JP2002276765A - ダブルナット予圧式ボールねじ - Google Patents

ダブルナット予圧式ボールねじ

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JP2002276765A
JP2002276765A JP2001080678A JP2001080678A JP2002276765A JP 2002276765 A JP2002276765 A JP 2002276765A JP 2001080678 A JP2001080678 A JP 2001080678A JP 2001080678 A JP2001080678 A JP 2001080678A JP 2002276765 A JP2002276765 A JP 2002276765A
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ball
ball screw
nut
groove
grooves
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JP2001080678A
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Tsuguto Nakaseki
嗣人 中関
Tatsuo Kawase
達夫 川瀬
Hideki Tamoto
英樹 田本
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NTN Corp
Original Assignee
NTN Corp
NTN Toyo Bearing Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【課題】ダブルナット予圧式ボールねじの作動時に、ボ
ールのボールねじ溝への3点接触状態を回避し、摩擦損
失の増加による回転トルクの増大などを防止して動力伝
達効率を良好に保ち、かつ、組立てをしやすくする。 【解決手段】ねじ溝3が形成されたボールねじ軸2と、
それに外嵌され、前記ねじ溝3に対向するねじ溝6、7
が形成されたボールナット4、5と、前記ねじ溝間に転
動自在に収容された多数のボール8とからなり、前記ボ
ールナット4、5が、スペーサリング9を介して配置さ
れたダブルナット予圧式ボールねじ1において、前記ね
じ溝の断面形状を単一半径で形成し、ボール8と前記ね
じ溝との初期接触角θなどを適正化して、ボール8と前
記ねじ溝とが常に2点接触状態を保つようにした。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、工作機械、半導
体製造装置、ロボット、射出成形機、電動パワーステア
リングなどの各種の産業機械や装置等に使用されるダブ
ルナット予圧式のボールねじに関する。
【0002】
【従来の技術】ダブルナット予圧式のボールねじ21
は、通常、図8(a)及び(b)に示すように、ボール
ねじ軸22の外周面にボールねじ溝23が形成され、こ
のボールねじ軸22にボールナット24、25が外嵌さ
れ、その内周面に前記ねじ溝23に対向するボールねじ
溝26、27が形成され、対向するねじ溝23、26及
び23、27間にボール28が転動自在に介在させてあ
る。前記ボールナット24、25は、タンデムに配置さ
れ、これらのボールナット24、25間にスペーサリン
グ29を設けた構造となっている。
【0003】前記ボールナット24の一端側には、前記
の産業機械や装置などに取り付けるためのフランジ部3
0が形成され、ボールナット24、25の端面には異物
の侵入を防止するために、シール31、31aが装着さ
れている。そして、ボールナット24、25の各端部
に、軸方向に垂直に設けた挿入穴32及び32aに、コ
字形のボール28のリターンチューブ33及び33aの
両端部が挿入され、前記リターンチューブ33、33a
は、固定金具34、34aによって、ボールナット2
4、25に固定されている。
【0004】前記ボールねじ溝23、26及び27は、
ボールナット24、25側の横断面形状をそれぞれ図9
(a)及び(b)に示すように、通常、ゴシックアーチ
状に形成され、前記スペーサリング29の介在により、
ボールナット24、25のボールねじ溝26、27は、
ボールねじ軸22のボールねじ溝23に対して、それぞ
れ相反する方向にずれて、ボール28とボールねじ溝2
3、26間、及びボール28とボールねじ溝23、27
間に、ボール28が前記ボールねじ溝間を転動しやすい
ように、適度の引張り予圧が付与されるようになってい
る。
【0005】前記ボールねじ軸22を回転させてボール
ねじ21を作動させると、ボール28は、ボールねじ溝
23と26、及びボールねじ溝23と27との接触点J
1、J2において受けるすべり摩擦力によって、両ボー
ルねじ溝間をらせん方向に転動し、ボールナット24、
25の図示左端に達し、リターンチューブ33及び33
aの図示左側の端部から図示右方向にリターンチューブ
33及び33a内を移動し、図示右側の端部からボール
ねじ溝23、26間、及びボールねじ溝23、27間に
それぞれ戻される。このように、ボールねじ軸22を回
転させると、転動するボール28を介して、ボールナッ
ト24、25に動力が伝達される。
【0006】図9(a)及び(b)に示したように、ボ
ール28は、ボールナット24、25側のいずれについ
ても、ボールねじ軸22側のボールねじ溝23と、ボー
ルナット24、25側のボールねじ溝26、27とに、
それぞれ接触点J1及びJ2で、1点づつ接した2点接
触状態となる。この状態でボールねじ軸22を回転させ
てボールねじ21を作動させると、ボール28は、前記
接触点J1、J2において受けるすべり摩擦力によっ
て、図中に示した矢印のいずれかの方向に移動し、ボー
ルねじ溝の弾性変形により、ボールねじ溝23と26、
及びボールねじ溝23と27に食い込む。この反作用と
して、ボール28をはじき出そうとする力、即ち弾性復
元力がボール28に作用し、この弾性復元力が前記すべ
り摩擦力と釣り合うまで、ボール28は転動方向と直角
方向に移動し、定常状態に達して、前述のように、ボー
ルねじ溝23、26間、及びボールねじ溝23、27間
を転動する。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】しかし、図9(a)及
び(b)に示したように、ボールねじ溝23、26及び
27の横断面形状がゴシックアーチ形状であるため、ボ
ール28が移動して、前記の力の釣合い状態、即ち定常
状態に達する前に、ボールねじ軸22のボールねじ溝2
3またはボールナット24、25のボールねじ溝26、
27と接触点J3において3点目の接触をし、この状態
で転動することになるので、2点接触時よりも摩擦損失
が増加して、ボールねじ軸22の回転トルクが増大する
という問題点があった。
【0008】また、前記の定常状態に達するまで、2点
接触状態を保つようにすれば、従来、前記定常状態に達
するまでに、前記の3点目の接触によって抑制されてい
たボールの転動方向に直角な方向の移動量が増加して、
隣り合うボール同士が競り合い、ボールねじ軸に大きな
回転トルク変動を引き起こす懸念がある。
【0009】さらに、転動状態を良好にするために、前
記ボールねじ溝の円弧の半径をボールのそれに近づける
と、ボールねじが組み立てにくくなるという問題点があ
った。
【0010】そこで、この発明の課題は、ダブルナット
予圧式ボールねじを作動させたときにボールのボールね
じ溝への3点接触の発生を回避し、摩擦損失の増加によ
る回転トルクの増大や変動を防止して、動力伝達効率を
良好に保つことができ、かつ、前記ボールねじを組立て
やすくすることである。
【0011】
【課題を解決するための手段】前記の課題を解決するた
めに、この発明では以下の構成を採用したのである。
【0012】即ち、ボールねじ軸と、それに外嵌するボ
ールナットと、前記ボールねじとボールナットにそれぞ
れ形成されたボールねじ溝の間に転動自在に収容された
多数のボールとからなり、前記ボールナットが軸方向に
二体配置され、ボールと両ボールねじ溝間に予圧を与え
たダブルナット予圧式ボールねじにおいて、前記両ボー
ルねじ溝の断面形状を、ボールの半径よりも大きい単一
半径の円弧でそれぞれ形成することにより、ボールとボ
ールねじ溝との接触を2点接触状態としたのである。
【0013】このようにすれば、ボールねじ軸を回転さ
せてボールねじを作動させると、その作動時において、
ボールねじ軸のボールねじ溝及びボールナットのボール
ねじ溝にそれぞれ1点ずつ接触した2点接触状態のボー
ルは、ボールねじ溝との接触点において受けるすべり摩
擦力により、前述のように、まず、転動方向に直角方向
に移動するが、単一半径の円弧で形成されたボールねじ
は、前記円弧の半径が同じであっても、ボールねじ軸の
ボールねじ溝またはボールナットのボールねじ溝と3点
目の接触をせず、前述の定常状態に達する。そして、2
点接触状態を保って、両ボールねじ溝間をらせん方向に
転動する。それにより、ボールのねじ溝との接触点の増
加を回避でき、摩擦損失の増加による回転トルクの増大
を防止でき、動力伝達効率を良好に保つことができる。
【0014】ボールねじ軸と、それに外嵌するボールナ
ットと、前記ボールねじとボールナットにそれぞれ形成
されたボールねじ溝の間に転動自在に収容された多数の
ボールとからなり、前記ボールナットが軸方向に二体配
置され、ボールと両ボールねじ溝間に予圧を与えたダブ
ルナット予圧式ボールねじにおいて、前記ボールねじ溝
のいずれか一方のボールねじ溝の断面形状を、凹条と、
その両側の、ボールの半径よりも大きい単一半径の円弧
で形成し、他方のねじ溝の断面形状をボールの半径より
も大きい単一半径の円弧で形成することにより、ボール
とボールねじ溝との接触を2点接触状態とすることもで
きる。
【0015】このようにすれば、ボールねじ溝の幅を、
その円弧の半径を大きくせずに広げることができるの
で、転動状態を安定させるためにボールねじ溝の半径を
ボールのそれに近づけても、ボールねじが組み立てにく
くなることはなく、2点接触状態を保つことにより、ボ
ールと前記ねじ溝との接触点の増加を回避でき、摩擦損
失の増大による回転トルクの増加、即ち動力伝達効率の
低下を防止することができる。
【0016】ボールねじ軸と、それに外嵌するボールナ
ットと、前記ボールねじとボールナットにそれぞれ形成
されたボールねじ溝の間に転動自在に収容された多数の
ボールとからなり、前記ボールナットが軸方向に二体配
置され、ボールと両ボールねじ溝間に予圧を与えたダブ
ルナット予圧式ボールねじにおいて、前記両ボールねじ
溝の断面形状をいずれも、凹条と、この凹条の両側のボ
ールの半径よりも大きい単一半径の円弧で形成すること
により、ボールとボールねじ溝との接触を2点接触状態
とすることもできる。
【0017】このようにすれば、ボールねじ軸及びボー
ルナットのいずれのボールねじ溝の幅も、その円弧の半
径を大きくせずに広げることができるので、転動状態を
安定させるために、ボールねじ溝を、その半径をボール
のそれに近づけて形成しても、ボールねじの組み立てが
容易となる。そして、前述の場合と同様に、2点接触状
態を保てるので、摩擦損失の増加による回転トルクの増
大を防止でき、動力伝達効率を良好に保つことができ
る。
【0018】ボールねじ軸と、それに外嵌するボールナ
ットと、前記ボールねじとボールナットにそれぞれ形成
されたボールねじ溝の間に転動自在に収容された多数の
ボールとからなり、前記ボールナットが軸方向に二体配
置され、ボールと両ボールねじ溝間に予圧を与えたダブ
ルナット予圧式ボールねじにおいて、前記ボールねじ軸
のボールねじ溝の断面形状と、前記ボールナットのボー
ルねじ溝のボールと接触する半分側の断面形状とをいず
れも単一半径の円弧で形成し、前記ボールねじ溝の他の
半分側の断面形状を、ボールの転動挙動に干渉しない任
意の形状に形成し、ボールとボールねじ溝との接触を2
点接触状態とすることもできる。
【0019】このようにすれば、ボールナット側のボー
ルと接触しない方のボールねじ溝は、ボールの転動に干
渉しない範囲で任意の形状に形成できるので、前述の場
合と同様に、ボールナット側のボールねじ溝の半径をボ
ールのそれに近づけて形成しても、ボールねじが組み立
てにくくなることはない。そして、2点接触状態を保つ
ことにより、前述のように、摩擦損失の増大による回転
トルクの増加、即ち動力伝達効率の低下を防止すること
ができる。
【0020】前記ボールと両ボールねじ溝との初期接触
角θが40°から50°の範囲にあることが望ましい。
ここで、初期接触角θは、ボールねじ作動前の初期状態
で、ボールとボールねじ溝との接触点とボールの中心と
を含む面内において、ボールの中心を通り、ボールねじ
軸に垂直な線から接触点までの角度である。
【0021】前記初期接触角θが40°よりも小さくな
ると、両ボールねじ溝間でボールがガタついて、ボール
ねじ軸が空回りして、ボールナットの軸方向への移動が
不安定になるおそれがあり、また、初期接触角θが50
°よりも大きくなると、ボールねじ軸側のボールねじ溝
とボールナット側のボールねじ溝間のリードの差、即ち
リード誤差が大きくなり、すべり摩擦力、即ち転動摩擦
力が増大して、ボールがねじ溝間を転動しにくくなる。
上述のような、初期接触角θの範囲を選択すれば、両ボ
ールねじ溝間でのボールのガタつきによるボールナット
の軸方向の移動が不安定になることを防止でき、かつ、
前記リード誤差を小さくすることができ、前記ねじ溝間
にボールを円滑に転動させることができる。
【0022】前記ボールねじ軸及びボールナットのボー
ルねじ溝の単一半径と前記ボールの直径との比率が0.
5よりも大きく、0.52以下であることが望ましい。
【0023】このように、両ボールねじ溝の半径とボー
ルの直径との比を0.52以下にすれば、前記リード誤
差を常に、良好な転動状態を維持するために必要な1μ
m以下に抑えることができる。なお、前記両ボールねじ
溝の半径は、ボールのそれよりも大きくする必要がある
ため、ボールねじ溝の半径とボールの直径との比率は
0.5よりも大きくすることが必要である。
【0024】前記ボール間に間隔保持部材を挿入するこ
とが望ましい。
【0025】このようにすれば、隣り合うボールの間隔
は一定に保たれるので、それらが競り合って、大きな回
転トルク変動を引き起こすおそれがなくなる。
【0026】
【発明の実施の形態】以下に、この発明の実施の形態を
添付の図1から図7に基づいて説明する。
【0027】この発明の実施形態のダブルナット予圧式
ボールねじ1は、図1に示すように、ボールねじ軸2の
外周面にボールねじ溝3が形成され、このボールねじ軸
2にボールナット4、5が外嵌され、その内周面にボー
ルねじ溝3に対向するボールねじ溝6、7が形成され、
対向するボールねじ溝3、6及びボールねじ溝3、7間
にボール8が転動自在に介在している。前記ボールナッ
ト4、5は、タンデムに配置され、これらのボールナッ
ト4、5間にスペーサリング9が介挿された構造となっ
ている。
【0028】前記ボールナット4の一端側には、前記の
産業機械や装置などに取り付けるためのフランジ部10
が形成され、前記ナット4、5の端面には異物の侵入を
防止するために、シール11、11aが装着されてい
る。図1(b)に示すように、ボールナット4、5の各
端部に、軸方向に垂直に形成された挿入穴12、12a
に、コ字形のボールのリターンチューブ13、13aの
両端部が挿入され、前記リターンチューブ13、13a
は、固定金具14、14aによって、ボールナット4及
び5に固定されている。
【0029】前記ボールねじ軸2を回転させてボールね
じを作動させると、ボール8は、ボールねじ溝3、6、
及びボールねじ溝3、7との接触点において受けるすべ
り摩擦力によって、両ねじ溝間をらせん方向に転動し、
ボールナット4、5の図示左端に達し、前記リターンチ
ューブ13、13aの図示左側の端部から図示右方向に
前記リターンチューブ13,13a内を移動し、図示右
側の端部からボールねじ溝3、6間、及びボールねじ溝
3、7間にそれぞれ戻される。このように、ボールねじ
軸2を回転させると、転動するボール8を介して、ボー
ルナット4、5に動力が伝達される。
【0030】前記ねじ溝3、6及び7は、ボールナット
4、5側の横断面形状をそれぞれ図2(a)及び(b)
に示すように、いずれも等しい単一半径Rs、Rnの円
弧で形成され、前記スペーサリング9の介挿により、ボ
ールナット4、5のボールねじ溝6、7は、ボールねじ
軸2のボールねじ溝3に対して、それぞれ相反する方向
にずれて、ボール8とボールねじ溝3、6間、及びボー
ル8とねじ溝3、7間に引張り予圧が付与されている。
そして、この引張り予圧により、ボール8は、前記ボー
ルねじ軸2のボールねじ溝3と接触点K1で、前記ボー
ルナット4、5のボールねじ溝6、7と接触点K2で、
各1点ずつ、いずれも、初期接触角θで2点接触をして
いる。ここで、初期接触角θは、前述のように、接触点
K1、K2とボール8の中心Cとを含む面内において、
前記中心Cを通り、前記ボールねじ軸2に垂直な線から
接触点K1、K2までの角度である。
【0031】前記ボールねじ軸2を回転させてボールね
じ1を作動させると、ボール8は、まず、図3(a)及
び(b)に示すように、その転動方向に直角な断面内
を、前述のように、すべり摩擦力とねじ溝からの弾性復
元力が釣り合うまで移動して、初期接触角θが、各ボー
ルねじ軸2のボールねじ溝3については、反時計回りに
αだけ変位し、ボールナット4、5のボールネジ溝6、
7については、時計方向にαだけ変位して定常状態に達
した後、ボール8はボールねじ溝3と6間、同3と7間
を転動する。前記の変位角αは、ボール8と前記ねじ溝
との間のすべり摩擦係数を最大0.1と見なすと、およ
そ6°以内となる。
【0032】前記のボール8とボールねじ溝3、6及び
7との接触角がαだけ変位する過程で、ボール8の移動
がボールねじ溝6及び7に及ぼす力によって、ボールナ
ット4、5がいずれも図示矢印の方向に移動する。この
ボールナット4、5の移動によって、ボールねじ溝6、
7のリードL(図1参照)、即ち前記スペーサリング9
を挟んだボールナット4側のボールねじ溝6とボールナ
ット5側のボールねじ溝7間のリードLが変化する。こ
のようなリードLの変化、即ちリード誤差ΔLを生じる
と、ボールナット4側とボールナット5側とで、転動状
態が不揃いになるので、ボールねじ軸2の回転により伝
達される動力が一様でなくなり、ボールナット4、5の
移動が円滑に行われなくなる。
【0033】図4は、前述の初期接触角θの適正範囲4
0°≦θ≦50°について、ボールねじ軸2のボールね
じ溝3の半径Rsとボールナット4、5のボールねじ溝
6、7の半径Rnを等しくし、この半径Rs、Rnのボ
ール直径Dに対する比率F(F=Rs/D=Rn/D)
を変化させて、前記リード誤差ΔLを実測した結果であ
る。同図から、リード誤差ΔLを、良好な転動状態を維
持するために必要な1μm以下に抑えるためには、前記
比率Fを0.52以下にすることが必要であることが判
明した。
【0034】図5(a)、(b)、(c)は、他の実施
形態のダブルナット予圧式ボールねじのボールねじ軸2
及びボールナット4、5(図1参照)のボールねじ溝6
及び7のボール8の転動方向に直角な断面形状を示した
ものである。
【0035】図5(a)に示すように、前記ボールナッ
ト4のボールねじ溝6aに凹条15を設けて、円弧Pn
1、Pn2の各中心Cn1、Cn2をボールねじ溝6a
の幅が広がる方向に変位させて、ボール8の半径よりも
大きい同一半径Rnの円弧Pn1及びPn2に分割し
て、ボールねじ溝6aを、前記凹条15とその両側の円
弧Pn1、Pn2で形成し、そして、前記ボールねじ軸
2のボールねじ溝3をボール8の半径よりも大きい単一
半径Rsの円弧で形成することにより、ボール8が両ボ
ールねじ溝6a及び3に1点ずつ接触する2点接触状態
に保つことができる。
【0036】図5(b)に示すように、前記ボールねじ
軸2のボールねじ溝3aに凹条15aを設けて、円弧P
s1、Ps2の各中心Cs1、Cs2をボールねじ溝3
aの幅が広がる方向に変位させて、ボール8の半径より
も大きい同一半径Rsの円弧Ps1及びPs2に分割し
て、ボールねじ溝3を、前記凹条15aとその両側の円
弧Ps1、Ps2で形成し、前記ボールナット4のボー
ルねじ溝6をボール8の半径よりも大きい単一半径Rn
の円弧で形成することによっても、ボール8が前記両ボ
ールねじ溝3a及び6に1点ずつ接触する2点接触状態
に保つことができる。
【0037】また、図5(c)に示すように、前記ボー
ルナット4のボールねじ溝6aとボールねじ軸のボール
ねじ溝3aのいずれにも、前記凹条15、15aを設け
て、前記ボールねじ溝6aを凹条15とその両側のボー
ルのよりも大きい単一半径の円弧Pn1、Pn2で形成
し、前記ボールねじ溝3aを凹条15aとその両側のボ
ールのよりも大きい単一半径の円弧Ps1、Ps2で形
成しても、前述の場合と同様に、2点接触状態を保つこ
とができる。
【0038】このようにすれば、ボールねじ軸2のボー
ルねじ溝3a及びボールナット4のボールねじ溝6aの
幅を、これらのボールねじ溝3a、6aの半径を大きく
せずに広げることができるので、転動状態を安定させる
ために、両ボールねじ溝の半径をボール8のそれに近づ
けて形成しても、ボールねじの組み立てが容易となる。
そして、2点接触状態を保つことにより、前述のよう
に、摩擦損失の増加による回転トルクの増大、即ち動力
伝達効率の低下を防止することができる。
【0039】なお、前記ボールナット5側についても、
図5(a)から(c)に示したように、両ボールねじ溝
7、3を形成することができる。
【0040】図6は、他の実施形態のダブルナット予圧
式ボールねじのボールねじ溝の横断面形状を示したもの
で、前記ボールねじ軸2のボールねじ溝3がボールの半
径よりも大きい単一半径Rsで形成され、前記ボールナ
ット4、5のボールねじ溝6bのボール8と接触する半
分側Pn3をボールの半径よりも大きい単一半径Rnの
円弧で形成し、前記ボールナット4のボールねじ溝6b
のボール8と接触しない他の半分側Pn4を、ボール8
に転動状態に干渉しない任意の形状に形成して、ボール
8が前記両ボールねじ溝3、6にそれぞれ1点ずつ接触
する2点接触状態に保つようにすることもできる。ボー
ルナット5側のねじ溝についても同様に形成することが
できる。
【0041】このようにすれば、ボールナット4側のね
じ溝6bのボール8と接触しない半分側Pn4は、ボー
ル8の転動に干渉しない範囲で任意の形状に形成できる
ので、前述の場合と同様に、ボールねじ溝の曲率をボー
ルのそれに近づけて形成しても、ボールねじを容易に組
み立てることができる。ボールナット5側についても同
様である。
【0042】図7は、さらに他の実施形態を示したもの
で、図1に示したボールねじ軸2のボールねじ溝3及び
ボールナット4、5のボールねじ溝6、7間に、隣り合
うボール8、8の間隔を一定に保つための間隔保持部材
16を設けている。前記間隔保持部材16により、隣り
合うボール8同士が競り合うことによるボールねじ軸2
の回転トルクが大きく変動することを防止することがで
きる。
【0043】なお、前記各実施形態のボールねじ溝及び
間隔保持部材は、引張り予圧のダブルナット予圧式ボー
ルねじのみならず、圧縮予圧のダブルナット予圧式ボー
ルねじについても適用できる。
【0044】
【発明の効果】以上のように、この発明によれば、ダブ
ルナット予圧式ボールねじのボールねじ溝の断面形状を
ボールの半径よりも大きい単一半径の円弧で形成し、こ
の単一半径のボールの直径に対する比率やボールとボー
ルねじ溝との初期接触角などを適正化して、ボールが常
に、ボールねじ軸及びボールナットの両ボールねじ溝に
それぞれ1点ずつ接触する2点接触状態に保つようにし
たので、ボールねじを作動させても、ボールとねじ溝と
の接触点が増加せず、摩擦損失の増加によるボールねじ
軸の回転トルクの増加や変動を防止でき、動力伝達効率
の良好なボールねじを実現することができる。
【0045】また、前述のように、ボールねじ溝を分割
して形成することにより、またはボールナット側のボー
ルねじ溝を非対称に形成することにより、転動状態を良
好にするために、ボールねじ溝の半径をボールのそれに
近づけた場合でも、ボールねじの組立てが容易となる。
【図面の簡単な説明】
【図1(a)】この発明の実施形態のダブルナット予圧
式ボールねじの縦断正面図
【図1(b)】同上の平面図
【図2】(a)実施形態の一方のボールナット側のボー
ルとボールねじ溝との初期接触状態を示す拡大した縦断
正面図 (b)同上の他方のボールナット側のボールとボールね
じ溝との初期接触状態を示す拡大した縦断正面図
【図3】(a)同上の一方のボールナット側のボールと
ボールねじ溝とのボールねじの作動後の接触状態を示す
拡大した縦断正面図 (b)同上の他方のボールナット側のボールとボールね
じ溝とのボールねじの作動後の接触状態を示す拡大した
縦断正面図
【図4(a)】比率F及び初期接触角θがボールねじ溝
のリード誤差に及ぼす影響を示す説明図
【図4(b)】同上のボールねじ溝の半径とボールの直
径との比率Fを示す説明図
【図5】(a)他の実施形態のボールナット側のボール
ねじ溝の分割状態を示す横断正面図 (b)同上のボールねじ軸側の分割状態を示す横断正面
図 (c)同上のボールねじ軸側及びボールナット側のボー
ルねじ溝の分割状態を示す横断正面図
【図6】他の実施形態のボールナット側のボールねじ溝
を非対称に形成した状態を示す横断側面図
【図7】他の実施形態のボール間に間隔保持部材を挿入
したボールねじ溝の横断側面図
【図8(a)】従来のダブルナット予圧式ボールねじの
縦断正面図
【図8(b)】同上の平面図
【図9】(a)従来のダブルナット予圧式ボールねじの
一方のボールナット側のボールとボールねじ溝との初期
接触状態を示す拡大した縦断正面図 (b)従来のダブルナット予圧式ボールねじの他方のボ
ールナット側のボールとボールねじ溝との初期接触状態
を示す拡大した縦断正面図
【図10】(a)従来の一方のボールナット側のボール
とボールねじ溝とのボールねじ作動後の接触状態を示す
拡大した縦断正面図 (b)従来の他方のボールナット側のボールとボールね
じ溝とのボールねじの作動後の接触状態を示す拡大した
縦断正面図
【符号の説明】 1 ボールねじ 2 ボールねじ軸 3、3a ボールねじ溝 4、5 ボールナット 6、6a、6b ボールねじ溝 7 ボールねじ溝 8 ボール 9 スペーサリング 10 フランジ部 11、11a シール部 12、12a 挿入部 13、13a リターンチューブ 14、14a 固定金具 15、15a 凹条 16 間隔保持部材 C ボールの中心 Cs、Cn 円弧の中心 K1、K2 接触点 Ps1、Ps2、Pn1、Pn2 ボールねじ溝の円弧
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 田本 英樹 三重県桑名市大字東方字尾弓田3066 エヌ ティエヌ株式会社内 Fターム(参考) 3J062 AA07 AA21 AA25 AA28 AA38 AB22 AC07 BA01 BA32 CD04 CD22 CD47 CD54 CD60

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ボールねじ軸と、それに外嵌するボール
    ナットと、前記ボールねじとボールナットにそれぞれ形
    成されたボールねじ溝の間に転動自在に収容された多数
    のボールとからなり、前記ボールナットが軸方向に二体
    配置され、ボールと両ボールねじ溝間に予圧を与えたダ
    ブルナット予圧式ボールねじにおいて、前記両ボールね
    じ溝の断面形状を、ボールの半径よりも大きい単一半径
    の円弧でそれぞれ形成することにより、ボールとボール
    ねじ溝との接触を2点接触状態としたことを特徴とする
    ダブルナット予圧式ボールねじ。
  2. 【請求項2】 ボールねじ軸と、それに外嵌するボール
    ナットと、前記ボールねじとボールナットにそれぞれ形
    成されたボールねじ溝の間に転動自在に収容された多数
    のボールとからなり、前記ボールナットが軸方向に二体
    配置され、ボールと両ボールねじ溝間に予圧を与えたダ
    ブルナット予圧式ボールねじにおいて、前記ボールねじ
    溝のいずれか一方のボールねじ溝の断面形状を、凹条
    と、その両側の、ボールの半径よりも大きい単一半径の
    円弧で形成し、他方のねじ溝の断面形状をボールの半径
    よりも大きい単一半径の円弧で形成することにより、ボ
    ールとボールねじ溝との接触を2点接触状態としたこと
    を特徴とするダブルナット予圧式ボールねじ。
  3. 【請求項3】 ボールねじ軸と、それに外嵌するボール
    ナットと、前記ボールねじとボールナットにそれぞれ形
    成されたボールねじ溝の間に転動自在に収容された多数
    のボールとからなり、前記ボールナットが軸方向に二体
    配置され、ボールと両ボールねじ溝間に予圧を与えたダ
    ブルナット予圧式ボールねじにおいて、前記両ボールね
    じ溝の断面形状をいずれも、凹条と、この凹条の両側の
    ボールの半径よりも大きい単一半径の円弧で形成するこ
    とにより、ボールとボールねじ溝との接触を2点接触状
    態としたことを特徴とするダブルナット予圧式ボールね
    じ。
  4. 【請求項4】 ボールねじ軸と、それに外嵌するボール
    ナットと、前記ボールねじとボールナットにそれぞれ形
    成されたボールねじ溝の間に転動自在に収容された多数
    のボールとからなり、前記ボールナットが軸方向に二体
    配置され、ボールと両ボールねじ溝間に予圧を与えたダ
    ブルナット予圧式ボールねじにおいて、前記ボールねじ
    軸のボールねじ溝の断面形状と、前記ボールナットのボ
    ールねじ溝のボールと接触する半分側の断面形状とをい
    ずれも単一半径の円弧で形成し、前記ボールねじ溝の他
    の半分側の断面形状を、ボールの転動挙動に干渉しない
    任意の形状に形成し、ボールとボールねじ溝との接触を
    2点接触状態としたことを特徴とするダブルナット予圧
    式ボールねじ。
  5. 【請求項5】 前記ボールと両ボールねじ溝との初期接
    触角θが40°から50°の範囲にあることを特徴とす
    る請求項1から4のいずれかに記載のダブルナット予圧
    式ボールねじ。
  6. 【請求項6】 前記ボールねじ軸及びボールナットのボ
    ールねじ溝の単一半径と前記ボールの直径との比率が
    0.5よりも大きく、0.52以下であることを特徴と
    する請求項1から5のいずれかに記載のダブルナット予
    圧式ボールねじ。
  7. 【請求項7】 前記ボール間に間隔保持部材を挿入した
    ことを特徴とする請求項1から6のいずれかに記載のダ
    ブルナット予圧式ボールねじ。
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