JP2001187336A - 脱リン剤造粒物及び排水処理方法 - Google Patents
脱リン剤造粒物及び排水処理方法Info
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Abstract
回収方法。 【解決手段】化学組成式(1):M1-x 2+Mx 3+(OH-)
2+x-y(An-)y/n (1) 〔式中、M2+はMg2+、Ni2+、Zn2+、Fe2+、Ca2+又はC
u2+。M3+はAl3+またはFe3+。An-は1又は2価のアニオ
ン。0.1≦x≦0.5;0.1≦y≦0.5〕にリン含有排水を接触
させる工程;リン成分を吸着したリン吸着剤をアルカリ
水溶液に接触させ、リン成分を脱着・回収する工程;リ
ン吸着剤を430〜600℃で仮焼する工程;リン吸着
剤をAn-イオンを含む電解質溶液で処理してリン吸着剤
を再生、再利用する工程を含むリン含有排水の処理方法
およびリン・窒素除去用排水処理剤。
Description
理方法及び排水処理剤に関する。
水中に多量に含まれる有機物質、窒素、リン等の成分
が、藻類の発生を促す湖沼の水質汚染や近海における赤
潮発生につながる富栄養化現象の要因として挙げられて
いる。富栄養化を生じる窒素及びリンの限界濃度として
窒素が0.15ppm、リンが0.02ppmであると
いわれており、窒素及びリンを高濃度から低濃度域にお
いて除去可能な高度水処理技術の確立が強く望まれてい
る。
物学的処理法と物理化学的処理法の二つに大別される。
物理化学的処理法の中では、経済性、処理効率等の観点
から凝集剤を用いて難溶性のリン酸塩としてリン成分を
除去する凝集沈殿法が一般的である。しかしながら、凝
集剤添加に伴う凝集剤に由来する塩類の排水への流出、
汚泥処理及びリン回収・再利用の問題、低濃度域でのリ
ン除去が不十分といった問題など、今後検討すべき課題
が挙げられる。
を用いるリン成分の吸着処理方法が試みられている。吸
着法では、水酸化アルミニウムゲル、酸化マグネシウ
ム、酸化チタン−活性炭複合剤、酸化ジルコニウム−活
性炭複合剤及び火山灰土壌等がリン吸着剤として検討さ
れている。
いる水環境問題の一つに、沼や湖沼等の閉鎖性水域及び
河川、沿岸の富栄養化問題がある。この問題の対策に行
政も乗り出し湖沼法が制定され、栄養塩の一つであるリ
ンの規制も厳しくなっている。しかし脱リン工程がない
現行の排水処理工程ではこの規制値を遵守することは難
しく、リンを除去する適切な三次処理工程を組み込む必
要に迫られている。このような背景から、種々の排水処
理施設では高効率で排水からリンを回収・除去でき、か
つ資源の有効利用及びリン吸着剤の後処理の観点から再
利用できるリン吸着剤が求められている。またリンを資
源的観点から見ると、有限であり近未来的に枯渇すると
の予測もあることから、水系からのリン回収・再利用シ
ステムの構築が重要な問題となることは明らかである。
さらに、この回収・再利用システムに供される方法は、
廃棄物等をできるだけ出さない環境低負荷型の方法であ
ることが要求される。
沿岸の富栄養化の原因は、一般家庭から排出される洗剤
等をはじめとする生活排水が主原因であり、種々の生活
排水処理施設におけるリンの除去は、鉄塩やアルミニウ
ム塩を主体とする凝集剤を用いた凝集沈殿法、あるいは
生物学的脱リン法である嫌気好気法等により行われてい
る。これら既存の脱リン法は各々の特徴を活かした方法
であるが、凝集沈殿法では発生する汚泥処理の問題があ
り、また嫌気好気法等では安定な処理効率が得られにく
い等の問題があり、これらの点を改善できる方法とし
て、pH中性域において安定した処理効率が得られ、か
つ吸着容量が大きいリン吸着剤が必要になってくる。さ
らに、今後のリン規制は漸次強化される方向にあり、最
終的には植物プランクトンの発生を抑制する限界濃度で
ある0.02ppm以下までリン濃度を下げることが必須条件
となることが予想され、排水からのリン除去にとどまら
ず、河川等の低リン濃度域からのリン除去にも対応でき
る高性能なリン吸着剤が必要である。また富栄養化の防
止には、リンと並んで窒素成分の除去も重要であり、リ
ンと同時に窒素成分も効率よく除去できる方法も切望さ
れている。
ン吸着容量が大きく、しかも再生可能なリン吸着剤を用
いた再生処理方法を含む合理的なリン成分含有排水の処
理及び回収方法を提供することを目的とする。
可能な排水処理剤を提供することを目的とする。
理方法および排水処理剤を提供する。 項1. 下記の工程(I)及び工程(II)を含むリン含
有排水の処理方法: 工程(I) 化学組成式(1): M1-x 2+Mx 3+(OH-)2+x-y(An-)y/n (1) 〔式中、M2+、M3+、An-、x、y及びnは前記に同
じ。〕で表される複合金属水酸化物にリン含有排水を接
触させてリン成分を吸着する工程; 工程(II) 工程(I)で得られたリン成分を吸着したリン吸着剤を
アルカリ金属炭酸塩及びアルカリ土類金属炭酸塩を除く
アルカリ金属塩及びアルカリ土類金属塩からなる群から
選ばれる少なくとも1種のリン脱着液で処理してリン吸
着剤を再生、再利用する工程。 項2. 下記の工程(I)、(Ia)、(Ib)及び(II)
を含むリン含有排水の処方法: 工程(I) 化学組成式(1): M1-x 2+Mx 3+(OH-)2+x-y(An-)y/n (1) 〔式中、M2+、M3+、An-、x、y及びnは前記に同
じ。〕で表される複合金属水酸化物にリン含有排水を接
触させてリン成分を吸着する工程; 工程(Ia) 工程(I)で得られたリン成分を吸着したリン吸着剤を
アルカリ金属炭酸塩又はAn-イオンを含む水溶液に接触
させ、リン成分を脱着・回収する工程; 工程(Ib) リン脱着後のリン吸着剤を430〜600℃で仮焼する
工程;及び 工程(II) 仮焼後のリン吸着剤をアルカリ金属炭酸塩及びアルカリ
土類金属炭酸塩を除くアルカリ金属塩及びアルカリ土類
金属塩からなる群から選ばれる少なくとも1種のリン脱
着液で処理してリン吸着剤を再生、再利用する工程。項
3. 下記の工程(I)〜工程(Ic)を含むリン含有排
水の処理方法: 工程(I) 化学組成式(1): M1-x 2+Mx 3+(OH-)2+x-y(An-)y/n (1) 〔式中、M2+、M3+、An-、x、y及びnは前記に同
じ。〕で表される複合金属水酸化物にリン含有排水を接
触させてリン成分を吸着する工程; 工程(Ia) 工程(I)で得られたリン成分を吸着したリン吸着剤を
アルカリ金属炭酸塩又はAn-イオンを含む水溶液に接触
させ、リン成分を脱着・回収する工程; 工程(Ic) リン脱着後のリン吸着剤を酸溶解し、溶解液をリン吸着
剤製造原料として再利用する工程。 項4. 項2の工程(Ib)で得られた仮焼リン吸着剤を (1)下記工程(III)及び工程(IV)の順で処理する
か;或いは(2)項3の工程(Ic)で処理することを特
徴とするリン含有排水の処理方法; 工程(III) 該仮焼リン吸着剤をリン成分含有排水と接触させてリン
成分を吸着させる工程;及び 工程(IV) 工程(III)で得られたリン成分を吸着したリン吸着剤
を用いて、項1の工程(II)、或いは項2の工程(I
a)、(Ib)及び(II)を繰り返す。 項5. 化学組成式(1): M1-x 2+Mx 3+(OH-)2+x-y(An-)y/n (1) 〔式中、M2+、M3+、An-、x、y及びnは前記に同
じ。〕で表される複合金属水酸化物からなる排水中のリ
ン成分と窒素成分の同時除去用の排水処理剤。 項6. 化学組成式(1): M1-x 2+Mx 3+(OH-)2+x-y(An-)y/n (1) 〔式中、M2+、M3+、An-、x、y及びnは前記に同
じ。〕で表される複合金属水酸化物99〜60重量%及
びバインダー1〜40重量%を配合してなるリン含有排
水の排水処理剤造粒物。 項7. 前記バインダーが、ポリアクリルアミドのアミ
ノ化物を含む項6記載の造粒物。 項8. 前記バインダーが、ポリアミド・エピクロロヒ
ドリン樹脂、酢酸ビニル・バーサチック酸ビニル共重合
体樹脂及びスチレン・アクリル樹脂からなる群から選ば
れる少なくとも1種1〜40重量%とポリアクリルアミ
ドのアミノ化物99〜60重量%の混合物である項6記
載の造粒物。
物は、化学組成式(1) M1-x 2+Mx 3+(OH-)2+x-y(An-)y/n (1) 〔式中、M2+はMg2+、Ni2+、Zn2+、Fe2+、Ca
2+及びCu2+からなる群から選ばれる少なくとも1種の
二価の金属イオンを示し、M3+はAl3+及びFe 3+から
なる群から選ばれる少なくとも1種の三価の金属イオン
を示し、An-はn価のアニオンを示し、0.1≦x≦
0.5であり、0≦y≦0.5であり、nは1または2
である。〕で表される。
Mg2+、Ni2+、Zn2+、Fe2+、Ca2+、Cu2+等が
挙げられ、好ましくはMg2+、Ca2+が挙げられる。M
3+で表される三価の金属イオンとしては、Al3+、Fe
3+が挙げられ、好ましくはFe3+が挙げられる。
2)を示す。すなわち、An-は、一価または二価のアニ
オンのみからなるか、一価のアニオンと二価のアニオン
の両者を含む。但し、二価のアニオンはモル比で一価の
アニオンより少ないのが好ましい。一価のアニオンとし
ては、OH-、Cl-、NO2 -、NO3 -、F-、Br-、H
CO3 -等が挙げられ、好ましくはCl-が挙げられる。
二価のアニオンとしては、SO4 2-、CO3 2-、SO3 2-
等が挙げられ、好ましくはSO4 2-が挙げられる。
好ましくは0.2≦x≦0.4、より好ましくは0.2
≦x≦0.35である。
好ましくは0.2≦y≦0.4、より好ましくは0.2
≦y≦0.35である。
二価の金属イオンM2+、三価の金属イオンM3+及び炭酸
イオンは、滴定法で測定した値であり、Cl-イオンの
測定は、塩化物イオン選択性電極を装備したイオンメー
ターにより測定した値であり、炭酸イオン及びCl-イ
オンを除くNO2 -、NO3 -、F-、Br-、HCO3 -等の
一価のアニオン及びSO4 2-、SO3 2-等の二価のアニオ
ンからなるAn-は、イオンクロマトグラフィーにより測
定した値である。なお、二価のアニオンに関する「y」
の値は、上記方法により測定したモル数をA2-として表
した値である。水酸化物イオンOH-は、M2+、M3+及び
An-の測定値をもとに電気的中性条件から計算により求
めた値である。
したい場合には、(An-)の一価のアニオンとしてNO
2 -、NO3 -を除くハロゲンイオン(Cl-、F-、B
r-)及び水酸化物イオンを用いることができるが、環
境上の問題から、Cl-が最も好ましい。
もよく、また上記イオンの組合せで調製された二種以上
の複合金属水酸化物を混合して用いてもよい。形状とし
ては、粉末のまま用いることも可能であるが、浄化施設
の処理槽内に充填使用することを考慮して造粒体及び濾
剤とするのが好ましい。造粒に用いるバインダーとして
は、特に限定されないが、ポリアミド・エピクロロヒド
リン樹脂、酢酸ビニル・バーサチック酸ビニル共重合体
樹脂、スチレン・アクリル樹脂及びポリアクリル酸ヒド
ラジドをはじめとするポリアクリルアミドのアミノ化物
等の有機樹脂化合物類、エチルセルロース、カルボキシ
メチルセルロース等のセルロース類、またはカラギーナ
ン等の多糖類が挙げられ、中でも有機樹脂化合物が好適
に使用される。好ましいバインダーとしては、ポリアク
リルアミドのアミノ化物等の有機樹脂化合物類、より好
ましくはポリアクリルアミドのアミノ化物が挙げられ
る。
ノ化物と他のバインダー成分を混合してもよい。ポリア
クリルアミドのアミノ化物に配合される他のバインダー
としては、ポリアミド・エピクロロヒドリン樹脂、酢酸
ビニル・バーサチック酸ビニル共重合体樹脂及びスチレ
ン・アクリル樹脂からなる群から選ばれる少なくとも1
種が挙げられる。
ドのアミノ化物をバインダーとして用いた場合、少量の
添加で造粒物のリン吸着能力及び機械的強度ともに優れ
た造粒物が得られる。造粒時に混合物の粘性を下げて作
業性を向上させる目的で、ポリアクリルアミドのアミノ
化物には、ポリアミド・エピクロロヒドリン樹脂、酢酸
ビニル・バーサチック酸ビニル共重合体樹脂及びスチレ
ン・アクリル樹脂などの他のバインダーを併用するのが
好ましい。これらとポリアクリルアミドのアミノ化物と
の混合物をバインダーとして用いることにより、機械的
強度、リン吸着能力及び作業性の優れた造粒物を得るこ
とが可能となる。バインダーは、造粒物全体に対し1〜
40重量%、好ましくは1〜20重量%程度、より好ま
しくは1〜10重量%用いられる。
してポリアミド・エピクロロヒドリン樹脂、酢酸ビニル
・バーサチック酸ビニル共重合体樹脂及びスチレン・ア
クリル樹脂からなる群から選ばれる少なくとも1種をポ
リアクリルアミドのアミノ化物に対して1〜40重量%
程度、好ましくは1〜20重量%程度、より好ましくは
1〜10重量%程度の割合で配合した混合物を用い、造
粒物全体に対してバインダーを1〜40重量%程度、好
ましくは1〜20重量%程度、より好ましくは1〜10
重量%程度の割合で配合した混合物に必要量の水を添加
し、ニーダーにかけよく混練りした後、造粒機にて成形
体とする。ニーダー及び造粒機は一般的に使用されてい
るものを用いることができるが、好ましくは、ニーダー
として回転軸が2軸以上の混練り用ニーダー、造粒機と
して上押し式の押し出し造粒機タイプのものが好適に使
用できる。得られた成形体は、乾燥、硬化後造粒物とす
る。乾燥、硬化に際しては、バインダーの最低造膜温度
以上で乾燥することが望ましいが、最低造膜温度以下で
乾燥する際には乾燥時間を長くすることで対応できる。
水酸化物は、組成中のn価アニオン(n=1または2)
とリン酸イオンとのアニオン交換反応によりリン酸イオ
ンを捕捉しており、捕捉されたリン酸イオンは、アルカ
リ金属炭酸塩、アルカリ金属塩及びアルカリ土類金属塩
を脱着液として用いて脱着することが可能である。
金属炭酸塩水溶液として、好ましくは炭酸ナトリウム、
炭酸カリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウ
ム、炭酸アンモニウム、炭酸リチウム等の水溶液が挙げ
られ、より好ましくは炭酸ナトリウムまたは炭酸水素ナ
トリウム水溶液が挙げられる。アルカリ金属塩水溶液と
して、好ましくは水酸化アンモニウム、水酸化ナトリウ
ム、水酸化カリウム、塩化ナトリウム、塩化カリウム、
フッ化ナトリウム、フッ化カリウム、臭化ナトリウム、
臭化カリウム、硫酸ナトリウム、硫酸カリウム、亜硫酸
ナトリウム、亜硫酸カリウム等の水溶液が挙げられ、よ
り好ましくは水酸化ナトリウム及び塩化ナトリウム水溶
液が挙げられる。アルカリ土類金属塩水溶液として、好
ましくは塩化マグネシウム、塩化カルシウム、硫酸マグ
ネシウム、臭化マグネシウム、臭化カルシウム等の水溶
液が挙げられ、より好ましくは塩化マグネシウム及び硫
酸マグネシウム水溶液が挙げられる。この脱着液処理に
より、リン吸着剤中のリン成分は、水溶性のリン酸塩と
して回収及び再利用が可能である。
をリン成分と同時に含む場合、上記の脱着液処理により
窒素成分も同時に回収される。
の範囲に於いて約380℃及び約430℃で分解による
吸熱ピークを有する吸熱反応を示すことから、リン成分
脱着後の複合金属水酸化物をその分解温度以上、即ち約
430〜600℃、好ましくは約550℃で仮焼するこ
とにより、イオン交換基として作用するアニオンを含ま
ない複合金属酸化物となる。
溶液と接触することにより複合金属水酸化物となる性質
を応用して、複合金属水酸化物をn価アニオンを含む電
解質溶液中で攪拌することにより、n価アニオンをイオ
ン交換基として有する複合金属水酸化物を再生すること
ができる。このときに用いる電解質溶液としては、塩化
ナトリウム、塩化カリウム、塩化アンモニウム、塩化リ
チウム等が挙げられるが、中でも塩化ナトリウムが安価
で好適である。これらの電解質溶液の濃度は、0.5M
〜5M程度であり、再生に必要な時間は2〜4時間程度
である。また、複合金属酸化物を直接リン成分含有排水
に接触させリン成分を吸着させた後、再生使用すること
も可能である。
物がpH5以下の酸性領域で溶解することから、リン成
分脱着後の複合金属水酸化物及び複合金属酸化物を酸溶
解し、得られた溶解液を複合金属水酸化物の調製原料と
して再利用することも可能である。この際用いる酸性溶
液としては、塩酸、塩化アルミニウム及び塩化第二鉄等
が挙げられ、特に塩酸が好適である。
えば文献(Langmuir, 9, 1418-1422(1993))の記載に従
い容易に行うことができる。
使用することにより、リン吸着剤のリン除去能力を効率
よく再生することができる。すなわち、リン成分吸着後
のリン吸着剤をリン酸イオン脱着液の中で、アルカリ金
属炭酸塩を除くアルカリ金属塩及びアルカリ土類金属塩
の水溶液を単成分あるいは2成分以上の混合水溶液とし
て用いることにより再生できる。この際に用いるアルカ
リ金属塩として好ましくは水酸化ナトリウム、水酸化カ
リウム、水酸化リチウム、塩化ナトリウム、塩化カリウ
ム、塩化リチウム等が挙げられ、より好ましくは水酸化
ナトリウム及び塩化ナトリウムが挙げられ、アルカリ土
類金属塩として好ましくは塩化マグネシウム、硫酸マグ
ネシウム、硝酸マグネシウム、塩化カルシウム、硝酸カ
ルシウム等が挙げられ、より好ましくは塩化マグネシウ
ム及び硫酸マグネシウムが挙げられる。この際、処理工
程としてはアルカリ金属塩の水溶液処理及びアルカリ土
類金属塩の水溶液処理を各々組み合わせて数回に分けて
行ってもよい。
大きな複合金属水酸化物を含有するリン吸着剤を用いる
ことにより、排水中のリン成分を効率よく吸着でき、ま
た安価で効率よくリン成分を回収・再利用でき、かつリ
ン吸着剤も再生利用することができる。
とは、従来問題となっているリン吸着剤の廃棄による二
次公害を生じることがなく、有限資源であるリン成分を
回収・再利用できる環境低負荷型のリン成分リサイクル
システムの構築に有効であり、富栄養化防止と水環境保
全及び資源環境学的観点からも非常に効果的である。
(リン酸)と窒素成分(硝酸、亜硝酸)を同時に除去す
ることができるため、排水処理剤として極めて好ましい
ものである。
排水を検出限界以下に低減できる。
するが、本発明は、この実施例に限定されるものではな
い。
O3 2-)0.056;以下"Cl/HT-Fe"と表記する)20gをリン濃
度26.7 mM-Pに調整したNa2HPO4水溶液1600cm3中に添加
し、25℃にて4時間攪拌した。攪拌後、リン吸着剤を濾
別し、濾液中のリン酸イオン濃度をモリブデンブルー法
にて定量した。
期濃度と吸着平衡後の残存濃度との差からリン吸着剤1
g当たりの吸着量として算出した。リン酸イオン吸着時
における水溶液のpHは、塩酸にてpH 6.93に調整した。
った。
H-)2.033Cl- 0.238(CO3 2-)0.023;以下"Cl/HT-Al"と表記
する)を同様に評価した結果、2.13mmolP/gの吸着容量
であった。 実施例2 リン脱着を目的に、実施例1で得られたリン成分含有リ
ン吸着剤(各P/HT-Fe、P/HT-Alと表記)各16gを2M-Na2
CO3アルカリ水溶液1280cm3中に添加し、リン酸イオンと
炭酸イオンとのイオン交換を行った。90℃にて4時間攪
拌した後、リン吸着剤を濾別し、水洗、乾燥、塩酸にて
溶解後、溶解液中のリン酸イオン濃度を実施例1と同様
に定量し、リン吸着剤中の残存リン濃度を求めた。その
結果、リン吸着剤 P/HT-Fe、 P/HT-Alで各々0.09及び0.
29mmolP/gとなり、各試料共に約90%前後のリン脱着
が確認された。 実施例3 実施例2で得られたリン成分脱着後のリン吸着剤(各CO
3/HT-Fe、CO3/HT-Alと表記)を550℃で3時間焼成
し、複合金属酸化物を調整した。複合金属酸化物は、粉
末X線回折測定の結果、酸化マグネシウム構造に起因す
る回折パターンを示すことが分かる。 実施例4 実施例3で得られた複合金属酸化物(各MgFeO、MgAlOと
表記)各5gを5M-NaCl水溶液400cm3中に添加し、90℃
で4時間攪拌した。攪拌後、濾過、水洗、乾燥を経て得
られた乾燥物の粉末X線回折測定を行った結果、複合金
属水酸化物(Cl/HT-Fe、Cl/HT-Al)の構造再生が確認さ
れた。 実施例5 実施例4で再生したリン吸着剤(Cl/HT-Fe)1gをリン
濃度26.7mM-Pに調整したNa2HPO4水溶液80cm3中に添加
し、25℃にて4時間攪拌した。攪拌後、リン吸着剤を
濾別し、濾液中のリン酸イオン濃度を実施例1と同様に
定量し、リン酸イオン吸着量を求めた。その結果、再生
リン吸着剤Cl/HT-Feで1.00mmolP/gとなり、再生前のリ
ン吸着剤に対して約85%の吸着能が認められた。 実施例6 実施例2及び3で得られた複合金属水酸化物及び複合金
属酸化物各3gを6N-塩酸にて溶解し、MgCl2+FeCl3混液
(Mg/Feモル比=1.99)及び、MgCl2+AlCl3混液(Mg/Alモル
比=2.15)各100cm3を調製した。
1418-1422 (1993)記載の方法にて複合金属水酸化物の
調製を行った。
(OH-)2.183Cl- 0.090(CO3 2-)0.038)及びCl/HT-Al(Mg2+
0.676Al3+ 0.324(OH-)2.082Cl- 0.214(CO3 2-)0.014)が得
られた。
果、Cl/HT-Feで0.97mmolP/g、Cl/HT-Alで2.13mmolP/gの
吸着容量が得られた。 実施例7 実施例3で得られた複合金属酸化物各1gをリン濃度2
6.7mM-Pに調整したNa2HPO4水溶液80cm3中に添加し、2
5℃にて4時間攪拌した。攪拌後、リン吸着剤を濾別
し、濾液中のリン酸イオン濃度を実施例1と同様に定量
し、リン酸イオン吸着量を求めたところ、MgFeO及びMgA
lOで各々1.00及び0.87mmolP/gであった。
金属酸化物(P/MgFeO、P/MgAlOと表記)各0.3gを2M-Na2C
O3アルカリ水溶液24cm3中に添加し、リン酸イオンと炭
酸イオンとのイオン交換を行った。90℃にて2時間攪拌
した後、リン吸着剤を濾別し、水洗、乾燥、塩酸にて溶
解後、溶解液中のリン酸イオン濃度を実施例1と同様に
定量し、リン吸着剤中の残存リン濃度を求めた。その結
果、試料 P/MgFeO及びP/MgAlOで各々0.10及び0.47mmolP
/gとなり、前者で約90%、後者で約46%のリン脱着
が確認された。リン脱着後の試料の粉末X線回折測定を
行った結果、CO 3/HT-Fe及びCO3/HT-Al構造の再生が認め
られた。これらの再生品は、実施例3、4ないし6の方
法にて再利用が可能である。 実施例8 各種イオン(2.0ppm-P,10.4ppm-NO2 -,7.0ppm-NO3 -及び
16.5ppm-SO4 2-)を含む模擬排水40ml中にリン吸着剤Cl/
HT-FeまたはCl/HT-Al各0.01gを添加し、室温にて4時間
攪拌した。攪拌後、リン吸着剤を濾別し、濾液中のリン
酸イオン濃度は実施例1の方法で測定し、その他のイオ
ン濃度をイオンクロマトグラフィーにて測定した。その
結果を表1に示す。表1より、模擬排水をリン吸着剤で
処理することにより、リンのみならず他のイオンもまた
有意に減少することが分かる。
ラスコにとり、脱着液として6%NaOH+30%Na
Cl混合水溶液(20ml)を加え、30℃にて14時間
横振り振盪(170回/分)を行った。続いてリン吸着
剤を濾別し、濾別したリン吸着剤を水洗後、脱着液とし
て79.3%MgCl2水溶液を用いて先と同様に再処
理を行った。リン脱着量は、濾液中のリン濃度を実施例
1の方法で測定し、リン吸着剤1.0g当たりのリン脱
着量として算出した。
olP/gが得られた。 実施例10 脱着液として3%NaOH水溶液で処理した後、続いて
79.3%−MgCl 2水溶液で再処理を行った以外は
実施例9と同様に行い、リン脱着量を求めた。
olP/gが得られた。 実施例11 実施例9及び10で得られた再生処理後のリン吸着剤
を、実施例1と同様に処理し、リン吸着量を求めた。
lP/g(実施例9)、1.65mmolP/g(実施
例10)となり、リン吸着剤Cl/HT−Alの飽和リ
ン吸着量2.13mmolP/gに対する再生率として
各々84%及び77%と何れも80%前後の高いリン吸
着能力の再生率が得られた。 実施例12 造粒品の試作方法は、リン吸着剤(Cl/HT−Al)
4kgに対してバインダーとして、ポリアクリル酸ヒド
ラジド及びポリアミド・エピクロロヒドリン樹脂を所定
量添加し、出力1.5kw、全容量20L、2軸回転数
29.20rpmの2軸式ニーダー、及び、出力3.7
kw、スクリーン3mm、回転数135rpmの上押し
式造粒機を用い、リン吸着剤とバインダーの混合時間を
1分、必要量の水を加えてから混練を5分間行った。そ
の後、直径3mm、長さ5〜10mmの円柱形の造粒物
を調製し、80℃×15時間乾燥した。 実施例13 実施例12で調製した造粒物について、造粒物の強度及
びリン吸着試験を行った。強度試験方法は、共栓付三角
フラスコに造粒物を1.0g精秤し、水20mlを加え、
横振り振盪型恒温槽で30℃、170回/分で3時間振
盪した。振盪後、濾過及び乾燥し、造粒物の全重量を測
定した。続いて10meshの篩で整粒し、10mes
h残留品と通過品の重量を測定し、耐破砕強度(L)を
次式より算出した。なお、実用上、耐破砕強度として8
5以上が必要である。 耐破砕強度=100−〔P/(S+P)〕×100 P:10mesh通過品の重量 S:10mesh残留品の重量 リン吸着試験は、共栓付三角フラスコに造粒物を1.0
g精秤し、実施例1で用いたNa2HPO4水溶液20ml
を加え、30℃、3時間横振り振盪(170回/分)を
行った。振盪後濾別し、濾液中のリン濃度を実施例1と
同様に求め、リン吸着量を算出した。結果を表3に示
す。
浄化槽、下水道及び農村集落排水等の排水基準を確実に
クリアーでき、さらに今後規制値が厳しくなろうとも十
分対応できる能力を有することを示すものである。 実施例14 実施例12で調製した造粒物を粉砕し、粉砕品(粒度:
200〜280メッシュ)をリン濃度1ppm−Pに調
整したNaH2PO4水溶液(pH6.8)2000ml
中に所定量添加し、25℃にて攪拌を行い、攪拌時間に
対するリン濃度の変化を求めた。なお、リン濃度の測定
は、実施例1と同様に求めた。結果を図3に示す。図3
より、添加量の増加に対応してリン吸着速度が増加して
おり、リン吸着剤0.025%の添加で添加後、わずか
10分以内にリンが吸着除去されていることが分かる。 実施例15 低リン濃度の実排水を用いて、リン吸着剤のリン吸着能
力評価を行った。
水400mlにリン吸着剤(Cl/HT-Al)0.1gを添加
し、マグネチックスターラーで4時間攪拌した。攪拌
後、処理水を0.45μm−メンブランフィルターにて
濾過し、濾液中のリン濃度をJIS記載のリン定量方法
に準じて分析を行った。その結果、実排水中のリン濃度
(0.18ppm−P)が吸着処理後、リンの検出限度
以下まで低下することが明らかとなり、実排水及び低リ
ン濃度域排水等における本発明のリン吸着剤の有効性が
実証された。
分を分離・除去することができるが、化学組成式(1)
の複合金属水酸化物は上記表1に示すようにリン成分と
窒素成分を両方とも除去することができるため、本発明
はリン含有排水の処理方法だけでなく、下記項1A〜4
A、項6A〜8Aにも関する。 項1A. 下記の工程(I)及び工程(II)を含むリン
及び窒素含有排水の処理方法: 工程(I) 化学組成式(1): M1-x 2+Mx 3+(OH-)2+x-y(An-)y/n (1) 〔式中、M2+、M3+、An-、x、y及びnは前記に同
じ。〕で表される複合金属水酸化物にリン含有排水を接
触させてリン成分を吸着する工程; 工程(II) 工程(I)で得られたリン成分を吸着したリン吸着剤を
アルカリ金属炭酸塩及びアルカリ土類金属炭酸塩を除く
アルカリ金属塩及びアルカリ土類金属塩からなる群から
選ばれる少なくとも1種のリン脱着液で処理してリン吸
着剤を再生、再利用する工程。 項2A. 下記の工程(I)、(Ia)、(Ib)及び(I
I)を含むリン及び窒素含有排水の処方法: 工程(I) 化学組成式(1): M1-x 2+Mx 3+(OH-)2+x-y(An-)y/n (1) 〔式中、M2+、M3+、An-、x、y及びnは前記に同
じ。〕で表される複合金属水酸化物にリン含有排水を接
触させてリン成分を吸着する工程; 工程(Ia) 工程(I)で得られたリン成分を吸着したリン吸着剤を
アルカリ金属炭酸塩又はAn-イオンを含む水溶液に接触
させ、リン成分を脱着・回収する工程; 工程(Ib) リン脱着後のリン吸着剤を430〜600℃で仮焼する
工程;及び 工程(II) 仮焼後のリン吸着剤をアルカリ金属炭酸塩及びアルカリ
土類金属炭酸塩を除くアルカリ金属塩及びアルカリ土類
金属塩からなる群から選ばれる少なくとも1種のリン脱
着液で処理してリン吸着剤を再生、再利用する工程。 項3A. 下記の工程(I)〜工程(Ic)を含むリン及
び窒素含有排水の処理方法: 工程(I) 化学組成式(1): M1-x 2+Mx 3+(OH-)2+x-y(An-)y/n (1) 〔式中、M2+、M3+、An-、x、y及びnは前記に同
じ。〕で表される複合金属水酸化物にリン含有排水を接
触させてリン成分を吸着する工程; 工程(Ia) 工程(I)で得られたリン成分を吸着したリン吸着剤を
アルカリ金属炭酸塩又はAn-イオンを含む水溶液に接触
させ、リン成分を脱着・回収する工程; 工程(Ic) リン脱着後のリン吸着剤を酸溶解し、溶解液をリン吸着
剤製造原料として再利用する工程。 項4A. 項2Aの工程(Ib)で得られた仮焼リン吸着
剤を (1)下記工程(III)及び工程(IV)の順で処理する
か;或いは(2)項3Aの工程(Ic)で処理することを
特徴とするリン含有排水の処理方法; 工程(III) 該仮焼リン吸着剤をリン成分含有排水と接触させてリン
成分を吸着させる工程;及び 工程(IV) 工程(III)で得られたリン成分を吸着したリン吸着剤
を用いて、項1Aの工程(II)、或いは項2Aの工程
(Ia)、(Ib)及び(II)を繰り返す。 項6A. 化学組成式(1): M1-x 2+Mx 3+(OH-)2+x-y(An-)y/n (1) 〔式中、M2+、M3+、An-、x、y及びnは前記に同
じ。〕で表される複合金属水酸化物99〜60重量%及
びバインダー1〜40重量%を配合してなるリン及び窒
素含有排水の排水処理剤造粒物。 項7A. 前記バインダーが、ポリアクリルアミドのア
ミノ化物を含む項6A記載の造粒物。 項8A. 前記バインダーが、ポリアミド・エピクロロ
ヒドリン樹脂、酢酸ビニル・バーサチック酸ビニル共重
合体樹脂及びスチレン・アクリル樹脂からなる群から選
ばれる少なくとも1種1〜40重量%とポリアクリルア
ミドのアミノ化物99〜60重量%の混合物である項6
記載の造粒物。
折測定結果である。
理方法を工程順に示す流れ図である。
対するリン濃度の変化を示す図である。
Claims (5)
- 【請求項1】化学組成式(1): M1-x 2+Mx 3+(OH-)2+x-y(An-)y/n (1) 〔式中、M2+はMg2+、Ni2+、Zn2+、Fe2+、Ca
2+及びCu2+からなる群から選ばれる少なくとも1種の
二価の金属イオンを示し、M3+はAl3+及びFe 3+から
なる群から選ばれる少なくとも1種の三価の金属イオン
を示し、An-はn価のアニオンを示し、0.1≦x≦
0.5であり、0.1≦y≦0.5であり、nは1また
は2である。〕で表される複合金属水酸化物99〜60
重量%及びバインダー1〜40重量%を配合してなるリ
ン含有排水の排水処理剤造粒物。 - 【請求項2】前記バインダーが、ポリアクリルアミドの
アミノ化物を含む請求項1記載の造粒物。 - 【請求項3】前記バインダーが、ポリアミド・エピクロ
ロヒドリン樹脂、酢酸ビニル・バーサチック酸ビニル共
重合体樹脂及びスチレン・アクリル樹脂からなる群から
選ばれる少なくとも1種1〜40重量%とポリアクリル
アミドのアミノ化物99〜60重量%の混合物である請
求項1記載の造粒物。排水処理剤。 - 【請求項4】化学組成式(1): M1-x 2+Mx 3+(OH-)2+x-y(An-)y/n (1) 〔式中、M2+はMg2+、Ni2+、Zn2+、Fe2+、Ca
2+及びCu2+からなる群から選ばれる少なくとも1種の
二価の金属イオンを示し、M3+はAl3+及びFe 3+から
なる群から選ばれる少なくとも1種の三価の金属イオン
を示し、An-はn価のアニオンを示し、0.1≦x≦
0.5であり、0.1≦y≦0.5であり、nは1また
は2である。〕で表される複合金属水酸化物からなる排
水中のリン成分と窒素成分の同時除去用の排水処理剤。 - 【請求項5】化学組成式(1): M1-x 2+Mx 3+(OH-)2+x-y(An-)y/n (1) 〔式中、M2+はMg2+、Ni2+、Zn2+、Fe2+、Ca
2+及びCu2+からなる群から選ばれる少なくとも1種の
二価の金属イオンを示し、M3+はAl3+及びFe 3+から
なる群から選ばれる少なくとも1種の三価の金属イオン
を示し、An-はn価のアニオンを示し、0.1≦x≦
0.5であり、0.1≦y≦0.5であり、nは1また
は2である。〕で表される複合金属水酸化物にリン成分
及び窒素成分を含有する排水を接触させてリン成分及び
窒素成分を同時に除去する排水処理方法。
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JP2000351655A JP3240442B2 (ja) | 1997-06-12 | 2000-11-17 | 脱リン剤造粒物及び排水処理方法 |
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WO2009072488A2 (ja) | 2007-12-05 | 2009-06-11 | National Institute For Materials Science | 陰イオン交換性層状複水酸化物の製造方法 |
CN111874984A (zh) * | 2020-07-28 | 2020-11-03 | 上海泽耀环保科技有限公司 | 水体修复绳及其制备方法和应用 |
-
2000
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