JP2002271001A - 回路形成用転写材及び回路基板の製造方法 - Google Patents

回路形成用転写材及び回路基板の製造方法

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JP2002271001A
JP2002271001A JP2001063762A JP2001063762A JP2002271001A JP 2002271001 A JP2002271001 A JP 2002271001A JP 2001063762 A JP2001063762 A JP 2001063762A JP 2001063762 A JP2001063762 A JP 2001063762A JP 2002271001 A JP2002271001 A JP 2002271001A
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circuit pattern
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insulating substrate
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JP2001063762A
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English (en)
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Munehiro Hatai
宗宏 畠井
Shoichi Nakada
昌一 中田
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Sekisui Chemical Co Ltd
Original Assignee
Sekisui Chemical Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 金属箔のパターニングにより得られた回路パ
ターンを絶縁性基板またはセラミックグリーンシートに
転写するのに用いられる、回路パターンの微細化に対応
することができ、熱プレス条件を緩和でき、かつ回路パ
ターンを無理なくかつ安定に転写することを可能とする
回路形成用転写材を提供する。 【解決手段】 基材2上に、感圧接着性を有し、光の照
射により硬化され、硬化後の金属箔に対する接着力が光
照射前よりも低下する硬化型粘接着剤層3が形成されて
おり、硬化型粘接着剤層3上にパターニングにより回路
パターンを構成するための金属箔4が積層されている、
回路形成用転写材1。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、回路基板を形成す
るための回路形成用転写材及び回路基板の製造方法に関
し、より詳細には、金属箔のパターニングにより形成さ
れた回路を絶縁性基板またはセラミックグリーンシート
に容易にかつ安定に転写することを可能とする回路形成
用転写材及び該回路形成用転写材を用いた回路基板の製
造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】絶縁性基板上に金属箔をパターニングす
ることにより形成された回路パターンが構成されている
回路基板は、電子機器や自動車などのさまざまな装置に
おいて用いられている。なかでも、合成樹脂からなる絶
縁性基板を用いた場合には、われやかけ等が生じ難く、
熱プレスによる多層化が容易であるため、合成樹脂から
なる絶縁性基板を用いた回路基板が広く用いられてい
る。
【0003】合成樹脂からなる絶縁性基板上に回路パタ
ーンを形成する方法としては、得られる回路パターンの
平面性及び電気的接続の信頼性を高めるために、金属箔
をパターニングすることにより回路パターンを形成する
方法が種々提案されている。例えば、特開平10−51
108号公報には、樹脂フィルム上に金属箔を接着し、
該金属箔をエッチングすることにより回路パターンを形
成した後、該回路パターンを合成樹脂よりなる絶縁性基
板に転写する方法が開示されている。転写法を用いるこ
とにより、絶縁性基板が回路パターン形成時のエッチン
グ液などに接触することがないため、絶縁性基板の特性
の劣化を引き起こすことなく、回路基板を得ることがで
きる。
【0004】しかしながら、この種の転写法では、絶縁
性基板に回路パターンを転写するに際し、120℃程度
の比較的高温で熱プレスすることにより転写が行われて
いた。そのため、絶縁性基板や回路パターンに熱ストレ
スやひずみが残存し、得られた回路基板の精度が低下す
るという問題があった。
【0005】特に、回路パターンを絶縁性基板に転写し
た後、さらに多層基板を構成するために回路パターンが
転写された絶縁性基板を複数枚熱プレスする場合、個々
の絶縁性基板及び回路パターンごとに転写時の熱ストレ
ス及びひずみが異なるため、多層基板において複数の回
路パターンが正確に重なり合わなかったり、あるいは回
路パターンの精度が低下しがちであった。
【0006】加えて、近年、電子機器の高密度化に伴っ
て、回路パターンの細幅化が進んでおり、50μmより
も細くなってきている。このように回路パターンの線幅
が細くなると、転写法による転写が困難となる。また、
金属箔をエッチングによりパターニングするに際し、回
路パターンを構成している配線部分がサイドエッチング
を受け、線幅が細くなるほど、基材上の配線部分の幅と
レジストに接触される上方の配線部分における幅との差
が大きくなり、より一層転写が困難になってきている。
【0007】他方、セラミック基板上に回路パターンを
形成してなる回路基板も従来より広く用いられている。
この種のセラミック基板では、セラミックグリーンシー
トを焼成することにより得られたセラミック基板上に回
路パターンが薄膜形成法などにより形成されている。ま
た、積層セラミック基板などの製造に際しては、まず、
セラミックグリーンシート上に導電ペーストの印刷等に
より回路パターンが形成されている。しかる後、複数枚
のセラミックグリーンシートが積層され、積層体が焼成
されて積層セラミック基板が得られる。
【0008】上記のように、セラミックグリーンシート
上に回路パターンを形成する場合、セラミックグリーン
シートは未焼成の状態であり硬化していないため、高精
度に複雑な回路パターンを形成することは困難であっ
た。
【0009】従って、セラミックグリーンシート上に、
転写法により回路パターンを形成すれば、高精度な回路
パターンを形成することができると考えられる。従っ
て、このような要望を満たす回路形成用転写材が求めら
れていた。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、上述
した従来技術の現状に鑑み、回路パターンの細幅化を進
めた場合であっても、容易にかつ安定に回路パターンを
絶縁性基板やセラミックグリーンシートに転写すること
ができ、かつ転写時の熱プレス条件を緩和することがで
き、従って精度の高い回路基板を得ることを可能とする
回路形成用転写材及び回路基板の製造方法を提供するこ
とにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】本願の第1の発明は、金
属箔をパターニングして得られる回路パターンを半硬化
状態にある絶縁性基板またはセラミックグリーンシート
に転写するのに用いられる回路形成用転写材であって、
基材と、前記基材上に付与されており、感圧接着性を有
し、光の照射により硬化し、硬化後の金属箔に対する接
着力が硬化前よりも低く、かつ硬化後の金属箔に対する
接着力が基材に対する接着力よりも低い光硬化型粘接着
剤層と、前記光硬化型粘接着剤層上に積層されており、
パターニングされることにより回路を構成するための金
属箔とを備えることを特徴とする。
【0012】本願の第2の発明は、請求項1に記載の回
路形成用転写材を用いた回路基板の製造方法であって、
前記回路形成用転写材を用意する工程と、前記回路形成
用転写材の金属箔をパターニングすることにより回路パ
ターンを形成する工程と、前記回路パターン上に、半硬
化状態にある絶縁性基板またはセラミックグリーンシー
トを熱プレスする工程と、前記熱プレス前または熱プレ
ス後に前記回路形成転写材上の光硬化型粘接着剤層に光
を照射し、金属箔に対する接着力を光照射前よりも低下
させるように硬化させる工程と、前記光硬化型粘接着剤
層を硬化させた後に、前記回路パターンを光硬化型粘接
着剤層から剥離し、前記回路パターンを前記絶縁性基板
またはセラミックグリーンシートに転写する工程とを備
えることを特徴とする。
【0013】本発明にかかる回路基板の製造方法の特定
の局面では、上記絶縁性基板を構成する材料として、半
硬化状態にあるエポキシ樹脂系組成物が用いられる。ま
た、本発明にかかる回路基板の製造方法の他の特定の局
面では、前記金属箔のパターニングがフォトリソグラフ
ィ−エッチング法により行われる。
【0014】
【発明の実施の形態】以下、本発明の具体的な実施形態
を説明することにより、本発明にかかる回路形成用転写
材及び回路基板の製造方法を明らかにする。
【0015】図1を参照して、本発明の一実施形態にか
かる回路形成用転写材の構造を説明する。図1に示すよ
うに、本実施形態の回路形成用転写材1は、基材2と、
基材2上に付与された光硬化型粘接着剤層3と、光硬化
型粘接着剤層上に積層されており、パターニングされる
ことにより回路を構成するための金属箔4とを備える。
【0016】基材2としては、光硬化型粘接着剤層を支
持し、光硬化型粘接着剤層3が硬化した段階で光硬化型
粘接着剤層3と強固に接着し得る適宜の材料からなるも
のを用いることができる。このような基材を構成する材
料としては、さまざまな合成樹脂などが挙げられるが、
本実施形態ではポリエチレンテレフタレートが用いられ
ている。
【0017】上記光硬化型粘接着剤層は、初期状態では
感圧接着性を示し、光の照射により硬化し、硬化後の金
属箔に対する接着力が光硬化前よりも低下し、かつ硬化
後の金属箔に対する接着力が基材に対する接着力よりも
低い光硬化型粘接着剤を用いて構成される。
【0018】このような光硬化型粘接着剤としては、粘
着性を発現する粘着性ポリマーと、光の照射により重合
・硬化し、金属箔に対する接着力を光照射前よりも低下
させるように作用する光重合性化合物と、光重合開始剤
とを含むものが用いられる。
【0019】上記粘着性を発現するポリマーとしては、
光重合性化合物と混合されて光硬化型粘接着剤に感圧接
着性を与える適宜のポリマーが用いられる。このような
粘着性ポリマーとしては、アクリル系ポリマー、ポリエ
ステルまたはポリブチラールのような熱可塑性樹脂や、
合成ゴム系ポリマーなどが挙げられる。
【0020】上記光硬化型粘接着剤に用いられる光重合
性化合物は、光の照射により重合・硬化し、光硬化型粘
接着剤の金属箔に対する接着力を光照射前よりも低下さ
せ、かつ基材に対する接着力よりも低くする働きを有す
る。
【0021】上記光重合性化合物としては、上記のよう
な作用を発現し得る限り特に限定されるものではなく、
光ラジカル重合及び光カチオン重合のいずれの方法で重
合されるものであってもよい。
【0022】上記光カチオン重合性化合物としては、分
子内に少なくとも1個の光カチオン重合性官能基を有す
る化合物であれば特に限定されず、例えば、分子内に少
なくとも1個のエポキシ基、オキセタン基、水酸基、ビ
ニルエーテル基、エピスルフィド基、エチレンイミン基
などの光カチオン重合性官能基を有する各種化合物を用
いることができる。また、本発明で用いられる光カチオ
ン重合性化合物の分子量は特に限定されず、また、上記
光カチオン重合性化合物はモノマー、オリゴマーまたは
ポリマーのいずれであってもよい。
【0023】上記光カチオン重合性化合物は1種のみが
用いられてもよく、2種以上併用されてもよい。上記光
カチオン重合性化合物の中でも、特に、分子内に少なく
とも1個のエポキシ基を有するエポキシ化合物が好適に
用いられる。エポキシ化合物としては、特に限定されな
いが、例えば、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビス
フェノールF型エポキシ樹脂のようなビスフェノール型
エポキシ樹脂;フェノールノボラック型エポキシ、クレ
ゾールノボラック型エポキシ樹脂、グリシジルエーテル
型エポキシ樹脂、グリシジルアミン型エポキシ樹脂など
の2官能以上の各種エポキシ樹脂が好適に用いられる。
【0024】上記光重合開始剤は、光の照射により活性
化され、光重合開始物質、例えばラジカルあるいはカチ
オンを発生させるものである。光の照射により重合が開
始されるので、比較的低エネルギーで光重合性化合物の
重合を開始することができる。上記光ラジカル重合開始
剤としては、上記光重合性化合物の重合を開始し得る限
り、特に限定されるわけではないが、例えば、4−(2
−ヒドロキシエトキシ)フェニル(2−ヒドロキシ−2
−プロピル)ケトン、α−ヒドロキシ−α,α−ジメチ
ルアセトフェノン、メトキシアセトフェノン、2,2−
ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノンなどのアセト
フェノン誘導体化合物;ベンゾインエチルエーテル、ベ
ンゾインプロピルエーテルなどのベンゾインエーテル系
化合物;ベンジルジメチルケタールなどのケタール誘導
体化合物;ハロゲン化ケトン;アシルフォスフィンオキ
シド;アシルフォスフォナート;ビスー(2,6−ジメ
トキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチルベンチル
フォスフィンオキシド類などを例示することができる。
【0025】また、上記光カチオン重合開始剤として
は、上記光重合性化合物の光カチオン重合を誘発し得る
限り特に限定されるわけではないが、例えば、芳香族ジ
アゾニウム塩、芳香族ハロニウム塩、芳香族スルホニウ
ム塩などのオニウム塩類を挙げることができる。このよ
うなオニウム塩類の具体的な例としては、例えば、オプ
トマーSP−150(旭電化工業社製)、オプトマーS
P−170(旭電化工業社製)、UVE−1014(ゼ
ネラルエレクトロニクス社製)、CD−1012(サー
トマー社製)、サンエイドSI−60L(三新化学工業
社製)、サンエイドSI−80L(三新化学工業社
製)、サンエイドSI−100L(三新化学工業社
製)、CI−2064(日本曹達社製)、CI−263
9(日本曹達社製)、CI−2624(日本曹達社
製)、CI−2481(日本曹達社製)などを例示する
ことができる。
【0026】なお、上記光カチオン重合開始剤は、単独
で用いられてもよく、2種以上併用されてもよい、さら
に、有効活性波長の異なる複数の光カチオン重合開始剤
を用い、2段階硬化させてもよい。
【0027】また、上記光重合性化合物の重合を開始さ
せるために照射される光については、特に限定されるわ
けではないが、紫外線や可視光などの適宜の光を用いる
ことができる。なお、本発明において用いられる光硬化
型粘接着剤には、本発明の目的を阻害しない範囲で、公
知の増粘剤、充填剤、着色剤及び難燃剤等を含有させて
もよい。
【0028】上記光硬化型粘接着剤は、基材2上に塗布
されて光硬化型粘接着剤層3を構成していてもよく、あ
るいはあらかじめシート状とされていてもよく、その場
合には、硬化型粘接着シートを基材2の上面に貼り付け
ることにより光硬化型粘接着剤層3が構成される。
【0029】上記硬化型粘接着シートを用いる場合、こ
のシート成形方法については特に限定されない。例え
ば、粘着性ポリマーと、光重合性化合物と、光カチオン
重合開始剤とを混合してなる組成物を溶剤に溶かし、塗
工し、乾燥させることにより、硬化型粘接着シートを得
ることができる。
【0030】また、光重合性化合物が光カチオン重合性
化合物であり、上記粘着性ポリマーが光ラジカル重合に
より得られるものである場合には、粘着性ポリマーの原
料となるモノマーと光重合性化合物と光カチオン重合開
始剤と光ラジカル重合開始剤とを含む組成物を塗工した
後、光カチオン重合開始剤の活性化を誘発しないが、光
ラジカル重合反応を引き起こす光を照射し、バルク重合
させる方法を用いることもできる。
【0031】本実施形態の回路形成用転写材1では、上
記光硬化型粘接着剤層3上に金属箔4が貼り合わされて
いる。金属箔4は、最終的に回路基板の回路パターンを
構成するものであり、このような金属箔を構成する材料
についても特に限定されるわけではないが、例えば、
銅、銀、金、アルミニウムなどの金属もしくはこれらの
合金を挙げることができ、本実施形態では銅からなる可
撓性の金属箔が用いられる。
【0032】金属箔の厚みについても特に限定されない
が、充分な導電性を有する回路パターンを形成すること
ができ、かつ後述の回路基板の絶縁性基板を構成する半
硬化状態にある絶縁性材料、あるいはセラミックグリー
ンシートに安定に接合されるには、5〜200μmの範
囲が好ましい。
【0033】本実施形態にかかる回路形成用転写材の特
徴は、上記のように、基材2と金属箔4とが光硬化型粘
接着剤層3により貼り合わされていることにある。次
に、この回路形成用転写材1を用いた回路基板の製造方
法の一実施形態を説明する。
【0034】回路基板の製造に際しては、まず、回路形
成用転写材1の金属箔4をパターニングし、図2に示す
ように、回路パターン4Aを形成する。このパターニン
グはさまざまな方法で行うことができ、本実施形態で
は、金属箔4上にフォトレジストを全面に付与し、マス
クを当接させ露光し、エッチングすることによりパター
ニングが行われる。
【0035】次に、回路パターン4A上に、図3に示す
ように半硬化状態にある絶縁性基板5を載置し、熱プレ
スする。この半硬化状態にある絶縁性基板としては、回
路基板を構成する絶縁性材料であって、熱プレスにより
回路パターン4Aに密着される適宜の有機樹脂または有
機樹脂含有複合材料を用いることができる。
【0036】本実施形態では、上記絶縁性基板5を構成
する材料として、エポキシ樹脂と、ガラスなどの無機充
填剤とを含む複合材料からなるものが用いられている。
もっとも、このような複合材料を構成する合成樹脂とし
ては、特に限定されず、ポリビニリデンエーテル樹脂、
BTレジン、ビスマレードトリアジン、ポリイミド、フ
ッ素樹脂、フェノール樹脂、ポリアミノビスマレイミド
などの適宜の樹脂材料を用いることができる。また、複
合される無機充填剤についても、ガラスに限らず、さま
ざまな無機材料や有機材料を用いることができる。
【0037】好ましくは、回路パターン4Aと絶縁性基
板5との剥離強度を高めるために、半硬化状態にある絶
縁性基板5は、接着性を有する絶縁性材料からなること
が望ましく、熱により硬化するエポキシ系接着剤を含む
複合材料が好適に用いられる。
【0038】上記熱プレスにより、半硬化状態にある絶
縁性基板5が回路パターン4Aに密着され、経時により
温度が低下すると、絶縁性基板5が回路パターン4Aに
強固に接合される。
【0039】図3に示すように、半硬化状態にあるエポ
キシ樹脂からなる絶縁性基板5が熱プレスにより回路パ
ターン4Aに密着された後、本実施形態では、光硬化型
粘接着剤層3に上述した光重合開始剤を活性化させる波
長の光が照射され、光硬化型粘接着剤層3が硬化され
る。
【0040】上記光硬化型粘接着剤層の硬化により、光
照射前に比べて、光照射後の金属箔に対する接着力が低
下し、かつ基材2に対する接着力よりも低くなる。な
お、本実施形態では、上記熱プレス後に光硬化型粘接着
剤層3に光を照射したが、絶縁性基板5を熱プレスする
前に光硬化型粘接着剤層3に光を照射し、光硬化型粘接
着剤層3の硬化を行ってもよい。
【0041】従って、光硬化型粘接着剤層3の硬化が完
了すると、回路パターン4Aの光硬化型粘接着剤層3か
らの剥離強度は、回路パターン4Aの硬化後の絶縁性基
板5に対する剥離強度よりも低くなる。そのため、上記
熱プレス時の温度や時間などの条件を従来法に比べて緩
和することができる。
【0042】よって、光硬化型粘接着剤層3の上面か
ら、絶縁性基板5に強固に接合された回路パターン4A
を容易に剥離することができ、図4に示す回路基板6を
得ることができる。回路基板6では、上記絶縁性基板5
の一方面に回路パターン4Aが形成されている。
【0043】なお、必要に応じて、上記のようにして得
られた回路基板6を複数枚積層し、熱プレスし、それに
よって多層基板を得てもよい。本実施形態の回路基板の
製造方法では、従来の転写法と同様に、パターニングさ
れた回路パターン4Aが絶縁性基板5に転写される。従
って、絶縁性基板5が回路パターン4Aを形成する際の
薬品に晒されないので、絶縁性基板5の劣化を抑制する
ことができる。
【0044】しかも、上記光硬化型粘接着剤層3の硬化
が完了すると、光硬化型粘接着剤層3に対する回路パタ
ーン4Aの剥離強度が大幅に低下する。従って、上記の
ように回路パターン4Aを光硬化型粘接着剤層3から容
易にかつ円滑に剥離することができる。また、絶縁性基
板5の熱プレス条件を緩和することができる。よって、
回路パターン4Aの微細化を進めた場合であっても、す
なわち線幅が細い場合であっても、回路パターン4Aの
形状を損なうことなく、また絶縁性基板5にひずみをほ
とんど与えることなく容易に光硬化型粘接着剤層3から
剥離することができる。従って、回路パターンの微細化
を進め、回路パターン部分の線幅が細くなり、サイドエ
ッチングにより回路パターンの上面部分の幅がさらに細
くなった場合でも、本実施形態によれば、回路パターン
4Aを光硬化型粘接着剤層3から安定にかつ容易に剥離
することができる。
【0045】上記回路基板の製造方法の実施形態では、
半硬化状態にある絶縁性基板5が用いられたが、本発明
では、半硬化状態にある絶縁性基板に代えて、セラミッ
クグリーンシートを用いてもよい。すなわち、上記実施
形態において、回路形成用転写材1の金属箔4をパター
ニングし、回路パターン4Aを形成した後、回路パター
ン4Aに、絶縁性基板5に代えて、セラミックグリーン
シートを熱プレスにより密着させる。この場合、セラミ
ックグリーンシート中のバインダー樹脂が軟化し、熱プ
レス後に経時により冷却することにより、セラミックグ
リーンシートと回路パターン4Aとが強固に接合され
る。
【0046】しかる後、上記実施形態と同様に光硬化型
粘接着剤層3に光を照射することにより、光硬化型粘接
着剤層3と回路パターン4Aとの接合強度が、光硬化型
粘接着剤層3と基材2との接合強度よりも低くなる。従
って、光硬化型粘接着剤層3を基材2と共に回路パター
ン4Aから剥離すればよい。
【0047】このように、本発明に係る回路形成用転写
材は、半硬化状態にある絶縁性基板だけでなく、セラミ
ックグリーンシートを基板材料として用いた回路基板の
製造にも適用することができる。
【0048】また、上記セラミックグリーンシートに回
路パターンを転写して得られた回路パターン付きセラミ
ックグリーンシートを焼成することにより回路基板を得
ることができるが、回路パターンが転写されたセラミッ
クグリーンシートを複数枚積層し、圧着した後焼成する
ことによりセラミック多層基板を得ることも可能であ
る。
【0049】
【発明の効果】本発明に係る回路形成用転材では、基材
上に、光の照射により硬化され、金属箔に対する接着力
が光照射前よりも低下する光硬化型粘接着剤層が形成さ
れており、該光硬化型粘接着剤層上に回路を構成するた
めの金属箔が積層されている。従って、金属箔をパター
ニングして回路パターンを形成した後に、半硬化状態に
ある絶縁性基板またはセラミックグリーンシートを熱プ
レスする前または熱プレス後に光硬化型粘接着剤層に光
を照射して硬化させることにより、絶縁性基板またはセ
ラミックグリーンシートに固着された回路パターンか
ら、基材に支持された光硬化型粘接着剤層を容易に剥離
することができる。すなわち、光硬化型粘接着剤層の硬
化により、光硬化型粘接着剤層と回路パターンとの剥離
強度が低下するため、上記熱プレス条件を緩和でき、そ
れによって回路パターンや絶縁性基板等のひずみを低減
でき、かつ光硬化型粘接着剤層を回路パターンから無理
なくかつ容易に剥離することができる。
【0050】よって、本発明にかかる回路形成用転写材
を用いれば、本発明にかかる回路基板の製造方法に従っ
て、転写法により回路基板を容易にかつ安定に製造する
ことが可能となり、回路パターンの微細化を進め、回路
パターン部分の線幅が細くなった場合でも、上記光硬化
型粘接着剤層と回路パターンとの間の剥離強度が低下す
るため、回路パターンを安定に転写することができ、熱
ストレスによるひずみが生じ難い、信頼性に優れた回路
基板を得ることができ、かつ回路基板の高密度化及び細
幅化に対応することができる。
【0051】本発明にかかる製造方法において、半硬化
状態にある絶縁性基板が、エポキシ樹脂系組成物により
構成されている場合には、エポキシ樹脂の硬化により、
強度に優れかつ寸法安定性に優れた絶縁性基板を用い、
精度に優れた回路基板を得ることができる。
【0052】金属箔のパターニングがフォトリソグラフ
ィ−エッチング法により行われる場合、微細化を進め、
回路パターン部分の上面の幅が細くなった場合でも、本
発明のような回路パターンと光硬化型粘接着剤層との間
の剥離強度が低められるので、容易にかつ安定に回路パ
ターンの転写を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態にかかる回路形成用転写材
を示す断面図。
【図2】図1に示した回路形成用転写材の金属箔をパタ
ーニングした状態を示す断面図。
【図3】本発明の一実施形態の製造方法において、パタ
ーニングにより形成された回路パターン上に半硬化状態
にある絶縁性基板を熱プレスする工程を説明するための
断面図。
【図4】本発明の一実施形態の製造方法により得られた
回路基板を説明するための断面図。
【符号の説明】
1…回路形成用転写材 2…基材 3…光硬化型粘接着剤層 4…金属箔 4A…回路パターン 5…絶縁性基板
フロントページの続き Fターム(参考) 4F100 AB01C AB17 AB33C AD00D AK25G AK53B AK53G AR00B AR00D AT00A BA03 BA10A BA10C BA10D CB04B JB14B JG04D JL13B 5E343 AA02 AA12 AA17 AA23 BB05 BB06 BB14 BB23 BB24 BB25 BB28 BB53 CC62 DD56 DD62 ER11 ER18 ER31 ER33 ER52 GG08

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 金属箔をパターニングして得られる回路
    パターンを半硬化状態にある絶縁性基板またはセラミッ
    クグリーンシートに転写するのに用いられる回路形成用
    転写材であって、 基材と、 前記基材上に付与されており、感圧接着性を有し、光の
    照射により硬化し、硬化後の金属箔に対する接着力が硬
    化前よりも低下し、かつ硬化後の金属箔に対する接着力
    が基材に対する接着力よりも低い光硬化型粘接着剤層
    と、 前記光硬化型粘接着剤層上に積層されており、パターニ
    ングされることにより回路を構成するための金属箔とを
    備えることを特徴とする回路形成用転写材。
  2. 【請求項2】 請求項1に記載の回路形成用転写材を用
    いた回路基板の製造方法であって、 前記回路形成用転写材を用意する工程と、 前記回路形成用転写材の金属箔をパターニングすること
    により回路パターンを形成する工程と、 前記回路パターン上に、半硬化状態にある絶縁性基板ま
    たはセラミックグリーンシートを熱プレスする工程と、 前記熱プレス前または熱プレス後に前記回路形成転写材
    上の光硬化型粘接着剤層に光を照射し、金属箔に対する
    接着力を光照射前よりも低下させるように硬化させる工
    程と、 前記光硬化型粘接着剤層を硬化させた後に、前記回路パ
    ターンを光硬化型粘接着剤層から剥離し、前記回路パタ
    ーンを前記絶縁性基板またはセラミックグリーンシート
    に転写する工程とを備えることを特徴とする回路基板の
    製造方法。
  3. 【請求項3】 前記半硬化状態にある絶縁性基板が、半
    硬化状態にあるエポキシ樹脂系組成物により構成されて
    いる、請求項2に記載の回路基板の製造方法。
  4. 【請求項4】 前記金属箔のパターニングがフォトリソ
    グラフィ−エッチング法により行われる、請求項2また
    は3に記載の回路基板の製造方法。
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