項2の発明は、上記請求項1の発明において、上記ディスク部と上記リム部とはそれぞれ別体に形成された後に一体化されることを特徴としたものである。
【0017】
更に、本願請求項3の発明に係る車両用Mg合金製ホイールの製造方法は、タイヤを保持するリム部と車体部材に支持されるディスク部とを備え、Mg合金素材に塑性加工を施して形成される車両用のMg合金製ホイールの製造方法であって、Al含有量が6〜8質量%に設定された第1Mg合金素材に塑性加工を施して上記ディスク部を形成する工程と、Al含有量が2質量%以上で且つ上記第1Mg合金素材のAl含有量未満に設定されている第2Mg合金素材に塑性加工を施して上記リム部を形成する工程と、上記ディスク部と上記リム部とを一体化する工程と、を有することを特徴としたものである。
ここに、上記ディスク部の素材である第1Mg合金素材のAl含有量を6〜8質量%とし、また、上記リム部の素材である第2Mg合金素材のAl含有量の下限値を2質量%としたのは、上述の請求項1の発明においてディスク部およびリム部のAl含有量を特定したのと同様の理由による。
【0018】
また更に、本願請求項4の発明は、上記請求項3の発明において、少なくとも上記ディスク部の塑性加工は鍛造であることを特徴としたものである。
【0021】
また更に、本願請求項5の発明は、上記請求項3の発明において、少なくとも上記ディスク部に対して、塑性加工後にТ6熱処理を施すことを特徴としたものである。
【0022】
また更に、本願請求項6の発明は、上記請求項3又は請求項4の発明において、上記ディスク部およびリム部の少なくともいずれか一方は、塑性加工前に所定の成形型を用いて半溶融射出成形されていることを特徴としたものである。
【0023】
また更に、本願請求項7の発明は、上記請求項3の発明において、少なくとも上記ディスク部に対して、塑性加工よりも前に溶体化処理を施すことを特徴としたものである。
【0024】
また更に、本願請求項8の発明は、上記請求項7の発明において、上記溶体化処理は、熱処理温度範囲が350℃以上で450℃以下、熱処理時間が10時間以上で20時間以下の処理条件で行われることを特徴としたものである。
【0025】
ここに、上記溶体化処理の熱処理温度について、その下限値を350℃としたのは、この温度以上で溶体化処理を行うことにより、確実に、鍛造用素材に前以ってブリスタを発生させることができるからであり、また、その上限値を450℃としたのは、溶体化処理温度がこの値を越えると材料組織内で結晶粒の成長現象が生じ、その後の塑性加工によって得られる製品の機械的特性が低下するからである。
一方、上記溶体化処理の熱処理時間について、その下限値を10時間としたのは、溶体化処理による材料組織均質化の効果を確実に得るためであり、また、その上限値を20時間としたのは、この時間を越えて処理を続行しても効果が飽和し不経済だからである。
【0026】
また更に、本願請求項9の発明は、上記請求項7又は請求項8の発明において、少なくとも上記ディスク部に対して、塑性加工後に、温度範囲が250℃以上で400℃以下、保持時間が20分以上で10時間以下の条件で熱処理を施すことを特徴としたものである。
【0027】
ここに、塑性加工後に行う熱処理の処理温度について、その下限値を250℃としたのは、処理温度がこの値を下回ると十分な延性の向上効果が得られないからであり、また、その上限値を400℃としたのは、処理温度がこの値を越えると耐力が大きく低下するからである。
一方、上記熱処理の処理時間について、その下限値を20分としたのは、
処理時間がこの値を下回ると十分な延性の向上効果が得られないからであり、また、その上限値を10時間としたのは、処理時間がこの値を越えると、熱処理を行わない場合よりも延性が低下する場合があるからである。この熱処理の処理時間としては、5時間以下が好ましく、1時間とするのが最も好ましい。
【0028】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を、Mg合金製ホイールの素材の成形に半溶融射出成形法を採用し、少なくともディスク部のMg合金素材の塑性加工に鍛造法を適用した場合を例にとって、添付図面を参照しながら詳細に説明する。
まず、本実施の形態に係るMg合金素材の成形について説明する。図1は、本実施の形態に係るMg合金素材の射出成形を行う射出成形装置の概略構成を示す部分断面説明図である。
【0029】
この図に示すように、上記射出成形装置1は、所謂スクリュー式のもので、先端部にノズル3を有し外周に配置されたヒータ4で加熱されるシリンダ2と、該シリンダ2及びそれに連接された成形機本体内5で回転可能に支持されたスクリュー6と、例えばモータ機構および減速機構等を備えスクリュー6を回転駆動する回転駆動装置7と、原料が投入され貯えられるホッパ8と、ホッパ8内の原料を計量して成形機本体5内に送給するフィーダ9とを備えている。
【0030】
また、上記成形機本体5内には、具体的には図示しなかったが、スクリュー6をノズル3側に前進させる高速射出機構が設けられている。この高速射出機構は、所定のタイミングでスクリュー6を前進させるとともに、該スクリュー6が予め設定された距離だけ後退するとそれを検知してスクリュー6の回転を停止させ、同時にその後退動作も停止させるように構成されている。
上記射出成形装置1は、ノズル3の内部通路と成形キャビティ11に繋がるランナ部12とが連通するように位置設定された上で、シリンダ2の先端側を金型10に結合して用いられる。
【0031】
上記ホッパ8に投入されてその内部に貯えられた原料は、フィーダ9で所定量が計量されて成形機本体5内に供給され、スクリュー6の回転によって加熱状態のシリンダ2内に送給される。送給された原料は、このシリンダ2の内部でスクリュー6の回転により十分に攪拌・混錬されながら所定温度に加熱される。本実施の形態では、かかるプロセスによって原料の融点未満の半溶融状態のMg合金溶湯を得るようにした。
【0032】
尚、本明細書において、軽合金(Mg合金)溶湯について「半溶融状態」とは、基本的には、「固体状態の原料(固相)と溶融して液体状態となった原料(液相)とが共存している状態」を言い、通常、原料をその融点未満に加熱することによって得られる状態である。
但し、Mg合金溶湯の温度が実質的にその融点もしくは融点直上で、固相率が実質的に0(零)%に等しい場合も、この「半溶融状態」に含まれるものとする。Mg合金溶湯自体がこのような実質的に固相率0%の場合でも、例えば半溶融射出成形法において現実の射出成形工程を考えれば、射出ノズルから型内への1回(1ショット)の射出が終って次回(次ショット)の射出が行われるまでの間に、射出ノズルの溶湯供給経路内の金属溶湯が冷やされてノズル先端側に凝固部分(所謂、コールドプラグ)や固相率の高い高固相部分が生じるので、実際に成形キャビティ内に射出されるMg合金溶湯には、不可避的に固相部分が含まれることになる。
【0033】
また、本明細書において、「固相」とは「軽金属(Mg合金)溶湯が半溶融状態である場合において溶融されずに固体状態を維持している部分」を言い、また、「液相」とは「完全に溶融されて液体状態となっている部分」を言う。上記「固相」は、得られた軽金属製部材の凝固組織を観察することにより、「半溶融の金属溶湯状態で溶融されずに固体状態を維持していた部分」として、「半溶融の金属溶湯状態で完全に溶融されて液体状態となっていた」液相部分とは、容易に識別することができる。得られた部材について「固相」という場合は、「半溶融の軽金属溶湯状態で溶融されずに固体状態を維持していた(固相であった)部分」を言う。
また、本明細書において、「固相率」とは、「半溶融状態の金属溶湯において溶湯全体(固相+液相)に対する固相の割合」を言い、射出後の成形品の凝固組織を観察することにより、観察領域全体に対する「固相」であった部分の割合(面積比率)として、数値的に求めることができる。
【0034】
このようにして得られた半溶融状態のMg合金溶湯がスクリュー6の前方に押し出されるに連れて、その圧力で該スクリュー6が後退して行く。尚、他の手法として、スクリューを所望の速度で強制的に後退させるようにしても良い。
スクリュー6が予め設定された距離だけ後退すると、成形機本体5内の上記高速射出機構(不図示)がそれを検知してスクリュー6の回転を停止させ、同時にその後退動作も停止させる。尚、原料の計量を、スクリュー6の後退距離を設定することによって行うようにしても良い。
【0035】
そして、回転が停止し後退位置にあるスクリュー6を、高速射出機構(不図示)によって前進させ所定の力で押し出すことより、ノズル3から金型10内に半溶融状態のMg合金属溶湯が射出される。つまり、ノズル3からランナ部12を介して成形キャビティ11内にMg合金溶湯が射出充填されるようになっている。
原料のマグネシウム(Мg)合金は、例えば切り粉状のペレットの形態で射出成形装置1のホッパ8に供給される。上記ホッパ8から成形機本体5内に通じる通路には、より好ましくは不活性ガス(例えばアルゴンガス)が充填され、原料(Mg合金ペレット)の酸化反応の防止が図られている。
【0036】
上記金型10の成形キャビティ11は、より好ましくは、この射出成形よりも後に行われる鍛造加工に用いられる鍛造型(不図示)の成形キャビティと近似した形状に形成されており、後工程で得られるべき製品である鍛造部材の最終形状に近似した半製品形状の射出成形品(鍛造用素材)を得ることができ、塑性加工度が過度に高くなることを抑制できる。
これにより、鍛造工程を仕上鍛造の1工程のみに簡略化することが可能になり、また、複雑な形状のMg合金素材でも鍛造できるようになる。更に、鍛造性の余り良くない材料でも支障無く鍛造加工を行えるのである。
【0037】
この場合において、特に、Mg合金素材の成形に半溶融状態のMg合金溶湯を用いるようにしたことにより、完全溶解状態の溶湯を用いるプロセスによる場合に比べて、引け巣やガス欠陥のより少ない高品質のMg合金素材を得ることができる。また、溶湯温度が低いので、所謂「バリ」が出にくく高速および/または高圧のプロセスにも適しており、生産性の向上を図る上でも有利になる。また、射出成形法を採用したことにより、特に鋳造プロセスによる場合に比べて、短いサイクルタイムで効率良く鍛造用素材を製造することができる上、作業環境面でも比較的クリーン(清浄)で安全性もより高く、しかも、品質面においても、引け巣などの欠陥が少なく、かつ高精度で均質なMg合金素材を得ることが可能になる。
【0038】
本発明の車両用ホイールの素材に用いるMg合金素材について、主要な添加元素であるアルミニウム(Al)の含有量が塑性加工特性および塑性加工後の機械的性質に及ぼす影響を調べる試験を行った。
<試験1>
まず、Al含有量が塑性加工特性に及ぼす影響を調べる試験を行った。具体的には、Al含有量と限界据え込み率の関係を調べた。
ここに、限界据え込み率とは、図2に模式的に示すように、直径D1×長さL1の円柱状の試験片M1を用意し、この試験片M1に対しその長手方向に圧縮荷重を加えて試験片M1を圧縮変形(変形後の長さL2)させた場合に、当該試験片にクラック(割れ)が発生する限界の据え込み率を言う。
【0039】
上記図2の例で、初期長さL1の試験片M1を長さL2まで圧縮変形させたときに微小クラックが発生したとすると、この場合の限界据え込み率は、次式▲1▼で算出される。
限界据え込み率=(L1−L2)/L1×100[%]…▲1▼
尚、本実施の形態では、上記試験片M1の初期(図2参照)の基本寸法を、D=15[mm],L1=22.5[mm]とした。
【0040】
試験は、300℃,350℃及び400℃の3種類の鍛造温度について、上述の半溶融射出成形により得られたMg合金製供試材のAl含有量を約4質量%〜9質量%の範囲で変化させて行った。また、本試験は、全ての供試材について一律の据え込み速度(約0.23mm/s)で行った。試験結果を図3のグラフに示す。
【0041】
図3の試験結果から良く分かるように、鍛造温度の如何に拘わらず、Al含有量が減少するに連れて限界据え込み率は高くなっており、Al含有量はMg合金素材の塑性加工性に非常に大きな影響を及ぼし、両者の間には負の相関性があることが判った。
【0042】
<試験2>
次に、Al含有量が塑性加工後のMg合金部材の機械的性質に及ぼす影響を調べる試験を行った。具体的には、Al含有量と引張強度,耐力(0.2%)及び伸びの関係を調べた。
本試験に用いたMg合金材料の組成を表1に示す。尚、表1において、各数値は質量%を示しており、また、Al(アルミニウム),Zn(亜鉛),Mn(マンガン),Cu(銅),Ni(ニッケル),Fe(鉄)以外の残部は、不可避的に混入する不純物成分を除いて全てMg(マグネシウム)である。
【0043】
【表1】
【0044】
上記表1に組成が示された各Mg合金を材料に用いて、図1の射出成形機により半溶融射出成形を行った。このとき、得られる射出成形材の固相率が、例えば5%となるように溶湯の温度制御を行った。尚、この固相率は、例えば、成形した射出成形材表面を画像解析することによって確認した。そして、得られた各射出成形材に塑性加工(鍛造)を施して供試材を作成した。
すなわち、上記半溶融射出成形で得られた成形材から、図4(a)に示すように、幅10mm,長さ35mm,厚さ21mmの主寸法を有する直方体ブロック状のMg合金素材を切り出し、これを幅方向に拘束した状態で、図4(b)に示すように、厚さが21mmから半分の10.5mmとなるまで熱間鍛造を施した。この場合、鍛造加工率は50%である。そして、この鍛造材に、溶体化処理の後に時効硬化処理を施す所謂T6処理を施して供試材を得た。
【0045】
このТ6処理は、周知のように、Mg合金等の軽金属材料を鍛造法により成形した場合に、その機械的性質(強度および靭性など)を向上させるために施すものであり、比較的高温に所定時間保持して材料組織の均一化を図るための溶体化処理の後に、比較的低温で所定時間保持して硬度を向上させるための人工時効処理を施す二段階熱処理である。尚、Mg合金材の場合には、このТ6処理による有効な機械的性質向上効果を得るには、一般に、6質量%以上のAlを含有する必要があることが知られている。
【0046】
このようにして得られた供試材から所要の試験片を切り出し、引張強度,耐力(0.2%)及び伸び等の機械的性質調べる試験を行った。試験結果を図5のグラフに示す。
この試験結果から良く分かるように、Al含有量はMg合金製鍛造材の機械的性質に非常に大きな影響を及ぼし、引張強度および0.2%耐力についてはAl含有量が増加するに連れて高くなり、これら機械的特性とAl含有量の間には正の相関性がある。一方、伸びについてはAl含有量が増加するに連れて低くなっており、両者の間には負の相関性があることが判った。
【0047】
本実施の形態では、タイヤを保持するリム部と車体部材に連結支持されるディスク部とでは、使用上求められる強度特性および製造上求められる塑性加工特性がそれぞれ異なることに鑑み、車両用ホイールを分割構造とし、ディスク部とリム部とをそれぞれ別体に形成した後に一体化するようにした。そして、リム部のMg合金素材のAl含有量がディスク部のAl含有量よりも少なくなるように材料を選定した。
【0048】
従って、ディスク部について所要の強度特性を確保しつつ、該ディスク部よりも塑性加工による高い加工度が求められるリム部について所要の塑性加工性を確保することができ、また、この場合において、ディスク部とリム部とはそれぞれ別体に形成された後に一体化されるので、容易かつ確実に、ディスク部とリム部のそれぞれについて、最適の組成を有するMg合金素材を用いて最適の塑性加工を施すことが可能になる。
また、例えば、タイヤ幅のみが異なり他の部分の形状サイズが同一である車輪に適用する場合や、リム部のディスク部に対するオフセット量のみが異なる場合でも、1ピースホイールの場合のようにホイール全体の金型等を全く別物として用意する必要はなく、リム部用の金型のみを変更するだけで済む。従って、車種変更などにも比較的容易に対応することができる。
【0049】
具体的には、ディスク部を形成するための第1のMg合金材料のAl含有量を6〜8質量%とし、リム部を形成するための第2のMg合金材料のAl含有量を2質量%以上で且つ上記ディスク部のAl含有量未満とした。
このように材料を選定したことにより、このディスク部について、Al含有量の上限値が8質量%に制限されているので塑性加工時の割れ発生を有効に防止することができ、且つ、Al含有量の下限値が6質量%に制限されているのでТ6処理等の熱処理を施すことにより機械的性質の向上を図ることができる。また、リム部について、Al含有量の下限値が2質量%に制限されているので所要の耐食性を確保することができ、且つ、Al含有量の上限値がディスク部のAl含有量未満に制限されているので、ディスク部に比して良好な塑性加工性を得ることができるのである。
【0050】
図6(c)は、2分割構造(2ピースタイプ)の車両用ホイールW1を模式的に示したものである。このホイールW1は、図6(a)に示すディスク部D1と図6(b)に示すリム部R1とを組み立て、両者を例えば溶接等によって接合して得られたものである。
上記ディスク部D1は、上記第1のMg合金材料を用いて半溶融射出成形法にて、最終形状にできるだけ近似した略円板状に予備成形した後これを塑性加工し、この塑性加工材に所要の熱処理(Т6処理)を施し、所要の機械加工を行って得られる。
本実施の形態では、少なくとも上記ディスク部D1については、塑性加工として鍛造を施すようにした。従って、高い強度が求められるディスク部D1について、比較的容易かつ確実に、所要の強度を得ることができるのである。
【0051】
また、上記リム部R1は、上記第2のMg合金材料を用いてディスク部D1と同様の工程で製作することも可能であるが、本実施の形態では、第2の合金材料でなる薄肉円筒素材を用い、この素材に例えば所謂ロールフォーミング加工やプレス加工またはこれらに加えて所要部分にスピニング加工を施して製作するようにした。Al含有量が低く抑えられているので、このような加工度の高い塑性加工でも支障無く行うことができる。
【0052】
図7(d)は、3分割構造(3ピースタイプ)の車両用ホイールW2を模式的に示したものである。このホイールW2は、図7(a)に示すディスク部D2と図7(b)及び(c)に示す第1リム部R2a及び第2リム部R2bとを組み立て、これら3つの部品を例えば溶接等によって接合して得られたものである。
上記ディスク部D2は、図6(a)で示した2ピースタイプのものと同様の工程で製作することができ、上記第1のMg合金材料を用いて半溶融射出成形法にて、最終形状にできるだけ近似した略円板状に予備成形した後これを塑性加工し、この塑性加工材に所要の熱処理(Т6処理)を施し、所要の機械加工を行って得られる。
【0053】
また、上記第1リム部R2a及び第2リム部R2bは共に、上記第2のMg合金材料を用いてディスク部D2と同様の工程で製作することも可能であるが、本実施の形態では、第2リム部R2bについては、図6(b)で示した2ピースタイプの場合のリム部R1と同様の工程で製作することができ、第2の合金材料でなる薄肉円筒素材を用い、この素材に例えば所謂ロールフォーミング加工やプレス加工またはこれらに加えて所要部分にスピニング加工を施して製作するようにした。一方、上記第1リム部R2aについては、第2の合金材料でなる略円板状素材にプレス加工を施し、これに所要のスピニング加工を施して製作するようにした。
この第1リム部R2a及び第2リム部R2bを製作する場合においても、Al含有量が低く抑えられているので、このような加工度の高い塑性加工でも支障無く行うことができる。
【0054】
尚、以上のようにしてホイールを製造する場合において、鋳造鍛造法にて成形される複雑形状の部品、例えばディスク部については、鋳造もしくは半溶融射出成形等の射出成形にて、最終形状にできるだけ近似した予備成形体を製作し、これに鍛造加工を加えて最終形状が得られるのであるが、このとき、特に強度を要する部分については塑性加工度の高い強加工を施すことが好ましく、それ以外の部分については塑性加工度が低い方が成形容易である。
しかしながら、塑性加工度が低すぎて実質的にゼロ(0:零)に等しい場合には、鋳造の地肌が最終製品に残り外観上好ましくない。従って、鋳造鍛造法にて製作する場合でも、外観性が求められる部分もしくは領域については、鍛造加工において、その塑性歪量が少なくとも10%程度以上となるように設定し、鍛造材としての表面性状を確保するようにすることが好ましい。
【0055】
また、ホイールの組立を所謂ピアスボルト等の締結部材を用いて行う場合、一般にボルト材として使用されるスチール材は、Fe成分を主成分として含有している関係上、Mg合金材との間で電食を生じ易い。従って、このような場合には、例えば、クロム(Cr)或いは亜鉛(Zn)でメッキされたボルトを使用し、また、Mg合金材とボルト頭部裏面との間に例えばアルミニウム(Al)製などの座金を介装させて、Fe材とMg材との直接的な接触を防止することが好ましい。
【0056】
尚、上述の実施の形態では、鋳造鍛造法にて製作される部品(例えばディスク部W1,W2)の場合、その機械的性質を改善してより強度を高めるための熱処理として、溶体化処理の後に時効硬化処理を施す所謂T6処理を鍛造後に行うようにしていたが、この場合には、鋳造若しくは射出成形段階で(つまり、鍛造用素材の段階で)ガス欠陥を内包していた場合、この素材に鍛造等の塑性加工を施すと、その後のT6処理において、比較的高温で加熱保持される溶体化処理段階で、内部に存在しているガスの膨張による膨れ(所謂、ブリスタ)が生じ、このブリスタが塑性加工による最終加工品にそのまま不具合として表れることになる。このため、その機械的特性が損なわれT6処理による強度向上の効果が十分に得られず、更に、見映えも損なわれるのでこれを除去するための加工が必要とされることになる。
【0057】
かかる問題に対しては、鍛造加工等の塑性加工よりも前に(つまり、素材段階で)溶体化処理を施すことによって対処することができる。これにより、当該Mg合金素材の材料組織の均質化を促進することができ、後工程の塑性加工における塑性加工性の向上を図るとともに、得られるべき塑性加工品の機械的特性を向上させることができる。また、特に、溶体化処理が塑性加工よりも前に行われるので、当該Mg合金素材にその内部ガスの膨張に起因するブリスタを前以って(塑性加工を行うよりも前に)生じさせることができる。そして、後工程でこのMg合金素材に対し塑性加工を行うことにより、予め素材表面及び/又はその近傍に生じさせられていたブリスタは潰される。つまり、ブリスタとして素材(表面及び/又はその近傍)に内在していた空洞部分が塑性加工時の圧縮力によって潰され、この部分が健全な素地となる。すなわち、素材段階でブリスタを発生させておき、このブリスタを塑性加工で潰すことができ、後工程で得られる塑性加工品にブリスタが発生することを確実に防止できるのである。
【0058】
上記のような塑性加工(鍛造)前に行う溶体化処理の好適な条件を調べる試験を行った。
<試験3>
まず、溶体化処理における熱処理温度とブリスタ発生状況との関係を調べる試験3を行った。この試験は、上述の半溶融射出成形によって得られた鍛造用素材に種々の熱処理温度(200,250,300,350及び400℃)で溶体化処理を施し、それぞれについてブリスタの発生の有無を調べたものである。尚、このブリスタ発生試験は、原料として後述する表2の合金Hを用いて実施した。
【0059】
この試験の結果、溶体化処理の熱処理温度が300℃以下の範囲(200,250,300℃)ではブリスタの発生は見られず、300℃を越えると(350,400℃)ブリスタが発生することが分かった。
従って、鍛造用素材成形後、前以って(鍛造加工に先立って)この素材にブリスタを発生させるには少なくとも300℃以上、より確実にブリスタを発生させるには、好ましくは350℃以上の熱処理温度で溶体化処理を行えば良い。
【0060】
<試験4>
次に、上記溶体化処理における熱処理時間が最終製品である鍛造部材の硬さに及ぼす影響を調べる試験4を行った。試験結果を図8に示す。この試験4では、後述する表2の合金Hを材料に用いて半溶融射出成形を行い、これで得られた鍛造用素材について、従来どおり鍛造加工を行ってからT6処理(溶体化処理+時効硬化処理)を施した比較例(図8のグラフにおけるJ1曲線およびJ2曲線)と、本発明方法に従って、鍛造用素材に対してまず溶体化処理を施した後に鍛造加工を行い、その後に時効硬化処理を施した本発明実施例(図8のグラフにおけるK1曲線およびK2曲線)について、溶体化処理時間を変えて表面及び/又はその近傍の硬さ(ビッカース硬さ:Hv)を測定した。
【0061】
この試験4における溶体化処理の熱処理温度は、以下の2通りとした。
・図8のグラフにおけるJ1曲線およびK1曲線:熱処理温度400℃
・図8のグラフにおけるJ2曲線およびK2曲線:熱処理温度450℃
また、時効硬化処理は、175℃の温度で15時間保持した後に空冷する条件で行った。
【0062】
図8のグラフより、熱処理温度が450℃の場合、比較例であるJ2曲線では、溶体化処理時間の長さに対応して鍛造製品(鍛造部材)の硬さが低下しており、材料組織内で結晶粒の成長現象が生じていることが分かる。従って、この場合には、鍛造加工によって得られる製品の機械的特性が低下する。これに対して、本発明実施例であるK2曲線では、熱処理温度が450℃の場合でも、400℃の場合(K1曲線)と同じく、鍛造製品における硬さの低下は見られず、高温で溶体化処理を行っても、材料組織内での結晶粒の成長現象が生じないことが分かる。従って、この場合には、熱処理温度を450℃以下の範囲で高めて溶体化処理に要する時間の短縮を図ることが可能になる。
【0063】
また、図8のグラフより、上記溶体化処理の熱処理時間が1時間未満であれば、いずれの曲線についても硬さの低下が不十分かつ不安定であり、溶体化処理による材料組織均質化の効果を有効に得るためには、溶体化処理の熱処理時間は少なくとも1時間以上を要し、また、より確実な効果を得るためには、より好ましくは、熱処理時間を10時間以上とすれば良いことが分かった。尚、20時間を越えて熱処理を行っても効果は飽和し不経済である。
【0064】
このように、塑性加工(鍛造)よりも前に行う上記溶体化処理条件について、熱処理温度を350℃以上で450℃以下としたことにより、材料組織内での結晶粒の成長現象に起因する鍛造部材の機械的特性の低下を有効に防止した上で、塑性加工用素材に対して確実に前以ってブリスタを発生させることができる。また、熱処理時間を10時間以上で20時間以下としたので、溶体化処理による材料組織均質化の効果を確実に得ることができ、しかも、効果が飽和して不経済となることも無い。
【0065】
鍛造等の塑性加工が行われるべきMg合金材に以上のような溶体化処理を前熱処理として施した後に、Т6処理の残りの熱処理である時効硬化処理が後熱処理として施されるのであるが、最終的に得られるMg合金鍛造部材としてより好ましい機械的性質を得るためには、鍛造後に施される後熱処理は、上述のような一般のТ6処理における時効硬化処理よりも、高温かつ短時間で行うことがより好ましい。
【0066】
このような塑性加工(鍛造)後に行う後熱処理の好適な条件を調べる試験を行った。
<試験5>
まず、塑性加工(鍛造)後熱処理における熱処理温度と、熱処理後のMg合金部材の機械的性質(引張強度,0.2%耐力,破断伸び)との関係調べる試験5を行った。
本試験に用いたMg合金材料の組成を表2に示す。尚、表2において、各数値は質量%を示しており、また、Al(アルミニウム),Zn(亜鉛),Mn(マンガン),Si(珪素),Cu(銅),Ni(ニッケル),Fe(鉄)以外の残部は、不可避的に混入する不純物成分を除いて全てMg(マグネシウム)である。
【0067】
【表2】
【0068】
上記表2に組成が示された合金F及び合金Gの各Mg合金を材料に用いて、図1の射出成形機により半溶融射出成形を行い板状の射出成形材を得た。このとき、得られる射出成形材の固相率が、例えば5%(合金F)及び10%(合金G)となるように溶湯の温度制御を行った。
そして、合金F及び合金Gの射出成形材から前述の図4(a)に示す直方体ブロック状のMg合金素材を数個ずつ切り出し、これらについて、合金Fのものについては温度が410℃で保持時間が16時間の、また、合金Gのものについては温度が400℃で保持時間が10時間の、塑性加工(鍛造)前熱処理をそれぞれ施した。
【0069】
上記のような鍛造前熱処理を施した各Mg合金素材について、幅方向に拘束した状態で、図4(b)に示すように、厚さが21mmから半分の10.5mmとなるまで鍛造を施した。この場合、鍛造加工率は50%である。そして、この鍛造材に、170℃,250℃,300℃,350℃及び400℃の各温度で保持時間が4時間の塑性加工(鍛造)後熱処理を施した。尚、比較参考のために、かかる鍛造後熱処理を施さない鍛造材も残しておいた。
【0070】
このようにして得られた供試材から所要の試験片を切り出し、引張強度,耐力(0.2%)及び伸び等の機械的性質調べる試験を行った。
図9及び図10は、上記合金F及び合金Gにおける鍛造後熱処理温度と鍛造材の機械的性質との関係をそれぞれ示したものである。これらの図に示すように、合金F及び合金Gの何れについても、熱処理温度が高くなるに連れて、0.2%耐力は低下傾向を、引張強度は緩やかな向上傾向を、また、破断伸びについては向上傾向を、それぞれ示すことが分かる。また、破断伸びについては、一般のТ6処理の時効硬化処理温度(170〜230℃)と同等の処理温度で熱処理した場合には、熱処理を施さない場合よりも伸びが低下するが、処理温度を250℃以上とすれば、0.2%耐力を大幅に低下させることなく、しかも、破断伸びも大幅に向上させることができることが分かった。
【0071】
また、上記合金F及び合金Gの各Mg合金素材について、300℃,350℃及び400℃で鍛造後熱処理を施したものの引張試験後の表面を顕微鏡観察を行った。更に、比較参考のために、鍛造材に通常のТ6処理(合金F:溶体化処理が410℃で16時間,時効硬化処理が170℃で16時間/合金G:溶体化処理が400℃で10時間,時効硬化処理が175℃で16時間)を施したものについても顕微鏡観察を行った。
【0072】
その結果、一般的なТ6処理を施したものについては、結晶粒の粗大化が確認され、特に、合金Fでは、化合物(Mg17Al12)の偏析が生じているものもあった。これに対して、一般的なТ6処理よりも高温で短時間の鍛造後熱処理を施したものについては、処理温度が300℃では明確な結晶粒界が認められず化合物の析出は均質であった。処理温度が350℃では細かい結晶粒界が認められ化合物の析出は均質であった。また、処理温度が400℃では、結晶粒の粗大化が認められ化合物の析出は均質であった。
【0073】
以上の試験結果および表面の顕微鏡観察結果より、塑性加工(鍛造)後熱処理を施した後の材料組織が延性に関与しているものと考えられる。すなわち、再結晶していないような組織では、変形し難いために引張強度は高いものの延性には乏しいものとなり、そして、再結晶による結晶粒の変形により延性が付与されることとなる。しかしながら、結晶粒の大きさが大きくなり過ぎると、結晶粒の変形が困難となり、脆化して引張強度および延性が低下するようになるのではないかと考えられる。
従って、高強度のMg合金材を得るためには、結晶粒が確認できないような材料組織となる処理温度を選択し、延性の高いMg合金材を得るには、細かな結晶粒が確認できるような材料組織となる処理温度を選択して塑性加工(鍛造)後熱処理を施すようにすれば良い。
【0074】
<試験6>
次に、塑性加工(鍛造)後熱処理における熱処理時間と、熱処理後のMg合金部材の機械的性質(引張強度,0.2%耐力,破断伸び)との関係調べる試験6を行った。
試験5の場合と同様に、上記表2にその組成を示したMg合金材料を用い、試験5と同じく合金F及び合金Gの各Mg合金を材料に用いて同様の射出成形材を製作し、各射出成形材から同様の直方体ブロック状のMg合金素材を数個ずつ切り出し、これらについて、試験5と同じく、合金Fのものについては温度が410℃で保持時間が16時間の、また、合金Gのものについては温度が400℃で保持時間が10時間の、塑性加工(鍛造)前熱処理をそれぞれ施した。
【0075】
そして、上記のような鍛造前熱処理を施した各Mg合金素材について、試験5の場合と同様の鍛造を施し、この鍛造材に、合金Fについては300℃で、また、合金Gについては350℃で、それぞれ1時間,4時間,10時間及び15時間の塑性加工(鍛造)後熱処理を施した。
このようにして得られた供試材から所要の試験片を切り出し、引張強度,耐力(0.2%)及び伸び等の機械的性質調べる試験を行った。
【0076】
図11及び図12は、上記合金F及び合金Gにおける鍛造後熱処理の処理時間と鍛造材の機械的性質との関係をそれぞれ示したものである。尚、処理時間ゼロ(0:零)のデータは、上記試験5において、鍛造後熱処理を施さなかった場合についてのデータである。
これらの図に示すように、合金F及び合金Gの何れの場合についても、0.2%耐力は処理時間が1時間までは比較的大きく低下するが、処理時間がそれよりも長くなると緩やかな低下傾向に変わることが分かる。また、引張強度は処理時間が1時間までは僅かに向上するが、処理時間がそれよりも長くなると緩やかな低下傾向を示すことが分かる。
【0077】
一方、破断伸びは、合金Fの場合、処理時間が1時間までは大幅な向上を示すが、処理時間がそれよりも長くなっても略一定の水準を示すのに対して、合金Gの場合、処理時間が1時間の時点でピークを示し、処理時間がそれよりも長くなると低下傾向を示すことが分かる。
以上より、合金F及び合金Gの何れについても、熱処理開始から最初の1時間で大幅な破断伸びの向上効果を得ることができ、また、合金Gでは、処理時間を10時間以下(好ましくは、5時間以下)とすることにより、破断伸びが大幅に改善されたMg合金材を得ることができると言える。
【0078】
以上のように、塑性加工(鍛造)前に溶体化処理を施し、塑性加工(鍛造)後に、温度範囲が250℃以上で400℃以下、保持時間が20分以上で10時間以下の条件で熱処理を施すようにしたことにより、通常のТ6処理における時効硬化処理よりも高温かつ短時間の熱処理が施されるので、引張強度および耐力を確保しつつ延性を有効に向上させることができるのである。
【0079】
尚、ここで、処理温度を250〜400℃としたのは、処理温度が250℃よりも低いと十分な延性向上効果が得られないからであり、400℃よりも高いと耐力が大きく低下するからである。
また、処理時間を20分〜10時間としたのは、処理時間が20分よりも短いと十分な延性向上効果が得られないからであり、10時間よりも長いと熱処理しない場合よりも延性が低下するからである。従って、処理時間としては、5時間以上とするのが望ましく、1時間とするのが最も良い。
【0080】
以上の実施の形態は、鍛造用素材の成形に半溶融射出成形法を採用した場合についてのものであったが、本発明は、かかる場合に限らず、半溶融鋳造法あるいは完全溶解状態のMg合金溶湯を用いる射出成形法や鋳造法など、他の種々のプロセスを車両用ホイールの塑性加工用素材の成形に採用した場合についても有効に適用することができる。
このように、本発明は、以上の実施態様に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において、種々の変更あるいは設計上の改良等が可能であることは言うまでもない。
【0081】
【発明の効果】
本願請求項1の発明に係る車両用Mg合金製ホイールによれば、リム部のAl含有量がディスク部のAl含有量よりも少なく設定されているので、ディスク部について所要の強度特性を確保しつつ、該ディスク部よりも塑性加工による高い加工度が求められるリム部について所要の塑性加工性を確保することができるようになる。
特に、ディスク部のAl含有量が6〜8質量%に設定されているので、このディスク部について、塑性加工時の割れ発生を有効に防止することができ、且つ、Т6処理等の熱処理を施すことにより機械的性質の向上を図ることができる。また、上記リム部のAl含有量は2質量%以上で且つ上記ディスク部のAl含有量未満に設定されているので、このリム部について、所要の耐食性を確保することができ、且つ、ディスク部に比して良好な塑性加工性を得ることができる。
【0083】
また、本願請求項2の発明によれば、基本的には上記請求項1の発明と同様の効果を奏することができる。特に、ディスク部とリム部とはそれぞれ別体に形成された後に一体化されるので、容易かつ確実に、ディスク部とリム部のそれぞれについて、最適の組成を有するMg合金素材を用いて最適の塑性加工を施すことができる。また、例えば、タイヤ幅のみが異なり他の部分の形状サイズが同一である車輪に適用する場合や、リム部のディスク部に対するオフセット量のみが異なる場合でも、1ピースホイールの場合のようにホイール全体の金型等を全く別物として用意する必要はなく、リム部用の金型のみを変更するだけで済む。従って、車種変更などにも比較的容易に対応することができる。
【0084】
更に、本願請求項3の発明に係る車両用Mg合金製ホイールの製造方法によれば、リム部の素材である第2Mg合金素材のAl含有量がディスク部の素材である第1Mg合金素材のAl含有量よりも少なく設定されているので、ディスク部について所要の強度特性を確保しつつ、該ディスク部よりも塑性加工による高い加工度が求められるリム部について所要の塑性加工性を確保することができるようになる。特に、ディスク部とリム部とはそれぞれ別工程で形成された後に一体化されるので、容易かつ確実に、ディスク部とリム部のそれぞれについて、最適の組成を有するMg合金素材を用いて最適の塑性加工を施すことができる。また、例えば、タイヤ幅のみが異なり他の部分の形状サイズが同一である車輪に適用する場合や、リム部のディスク部に対するオフセット量のみが異なる場合でも、1ピースホイールの場合のようにホイール全体の金型等を全く別物として用意する必要はなく、リム部用の金型のみを変更するだけで済む。従って、車種変更などにも比較的容易に対応することができる。
特に、上記ディスク部の素材である第1Mg合金素材のAl含有量が6〜8質量%に設定されているので、ディスク部について、塑性加工時の割れ発生を有効に防止することができ、且つ、Т6処理等の熱処理を施すことにより機械的性質の向上を図ることができる。また、上記リム部の素材である第2Mg合金素材のAl含有量は2質量%以上で且つ上記第1Mg合金素材のAl含有量未満に設定されているので、このリム部について、所要の耐食性を確保することができ、且つ、ディスク部に比して良好な塑性加工性を得ることができる。
【0085】
また更に、本願請求項4の発明によれば、基本的には上記請求項3の発明と同様の効果を奏することができる。特に、少なくとも上記ディスク部の塑性加工は鍛造であるので、高い強度が求められるディスク部について、比較的容易かつ確実に、所要の強度を得ることができる。
【0087】
また更に、本願請求項5の発明によれば、基本的には上記請求項3の発明と同様の効果を奏することができる。特に、少なくとも上記ディスク部に対して塑性加工後にТ6熱処理を施すので、高強度が求められるディスク部について、強度および靭性の向上を図ることができる。
【0088】
また更に、本願請求項6の発明によれば、基本的には上記請求項3又は請求項4の発明と同様の効果を奏することができる。特に、上記ディスク部およびリム部の少なくともいずれか一方は、塑性加工前に所定の成形型を用いて半溶融射出成形されているので、後工程の塑性加工による最終形状に近似したMg合金素材を得ることができ、塑性加工度が過度に高くなることを抑制できる。
この場合において、特に、Mg合金素材の成形に半溶融状態のMg合金溶湯を用いるようにしたことにより、完全溶解状態の溶湯を用いるプロセスによる場合に比べて、引け巣やガス欠陥のより少ない高品質のMg合金素材を得ることができる。また、溶湯温度が低いので、所謂「バリ」が出にくく高速および/または高圧のプロセスにも適しており、生産性の向上を図る上でも有利になる。また、射出成形法を採用したことにより、特に鋳造プロセスによる場合に比べて、短いサイクルタイムで効率良く鍛造用素材を製造することができる上、作業環境面でも比較的クリーン(清浄)で安全性もより高く、しかも、品質面においても、引け巣などの欠陥が少なく、かつ高精度で均質なMg合金素材を得ることが可能になる。
【0089】
また更に、本願請求項7の発明によれば、基本的には上記請求項3の発明と同様の効果を奏することができる。特に、少なくとも上記ディスク部について、塑性加工よりも前に(つまり、素材段階で)溶体化処理を施すようにしたことにより、当該Mg合金素材の材料組織の均質化を促進することができ、後工程の塑性加工における塑性加工性の向上を図るとともに、得られるべき塑性加工品の機械的特性を向上させることができる。
また、この場合において、上記溶体化処理は塑性加工よりも前に行われるので、当該Mg合金素材にその内部ガスの膨張に起因するブリスタを前以って(塑性加工を行うよりも前に)生じさせることができる。そして、後工程でこのMg合金素材に対し塑性加工を行うことにより、予め素材表面及び/又はその近傍に生じさせられていたブリスタは潰される。つまり、ブリスタとして素材(表面及び/又はその近傍)に内在していた空洞部分が塑性加工時の圧縮力によって潰され、この部分が健全な素地となる。すなわち、素材段階でブリスタを発生させておき、このブリスタを塑性加工で潰すことができ、後工程で得られる塑性加工品にブリスタが発生することを確実に防止できる。
【0090】
また更に、本願請求項8の発明によれば、基本的には上記請求項7の発明と同様の効果を奏することができる。特に、上記溶体化処理条件について、熱処理温度を350℃以上で450℃以下としたことにより、材料組織内での結晶粒の成長現象に起因する鍛造部材の機械的特性の低下を有効に防止した上で、塑性加工用素材に対して確実に前以ってブリスタを発生させることができる。また、熱処理時間を10時間以上で20時間以下としたので、溶体化処理による材料組織均質化の効果を確実に得ることができ、しかも、効果が飽和して不経済となることも無い。
【0091】
また更に、本願請求項9の発明によれば、基本的には上記請求項7又は請求項8の発明と同様の効果を奏することができる。特に、少なくとも上記ディスク部に対して、塑性加工後に、温度範囲が250℃以上で400℃以下、保持時間が20分以上で10時間以下の条件で熱処理を施すようにしたことにより、通常のТ6処理における時効硬化処理よりも高温かつ短時間の熱処理が施されるので、引張強度および耐力を確保しつつ延性を有効に向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の実施の形態に係る射出成形装置の概略構成を示す部分断面説明図である。
【図2】 試験1のMg合金素材の限界据え込み率試験の初期状態を示す説明図である。
【図3】 試験1の試験結果を現すものでAl含有量が限界据え込み率に及ぼす影響を示すグラフである。
【図4】 試験2の供試材の製造工程を示す説明図である。
【図5】 試験2の試験結果を現すものでAl含有量が機械的性質に及ぼす影響を示すグラフである。
【図6】 本実施の形態に係る2ピースタイプの車両用ホイールの組立工程を示す説明図である。
【図7】 本実施の形態に係る3ピースタイプの車両用ホイールの組立工程を示す説明図である。
【図8】 試験3の試験結果を現すもので鍛造前に施す溶体化処理の処理時間とMg鍛造材の硬さとの関係を示すグラフである。
【図9】 試験4の試験結果を現すもので合金Fについて鍛造後熱処理の温度とMg鍛造材の機械的性質との関係を示すグラフである。
【図10】 試験4の試験結果を現すもので合金Gについて鍛造後熱処理の温度とMg鍛造材の機械的性質との関係を示すグラフである。
【図11】 試験5の試験結果を現すもので合金Fについて鍛造後熱処理の処理時間とMg鍛造材の機械的性質との関係を示すグラフである。
【図12】 試験5の試験結果を現すもので合金Gについて鍛造後熱処理の処理時間とMg鍛造材の機械的性質との関係を示すグラフである。
【図13】 従来の1ピースホイールのディスク部の金属組織の一例を示す顕微鏡写真である。
【図14】 従来の1ピースホイールのリム部の金属組織の一例を示す顕微鏡写真である。
【符号の説明】
1…射出成形装置
D1,D2…ディスク部
R1…リム部
R2a…第1リム部
R2b…第2リム部
W1,W2…車両用ホイール
Claims (9)
- タイヤを保持するリム部と車体部材に支持されるディスク部とを備え、マグネシウム合金素材に塑性加工を施して形成される車両用のマグネシウム合金製ホイールであって、
上記ディスク部のアルミニウム含有量が6〜8質量%に設定され、上記リム部のアルミニウム含有量は2質量%以上で且つ上記ディスク部のアルミニウム含有量未満に設定されていることを特徴とする車両用マグネシウム合金製ホイール。 - 上記ディスク部と上記リム部とはそれぞれ別体に形成された後に一体化されることを特徴とする請求項1記載の車両用マグネシウム合金製ホイール。
- タイヤを保持するリム部と車体部材に支持されるディスク部とを備え、マグネシウム合金素材に塑性加工を施して形成される車両用のマグネシウム合金製ホイールの製造方法であって、
アルミニウム含有量が6〜8質量%に設定された第1マグネシウム合金素材に塑性加工を施して上記ディスク部を形成する工程と、
アルミニウム含有量が2質量%以上で且つ上記第1マグネシウム合金素材のアルミニウム含有量未満に設定されている第2マグネシウム合金素材に塑性加工を施して上記リム部を形成する工程と、
上記ディスク部と上記リム部とを一体化する工程と、
を有することを特徴とする車両用マグネシウム合金製ホイールの製造方法。 - 少なくとも上記ディスク部の塑性加工は鍛造であることを特徴とする請求項3記載の車両用マグネシウム合金製ホイールの製造方法。
- 少なくとも上記ディスク部に対して、塑性加工後にТ6熱処理を施すことを特徴とする請求項3記載の車両用マグネシウム合金製ホイールの製造方法。
- 上記ディスク部およびリム部の少なくともいずれか一方は、塑性加工前に所定の成形型を用いて半溶融射出成形されていることを特徴とする請求項3又は請求項4に記載の車両用マグネシウム合金製ホイールの製造方法。
- 少なくとも上記ディスク部に対して、塑性加工よりも前に溶体化処理を施すことを特徴とする請求項3記載の車両用マグネシウム合金製ホイールの製造方法。
- 上記溶体化処理は、熱処理温度範囲が350℃以上で450℃以下、熱処理時間が10時間以上で20時間以下の処理条件で行われることを特徴とする請求項7記載の車両用マグネシウム合金製ホイールの製造方法。
- 少なくとも上記ディスク部に対して、塑性加工後に、温度範囲が250℃以上で400℃以下、保持時間が20分以上で10時間以下の条件で熱処理を施すことを特徴とする請求項7又は請求項8に記載の車両用マグネシウム合金製ホイールの製造方法。
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JP2001246032A JP4631231B2 (ja) | 2001-08-14 | 2001-08-14 | 車両用マグネシウム合金製ホイール及びその製造方法 |
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