JP2015108400A - ボールねじ - Google Patents

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Abstract

【課題】予圧が付与されたボールねじであって、傾き方向の取付誤差が吸収できるボールねじを提供する。【解決手段】この発明のボールねじは、ナット2の螺旋溝21の軸方向中心部のリードA1が、他の部分のリードA2より予圧量だけ小さい。また、ねじ軸1の直径(d)に対する転動路の軸方向長さ(L)の比(L/d)が0.8以上5.0以下である。【選択図】図1

Description

この発明は、ボールねじに関する。
ボールねじは、ねじ軸と、ナットと、複数のボールとを有する。ねじ軸はナットを貫通し、ねじ軸の螺旋溝とナットの螺旋溝とにより、ボールが転動する転動路が形成されている。ナットは、ボールを転動路の終点から始点に戻すボール戻し路を備えている。ボールは、転動路とボール戻し路とからなる循環経路内に配置されている。循環経路を循環し転動路内で転動するボールを介して、ナットとねじ軸とが相対移動する。
従来のボールねじにおいて予圧を付与する場合には、一般に、引張予圧が付与される。引張予圧の付与方式には、ダブルナット予圧とシングルナット予圧があり、シングルナット予圧には、ボーバーサイズボール予圧とオフセット予圧がある。オフセット予圧が付与されているボールねじでは、ナットの螺旋溝が、軸方向中心部のリードが予圧量だけ大きくなるように研磨されている。
しかし、引張予圧が付与されたボールねじは、ナットがねじ軸に対して傾いて取り付けられた状態になると、その状態と正しい取り付け状態との差(傾き方向の取付誤差)が吸収されにくい。
一般にボールねじの取付調整は難しく、高い取付精度が要求される。取付誤差(間違った取付状態の正しい取付状態との差)が大きいと、寿命が低下するだけでなく種々の悪影響が生じる。特に、傾き方向の取付調整は難しく、傾き方向の取付誤差が大きいと生じる悪影響も大きくなる。
従来より、取付誤差を吸収する構造を設けることで、ボールねじや転がり軸受を、取付誤差がある状態でも性能を保持しながら使用可能にする(取付誤差を吸収できるようにする)ことが提案されている。
特許文献1には、ボールねじのナットとブラケットとの間に、取付誤差を吸収するカップリングを設けることが記載されている。このようなカップリングは、構造が大がかりにになるため大きな空間が必要になるとともに、構造が複雑なためにコストがかかる。また、傾き方向の取付誤差を吸収するためには回転機構が必要となり、バックラッシュが発生したり、軸方向の剛性が低下するおそれもある。
二列アンギュラ軸受では、接触角の方向をDB(背面合わせ)ではなくDF(正面合わせ)にすると、軸受に対して軸が傾いて取り付けられた場合でも、取付誤差の吸収効果が得られることが知られている。
特許文献2には、回転ナットを支持する玉軸受を、正面合わせ形の複列アンギュラ玉軸受、または正面合わせの単列アンギュラ玉軸受とし、かつその接触角を延長した交点を、操舵軸の軸心に実質的に一致させることが記載されている。これにより、一点支持となり、支持剛性の減少によってミスアライメントの吸収効果が大きく得られると記載されている。
なお、圧縮予圧が付与されたボールねじとしては、二つのナットの間に過小寸法の間座を配置して固定されたもの(ダブルナット予圧)が知られているだけである。
特開2000−240750号公報 特開2001−163231号公報
上述のように、従来の引張予圧が付与されたボールねじでは傾き方向の取付誤差が吸収できず、圧縮予圧が付与されたボールねじについては、傾き方向の取付誤差が吸収可能かどうかの検討がなされていなかった。
この発明の課題は、予圧が付与されたボールねじであって、傾き方向の取付誤差が吸収できるボールねじを提供することである。
上記課題を解決するために、この発明の一態様のボールねじは、下記の構成(1) を満たすボールねじであって、下記の構成(2) および(3) を有することを特徴とする。
(1) ねじ軸と、ナットと、複数のボールとを有する。前記ねじ軸は前記ナットを貫通し、前記ねじ軸の螺旋溝と前記ナットの螺旋溝とにより、前記ボールが転動する転動路が形成されている。前記ナットは、前記ボールを前記転動路の終点から始点に戻すボール戻し路を備えている。前記ボールは、前記転動路と前記ボール戻し路とからなる循環経路内に配置されている。前記循環経路を循環し前記転動路内で転動する前記ボールを介して、前記ナットと前記ねじ軸とが相対移動する。
(2) 前記ナットの螺旋溝は、軸方向中心部のリードが他の部分のリードより予圧量だけ小さい。
(3) 前記ねじ軸の直径(d)に対する前記転動路の軸方向長さ(L)の比(L/d)が0.8以上5.0以下である。
この態様のボールねじは、構成(2) を有することにより、オフセット予圧方式で圧縮予圧が付与される。
また、この態様のボールねじは、構成(2) とともに構成(3) を有することにより、ナットがねじ軸に対して傾いて取り付けられた際にボールねじに生じるモーメント剛性を、引張予圧が付与されたボールねじの30%以下にすることができる。このモーメント剛性が小さいほど、ボールねじが傾き方向の取付誤差を吸収できる効果が高い。このモーメント剛性が、引張予圧が付与されたボールねじの30%より大きいと、ボールねじが傾き方向の取付誤差を吸収できる効果が十分に得られない(特に、転がり疲れ寿命の向上効果が実質的に得られない)。
この態様のボールねじにおいて、ねじ軸およびナットの螺旋溝の溝直角断面(螺旋の移動線に垂直な断面)は、ゴシックアーク形状およびサーキュラーアーク形状のいずれでもよいが、ゴシックアーク形状の場合は、無負荷状態でボールが転動路内で軸方向に垂直な方向に移動できる最大寸法(以下、これを「単体すきま」と称する)が0.002mm以上0.05mm以下であることが好ましい。
この態様のボールねじにおいて、前記ボールの前記螺旋溝に対する接触角は40°以上50°以下であることが好ましい。
この発明によれば、予圧が付与されたボールねじであって、傾き方向の取付誤差が吸収できるボールねじが提供できる。
この発明の実施形態のボールねじとその作用を説明する図である。 図1のボールねじの無負荷状態を示す図である。 図2のB部分の拡大図である。 比較例のボールねじとその作用を説明する図である。 圧縮予圧が付与されたボールねじ(a)と、引張予圧が付与されたボールねじ(b)とで、モーメントMのナット中心からの作用点距離(K)が違うことを説明する図である。 モーメント剛性比(KM=MDF/MDB)とねじ軸の直径(d)に対する転動路の軸方向長さ(L)の比(L/d)との関係を示すグラフである。 図1(b)のE部分の拡大図である。 転動路内でボールが軸方向に垂直な方向に移動できる隙間を、螺旋溝の溝直角断面の形状がゴシックアーク形状(a)の場合と、サーキュラーアーク形状(b)の場合について説明する図である。 モーメント剛性比(KM=MDF/MDB)とねじ軸の直径(d)に対する転動路の軸方向長さ(L)の比(L/d)との関係を、接触角が異なるボールねじについて調べた結果を示すグラフである。 四回路を有するボールねじの例を示す平面図である。 保持ピースを有するボールねじの例を示す断面図である。
以下、この発明の実施形態について説明するが、この発明はこの実施形態に限定されない。
図1に示すように、この実施形態のボールねじは、ねじ軸1と、ナット2と、複数のボール3とを有する。ねじ軸1はナット2を貫通し、ねじ軸1の螺旋溝11とナット2の螺旋溝21とにより、ボール3が転動する転動路が形成されている。螺旋溝11,21の溝直角断面はゴシックアーク形状である。
この実施形態のボールねじは、ニ回路を有するボールねじであって、ナット2は、回路毎に、ボール3を転動路の終点から始点に戻すボール戻し路(不図示)を備えている。
ナット2の螺旋溝21は、軸方向中心部(図1の上側の断面でCが中心位置)のリードA1が他の部分のリードA2より予圧量だけ小さい。つまり、この実施形態のボールねじは、図1に示すように、オフセット予圧方式の圧縮予圧が付与されて使用される。ナット2の螺旋溝21は、研磨後の状態で、軸方向中心部のリードA1が予圧量に対応した寸法だけ部分のリードA2よりも小さくなるように製造されている。
また、ねじ軸1の直径dに対する転動路の軸方向長さLの比(L/d)が0.8以上5.0以下の範囲にある。接触角αは45°である。
図2に示すように、図1のボールねじを無負荷状態にすると、ボール3はねじ軸1の螺旋溝11およびナット2の螺旋溝21の一方に接触し、他方との間にすきまを有する。この状態で、ボール3は、螺旋溝11,21で形成された転動路内で、軸方向に垂直な方向に移動可能である。図3に示す寸法Sが、この状態でボール3が移動できる最大寸法(単体すきま)である。この実施形態のボールねじの単体すきまSは0.007mmである。
図4に示す比較例のボールねじの場合、ナット20の螺旋溝210は、軸方向中心部(図4の上側の断面でCが中心位置)のリードA1が他の部分のリードA2より予圧量だけ大きい。つまり、図4のボールねじは、オフセット予圧方式の引張予圧が付与されて使用される。これ以外の点において、図4のボールねじは図1のボールねじと同じである。
図1(a)は、実施形態のボールねじの正しい取付状態、すなわち、ナット2の軸線LN がねじ軸1の軸線LS と一致する状態を示す。これに対して、図1(b)に示すように、ナット2がねじ軸1に対してθだけ傾いて取り付けられると、ナット2の螺旋溝21は、軸方向両端のうちねじ軸1の螺旋溝11との間隔が小さくなる側で、DH 方向に変位する。この変位方向はボール3の接触点方向DS と一致しないため、螺旋溝21の接触点方向DS への変位は小さい。
図4(a)は、比較例のボールねじの正しい取付状態、すなわち、ナット20の軸線LN がねじ軸10の軸線LS と一致する状態を示す。これに対して、図4(b)に示すように、ナット20がねじ軸10に対してθだけ傾いて取り付けられると、ナット20の螺旋溝210は、軸方向両端のうちねじ軸10の螺旋溝111との間隔が小さくなる側で、DH 方向に変位する。この変位方向はボール3の接触点方向DS と一致するため、螺旋溝210は接触点方向DS へ大きく変位する。また、軸方向両端のうちねじ軸10の螺旋溝111との間隔が大きくなる側(Bで示す部分)では、ボール3が無負荷状態となる。
このように、引張予圧が付与された比較例のボールねじは、ナット20がねじ軸10に対して傾いて取り付けられた場合、ナット20の螺旋溝210の一部が接触点方向に変位する。接触点方向はボール3に圧縮力が付与される方向である。よって、ボール3にかかる荷重が局所的に増大し、ボールねじのモーメント剛性(ねじ軸に対してナットを傾ける方向の剛性)が増加する。
これに対して、圧縮予圧が付与された実施形態のボールねじは、ナット2がねじ軸1に対して傾いて取り付けられた場合、ナット2の螺旋溝21の接触点方向への変位が小さいため、ボール3にかかる荷重が増大することが抑制され、ボールねじのモーメント剛性も増加しない。
また、図5に示すように、モーメントMのナット中心からの作用点距離(K)は、圧縮予圧が付与されたボールねじ(a)の方が、引張予圧が付与されたボールねじ(b)よりも小さくなるため、モーメント剛性も小さくなる。
上述のように、引張予圧が付与されたボールねじの場合、ナットがねじ軸に対して傾いて取り付けられた際のモーメント剛性が大きく、各ボールに加わる荷重が不均一になり、一部のボールに荷重が集中する。つまり、ナットがねじ軸に対して傾いて取り付けられた際にボールねじに生じるモーメント剛性が小さいほど、各ボールに加わる荷重が均一に近づくと考えられる。
また、ナットがねじ軸に対して傾いて取り付けられた状態で一部のボールに荷重が集中すると、ボールねじに以下の悪影響が生じるおそれがある。その悪影響とは、転がり疲れ寿命の低下、ねじ軸およびナットの螺旋溝とボール表面の摩耗促進とそれに伴う早期の予圧抜け、駆動トルクの増加とそれに伴う発熱量の増加、軸方向送り精度の低下、ねじ軸を支持する転がり軸受の寿命低下と摩耗促進である。
以上のことから、ナットがねじ軸に対して傾いて取り付けられた際にボールねじに生じるモーメント剛性(傾き誤差を有する取り付け状態でのモーメント剛性)が小さいほど、ボールねじに上述の悪影響が生じることを低減できる効果が高くなると考えられる。
ここで、各諸元のボールねじ(接触角は45°で一定、単体隙間Sは0.007mmで一定)に対して圧縮予圧と引張予圧を付与した場合の、傾き誤差を有する取り付け状態でのナットのモーメント剛性を、ボールに作用する荷重とその方向からそれぞれ計算した。そして、同じ諸元のボールねじについて、引張予圧付与のモーメント剛性(MDB)に対する圧縮予圧付与のモーメント剛性(MDF)の比(KM=MDF/MDB)を算出した。得られたモーメント剛性比(KM)と、ねじ軸の直径(d)に対する転動路の軸方向長さ(L)の比(L/d)との関係を、図6にグラフで示す。
No.1のボールねじは、d=50mmで、リードが8mmである。No.2のボールねじは、d=25mmで、リードが8mmである。No.3のボールねじは、d=25mmで、リードが4mmである。No.4のボールねじは、d=40mmで、リードが5mmである。No.5のボールねじは、d=40mmで、リードが10mmである。No.6のボールねじは、d=50mmで、リードが16mmである。No.7のボールねじは、d=63mmで、リードが12mmである。
図6のグラフから、L/d≦5.0であるとKM≦0.30になることが分かる。つまり、圧縮予圧を付与し、L/dを5.0以下にすることで、ナットがねじ軸に対して傾いて取り付けられた際にボールねじに生じるモーメント剛性を、引張予圧が付与されたボールねじの30%以下にすることができる。これにより、ボールねじに上述の悪影響が生じることを低減できる効果が得られ、特に転がり疲れ寿命が長くなる効果が大きい。
これに対して、圧縮予圧を付与した場合でもL/d>5.0であると、KM>0.30となり、転がり疲れ寿命を長くする効果が実質的に得られない。また、L/d<0.8であるボールねじは、通常、ボール数が極端に少なくて負荷容量が小さいものとなるため、殆ど需要がない。
したがって、圧縮予圧が付与されていて0.8≦L/d≦5.0の範囲となる諸元のボールねじは、圧縮予圧が付与されていても0.8≦L/d≦5.0の範囲から外れる諸元のボールねじと比較して、ナットがねじ軸に対して傾いて取り付けられた場合での転がり疲れ寿命が長い。
また、この実施形態のボールねじは、ダブルナット予圧方式(二つのナットの間に過小寸法の間座を配置して固定すること)で圧縮予圧が付与されているボールねじと比較して、部品点数が少なくできるため、コストが低減できる。
[転動路とボールとの隙間について]
図1(b)に示すように、実施形態のボールねじがナット2がねじ軸1に対してθだけ傾いて取り付けられると、ナット2の螺旋溝21は、軸方向両端のうちねじ軸1の螺旋溝11との間隔が小さくなる側で、ボール3に圧縮力が付与される接触点方向DS には変位しない。
また、軸方向両端のうちねじ軸1の螺旋溝11との間隔が大きくなる側(Eで示す部分)でも、図7に示すように、ナット2の螺旋溝21はボール3の接触点方向DS と一致しない方向に変位する。しかし、ナット2の螺旋溝21が、ねじ軸1の螺旋溝11とボール3との隙間Gが無くなるまで変位すると、ボール3に新たな接触点ができ、モーメント剛性も増大する。
よって、ねじ軸1およびナット2の螺旋溝11,21で形成される転動路とボール3とのラジアル隙間(軸方向に垂直な方向での隙間)が大きいほど、ナット2の螺旋溝21の大きな変位が許容できる。転動路とボールとのラジアル隙間を大きくする方法としては、ねじ軸およびナットの螺旋溝の溝直角断面がゴシックアーク形状の場合には、図3に示す単体すきまSを0.002mm以上とする方法がある。また、螺旋溝の溝直角断面をサーキュラーアーク形状にする方法もある。
ゴシックアーク形状の場合に単体すきまSが0.002mm未満であると、測定時に単体すきまSの存在が判断できない場合がある。つまり、単体すきまSが0.002mm以上であることは、実質的に単体すきまSを有することを意味する。単体すきまSが0.05mmを超えると、ボールの回転が不安定になるという点で好ましくない。この実施形態のボールねじは、単体すきまSが0.007mmであるため、適度な単体すきまSを有している。
図8では、ゴシックアーク形状の場合とサーキュラーアーク形状の場合を、溝曲率半径と接触角を同じにし、予圧が付与されていない状態で示している。この状態で、ゴシックアーク形状(a)では、ねじ軸1Aおよびナット2Aの螺旋溝11A,21Aで形成された転動路内で、ボール3が軸方向に垂直な方向に移動できる隙間が全くない。サーキュラーアーク形状(b)では、ねじ軸1Bおよびナット2Bの螺旋溝11B,21Bで形成された転動路内で、ボール3が軸方向に垂直な方向に移動できる隙間がある。
[接触角について]
接触角が変化すると図5を用いて説明した作用点距離Kも変化するため、ボールねじのモーメント剛性(ねじ軸に対してナットを傾ける方向の剛性)も変化する。これに伴って、モーメント剛性比(KM)と、ねじ軸の直径(d)に対する転動路の軸方向長さ(L)の比(L/d)との関係も変化する。
そこで、接触角が異なるボールねじに対して圧縮予圧と引張予圧を付与した場合の、傾き誤差を有する取り付け状態でのナットのモーメント剛性を、ボールに作用する荷重とその方向からそれぞれ計算した。ボールねじの諸元は、ねじ軸の直径(d)が32mmでリードが5mmであり、転動路の軸方向長さ(L)と接触角(α)が異なる(α=30°、40°、45°、50°)ものとした。そして、同じ諸元のボールねじについて、引張予圧付与のモーメント剛性(MDB)に対する圧縮予圧付与のモーメント剛性(MDF)の比(KM=MDF/MDB)を算出した。
得られたモーメント剛性比(KM)と、ねじ軸の直径(d)に対する転動路の軸方向長さ(L)の比(L/d)との関係を、図9にグラフで示す。図9のグラフで、接触角が同じものの結果は同じ形でプロットした。
図9のグラフから分かるように、L/d≧1.8では、接触角が大きいほどモーメント剛性比(KM)が小さくなる。また、接触角が40°〜50°であると、L/dの好ましい範囲である1.0〜3.0でモーメント剛性比(KM)が0.20以下になる。また、接触角が45°であると、L/dの好ましい範囲である1.0〜3.0でモーメント剛性比(KM)が0.15以下になる。なお、接触角が50°を超えるボールねじは、ボールがねじ軸およびナットの螺旋溝に乗り上がるため使用できない。
図1に示す実施形態のボールねじは接触角が45°であるため、L/dの好ましい範囲である1.0〜3.0でモーメント剛性比(KM)が0.15以下となっている。
図10は、C1〜C4の四回路を有するボールねじである。このボールねじは、ボール戻し路を形成する部材として循環チューブ4を有する。循環チューブ4は取付金具5により、ナット2の外周面に設けた平坦面22に固定されている。
ナット2の内周面に形成されている螺旋溝は、回路C2と回路C3との間のリードが他の部分のリードより予圧量だけ小さい。すなわち、図10のボールねじにはオフセット予圧方式で圧縮予圧が付与されている。また、ねじ軸1の直径(d)に対する転動路の軸方向長さ(L)の比(L/d)が0.8以上5.0以下である。つまり、図10のボールねじもこの発明の実施形態のボールねじである。
また、ナット2がねじ軸1に対して傾いて取り付けられると、前述のように、ねじ軸1およびナット2の螺旋溝11,21に対するボール3の接触状態が、転動路内でのボール3の位置によって異なる。そのため、ボール3の公転速度が不安定になり、ボール3同士に競合いが生じると、ボールねじの性能が低下する。図11に示すように、ボール3間に保持ピース6を配置することで、ボール3同士の競合いを回避することができる。
1 ねじ軸
11 ねじ軸の螺旋溝
10 ねじ軸
110 ねじ軸の螺旋溝
2 ナット
21 ナットの螺旋溝
22 ナットの外周面の平坦面
20 ナット
210 ナットの螺旋溝
3 ボール
4 循環チューブ(ボール戻し路)
5 取付金具
6 保持ピース
A1 ナットの螺旋溝の軸方向中心部のリード
A2 ナットの螺旋溝の軸方向中心部以外の部分のリード

Claims (4)

  1. ねじ軸と、ナットと、複数のボールとを有し、
    前記ねじ軸は前記ナットを貫通し、
    前記ねじ軸の螺旋溝と前記ナットの螺旋溝とにより、前記ボールが転動する転動路が形成され、
    前記ナットは、前記ボールを前記転動路の終点から始点に戻すボール戻し路を備え、
    前記ボールは、前記転動路と前記ボール戻し路とからなる循環経路内に配置され、
    前記循環経路を循環し前記転動路内で転動する前記ボールを介して、前記ナットと前記ねじ軸とが相対移動するボールねじにおいて、
    前記ナットの螺旋溝は、軸方向中心部のリードが他の部分のリードより予圧量だけ小さく、
    前記ねじ軸の直径(d)に対する前記転動路の軸方向長さ(L)の比(L/d)が0.8以上5.0以下であることを特徴とするボールねじ。
  2. 前記ねじ軸およびナットの螺旋溝の溝直角断面はゴシックアーク形状であり、
    無負荷状態で前記ボールが前記転動路内で軸方向に垂直な方向に移動できる最大寸法が0.002mm以上0.05mm以下である請求項1記載のボールねじ。
  3. 前記ねじ軸およびナットの螺旋溝の溝直角断面はサーキュラーアーク形状である請求項1記載のボールねじ。
  4. 前記ボールの前記螺旋溝に対する接触角が40°以上50°以下である請求項1〜3のいずれか一項に記載のボールねじ。
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