JPS628244B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 本発明は、圧延材の形状を制御する機構を備え
た多段圧延機に関する。

近年、圧延材の板幅方向の厚み形状を制御する
ために、４段圧延機におけるワークロールのベン
デイング法が開発されて種々実施されているが、
これまでのロールベンデイング法では圧延材の形
状を制御する能力に限界があつた。

即ち、形状が良好な（特に板幅方向に板厚変化
の少ない）圧延製品を得るには、ワークロールが
圧延荷重等によつて変形するのをできるだけ少な
くし、且つロールベンデイングによる修正能力を
大きくすることが重要であるが、従来の４段圧延
機には垂直方向のロールベンデイング装置しかな
く、このためそれによるロールのクラウン修正量
は少なく、且つ単純な放物線状の形状のみの修正
であり、これでは単純な耳伸びや中伸びの形状が
修正できる程度であつた。又ロール軸長の1/2以
下の狭幅の板に対しては効果が少なく、良好な形
状修正効果が得られなかつた。

そこで、第１図に示すように、上下ワークロー
ルａ，ｂのうちいずれか一方、例えば下ワークロ
ールｂを小径として該下ワークロールｂを上下バ
ツクアツプロールｃ，ｄに対して圧延方向にずら
して設けると共に、前記下ワークロールｂと下バ
ツクアツプロールｄとの間に中間ロールｅを配設
し、前記下ワークロールｂを水平方向に曲げるた
めの水平曲げ装置ｆを備えた多段圧延機が考えら
れている。

この多段圧延機は圧延時における下ワークロー
ルｂの圧延方向への撓みを利用して圧延材ｇの形
状制御を行なうもので、この下ワークロールｂの
撓み量を調整する水平曲げ装置ｆは、下ワークロ
ールｂと略同一長さを有する押えロールｈと、複
数のロールを任意の間隔で軸線方向に連設して成
る分割バツクアツプロールｉと、複数のスクリユ
ーロツド式（シリンダ式でもよい）押付け装置ｊ
とから成り、これらの各押付け装置ｊの押付力に
よる分割バツクアツプロールｉの水平方向変位を
押えロールｈを介し下ワークロールｂに伝えるこ
とにより下ワークロールｂの各部における撓みを
自在に調整し、このときの水平方向の変位を垂直
方向の変位として圧延材ｇの形状制御を行なうも
のであり、分割バツクアツプロールｉを押えロー
ルｈに強く押付けるとその部分の上下ワークロー
ルａ，ｂ間隙が減少してその部分の圧延材ｇの板
厚が減少し、又逆に分割バツクアツプロールｉの
押付力を弱めるとその部分の板厚が増大するよう
に作用する。

しかして以上の形状制御機能を有する多段圧延
機によれば、ワークロールの水平曲げを大きくと
れ、従つて垂直方向演算クラウン量を大きくでき
るため形状制御能力を大きくとれ、又圧延力の減
少、圧延動力の減少を図れ、高品質の製品を生産
し得るが、他方、ワークロール近傍に水平曲げ装
置ｆを設けたことに伴ない、以下のような点が問
題になつている。

(A) ワークロールの組替作業に際し押えロールｈ
等が邪摩になりロール交換が面倒となる。

(B) 押えロールｈと分割バツクアツプロールｉの
アセンブリー組替えが容易でない。

本発明は小径のワークロールを水平方向に撓ま
せることにより形状制御を行なう多段圧延機の前
記した問題を解決するためになしたもので、上下
ワークロールのうちいずれか一方を小径として該
小径ワークロールを上下バツクアツプロールに対
して圧延方向に適宜ずらして設けるとともに、前
記小径ワークロールと小径ワークロール側バツク
アツプロールとの間に中間ロールを配設し、且つ
複数のロールを任意の間隔で軸線方向に連設して
成る分割バツクアツプロールと、該分割バツクア
ツプロールに水平方向の変位を与える押付け装置
と、前記小径ワークロールと分割バツクアツプロ
ールとの間に介在し前記分割バツクアツプロール
の水平方向変位を前記小径ワークロールに伝える
押えロールとを備えた形状制御機能を有する多段
圧延機において、前記分割バツクアツプロールを
載置するための支持部材をハウジングに設け、前
記分割バツクアツプロールの軸に取付けた回動レ
バーに前記押えロールを取付け、前記回動レバー
を回動する装置を装備したことを特徴とする形状
制御機能を有する多段圧延機を要旨とする。

以下本発明の実施例を図面により説明する。

第２図に示す如く、上ワークロール１、該上ワ
ークロール１に比し小径（強度上許容し得る範囲
で小径にすることが好ましい）の下ワークロール
２、上ワークロール１を支持する上バツクアツプ
ロール３、下ワークロール２を支持する下バツク
アツプロール４を備え、前記下ワークロール２と
下バツクアツプロール４との間に上ワークロール
１と略同径の中間ロール５を配設して該中間ロー
ル５と上ワークロール１とを垂直線ｌ上に位置せ
しめるとともに下ワークロール２を圧延方向に適
宜ずらした位置に配置せしめて成る５段圧延機に
は、複数（図では６個）のロール６を任意の間隔
で軸７に取付けた分割バツクアツプロール８（第
３図参照）、該分割バツクアツプロール８に水平
方向の変位を与える押付け装置（楔９等により構
成される）、前記下ワークロール２と分割バツク
アツプロール８との間に介在し前記分割バツクア
ツプロール８の水平方向の変位を下ワークロール
２に伝える押えロール１０等を主要構成要素とし
て成る水平曲げ装置が組込まれている。

分割バツクアツプロール８の両端並びに各ロー
ル６間に配設した多数の支持体１１は、軸７が貫
通する孔１２を有し且つ押えロール１０を分割バ
ツクアツプロール８の下方に収納せしめ得る形状
に形成されており、またこれらの支持体１１は連
結棒１３を用いて連結されており、斯る状態で各
ロール６を支持している。

分割バツクアツプロール８の下方には該ロール
の支持体１１が載る支持部材１４が位置してお
り、該支持部材１４の両端はシリンダブロツク１
５を介しハウジング１６に支持されている。又分
割バツクアツプロール８の両端に設けた軸受ブロ
ツク１７はワークロール側に開口するＵ字形断面
形状をなし（第５図参照）、このため分割バツク
アツプロール８は水平方向に自由に移動できる。

楔９の作用により分割バツクアツプロール８に
水平方向の変位を与ける押付け装置は、楔９との
摺動面に楔案内用溝１８を設けた楔支持部材１
９、Ｌ型回動アーム２０並びにシリンダ装置２１
を、ハウジング１６に両端を固定したビーム２２
に取付け、Ｌ型回動アーム２０の一端とシリンダ
装置２１のピストンロツド先端とを連結しまたＬ
型回動アーム２０の他端と楔９とをリンク２３で
連結し、シリンダ装置２１の駆動により楔９を上
下に移動せしめて支持体１１を水平方向に押出し
又は引戻しできるようにしたものである。なお、
楔をスクリユーロツドで駆動するようにしてもよ
い。斯る構成の押付け装置を支持体と略同数設け
ておく（但し図では省略）。

押えロール１０の両端は第４図に示す如く分割
バツクアツプロール８の軸７に取付けた回動レバ
ー２４に回転自在に支持されており、回動レバー
２４にはビーム２２に取付けたシリンダ装置２５
のピストンロツド先端が連結し該シリンダ装置２
５の作動により回動レバー２４が軸７を中心に回
動し押えロール１０を実線で示す作動位置イから
仮想線で示す収納位置ロに変位せしめ得るように
している。この場合、中間ロールの軸箱２６が分
割バツクアツプロール８に干渉しないよう分割バ
ツクアツプロール８並びに押えロール８並びに押
えロール１０の径、押えロール１０の収納位置を
夫々設計しておく。なお、回動レバーの作動をス
クリユーロツドで駆動せしめることも可能であ
る。なお、符号２７は上ワークロールの軸箱、２
８は下ワークロールの軸箱、２９はパスラインを
示している。

以上の実施例において、ワークロールを組替え
る場合は、シリンダ装置２５を短縮作動して押え
ロール１０を収納位置ロに導びき（このとき分割
バツクアツプロール８は支持部材１４上で自立す
る）、斯る状態で下ワークロール２単独で、又は
下ワークロール２と中間ロール５を一体としてハ
ウジング１６から抜出す。

分割バツクアツプロール８並びに押えロール１
０のアセンブリーを組替える場合は、押えロール
１０を前記収納位置ロに導びきワークロール等を
抜き出した後、所定の治具を用いて前記ロール
８，１０をハウジング１６から抜出すことにより
行なう。

又圧延中は全部又は一部の押付け装置を作動し
支持体１１を前進又は後退せしめて分割バツクア
ツプロール８を水平方向に変位せしめ、この変位
を押えロール１０を介して下ワークロール２に伝
えることにより下ワークロール２の各部の水平方
向撓みを調節し、圧延材の形状制御を行なう。

なお、本発明は小径のワークロールを水平方向
に撓ませることにより形状制御を行なう多段圧延
機の全てに適用できるのであり、ワークロール、
更にはワークロール、中間ロールの夫々に対し垂
直方向の曲げ力を与える装置を装備した多段圧延
機にも適用できることは勿論である。

本発明は前記した構成であるので、小径のワー
クロールを水平方向に撓ませて形状制御を行なう
多段圧延機におけるワークロールの組替作業を簡
易、迅速に行なうことができ、また斯る圧延機に
おけるワークロール水平曲げ装置の分割バツクア
ツプロール、押えロールのアセンブリー交換を簡
単に行なうことができる、等の優れた効果を奏し
得る。

【図面の簡単な説明】

第１図は小径のワークロールを水平方向に撓ま
せることにより形状制御を行なう多段圧延機の従
来例の説明図、第２図は本発明の形状制御機能を
有する多段圧延機の一例を示す側面図、第３図は
第２図の−矢視図、第４図は第３図の−
矢視図、第５図は本発明における分割バツクアツ
プロール用軸受ブロツクの斜視図である。 １，２……ワークロール、３，４……バツクア
ツプロール、５……中間ロール、８……分割バツ
クアツプロール、９……楔、１０……押えロー
ル、１４……支持部材、１６……ハウジング、２
１，２５……シリンダ装置、２４……回動レバ
ー。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. １ 上下ワークロールのうちいずれか一方を小径
   として該小径ワークロールを上下バツクアツプロ
   ールに対して圧延方向に適宜ずらして設けるとと
   もに、前記小径ワークロールと小径ワークロール
   側バツクアツプロールとの間に中間ロールを配設
   し、且つ複数のロールを任意の間隔で軸線方向に
   連設して成る分割バツクアツプロールと、該分割
   バツクアツプロールに水平方向の変位を与える押
   付け装置と、前記小径ワークロールと分割バツク
   アツプロールとの間に介在し前記分割バツクアツ
   プロールの水平方向変位を前記小径ワークロール
   に伝える押えロールとを備えた形状制御機能を有
   する多段圧延機において、前記分割バツクアツプ
   ロールを載置するための支持部材をハウジングに
   設け、前記分割バツクアツプロールの軸に取付け
   た回動レバーに前記押えロールを取付け、前記回
   動レバーを回動する装置を装備したことを特徴と
   する形状制御機能を有する多段圧延機。