JP2002282904A - 多段圧延機 - Google Patents

多段圧延機

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Abstract

(57)【要約】 【課題】 4Hiミルにおいて、従来の圧下ブロックが
不要で、かつ被圧延材の形状制御が可能な安価な多段圧
延機を提供すると共に、既存圧延機への改造による適用
をも容易にすることが出来る多段圧延機を提供する。 【解決手段】 金属板を圧延する一対の上下ワークロー
ルと、該ワークロールを支持する一対の上下バックアッ
プロールとを有し、前記被圧延金属板の幅方向に対応し
て、該バックアップロールの胴端部を適正位置に適宜移
動させる多段圧延機において、該バックアップロール胴
端部の適正位置移動機構を、該バックアップロールと該
バックアップロールのチョックとを一体的に移動させる
手段と該バックアップロールのみを移動させる手段とで
構成する多段圧延機。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、熱間、冷間での金
属板の圧延において、被圧延材の形状を制御する多段圧
延機に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、熱間、冷間での金属板の圧延にお
いて、被圧延材からワークロールに作用する圧延荷重で
ワークロールが撓むことにより、圧延後の被圧延材に耳
波や中伸びなどの形状不良が生じる。このような形状不
良を抑制するため、図6に示す一対の上下ワークロール
と一対の上下バックアップロールからなる4Hiミルで
は、ロールベンダー力Fを働かせ、ワークロールの撓み
を制御して、板形状の改善を図っていた。しかし、前記
4Hiミルの形状では、ワークロールの胴部の両端部
が、バックアップロール胴部の両端部で支持拘束されて
いるため、ロールベンダー力Fによりワークロールに十
分な撓みを与えることができず、形状制御能力は不十分
である。
【0003】そこで、さらに形状不良を矯正する能力を
向上させる圧延機として、例えば、特公昭50−195
10号や特開昭56−136207号公報に開示されて
いる。このうち、特公昭50−19510号公報に記載
の圧延機は、図7に示すように、上下ワークロール1、
1´、上下中間ロール2、2´、上下バックアップロー
ル3、3´の合計6本の6Hiミル形状のロールにより
構成されており、上下中間ロールをロール軸方向に移動
させることにより被圧延材の形状をより良く制御し、形
状不良を防止している。
【0004】一方、図8と図9に示す特開昭56−13
6207号公報の圧延機は、一対の上下ワークロール
1、1´と一対の上下バックアップロール3、3´の他
にバックアップロールチョックを支えるための圧下ブロ
ック7、7´から構成され、上下バックアップロールを
それぞれのチョックと一体のまま、圧下ブロック7、7
´上をロール軸方向に移動させることによりロールベン
ダー力Fの効きを良くして被圧延材の形状不良を防止し
ている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、前記特
公昭50−19510号公報に開示された多段圧延機で
は、前記の通り6本のロールにより構成されているため
圧延機の丈が高くなり、また、ロールが多く必要であり
圧延機が高価となる。また、実際の圧延操業において
は、多くの予備ロールの作製・保管を要したり、ロール
の損耗による旋削本数も増える等が発生し、運転費用も
高価となっている。また、既存の圧延機の形式の大半
は、前記4Hi、すなわち、4本のロールからなる圧延
機であるが、これらに前記特公昭50−19510号公
報に開示された技術内容を適用して6本のロールを組み
込むことは、既設圧延機のハウジングのスペース上困難
で、もし仮に改造したとしても非常に大幅な改造により
多大な改造費用が掛かるという問題があり現実的なもの
ではない。
【0006】また、特開昭56−136207号公報に
開示された圧延機では、ロール本数は4本ですむが、図
9の(a)に示す広幅材および(b)に示す狭幅材のよ
うに、被圧延材の板幅が変わる場合、その被圧延材の形
状制御のために、上下バックアップロールチョックがそ
れぞれβ=(B−b)/2だけ逆方向へ移動させること
が必要となる。この時、圧下、圧上装置とバックアップ
ロールチョック間の芯のズレδが大きくなり、この状態
で圧延を実施すると、多大な圧延反力による偏荷重がバ
ックアップロールチョックに内蔵されているベアリング
に作用し、該ベアリングが早期に損傷する。これを防止
するために圧下装置4、圧上装置5とバックアップロー
ルチョック9、9´間に前記の通り、圧下ブロック7、
7´を挿入している。これにより、前記図6で説明した
一般な4Hiミルに比べ、圧延機の丈が高くなり、前記
特公昭50−19510号公報公報の場合と同様に、圧
延機が高価となる問題が発生する。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明は、上述したよう
な問題を解消するもので、その発明の目的は、4Hiミ
ルにおいて、従来の圧下ブロックが不要で、かつ被圧延
材の形状制御が可能な安価な多段圧延機を提供すると共
に、既存圧延機への改造による適用をも容易にするもの
である。その発明の要旨とするところは、金属板を圧延
する一対の上下ワークロールと、該ワークロールを支持
する一対の上下バックアップロールとを有し、前記被圧
延金属板の幅方向に対して、該バックアップロールの胴
端部を適正位置に適宜移動させる多段圧延機において、
該バックアップロール胴端部の適正位置移動機構を、該
バックアップロールと該バックアップロールのチョック
とを一体的に移動させる手段と該バックアップロールの
みを移動させる手段とで構成したことを特徴とする多段
圧延機にある。
【0008】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態につい
て、図1〜図5に従って詳細に説明する。まず、本発明
の多段圧延機の全体の構成について、図1(a)(b)
に従って説明する。図1(a)は、広幅材の圧延時での
本発明の多段圧延機の全体構成図を示し、図1(b)
は、狭幅材の圧延時での本発明の多段圧延機の全体構成
図を示す。この図において、本発明の多段圧延機は、D
Sハウジング10とWSハウジング11からなるハウジ
ング内に、一対の上下のワークロール1、1´が設けら
れ、該ワークロールを支持する一対の上下バックアップ
ロール3、3´が設けられ、前記ワークロール1、1´
は、上下ワークロールチョック8、8´で、同様に前記
バックアップロール3、3´は、上下バックアップロー
ルチョック9、9´で、それぞれ回転可能に支承されて
いる。また、前記上下バックアップロールチョック9、
9´の上下には、それぞれ圧下装置4および圧上装置5
が離接可能に設けられている。以上の構成により、本発
明の多段圧延機の主要部が構成されている。
【0009】次に、本発明の主要部であるバックアップ
ロール胴端部の適正位置移動機構について説明する。バ
ックアップロール胴端部の適正位置移動機構は、バッ
クアップロールと該バックアップロールのチョックとを
一体的に移動させる手段と、バックアップロールのみ
を移動させる手段の二つによって構成されている。ここ
では、上下のバックアップロールの移動軌跡は、相互に
点対称の関係にあるため、便宜上、上バックアップロー
ルに対する胴端部の適正位置移動機構について記載した
図2を用いて、その構造と作用について前記との説
明をする。
【0010】まず、前記のバックアップロールと該バ
ックアップロールのチョックとを一体的に移動させる手
段について説明する。図2において、上バックアップロ
ールチョック9のチョックスラストケース18とWSハ
ウジング11とをアクチュエータ14で連結し、該アク
チュエータ14を油圧または電動により該上バックアッ
プロール3の軸長方向に駆動制御する。この場合11、
10のハウジングは、図示しない圧延機の基礎部に固定
されており、前記アクチュエータ14の進退力により、
上バックアップロール3と該バックアップロールのチョ
ック9とは、該バックアップロールのチョック9の上面
と上圧下装置4の下面とで摺動し、両者は一体的に移動
する。
【0011】次に、前記のバックアップロールのみを
移動させる手段について、図2および図3を用いてその
構造と作用について以下説明する。図2は、本発明の多
段圧延機の上部の構造図を示し、図3は、前記図2の矢
視A−Aを示す。この図2および図3において、15
は、チョックスラストケース18の外部に設けられてい
るモータであり、該モータ15の出力軸にはピニオン1
6が取付けられている。このピニオン16は、アキシャ
ルベアリング12を内蔵するアキシャルベアリングケー
ス17の外周部に設けられたギャア部17aと噛合して
いる。アキシャルベアリングケース17は、チョックス
ラストケース18とネジ部17bと噛合している。
【0012】以上の構成において、前記モータ15によ
りピニオン16が回転し、噛合しているアキシャルベア
リングケース17が回転し、この結果、チョックスラス
トケース18内をアキシャルベアリングケース17がバ
ックアップロールの軸方向に回転移動する。バックアッ
プロール3は軸端でアキシャルベアリング12に回転自
在に軸方向に拘束されているので、前記のピニオン16
の回転の結果、バックアップロール3のみが該ロールの
軸長方向に移動する。
【0013】なお、前記実施の形態においては、モータ
15は、チョックスラストケース18の外部に設けてい
るが、本発明は、これに限られることなく、例えば前記
モータ15は、WSハウジング11に設けても良い。ま
た、モータ15としては、電動、油圧等を種々使用可能
である。さらに、前記のバックアップロール3のみを移
動させる手段については、前記の通り、モータ、ギャ
ア、ネジ等での移動によらず別の構造としては、アキシ
ャルベアリングケース17を直接シリンダなどで位置制
御することも可能である。また、本構造によると、図2
に示すように、圧延中、ベアリング13の内輪13aと
コロ13bの間で転動しながらアキシャル方向に動くの
で抵抗が少なく、圧延荷重を受けた状態でもバックアッ
プロールの位置調整による形状制御が可能である。
【0014】以上の構成を有する本発明の多段圧延機の
使用方法について、以下に説明する。まず、前記図1
(a)(b)を使用して、その基本的な動きについて説
明する。図1(a)は広幅材の圧延時で、上バックアッ
プロール3の位置はWS側、下バックアップロール9´
の位置はDS側にある。図1(b)は、狭幅材の圧延の
状態を示すが、バックアップロールの胴部端面と圧延板
端の距離δを基本的には一定に保つため、上バックアッ
プロールチョック9をDS側へ、下バックアップロール
チョック9´をWS側へ寄せると共にバックアップロー
ル3、3´のみをバックアップロールチョック9、9´
内でそれぞれ前記のチョックと同じ方向に移動させてい
る。
【0015】前記図1から明らかなように、本発明の移
動機構による移動において生ずる圧下、圧上装置4、5
とバックアップロールチョック9、9´との芯のズレα
は、前記従来の技術である図9(b)で記載したβの約
半分程度になる。特に、圧延する板幅の変動が少ない場
合においては、バックアップロール3、3´のみを移動
させることにより、前記芯のズレαは、皆無とすること
が可能となる。なお、前記バックアップロールチョック
の位置決めは、前記のように連続的に調整する以外に
も、図4に示すように、一定のピッチ移動による位置決
めでもよい。
【0016】図4は、図1のA−A矢視図を示す。この
図においては、A,B,Cは、図中3箇所に位置決めを
する場合のバックアップロールチョック9に設けられて
いる凹部を示す。バックアップロールチョック9が該ロ
ールの軸長方向に移動後のハウジング11への位置決め
は、例えばハウジング11に取り付けられ、バックアッ
プロールチョック9に対してシリンダ20により進退自
在のキーパープレート19により行う。これにより、圧
延時に作用するスラスト力を保持することも可能とな
る。また、前記圧延時に作用するスラスト力を保持する
別の方法としては、例えば、前記特開昭56−1362
07号公報の図2、図3に開示されているスラスト受け
角を設けても良い。
【0017】次に、前記図4に示したバックアップロー
ルチョックの位置決め手段を使用時、上バックアップロ
ール3のみの移動手段と組合せた場合の作動説明を図5
(a)(b)(c)を使用して説明する。バックアップ
ロールチョック3の位置決めは、広幅材に対しては位置
A、中幅の場合は位置B、狭幅の場合はCの位置に固定
される。A〜B〜C間での小さな距離の位置調整は、前
記バックアップロールのみを移動させる手段によって連
続的に行えるため、バックアップロールの胴端部位置を
板幅に対して任意に設定できる。
【0018】前記の図4および図5から明らかなよう
に、本圧延機の製作においては、ハウジングに対するバ
ックアップロールチョックの移動手段の配設位置および
バックアップロール3のみの移動手段の配置について
は、同図の中幅材の時に、共に中央になるように圧延機
の設計時に設定すると板幅の拡縮時に芯ズレをより少な
くすることが可能となる。本発明の多段圧延機における
実際に圧延する具体例として例示すると、圧延板幅を6
00〜1200mmの間で変動する圧延板材について
は、本発明の技術の採用により、従来必要であった圧下
ブロックなしで十分に対応が可能である。また、前記の
実施例において、前記バックアップロールと該バックア
ップロールのチョックとを一体的に移動させる手段とバ
ックアップロールのみを移動させる手段との配設位置
は、上・下バックアップロールの共にWS側としたが、
本発明においては、これらに限られることなく逆側のD
Sの方へ共に配設してもよい。
【0019】
【発明の効果】以上述べたように、本発明によれば、バ
ックアップロール胴端部の適正位置移動機構を、バック
アップロールと該バックアップロールのチョックとを一
体的に移動させる手段とバックアップロールのみを移動
させる手段とで構成したことにより、圧延材の板幅変化
時のバックアップロールのロールチョック組立品の全体
移動と、バックアップロールのみの移動の2通りが独立
に制御可能となった。それによりバックアップロールチ
ョックと圧下、圧上装置との芯ズレを極小化し、従来必
要であった圧下ブロックなしに広幅から狭幅材の板幅に
対応して、バックアップロール胴端部の適正位置を軸方
向へ任意に移動可能で、被圧延材の形状を容易に制御出
来る。
【0020】このように、従来必要であった圧下ブロッ
クが必要がないため、既存の一般的な4Hiミルへも容
易に適用できる。また、新設の圧延機の場合は、圧延機
の丈を低く構成することが可能となり、設備体格は一般
的な4Hiと同等に安価にできる。さらに、バックアッ
プロールのみを移動させる手段を有し、その構成は、転
がり軸受け部でスライドするため、圧延荷重を受けなが
らでもバックアップロールの軸方向の位置調整が可能
で、圧延途中での形状制御性能が増大する等優れた効果
を奏するものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る多段圧延機の広幅材および狭幅材
の圧延時での全体構成図である。
【図2】本発明に係る多段圧延機の上部の構成図であ
る。
【図3】図2のA−A矢視図である。
【図4】図1のA−A矢視図である。
【図5】本発明に係る多段圧延機の広幅材、中狭幅材お
よび狭幅材での作動図である。
【図6】従来の4Hiミル形式の多段圧延機の全体構成
図である。
【図7】従来の6Hiミル形式の多段圧延機の全体構成
図である。
【図8】従来の4Hiミル形式の多段圧延機の全体構成
図である。
【図9】従来の4Hiミル形式の広幅材および狭幅材で
の多段圧延機の作動図である。
【符号の説明】
1 上ワークロール 1´ 下ワークロール 2 上中間ロール 2´ 下中間ロール 3 上バックアップロール 3´ 下バックアップロール 4 圧下装置 5 圧上装置 6 従来の上バックアップロールチョック 6´ 従来の下バックアップロールチョック 7 上圧下ブロック 7´ 下圧下ブロック 8 上ワークロールチョック 8´ 下ワークロールチョック 9 上バックアップロールチョック 9´ 下バックアップロールチョック 10 DSハウジング 11 WSハウジング 12 アキシャルベアリング 13 ラジアルベアリング 13a 内輪 13b コロ 14 アクチュエータ 15 モータ 16 ピニオン 17 アキシャルベアリングケース 17a ギャア部 17b ネジ部 18 チョックスラストケース 19 キーパープレート 20 シリンダ 21 ギャアケース

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 金属板を圧延する一対の上下ワークロー
    ルと、該ワークロールを支持する一対の上下バックアッ
    プロールとを有し、前記被圧延金属板の幅方向に対し
    て、該バックアップロールの胴端部を適正位置に適宜移
    動させる多段圧延機において、該バックアップロール胴
    端部の適正位置移動機構を、該バックアップロールと該
    バックアップロールのチョックとを一体的に移動させる
    手段と該バックアップロールのみを移動させる手段とで
    構成したことを特徴とする多段圧延機。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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KR101149209B1 (ko) 2009-01-20 2012-05-25 가부시키가이샤 고베 세이코쇼 롤 오프셋 기구를 구비한 클러스터형 다단 압연기
KR101525671B1 (ko) * 2012-08-30 2015-06-03 가부시키가이샤 고베 세이코쇼 클러스터형 다단 압연기 및 클러스터형 다단 압연기의 조작 방법
CN109772889A (zh) * 2019-02-15 2019-05-21 广东含元工业技术有限公司 一种冷轧机

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