JP2002270036A - 無溶剤型光硬化性導体ペーストおよびセラミック電子部品製造方法 - Google Patents

無溶剤型光硬化性導体ペーストおよびセラミック電子部品製造方法

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JP2002270036A
JP2002270036A JP2001072515A JP2001072515A JP2002270036A JP 2002270036 A JP2002270036 A JP 2002270036A JP 2001072515 A JP2001072515 A JP 2001072515A JP 2001072515 A JP2001072515 A JP 2001072515A JP 2002270036 A JP2002270036 A JP 2002270036A
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conductive
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Terusada Sugiura
照定 杉浦
Yoshifumi Hayashi
祥史 林
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Noritake Co Ltd
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Noritake Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 塗布後の溶剤除去処理を必要としない導体ペ
ースト、およびこれを用いたセラミック電子部品製造方
法を提供すること。 【解決手段】 本発明のペーストは、グリーンシート等
のセラミック基材に導体膜を形成するためのものであっ
て、光重合性化合物および光重合開始剤を含有する有機
ビヒクルと、導電性粉末を主体とする導体形成用粉末材
料とを混合してなり、実質的に溶剤を含有しない無溶剤
型光硬化性導体ペーストである。前記粉末材料は、前記
導電性粉末に対し0.1〜2.0wt%の割合で非ガラ
ス質無機添加剤を含有することが好ましい。本発明の製
造方法は、(a)上記ペーストを未焼成のセラミック基
材に塗布する工程と、(b)その塗布されたペーストを
光硬化させる工程と、(c)得られた硬化膜を焼成する
工程とを含み、前記(a)工程の後、溶剤除去のための
加熱処理を行うことなく前記(b)工程を実施する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】 本発明は、セラミック基材
に導体膜を形成する光硬化性導体ペーストに関する。特
に、グリーンシート等の未焼成状態のセラミック基材上
に塗布されて焼成されることにより電極等の導体膜を形
成する用途に好適な無溶剤型光硬化性導体ペースト、お
よびこのペーストを用いたセラミック電子部品の製造方
法に関する。
【0002】
【従来の技術】 近年の電子部品の小型化および高度集
積化に伴い、誘電体層(セラミック層)と内部電極層と
を交互に積層・焼成してなるいわゆる積層セラミックコ
ンデンサー(以下、MLCCという)が多用されてい
る。
【0003】このMLCCの典型的製造例を以下に示
す。すなわち、誘電率の高いチタン酸バリウム(BaT
iO)、チタン酸ストロンチウム(SrTiO)、
酸化イットリウム(Y)等を主成分とする誘電体
粉末を、ポリビニルブチラール等の有機バインダーと混
合し懸濁させ、これをドクターブレード法等によりシー
ト状に成形して、いわゆる誘電体グリーンシートを作成
する。一方、内部電極用の金属粉末を、有機溶剤、可塑
剤、有機バインダー等の有機媒質(ビヒクル)と混合し
て導体ペーストを形成し、この導体ペーストを前記誘電
体グリーンシート上にスクリーン印刷法等により印刷す
る。次いで、導体ペーストに含有される有機溶剤等を除
去するために、印刷された導体ペーストをグリーンシー
トとともに加熱乾燥させる。これにより、上記シート上
に未焼成の内部電極(以下「生電極」ともいう。)を形
成する。そして、この生電極が形成された誘電体グリー
ンシートを所定枚数積層し、相互に熱圧着する。その
後、この積層体を目的の大きさに切断する。
【0004】次いで、切断された積層体を酸化性雰囲気
中(典型的には大気中)にて例えば350〜500℃に
加熱し、この積層体に含まれる有機成分を酸化分解・除
去する処理(すなわち脱バインダー処理)を行う。続い
て、内部電極用の金属粉末が過度に酸化しないように還
元性雰囲気中に移し、600〜1300℃前後の温度条
件で焼成を行う。これら一連の工程によって、生電極お
よび誘電体グリーンシートが焼結してなるセラミックコ
ンデンサ本体が得られる。その後、このコンデンサ本体
の側面に、焼結された内部電極と接続するようにして所
定の外部電極を焼き付けることによって、目的のMLC
Cを得ることができる。
【0005】かかるMLCCの製造方法では、グリーン
シートの積層前に、このシートに印刷された導体ペース
トを乾燥させる工程を設けている。これにより脱バイン
ダー処理に要する時間が短縮される。また、流動性を有
する導体ペーストを印刷等の方法により塗布した後、乾
燥させて固体状の生電極とすることにより、この生電極
が形成されたグリーンシートの取り扱いが容易となり、
積層時の作業性等を向上させることができる。しかし、
一般にグリーンシートには有機バインダーとして熱可塑
性樹脂が用いられており、また若干量の有機溶剤も含ま
れていることが多い。そのため、塗布された導体ペース
ト中の有機溶剤を除去することを目的として、比較的高
い温度での加熱処理を行うと、この処理時の熱によって
グリーンシートが変形する場合がある。このようなグリ
ーンシートの変形は、焼成後のMLCCの特性を低下さ
せる要因ともなり得るため防止または抑制されることが
望ましい。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】 上述したような導体
ペースト塗布後の上記加熱処理(以下「溶剤除去処理」
という)に因ってグリーンシートその他の未焼成セラミ
ック基材に変形が生じるという不具合を根本から解決す
る一つの手段は、溶剤除去処理を行う必要のない無溶剤
型の導体ペーストを開発することである。無溶剤型のペ
ーストとしては、特開2000−330269号公報
に、PDP(プラズマディスプレイパネル)の誘電体パ
ターンを形成するための感光性ペーストが記載されてい
る。しかし、かかるペーストは、ガラス微粒子を主成分
とする非導電性のペーストであり、導体ペーストとして
使用し得る代物ではない。
【0007】そこで本発明は、導体ペースト塗布後の溶
剤除去処理によってグリーンシートその他の未焼成セラ
ミック基材に変形が生じるのを防止することを課題とし
て創出されたものであり、その目的とするところは、か
かる変形の要因である溶剤除去処理を必要としない導体
ペーストを提供することである。また、関連する他の目
的は、そのような導体ペーストを使用してMLCCその
他のセラミック電子部品を製造する方法を提供すること
である。
【0008】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決する本発
明の導体ペーストは、グリーンシート等のセラミック基
材に導体膜を形成するための光硬化性導体ペーストであ
って、光重合性化合物および光重合開始剤を含有する有
機ビヒクルと、導電性粉末を主体とする導体形成用粉末
材料とを混合してなり、実質的に溶剤を含有しない無溶
剤型光硬化性導体ペーストである。
【0009】ここで、無溶剤型光硬化性導体ペーストが
「実質的に溶剤を含有しない」とは、ペーストの粘度調
整、分散安定性向上、相溶性向上等の目的で、ペースト
を塗布してから光硬化させるまでの間に除去することを
前提として意図的に添加される有機溶剤を含まないこと
をいう。すなわち、上記光重合性化合物の製造時に使用
された溶剤や、上記光重合開始剤を溶液状態で添加混合
するために用いられた溶剤等が、ごく少量(例えばペー
スト全体の5wt%以下、もしくは1wt%以下、もし
くは0.5wt%以下程度)非意図的に混在する場合で
あっても、ペーストの塗布後、それら微量成分を加熱除
去することなく光硬化させることができる程度の含有量
であれば「実質的に溶剤を含有しない」というものとす
る(以下、単に「溶剤を含有しない」と略記することも
ある。)。
【0010】本発明の無溶剤型光硬化性導体ペースト
は、このように溶剤を含有しないので、グリーンシート
等への塗布後に溶剤除去処理を行うことなくこのペース
トを硬化させる(固体状の塗膜とする)ことができる。
したがって、この溶剤除去処理に起因するグリーンシー
トの変形を未然に防止することができる。ひいては、本
発明のペーストから得られた導体膜を備える製品(ML
CC等)の電気的特性、機械的特性等を改善することが
できる。
【0011】本発明の無溶剤型光硬化性導体ペーストの
うち好ましいものでは、前記導体形成用粉末材料が、前
記導電性粉末の0.1〜2.0wt%に相当する配合量
で非ガラス質無機添加剤を含有する。この「非ガラス質
無機添加剤」(アルミナ等)の使用により、本発明のペ
ーストから得られる導体膜の特性(基材への接着強度、
形状精度、位置精度、機械的特性、電気的特性等)を高
めることができる。
【0012】本発明の無溶剤型光硬化性導体ペーストと
して好ましい他のものでは、前記導電性粉末は平均粒径
0.5〜5.0μmの球状粒子である。このような構成
のペーストは、塗布性および光硬化性に優れ、高精度の
導体膜を形成することができる。
【0013】また、本発明は、上述の本発明の無溶剤型
光硬化性導体ペーストを用いてセラミック電子部品を製
造する方法を提供する。すなわち、本発明によって提供
される、導体膜が形成されたセラミック基材を含むセラ
ミック電子部品の製造方法は、(a)光重合性化合物お
よび光重合開始剤を含有する有機ビヒクルと、導電性粉
末を主体とする導体形成用粉末材料とを混合してなり、
実質的に溶剤を含有しない無溶剤型光硬化性導体ペース
トを未焼成のセラミック基材に塗布する工程と、(b)
その塗布されたペーストを光硬化させる工程と、(c)
得られた硬化膜を焼成する工程と、を含み、前記(a)
工程の後、溶剤除去のための加熱処理(溶剤除去処理)
を行うことなく前記(b)工程を実施する方法である。
【0014】なお、本明細書において「セラミック電子
部品」とは、セラミック製の基材(ベース)を有する電
子部品一般をいう。したがって、上述のMLCCの他、
セラミック配線基板、あるいはこれらにより構成される
ハイブリッドIC、マルチチップモジュール類は、本明
細書において定義される「セラミック電子部品」に包含
される典型例である。本発明のセラミック電子部品製造
方法では、セラミック基材に具備される導体膜(所定パ
ターンの配線や電極等)が上述の無溶剤型光硬化性導体
ペーストから形成され、これによりグリーンシート等の
未焼成セラミック基材に塗布されたペーストの溶剤除去
処理を不要としている。したがって、かかるセラミック
基材の熱変形が防止されて、電気的特性、機械的特性等
に優れたセラミック電子部品を得ることができる。ま
た、溶剤除去処理に使用する加熱乾燥装置に比べて、ペ
ーストの光硬化処理に使用する光照射装置の占有面積は
一般に小さいので、ペーストの塗布後に溶剤除去処理を
行うか、あるいは溶剤除去処理後さらに光硬化を行う従
来の技術に比べて、本発明の製造方法によると製造設備
を小型化することが可能である。
【0015】
【発明の実施の形態】 以下、本発明の好適な実施形態
について詳細に説明する。本発明のペーストに用いられ
る導体形成用粉末材料の主体をなす「導電性金属粉末」
は、焼成後に得られる導体膜に導電性を付与するための
成分である。特に限定するものではないが、かかる目的
のためには、比抵抗値が概ね1×103Ω・cm以下の
導電性金属粉末が好適である。例えば、かかる用途に好
ましい導電性物質として、銀(Ag)、銅(Cu)、金
(Au)、ニッケル(Ni)、アルミニウム(Al)、
スズ(Sn)、亜鉛(Zn)、白金(Pt)、パラジウ
ム(Pd)、タングステン(W)等の単体やそれらの合
金が挙げられる。
【0016】このような導電性金属粉末は、平均粒径が
0.1〜10μm以下および/または最大粒径が20μ
m以下(より好ましくは平均粒径が0.5〜5.0μm
および/または最大粒径が10μm以下、さらに好まし
くは平均粒径が0.5〜2.0μmおよび/または最大
粒径が5μm以下)のものを用いるとよい。この範囲の
平均粒径であれば、適当な粘度を有しかつ光硬化性のよ
いペーストとすることが容易である。導電性金属粉末の
外形は特に限定されず、麟片状、円錐状、棒状のもの等
も使用できるが、球状の粒子を用いることが特に好まし
い。導電性金属粉末として球状粒子を用いることによ
り、他の形状の粒子を用いた場合に比べて、導電性金属
粉末の含有量を高くしたときにも比較的低い粘度および
/または比較的高い光硬化性を示すペーストとすること
ができ、また焼成後において緻密な導体膜が得られやす
い。また、導電性金属粉末の比表面積(BETに基づ
く)は、概ね0.05〜10m2/gであることが好ま
しく、0.4〜2.5m2/gであることがより好まし
い。これらの導電性金属粉末は、一種のみを使用しても
よく、組成および/または形状(外形、平均粒径等)の
異なる二種以上を併用してもよい。平均粒径が0.5〜
2.0μmの球状銀粉末が特に好適に用いられる。
【0017】本発明の導体形成用粉末材料は、「非ガラ
ス質無機添加剤」を含有することが好ましい。この非ガ
ラス質無機添加剤の材質としては、酸化ジルコニウム
(ジルコニア)、珪酸ジルコニウム、酸化アルミニウム
(アルミナ)、窒化珪素、炭化珪素、酸化硼素、酸化イ
ットリウム、チタン酸バリウム等の酸化物セラミックス
または非酸化物セラミックス、あるいは酸化銅、酸化
鉛、酸化ビスマス、酸化マンガン、酸化コバルト、酸化
マグネシウム、酸化タンタル、酸化ニオブ、酸化タング
ステン等の金属酸化物が挙げられ、このうちアルミナが
特に好ましい。このような非ガラス質無機添加剤の使用
により、導体膜と基板との接着強度を向上させることが
できる。また、本発明の導体ペーストから形成された未
焼成の導体膜を焼成する際に過大な焼成収縮が生じるこ
とが防止される。したがって、微細なパターンの導体膜
を形成する場合等にも、形状精度、位置精度、機械的特
性、電気的特性等の特性に優れた導体膜とすることがで
きる。
【0018】この非ガラス質無機添加剤の形状として
は、ペーストの粘度、光硬化性、分散性、導体膜の充填
率等を適切化するという観点から、平均粒径が5μm以
下(より好ましくは2μm以下、さらに好ましくは1μ
m以下)の粉末が好ましい。また、この粉末の比表面積
は、少なくとも0.5m2/gであることが好ましく、
1.0m2/g以上(典型的には1.0〜100m2
g、特に好ましくは1.0〜10m2/g)である粉末
がより好ましい。さらに、前記導電性金属粉末の平均粒
径よりも、この非ガラス質無機添加剤の平均粒径が小さ
いことが好ましい。上記非ガラス質無機添加剤は、上記
導電性粉末の0.1〜2.0wt%(より好ましくは
0.5〜1.5wt%)に相当する配合量で使用するこ
とが好ましい。非ガラス質無機添加剤の使用量が0.1
wt%よりも少なすぎると、十分な添加効果が得られな
い場合がある。一方、非ガラス質無機添加剤の使用量が
2.0wt%よりも多すぎると、焼成後に形成される導
体膜の電気的特性等を向上させる効果が低くなるおそれ
がある。なお、本発明のペーストは、ガラス質無機添加
剤(いわゆるガラスフリット)を含有してもよいが、こ
れを含有しない組成とすることもできる。焼成後に得ら
れる導体膜の電気的特性等の点からは、ガラス質無機添
加剤を含有しない組成とすることが好ましい。
【0019】次に、本発明のペーストにおける有機成分
である「有機ビヒクル」について説明する。この有機ビ
ヒクルに含有される「光重合性化合物」および「光重合
開始剤」は、本発明のペーストに光硬化性を付与するた
めの成分である。かかる用途に好ましい光重合性化合物
の例としては下記のものが挙げられる。
【0020】(1)単官能モノマー アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、
フマル酸、マレイン酸、メチルアクリレート、メチルメ
タクリレート、エチルアクリレート、エチルメタクリレ
ート、イソブチルアクリレート、イソブチルメタクリレ
ート、2−エチルヘキシルアクリレート、2−エチルヘ
キシルメタクリレート、n−ラウリルアクリレート、n
−ラウリルメタクリレート、n−ラウリルアクリレー
ト、n−ステアリルメタクリレート、シクロヘキシルア
クリレート、シクロヘキシルメタクリレート、フマル酸
モノメチル、フマル酸モノエチル、ベンジルアクリレー
ト、ベンジルメタクリレート、2−ヒドロキシエチルア
クリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、ア
クリル酸アミド、メタクリル酸アミド、アクリロニトリ
ル、メタクリロニトリル、エチレングリコールモノメタ
クリレート、プロピレングリコールモノアクリレート、
ブチレングリコールモノメタクリレート、トリエチレン
グリコールモノアクリレート、テトラエチレングリコー
ルモノアクリレート、ノナエチレングリコールモノメタ
クリレート、ジプロピレングリコールモノアクリレー
ト、トリプロピレングリコールモノアクリレート、テト
ラプロピレングリコールモノアクリレート、ジプロピレ
ングリコールモノメタクリレート、トリプロピレングリ
コールモノメタクリレート、メトキシジエチレングリコ
ールメタクリレート、メトキシポリエチレングリコール
メタクリレート、エチレングリコールモノメチルエーテ
ルアクリレート、エチレングリコールモノメチルエーテ
ルメタクリレート、エチレングリコールモノエチルエー
テルアクリレート、エチレングリコールモノエチルエー
テルメタクリレート、グリセロールアクリレート、グリ
セロールメタクリレート等。
【0021】(2)多官能モノマー エチレングリコールジアクリレート、エチレングリコー
ルジメタクリレート、トリエチレングリコールジアクリ
レート、トリエチレングリコールジメタクリレート、テ
トラエチレングリコールジアクリレート、テトラエチレ
ングリコールジメタクリレート、ノナエチレングリコー
ルジアクリレート、ノナエチレングリコールジメタクリ
レート、ジプロピレングリコールジアクリレート、ジプ
ロピレングリコールジメタクリレート、トリプロピレン
グリコールジアクリレート、トリプロピレングリコール
ジメタクリレート、テトラプロピレングリコールジアク
リレート、プロピレングリコールジアクリレート、ブチ
レングリコールジメタクリレート、トリメチロールプロ
パントリアクリレート、トリメチロールプロパントリメ
タクリレート、テトラメチロールプロパンテトラアクリ
レート、テトラメチロールプロパンテトラメタクリレー
ト、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエ
リスリトールトリメタクリレート、ペンタエリスリトー
ルテトラアクリレート、ペンタエリスリトールテトラメ
タクリレート、ジペンタエリスリトールペンタアクリレ
ート、ジペンタエリスリトールペンタメタクリレート、
ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、ジペンタ
エリスリトールヘキサメタクリレート、1,6−ヘキサ
ンジオールジアクリレート、1,6−ヘキサンジオール
ジメタクリレート、カルボエポキシジアクリレート、ビ
スフェノールAのエチレンオキサイド(EO)付加物ジ
アクリレート、ビスフェノールAのEO付加物ジメタク
リレート、ビスフェノールAのプロピレンオキサイド
(PO)付加物ジアクリレート、ビスフェノールAのプ
ロピレンオキサイド(PO)付加物ジメタクリレート
等。
【0022】(3)光硬化性樹脂 上記(1)または(2)に挙げた化合物の少なくとも一
種を重合させてなり光硬化性官能基を有するオリゴマー
類;光重合性官能基をもたないオリゴマーまたはポリマ
ーの側鎖または分子末端に光重合性官能基(アクリロイ
ル基、メタクリロイル基、ビニル基、アリル基等)を導
入したもの(例えばポリエステルアクリレートオリゴマ
ー、ポリエーテルアクリレートオリゴマー、ウレタンア
クリレートオリゴマー、エポキシ化大豆油アクリレート
オリゴマー)等。
【0023】本発明における有機ビヒクルは、このよう
な光重合性化合物のうち一種のみを含有してもよく、二
種以上を含有してもよい。なお、有機ビヒクルに含有さ
れる光重合性化合物の主成分が一分子中に二以上(より
好ましくは三以上)の光硬化性官能基を有する化合物で
ある場合には、本発明のペーストが、光硬化性が高く、
架橋密度の高い(硬い)硬化膜を形成するものとなりや
すいので好ましい。特に好ましく使用される光重合性化
合物は、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート、
ジペンタエリスリトールペンタメタクリレート、ジペン
タエリスリトールヘキサアクリレート、ジペンタエリス
リトールヘキサメタクリレートからなる群から選択され
る一種または二種以上を主成分とするものである。
【0024】また、上記有機ビヒクルに含有される「光
重合開始剤」は、特に限定しないが、その好ましい例と
して、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、
2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−
オン、2−メチル−1−〔4−(メチルチオ)フェニ
ル〕−2−モルフォリノプロパン−1−オン、2−ベン
ジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフ
ェニル)−ブタン−1−オン、2−ヒドロキシ−2−メ
チル−1−フェニルプロパン−1−オン、ビス(2,
4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルホスフィン
オキシド、1−〔4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェ
ニル〕−2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロパン−
1−オン、2,4−ジエチルチオキサントン、2−クロ
ロチオキサントン、2,4−ジメチルチオキサントン、
3,3−ジメチル−4−メトキシベンゾフェノン、ベン
ゾフェノン、1−クロロ−4−プロポキシチオキサント
ン、1−(4−イソプロピルフェニル)−2−ヒドロキ
シ−2−メチルプロパン−1−オン、1−(4−ドデシ
ルフェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−
1−オン、4−ベンゾイル−4’−メチルジメチルスル
フィド、4−ジメチルアミノ安息香酸、4−ジメチルア
ミノ安息香酸メチル、4−ジメチルアミノ安息香酸エチ
ル、4−ジメチルアミノ安息香酸ブチル、4−ジメチル
アミノ安息香酸−2−エチルヘキシル、4−ジメチルア
ミノ安息香酸−2−イソアミル、2,2−ジエトキシア
セトフェノン、ベンジルジメチルケタール、ベンジル−
β−メトキシエチルアセタール、1−フェニル−1,2
−プロパンジオン−2−(o−エトキシカルボニル)オ
キシム、o−ベンゾイル安息香酸メチル、ビス(4−ジ
メチルアミノフェニル)ケトン、4,4’−ビスジエチ
ルアミノベンゾフェノン、4,4’−ジクロロベンゾフ
ェノン、ベンジル、ベンゾイン、ベンゾインメチルエー
テル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロ
ピルエーテル、ベンゾイン−n−ブチルエーテル、ベン
ゾインイソブチルエーテル、ベンゾイソブチルエーテ
ル、p−ジメチルアミノアセトフェノン、p−tert
−ブチルトリクロロアセトフェノン、p−tert−ブ
チルジクロロアセトフェノン、チオキサントン、2−メ
チルチオキサントン、2−イソプロピルチオキサント
ン、ジベンゾスベロン、α,α−ジクロロ−4−フェノ
キシアセトフェノン、ペンチル−4−ジメチルアミノベ
ンゾエート等を挙げることができる。
【0025】このような光重合開始剤は、本発明のペー
ストにおいて、上記光重合性化合物の0.1〜30wt
%(より好ましくは0.5〜20wt%、さらに好まし
くは1〜15wt%)に相当する配合量で含有されるこ
とが好ましい。本発明のペーストにおける有機ビヒクル
は、上述のような光重合性化合物および光重合開始剤の
他、有機バインダーとして、光硬化性をもたないポリマ
ーを含有することができる。かかる有機バインダーとし
ては、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、
アルキド樹脂、セルロース系高分子、ポリビニルアルコ
ール等をベースとするもの等が挙げられる。このような
有機バインダーは、ペーストの光硬化性を過剰に低下さ
せず、かつペーストの粘度を過剰に上昇させない範囲で
用いられることが好ましく、例えば上記光重合性化合物
の10wt%以下(より好ましくは5wt%以下)の配
合量とすることが好ましい。
【0026】この有機ビヒクルの粘度は、低すぎると導
体形成用粉末材料の分散安定性等が低下傾向となるおそ
れがある。一方、有機ビヒクルの粘度が高すぎると、導
電性金属粉末の含有量の比較的高いペースト組成とした
ときに、このペーストのグリーンシートへの塗布が困難
となりやすい。このため、特に限定するものではない
が、有機ビヒクル全体としての常温(25℃)における
粘度を概ね10〜100,000mPa・sの範囲とす
ることが好ましく、より好ましい範囲は100〜50,
000mPa・s、さらに好ましい範囲は300〜2
0,000mPa・sである。
【0027】本発明の無溶剤型光硬化性導体ペーストに
は、このペースト本来の導電性(低抵抗率)、緻密性、
接着強度等の特性を著しく損なわない限りにおいて、種
々の有機添加剤または無機添加剤を副成分として含ませ
ることができる。このような有機添加剤の例としては、
セラミック基材との密着性向上を目的としたシリコン
系、チタネート系及びアルミニウム系等の各種カップリ
ング剤等が挙げられる。なお、上記の他にも本発明の無
溶剤型光硬化性導体ペーストには、必要に応じて増感
剤、界面活性剤、重合禁止剤、消泡剤、可塑剤、増粘
剤、酸化防止剤、分散剤等を適宜添加することができ
る。これらの添加剤としては、従来の光硬化性導体ペー
スト等の調製に用いられているもの等を使用することが
でき、詳細な説明は省略する。
【0028】次に、本発明のペーストを調製する際の操
作について説明する。本発明の無溶剤型光硬化性導体ペ
ーストは、従来の導体ペーストと同様、典型的には導体
形成用粉末材料と有機ビヒクルを混和することによって
容易に調製することができる。このとき、必要に応じて
上述したような添加剤を添加・混合するとよい。例え
ば、三本ロールミルその他の混練機を用いて、上記粉末
材料および各種添加剤を有機ビヒクルとともに所定の配
合比で直接混合し、相互に練り合わせることにより、本
発明のペーストが調製され得る。
【0029】特に限定するものではないが、好ましく
は、導体形成用粉末材料の含有率がペースト全体の60
〜95wt%となるように各材料を混練するのがよく、
より好ましくは70〜90wt%、さらに好ましくは7
5〜90wt%である。また、ペースト調製に用いられ
る有機ビヒクルの添加量は、ペースト全体のほぼ5〜4
0wt%となる量が適当であり、10〜30wt%とな
る量がより好ましく、10〜25wt%となる量がさら
に好ましい。なお、各成分の含有率・配合比等に係る上
記数値範囲は厳密に解釈すべきでなく、本発明の目的を
達成し得る限りかかる範囲からの若干の逸脱を許容する
ものである。このようにして調製された本発明の無溶剤
型光硬化性導体ペーストは、その常温(25℃)におけ
る粘度が概ね2〜1000Pa・sの範囲にあることが
好ましく、より好ましい範囲は5〜600Pa・s、さ
らに好ましい範囲は10〜400Paである。
【0030】本発明の無溶剤型光硬化性導体ペーストが
塗布される未焼成のセラミック基材の典型例はグリーン
シートであるが、これに限定されない。また、焼成され
たセラミック基材やガラス基材などにも本発明のペース
トを使用し得る。上記グリーンシートは特に限定され
ず、ガラス質または非ガラス質のセラミック粉末と有機
バインダーとを用いて成形された一般的なグリーンシー
ト等を用いることができる。例えば、このペーストをM
LCCの内部電極の製造に用いる場合には、チタン酸バ
リウム、チタン酸ストロンチウム、酸化イットリウム等
を主成分とする誘電体粉末と、ポリビニルブチラール等
の有機バインダーとを用いてなるグリーンシート等が好
ましく使用される。また、アルミナ、ジルコニア等のセ
ラミック粉末とアクリル系等の有機バインダーとを用い
てなるグリーンシート等も本発明のペーストの塗布対象
として用いることができる。
【0031】次に、本発明の無溶剤型光硬化性導体ペー
ストを用いた導体膜形成に係る好適例について説明す
る。本発明のペーストは、加熱を伴う溶剤除去処理工程
を要しない点および塗布後のペーストを光硬化させる点
を除いては、セラミック製の基材(基板)上に電極、配
線等の導体膜を形成するのに従来用いられてきた導体ペ
ーストと同様に取り扱うことができ、従来公知の方法を
特に制限なく採用することができる。典型的には、スク
リーン印刷法、カレンダー塗工法、ディスペンサー塗布
法等によって、所望する形状・厚みとなるようにして無
溶剤型光硬化性導体ペーストをセラミックグリーンシー
ト等のセラミック基材に塗布する。その後、溶剤除去処
理を行うことなく、グリーンシート等に塗布されたペー
スト(塗膜)に所定の光源から光(紫外線、電子線、X
線等を用いることができ、このうち紫外線が特に好まし
い)を照射して、この塗膜を光硬化させる。上記所定の
光源としては、低圧水銀灯、高圧水銀灯、ハロゲンラン
プ、殺菌灯等を使用することができ、このうち超高圧水
銀灯が好ましく用いられる。その後、得られた硬化膜
(未焼成の導体膜)および基材に対して脱バインダー処
理(典型的には酸化雰囲気中で350〜500℃の加熱
処理)を行った後、この硬化膜と基材とを加熱器中で適
当な加熱条件(最高焼成温度が概ね600〜1300
℃、典型的には、Agペースト等では700〜1100
℃、好ましくは800〜1000℃)で所定時間加熱す
る。この一連の処理を行うことによって、本発明のペー
ストを焼成してなる導体膜(電極、配線等)が形成され
たセラミック電子部品(例えばMLCC、Oセンサ
ー、LTCC、圧電素子、誘電体フィルタ、インダクタ
ー等に用いられる)が得られる。
【0032】なお、本発明のペーストをMLCCの内部
電極の製造に用いる場合には、通常は塗膜を光硬化させ
た後、この硬化膜が形成されたグリーンシートを所定枚
数積層して相互に熱圧着する。そして、この積層体を目
的の大きさに切断した後に焼成処理を行う。塗膜を硬化
させる際の好適な光照射条件は、この塗膜の厚み等によ
っても異なるが、例えば5〜100mW/cmの出力
の超高圧水銀灯を用いて1分〜30分間の光照射を行う
ことが好ましい。
【0033】
【実施例】 以下、本発明に関するいくつかの実施例を
説明するが、本発明をかかる実施例に示すものに限定す
ることを意図したものではない。
【0034】<実施例1:アルミナを含有するペースト
の調製(1)>本実施例では、上記導電性粉末としてほ
ぼ球状の銀粉末(平均粒径2.0μm、比表面積1〜2
2/g)、上記非ガラス質無機添加剤としてアルミナ
(平均粒径2.0〜4.0μm、比表面積0.2〜1m
2/g)を使用するとともに、上記光重合性化合物とし
てジペンタエリスリトールペンタアクリレート(三洋化
成工業株式会社製、商品名「ネオマーDA−60
0」)、上記光重合開始剤として2−メチル−1−〔4
−(メチルチオ)フェニル〕−2−モルフォリノプロパ
ン−1−オン(チバ・スペシャリティ・ケミカルズ株式
会社製、商品名「イルガキュア(登録商標)907」)
を使用して無溶剤型光硬化性導体ペーストを調製した。
すなわち、最終的なペーストにおける含有割合が、導電
性粉末88wt%、非ガラス質無機添加剤0.4wt%
(導電性粉末に対して0.5wt%)、光重合性化合物
9.8wt%、光重合開始剤1.2wt%(光重合性化
合物:光重合開始剤=9:1(重量比))となるよう
に、上記各原料を秤量し、三本ロールミルを用いて混練
した。このペーストは、導体形成用粉末材料88.4w
t%と、有機ビヒクル11.6wt%とを含有する。
【0035】<実施例2:アルミナを含有するペースト
の調製(2)>非ガラス質無機添加剤の使用量を変更し
た点以外は、実施例1と同様にして無溶剤型光硬化性導
体ペーストを調製した。すなわち、導電性粉末に対する
非ガラス質無機添加剤の含有割合を0.5wt%から
1.0wt%に変更した。最終的なペーストにおける含
有割合は、導電性粉末88wt%、非ガラス質無機添加
剤0.9wt%である。また、このペーストは、導体形
成用粉末材料88.9wt%と、有機ビヒクル11.1
wt%とを含有する。なお、有機ビヒクルに含まれる光
重合性化合物と光重合開始剤との重量比は9:1であ
る。
【0036】<実施例3:アルミナを含有しないペース
トの調製>非ガラス質無機添加剤としてのアルミナを使
用しない点以外は、実施例1と同様に無溶剤型光硬化性
導体ペーストを調製した。このペーストは、導体形成用
粉末材料(導電性粉末のみからなる)88wt%と、有
機ビヒクル12wt%とを含有する。なお、有機ビヒク
ルに含まれる光重合性化合物と光重合開始剤との重量比
は9:1である。
【0037】<実施例4:Ag粒径および/または含有
率が異なるペーストの調製(1)>最終的なペーストに
おける含有割合を、導体形成用粉末材料85wt%、有
機ビヒクル15wt%とした点以外は、実施例3と同様
にして無溶剤型光硬化性導体ペーストを調製した。この
とき、有機ビヒクルに含まれる光重合性化合物と光重合
開始剤との重量比は9:1である。
【0038】<実施例5:Ag粒径および/または含有
率が異なるペーストの調製(2)>最終的なペーストに
おける含有割合を、導体形成用粉末材料90wt%、有
機ビヒクル10wt%とした点以外は、実施例3と同様
にして無溶剤型光硬化性導体ペーストを調製した。この
とき、有機ビヒクルに含まれる光重合性化合物と光重合
開始剤との重量比は9:1である。
【0039】<実施例6:Ag粒径および/または含有
率が異なるペーストの調製(3)>上記導電性粉末の粒
径を変更した点以外は、実施例4と同様にして無溶剤型
光硬化性導体ペーストを調製した。すなわち、平均粒径
1.0μm、比表面積0.5〜1.5m2/gの、ほぼ
球状の銀粉末を導電性粉末として用いた。このペースト
は、導体形成用粉末材料85wt%と、有機ビヒクル1
5wt%とを含有する。
【0040】<実施例7:Ag粒径および/または含有
率が異なるペーストの調製(4)>最終的なペーストに
おける含有割合を、導体形成用粉末材料88wt%、有
機ビヒクル12wt%とした点以外は、実施例6と同様
にして無溶剤型光硬化性導体ペーストを調製した。この
とき、有機ビヒクルに含まれる光重合性化合物と光重合
開始剤との重量比は9:1である。
【0041】<実施例8:Ag粒径および/または含有
率が異なるペーストの調製(5)>上記導電性粉末の粒
径を変更した点以外は、実施例4と同様にして無溶剤型
光硬化性導体ペーストを調製した。すなわち、平均粒径
0.5μm、比表面積2〜4m2/gの、ほぼ球状の銀
粉末を導電性粉末として用いた。このペーストは、導体
形成用粉末材料85wt%と、有機ビヒクル15wt%
とを含有する。
【0042】<実施例9:Ag粒径および/または含有
率が異なるペーストの調製(6)>最終的なペーストに
おける含有割合を、導体形成用粉末材料87wt%、有
機ビヒクル13wt%とした点以外は、実施例8と同様
にして無溶剤型光硬化性導体ペーストを調製した。この
とき、有機ビヒクルに含まれる光重合性化合物と光重合
開始剤との重量比は9:1である。
【0043】<実施例10:光重合開始剤の種類が異な
るペーストの調製(1)>光重合開始剤の種類を変更し
た点以外は、実施例3と同様にして無溶剤型光硬化性導
体ペーストを調製した。すなわち本実施例では、光重合
開始剤としてビス(2,4,6−トリメチルベンゾイ
ル)−フェニルホスフィンオキシド(チバ・スペシャリ
ティ・ケミカルズ株式会社製、商品名「イルガキュア
(登録商標)819」)を使用した。
【0044】<実施例11:光重合開始剤の種類が異な
るペーストの調製(2)>光重合開始剤の種類を変更し
た点以外は、実施例3と同様にして無溶剤型光硬化性導
体ペーストを調製した。すなわち本実施例では、光重合
開始剤として1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケ
トン(チバ・スペシャリティ・ケミカルズ株式会社製、
商品名「イルガキュア(登録商標)184」)を使用し
た。
【0045】<実施例12:光重合開始剤の種類が異な
るペーストの調製(3)>光重合開始剤の種類を変更し
た点以外は、実施例3と同様にして無溶剤型光硬化性導
体ペーストを調製した。すなわち本実施例では、光重合
開始剤として2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニル
エタン−1−オン(チバ・スペシャリティ・ケミカルズ
株式会社製、商品名「イルガキュア(登録商標)65
1」)を使用した。
【0046】<実施例13:光重合開始剤の種類が異な
るペーストの調製(4)>光重合開始剤としての種類を
変更した点以外は、実施例3と同様にして無溶剤型光硬
化性導体ペーストを調製した。すなわち本実施例では、
光重合開始剤として2−ベンジル−2−ジメチルアミノ
−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタン−1−オ
ン(チバ・スペシャリティ・ケミカルズ株式会社製、商
品名「イルガキュア(登録商標)369」)を使用し
た。
【0047】<実施例14:光重合性化合物の種類が異
なるペーストの調製(1)>光重合性化合物の種類を変
更した点以外は、実施例3と同様にして無溶剤型光硬化
性導体ペーストを調製した。すなわち本実施例では、光
重合性化合物としてポリエステルアクリレートオリゴマ
ー(サンノプコ株式会社製、商品名「RCC13−42
9」)を使用した。
【0048】<実施例15:光重合性化合物の種類が異
なるペーストの調製(2)>光重合性化合物の種類を変
更した点以外は、実施例3と同様にして無溶剤型光硬化
性導体ペーストを調製した。すなわち本実施例では、光
重合性化合物としてジペンタエリスリトールペンタアク
リレート(サンノプコ株式会社製、商品名「ノプコマー
4510」)を使用した。
【0049】<実施例16:光重合性化合物の種類が異
なるペーストの調製(3)>光重合性化合物の種類を変
更した点以外は、実施例3と同様にして無溶剤型光硬化
性導体ペーストを調製した。すなわち本実施例では、光
重合性化合物として脂肪族ウレタンアクリレートオリゴ
マー(サンノプコ株式会社製、商品名「フォトマー62
10」)を使用した。
【0050】<実施例17:光重合性化合物の種類が異
なるペーストの調製(4)>光重合性化合物の種類を変
更した点以外は、実施例3と同様にして無溶剤型光硬化
性導体ペーストを調製した。すなわち本実施例では、光
重合性化合物としてエポキシ化大豆油アクリレートオリ
ゴマー(サンノプコ株式会社製、商品名「フォトマー3
005」)を使用した。
【0051】<実施例18:光重合性化合物の種類が異
なるペーストの調製(5)>光重合性化合物の種類を変
更した点以外は、実施例3と同様にして無溶剤型光硬化
性導体ペーストを調製した。すなわち本実施例では、光
重合性化合物としてビスフェノールAのPO付加物ジア
クリレート(光栄社化学株式会社製、商品名「ライトア
クリレートBP−4PA」、一分子当たりのPO付加モ
ル数:約4モル)を使用した。
【0052】以上、各実施例で得たペーストの組成を表
1および表2に示す。なお、これらのペーストの粘度は
いずれも概ね10〜80Pa・sの範囲にあり、特に問
題なくペーストを調製することができた。
【0053】
【表1】
【0054】
【表2】
【0055】<実施例19:ペーストの光硬化およびそ
の評価>誘電体粉末としてチタン酸バリウム、有機バイ
ンダーとしてポリビニルブチラールを用いてなる誘電体
グリーンシートを用意した。このグリーンシートの表面
に、一般的なスクリーン印刷法(SUS−200メッシ
ュ)により、各実施例で得たペーストを15mm×30
mmの長方形状に塗布して厚さ約35μmの塗膜を形成
した。次いで、これらの塗膜に紫外光(光源:超高圧水
銀灯、波長:350nm)を、8mWの出力で照射し
た。かかる露光処理によって各実施例のペーストからな
る塗膜を光硬化させた。得られた硬化膜の状態をその触
感により評価し、その結果を表1および表2に併せて示
した。なお、評価基準は以下のとおりである。 ◎:10分間の照射により硬度の高い硬化膜が形成され
た。 ○:10分間の照射により柔軟な硬化膜が形成された。 △:10〜30分間の照射により硬化膜が形成された。
【0056】表1および表2に示すように、実施例1〜
18のペーストはいずれも実用上十分な光硬化性を示し
た。導体形成用粉末材料の含有割合が同程度である場
合、導電性粉末の平均粒径が0.5〜2.0μmの範囲
では、導電性粉末の平均粒径が大きくなるにつれて光硬
化性が向上する傾向が見られた。また、上記実施例で用
いた光重合性化合物および光重合開始剤によるとは、い
ずれも光硬化性等の良好なペーストを調製することがで
きた。このうち、光硬化性および硬化膜の硬度の点から
は、光重合性化合物としてDA−600またはノプコマ
ー6210、光重合開始剤としてイルガキュア(登録商
標)907またはイルガキュア(登録商標)819を用
いた場合に特に良好な結果が得られた。
【0057】<実施例20:導体膜の製造および評価>
実施例1〜3で調製したペーストを用いて、導体膜の製
造およびその評価を行った。すなわち、実施例19で使
用した誘電体グリーンシートの表面に、一般的なスクリ
ーン印刷法(SUS−200メッシュ)により、各ペー
ストを0.5mm×200mmの線状(厚さ約35μ
m)に塗布した。次いで、実施例19と同様の条件で紫
外光(光源:超高圧水銀灯、波長:350nm)を、8
mW×10分間の条件で照射して各ペーストからなる塗
膜を光硬化させた。次に、この硬化膜をグリーンシート
ごと焼成した。すなわち、硬化膜が形成されたグリーン
シートを電気炉中において5℃/分の昇温速度で900
℃まで加熱し、同温度で10分間維持した。この焼成処
理によって、導体膜が焼き付けられたセラミック基板を
得た。
【0058】次に、得られた各導体膜の特性評価を行っ
た。すなわち、デジタルマルチメーターを用い、一般的
な2端子法に基づいて導体膜の抵抗値(Ω)を測定し
た。その結果を、使用したペーストの組成とともに表3
に示す。なお、得られた各導体膜は、実施例3のペース
トから得られた導体膜に若干の縮れが見られたものの、
いずれも実用上問題のない外観を有するものであった。
なお、表2中の「縮れ」欄において、△は導体膜に若干
の(実用上問題のない程度の)縮れが見られることを示
し、○は縮れが見られないことを示す。
【0059】
【表3】
【0060】表3から判るように、導電性粉末に対して
0.5wt%(実施例1)または1.0wt%(実施例
2)の非ガラス質無機添加剤を配合したペースト組成と
することにより、抵抗値等の電気的特性を大きく低下さ
せることなく、実施例3と比較して導体膜の縮れをさら
に抑制することができた。
【0061】
【発明の効果】本発明の無溶剤型光硬化性導体ペースト
によると、このペーストが有機溶剤を含有しないことか
ら、ペーストの溶剤除去処理に起因するグリーンシート
やその他のセラミック基材の変形が防止される。これに
より、本発明のペーストから得られた導体膜を備える製
品(MLCC等)の電気的特性、機械的特性等を改善さ
せることが可能である。また、塗布後のペースト(塗
膜)を光硬化させることができるので、MLCC等の製
造時においてペーストが塗布されたグリーンシートの取
扱性が良好である。本発明のペーストのうち所定割合の
非ガラス質無機添加剤(アルミナ等)を含有するもので
は、このペーストから形成される導体膜の特性(基材へ
の接着強度、形状精度、位置精度、機械的特性、電気的
特性等)をさらに高めることができる。
【0062】また、本発明のセラミック電子部品製造方
法は、上述の無溶剤型光硬化性導体ペーストを用い、グ
リーンシート等の未焼成セラミック基材に塗布されたペ
ーストの溶剤除去処理を不要としたものである。この製
造方法によると、グリーンシートの熱変形が防止され
て、電気的特性、機械的特性等に優れたセラミック電子
部品を得ることができる。また、一般に溶剤除去処理装
置に比べて光照射装置の占有面積は小さいので、ペース
トの塗布後に溶剤除去処理を行うか、あるいは溶剤除去
処理後さらに光硬化を行う従来の技術に比べて、本発明
の製造方法によると製造設備を小型化することが可能で
ある。
【0063】なお、本発明の組成を有する無溶剤型光硬
化性導体ペーストは、グリーンシート等の未焼成セラミ
ック基材への塗布のみならず、ガラス質または非ガラス
質の焼成されたセラミック基板に塗布されて導体膜を形
成する用途にも使用することができる。この場合にも、
乾燥工程を省略できることによる製造効率の向上、設備
面積の縮小、有機溶剤を使用しないことによる作業環境
の改善、等の効果を得ることが可能である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) H05K 1/09 H05K 1/09 D 3/12 610 3/12 610M 610G (72)発明者 林 祥史 愛知県名古屋市西区則武新町三丁目1番36 号 株式会社ノリタケカンパニーリミテド 内 Fターム(参考) 4E351 AA07 BB01 BB24 BB31 CC12 CC22 DD01 DD52 EE02 EE03 EE06 EE11 EE21 GG01 GG20 4J038 FA081 FA111 FA121 FA131 FA141 FA151 FA251 FA261 FA271 FA281 HA066 HA216 HA246 HA436 HA476 KA03 KA12 KA20 NA20 PA17 PB09 PC03 5E001 AC09 AH01 AH09 AJ01 5E343 AA02 AA24 AA39 BB21 BB72 BB76 BB77 DD03 ER39 ER43 GG11 5G301 DA03 DA04 DA05 DA06 DA08 DA10 DA11 DA12 DA14 DA15 DA32 DA60 DD01 DE01

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 セラミック基材に導体膜を形成するため
    の光硬化性導体ペーストであって、 光重合性化合物および光重合開始剤を含有する有機ビヒ
    クルと、導電性粉末を主体とする導体形成用粉末材料と
    を混合してなり、実質的に溶剤を含有しない無溶剤型光
    硬化性導体ペースト。
  2. 【請求項2】 前記導体形成用粉末材料は、前記導電性
    粉末の0.1〜2.0wt%に相当する配合量で非ガラ
    ス質無機添加剤を含有する請求項1記載の無溶剤型光硬
    化性導体ペースト。
  3. 【請求項3】 前記導電性粉末は平均粒径0.5〜5.
    0μmの球状粒子である請求項1または2に記載の無溶
    剤型光硬化性導体ペースト。
  4. 【請求項4】 導体膜が形成されたセラミック基材を含
    むセラミック電子部品を製造する方法であって、(a)
    光重合性化合物および光重合開始剤を含有する有機ビヒ
    クルと、導電性粉末を主体とする導体形成用粉末材料と
    を混合してなり、実質的に溶剤を含有しない無溶剤型光
    硬化性導体ペーストを未焼成のセラミック基材に塗布す
    る工程と、(b)その塗布されたペーストを光硬化させ
    る工程と、(c)得られた硬化膜を焼成する工程と、を
    含み、前記(a)工程の後、溶剤除去のための加熱処理
    を行うことなく前記(b)工程を実施するセラミック電
    子部品製造方法。
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