JP2002282785A - 塗膜の形成方法 - Google Patents

塗膜の形成方法

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JP2002282785A JP2001087280A JP2001087280A JP2002282785A JP 2002282785 A JP2002282785 A JP 2002282785A JP 2001087280 A JP2001087280 A JP 2001087280A JP 2001087280 A JP2001087280 A JP 2001087280A JP 2002282785 A JP2002282785 A JP 2002282785A
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徹 館林
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 オルガノシロキサンを含有するシリコーン樹
脂の薄膜を均一に形成することのできる塗膜の形成方法
を提供する。 【解決手段】 オルガノシロキサンを含有するシリコン
系の無機塗料を希釈溶剤で調整してコーティング用樹脂
組成物を得た後に、塗装治具で基材に接しながら塗布す
る塗膜の形成方法。上記希釈溶剤が、沸点が110℃以
上の高沸点溶剤と沸点が110℃未満の低沸点溶剤を共
に含有する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、厚みが0.01〜
0.5μm程度のシリコン樹脂の薄膜を形成することの
できる塗膜の形成方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】コーティング用樹脂組成物として、オル
ガノシロキサンを主成分として含有するシリコン系の無
機塗料を、メタノールやイソプロピルアルコール等の希
釈溶剤で希釈した樹脂組成物が知られている。このコー
ティング用樹脂組成物を、基材の表面に塗布し、硬化さ
せることにより、シリコーン樹脂の塗膜を形成すること
ができ、各種基材に塗布されている。このようなシリコ
ーン樹脂の塗膜の表面は、本質的に、水に濡れ易い(又
は馴染み易いともいう)という、いわゆる親水性を有す
るものである。基材に形成した塗膜が親水性を有する
と、塗膜を形成した基材は、塗膜の表面に付着した、水
をはじく有機物を、例えば雨水等の水によって洗浄し、
除去することができる。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】上記シリコーン樹脂の
塗膜を形成する方法は、スプレーコ−ト、刷毛塗り、浸
漬(ディピング、ディピコートともいう)、ロールコー
ト、フローコート、カーテンコート、ナイフコート、ス
ピンコート、バーコート等がある。しかし、これら方法
で形成した塗膜に、上記親水性を十分に発揮させるため
には、塗膜の厚みを、例えば、0.01〜0.5μm程
度の薄膜に形成することが必要である。塗膜が厚いと、
加熱した際に基材と膨張収縮率の差があるため、塗膜
は、基材との密着性が低下したり、クラック、白華、剥
離等が発生する恐れがあり、良好な外観を形成できな
い。そこで、塗膜の厚みを薄くするために、塗布するコ
ーティング用樹脂組成物の塗布量を少なくすると、均一
に塗布することが難しく、塗膜にむらが生じたり、塗膜
が形成されない個所が生じたるするおそれがある。その
ため、上記シリコーン樹脂の薄膜を均一に形成すること
のできる方法が求められている。
【0004】本発明は上記の事情に鑑みてなされたもの
で、その目的とするところは、オルガノシロキサンを含
有するシリコーン樹脂の薄膜を均一に形成することので
きる塗膜の形成方法を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明者は、上記目的を
達成するために鋭意研究を重ねた結果、希釈する溶剤
に、沸点110℃以上の高沸点溶剤と沸点110℃未満
の低沸点溶剤を共に含有させることによって、低沸点溶
剤が塗布中から塗布直後に主に揮発し、高沸点溶剤が塗
布後から緩やかに揮発するので、シリコン系の無機塗料
がそれぞれの段階で溶剤に均一に拡散し、硬化していく
ことで、良好な薄膜を形成できることを見出し、本発明
の完成に至ったものである。さらに、本発明者は、研究
を重ねた結果、高沸点溶剤と低沸点溶剤を共に含有する
と、希釈溶剤の含有量を調整することで、第1回目の塗
布を行い、低沸点溶剤は揮発したが、高沸点溶剤は残留
している状態の塗膜の上に、第2回目の塗布を行うと、
より良好な外観を呈する塗膜が形成できること、及び、
このような薄膜の形成には、基材を傷付けない、基材の
形状に応じて変形できる等からスポンジ製の塗装治具が
最適であることを見出したものである。
【0006】請求項1記載の塗膜の形成方法は、オルガ
ノシロキサンを含有するシリコン系の無機塗料を希釈溶
剤で調整してコーティング用樹脂組成物を得た後に、塗
装治具で基材に接しながら塗布する塗膜の形成方法にお
いて、上記希釈溶剤が、沸点が110℃以上の高沸点溶
剤と沸点が110℃未満の低沸点溶剤を共に含有するも
のであることを特徴とする。
【0007】請求項2記載の塗膜の形成方法は、請求項
1記載の塗膜の形成方法において、上記高沸点溶剤の沸
点が、250℃以下のものであることを特徴とする。
【0008】請求項3記載の塗膜の形成方法は、請求項
1又は請求項2記載の塗膜の形成方法において、上記高
沸点溶剤が、ダイアセトンアルコール、ジプロピレング
リコール、キシレン、エチルベンゼン、n―ブチルアル
コール、トルエン、酢酸n―ブチル、酢酸イソブチル、
メチルイソブチルケトン、シクロヘキサン、エチルセロ
ソルブ、ブチルセロソルブ、セロソルブアセテート、ク
ロルベンゼン、スチレン、トリメチレングリコールなる
群から選ばれた少なくとも1種以上であることを特徴と
する。
【0009】請求項4記載の塗膜の形成方法は、請求項
1乃至請求項3いずれか記載の塗膜の形成方法におい
て、上記低沸点溶剤の沸点が、40℃以上であることを
特徴とする。
【0010】請求項5記載の塗膜の形成方法は、請求項
1乃至請求項4いずれか記載の塗膜の形成方法におい
て、上記低沸点溶剤が、沸点温度で10℃以上の差があ
る2種以上の溶剤を混合したものであることを特徴とす
る。
【0011】請求項6記載の塗膜の形成方法は、請求項
1乃至請求項5いずれか記載の塗膜の形成方法におい
て、上記塗装治具で塗布した後に、希釈溶剤で調整した
コーティング用樹脂組成物を、再び塗装治具で基材に接
しながら塗布することを特徴とする。上記によって、最
初の塗布を行い、低沸点溶剤が揮発したが、高沸点溶剤
は残留している状態の塗膜の上に、再度塗布を行うこと
ができるので、表面むら等がない、より良好な外観を呈
する塗膜を形成することができるものである。
【0012】請求項7記載の塗膜の形成方法は、請求項
1乃至請求項6いずれか記載の塗膜の形成方法におい
て、上記塗装治具の塗布する面がスポンジ製であること
を特徴とする。上記によって、基材を傷付けることな
く、基材の形状に応じて変形できるので、より良好な外
観を有し、膜厚の薄い塗膜を実現できるものである。
【0013】
【発明の実施の形態】本発明の塗膜の形成方法で用いら
れるコーティング用樹脂組成物は、オルガノシロキサン
を含有するシリコン系の無機塗料を希釈溶剤で調整して
得られる。
【0014】上記オルガノシロキサンを含有するシリコ
ン系の無機塗料としては、下記一般式(1)で表される
有機ケイ素アルコキシドの部分加水分解物が挙げられ
る。 一般式:一般式Si(OR)4 (1) (式中Rは同一又は異種の1価の炭化水素基を示す) 上記シリコン系の無機塗料は、バインダー樹脂および造
膜成分として用いられるものである。また、上記シリコ
ン系の無機塗料は、基材に形成した塗膜に、親水性(水
濡れ性)を付加するものであり、これによって塗膜が防
汚性を奏することができるものである。上記シリコン系
の無機塗料の形態としては、溶液状でも、分散液状でも
構わない。
【0015】上記一般式(1)で表される有機ケイ素ア
ルコキシドの部分加水分解物の場合、一般式(1)中の
Rは、同一又は異種の1価の炭化水素基を示し、なかで
も、入手の容易さ、塗料の調製しやすさ等の点から、炭
素数1〜8の1価の炭化水素基が適する。この1価の炭
化水素基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロ
ピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル
基、オクチル基等のアルキル基が挙げられる。上記アル
キル基のうち、炭素数3以上のものについては、n−プ
ロピル基、n−ブチル基のように直鎖状のものであって
もよいし、イソプロピル基、イソブチル基、t−ブチル
基等のように分岐を有するものであってもよい。
【0016】上記有機ケイ素アルコキシドの具体例とし
ては、例えば、テトラメトキシシラン、テトラエトキシ
シラン、テトラn−プロポキシシラン、テトライソプロ
ポキシシラン、テトラ−t−ブトキシシラン等のテトラ
アルコキシシランが挙げられる。
【0017】上記シリコン系の無機塗料は、一般式
(1)で表される有機ケイ素アルコキシドに硬化剤とし
ての水や酸性触媒を添加して、部分加水分解を行う。上
記有機ケイ素アルコキシドの部分加水分解をする際に用
いられる水の量は、特に限定はされない。また、上記有
機ケイ素アルコキシドの部分加水分解する際に用いられ
る酸性触媒は、特に限定はされないが、例えば、酢酸、
クロロ酢酸、クエン酸、安息香酸、ジメチルマロン酸、
蟻酸、プロピオン酸、グルタール酸、グリコール酸、マ
レイン酸、マロン酸、トルエンスルホン酸、シュウ酸な
どの有機酸、塩酸、硝酸、ハロゲン化シラン等の無機
酸、酸性コロイダルシリカ、酸性チタンゾル等の酸性ゾ
ル状フィラー等が挙げられ、これらを1種又は2種以上
使用することができる。また、上記部分加水分解する
際、必要に応じて、例えば、40〜100℃に加温して
もよい。
【0018】上記シリコン系の無機塗料は、必要に応じ
て、シリカ、光半導体等の無機フィラーを添加するもの
である。シリカは、耐溶剤性、耐酸性等が良好であり、
上記4官能アルコキシシランの部分加水分解生成物への
分散性の点から、好適である。フィラーは、1種のみを
用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。上記シリ
カは、粉体でも、ゾル状でもよい。
【0019】上記有機ケイ素アルコキシドの部分加水分
解する場合、部分加水分解生成物は、ポリスチレン換算
重量平均分子量(Mw)で500〜3000の範囲に調
製することが好ましい。上記重量平均分子量が500未
満の場合は、形成する塗膜が十分な硬度を保つことが難
しく、また、上記重量平均分子量が3000を超える場
合は、ゲル化し易く、コーティング用樹脂組成物の貯蔵
安定性が低下する恐れがある。
【0020】上記コーティング用樹脂組成物に用いられ
る希釈溶剤は、沸点が110℃以上の高沸点溶剤と沸点
が110℃未満の低沸点溶剤を共に含有するものであ
る。上記コーティング用樹脂組成物は、高沸点溶剤と低
沸点溶剤を共に含有することによって、塗膜の形成工程
で、低沸点溶剤が塗膜の表面から急激に揮発し、高沸点
溶剤が緩やかに揮発する。
【0021】上記高沸点溶剤は、沸点が110℃以上を
必須とするものであり、実用的には沸点が、250℃以
下のものである。取り扱いの容易さや作業性からは、沸
点が110〜200℃程度が好ましい。上記高沸点溶剤
は、揮発速度が遅いため、コーティング用樹脂組成物を
塗布した直後で硬化前の樹脂組成物中に残存してシリコ
ン系の無機塗料が均一に拡散するようにすると共に、コ
ーティング用樹脂組成物が硬化するのに伴って徐々に揮
発するものである。
【0022】上記高沸点溶剤としては、ダイアセトンア
ルコール、ジプロピレングリコール、キシレン、エチル
ベンゼン、n―ブチルアルコール、トルエン、酢酸n―
ブチル、酢酸イソブチル、メチルイソブチルケトン、シ
クロヘキサン、エチルセロソルブ、ブチルセロソルブ、
セロソルブアセテート、クロルベンゼン、スチレン、ト
リメチレングリコールが挙げられ、これらのうちの少な
くとも1種以上を用いることができる。
【0023】上記高沸点溶剤の含有量は、その沸点によ
って適宜決定されるものであり、含有量が少な過ぎる
と、塗布後に残存する量が少なくてシリコン系の無機塗
料を均一に拡散するのに支障をきたす恐れがあり、ま
た、多過ぎると塗布した樹脂組成物が硬化する際にべた
つき等を生じ、塗膜の形成に多大の時間を要する恐れが
ある。例えば、高沸点溶剤が沸点167.9℃のダイア
セトンアルコールの場合、その含有量は、全希釈溶剤に
対し5〜20質量%程度が好適である。また、高沸点溶
剤が沸点214℃のトリメチレングリコールの場合、全
希釈溶剤に対し0.1〜5質量%程度が好適である。
【0024】上記低沸点溶剤は、沸点が110℃未満の
ものであり、実用的には沸点が、60℃以上のものであ
る。上記低沸点溶剤は、揮発速度が速いため、コーティ
ング用樹脂組成物を希釈して塗布し易い状態にすると共
に、樹脂組成物中に均一にシリコン系の無機塗料を分散
するものである。
【0025】上記低沸点溶剤としては、メタノール、エ
タノール、イソプロピルアルコール、ベンゼン、メチル
エチルケトン、ブチルアルコール、酢酸エチル、アセト
ンが挙げられ、これらのうちの少なくとも1種以上を用
いることができる。上記低沸点溶剤が、沸点温度で10
℃以上の差がある2種以上の溶剤を混合した場合、低沸
点溶剤のうちより低い沸点のものが先に揮発し、より高
い沸点のものがその後に揮発することで、低沸点溶剤が
塗布中から塗布直後に主に揮発する。さらに、上述の高
沸点溶剤が塗布後から緩やかに揮発するので、希釈溶剤
が、塗膜の形成工程で段階的に除々に揮発する。上記複
数用いる低沸点溶剤としては、メタノールとイソプロピ
ルアルコールの組み合せが挙げられる。
【0026】本発明の塗膜の形成方法は、上述のように
してコーティング用樹脂組成物を得た後に、塗装治具で
基材に接しながら塗布する。
【0027】上記基材としては、無機、有機を問わず、
各種基材を用いることができ、例えば、プラスチック基
材等の有機質基材;金属基材;ガラス基材、無機質硬化
体の無機質建材、セラミック等の無機質基材が挙げられ
る。
【0028】上記塗装治具は、上記基材に、例えば、線
状または面状に接しながら塗布するものである。上記塗
装治具の材料としては、棒状のスポンジ、面状のスポン
ジ、薄膜フィルム、スクレーパー、プラスチック板、プ
ラスチック棒、発泡スチロール、金属棒、金属板が挙げ
られる。上記材料としては、接触面が柔軟性を有する点
から、スポンジ、プラスチック、発泡スチロールが好ま
しい。なかでも、上記塗装治具の材料としては、基材を
傷付けない、基材の形状に応じて変形できる、、広い面
積の塗工に適する、入手の容易さから、スポンジが最適
である。
【0029】上記塗膜の形成方法は、塗装治具で接しな
がら塗布することで、基材に薄い膜を形成することがで
きるものである。
【0030】上記塗膜の形成方法は、1回の塗布でもよ
いが、複数回塗布すると、ムラなく塗布できるので、好
ましい。回数が多すぎると塗膜が厚くなるので、具体的
には2回塗布することが好適である。上記塗膜の形成方
法は、上記塗装治具で第1回目の塗布を行い、低沸点溶
剤が揮発したが、高沸点溶剤は残留している状態の塗膜
の上に、第2回目の塗布を行うことができるため、仮に
第1回目の塗布でムラが多少生じても、第2回目の塗布
で修正できるので、表面むら等がない、より良好な外観
を呈する塗膜を形成することができるものである。
【0031】上記塗膜の形成方法は、上記塗布した樹脂
組成物に常温〜400℃程度に加温又は放置すること
で、樹脂組成物が硬化し、塗膜が形成させる。
【0032】上記塗膜の形成方法は、希釈する溶剤が、
沸点110℃以上の高沸点溶剤と沸点110℃未満の低
沸点溶剤を共に含有させることによって、低沸点溶剤が
塗布中から塗布直後に主に揮発し、高沸点溶剤が塗布後
から緩やかに揮発するので、シリコン系の無機塗料がそ
れぞれの段階で溶剤に均一に拡散し、硬化していくこと
で、良好な薄膜を形成できるものである。
【0033】
【実施例】本発明の効果を確認するために、評価用の塗
装品を作製し、評価試験を行った。実施例及び比較例
中、特に断らない限り、部は質量部を表し、%は質量%
を表す。また、分子量は、GPS(ゲルパーミエーショ
ンクロマトグラフィー)により、測定機種として東ソー
(株)のHLC8020を用いて、標準ポリスチレン検
量線を作成し、その換算値として測定した。
【0034】以下で、各例のコーティング用樹脂組成物
を調製し、その後、これらコーティング用樹脂組成物を
用いて塗布し、塗膜を形成し、その性能を評価した。
【0035】(実施例1)テトラエトキシシラン208
部にイソプロピルアルコール356部を加え、さらに水
180部および0.01Nの塩酸18部を混合し、ディ
スパーを用いて攪拌した。得られた液762部に、シリ
カゾル(日産化学工業製:ST―OL、粒径40〜50
nm)を固形分換算で45部添加し、60℃恒温槽中で
6時間加熱して、重量平均分子量(Mw)を1200に
調製し、シリコン系の無機塗料を得た。なお、上記シリ
カの添加量は、レジンとシリカの総量に対し、固形分の
重量比率(シリカ/(レジン+シリカ))で0.75と
なるものであった。
【0036】希釈溶剤として、低沸点溶剤にメタノール
(沸点64.1℃)、高沸点溶剤にダイアセトンアルコ
ール(沸点167.9℃、DAAと記す)を用いた。D
AAは、全希釈溶剤に対し10%で混合した。上記シリ
コン系の無機塗料の固形分が1%となるように上記希釈
溶剤で希釈して、コーティング用樹脂組成物を作製し
た。
【0037】基材にポリカーボネイトのプラスチック基
材を用い、塗装治具に、塗布する面がスポンジ製のもの
を用いた。上記基材の表面にコーティング用樹脂組成物
を滴下し、塗装治具で基材に接しながら2回塗布した後
に、100℃で10分加熱して塗膜を形成し、評価用の
塗装品を得た。なお、塗膜の厚みは、0.2〜0.3μ
mであった。
【0038】(実施例2)実施例1において、希釈溶剤
として、低沸点溶剤にメタノール(沸点64.1℃)と
イソプロピルアルコール(沸点82.4℃、IPAと記
す)、高沸点溶剤にダイアセトンアルコール(DAA)
を用いた。DAAは全希釈溶剤に対し10%、IPAは
全希釈溶剤に対し40%となるように混合した。上記以
外は実施例1と同様にして塗膜を形成し、評価用の塗装
品を得た。なお、塗膜の厚みは、0.2〜0.3μmで
あった。
【0039】(実施例3)実施例2において、DAAを
全希釈溶剤に対し20%とした以外は、実施例2と同様
にして塗膜を形成し、評価用の塗装品を得た。なお、塗
膜の厚みは、0.2〜0.3μmであった。
【0040】(実施例4)実施例2において、DAAを
全希釈溶剤に対し5%とした以外は、実施例2と同様に
して塗膜を形成し、評価用の塗装品を得た。なお、塗膜
の厚みは、0.2〜0.3μmであった。
【0041】(実施例5)実施例2において、高沸点溶
剤にトリメチレングリコール(沸点214℃)を用い、
トリメチレングリコールはDAAより沸点が高いので、
全希釈溶剤に対し1%で混合した。これ以外は実施例2
と同様にして塗膜を形成し、評価用の塗装品を得た。な
お、塗膜の厚みは、0.2〜0.3μmであった。
【0042】(実施例6)実施例2において、高沸点溶
剤にジプロピレングリコール(沸点197.8℃)を用
い、全希釈溶剤に対し5%で混合した。これ以外は実施
例2と同様にして塗膜を形成し、評価用の塗装品を得
た。なお、塗膜の厚みは、0.2〜0.3μmであっ
た。
【0043】(実施例7)実施例2において、基材にガ
ラス基材を用いた以外は実施例2と同様にして塗膜を形
成し、評価用の塗装品を得た。なお、塗膜の厚みは、
0.2〜0.3μmであった。
【0044】(実施例8)実施例2において、塗布回数
を1回とした以外は実施例2と同様にして塗膜を形成
し、評価用の塗装品を得た。なお、塗膜の厚みは、0.
1〜0.2μmであった。
【0045】(実施例9)実施例2において、塗装治具
に、棒状のゴムを用い、回転させながら塗布した以外は
実施例2と同様にして塗膜を形成し、評価用の塗装品を
得た。なお、塗膜の厚みは、0.2〜0.3μmであっ
た。
【0046】(比較例1)実施例1において、希釈溶剤
をメタノールのみで行った以外は実施例1と同様にして
塗膜を形成し、評価用の塗装品を得た。
【0047】(比較例2)実施例2において、希釈溶剤
をメタノールとIPAの低沸点溶剤のみで行った以外は
実施例2と同様にして塗膜を形成し、評価用の塗装品を
得た。
【0048】(比較例3)実施例1において、希釈溶剤
をDAAのみで行った以外は実施例1と同様にして塗膜
を形成し、評価用の塗装品を得た。
【0049】(塗膜の性能評価) (外観評価)塗膜の形成後、目視で外観を観察した。ク
ラック、白華、剥離等がないものは、良好と判断した。
【0050】(製膜初期の水の接触角)塗膜の形成後直
ちに水の接触角を測定した。測定は、塗膜の表面に0.
2ccの蒸留水を滴下した後に、拡大カメラで観察する
ことにより行った。
【0051】
【表1】
【0052】(結果)実施例はいずれも外観が良好で、
水の接触角が40度以下と良好であった。高沸点溶剤を
含有しない比較例1及び比較例2は、白華が見られた。
また、比較例3は、この加熱時間ではべたつきがみら
れ、膜が形成されなかった。
【0053】
【発明の効果】本発明の塗膜の形成方法は、希釈する溶
剤が、沸点110℃以上の高沸点溶剤と沸点110℃未
満の低沸点溶剤を共に含有させることによって、低沸点
溶剤が塗布中から塗布直後に主に揮発し、高沸点溶剤が
塗布後から緩やかに揮発するので、シリコン系の無機塗
料がそれぞれの段階で溶剤に均一に拡散することができ
るものである。その結果、上記塗膜の形成方法は、外観
や親水性が良好な薄膜を実現できる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 4D075 AC52 AE05 CA34 CA37 CA48 DB01 DB11 DB13 DB14 DB31 DC01 EA07 EA10 EA19 EB02 EC30 EC51 4J038 DL021 JA05 JA14 JA19 JA20 JA33 JA56 JA57 KA06 MA14 NA01 NA06 PC02 PC03 PC04 PC08

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 オルガノシロキサンを含有するシリコン
    系の無機塗料を希釈溶剤で調整してコーティング用樹脂
    組成物を得た後に、塗装治具で基材に接しながら塗布す
    る塗膜の形成方法において、上記希釈溶剤が、沸点が1
    10℃以上の高沸点溶剤と沸点が110℃未満の低沸点
    溶剤を共に含有するものであることを特徴とする塗膜の
    形成方法。
  2. 【請求項2】 上記高沸点溶剤の沸点が、250℃以下
    のものであることを特徴とする請求項1記載の塗膜の形
    成方法。
  3. 【請求項3】 上記高沸点溶剤が、ダイアセトンアルコ
    ール、ジプロピレングリコール、キシレン、エチルベン
    ゼン、n―ブチルアルコール、トルエン、酢酸n―ブチ
    ル、酢酸イソブチル、メチルイソブチルケトン、シクロ
    ヘキサン、エチルセロソルブ、ブチルセロソルブ、セロ
    ソルブアセテート、クロルベンゼン、スチレン、トリメ
    チレングリコールなる群から選ばれた少なくとも1種以
    上であることを特徴とする請求項1又は請求項2記載の
    塗膜の形成方法。
  4. 【請求項4】 上記低沸点溶剤の沸点が、40℃以上で
    あることを特徴とする請求項1乃至請求項3いずれか記
    載の塗膜の形成方法。
  5. 【請求項5】 上記低沸点溶剤が、沸点温度で10℃以
    上の差がある2種以上の溶剤を混合したものであること
    を特徴とする請求項1乃至請求項4いずれか記載の塗膜
    の形成方法。
  6. 【請求項6】 上記塗装治具で塗布した後に、希釈溶剤
    で調整したコーティング用樹脂組成物を、再び塗装治具
    で基材に接しながら塗布することを特徴とする請求項1
    乃至請求項5いずれか記載の塗膜の形成方法。
  7. 【請求項7】 上記塗装治具の塗布する面がスポンジ製
    であることを特徴とする請求項1乃至請求項6いずれか
    記載の塗膜の形成方法。
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