JP2002273419A - フッ素含有水処理剤及びその製造方法 - Google Patents

フッ素含有水処理剤及びその製造方法

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JP2002273419A
JP2002273419A JP2001083431A JP2001083431A JP2002273419A JP 2002273419 A JP2002273419 A JP 2002273419A JP 2001083431 A JP2001083431 A JP 2001083431A JP 2001083431 A JP2001083431 A JP 2001083431A JP 2002273419 A JP2002273419 A JP 2002273419A
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water
alginic acid
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Masaharu Tano
正治 田野
Masaki Takahashi
正樹 高橋
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Miyama Inc
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Miyama Inc
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 フッ素含有水から廃棄固形物の処理の必要性
がなく、効率的にフッ素を除去することが可能なフッ素
含有水処理剤及びその製造方法を提供する。 【解決手段】 水酸化第二鉄又は水酸化アルミニウムを
固定化したゲル状体からなる。このゲル状体は、基本的
には水酸化第二鉄沈殿又は水酸化アルミウムを含む溶液
にアルギン酸又はアルギン酸塩を添加し、この溶液をカ
ルシウム塩溶液でゲル状化することにより得られる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、フッ素化合物が溶
解した水からこれを選択的に除去するフッ素含有水処理
剤及びその製造方法に関する。
【0002】
【発明が解決しようとする課題】近年の環境、特に水質
に関する国の法律である水質汚濁防止法や地方自治体の
条例で各種化学物質の排出基準が定められ、排水中の汚
染物質の濃度を基準値以下にするように義務づけられて
おり、完全な排水処理が要求されている。これら汚染物
質のうちフッ素は、所定の濃度以上の排水が流出すると
生態系のバランスを狂わせることが懸念されており、排
水からのフッ素除去は極めて重要である。
【0003】従来、このフッ素含有排水を処理する方法
としては、炭酸カルシウムなどのカルシウム化合物を充
填した塔にフッ素含有水を通水し、フッ素をフッ化カル
シウムとして固定し除去する方法が採られているが、こ
のカルシウムを用いた従来技術においては、フッ素との
化合に寄与するカルシウムの割合が低いばかりか、フッ
素濃度自体それほど高くないので充分な除去率が得られ
ないため、フッ素に対し圧倒的なモル比のカルシウムを
加えなければならず、さらにアルミニウム、鉄などの無
機凝集剤や高分子凝集剤を多量に必要とし、この結果含
有するフッ素当たりの廃棄固形物生成量が多量となるた
め経済的及び効率的に廃水処理を行うことが困難となる
という問題点がある。
【0004】本発明はかかる課題に鑑みてなされたもの
であり、フッ素含有水から廃棄固形物の処理の必要性が
なく、効率的にフッ素を除去することが可能なフッ素含
有水処理剤を提供することを目的とする。また、本発明
はフッ素含有水から廃棄固形物の処理の必要性がなく、
効率的にフッ素を除去することが可能なフッ素含有水処
理剤の製造方法を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】上記目的に鑑み鋭意研究
の結果、本発明者らは、水酸化第二鉄あるいは水酸化ア
ルミニウムを固定化したゲル状体を処理剤として、これ
をフッ素含有水に接触させれば、このゲル状体中の水酸
化第二鉄あるいは水酸化アルミニウムと、塩化カルシウ
ムと、フッ素との化学的吸着及び物理的吸着作用により
フッ素を去することができ、このゲル状体は取り扱いが
容易でその後の処理も簡単であることを見出した。ま
た、本発明者らは、このようなゲル状体は、水酸化第二
鉄あるいは水酸化アルミニウムの沈殿を含む溶液にアル
ギン酸を溶解して、この溶液を塩化カルシウム溶液など
のカルシウム塩溶液に滴下してゲル状化することにより
製造可能であることを見出した。これらに基づき本発明
に想到した。
【0006】本発明の請求項1記載のフッ素含有水処理
剤は、水酸化アルミニウムを固定化したゲル状体からな
るものである。
【0007】請求項2記載のフッ素含有水処理剤は、水
酸化第二鉄を固定化したゲル状体からなるものである。
【0008】また、請求項3記載のフッ素含有水処理剤
の製造方法は、水酸化アルミウムを含む溶液にアルギン
酸又はアルギン酸塩を添加し、この溶液をカルシウム塩
溶液でゲル状化する方法である。
【0009】請求項4記載のフッ素含有水処理剤の製造
方法は、水酸化第二鉄を含む溶液にアルギン酸又はアル
ギン酸塩を添加し、この溶液をカルシウム塩溶液でゲル
状化する方法である。
【0010】さらに、請求項5記載のフッ素含有水処理
剤の製造方法は、前記請求項3又は4において、前記水
酸化第二鉄又は水酸化アルミウムを含む溶液にアルギン
酸ナトリウムとともにポリビニルアルコールを添加し、
この溶液をカルシウム塩溶液でゲル状化した後、グルタ
ルアルデヒド溶液で処理してポリビニルアルコールをグ
ルタール化する方法である。
【0011】
【発明の実施形態】以下、本発明のフッ素含有水処理
剤、及びその製造方法について詳細に説明する。
【0012】本発明において処理対象となるフッ素含有
水とは、例えば製鉄所の循環水、金属表面処理工場、半
導体製造工場、プリント基板製造工場、セラミックス製
造工場、ステンレス製造工場等から排出される排水など
のフッ素を含む廃水等のことであり、フッ化アンモニウ
ム(NH4F)、フッ酸(HF)等に起因するフッ化物
イオン等が含有され、アンモニウムイオン、硝酸イオ
ン、リン酸イオン、硫酸イオン等を含有していてもよ
い。
【0013】また、このようなフッ素含有水におけるフ
ッ素の濃度は特に制限されないが、フッ素換算で1pp
mから1000ppmまでのフッ素含有水の処理に好適
である。さらにフッ素含有水のpHは特に制限はなく、
種々のpHのフッ素含有水を処理できるが、特にアルカ
リ溶液に好適である。
【0014】次に、上述したようなフッ素含有水を処理
するための第一の処理剤及びその製造方法について説明
する。第一の処理剤は、水酸化第二鉄、特に水酸化第二
鉄沈殿を含有するゲル状体からなる。このゲル状体は、
以下のようにして製造することができる。すなわち、ま
ず、水酸化第二鉄沈殿を含む溶液を調整する。ここで水
酸化第二鉄沈殿は、水酸化第二鉄そのものを沈澱させた
ものであってもよいし、あるいは塩化第二鉄、硫酸第二
鉄、硝酸第二鉄などの鉄(III)イオンを生じる鉄系の
塩を水に溶解し、これに水酸化ナトリウムなどのアルカ
リ剤を添加してpHがほぼ7となるように中和すること
により沈殿物として生成させたものであってもよい。ま
た、塩化第二鉄エッチング廃液等の廃棄物を有効利用し
てもよい。
【0015】そして、水酸化第二鉄沈殿を含む溶液にア
ルギン酸あるいはアルギン酸ナトリウムなどのアルギン
酸塩(以下、これらを併せてアルギン酸成分という)を
添加する。このアルギン酸成分は、あらかじめアルギン
酸成分を溶解した溶液を調製しておき、水酸化第二鉄沈
殿を含む溶液に配合すればよい。この際のアルギン酸成
分の添加量は、水酸化第二鉄沈殿を含む溶液とアルギン
酸成分を溶解した溶液との総量に対して0.5重量%か
ら5重量%程度でよく、特に1〜3重量%程度とすれば
よい。なお、この際、水酸化第二鉄沈殿の量は、単位体
積当たりのゲル状体の処理能力に関係するので、ゲル状
体を形成できる範囲で所望とする処理性能に応じて適宜
設定すればよく、例えばFeの濃度を基準として0.1
〜0.5mol/リットル、特に0.2〜0.4mol
/リットルの分散密度で分散しているのが好ましい。
【0016】そして、このアルギン酸成分を添加した溶
液を攪拌して、塩化カルシウム溶液などのカルシウム塩
溶液中に投入することによりゲル状体が形成される。ま
た、アルギン酸を添加した溶液は、塩化カルシウム溶液
中に滴下することにより、略球状のゲル状ビーズ体を形
成するので、その滴下量により粒径を調整してこのゲル
状ビーズ体をそのまま用いれば使用に便利である。
【0017】この際、水酸化第二鉄沈殿を含む溶液にア
ルギン酸成分とともにPVAを添加してもよい。このP
VAの添加量は、全体として1〜10重量%程度でよ
く、特に3〜5重量%程度とすればよい。このPVA
は、水に溶解して上記濃度よりも濃いものをあらかじめ
調製しておき、これを水酸化第二鉄沈殿を含む溶液とア
ルギン酸成分溶液とに所望の濃度となるように添加すれ
ばよい。そして、このアルギン酸成分及びPVAを添加
した溶液を塩化カルシウム溶液中に滴下すると略球状の
ゲル状ビーズ体を形成するので、その滴下量で粒径を調
整してこれを用いてもよい。
【0018】PVAを添加してゲル状体とした場合、得
られたゲル状体を1〜10重量%程度、好ましくは3〜
7重量%程度のpH2〜4、好ましくはpH3に調整し
たグルタルアルデヒド溶液に数時間〜数十時間浸漬し、
ゲル状体に含まれるPVAをグルタール化する。このよ
うにしてPVAをグルタール化することにより、得られ
る処理剤からのカルシウムの溶出が抑制され、そのゲル
状体の破壊が防止されるため、塩濃度が低い水、主とし
て地下水、井戸水、あるいは河川水等の環境水中からフ
ッ素を除去するのに好適である。
【0019】次に、本発明の第二の処理剤及びその製造
方法について説明する。第二の処理剤は、水酸化アルミ
ニウム、特に水酸化アルミニウム沈殿を含有するゲル状
体からなる。このゲル状体は、以下のようにして製造す
ることができる。すなわち、まず、水酸化アルミニウム
沈殿を含む溶液を調整する。ここで水酸化アルミニウム
沈殿は、水酸化アルミニウムそのものを沈澱させたもの
であってもよいし、あるいは塩化アルミニウムなどのア
ルミニウムイオンを生じる化合物を水に溶解し、これに
水酸化ナトリウムなどのアルカリ剤を添加してpHがほ
ぼ7となるように中和することにより沈殿物として生成
させたものであってもよい。
【0020】そして、水酸化アルミニウム沈殿を含む溶
液にアルギン酸成分を添加する。このアルギン酸成分
は、あらかじめアルギン酸成分を溶解した溶液を調製し
ておき、水酸化アルミニウム沈殿を含む溶液に配合すれ
ばよい。この際のアルギン酸成分の添加量は、前述した
第一の処理剤を製造する場合と同じでよい。なお、この
際、水酸化アルミニウム沈殿の量は、単位体積当たりの
ゲル状体の処理能力に関係するので、ゲル状体を形成で
きる範囲で所望とする処理性能に応じて適宜設定すれば
よく、例えばAlの濃度を基準として0.1〜0.5m
ol/リットル、特に0.2〜0.4mol/リットル
の分散密度で分散しているのが好ましい。
【0021】そして、このアルギン酸成分を添加した溶
液を攪拌して、塩化カルシウム溶液などのカルシウム塩
溶液中に投入することによりゲル状体が形成される。ま
た、アルギン酸を添加した溶液は、塩化カルシウム溶液
中に滴下することにより、略球状のゲル状ビーズ体を形
成するので、その滴下量により粒径を調整してこのゲル
状ビーズ体をそのまま用いれば使用に便利である。
【0022】この際、水酸化アルミニウム沈殿を含む溶
液にアルギン酸成分とともにPVAを添加してもよい。
このPVAの添加量及びその添加方法は、前述した第一
の処理剤を製造する場合と同じでよい。そして、このア
ルギン酸成分及びPVAを添加した溶液を塩化カルシウ
ム溶液中に滴下すると略球状のゲル状ビーズ体を形成す
るので、その滴下量で粒径を調整してこれを用いてもよ
い。PVAを添加してゲル状体とした場合、前述した第
一の処理剤を製造する場合と同様にしてPVAをグルタ
ール化すればよい。
【0023】次に、このようにして得られる本発明の第
1及び第2の処理剤を用いて処理対象となるフッ素を含
む水を処理する方法について説明する。本発明のフッ素
含有水処理剤を用いた水処理方法は、基本的には、これ
らの処理剤を処理対象となるフッ素含有水に接触させる
ことにより、該フッ素含有水中に含まれるフッ素を除去
するものである。この際の処理剤とフッ素含有水との接
触時間は、使用する処理剤の粒径、量及び水酸化第二鉄
沈殿又は水酸化アルミウム沈殿の含有量、さらには水中
に含まれるフッ素の濃度などにより異なるが、例えば、
フッ素の含有量が20ppm以下では1時間以下、10
00ppmでは12時間以下とすればよい。また、接触
方法としては例えば、ゲル状ビーズ体からなる処理剤を
浄化塔に所定の厚さに充填し、この浄化塔に水を通過さ
せればよい。また、浄化槽にフッ素含有水を入れ、ここ
にゲル状ビーズ体からなる処理剤を投入して所定時間攪
拌してもよい。
【0024】このようにして得られる本発明の第1及び
第2の処理剤は、フッ素を選択的に処理するものであり
塩素イオン等を吸着するものではないので、単位重量あ
たりの除去量が大きく、イオン交換樹脂のように処理性
能の低下をきたしにくく、また、キレート樹脂に比べて
安価であるので実用性に優れている。さらに、この処理
剤による水処理は、浄化塔あるいは浄化槽に投入するだ
けでよく、水との分離も容易であるので簡単に処理を行
うことができ、そして、処理性能が低下した処理剤は、
そのまま取り出して必要に応じて各種処理を施した後廃
棄すればよいので取り扱い性にも優れている。
【0025】以上、本発明の重金属類を含む処理剤、及
びその製造方法について説明してきたが、本発明の思想
を逸脱しない範囲で、種々の変形実施が可能である。
【0026】
【実施例】以下の具体的実施例により本発明をさらに詳
細に説明する。実施例1 アルミニウム濃度53g/リットルの溶液82mlを水
に溶解し、10mol/リットルの水酸化ナトリウム溶
液でpH7に中和して水酸化アルミニウム沈殿を生じさ
せて全量を250mlとした(アルミニウム濃度で0.
64mol/リットルに相当)。一方、アルギン酸7g
を約40℃の温水に溶解し、全量を250mlとした
(アルギン酸濃度2.8重量%)。これら溶液を1:1
の割合で混合し500mlの混合溶液とした(アルミニ
ウム濃度で0.32mol/リットル、アルギン酸濃度
1.4重量%)。
【0027】この混合溶液を0.1mol/リットルの
濃度の塩化カルシウム溶液中にニードルを通じて滴下し
たところ、表面張力により球状に固化して弾力のあるゲ
ル状ビーズ体である実施例1の処理剤が得られた。フッ素処理試験 表1に示す種々の濃度でpH7のフッ素含有水をそれぞ
れ調製し、試験用の試料とした。この試料30mlに対
し、前述した実施例1の処理剤30gをそれぞれ添加
し、バッチ浸漬すなわち所定時間攪拌しながら放置した
後のフッ素濃度を測定した。結果を溶液の電気伝導度
(EC)とともに表1に示す。
【0028】また、フッ素濃度20ppmでpHを2.
5〜12に変化させたフッ素含有水30mlに対し処理
剤を30gを添加し、攪拌しながら5分間放置した後の
フッ素濃度を測定した。結果を表2に示す。
【0029】
【表1】
【0030】
【表2】
【0031】実施例2 塩化第二鉄六水和物31.5gを水に溶解し、10mo
l/リットルの水酸化ナトリウム溶液でpH7に中和し
て水酸化第二鉄沈殿を生じさせて全量を250mlとし
た(鉄濃度で0.47mol/リットルに相当)。一
方、アルギン酸7gを約40℃の温水に溶解し、全量を
250mlとした(アルギン酸濃度2.8重量%)。こ
れら溶液を1:1の割合で混合し500mlの混合溶液
とした(鉄濃度で0.24mol/リットル、アルギン
酸濃度1.4重量%)。
【0032】この混合溶液を0.1mol/リットルの
濃度の塩化カルシウム溶液中にニードルを通じて滴下し
たところ、表面張力により球状に固化して弾力のあるゲ
ル状ビーズ体である実施例2の処理剤が得られた。フッ素処理試験 20ppm及び1000ppmの濃度でpH7のフッ素
含有水をそれぞれ調製し試験用の試料とした。この試料
30mlに対し、実施例2の処理剤30gを添加し、所
定時間攪拌しながら放置した後のフッ素濃度を測定した
結果を溶液の電気伝導度(EC)とともに表3に示す。
【0033】
【表3】
【0034】表1乃至表3から明らかなとおり、実施例
1及び実施例2の処理剤は、いずれもフッ素含有水から
フッ素を除去できることがわかる。そして、pH7で同
一フッ素濃度の試料を処理した結果を対比すると、水酸
化アルミニウムゲルである実施例1の処理剤の方が、水
酸化第二鉄ゲルである実施例2の処理剤よりも反応処理
速度が速いことがわかる。ただし、実施例2の処理剤は
重金属(銅、鉛など)の処理も可能である。また、表2
より本発明の処理剤は、どちらかといえばアルカリ溶液
の処理に好適であるが、pHの影響はあまり受けないこ
とがわかる。
【0035】このような効果が得られる理由について
は、試料中のフッ素が処理剤のゲル中の塩化カルシウム
と反応してフッ化カルシウムとなるとともに、水酸化ア
ルミニウム又は水酸化第二鉄とフッ素化合物との化学的
吸着及び物理的吸着により除去することができると考え
られる。
【0036】なお、フッ素の最大処理量は実施例1の処
理剤で1g当り約1mgであり、実施例2の処理剤で1
g当り約0.9mgであった。そして、飽和状態までフ
ッ素を吸着させた実施例1及び実施例2の処理剤からの
フッ素の溶出試験を行ったところ、フッ素の溶出量は
0.5ppm程度でありほとんど問題がなく、フッ素含
有水の処理後の処理剤は無害汚泥として廃棄できるもの
であった。
【0037】また、表1中において、電気伝導度(E
C)の値の増加が大きいが、これは処理剤中のカルシウ
ムの溶出によるためであり、これにより処理剤を形成す
るゲルが脆化するため、実施例1及び実施例2の処理剤
は、フッ素含有水として工場排水などの塩分を含む排水
を処理するのに好適である。実施例3 アルミニウム濃度53g/リットルの溶液123mlを
水に溶解し、10mol/リットルの水酸化ナトリウム
溶液でpH7に中和して水酸化アルミニウム沈殿を生じ
させて全量を250mlとした(アルミニウム濃度で
0.96mol/リットルに相当)。一方、アルギン酸
12.3gを約40℃の温水に溶解し、全量を250m
lとした(アルギン酸濃度4.9重量%)。さらにポリ
ビニルアルコール(PVA)25gを水に溶解し全量を
250mlとし、オートクレーブにて115℃で1時間
加温した(PVA濃度10重量%溶液)。
【0038】これら各溶液を1:1:1の割合で混合し
750mlの混合溶液とした(アルミニウム濃度で0.
32mol/リットル、アルギン酸濃度1.6重量%、
PVA濃度3.3重量%)。
【0039】この混合溶液を0.1mol/リットルの
濃度の塩化カルシウム溶液中にニードルを通じて滴下
し、1時間攪拌し表面張力により球状に固化して弾力の
あるゲル状ビーズ体を得た。このゲル状ビーズ体を取り
出し、pH3に調製した6%グルタルアルデヒド水溶液
750ml中に浸漬して24時間緩急攪拌してPVAを
グルタール化し、このゲル状ビーズ体を水道水で10分
間洗浄して実施例3の処理剤とした。フッ素処理試験 20ppm及び1000ppmの濃度でpH7のフッ素
含有水をそれぞれ調製し試験用の試料とした。この試料
30mlに対し、実施例3の処理剤30gを添加し、所
定時間攪拌しながら放置した後のフッ素濃度を測定した
結果を溶液の電気伝導度(EC)とともに表4に示す。
【0040】
【表4】
【0041】実施例4 塩化第二鉄六水和物47.3gを水に溶解し、10mo
l/リットルの水酸化ナトリウム溶液でpH7に中和し
て水酸化第二鉄沈殿を生じさせて全量を250mlとし
た(鉄濃度で0.71mol/リットルに相当)。一
方、アルギン酸12.3gを約40℃の温水に溶解し、
全量を250mlとした(アルギン酸濃度4.9重量
%)。さらにPVA25gを水に溶解し全量を250m
lとし、オートクレーブにて115℃で1時間加温した
(PVA濃度10重量%溶液)。
【0042】これら各溶液を1:1:1の割合で混合し
750mlの混合溶液とした(鉄濃度で0.24mol
/リットル、アルギン酸濃度1.6重量%、PVA濃度
3.3重量%)。
【0043】この混合溶液を0.1mol/リットルの
濃度の塩化カルシウム溶液中にニードルを通じて滴下し
1時間攪拌し表面張力により球状に固化して弾力のある
ゲル状ビーズ体を得た。このゲル状ビーズ体を取り出
し、pH3に調製した6%グルタルアルデヒド水溶液7
50ml中に浸漬して24時間緩急攪拌してPVAをグ
ルタール化し、このゲル状ビーズ体を水道水で10分間
洗浄して実施例4の処理剤とした。フッ素処理試験 20ppm及び1000ppmの濃度でpH7のフッ素
含有水をそれぞれ調製し試験用の試料とした。この試料
30mlに対し、実施例4の処理剤を30g添加し、所
定時間攪拌しながら放置した後のフッ素濃度を測定した
結果を溶液の電気伝導度(EC)とともに表5に示す。
【0044】
【表5】
【0045】表4及び表5から明らかなとおり、PVA
をグルタール化した実施例3及び実施例4の処理剤でも
フッ素含有水からフッ素を除去できることがわかる。た
だし、フッ素の最大処理量は実施例3の処理剤で1g当
り約0.88mgであり、実施例4の処理剤で1g当り
約0.35mgであり、対応する実施例1及び2よりも
処理能力の点では劣ることがわかる。しかしながら、実
施例3及び4の処理剤では、電気伝導度(EC)の値の
増加が小さく、処理剤中のカルシウムの溶出が少ない。
このため、PVAをグルタール化した処理剤は、塩濃度
が低い水、主として地下水、河川水等の環境水中からフ
ッ素を除去するのに好適であることがわかる。
【0046】以上、実施例1乃至4についてバッチ攪拌
式による処理により実験を行ったが、通水時間を調整す
ればカラム通水でも同様の結果が得られると予想され
る。
【0047】
【発明の効果】本発明の請求項1記載のフッ素含有水処
理剤は、水酸化アルミニウムを固定化したゲル状体から
なるものであり、このゲル状体がフッ素を除去するの
で、フッ素含有水から廃棄固形物の処理の必要性がな
く、効率的にフッ素を除去することができる。
【0048】請求項2記載のフッ素含有水処理剤は、水
酸化第二鉄を固定化したゲル状体からなるものであり、
このゲル状体がフッ素を除去するので、フッ素含有水か
ら廃棄固形物の処理の必要性がなく、効率的にフッ素を
除去することができる。
【0049】また、請求項3記載のフッ素含有水処理剤
の製造方法は、水酸化アルミウムを含む溶液にアルギン
酸又はアルギン酸塩を添加し、この溶液をカルシウム塩
溶液でゲル状化する方法であるので、ゲル状体の形成が
容易であり、得られるゲル状体がフッ素を除去するた
め、簡単かつ効率的にフッ素含有水の処理を行うことが
できる。特にこの処理剤は、カルシウム等の塩分を高濃
度で含有する排水中からフッ素を除去するのに好適であ
る。
【0050】請求項4記載のフッ素含有水処理剤の製造
方法は、水酸化第二鉄を含む溶液にアルギン酸又はアル
ギン酸塩を添加し、この溶液をカルシウム塩溶液でゲル
状化する方法であるので、ゲル状体の形成が容易であ
り、得られるゲル状体がフッ素を除去するため、簡単か
つ効率的にフッ素含有水の処理を行うことができる。特
にこの処理剤は、カルシウム等の塩分を高濃度で含有す
る排水中からフッ素を除去するのに好適である。
【0051】さらに、請求項5記載のフッ素含有水処理
剤の製造方法は、前記請求項3又は4において、前記水
酸化第二鉄又は水酸化アルミウムを含む溶液にアルギン
酸ナトリウムとともにポリビニルアルコールを添加し、
この溶液をカルシウム塩溶液でゲル状化した後、グルタ
ルアルデヒド溶液で処理してポリビニルアルコールをグ
ルタール化する方法であるので、ゲル状体の形成が容易
であり、得られるゲル状体がフッ素を除去するので、簡
単かつ効率的にフッ素含有水の処理を行うことができ
る。特にこの処理剤は、塩濃度が低い水、主として地下
水、河川水等の環境水中からフッ素を除去するのに好適
である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 4D024 AA04 AA05 AB11 BA13 BA14 BB01 BC04 4G066 AA20B AA27B AA36D AC01C AC12C BA28 CA32 DA08 FA12

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 水酸化アルミニウムを固定化したゲル状
    体からなることを特徴とするフッ素含有水処理剤。
  2. 【請求項2】 水酸化第二鉄を固定化したゲル状体から
    なることを特徴とするフッ素含有水処理剤。
  3. 【請求項3】 水酸化アルミウムを含む溶液にアルギン
    酸又はアルギン酸塩を添加し、この溶液をカルシウム塩
    溶液でゲル状化することを特徴とするフッ素含有水処理
    剤の製造方法。
  4. 【請求項4】 水酸化第二鉄を含む溶液にアルギン酸又
    はアルギン酸塩を添加し、この溶液をカルシウム塩溶液
    でゲル状化することを特徴とするフッ素含有水処理剤の
    製造方法。
  5. 【請求項5】 前記水酸化第二鉄又は水酸化アルミウム
    を含む溶液にアルギン酸ナトリウムとともにポリビニル
    アルコールを添加し、この溶液をカルシウム塩溶液でゲ
    ル状化した後、グルタルアルデヒド溶液で処理してポリ
    ビニルアルコールをグルタール化することを特徴とする
    請求項3又は4記載のフッ素含有水処理剤の製造方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2007203248A (ja) * 2006-02-03 2007-08-16 Kurita Water Ind Ltd 地下水の浄化方法
CN105999847A (zh) * 2016-06-28 2016-10-12 安徽国能亿盛环保科技有限公司 一种污水净化用滤料及其制备方法
KR101741561B1 (ko) * 2015-11-17 2017-05-30 한국과학기술연구원 폐정수슬러지 기반 비드형 흡착여재 및 그 제조방법

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