JP2007002976A - ボールねじ - Google Patents
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Abstract
【課題】負荷容量が高いボールねじの寿命を長くする。
【解決手段】ねじ軸1の溝11の断面をゴシックアーク状とする。ボール2の直径(D)に対する溝11の断面円弧の半径(R)の比(R/D)を51.0%以上52.0%以下とする。ボール2と溝11との接触角(α)を40°以上50°以下とする。溝11の断面のゴシックアークを形成している円弧とねじ軸1の外周面12との境界を円弧状に面取りする。この面取り部13と溝11の円弧部分との境界位置Pを示す角度(θ)を72.5°以上にする。
【選択図】図1
【解決手段】ねじ軸1の溝11の断面をゴシックアーク状とする。ボール2の直径(D)に対する溝11の断面円弧の半径(R)の比(R/D)を51.0%以上52.0%以下とする。ボール2と溝11との接触角(α)を40°以上50°以下とする。溝11の断面のゴシックアークを形成している円弧とねじ軸1の外周面12との境界を円弧状に面取りする。この面取り部13と溝11の円弧部分との境界位置Pを示す角度(θ)を72.5°以上にする。
【選択図】図1
Description
この発明はボールねじに関する。
下記の特許文献1には、ボールねじを含む転がり案内装置において、ボールの軌道をなす溝の断面を、ねじ軸およびナットでそれぞれ単一円弧状(サーキュラーアーク状)とし、ボールの直径(D)に対する前記溝の断面円弧の半径(R)の比(R/D)を50.5%以上52.0%以下にすることが記載されている。
下記の特許文献2には、ボールねじのねじ軸の軌道溝の断面を単一円弧状(サーキュラーアーク状)とし、前記円弧とねじ軸の外周面との境界を円弧状に面取りし、この面取りの円弧部の曲率半径をボール半径の1/2以上2倍以下とすることが記載されている。また、この面取り部と前記円弧との境界位置を示す角度(θ)について、一般的にはこの角度θが65°〜70°であることが記載されている。
下記の特許文献2には、ボールねじのねじ軸の軌道溝の断面を単一円弧状(サーキュラーアーク状)とし、前記円弧とねじ軸の外周面との境界を円弧状に面取りし、この面取りの円弧部の曲率半径をボール半径の1/2以上2倍以下とすることが記載されている。また、この面取り部と前記円弧との境界位置を示す角度(θ)について、一般的にはこの角度θが65°〜70°であることが記載されている。
下記の特許文献3には、ボールねじの軌道溝の断面をなす円弧を、ねじ軸の方がナットよりも小さくすることが記載されている。また、ナットの溝断面をゴシックアーク状(半径が同じで中心が異なる二つの円弧が連結された形状)とし、ねじ軸の溝断面をサーキュラーアーク状にすることも記載されている。
下記の特許文献4には、ダブルナット予圧式ボールねじのボールの軌道をなす溝の断面を、ねじ軸およびナットでそれぞれ単一円弧状(サーキュラーアーク状)とし、ボールの直径(D)に対する前記溝の断面円弧の半径(R)の比(R/D)を50.0%より大きく52.0%以下にすることが記載されている。
下記の特許文献4には、ダブルナット予圧式ボールねじのボールの軌道をなす溝の断面を、ねじ軸およびナットでそれぞれ単一円弧状(サーキュラーアーク状)とし、ボールの直径(D)に対する前記溝の断面円弧の半径(R)の比(R/D)を50.0%より大きく52.0%以下にすることが記載されている。
下記の特許文献5には、戻し路として循環チューブを備えたボールねじにおいて、循環チューブによるボールのすくい上げ方向を、ねじ軸の略接線方向で、且つ略リード角方向に傾けることが記載されている。これは、ボールねじの高回転化に伴って、ボールが循環チューブに衝突するスピードが速くなり、衝突エネルギーが大きくなることで、循環チューブやねじ溝(ねじ溝の両肩部など含む)が破損することを防止することを目的とした提案である。
電動射出成形機やメカニカルプレス装置用のボールねじは、比較的大型で高荷重を受ける。そのため、従来より、シングルナットで、組み立てすきまを極僅か(ボール直径に対する比で1/400程度)にしたものが使用されている。ボールねじの負荷容量を上げる方法としては、ボールの直径(D)に対する軌道溝の断面円弧の半径(R)の比(R/D)を小さくする(50%に近づける)方法が挙げられる。また、ボールと前記溝との接触角を大きくする方法が挙げられる。
これらの方法では、ボールと軌道溝との接触楕円の長軸が長くなるが、前記円弧とねじ軸の外周面との境界が面取りされていると、接触楕円が面取り部の前記円弧との境界位置で切れる。この面取り部の前記円弧との境界位置を示す角度(θ)が小さいほど、接触楕円の切れる量が多くなるため、この境界部分に応力が集中し易くなる。よって、この境界部分でボールが溝から外れて面取り部に乗り上げる状態になり易く、早期剥離の原因になるという問題点がある。
特開平7−35136号公報
特開平7−158715号公報
特開2000−39052号公報
特開2002−276765号公報
実開昭59−39352号公報
本発明の課題は、負荷容量が高いボールねじの寿命を長くすることにある。
上記課題を解決するために、本発明は、外周面に螺旋状の溝が形成されたねじ軸と、内周面に螺旋状の溝が形成されたナットと、ねじ軸の溝とナットの溝が互いに対向して形成される軌道と、この軌道の終点と始点を連結する戻し路と、この戻し路内および前記軌道内に配置された複数のボールと、を備えたボールねじにおいて、ねじ軸およびナットの少なくともいずれかは、前記溝の断面がゴシックアーク状(半径が同じで中心が異なる二つの円弧が連結された形状)であり、ボールの直径(D)に対する前記溝の断面のゴシックアークを形成している円弧の半径(R)の比(R/D)が51.0%以上52.0%以下であり、ボールと前記溝との接触角が40°以上50°以下であり、前記溝断面の円弧と前記外周面または内周面との境界が面取りされ、この面取り部と前記円弧との境界位置を示す角度(θ)が72.5°以上であることを特徴とするボールねじを提供する。
このボールねじによれば、ねじ軸およびナットの少なくともいずれかについて、前記溝の断面をゴシックアーク状とし、前記比(R/D)を51.0%以上52.0%以下とし、接触角を40°以上50°以下とすることで、負荷容量を大きくできる。また、これに伴って、ボールと軌道溝との接触楕円の長軸が長くなるが、前記面取り部の溝円弧との境界位置を示す角度(θ)を72.5°以上とすることにより、接触楕円が前記境界位置で切れないようにできる。よって、この境界部分への応力集中がなく、ボールが溝から外れて面取り部に乗り上げないようにできるため、早期剥離が生じ難い。
さらに、角度θが72.5°以上であると、戻し路として循環チューブを備えている場合、軌道から戻し路へのボールのすくい上げ時にボールがねじ軸の外周面に衝突しやすくなるが、戻し路へのボールのすくい上げ方向を、ねじ軸の略接線方向で、且つ略リード角方向に設定することで、この衝突が回避できる。
本発明はまた、外周面に螺旋状の溝が形成されたねじ軸と、内周面に螺旋状の溝が形成されたナットと、ねじ軸の溝とナットの溝が互いに対向して形成される軌道と、この軌道の終点と始点を連結する戻し路と、この戻し路内および前記軌道内に配置された複数のボールと、を備えたボールねじにおいて、ねじ軸およびナットは、前記溝の断面がゴシックアーク状(半径が同じで中心が異なる二つの円弧が連結された形状)であり、ボールと前記溝との接触角が40°以上50°以下であり、ねじ軸は、ボールの直径(D)に対する前記溝の断面のゴシックアークを形成している円弧の半径(R)の比(R/D)が51.0%以上52.0%以下であり、ナットは、ボールの直径(D)に対する前記溝の断面のゴシックアークを形成している円弧の半径(R)の比(R/D)が52.0%以上53.5%以下であることを特徴とするボールねじを提供する。
このボールねじによれば、ねじ軸およびナットについて、前記溝の断面をゴシックアーク状とし、接触角を40°以上50°以下とすること、およびねじ軸の前記比(R/D)を51.0%以上52.0%以下とすることで、負荷容量を大きくできる。また、これに伴って、ボールと軌道溝との接触楕円の長軸が長くなるが、ナットの前記比(R/D)を52.0%以上53.5%以下とすることで、ナットとねじ軸の両方とも前記比(R/D)を51.0%以上52.0%以下とした場合と比較して、組み立てすきまを従来より小さくすることなく、ボールが前記溝から溝肩(面取り部)に乗り上げないようにできるため、早期剥離が生じ難い。
また、組み立てすきまを従来より小さくする必要がないため、組み立てにかかる時間を長くすること(生産性を低下させること)なく、早期剥離の発生を防止できる。
本発明のボールねじは、ボールとボールの間に保持ピースが配置されていることが好ましい。
また、組み立てすきまを従来より小さくする必要がないため、組み立てにかかる時間を長くすること(生産性を低下させること)なく、早期剥離の発生を防止できる。
本発明のボールねじは、ボールとボールの間に保持ピースが配置されていることが好ましい。
本発明によれば、負荷容量が高く寿命の長いボールねじが提供される。特に請求項2のボールねじでは、組み立てすきまを従来より小さくすることなく、負荷容量が高く寿命の長いボールねじが提供されるため、生産性の点でも有利である。
以下、本発明の実施形態について説明する。
[第1実施形態]
図1は、本発明の第1実施形態に相当するボールねじの、ねじ軸の溝断面を示す図である。
ねじ軸1の溝11の断面は、ゴシックアーク状、すなわち、半径Rが同じで中心OR1,OR2が異なる二つの円弧が連結された形状である。また、ボール2の直径(D)に対する溝11の断面円弧の半径(R)の比(R/D)が51.0%以上52.0%以下である。また、ボール2と溝11との接触点S1 を示す角度(接触角:α)が40°以上50°以下である。
[第1実施形態]
図1は、本発明の第1実施形態に相当するボールねじの、ねじ軸の溝断面を示す図である。
ねじ軸1の溝11の断面は、ゴシックアーク状、すなわち、半径Rが同じで中心OR1,OR2が異なる二つの円弧が連結された形状である。また、ボール2の直径(D)に対する溝11の断面円弧の半径(R)の比(R/D)が51.0%以上52.0%以下である。また、ボール2と溝11との接触点S1 を示す角度(接触角:α)が40°以上50°以下である。
溝11の断面のゴシックアークを形成している円弧とねじ軸1の外周面12との境界が円弧状に面取りされている。この面取り部13と溝11の円弧部分との境界位置Pを示す角度(θ)が72.5°以上である。
先ず、境界位置Pを示す角度θを一定(70°)にし、接触角αと比(R/D)を変化させた時の負荷容量の変化を計算した。その結果を図2にグラフで示す。このグラフの縦軸は、接触角αが50°で比(R/D)が52.0%の場合の負荷容量を「1」とした「負荷容量比」である。
先ず、境界位置Pを示す角度θを一定(70°)にし、接触角αと比(R/D)を変化させた時の負荷容量の変化を計算した。その結果を図2にグラフで示す。このグラフの縦軸は、接触角αが50°で比(R/D)が52.0%の場合の負荷容量を「1」とした「負荷容量比」である。
このグラフから、比(R/D)が小さいほど、あるいは接触角αが大きいほど、負荷容量が大きくなることが分かる。そして、角度θが70°の場合、比(R/D)を51.0%以上52.0%以下とし、接触角αを45°以上50°以下とすることで、接触角αが50°で比(R/D)が52.0%の場合の負荷容量の0.94〜1.32倍になることが分かる。
また、比(R/D)が53.0%であると、接触角αを53°にしても、接触角αが50°で比(R/D)が52.0%の場合の負荷容量の0.89倍にしかならない。また、比(R/D)を51.0%未満になるように溝11を形成することは困難である。
次に、接触角αを一定(50°)にし、境界位置Pを示す角度θと比(R/D)を変化させた時の「乗り上げ率」の変化を計算した。その結果を図3にグラフで示す。
次に、接触角αを一定(50°)にし、境界位置Pを示す角度θと比(R/D)を変化させた時の「乗り上げ率」の変化を計算した。その結果を図3にグラフで示す。
ここで、「乗り上げ率」とは、ボールと軌道溝との接触楕円長軸の、境界位置Pから外れる量の割合(前記長軸に対する比率)を示す。よって、「乗り上げ率が0」とは、前記接触楕円の長軸の端が境界位置Pと一致していることを示す。また、「乗り上げ率」が「−」であると前記長軸の端が境界位置Pより内側にあり、「乗り上げ率」が「+」であると前記長軸の端が境界位置Pより外側に(面取り部13まで)至っていることを示す。
このグラフから分かるように、比(R/D)が小さいほど、あるいは角度θが大きいほど、乗り上げ率は大きくなり、比(R/D)が51.0%の時に乗り上げ率が0以下となる角度θは72.5°以上である。よって、接触角αが50°で比(R/D)が51.0%の場合には、角度θを72.5°以上にすることにより、ボールと軌道溝との接触楕円が境界位置Pで切れることがないため、この境界部分に応力が集中して早期剥離に至ることが防止される。
[第2実施形態]
図4は、本発明の第2実施形態に相当するボールねじの、ねじ軸およびナットの溝断面を示す図である。
ねじ軸1の溝11の断面は、ゴシックアーク状、すなわち、半径RS が同じで中心OS1,OS2が異なる二つの円弧が連結された形状である。また、溝11の断面のゴシックアークを形成している円弧とねじ軸1の外周面12との境界が直線状に面取りされている。また、ボール2の直径(D)に対する溝11の断面円弧の半径(R)の比(R/D)が51.0%以上52.0%以下である。また、ボール2と溝11との接触点S1 を示す角度(接触角:αS )が40°以上50°以下である。
図4は、本発明の第2実施形態に相当するボールねじの、ねじ軸およびナットの溝断面を示す図である。
ねじ軸1の溝11の断面は、ゴシックアーク状、すなわち、半径RS が同じで中心OS1,OS2が異なる二つの円弧が連結された形状である。また、溝11の断面のゴシックアークを形成している円弧とねじ軸1の外周面12との境界が直線状に面取りされている。また、ボール2の直径(D)に対する溝11の断面円弧の半径(R)の比(R/D)が51.0%以上52.0%以下である。また、ボール2と溝11との接触点S1 を示す角度(接触角:αS )が40°以上50°以下である。
ナット3の溝31の断面は、ゴシックアーク状、すなわち、半径RN が同じで中心ON1,ON2が異なる二つの円弧が連結された形状である。また、ボール2の直径(D)に対する溝31の断面円弧の半径(R)の比(R/D)が52.0%以上53.5%以下である。また、ボール2と溝31との接触点S2 を示す角度(接触角:αN )が40°以上50°以下である。また、溝31の断面のゴシックアークを形成している円弧とナット3の内周面32との境界が直線状に面取りされている。
[第1実施例]
日本精工(株)製のシングルナットチューブ式ボールねじ(「JIS B 1192」に基づく表記で「63×16×300−Ct7」に相当するもの)を用い、ねじ軸のゴシックアーク状溝断面の円弧の半径(R)のボール直径(D)に対する比(R/D)と、ボールと溝との接触角(α)と、円弧状面取部の円弧の半径(r)と、面取り部と溝の円弧部分との境界位置を示す角度(θ)、すくい上げ方向、保持ピースの有無を下記の表1に示すように変化させて、寿命試験を行った。ナットおよび保持ピースは各サンプルで同じものを用いた。
すくい上げ方向は、ねじ軸の略接線方向であって略リード角方向に設定した場合を表1に「A」と表示し、ねじ軸の軸方向と垂直な方向に設定した場合を表1に「B」と表示する。
日本精工(株)製のシングルナットチューブ式ボールねじ(「JIS B 1192」に基づく表記で「63×16×300−Ct7」に相当するもの)を用い、ねじ軸のゴシックアーク状溝断面の円弧の半径(R)のボール直径(D)に対する比(R/D)と、ボールと溝との接触角(α)と、円弧状面取部の円弧の半径(r)と、面取り部と溝の円弧部分との境界位置を示す角度(θ)、すくい上げ方向、保持ピースの有無を下記の表1に示すように変化させて、寿命試験を行った。ナットおよび保持ピースは各サンプルで同じものを用いた。
すくい上げ方向は、ねじ軸の略接線方向であって略リード角方向に設定した場合を表1に「A」と表示し、ねじ軸の軸方向と垂直な方向に設定した場合を表1に「B」と表示する。
各ボールねじを日本精工(株)製のボールねじ耐久寿命試験機にかけて、試験荷重(軸方向荷重):負荷容量の40%、ストローク:80mm、回転速度:500rpm、ナットの外周部の保持温度:80℃、潤滑剤:(株)リューベ製の「YS2グリース」の条件で、ボールねじを往復運動させる耐久寿命試験を行った。この試験は、ねじ軸またはナットのねじ溝、あるいはボールのいずれかに剥離が生じるまでのサイクル数を寿命として測定した。次に、各サンプルで得られた寿命から、サンプルNo. 6の寿命を「1」とした比を算出した。
また、各サンプルの基本動定格荷重について、サンプルNo. 6の基本動定格荷重を「1」とした比を算出し、これを「負荷容量の比」とした。基本動定格荷重とは、一群の同じボールねじを同じ条件で回転させたとき、そのうちの90%が転がり疲れによる剥離を起こすことなく、100万回転まで回転できる軸方向荷重の最大値である。
また、寿命試験後の破損状態を調べた。
これらの結果も下記の表1に併せて示す。
また、寿命試験後の破損状態を調べた。
これらの結果も下記の表1に併せて示す。
この表から、本発明の実施例に相当するNo. 1〜5のボールねじは、比較例に相当するNo. 6〜11と同等以上の寿命が得られた。No. 1〜5のうち保持ピースの有無のみが異なるNo. 3と4を比較すると、保持ピースを有するNo. 3が保持ピースを有さないNo. 4より寿命が長かった。また、No. 5は、角度θを75.0°とすることで寿命が最も長くなった。
ここで保持ピースとは、樹脂等で形成された、両端にボールと接触する凹面を有する円柱状のスペーサのことを言うが、端部は必ずしも凹面である必要はなく、平面であってもよい。
ここで保持ピースとは、樹脂等で形成された、両端にボールと接触する凹面を有する円柱状のスペーサのことを言うが、端部は必ずしも凹面である必要はなく、平面であってもよい。
[実施例2]
比(R/D)が51.5%であり、接触角αS が45°であるねじ軸を用い、ナットの比(R/D)を変化させて、実施例1と同じシングルナットチューブ式ボールねじの各サンプルを作製し、乗り上げ限界すきまを調べる試験を行った。すなわち、各サンプルのボールねじに負荷容量の40%の軸方向荷重を付与して、ボールと溝との接触楕円が溝と面取り部との境界から外れる(接触楕円の長軸の一端が、溝と面取り部の境界位置より面取り部側に至る)限界のすきまを測定した。その結果を図5に示す。図5は、ナットの比(R/D)と乗り上げ限界すきまとの関係を示すグラフである。
従来のボールねじは、ナットもねじ軸も比(R/D)が51.5%であり、接触角αS が45°である。そして、乗り上げ限界すきまは35〜55μmである。
比(R/D)が51.5%であり、接触角αS が45°であるねじ軸を用い、ナットの比(R/D)を変化させて、実施例1と同じシングルナットチューブ式ボールねじの各サンプルを作製し、乗り上げ限界すきまを調べる試験を行った。すなわち、各サンプルのボールねじに負荷容量の40%の軸方向荷重を付与して、ボールと溝との接触楕円が溝と面取り部との境界から外れる(接触楕円の長軸の一端が、溝と面取り部の境界位置より面取り部側に至る)限界のすきまを測定した。その結果を図5に示す。図5は、ナットの比(R/D)と乗り上げ限界すきまとの関係を示すグラフである。
従来のボールねじは、ナットもねじ軸も比(R/D)が51.5%であり、接触角αS が45°である。そして、乗り上げ限界すきまは35〜55μmである。
図5のグラフから分かるように、ナットの比(R/D)が大きいほど「乗り上げ限界すきま」が大きくなる。また、ナットの比(R/D)が51.5%の時の「乗り上げ限界すきま」は16μmである。そして、このすきまのボールの直径に対する比は1/794(約1/800)である。また、ナットの比(R/D)が52.0%の時の「乗り上げ限界すきま」は32μmであり、このすきまのボールの直径に対する比は1/396(約1/400)である。さらに、ナットの比(R/D)が53.5%の時の「乗り上げ限界すきま」は69μmであり、このすきまのボールの直径に対する比は1/184(約1/200)である。
すなわち、ねじ軸の比(R/D)が51.5%で接触角が45°で、ナットの比(R/D)が52.0%以上53.5%以下の場合、「乗り上げ限界すきま」のボール直径に対する比が1/396(約1/400)〜1/184(約1/200)となり、ナットの比(R/D)が51.5%の場合の前記比「1/794(約1/800)」より著しく大きくなる。
次に、このボールねじについて、「ボールの直径に対する組み立てすきまの比」と「組み立て時間」との関係を調べた。その結果を図6にグラフで示す。このグラフから、組み立てすきまの比が大きいほど組み立て時間が短く、特に1/200以上となると、組み立て時間が著しく短くなる(1/800以下では70分以上であるのに対して、1/200以上では20分程度になる)ことが分かる。
そして、組み立てすきまの比は「乗り上げ限界すきま」より大きく設定するため、ねじ軸の比(R/D)が51.5%で接触角が45°で、ナットの比(R/D)が52.0%以上53.5%以下の場合、組み立てすきまの比を「乗り上げ限界すきま」より小さくしても、組み立て時間は20〜40分程度である。これに対して、ナットの比(R/D)が51.5%の場合には、組み立て時間が70分程度になる。
ねじ軸の比(R/D)が51.5%で接触角が45°の場合、特にナットの比(R/D)を53.5%とすれば、組み立てすきまの比を「乗り上げ限界すきま」のボール直径に対する比「1/184」より小さい「1/200」にして、組み立て時間を著しく短く(20分程度に)することができる。
ねじ軸の比(R/D)が51.5%で接触角が45°の場合、特にナットの比(R/D)を53.5%とすれば、組み立てすきまの比を「乗り上げ限界すきま」のボール直径に対する比「1/184」より小さい「1/200」にして、組み立て時間を著しく短く(20分程度に)することができる。
図7に、ねじ軸およびナットのそれぞれについて、比(R/D)と最大面圧との関係をグラフで示す。このグラフから分かるように、比(R/D)が同じ場合、ねじ軸の方がナットより最大面圧が大きい。また、ねじ軸の比(R/D)が51.0%以上52.0%以下の場合、ナットの比(R/D)が53.5%以下でないと、ねじ軸の最大面圧よりナットの最大面圧の方が大きくなる。
一般に、高負荷用ボールねじは、短いストロークで使用されるため、ねじ軸上の同じ位置をナットが頻繁に通過する。よって、ナットが損傷しても寿命に至ることはなく、ねじ軸が損傷することによって寿命に至る。第2実施形態のボールねじでは、ねじ軸とナットで最大面圧が同じになるように比(R/D)を設定するため、比(R/D)が大きいナットの方が先に損傷することになり、ねじ軸の損傷には容易に至らないため、高負荷用途での寿命を長くすることができる。
1 ねじ軸
11 ねじ軸の溝
12 ねじ軸の外周面
13 面取り部
2 ボール
3 ナット
31 ナットの溝
32 ナットの内周面
OR1 ねじ軸のゴシックアークを形成する円弧の中心
OR2 ねじ軸のゴシックアークを形成する円弧の中心
P 面取り部と円弧の境界位置
OS1 ねじ軸のゴシックアークを形成する円弧の中心
OS2 ねじ軸のゴシックアークを形成する円弧の中心
ON1 ナットのゴシックアークを形成する円弧の中心
ON2 ナットのゴシックアークを形成する円弧の中心
S1 ねじ軸のボールと溝との接触点
S2 ナットのボールと溝との接触点
11 ねじ軸の溝
12 ねじ軸の外周面
13 面取り部
2 ボール
3 ナット
31 ナットの溝
32 ナットの内周面
OR1 ねじ軸のゴシックアークを形成する円弧の中心
OR2 ねじ軸のゴシックアークを形成する円弧の中心
P 面取り部と円弧の境界位置
OS1 ねじ軸のゴシックアークを形成する円弧の中心
OS2 ねじ軸のゴシックアークを形成する円弧の中心
ON1 ナットのゴシックアークを形成する円弧の中心
ON2 ナットのゴシックアークを形成する円弧の中心
S1 ねじ軸のボールと溝との接触点
S2 ナットのボールと溝との接触点
Claims (4)
- 外周面に螺旋状の溝が形成されたねじ軸と、内周面に螺旋状の溝が形成されたナットと、ねじ軸の溝とナットの溝が互いに対向して形成される軌道と、この軌道の終点と始点を連結する戻し路と、この戻し路内および前記軌道内に配置された複数のボールと、を備えたボールねじにおいて、
ねじ軸およびナットの少なくともいずれかは、
前記溝の断面がゴシックアーク状(半径が同じで中心が異なる二つの円弧が連結された形状)であり、ボールの直径(D)に対する前記溝の断面のゴシックアークを形成している円弧の半径(R)の比(R/D)が51.0%以上52.0%以下であり、ボールと前記溝との接触角が40°以上50°以下であり、前記溝断面の円弧と前記外周面または内周面との境界が面取りされ、この面取り部と前記円弧との境界位置を示す角度(θ)が72.5°以上であることを特徴とするボールねじ。 - 外周面に螺旋状の溝が形成されたねじ軸と、内周面に螺旋状の溝が形成されたナットと、ねじ軸の溝とナットの溝が互いに対向して形成される軌道と、この軌道の終点と始点を連結する戻し路と、この戻し路内および前記軌道内に配置された複数のボールと、を備えたボールねじにおいて、
ねじ軸およびナットは、前記溝の断面がゴシックアーク状(半径が同じで中心が異なる二つの円弧が連結された形状)であり、ボールと前記溝との接触角が40°以上50°以下であり、
ねじ軸は、ボールの直径(D)に対する前記溝の断面のゴシックアークを形成している円弧の半径(R)の比(R/D)が51.0%以上52.0%以下であり、
ナットは、ボールの直径(D)に対する前記溝の断面のゴシックアークを形成している円弧の半径(R)の比(R/D)が52.0%以上53.5%以下であることを特徴とするボールねじ。 - 戻し路へのボールのすくい上げ方向が、ねじ軸の略接線方向で、且つ略リード角方向に設定されている請求項1または2記載のボールねじ。
- ボールとボールの間に保持ピースが配置されている請求項1〜3のいずれか1項に記載のボールねじ。
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Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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JP2015108400A (ja) * | 2013-12-04 | 2015-06-11 | 日本精工株式会社 | ボールねじ |
JP2016114181A (ja) * | 2014-12-16 | 2016-06-23 | 日本精工株式会社 | ボールねじ |
CN107725709A (zh) * | 2017-11-20 | 2018-02-23 | 北京精密机电控制设备研究所 | 一种重载滚珠丝杠双曲率圆弧曲面滚道结构 |
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2005
- 2005-06-27 JP JP2005186915A patent/JP2007002976A/ja not_active Withdrawn
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CN107725709B (zh) * | 2017-11-20 | 2019-06-18 | 北京精密机电控制设备研究所 | 一种重载滚珠丝杠双曲率圆弧曲面滚道结构 |
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