JP2002277187A - 熱交換器用ヘッダーパイプ及びそれを利用した熱交換器 - Google Patents

熱交換器用ヘッダーパイプ及びそれを利用した熱交換器

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JP2002277187A
JP2002277187A JP2001083719A JP2001083719A JP2002277187A JP 2002277187 A JP2002277187 A JP 2002277187A JP 2001083719 A JP2001083719 A JP 2001083719A JP 2001083719 A JP2001083719 A JP 2001083719A JP 2002277187 A JP2002277187 A JP 2002277187A
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tube
heat exchanger
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JP2001083719A
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Yasunori Hiyougo
靖憲 兵庫
Ken Toma
建 当摩
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MA Aluminum Corp
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Mitsubishi Aluminum Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 主としてヘッダーパイプとチューブとフィン
から構成された熱交換器において、ヘッダーパイプとチ
ューブとのろう付接合を確実なものとし、使用するろう
材を必要最小限にとどめ、コストダウンを計る。 【解決手段】 ヘッダーパイプ表面に、チューブを挿入
するスロットと、該スロットを連ねヘッダーパイプの長
手方向に沿った溝を形成しておく。又、この溝のある面
にはろう材層を形成しておく。ろう材の溶融温度以上に
加熱すると、溶融ろう材がその溝中を流動し、ヘッダー
パイプとチューブとの接合部に綺麗なフィレットを形成
して両者が接合される。各接合部とも均一で綺麗なフィ
レットが形成される。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、一対のヘッダー
パイプとこれらのヘッダーパイプ間に架設された複数の
チューブと該チューブに付設されたフィンとを有する熱
交換器に関するものであって、さらに詳しくは、熱交換
器のろう付け方法の改善技術に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、空調機や自動車用に使用されてい
る熱交換器においては、ヘッダーパイプと称される左右
一対の管体の間に、ヘッダーパイプと直角に互いに平行
に間隔を保って多数のチューブを架設し、各チューブの
端部をヘッダーパイプの側面に接続して、各チューブの
内部空間とヘッダーパイプの内部空間とを連通させ、複
数のチューブの間にフィン部材を配置して、熱交換性を
高めた構造の熱交換器が知られている。この形式の熱交
換器においては、ヘッダーパイプの内部と各チューブの
内部を熱媒体が循環し、各チューブ間に配置されたフィ
ンを介して熱媒体が熱交換できるようになっている。通
常、この形式の熱交換器は、熱伝導率の良いアルミニウ
ムあるいはアルミニウム合金で構成され、ヘッダーパイ
プとチューブあるいはチューブとフィンは、ろう材によ
り接合されている。
【0003】ヘッダーパイプには、ろう付性を考慮して
アルミ−シリコン合金等のろう材層をあらかじめアルミ
ニウム合金プレートにクラッド圧着したブレージングシ
ートを用い、このブレージングシートを半割筒状に加工
し、この半割筒状のブレージングシート2枚を円筒形に
なるように張り合わせてろう付したヘッダーパイプが用
いられている。そしてこれらのヘッダーパイプにチュー
ブ挿入用のスロットを形成しておき、このスロットにチ
ューブを差し込み、チューブ表面に所定の間隔を保って
ブレージングフィンを取り付け、該ろう材の融点以上の
温度に加熱して、接合部分のまわりのろう材層を加熱溶
融させて流動化し、チューブのヘッダーパイプへの差込
み部分あるいはチューブとフィンの接合部分周囲をろう
材で覆った後冷却して、ヘッダーパイプとチューブもし
くはチューブとフィンをろう付して熱交換器としてい
る。
【0004】近年、自動車用を始めとする熱交換器はよ
り軽量化、小型化、またコスト低減をはかるため、使用
する材料の肉薄化が進められてきた。しかし、熱交換器
に使用されるブレージングシートの薄肉化はもはや限界
に達しており、さらなる肉薄化を達成するために、材料
をベア化してろう付けに必要な部位にのみろう材を設置
する技術が開発され、熱交換器のヘッダーパイプにもこ
の技術が応用され始めている。
【0005】このようにろう付けに必要な部位のみにろ
う材を設置したヘッダーパイプでは、設置したろう材を
全て有効に使いきる必要がある。しかし、ろう付けの際
に溶融したろう材は主に毛管力や重力により接合部へ流
動するため、ヘッダパイプ表面のような平滑面ではその
ような力が働きにくく、設置したろう材がチューブが差
し込まれてろう付けされるべき部位へ、必ずしも全ての
ろう材が有効に流れて行き使用されるわけではない。そ
のため、しばしばヘッダーパイプとチューブとの接合部
でろう材の充填不足によるろう付け不良が発生してい
た。
【0006】これを改善するために、たとえばヘッダー
パイプ表面のチューブが差し込まれてろう付けされるべ
きスロットの周囲に、スロット方向に向けて溝を形成
し、溶融したろう材がスロット方向に向けて流れ易くす
る技術が提案されている(特開平8−170892公報
参照)。しかしながら上記に提案されている方法では、
クラッド板を構成するろう材の上から溝を形成するた
め、ろう付け中にろう材が溶けると溝も消失し、ろう材
の充填不足を解消する機能を発揮できない難点がある。
また、スロット(打ち抜き穴3)近傍のみのろう材しか
ろう付けに寄与しないため、ヘッダーパイプ表面には無
駄なろう材が残留してしまう。また、特開平8−170
892の図4に示されているようにヘッダーパイプ全面
に螺旋状の溝を設ける方法では、ヘッダーパイプ裏面の
溝にもろう材を充填せねばならず、ろう材の使用量が増
大し、しかもろう材が完全利用できないのでコストダウ
ンが充分計られない問題が残る。また、提案されている
方法は特殊なダイスを使用したり、直接接合に必要でな
いヘッダーパイプ裏面側も溝加工する必要があるので、
製造方法が煩雑であり、大幅なコストダウンは期待する
ことはできない。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、上記
のようなろう付不良の問題を解決し、一対のヘッダーパ
イプとこれらのヘッダーパイプ間に架設された複数のチ
ューブと該チューブに付設されたフィンとを有する熱交
換器において、溶融ろう材を流れやすくしてヘッダーパ
イプとチューブとのろう付接合を確実なものにし、しか
もなるべく少量のろう材で接合できるようにして、材料
の肉薄化を計ってもヘッダーパイプとチューブとの接合
部でのろう付け不良の発生を無くし、熱交換器の軽量化
とコストダウンに寄与できる熱交換器用ヘッダーパイプ
並びに熱交換器と、この熱交換器用ヘッダーパイプを使
用した熱交換器の製造方法を提供しようとするものであ
る。
【0008】
【課題を解決するための手段】上記ろう付不良を解消
し、健全な接合部を有する熱交換器とするために、本発
明では一対のヘッダーパイプと、これらヘッダーパイプ
間に架設された複数のチューブと、チューブに付設され
たフィンとを具備してなる熱交換器に使用するヘッダー
パイプとして、該ヘッダーパイプ表面にはチューブが差
し込まれてろう付けされる複数のスロットが形成されて
おり、さらに該ヘッダーパイプの長手方向に沿って延在
し、かつ前記スロットへ連なる溝が1本又は複数本形成
され、該溝が形成されている面にろう材層が形成されて
いる熱交換器用ヘッダーパイプとした。本発明ではヘッ
ダーパイプ素材表面に溝を形成することにより、ろう付
け中に溝が消失することはなく、少量のろう材でもろう
材の充填不足は起こらず、確実にろう付けすることが可
能となる。また、ろう材を溝のある面にのみ設けるだけ
で、溶融ろう材が確実にスロット方向へ流動し、ヘッダ
ーパイプ表面には無駄なろう材が残留することもなく、
ろう材が完全利用できるので使用量が減少し、コストダ
ウンが計られるようになる。また、ヘッダーパイプの長
手方向に沿って直線上の溝を形成するだけなので加工方
法が簡単であり、大幅なコストダウンが可能となる。
【0009】本発明で使用するろう材は、JIS Z 3263に
規定されている主としてAl−Si系の低融点合金を使
用する。ろう材は微粉末にしてバインダーとともに混練
したものをヘッダーパイプの所定位置に塗布して乾燥さ
せ、ろう材層を形成する。また、本発明では前記ろう材
層にフラックスを加えて塗布したものであっても良い。
フラックスを共存させておけばろう材の流動化を促進
し、接合部位を活性化して接合を確実なものにすること
ができるからである。あらかじめフラックスを塗布して
おけば、接合作業が楽になるからである。
【0010】また、本発明では上記溝は、少なくとも2
つの隣り合うスロットを連ねて設けるのが好ましい。ヘ
ッダーパイプをこのように構成すれば、スロットとスロ
ットが溝でつながっているので、スロット毎に流動して
きて留まる溶融ろう材の量が均一化され、全てのヘッダ
ーパイプとチューブの接合部で形成されるフィレットが
均一となり、ろう付け不良の発生を防止することができ
るようになる。該溝の深さは0.01〜0.5mmで、
幅は0.01〜1.5mmとするのが好ましい。さら
に、このような溝をヘッダーパイプの長手方向に沿って
複数のスロットを連ねるようにして複数形成するのが好
ましい。溝は材料が肉薄化してもろう材のエロージョン
に耐えるものでなければならず、その上で、溶融ろう材
に充分な毛管力を付与して流れ易くして、ヘッダーパイ
プ表面に設置した必要最少限のろう材を完全に有効利用
できるようにするためである。
【0011】本発明では、前記ヘッダーパイプをアルミ
ニウム又はアルミニウム合金の押し出し材とするのが好
ましい。ヘッダーパイプを押し出し材で製造すれば、ダ
イスを準備する際にあらかじめ断面形状を選定するのみ
で長手方向に沿った溝が極めて簡単に形成できるからで
ある。アルミニウム又はアルミニウム合金の押し出し材
は広く採用されている加工技術であり、コストも極めて
安い製造手段である。
【0012】また、本発明の熱交換器は、上述した各熱
交換器用ヘッダーパイプのいずれかを使用した熱交換器
である。本発明の熱交換器は、ヘッダーパイプとチュー
ブとのろう付接合が確実で接合不良が無く、しかも少量
のろう材で接合しており、熱交換器の軽量化とコストダ
ウンを達成できる。
【0013】
【発明の実施の形態】図1は、本発明に係わる熱交換器
の一例を示すもので、この熱交換器100は左右に配置
されたヘッダーパイプ1,2と、これらのヘッダーパイ
プ1,2の間に相互に間隔を保って平行に、かつヘッダ
ーパイプ1,2に対して直角に接合された複数のチュー
ブ3と、チューブ3に付設された波形のフィン4を主体
として構成されている。ヘッダーパイプ1,2の上下端
はキャップ5により封止されており、上下の相対向する
外側には、コネクターパイプ6が取り付けられており、
熱媒体循環系へと接続されている。ヘッダーパイプ1,
2の内部には適当な間隔をおいて仕切板7が挿入されて
おり、熱媒体が均一に循環するように構成されている。
前記ヘッダーパイプ1,2とチューブ3及びフィン4
は、それぞれ熱伝導性の良いアルミニウム合金などから
構成されている。
【0014】図2は、図1に示す熱交換器100の線X
ーX’に沿ったヘッダーパイプ1,(2)とチューブ3
との接合状態を示す断面図である。図2に示す例では、
ヘッダーパイプ1,(2)は断面四方形のアルミニウム
合金押し出し材で造られている。ヘッダーパイプ1,
(2)の一側面にはチューブ3を挿入するためのスロッ
ト10が形成されており、このスロット10部におい
て、ヘッダーパイプ1,(2)とチューブ3とがろう材
によるフィレット15により接合されている。フィレッ
ト15は、ヘッダーパイプ1,(2)の一側面にヘッダ
ーパイプ1,(2)の長手方向に沿って形成された溝1
1内を流動して、スロット10部に達してチューブ3の
周囲に沿って凝固したものである。
【0015】図3は、本発明のヘッダーパイプ1,
(2)の一例の外観斜視図である。このヘッダーパイプ
1,(2)は、図2に示したとおりの断面が四方形のア
ルミニウム合金押し出し材で造られている。そしてヘッ
ダーパイプ1,(2)の相対する内側の面には、チュー
ブを挿入するためのスロット10が複数個設けられてい
る。また、このスロット10が設けられている面には、
ヘッダーパイプ1,(2)の長手方向に沿って延びる溝
11が設けられている。図3に示した例では溝11は4
本形成されている。図3に示した例ではこれらの溝11
は、全てのスロット10を連ねるようにして形成されて
いる。さらに、このスロット10が設けられている表面
には、粉末ろう材からなるろう材層13が形成されてい
る。
【0016】図3に示すヘッダーパイプ1,(2)の線
A−A’に沿った断面図を図4に示す。図4に示すよう
に、ヘッダーパイプ1,(2)の一面にスロット10が
設けられており、スロット10を突き抜けるようにして
4本の溝11がヘッダーパイプ1,(2)の長手方向に
沿って設けられている。そしてこの溝11が設けられて
いる面の全面には、ろう材層13が設けられている。前
記溝13はヘッダーパイプ1,(2)の長手方向に沿っ
て、スロット10を貫くようにして連続して形成する。
【0017】本発明のヘッダーパイプでは、前記溝は少
なくとも2つの隣り合うスロットを貫通して設けられて
いるのが好ましい。溝をヘッダーパイプの長手方向に沿
って設ければ加工がやり易く、しかも溝が隣り合うスロ
ットを貫通していれば、溶融したろう材が各スロットに
満遍なく均等に行き渡り、表面に設けたろう材層を有効
に使用できるので、少ないろう材使用量で確実なろう付
けが達成できる効果を発揮する。例えばろう付けする際
の加熱炉中で、組み立てた熱交換器の中心部では温度が
上がりにくくろう付け不良を起こしやすいが、本発明の
ヘッダーパイプのように隣り合うスロットを貫通した溝
を設けておけば、熱交換器の中心部でも完全なろう付け
を達成することができる。溝が貫通するスロットは少な
くとも隣り合う2個あれば良く、ヘッダーパイプの製造
上の観点からは、全スロットを貫通するように設けるの
が極めて容易である。
【0018】また本発明では、前記ヘッダーパイプ表面
に形成する溝は、1本でも良いし複数本設けても良い。
一般にチューブとして使用する扁平管の幅いっぱいに合
わせて複数本の溝を形成するのが好ましい。ろう材層を
ヘッダーパイプ全面に均一に拡散させるためである。ま
た、図5に、ヘッダーパイプ1,(2)の表面に設けた
断面がV字型の溝11の断面形状を拡大して示した。前
記ヘッダーパイプ表面に形成する溝の大きさ(深さ
(d)×幅(w))は、深さが0.01mm〜0.5m
mで、幅は0.01mm〜1.5mm程度とすることが
好ましい。ヘッダーパイプ表面の溝は、溶融ろう材が毛
管力によってチューブとの接合部まで充分に流動するも
のでなければならない。一方、ヘッダーパイプの肉厚
(t)は、薄肉化の追求によってエロージョンに耐える
厚さの限界まで薄くなっている。従って、ヘッダーパイ
プ表面の溝の深さは0.5mm以下が好ましい。その上
で溶融ろう材の毛管力を働かせるものでなければならな
い。したがって、ヘッダーパイプ表面の溝は、深さが
0.01mm〜0.5mmで幅が0.01mm〜1.5
mm程度とすることが好ましい。さらに好ましくは、深
さが0.03〜0.3mmで、幅が0.05〜1.2m
mである。
【0019】ヘッダーパイプ1,(2)の表面に設ける
溝の断面形状は特に制限はないが、溶融ろう材毛管力を
受けやすくするよう、両側が狭い壁を形成しているのが
好ましい。溝11の断面形状は図5に示したV字状に限
らず、矩形状や半円状であっても良い。図6に他の例の
溝32の断面形状を示す。図6(a)は図5に示したV
字状の例であり、断面は二等辺三角形でなくても良い。
図6(b)は矩形状の例であり、断面は正方形でも長方
形でもあるいは逆台形であっても良い。図6(c)は半
円状の例であり、断面は半円の他に部分円や部分楕円で
あっても良い。いずれの場合にも溝11の深さ(d)は
ヘッダーパイプの表面から溝の最下部までの距離で表わ
し、溝11の幅(w)はヘッダーパイプ表面の開口部の
幅で表わすものとする。
【0020】これらヘッダーパイプの表面の溝を形成す
るには、熱間押出成形の際に押出ダイスを所定の溝形状
を有する断面形状とするのが最も簡単な方法である。表
面に溝を有する押出管材を成形した後、ダイスによる打
抜き等により、チューブ差し込み用スロットを形成すれ
ば良い。
【0021】ヘッダーパイプの断面形状は、図3,図4
に示した方形に限らず、図7,図8に示したような円形
断面であっても良い。図7は、円形断面を有する本発明
のヘッダーパイプ1,(2)の外観斜視図、図8は図7
の線B−B’に沿った断面図である。このヘッダーパイ
プ1,(2)は、図8に示したとおりの断面が円形のア
ルミニウム合金押し出し材で造られている。そしてヘッ
ダーパイプ1,(2)の相対する内側の面には、チュー
ブを挿入するためのスロット10が複数個設けられてい
る。また、このスロット10が設けられている面には、
ヘッダーパイプ1,(2)の長手方向に沿って延びる溝
11が設けられている。この例では溝11は3本設けら
れている。図7に示した例ではこれらの溝11は、全て
のスロット10を連ねるようにして形成されている。
【0022】さらに、このスロット10が設けられてい
る表面の、ほぼスロット10の幅に相当する溝11の設
けられている範囲内の面には、粉末ろう材からなるろう
材層13が形成されている。断面図を見ると図7に示す
ように、ヘッダーパイプ1,(2)の一面にスロット1
0が設けられており、スロット10を突き抜けるように
して3本の溝11がヘッダーパイプ1,(2)の長手方
向に沿って設けられている。そしてこの溝11が設けら
れている面のほぼスロット10の幅に相当する領域に
は、ろう材層13が設けられている。
【0023】ここで、前記ヘッダーパイプ1,(2)と
チューブ3とを接合するろう材には、Al−Si系ろう
材、Al−Si−Zn系ろう材やAl−Si−Cu系の
ろう材が多用される。Al−Si系ろう材としては、例
えばSi:9.0〜11.0重量%、残部Alからなる
組成のものが使用される。たとえば、上記成分の粉末ろ
う材を溶射法を利用してヘッダーパイプ表面に付着させ
れば、ろう材のみからなるろう材層が形成される。ある
いはまた、上記のようなろう材を平均粒径20〜30μ
mの粉末にして、フラックスやバインダーと混合して溶
媒に溶かし、塗布装置により所定の位置に塗布した後乾
燥すれば、フラックスを混合したろう材層が得られる。
フラックスを混合しておけば、ろう付け作業が簡素化さ
れると共に、加熱接合させる際に溶融ろう材の流動が促
進され、良好な接合部が得られる。ろう材層を形成する
部位は、前記ヘッダーパイプ1,(2)の溝11が形成
されている面だけでよい。不必要に過剰なろう材を使用
しないためである。ヘッダーパイプ1,(2)の断面が
四角形の場合には、溝11が形成されている面だけ、
1,(2)の断面が円形の場合には、せいぜい溝11が
形成されている側の半面だけで良い。
【0024】本発明に使用するフラックスとしては、通
常非腐食性フラックスとして使用される、主としてKA
lF4 及びK3 AlF6からなるフッ化アルミニウムカ
リ塩が利用できる。これらのフラックスを混合したろう
材の融点は、約540〜580℃前後であり流動性も良
くなることから、ヘッダーパイプとチューブあるいはチ
ューブとフィンとの接合に当たり、ろう付不良を防止す
ることが容易となる。
【0025】次に、上記のようにして得られたヘッダー
パイプを使用して熱交換器を製造する方法について説明
する。ヘッダーパイプには前述した本発明の表面に溝と
ろう材層を具備したヘッダーパイプを使用する。チュー
ブには、例えば押し出し材からなる扁平管を使用する。
扁平管の表面にはろう材層が形成されているものでもろ
う材層の無いものでも良い。またはブレージング材を用
いても良い。フィンには、たとえばブレージング材をコ
ルゲート加工したものを使用する。
【0026】ヘッダーパイプとチューブ及びフィンを図
1の通りに組み立てた後、ろう材の融点以上の温度に加
熱してヘッダーパイプ1表面のろう材層13を溶融させ
ると、溶融ろう材はヘッダーパイプ表面の溝11内を流
れて、図2に示すようにとヘッダーパイプ1とチューブ
3との間隙に流入し、そこで凝固するとヘッダーパイプ
1とチューブ3の接合部には適度な大きさのフィレット
(溶融凝固したろう材層)8が形成されて、ヘッダーパ
イプ1とチューブ3とが綺麗に接合される。
【0027】
【作用】本発明は、一対のヘッダーパイプと、これらヘ
ッダーパイプ間に架設された複数のチューブと、チュー
ブに付設されたフィンを具備してなる熱交換器におい
て、ヘッダーパイプ表面にヘッダーパイプの長手方向に
沿った溝を設け、その溝をチューブが差し込まれるスロ
ットを複数個連ねるように設け、しかも溝を形成した面
にあらかじめろう材層を設けることにより、ろう材が溶
融してヘッダーパイプとチューブの接合部へ流れる際に
毛管力により溝内を流動し易くして、必要最小限の少量
のろう材でヘッダーパイプとチューブとの接合を確実に
したものである。
【0028】
【実施例】以下実施例を用いて本発明をさらに詳しく説
明する。 (実施例1〜2)アルミニウム合金製の断面角形のヘッ
ダーパイプと扁平チューブとフィンを有し、概略構成が
図1の自動車用熱交換器を製造した。ヘッダーパイプ材
には、図3,図4に示すような幅22mm、高さ15m
m、肉厚1.8mm、長さ400mmの断面角形の30
03合金からなる押出し管を使用した。ヘッダーパイプ
の側面の幅22mmの面の一つには、幅19mm、高さ
2.5mmのチューブ挿入用のスロット10を複数設け
たものを使用した。また、角形のヘッダーパイプのスロ
ットを設けた面には、押し出し加工の際に各スロットを
連ねるように、表1に示すような深さと幅を有する溝を
4本形成した。ヘッダーパイプ表面の溝を形成した面に
は、JIS4045(Al−10Si)合金粉末からな
るろう材を、フラックスとバインダーと共に混合して溶
媒に溶かし、塗布装置により所定の位置に塗布してろう
材層を設けた。フラックスとしてはKAlF4 の水溶液
からなる非腐食性のフラックスを使用した。チューブ材
には1050合金からなる幅18mm、厚さ2mm、肉
厚0.4mmの押出扁平チューブを使用した。また、フ
ィン材には幅18mmの4045合金/3003合金の
ブレージング材をフィンピッチ3mmでコルゲート加工
したものを使用した。
【0029】上記のようなヘッダーパイプ、チューブ及
びフィンを所定の位置に組立てた後、窒素雰囲気中で6
00℃×3分の条件で加熱し、ろう付して熱交換器を製
造した。加熱前と加熱後の各部の接合状態を図9及び図
10に示す。図9に示すとおり、本実施例ではヘッダー
パイプ1,(2)の表面にろう材層13を設けてある。
溝11はそれぞれヘッダーパイプと扁平チューブの表面
に設けてある。加熱後は図10に示すとおり、ヘッダー
パイプ1,(2)の表面に設けたろう材層13が溶融
し、溝1内を流動しており、ヘッダーパイプ1,(2)
と扁平チューブ3との接合部に綺麗なフィレット15が
形成されていた。得られた熱交換器のヘッダーパイプと
チューブとの接合部について接合状態を目視観察し、接
合状態を評価した。これらの結果を表1に併記する。表
1のろう付性の評価においては、溶融したろう材がフィ
レットを形成して、ヘッダーパイプのスロットとチュー
ブとの間隙を完全に充填している場合は○印、フィレッ
トの形成が未完成で、ヘッダーパイプのスロットとチュ
ーブとの間隙を完全に充填していない場合は×印を付し
た。
【0030】(比較例)表面に溝を形成しなかったヘッ
ダーパイプを使用した以外は、実施例と全く同様にして
熱交換器を作製した。加熱前のヘッダーパイプ1,
(2)と扁平チューブ3との接合部の状態を図11及び
図12に示す。図12は図11の線Y−Y’に沿った断
面図である。図に示すとおり、比較例ではヘッダーパイ
プ1,(2)の表面にろう材層13を設けてあるが、ヘ
ッダーパイプ表面には溝(11)は設けていない。この
ような状態で加熱すると、ヘッダーパイプ1,(2)と
の表面に設けたろう材層13が溶融して流動するが、ヘ
ッダーパイプ1,(2)と扁平チューブとの接合部のろ
う材が不足し、綺麗なフィレットが形成されない箇所が
生じる。実施例と同様にしてヘッダーパイプとチューブ
との接合部について接合状態を目視観察し、接合状態を
評価した。これらの結果を表1に併記する。
【0031】
【表1】
【0032】表1の結果から、ヘッダーパイプ表面に溝
を形成した場合には、ヘッダーパイプとチューブとの接
合部には、いずれも大きく奇麗なフィレットが形成され
ており、ろう付け不良の発生は認められなかった。一
方、ヘッダーパイプ表面に溝を形成しなかった場合に
は、ヘッダーパイプとチューブとの接合部では、ろう材
がヘッダーパイプのスロットを充填することをできず
に、ろう付け不良が発生した。
【0033】
【発明の効果】本発明によれば、ヘッダーパイプ表面の
長手方向に沿って設けられた溝の中をを溶融ろう材が流
動し、ヘッダーパイプとチューブの接合部のスロット部
に移動し、ヘッダーパイプとチューブの間隙を充填して
大きく奇麗なフィレットが形成される。溝が複数のスロ
ットを連結しているので、各スロットにおいて均一なフ
ィレットが形成され、ろう材層を完全に利用することが
できるので、ろう材の使用量を必要最小限に抑えること
が出きる。また、ヘッダーパイプ表面に溝加工する際
も、長手方向に単純な直線上の溝を形成すればよいの
で、加工が極めて簡単で、安価に製造することができる
利点がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】 熱交換器の構造を説明する外観図である。
【図2】 図1の線X−X’に沿った断面図である。
【図3】 本発明の熱交換器用ヘッダーパイプの一例を
示す外観図である。
【図4】 図3の線A−A’に沿った断面図である。
【図5】 溝の寸法を説明する図である。
【図6】 溝の断面形状を例示する図である。
【図7】 本発明の熱交換器用ヘッダーパイプの他の例
を示す外観図である。
【図8】 図7の線B−B’に沿った断面図である。
【図9】 実施例 におけるヘッダーパイプとチューブ
の接合部の加熱前の状態を示す図である。
【図10】 実施例 におけるヘッダーパイプとチュー
ブの接合部の加熱後の状態を示す図である。
【図11】 従来の熱交換器用ヘッダーパイプとチュー
ブの接合部の断面の一例を示す図である。
【図12】 図11の線Y−Y’に沿った断面図であ
る。
【符号の説明】
1,2・・・・・ヘッダーパイプ、3・・・・・チューブ、4・・・・
・フィン、5・・・・・キャップ、6・・・・・コネクターパイ
プ、7・・・・・仕切板、10・・・・・スロット、11,32・・
・・・・溝、13・・・・・・ろう材層、15・・・・・・フィレット
(溶融凝固したろう材層)、100・・・・・熱交換器、

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 一対のヘッダーパイプと、これらヘッダ
    ーパイプ間に架設された複数のチューブと、チューブに
    付設されたフィンとを具備してなる熱交換器に使用する
    ヘッダーパイプであって、該ヘッダーパイプ表面にはチ
    ューブが差し込まれてろう付けされる複数のスロットが
    形成されており、さらに該ヘッダーパイプの長手方向に
    沿って延在し、かつ前記スロットへ連なる溝が1本又は
    複数本形成され、該溝が形成されている面にろう材層が
    形成されていることを特徴とする熱交換器用ヘッダーパ
    イプ。
  2. 【請求項2】 前記溝が、少なくとも2つの隣り合うス
    ロットを貫通して設けられていることを特徴とする請求
    項1に記載の熱交換器用ヘッダーパイプ。
  3. 【請求項3】 前記ろう材層がろう付け用金属粉末とバ
    インダーとフラックスとを含むろう付け用組成物からな
    ることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の熱交
    換器用ヘッダーパイプ。
  4. 【請求項4】 請求項1又は請求項2に記載の熱交換器
    用ヘッダーパイプを使用してなることを特徴とする熱交
    換器。
JP2001083719A 2001-03-22 2001-03-22 熱交換器用ヘッダーパイプ及びそれを利用した熱交換器 Pending JP2002277187A (ja)

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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
EP2159528B1 (en) 2008-09-02 2015-11-04 Calsonic Kansei Corporation Heat exchanger made of aluminum alloy
US11333436B2 (en) 2018-01-19 2022-05-17 Denso Corporation Heat exchanger

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